新装版の『「地政学」は殺傷力のある武器である。』が近々、書店発売に。

 徳間書店の「ニュー・クラシック・ライブラリー」という新シリーズの3弾目に加えていただくことができました。
 新書の寸法で、束だけ3倍に分厚くしたような体裁です。
 「新装版へのあとがき」が、書き足されています。

 あらためて読み直してみて痛感するのですが、最後の「機雷戦」の掘り下げが不足しています。今日、機雷についてネットに論文を公開している内外の人が、必ずしもUSSBS報告(対日戦の部の第78巻「The Offensive Mine Laying Campaign Against Japan」全128ページ、本文123ページ。印刷が1946年)を読み込んでいないのだということに、おそまきながらわたしも気づかされ、次に出す本の中では、1章を割いてそれをわたしなりに整理しなおして活字にしておくつもりでおります。まことにすみませんが、それまでは、日本の「インナーゾーン」に敷設された米軍の機雷に関する誤記が兵頭の旧著の中には幾つも残っているのだとお含みください。

 なお、徳間書店さんは、他社から初版がリリースされた古い著作でも、テーマが歴史系であれば、この新シリーズで再刊してくださる可能性があるということですので、兵頭の3年以上前の旧著で、復刊のリクエストがある人は、徳間書店さん宛てにハガキなどで頼んでみたら、好い反応があるかもしれません。

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 Dave Makichuk 記者による2020-5-26記事「Russia to test ‘Doomsday Drone’ in high Arctic」。
     ロシアが白海で、小型で無人の戦略核魚雷をテストした模様。
 航続距離1万kmの水中ドローンで2メガトンの水爆弾頭付き。
 敵軍港や海岸都市の沿岸で自爆することにより、放射能で汚染された海水を陸地にぶっかけ、半永久に人が住めないようにしてやる兵器である。人呼んで「ドゥームズデイ・ドローン」。

 このドローンは有人潜水艦から発進する。今回は原潜『ベルゴロド』を母船にした。

 ロシア海軍はこの兵器を16基、北方艦隊に装備させるつもりである。
 『ベルゴロド』と『ハバロフスク』がそれを最初に搭載する原潜となるだろう。

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 2020-5-27記事「A laser that could really make waves」。
    豪州と米国の物理学者の共同研究。ごく短いバーストのレーザー光に、これまでにないエネルギーを乗せて受け渡すことができる。

 粒子のように振舞う孤立波「ソリトン」。さいしょに19世紀前半の英国人が、工業用の運河でこの現象を発見している。

 これを、水ではなく光に応用したらどうなるか。ソリトン波は波形を損ねずに長距離を旅する。通信や度量衡学や分光学の役に立つに違いない。

 「純粋四次ソリトン」というものを使ってパルスの波形を維持すれば、高エネルギーを運べるはずだという。
 通常のソリトン・レーザーでは、パルスの持続時間と、光のエネルギーとは、反比例の関係にある。もしパルス時間を半分にできるなら、乗せられるエネルギーは2倍になるのだ。

 しかし「四次元ソリトン」を使うなら、パルスの持続時間を半分にしたときに、そこに乗せられるエネルギーを三乗倍、すなわち8倍にできるという。

 それにはまず、「1兆分の1秒」という短いレーザーパルスを発生させる仕事が、先立たねばならない。

 研究者たちいわく。課題は、「フェムト秒」=「10のマイナス15乗」秒の持続時間しかないパルスを生成することです。すなわち1兆分の1秒。
 最初の応用は、低侵襲手術への適用かもしれない。表皮を傷めることなく、体内にエネルギーを届かせることができる。

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 ストラテジーペイジの2020-5-27記事。
    ロシア政府は、軍人および元軍人のインターネット利用規制を強めつつあり。
 位置がバレる投稿を禁ずるだけでなく、そもそも、投稿者が軍人or元軍人であることを、知らしてはならぬ、という。

 現役将兵たちは、USBサムチップ、メモリーカード、ポータブルハードディスク等の私物所持も禁じられる。
 しかしこれによって兵隊が牢屋に送られるようなことにはならないだろう。いつものことなのだ。