米国から供与のGLSDBは快調に戦果を積み重ねているようだ。

 Defense Express の2024-3-27記事「Zircon’s Warhead Unveils the Biggest Scam by russian Defense Ministry Leading to Creation of a Useless Missile」。
    3月25日に撃墜した「Zircon」ミサイルの弾頭を調べたところ、驚くべきことが分かった。
 弾頭部分の重さは100kgから150kgというところ。充填されている炸薬はわずか40kgだと見積もられる。

 ハイパーソニック弾の製造単価は高い。しかるに、その破壊威力は怪しいものであった。

 ちなみに、キンジャルの弾頭重量は推計で500kg。Kh-101/555、ならびにカリブル巡航ミサイルの弾頭重量は400kg。P-800オニクスでも300kgである。

 「Zircon」の弾頭重量に近似の巡航ミサイルとしては、150kgのKh-31と、135kmのKh-35がある。
 このレベルの弾頭が撃沈可能と考えられる軍艦は、排水量が4500トン以下のコルヴェットである。

 ロシアのメーカーは、レンジ1000kmを達成せよという無理な要求にこたえるために、弾頭重量をここまで削ったのであろう。

 ※衝突物体の破壊力は着速の二乗に比例するので、弾頭重量が軽いからといって対艦威力が無いことにはならない。この記事がリードしようとする方向は、科学的ではない。

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 Tyler Rogoway 記者による2024-3-26記事「FPV Drone Motherships That Also Relay Their Signals Offer Huge Advantages」。
    ロシアの新システム。「Pchelka」というハイブリッドドローン。ガソリンエンジンを牽引式に配した固定翼無人機だが、車輪の代りにスキッドがあり、そのスキッドから4軸のローターを生やしている。すなわち、電動モーターで垂直に離着陸し、巡航は内燃機関を使う。そして胴体内には、自爆型FPVドローンを複数、内臓する。本体は使い捨てにせず、特攻ドローンと地上基地との無線リンクを確立するための中継局機能を果たす。

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 Joseph Trevithick 記者による2024-3-26記事「China’s WZ-7 High-Altitude Drone Makes First Known Flight Over Sea Of Japan」。
   ジェットエンジンで高空を飛ぶ無人偵察機「WZ-7」が日本海に出てきた。駆逐艦艦隊も出てきたのでその支援目的か。
 空自はF-15Jをスクランブルさせた。

 WZ-7は2010年代の後半から就役しているが、いままで、日本海まで出てきたことはなかった。

 高度6万フィートを、4350マイル航続すると称している。滞空時間は10時間以上というが、じっさいには不明。「RQ-4 グローバルホーク」に対抗して数値を盛っているだろう。

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 Ritu Sharma 記者による2024-3-27記事「China To ‘Outnumber’ Balochistan Populace By 2048; Locals Pick-Up Guns To Counter Beijing’s Expansion」。
    パキスタンの「Siddique」軍港に、バロチ地方の分離主義集団によるテロ攻撃あり。標的は、そこに中共が配備していた対地攻撃用の固定翼無人機だったのではないか。

 この軍港には、「P-3C」が離発着できる本格的な滑走路が付属している。
 パキにはここを含めて軍港が4箇所ある。

 パキ陸軍は中共製の「CH-4B」を2021年に買った。同年にまず4機。それは「Bahawalpur」空港に置かれた。パキ陸軍航空隊がそこにある。

 バルチスタンはパキスタン内ではもっとも人口密度が低い。

 3月26日には、Khyber Pakhtunkhwa州にあるBesham市郊外の水力発電ダムの工事を監督する中国人技師たちが自動車自爆特攻テロにかかった。技師5人が爆死。この技師たちは数台の自動車でイスラマバードから工事現場に向かう途中であった。路上を走行中、うしろから追いついてきた自爆車が轟爆。

 この1週間で3回目の対支テロだという。

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 The Maritime Executive の2024-3-26記事「Old Safety Lessons May Haunt Baltimore Bridge Tragedy」。
   1980年に、タンパ市の「サンシャイン・スカイウェイ」道路橋に貨物船の『Summit Venture』号が激突して、橋の半分が破壊されてしまった事故の教訓は、ぜんぜん活かされていなかった。
 このときは落下した自動車に乗っていた35人が死亡。

 橋の再建にあたって、橋脚を船舶の衝突から防護するコンクリート製の「ドルフィン」が設置されたものである。

 こんかい落橋したフランシス・スコット・キー橋は1977年に供用開始。それは1980より前だが、じつは1975にもタスマニアで類似の事故は発生していた。

 ボルチモアの橋にも、ちいさなドルフィンはあった。
 しかしボルチモアの橋のドルフィンは、すりぬけられてしまった。そして貨物船は、橋の主塔に右舷を激突させた。

 ドルフィンで止められるサイズより、船舶が巨大だったということ。

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 Defense Express の2024-3-27記事「Satellite Images Show that russians No Longer Able to Use Ivan Khurs Intelligence Ship After Ukrainian Strike」。
    クリミアの軍港に繋留されていたロシア海軍の電波情報収集艦が3-24のミサイル攻撃で艦尾部分をやられていた。このシギント艦はロシア海軍に2隻しかない。もう1隻の『ユーリ・イワノフ』は北海艦隊に所属。

 『Ivan Khurs』は2023-5-24にも無人特攻機の攻撃を受けていた。


雑報によると、コンテナ船は動力を喪失してしまって、漂流状態で橋にぶつかったのだという。

 HT News 記者による2024-3-26記事「All-Indian crew on container ship that collided with Baltimore bridge」。
     火曜日にボルチモアの鉄橋を崩落させたコンテナ船の乗員22名は、全員インド人だった。

