ザッカーバーグの嫁は偉いよ。最終勝者だね。

 Thomas Newdick 記者による2021-5-4記事「Turkey Now Has A High-Speed Missile-Like Drone That’s Launched From A Larger Drone」。
   トルコの無人機業界がまた先進的なひらめきを見せている。

 トルコ国産の小型の高速ターゲットドローンである「シムセク」に爆発弾頭をとりつけて、その機動ミサイルを、より大型の無人機(プレデターもどきの国産機「アンカ」)の翼下から発射できるようにするのだ。

 メーカーは「Turkish Aerospace」。
 「シムセク」のカミカゼ・バージョンは2020から存在が公表されている。弾頭重量は5kgである。レンジは、リリースされる高度によるが、高空から放てば200kmに達する。

 「シムセク」はターボジェットで飛翔する。2009から国内開発していた。SAMやAAMの試験に使うための、標的機だ。最高速力は400ノット。高度は1万5000フィートまで昇れる。低空飛行はちょいと危険なので1000フィートまでだ。

 「シムセク」を地上や艦上から単独で射出することもできる。その場合はカタパルトが使用される。

 低速で長時間滞空していられる中型の無人機と、高速で200km飛翔する自爆無人機を組み合わせることで、中型無人機が敵のSAMの餌食になることはなくなる。まことに合理的な考え。

 シムセクの特攻バージョンには、イスラエル製の「ハロプ」のような光学センサーはついていないし、長距離用のデータリンク無線機も搭載しない。すなわちロイタリングミュニションではない。
 だから安価に量産できる。

 高性能センサーと長距離データリンク無線機を搭載した「母機」のUAVは、敵のSAMで落とされると金額的にかなり痛いが、そのリスクが局限される次第。

 言うなればシムセクは、ターボジェットエンジンで短距離を巡航する空対地ミサイルなのだ。その突入標的は、発射前から標定されているのである。

 シムセクの詳細は非公表。しかし31マイルの距離であれば陸上とのデータリンクはできる。これはターゲットドローンであれば、とうぜんだ。戦闘機と同じような機動が随意にできなくてはいけないから。

 弾頭炸薬が5kgしかなくとも、時速800kmくらいで機体が敵のレーダー車両に突入すれば、その衝撃力だけでも敵のSAMシステムはぶっこわされてしまう。SEAD任務の安価な巡航ミサイルとしては、じゅうぶんだ。
 ※尖閣にやってくる海上民兵のボロ船を片端から撃破するのにも、コスト的にふさわしい。

 ターゲットドローンとしてのシムセクは、パラシュート回収ができるようになっている。しかし巡航ミサイルとして用いる場合には、回収は考えずに、使い捨てにする。それでも別に苦しくない値段なのだ。

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 Joseph Trevithick 記者による2021-5-3記事「Honeywell Fined Millions Over Exporting Sensitive Info On F-22, F-35, And More To China (Updated)」。
   ハネウェル社がやらかしていた。F-22、F-35A、B-1、トマホーク巡航ミサイル、エイブラムズ戦車、等々の武器部品の設計図面を、中共やその他の外国に売り渡していたという。これはAECA=武器輸出管理法、ならびに、ITAR=国際武器取引規制法 違反である。

 ハネウェル社はお詫びのしるしに、連邦政府に罰金1300万ドルを納めることで合意した。
 ただし国務省は、そのうち500万ドルを、同社の社内是正プロジェクトのために使うことを認めた。

 ※正式裁判にすると国防機密が却って天下にバラされるだけなので、内済でペナルティが決着する。

 2011-6から2015-10にかけてハネウェル社は、71点の図面(すべてITARで規制されるべきもの)を、国務省の許可なく外国へ売った。ハネウェル社はそれについて2016に「自首」してきた。そこから2年間調査がすすめられ、他にもいろいろ違法に売っていたことがわかっている。2018にこの一件は政府によって公表された。

 部品は、C-130、アパッチ攻撃ヘリ、「T55」ターボシャフトエンジン(チヌーク用)、「CTS800」ターボシャフトエンジン(コマンチ用だったが、今は英海軍ヘリとトルコ陸軍ヘリが採用)にまで及んでいた。
 いずれも、図面をサプライヤーと共有するときに普通に使われる「DEXcenter」というデジタル図面書式であった。

 中共以外への違法な図面の売り渡し先としては、カナダ、メキシコ、アイルランド、台湾が含まれている。
 ※台湾に渡れば中共までは筒抜けだ。カナダも支那系が多い。

 会社側の弁明。それらの図面には、特別に専門的な加工技術の詳細は記載されていないのである、と。

 AECAとITARは、民間人が市場で手に入れられるようなテクニカルマニュアルでも、それを軍需メーカーが勝手に輸出すれば、厳しく咎めるように運用されている。

 ※しかし『サウスチャイナモーニングポスト』紙によると、ハネウェルは2003にアジア太平洋支社をシンガポールから上海に移転した。さらに2017には上海に1億ドルを突っ込んでビルを建てている。かんぜんにとりこまれつつあった。もっと真っ黒なんじゃないか?

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 Paul McLeary 記者による2021-5-4記事「India Getting P-8s In New Deal That Includes Local Investment」。
    米国務省はさらに6機の「P-8」をインドに輸出する件を承認した。この6機の一部の部品(価額にして3割相当)はインド国内で製造されるという、オフセットとりきめ。

 インドは2009年に「Direct Commercial Sale」によってボーイング社から「P-8」を買い、2016年にさらに追加で買い増して、いま12機を運用している。名前は「ポセイドン」ではなく「ネプチューン」と付けている。
 ※FMSではないというところがさすがインド人である。他国からかけられる契約の縛りを最小限にしてしまう智恵が常に働く。もしインドが2020夏季五輪の開催予定地であったなら、IOCには1銭も払わずに開催を放棄できたであろう。わが国は、文系の法律官僚に、たよりにならぬ奴が多いのか。困ったもんだ。

 げんざいロックマート社は、現地のタタ社と組んで、F-16のインドバージョンである「F-21」を売り込もうと、長い交渉を続けている。もちろん、インド国内で組み立てることがオフセット条件だ。



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