もう書店で手にとっていただけました? 新刊『武器が語る日本史』。

 本書で紹介しなかった雑学。
 古代アラブ軍はノック無しの矢を使った。撃ち返されない用心として。
 どうやって射るか。矢の尾端にはテーパーをつけておく。それをつがえる弓弦の中心には、リング状の部品を取り付ける。
 矢の尾端をリングに差して、ひきしぼれば、ノックなしでも射出できた。
 敵はその矢を拾ってもどうにもできない。

 おそらく、木材が貴重品である砂漠地帯で、こういう発想が生まれたのだと想像。

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 Grant Turnbull 記者による 2019-10-24記事「Could F1 technology power laser weapons?」。
     レーザー兵器の大出力電力源として、フォーミュラ1用の、フライホイールを使ったエネルギー回生装置が応用できそうだという。英国から米海軍に提案されているところだ。

 2009年からF1マシンには、KERS(運動エネルギー・リカバリー・システム)が導入されている。

 F1マシン搭載のこの装置、6.6秒間、80bhpを発生させられる。ブレーキングのさいに発電機をまわしておき、次に加速するときにモーターからトルクを引き出す。

 2009年にF1チームの1人のメカニックが感電する事故があったが、これは当時は設計が未熟だったから。

 KERSはルマン24時間耐久レースにも採用されている。
 アウディのR18が、ウィリアムズ・ハイブリッド・パワー社の電気回生システムを搭載して、2012年のプロトタイプ部門で優勝した。
 これは〔キャパシタや電池ではなく〕フライホイールにエネルギーを溜めておく仕組み。

 ウィリアムズ・ハイブリッド・パワー社は、2014年に、英国のDSTL社が800万ポンドで買収した。
 このたびはそのDSTLと、自動車部品メーカーのGKN社とが、FESS(フライホイールエナジーストレージシステム)という企業体を名乗って米国に向けて提案しているのだ。

 フライホイールを使う仕組みは、そもそもウィリアムズのF1チームが開発したんだと。

 これが洗練されると、電磁砲=レールガンの電力源にもできるだろう。

 英国内では「ドラゴンファイア」という艦載のレーザー高角砲が開発中である。

 ※新鋭米空母の電磁カタパルトの電源は確かフライホイールではなかったか? その改修も受注したいのだろうか?

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 Emerging Technology 記者による2019-10-25記事「The secret to better beer could lie in cell signaling networks」。
     なぜ醸造酒のアルコール度数は20%が限界なのか? 発酵させる菌が、それ以上の濃度のエタノールの中では、死んでしまうから。

 ビールの酵母菌(イースト菌)は、何度も醸造に使いまわすのだが、そのうちに、ビールの品質が落ちて行く。その理由を説明する仮説として、菌が独自に進化して、エタノールに対する耐性を逐次に獲得すると、なぜだかわからないが、ビールの品質が落ちるのだろうと考えられていた。

 ところが2017年の実験だと、98世代を更新したビール酵母菌の子孫に、遺伝子の変化は認められなかった。

 ようやくわかってきたこと。遺伝子情報が同じであっても、ゲノムのシェイプが変わる=DNAのつめこまれ方が変わる。それにによって、遺伝子の機能が変わってしまうのだ。
 250世代の更新後に、ようやくそれがハッキリしてくるという。

 高濃度のエタノールの中で誕生し、その中で生存するイーストは、みずからの蛋白質を防衛するために、みずから変化し、その代償として、ビールを生産する生命力が、低下してしまうようなのだ。

 ※てことは流しそうめんみたいにしてビールを醸造させれば、アルコール度数75%の燃えるビールすら可能になるのか?