 2人の水先案内人もインド人だった。
 乗組員は誰も負傷しておらず、また、船からの汚染物質流出も無い。

 この船『ダリ』号は、パタプスコ川を下って、最終的にはスリランカまで行く予定だった。それが橋の主塔(パイロン)に激突した。

 この船はシンガポール国旗を掲げていた。
 衝突時にコンテナを4679個、運んでいた。最大で、20フィーターコンテナを1万個、積める。

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 Svetlana Shcherbak 記者による2024-3-26記事「The ZM22 Zircon Missile Speeds and Engine Details Revealed」。
   3月25日に撃墜した2発の「Zircon」の残骸調査から、確かにロシアはハイパーソニック弾用にラムジェットエンジンを完成していることが判った。

 ロケットで加速されて高空に達したあと、ラムジェットに点火してマッハ5.5で巡航する。最後にダイブする場合は終速はマッハ7.5にもなる。
 しかし低空を飛ぶ場合は、マッハ4.5を超えない。

 プー之介は「マッハ9まで行く」とフカしていたが、それは嘘だった。

 Zirconは、陸上から発射された場合は、最大レンジが700kmになる可能性がある。

 ソ連時代の空対地ミサイルの「Kh-22」の終速がマッハ2.4だから、「Zircon」のマッハ4は大変な進歩と言わねばならぬ。

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 Defense Express の2024-3-26記事「Several russian Troops Came Up With a Strange Protection Against FPV Drones」。
   露軍のBMP-1がおもしろい「対FPVドローン」対策を講じてきた。車体の天板に、細長い棒鋼を何十本も熔接して植立し、「動く竹藪」のようにしているのだ。

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 Thomas Newdick 記者による2024-3-26記事「Japan Wants T-7 Red Hawk As Its Next Trainer」。
    ボーイングとサーブ社が共同開発したジェット練習機「T-7A レッドホーク」を航空自衛隊は買いたいようだ。
 T-4の次の世代の練習機の国内開発などしている予算はないので、既製品を買った方が安いから。

 これについては『毎日新聞』が最初に報じた。
 ※別に独自に取材した成果ではなく、防衛省の広報が、出入りの大手メディアに、順繰りにネタを提供してやっているだけであろう。たまたま今回のこのネタは毎日新聞に振られた。次は別なネタで別な報道機関が「特だねを掴みました!」とやる。安定のローテーション。

 この件は4-10の岸田訪米の手土産として、向こうで発表される。

 米空軍は、いま351機ある「T-38 タロン」の後継として、T-7を開発させてきた。米海軍も「T-45C ゴスホーク」の後継をこの系統にする。海軍仕様へのカスタムはボーイング社がやる。

 豪州空軍は前から「BAE ホーク」の後継を「T-7」にしたいと言っていたが、T-7の完成が遅れたことから、話はフラついているところだ。
 T-7Aは、2023-6-28に初飛行したばかりである。

 セルビアはT-7を軽攻撃機に改造して「F-7」の名で採用したいという。

 T-4は1988年から就役し、212機が造られた。今も180機以上、残っているはず。しかし2019いらいエンジントラブルに苦しめられている。

 T-4は何年も前に生産が終了しているので、スペアパーツの取得が不如意になっている。T-7にしてしまえば、こういう悩みも消えるのである。

 軍用機の操縦にもAIが導入される。AIとドローンについて日米両政府は2023-12に、共同研究することで合意している。プラットフォームを共通化しておけば、メリットは大きい。

 現段階では、日本のメーカーがT-7を組み立てるという話は出ていない。

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 Defense Express の2024-3-26記事「Ukraine’s Neptune Missile Got an Overhaul: What Details the Strike on Konstantin Olshansky Landing Ship Reveals」。
    3月24日に揚陸艦に命中した対艦ミサイルは「ネプチューン」の改良型であった。
 報道された2隻だけでなく、2014に鹵獲された元のウクライナ艦『Konstantin Olshansky』にも当たっていた。

 初期のネプチューンはレンジが280kmだった。これだとクリミア軍港まで一直線で飛ばすしかなく、簡単に迎撃されてしまう。しかし改良型ネプチューンは400kmまでレンジが伸びたので、敵のSAMレーダーを避けて、意外な方位からの襲撃ができる。

 また、ゴチャゴチャした埠頭に、他艦と混じるように繋留されている標的を識別できる、何らかの特製のセンサーが、改良型には装置されたものと考えることができる。


『沈黙の沈黙』。

 Michael Peck 記者による2024-3-24記事「What the US Army should learn from Ukraine’s hasty retreat from a Russian assault」。
   2月の宇軍のアウディウカからの退却は、無秩序な「潰走」だったらしい。
 後退行動の訓練がまったくできていない素人集団だったのだ。

 米陸軍上層は、これは他山の石だと見ている。米軍ももっと退却戦について演習を重ねておく必要がある。

 1861年のブルランでの北軍、1943のカセリン峠、1950の朝鮮戦争初盤で、米陸軍は整斉と退却できなかった。しかしそれ以降、こうした経験をしていないために、訓練はできていない。

 退却は、周到に計画を立てて実施しなくてはいかん。

 アウディイウカ市の防衛は、第110機械化旅団の担任だった。その退却を第3突撃旅団が掩護すべくさしむけられているのだが、この2つの旅団の間で何の調整もなかった。

 第3突撃旅団が陣地に着く前に、第110機械化旅団は後退を開始してしまった。これでは壊乱をみずから招致するようなもの。どの道路を主ルートとし、どの道路を副ルートとするのか、その取り決めも無かった。

 退却作戦は難しい。特に、負傷兵をどうやってエバキュエートするのか。このたびのアウディウカでも宇軍は大量の歩けない戦友を残置して敗走している。結果、それら傷病者は露兵によって虐殺されるか捕虜となった。

 重患者のエバキュエートは、撤退作戦では最も詳密に計画しなければならぬテーマである。時間は限られ、敵にはこちらの不意を衝く創意がある。ある程度の負傷兵はどうしても敵の手に落ちてしまう。だからこそこの計画が優先される。

