内側の開発は、できる。

 Kris Osborn 記者による2020-5-18記事「Navy Ships Improve Attack With New Multi-Beam Satellite Antenna」。
 ディフェンス・イノベーション・ユニットという会社が、まったく新しい指向性無線通信技術を提唱していて、米海軍はそれに開発資金を出すつもり。

 当面めざすのは、軍艦用の新しい「対衛星」通信アンテナ。同時に複数のシャープなビームを、複数の位置にある衛星に指向できる。
 相手の衛星は、高度も軌道もまったくバラバラでOK。

 これは、フェイズドアレイ技術ではない。
 まったく新奇な、「同位元素の電磁分離器」(isotropic device)を利用するもので、フェイズドアレイよりもいろいろな点で優れる、とメーカーは宣伝している。

 いわば、電波に、光の特性を与えるものだ、とも。

 米軍が今、宇宙に構築しようとしているネットワークは、極低軌道(Very Low Earth Orbit =vLEO)の無数の分散的な周回衛星と地上を融通無碍に結合するもので、たとい、ひとつの衛星を妨害・破壊されても、運用にはなんら影響がないようにしたい。
 それが大成するかどうか、決め手はやはり、通信技法にかかる。

 次。
 Nicola Jones 記者による2020-5-19記事「Carbon dating, the archaeological workhorse, is getting a major reboot」。
   これまでの炭素同位体による年代測定法は不正確だった。その不正確さが、修正された。
 多数の年輪、湖沼や海底の堆積物、珊瑚、石筍が示す年代によって、較正した。

 過去に地球の地場が変転したときに、たとえば太陽からの放射線がそれまで以上に地球大気に降り注いで、炭素の同位体である「炭素14」を増やしたことがあった。

 地域によっても「炭素14」の多寡の違いがある。たとえば南半球は海が多いから、より多くの炭素が吸収されているのだ。そういう特異事象や地域差を加味しなくてはいけない。

 珊瑚の化石の年代は、トリウム/ウラニウムの放射能測定によっても、絞り込むことができる。

 結果、これまで、じっさいよりも5000年も古く見積もっていたり、逆に13910年も若く見積もっていたというケースが、次々、判明しつつある。
 シベリアで発見されていた、世界最古のホモサピエンスの骨化石も、どうやら1000年若いらしい。

 考古学者たちは、さすがに面食らっている。