本日、最新刊『武器が語る日本史』が書店に搬入開始されます。

 2019-10-29記事「Reaction tests SABRE precooler at Mach 5 conditions」。
    マッハ5で巡航するエンジンは、空気吸入経路が摂氏1000度に耐えねばならない。このたび「リアクション・エンジンズ」(ロールズロイスとボーイングの合弁企業)が試製したエンジンがコロラドの実験場で、20分の1秒間だが、これを実現した。

 プリ・クーラーと呼ぶ特許の熱交換器が成否を分ける。これは数千個の薄い壁でできたチューブである。

  ※3月には450℃=マッハ3.3相当だったのが、一気に上げてきた。米英のこの底力に中共メーカーが対抗できるとは思えない。

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 Kristie Macrakis 記者による2019-10-24記事「The Spy in Moscow Station」。
   新刊紹介記事。       
 1985にCBSの番組でダン・ラザーが、モスクワの米国大使館が使っている数十のIBM社製タイプライター「セレクトリック」にソ連のKGBが盗聴器をしかけていたと報じた。

 大使館には偽の煙突があり、その中味はNSAのアンテナである。

 1978年にはソ連はモスクワの米国大使館を電波攻撃していた。大使館上層階に大使の執務室とCIAオフィスがあり、そこにマイクロ波が集中された。

 1977にCIAのスパイとしてソ連当局に逮捕されたロシア人は、CIAが開発した「L錠剤」で自決した。供述調書を書くためのペンに、その毒薬が隠されていた。

 1951年にモスクワの少女たちの一団が、木製の米国国璽(円盤状の印章)を大使にプレゼントしたが、その中には盗聴器が仕込まれていた。それがずっと大使の執務室に飾られていた。 ※国璽円盤には裏面にも意匠がレリーフされている。そうでなくとも、壊して調べるわけにもいかぬアイテムだからね。巧み。

 大使館では、調理人、メイド、運転手、電話交換手、旅行切符手配屋などは現地人を雇用せざるを得ない。もちろんKGBがその人材を派遣していた。

 大使館の備品にしかけられている盗聴器をすべて探し出すのにはX線が使われた。

 暗号機械の中には仕掛けられておらず、タイプライターの中に仕掛けられていた。

 げんざい、キューバや中共内の米国大使館が受けている電波攻撃は、昔のモスクワで米国大使館が受けたものと同質である。

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 Konstantin Kakaes 記者による2019-10-24記事「The limits of Chinese military power」。
   NYTによると現在、20万人のアメリカ兵が、米本土以外の場所に展開している。
 海外基地の数は800以上。

 これに対して中共軍は、ジブチ、タジキスタン、カンボジアに3つの海外基地を維持しているだけ。あとは、国連平和維持軍に加わって、コンゴ、レバノン、マリ、スダン、南スーダンに居るだけ。

 中共軍は、単に米空母を攻撃するというミッションでも、まったく成案が無い。ロレン・トンプソンが詳しい記事を書いている。

 2018年に米政府は、ロッキードマーチン社1社に対して、405億ドル支払った。その金額だけでも、ブラジルの国防予算307億ドルよりも巨額なのだ。中共が米国を軍事支出で凌ぐ日など、いつまでもやってくることはない。

 ちなみにロシアの軍事予算は610億ドル。

 ※司馬遼太郎が生前にはついにまとめられなかった、帝国陸軍の戦車の失敗の本質も、明日発売の最新刊で、てぎわよくまとめておきやしたぜ。