 救援部隊は、地雷原啓開装備も持っていかなくてはダメ。敵は、こっちの撤収ルート上に砲兵を使って地雷を撒布し、地雷原を急設するから。

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 AFPの2024-3-24記事「Chinese-owned tanker hit by Huthi missile in Red Sea」。
    セントコムの発表によると、土曜日、イエメン沖の紅海で、中共所有のパナマ船籍の原油タンカー『Huang Pu』号が被弾。
 負傷者は出ておらず、フネは航海を続けている。紅海からアデン湾に向かって南下していた。
 甲板上で火災が発生したものの、30分で消火できたという。

 対艦弾道弾は5発発射され、5発目が命中したのだという。
 フーシはそれに先だち、中共の船舶は攻撃しないと声明していたのだが……。

 2024-2までこのフネは、英国の会社の所有だった。その登録は2019になされている。フーシは最新のデータを持っていないのだろう。

 セントコムによると、このタンカー攻撃に続いて、フーシは陸岸から6機のドローンを飛ばしてきた。米艦はそれと交戦した。ドローンのうち5機が紅海に墜落した。が、1機はイエメンのフーシ支配区に戻って行ったそうだ。

 次。
 Defense Express の2024-3-25記事「South Korea Has 3.4 Million 105mm Artillery Shells, Everyone Would Benefit if Some Went to Ukraine」。
    WRSA-K とは、《戦争用の備蓄・同盟国・韓国》の略号で、このプログラムは、次に半島有事となったときに米軍が使用すべき弾薬を事前に韓国内に備蓄しておこうというものだった。しかし2000年代のあるとき、この大量の弾薬は韓国政府へ売り渡された。

 この結果、韓国軍は、数十万発の155ミリ砲弾と、340万発の105㎜榴弾を取得した。

 2023夏にシンクタンクのCSISが指摘したこと。米国がウクライナに搬入した30万発の155ミリ砲弾は、この「WRSA-K」に由来するストックだったのだろう、と。

 そして今、残っている105㎜砲弾もやっちまえよ、という声が出ている。

 CSISの中の人によれば、韓国軍は、米国設計のものや英国設計のものも含めて、総計約100門の105㎜砲を持っているそうだ。

 また韓国軍のユニークな装備として、6輪トラックの荷台に「K105」という国産の105㎜榴弾砲を架設した自走砲が200両、現役だという。ただしこうした105㎜の火砲は2020年いらい、すべて退役の方向で検討が進んでいるという。

 そうなると、ストックの105㎜砲弾は余剰品になるわけだ。

 韓国は、今、年に20万発の155ミリ砲弾を製造している。
 弾殻は「Poongsan」社が製造し、そこに炸薬を充填するのは「Hanwha」でやっている。

 ※チェコの大統領が騒いでいたのは、けっきょくこれか?

 次。
 The Maritime Executive の2024-3-24記事「Ukraine Attacks Two More Russian Amphibs in Sevastopol」。
    金曜日の夜、宇軍はセワストポリ軍港を巡航ミサイルもしくは無人機によって空襲し、埠頭に繋留されていたロプチャ級の揚陸艦『ヤマル』と『アゾフ』の2艦に命中弾を与えたと。さらに黒海艦隊司令部の通信施設も爆破したと。
 ロシアのSNSは、空対地ミサイルの「ストームシャドウ」が使われたと言っている。

 次。
 Cailey Gleeson 記者による2024-3-25記事「DeSantis Approves Social Media Ban For Kids Under 14 In Florida」。
   フロリダ州知事デサンティスが月曜日に新法に署名した。
 14歳未満の者は、2025年の1月1日以降、SNSにアカウントを創ることは許されない。

 またSNS運用会社は、14歳未満のユーザーが開いている既存アカウントを消去しなくてはならない。

 14歳と15歳の者は、親の同意があれば、アカウントを開設できる。


台湾政府はTikTokを国家安全保障上の脅威だと認定した。

 Lily LaMattina 記者による2024-3-24記事「Taiwan labels TikTok as national security threat」。
    これはデジタル担当大臣の唐風(アンドレイ・タン)の24日の発言。
 すでに台湾の政府機関はTikTokを使うことを禁止されている。
 しかし学校内やNGOにおいては依然として野放しなので、これも禁ずることを検討中。

 米国での反TikTok法は、下院を通過し、今は連邦上院の承認待ち。もし承認されれば、バイデンはすぐにその法案に署名すると言っている。

 かたやトランプは、この反TikTok法には反対すると言っている。2020年当時と、言うことが逆である。

 次。
 Rachel Gordon 記者による2024-3-22記事「AI generates high-quality images 30 times faster in a single step」。
   AI描画ソフトとしては「Stable Diffusion」や「DALLE-3」が既にあるが、それらの30倍のスピードでユーザーが求める絵柄を学習できるソフトを、MITのチームが開発したと言っている。

 次。
 Kamil Galeev 記者による2024-3-16記事。
    記者のチームは、ロシアにぜんぶで28ヵ所ある重要ミサイル工場を調べ上げた。
 いずれも、弾道ミサイル、もしくは巡航ミサイル、ハイパーソニック弾、SAMの工場である。
 それらは、4つある大企業のいずれかの傘下に属す。その4社は、その4社は、ロスコスモス、Almaz-Antey、 Tactical Missiles、および、ロステク社である。

 リポートの全文は、「How Does Russia Make Missiles?」のタイトルでダウンロードできる。

 要旨。

 こうしたミサイルのパフォーマンスは「精密工作機械」にほとんど依存し、それ次第ですらある。しかるにソ連のミサイル工業は、工作機械のNC化を進めなかった。

 西暦2000年にプー之介が全権を掌握するまでにロシアのミサイル工業は死滅状態に陥っていた。
 プー之介はそれらを「近代化」するのではなく、廃墟から創設しなおす必要があった。

