予備隊がなぜ重要か。馬はしばらくすると疲れる。疲れたところに新手が突入してくれば、もう抗し得ない。だから総予備は騎兵でなくてはならないのだ。

 Antonio Regalado 記者による2019-10-30記事「The DNA database used to find the Golden State Killer is a national security leak waiting to happen」。
   クラウドソース型のDNA検索サービス「GEDMatch」というところがあって、先祖や親類を探したい米国人が使う。運営はボランティアである。

 しかしこのデータが中共やロシアのハッカーにごっそりと盗まれるのは時間の問題で、その後は、とてもまずいことになるだろう。

 リアル人物のわずかなDNAサンプルを取得するだけで、そいつがどこの誰兵衛なのか、敵国公安部には、正体が簡単に把握できてしまうようになるだろう。

 クレジットカードの番号ならば、変更ができる。ところがDNAは、変更などできない。他者にそれが把握されたら、一生、把握されっぱなしだ。

 ある業界人いわく、すでにデータが外国政府によって抜かれている痕跡があると。

 人々はじぶんのDNAテスト結果をクラウドサーバーにアップロードするのである。すると他者のDNAとの比較検索が可能になる。すでに(重複を含め)1300万人が登録済みという。

 米国の警察もこれを利用できる。たとえば2017に加州の殺人犯を絞り込むために、現場で採集されたDNAデータをアップロードし、それにマッチするDNAデータがないか、検索した。本人でなくとも、親戚の近似したDNAがひっかかれば、その親戚から犯人にたどりつけるかもしれぬわけ。

 それいらい、数十人の殺人犯と性犯罪者が「GEDmatch」の検索成果として逮捕に結びつけられている。

 あなた本人がDNA情報をアップロードせずとも、もし親戚の1人がそれをやらかせば、あなたは身体のプライバシーを守れないのである。たとえば、これから健康に生存できる見込みの余命、未来に発症するであろう病気などが、第三者によって推定されてしまうかもしれない。

 だいたい百万人のデータベースがあつまれば、全米のほとんどの住民は、その百万人のはとこかまたいとこ、ということになろう。

 DNAに数千箇所のマーカーをつける。これをSNPという。マーカーの重なり具合で、2人の人物の親疎のほどを読み取れる。もし、リアルの親子であれば、DNAの半分は、重なっている。

 DNAデータベースサイトのなかでも「23andMe」などは、ユーザーが勝手にデータをアップロードして照合に使うことは、できぬようになっている。

 使い勝手のよいDNA照合サイトは人気が出て登録者数も増えるが、同時に危険も増す。たとえば、誰かがあなたのDNAデータをコピーし、その一部だけを改変して、それをまた勝手に登録するかもしれない。

 あるお金持ちの親戚になりたくば、この手が使える。私は何十年も行方不明であった、あなたの甥なんですよ、と偽DNAを示して言えるわけだ。

 ※だめだこういう話を読んでいるとまた頭の中でミステリーのストーリーが走り出してしまうぅぅ。というわけで残りは端折る。

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 H I Sutton 記者による2019-10-29記事「First Navy Submarine Resupplied By Commercial Drone」。
    原潜が洋上で補給を受けるなんてことは従来あまり考えてこなかったが、小さなクォッドコプターを使えば、浮上中の危ないピリオドを最小限にして、小荷物ぐらいは受けることができる。この実験が、ヴァジニア型の『USS ハワイ(SSN 776)』を使って、なされた。場所はオアフ島の1海里沖。

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 Patrick Howell O’Neill 記者による2019-10-28記事「Russian hackers are targeting the 2020 Olympics」。
    9月中旬、ロシアGRUのハッカー部門が、すくなくも16箇所の、海外のスポーツ機関の反ドーピング部門に対して、サイバー攻撃を仕掛けた。

 東京五輪をムチャクチャにするのは、ロシアかもしれない。

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『太平記』巻第三十四に、いかさま一夜討ちして、「太刀の柄の微塵に砕くる程」、切り合わんずるに……という台詞が出てくる。日本刀のナカゴと柄の弱点は周知の現象であって、しかも、それを工学的に誰も改善できていなかった。
 古代東北の「蕨手刀」にはそんな問題がなかったのに、むしろそこから退化をしたままだったのだ。

 日本の内戦は、どれほど激しいように見えても、武器を進化させる高い進化圧を生まなかったと私は考える。

 詳しくは、いま発売中の新刊『武器が語る日本史』をごらんください。