 プーチンのロシアのために、そのすべてを据え付けてやった外国企業がある。ドイツのジーメンス社だ。
 ロシア人の工員が介入するとロクなことがないので、極度に設備は自動化された。

 ※自国防空のアセットが足りなくなったロシアは、インドに売る約束だったS-400の引渡しを2026年以降に、自己都合で延期した。


露軍は追加で30万人を充員召集して、ハリコフを攻めたいのだという。

 Defense Express の2024-3-23記事「Ukraine Keeps Attacking russian Oil Refineries: Kuybyshevsky Oil Plant on Fire After Alleged Drone Strike」。
    3月23日深夜、ロシア領内サマラ州にあるクィビシェフスキー精油工場に複数機の無人特攻機が突っ込み、複数の爆発が起き、火災に。

 この工場と、最寄のウクライナ領土とのあいだは900km離れている。無人機は直線コースを飛んだとは考えられないので1000km以上飛べる型なのであろう。

 長距離の無人機攻撃を計画するときは、敵のSAM陣地の位置を見極めて、そこを避けるようにする。ゆえに直線コースを飛ぶことは決してないのだ。

 今回やられた精油所は、年産700万トンの原油を処理できた。2012年から2015年にかけて、104億ルーブル(2012年レートで3億3500万ドル)を投じて近代化改修したところである。それが炎上した。

 使われたUAVは「Liutyi」ではないかという。国営の「ウクライナ防衛工業JSC」という企業体が製造しており、航続距離は1000km以上ある。※基本レイアウトは「バイラクタルTB2」と相似。縮尺模型の写真だけが公表されている。

 この攻撃の直前に英紙『フィナンシャルタイムズ』が、匿名の米高官がウクライナ政府に対して《国際油価が高くなるから精油所攻撃は止めてくれ》と要請したという記事を載せている。※それじたい、精油所所在地の防空部隊を油断させるためのディスインフォメーション作戦であった可能性が高いだろうと思う。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2024-3-21記事「Russian FAB-500 bomb fell at 10:30am but detonated at 3:00pm」。
   露軍は、「FAB-500」改造の滑空爆弾の信管に、5時間遅延信管をとりつけてきた。
 10時半に着弾したものが、轟爆したのが15時だったので。

 ※露空軍は「FAB-3000」という3トン爆弾の滑空爆弾化も進めているところだという。在庫品ではなく、目下、しゃかりきに量産させているのだという。これが爆発するとブラストの影響は半径900mに及ぶそうだ。さてそこで提案だ。ロクな空軍機をもっていない宇軍には同じことはできないのか? できる。パラグライダーに3トン爆弾を吊るし、最も安価に――おそらく3Dプリンターによっても――量産が可能な「パルスジェット」のエンジンをとりつけて、モーターパラグライダーとして、近距離の敵地を攻撃させることが。リリース方式は、輸送用のヘリコプターから落とすのが合理的だろう。攻撃対象は、鉄道とパイプラインと送電鉄塔と橋。AIの画像識別チップを組み込んでおけば、リモコンの必要もない。

 ※砲弾は簡単に増産できないが、爆弾は質を落とせばいくらでも簡単に増産できる。今から2年するとNATOの砲弾製造能力がロシアを圧倒してしまう。だからロシアの軍需工業は、砲弾ではなく「滑空爆弾」に注力するように指導されているところなのだと思う。アウディウカでは1日に80発の滑空爆弾が飛んできて、地上の建物はすべてサラ地になったという。この、「空爆によるサラ地化」こそは、露軍がシリアでず~っとやってきた常套戦法だ。

 次。
 Povilas M.記者による2024-3-23記事「The Growing Popularity of ‘Dragon’s Teeth’ ―― Do They Work?」。
    WWII中のジークフリート線に打設された「竜の歯」にくらべると、今日のウクライナ戦線で見られる「竜の歯」はずいぶんチャチい置き物だが、兵隊たちはこれをますます気に入っている。効果はあるらしい。

 AFVは、ゆっくり前進すれば、「竜の歯」を押しのけて、障害線を越えられる。しかし、最高速力では超越はできない。そこに意味がある。

 こいつは急設できる。トラックの荷台に積んで運んでくればいいだけだ。
 それを、地雷原や、他の障害壕や、対戦車火器陣地と組み合わせるのだ。

 ポーランドとバルト三国も、すでに、露領と接する国境線に「竜の歯」を並べている。

 ※ポーランド国内で量産されているクラスター弾頭を、ウクライナ軍の多連装ロケット弾に装着するという計画が進んでいるらしい。


小人閑居して不善を為す。

 WAYNE PARRY 記者による2024-3-22記事「What is gambling addiction and how widespread is it in the US?」。
    ミズハラがESPNに語ったところでは、彼は国際サッカー、NBA、NFL、そして大学アメフトに、違法に賭けていた。

 ギャンブル問題全国カウンシルによれば、全米で250万人もの成人が、過剰に賭博にのめりこんでしまっており、それとは別に500万~800万人の、賭博中毒予備軍が存在するという。

 米国では38の州とワシントンDCにおいて、スポーツ・ベッティングは合法だ。
 これにはきっかけがあった。2018年にNJ州でひとつの訴訟があり、これに連邦最高裁が判断を下した。それが基準判例となり、合法賭博の水門が開放された形となったのだ。

 そして今日、スポーツ賭博の8割以上は、オンラインである。端末は、スマホでも、ラップトップでもいい。

 火曜日にNCAA(大学バスケットボール)のトーナメントが開幕した。米国ゲーム協会の試算によれば、米国人たちはこのトーナメントに関する合法賭博に、1年で27億2000万ドルを賭けるであろう。

 米国のメジャープロスポーツ団体は、それぞれの所属選手たちに、ギャンブルを禁止している。違反すれば、罰金や、有期限の出場停止、永久追放などのペナルティが待っている。

 過去の有名なケースとしては、大リーグのスター級打者ピート・ローズが、自分のチームの試合に賭けていてスキャンダルになった。

 今のプロ球団は、毎春に所属選手たちを教育するプログラムを組んでいる。そこでは、安全規則、セキュリティ規則、そしてギャンブルに関する注意がしっかりと教え込まれているはずだ。

 もともと米国のプロスポーツ団体は、スポーツ賭博の合法化に反対していた。2018年時点で4つの州でスポーツ賭博が合法だった。合法州をそれ以上は増やさないように、各リーグも熱心に運動していた。しかし2018判例を境に流れが転じ、その後は球団とギャンブル産業はビジネスパートナーになっている。つまり特定球団や特定リーグには、公式の特定賭け屋が結合している。それはたとえば球場内に賭け屋の広告看板が堂々と出されているからすぐに分かる。いくつかのスタジアムには「スポーツ・ブック」(中がカジノになっているリアルタイム観戦ブース)が堂々と併設されている。

 加州では、あらゆるスポーツ・ベッティングが違法である。
 日本では、競馬などいくつかのギャンブルだけが許認されている。

 次。
 Matt Rybaltowski 記者による2024-3-21記事「Bookie Connected With Ohtani Interpreter Has Been On Feds’ Radar For 5 Years」。
    ラスヴェガスのマット・ボイヤーを、連邦捜査局は5年も監視していたという。

 オークランドAのマイナーリーガーだった、ウェイン・ニクスという男。2001に選手を引退しているが、そやつが2019に「リゾーツ・ワールド・ラスヴェガス」という会社の社長になっており、2023-9に解雇されている。捜査当局がこいつと司法取引をして、ボイヤーについてのいろいろな情報を引き出したようだ。

 ニクスは選手引退直後から顧客開拓に励んでいた。その中にはMLBオールスターに選ばれたヤジエル・ピュイグ、元シカゴブルズのフォワードだったスコティー・ピペン、それからルブロン・ジェイムズのマネジャーも含まれている。

 ボイヤーは複数の国に多数の口座を開設していたらしい。たとえばコスタリカにも。その名義はボイヤーの兄弟にしていたりする。
 賭けた客からはぜったいに直接にはその口座へは行かない。
 かならず中間の集金人が介在している。

 ボイヤーの弁護士は、ダイアン・バースである。バースが『ロサンゼルスタイムズ』紙に答えたところでは、大谷はボイヤーに会ったことはなく、話したこともなく、テキストの送受もなく、いかなる接触もしてない。

 ヴェガスの賭け屋はたいがい、VIP客に対しても、賭けられる上限額を設定している。ふつうその上限は、5万ドルから10万ドルのあいだだ。

 法廷記録によると、ひとりのニクスの客は、2019年のスーパーボウルの賭博で、500万ドルを賭けたという。

 加州はスポーツ賭博を禁じているから、加州の住民は、オフショアの賭場を利用するようになる。

 想像だが、地下の賭け組織の者がミズハラと親密な関係をつくったのだろう。
 ミズハラは「UC-リバーサイド」大学に通っていた。そのキャンパスはオレンジ郡に近いのだが、一帯には地下のポーカールームやカジノがたくさんあるという。

 ミズハラはESPNに語った。2021年にサンディエゴのポーカーゲーム場でボイヤーに会ったと。

 直近の十年、ヴェガスのスポーツベッティング界隈にて、ボイヤーの名を知らぬ者はいないはずだ。

 当局はボイヤーのひとりのアソシエイトの電話を押収している。そのアソシエイトは、「リゾートワールド」社内でボイヤーの「ホスト」をしていたという。

 ある起訴状によるとニクスは、コスタリカにある「サンドアイランドスポーツ」という会社を通じて違法賭博を運営していた。

 ニクスの長年のビジネスパートナーはエドン・カガソフという。彼はコスタリカにコールセンターを立ち上げ、そこでオンラインの賭けを受け付けていた。昨年7月、カガソフは罰金300万ドルと、保護観察6ヵ月を言い渡されている。

 がんらいボイヤーはヴェガスでは「鯨」(巨額の賭け金をすってくれる上客)に数えられていた。最近になって、違法ブックメーカーの側面があることが、知られるようになっている。

 ボイヤーを中軸とする複雑な違法賭博は、当局にとっては、1980年代にギャングのフランク“レフティ”ローゼンタールがヴェガスを去っていらいの、大きな山なのかもしれない。

 1995にデニーロが演じた映画の『カジノ』は、ローゼンタールの話なのである。

 次。
 ?年7月12日記事「Sports Betting and Financial Crime」。
    スポーツ賭博は、国際犯罪組織の「マネーロンダリング」にその仕組みが悪用されやすいがゆえに、米国の連邦司法当局として常に監視対象なのである。

 オッズを操作すれば胴元は確実に大金を儲けられる。その大儲けの中に、みかけ上の大損を混ぜる。他の犯罪で得た収入を、たくみにまぎれこませ、洗浄してしまえる。

 ブックメーカーはさいしょからグルである。彼らも儲けさせてやって、犯罪組織は、違法収益の出所を、どこなのかわからなくすることができる。

 いちどに大金を賭ける行為は当局からトラッキングされやすいが、小口にわけて無数の賭けの中に分散すれば、当局は追いきれるものではない。

 スポーツ賭博は、古代ギリシャにはすでにあった。
 それいらい、ルールが何百年も洗練されてきているが、ひとつだけ、変わらぬことがある。スポーツ賭博は、犯罪者たちの天国なのだ。

 捜査当局は、オッズが操作されていないかを注視している。マネロンの兆候は、特定の試合結果に対する不釣合いに高いオッズとして現れるものだという。

 次。
 2022-5-31記事「How Offshore Operators ―― and Those Who Support Them ―― Break U.S. Law」。
   ベガスのあるネバダ州には合法スポーツ賭博しか存在ができないように米司法当局は努力してきた。
 しかし、オンラインがその努力を無にさせつつある。
 アンティグァ、コスタリカ、ラトヴィア、パナマに賭場が設けられ、米国市民が米国内に居ながらにしてそこでスポーツ賭博できるためだ。それらの賭場の所在地には、スポーツ賭博を取り締まる法律が無い。

 米連邦最高裁は「マーフィ 対 NCAA」の裁判で、スポーツ賭博は合法だという判断を示した。これを承けて、全米の過半の州(35州+DC)で、スポーツ賭博が解禁された。

 合法州でもそれぞれ厳しく州法によってライセンスを定めている。賭け業者がライセンスから逸脱すれば、それがオンラインであろうとも、脱法行為になる。

 すくなくも4つの連邦法が、オンラインを用いて脱ライセンスの賭博ビジネスに関与する行為を犯罪だと定めている。

 次。
 Max Blenkin 記者による2024-3-21記事「Australia says BAE to build fleet of nuclear-powered submarines」。
    豪州政府は木曜日に発表。同国海軍用の原潜は、英国のBAE社が建造する、と。
 その引渡しは2040年代になるであろう。

 英国の造船所からアデレードまで回航してきて、そこで最終艤装する。

 豪州は原潜艦隊の維持のためにあらたに2万人以上の特技系労働者をかきあつめなくてはならない。

 他方で先に米国から出来合いのヴァジニア級×3隻を買わないと豪州海軍はいつまでも訓練を始められないという見積もりがある。
 トランプが大統領に返り咲くと、こうした一切の話がご破算にされる可能性も懸念されている。

 ※ロシアで起きた劇場テロについて、たちまち海外からは「ファルスフラッグ説」が浮上し、SNSをにぎわせている。昔プー之介がチェチェン人のテロを自作自演して対チェチェン戦争のための「動員令」を出すとともにみずからを絶対的な国内統制権力者になりあがらせた成功体験の二番~三番煎じというわけだ。4人の襲撃者が全員あっさりと逃亡できているのは、彼らがFSBのようなプロ機関員だからという仮説と矛盾しない。対宇戦争のための追加の数十万人規模の徴兵が、モスクワの青年層にはウケがよいわけがないので、その反発をあらかじめ封じてやるために、わざと、若いやつらが反政府的な意見交換をしているであろうコンサート会場を襲撃させるという演出か。


露軍がバルト海での訓練でロシア船『Captain Labanov』に実弾を当ててしまって3人死亡。船は炎上・沈没したという。

 ストラテジーペイジの2024-3-21記事。
   米軍は、ウクライナに、舶用コンテナにおさまる「3Dプリンター」を援助する。これを使えばUAVをどこでも製造できる。
 機動プリンターは「Firestorm Labs」というベンチャーメーカーの製品で、このベンチャーはロックマートから資本の支援を受けている。
 まず3Dプリンティングに詳しいエンジニアが2024初頭にウクライナを視察し、ついで起業したという。

 製造能力だが、1機のUAVを、24時間しないで生産できる。コンテナを置く場所は、問わない。

 長辺が6mのコンテナに入る製品と、長辺が12.2mのコンテナに入る製品とがある。
 会社の主張によると、ひとつのコンテナから月産50機可能だという。

 製造機を動かすオペレーターは、数人で済む。1個のコンテナを上空から完全に秘匿できる場所はいくらでもあるから、これで露軍がいくらミサイルをもっていようが、ウクライナ国内のUAV増産はさまたげられなくなる。

 電源は、もしローカルのグリッドが使えぬ場合は、別に発電機を置く。

 全自動で製造されるUAVの基本モデルは「Tempest」という固定翼機で、最大離陸重量25kg、ペイロード4.5kg、ウイングスパン2.1m。全長1.8m。

 動力は、出来合いのいろいろなものを後付けできる。

 部品はバラして、その1個行李を1名の歩兵が担いで運べる。

 メーカーは加州に自社の量産拠点も構え、月産500機のペースで製品をストックしておく計画。これで将来の緊急大量需要に備えるという。

 ※3Dプリンターにこれから手を出そうかと考えている日本の大企業のみなさん。今、求められているのは「小型の内燃エンジンを全自動で出力してしまえる、メタル3Dプリンター」だと思いますよ! それが完成すれば、この記事にあるような機体製造用の3Dプリンターショップと随意に結合させられるんだから。それはデュアルユース商品だから、武器とは言い難く、厄介な面倒をシンプルにバイパスできる。そして、会社が儲かることによって、ロシアと中共が滅ぶ。全世界が感謝する。これこそ日本の民間企業が目指すべき立ち位置でしょう。

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 Defense Express の2024-3-21記事「Vampire UAV: Works at Night Delivering Supplies to Allies and Bombs onto Enemies」。
   宇軍の前線では「Vampir」というヘクサコプターが活躍中。
 6軸のマルチコプターだ。
 十分な性能のサーマルカメラがついているので夜間に作業させられる。夜間だと撃墜されることはまずない。

 持ち運べるペイロードは短距離であれば15kgもある。
 しかし実用的なのは12kgまでだ。
 それを8km以上先まで配達して、また戻って来られる。

 攻撃任務にも、補給任務にも、大活躍。

 しかし「Vampire」という名前はまぎらわしい。同じ名前の他の兵器が複数すでにあるからだ。
 レーザーセミアクティヴ誘導によってAPKWSロケット弾を当てる、車載の兵器。
 それからチェコ製の多連装ロケット砲「RM-70」も、ヴァンパイアと称している。これはBM-21のチェコ版である。

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 Ritu Sharma 記者による2024-3-21記事「French Chopper ‘Shoots Down’ Houthi Drone Over The Red Sea; 1st Public Acknowledgement Of ‘Helo Kill’」。
   紅海にて、フランス海軍フリゲート(おそらく『アルザス』)の艦載ヘリ(おそらくAS565)が、フーシが商船に向けて放った特攻無人機と並走飛行して、7.62ミリのドアガンによって撃墜した。
 この無人機の画像が公表されている。プッシャープロペラ式の固定翼型で、V字尾翼。アスペクト比大。つまり高速飛行を最初から狙っていない。

 仏フリゲートが搭載している「アステル15」というSAMは1発が110万ドルくらいするので、これを使って安い敵のドローンの相手をしていたら損が行くだけだった。その問題を解決する方法が、発見されつつある。

 ※予言しよう。昔の「海軍96式艦上戦闘機」と同程度の1.2トン未満の固定翼無人機に、小型軽量のターボファンエンジンをとりつけ、7.62ミリの「旋回銃」によって、並走飛行しながらイラン製の低速UAVを撃墜する、そのようなシーレーン護衛UAVがこれから需要されるだろう。それはコンテナ船改造の「改装護衛空母」から運用されるであろう。


ノヴゥロシスク軍港の潜水艦岸壁の陸側に、キロ級潜水艦の黒いシルエットがペンキで描かれている。巡航ミサイルの画像照準AIを騙くらかして、そっち側に着弾させようという魂胆だ。

 Editor OilPrice.com 記者による2024-3-19記事「The Gas Find That Could Transform Europe’s Energy Future」。
   オーストリー領内のアルプス山地で、天然ガスの試掘ボーリングをしたら、最初の1穴で、巨大ガス田にブチあたったという。これは過去40年で最大の大当たりだという。月曜日発表。

 ※これでドイツは原発路線に戻らなくてもよくなったと考えているところだろう。

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 Tom Holsinger 記者による2024-3-20記事。
    露軍のハードウェアのうち、砲熕兵器の摩滅減損が深刻。これは外からは目に見えない。目に見えるハードウェアでは、AFVの損耗がやはり深刻。

 このダブルパンチで自走砲が急減しているため、古いストックの牽引砲をひっぱりだして穴埋めさせている。

 最終在庫品は、牽引式122ミリ榴弾砲だ。50年以上前の製造だが、2021年時点で4000門あったと推計されている。
 この122ミリ牽引野砲が消耗すると、もうストックは無い。新造するしかない。しかしロシアの砲熕野砲の年産力は、200門くらいである。

 砲熕兵器の年産量を2000門くらいに引き上げないと、ロシアは、2024年以降、継戦が難しくなるだろう。

 現代の大砲は、砲身が二重構造になっていて、内側のライナーチューブだけ交換できるようになっている。しかし、このライナーを長期戦に備えて余分に保管しているような国は、どこにもない。

 ライナーだけ増産させようとしても、その新プラントの計画から操業開始までには2年かかる。

 ライナーの寿命は、ロシア製火砲の場合、1000発である。西側製火砲でも、1500発から2000発でライナー交換が必要になる。

 ライナーが磨り減っても砲弾は発射できるのだが、最大射程は縮み、着弾がバラつくようになる。新品の大砲の5倍から20倍の砲弾を発射しなければ、敵に有効打を与えられなくなってしまう。

 そのくらいならまだいいのだが、最悪、「腔発」が起きてしまう。大砲そのものが「爆発した葉巻」みたいになってしまうのだ。

 122ミリ加農の場合、もともと最大レンジは十五加にくらべて不利なので、最強装薬で発射することになる。近距離で射ち合えば、特攻ドローンの餌食にもなりやすいから、とにかく弱装薬での発射など、あり得ない。これが、ますます焼蝕を加速する。

 古い4000門のストックのうち、いまさら使用に耐えるのは3000門だろう。しかもそれらは、ライナーの「余命」が1000発ぐらいしかないであろう。

 もしそうだとすれば、露軍は122ミリ砲弾をあと300万発、発射したところで、大砲がなくなってしまう。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-3-19記事「France begins nuke-warhead production, current 290 insufficient」。
    フランス政府は、現有の核弾頭290発ではもはや足りなくなったと判断して、核弾頭の増産を開始した。
 水爆原料のトリチウムも増産する。

 次。
 ストラテジーペイジ の2024-3-20記事。
    露軍の「Buk」のライバルである「NASAMS」は、2022-11から対宇供給が始まっている。
 今、8個高射大隊がNASAMSになっている。2024年にはもっと増え、しかも発射するミサイルは長射程の「AMRAAM ER」となるだろう。

 カタログスペックだと、今のNASAMSは、警戒レーダーで敵機を120km先で探知し、SAMは最大50km飛んで当たる。
 ペトリのPAC2だと、SAMは120km飛んで当たる。

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 2024-3-20記事「FPV drones with autonomous guidance system emerge in Ukraine」。
    ウクライナのFPVドローンが空中ロックオンのソフトウェアを使っている証拠のビデオが出た。
 露軍の戦車に向かってダイブ中に、画像通信が暗転する。敵のEW電波が、距離の関係で、優勢になったのだ。しかし、上空から俯瞰している偵察機のビデオには、ドローンが戦車に直撃している様子が写っている。

 敵のEWが効く前に、自律誘導モードに入っているからだろう。すでにロックオンされているので、リモコンが途絶えても関係ないのわけだ。

 ※これを、すべて機械任せの自律捜索&自動ロックオンだと宣伝しているのは眉唾だ。


ラインメタル社はルーマニア国内に、装薬と炸薬のケミカルプラントを建設する。

 場所はFagaras市だが、もう一箇所、Victoria市にも造られるかもれしない。
 1年以内に操業開始するだろうという。

 EUが4億7000万ユーロを融資する。ラインメタル社とRomarm社がそれを借りて新工場を建て、砲弾用の火薬と爆薬を量産する。

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 Defense Express の2024-3-19記事「Using BMP-3 Vehicles as “Assault Guns” is a New russian Trend Worth Noting」。
   ロシア軍は、歩兵戦闘車である「BMP-3」に野砲を載せて、間接射撃専門の自走砲へ改造しつつあり。

 ポーランドの軍事メディアがいちはやく報じている。

 じつは現状でも「BMP-3」は、その備砲(100ミリ砲と同軸30ミリ機関砲)による間接射撃(最大レンジ4km)しか、できることがなくなっている。

 だったら、歩兵の攻撃を、その少し後ろの位置から火力支援してやる「突撃砲」に任務転換してしまえ、というノリだ。

 ちなみに100ミリ砲弾は40発内臓。30ミリ機関砲弾は500発だ。

 WWII中の「SU-85」や「SU-100」自走砲と、榴弾の炸裂威力に関しては、遜色がないわけである。

 次に来るのはBMPシャシへの152ミリ榴弾砲の無理やり搭載だろう。じつは2023-9にコンセプトが公開されている。「Pat-S」という名称でプロトタイプ車両の写真がある。

 ※『自転車で勝てた戦争があった』は、作業工程が再校ゲラまで進んでおり、絶好調です。大災害突発時に、「独歩不能者」を1人の健康な成人が無動力で運搬してやれる《改造プッシュバイク》の提案については、ざんねんながら今回は間に合いませんでしたので、次以降の別企画で探究しようと思います。ひきつづいて、その協力者を募集します。コンセプトを一目瞭然の3Dで提示するために、《模型》を製作してくれる人がいると、とても有り難いのですが……。


ドイツ政府スポークスマンは、ロシアの「選挙」なるものは予め結果が決まっていて、ロシアは独裁政体であるとベルリンの記者会見で言い放った。ショルツ首相がプー之介に祝辞を与えることはないそうだ。

 またドイツ外務省は、今後、部内の公式文書でプーチンを「大統領」とは表記しないという。これは外務省のスポークスマンが語った。

 次。
 Bohdam Kolisnyk 記者による2024-3-18記事「How Ukraine can defeat the Russia」。
   『Sunday Times』紙は教えられた。英国防大臣グラント・シャップスと、英陸軍総司令官トニー・ラダキンは、ウクライナの戦争指導部(大統領、国防相、総司令官シルスキー)に対して直接に戦略の指南をしていると。

 ラダキンの見るところ、シルスキーは陸戦に関心を集中しすぎている。
 ラダキンの主張。ロシアに勝ちたくば、クリミアとロシア海軍に攻撃を指向せよ。

 ラダキンいわく。クリミアの失陥や、黒海艦隊の消滅は、ロシア人のメンタリティに深く刺さる。対露戦争に勝つには、それが重要なのだ。

 シャップスいわく。プーチンをコケさせるためには、クリミア半島の奪還がいちばんだと。
 シャップスいわく。いまや黒海艦隊は1隻も黒海で活動ができなくなっている。これは大戦果なのであると。

 ※報道されないところでもっと重大な相談がされているはずだ。精油所攻撃こそがロシア軍の継戦を不可能にするだろうという認識の擦り合わせだ。

 次。
 AFPの2024-3-17記事「Russia orders more firepower against Ukraine naval drones」。
    日曜日、ショイグがロシア海軍に発破をかけた。毎日防空訓練と対無人艇の訓練をせよ。
 またショイグいわく。軍艦には、大口径の自動火器を増設せよ。

 ※日露戦争時代の「リボルビング・カノン」が復活するか?

 次。
 The Maritime Executive の2024-3-18記事「Attacks on Refineries Force Russia to Ship More Crude and Less Products」。
   ロシアのエネルギー大臣、ニコライ・シュリギノフいわく。2024-1と比べて、ロシアの精油能力は7%低下したと。
 ロシアは先月、ガソリンの輸出を禁じた。他方で、タンカーによって輸出される原油は12%増えている(2月の統計)。

 ロシアが原油と石油製品をタンカーで輸出している金額は、1日に均すと5億ドルである。
 ロシア産の石油製品を最も大量に買っているのはトルコである。それに続いて中国とブラジル。
 ロシア産の原油を堂々と買っているのは、世界に二ヵ国しかない。インドと中国。

 次。
 Sofiia Syngaivska 記者による2024-3-18記事「Ukrainian Developers Present Optical Fiber FPV Drone」。
   ウクライナのDronarmia社が、有線誘導式のFPVドローンの動画を公開した。

 開発しているのは一社ではないが。
 Dronarmia社の製品は「Banderyk-Strichka」という。
 ペイロードは3kg。滞空15分。攻撃半径1kmという。これは初期開発品のデータなので、今はもっと向上しつつあるそうだ。

 標的自動識別AIである「マシンビジョン」を、機上搭載せず、オペレーターの手元のラップトップで処理してやるという分業流儀が、この光ファイバー有線誘導方式ならば、可能になる。これは、使い捨ての特攻ドローンを省電力化し、軽くし、電池の消耗を遅らせ、機体単価を安価にし、いろいろつごうがよい。

 次。
 The Maritime Executive の2024-3-17記事「Houthi Forces Continue Ballistic Missile and Drone Attacks」。
    フーシは地対艦巡航ミサイルは使わないが、地対艦弾道ミサイルをしきりに撃っている。これと特攻ドローン(UAVとUSV)を併用している。

 地対艦弾道ミサイルは85海里以上飛んで、アデン湾やイエメン沖を航行中の商船にじっさいに当たっている。そして爆発するのだが、ほとんど商船の船体にダメージを与えることがない。その程度の爆発力。

 ※誘導方式がまったく謎だ。どうやって、水平線より遠くの、動いているフネに当てる? もしかして「マシンビジョン」をイランももう使っているのか? さもなくば漁船偽装のFO船からレーザー・セミアクティヴ誘導か?