対米戦はなぜ1941年に回避できなかったんだと言う世間知らずなお坊ちゃんは、いまもって店を畳めない飲食店を見よ。

 Eileen Guo 記者による2021-5-7記事「Covid killed UBI; Long live guaranteed income」。
    パンデミックの前、「ユニバーサル・ベーシック・インカム」がいいぞ、という話を聞いても、インテリたちすら懐疑的であった。

 ふつうに就職していた人が、たとえば癌にかかってホームレス・シェルターに暮らすようになる。そんな目にじぶんが遭うと、月に500ドルの「ベーシック・インカム実験」がすばらしいものだと認識する。これは命綱だと。

 時間はかかったが、保守主義者も民主党支持者も、ベーシックインカム制度のほうが、現行の社会保障制度よりも税金の節約になるのではないかと思い始めている。

 ミルトン・フリードマンは、それは「逆所得税」だと言った。
 リチャード・ニクソン大統領すら「収入保証プラン」に前向きだったのである(これは連邦上院が反対して潰した)。

 これまでUBI(ユニバーサルベーシックインカム)を実験してみた国には、2017年のフィンランドを筆頭に、カナダ、イラン、スペイン、オランダ、ドイツがある。

 米国では、ニクソンのプランがデンバー市とシアトル市で実験されたのが早い。
 1982年、石油収入で潤ったアラスカ州は、成人の全住民に平均して毎年1100ドル配るというファンドをつくった。

 アンドリュー・ヤンが2020に民主党の大統領候補に立候補したとき、月額1000ドルのUBIを標榜している。
 しかし「まともなアメリカ人は、他人からタダでカネなどもらわない」という伝統的なモラル・バリアーにはじきかえされ、相手にされなかった。

 とはいえ追い風がある。全米の各地で実験がなされて、データが集積されつつあるのだ。

 ミシシッピ州ジャクソン市は、2018-12に実験を開始した。20人の低所得の黒人の母親を選び、口座をつくってやり、毎月1000ドルを振り込んでやる。それを1年続けた。だいたいこのひとたちは年収が2倍になったので、もらったカネは子どものための貯金になった。
 この実験は、母親の人数を110人に増やして、その後も続けられた。

 2019-2から加州ストックトン市が125世帯に対して実験(月額500ドル×18ヵ月)したデータによると、もらったカネの37%は食費に使われており、アルコール・煙草代にまわったのはちょうど1%であった。また、失業していたが再就職できた率は、この500ドルをもらっている人の方が、もらっていない人よりも2倍、高かった。
 つまりベーシックインカムがなければ失業者は職探しもできかねるのだ。実態として。

 ストックトン市長のタブスは、父が刑務所、母が10代という家庭で育った苦労人。
 「バイアスをもとに議論するのではなく、データをもとに議論すべきだ」、とタブス氏。

 アンドリュー・ヤンはもっかのところ、NY市長選に立候補している。しかし「ユニバーサル=無差別」のベーシック・インカム導入論は引っ込めた。極貧世帯に対して年収2000ドルを保障するという政策に切り替えている。

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 Tyler Rogoway 記者による2021-5-6記事「The Definitive Answer On Why F-16s Carry AIM-120 AMRAAMs On Their Wingtip Rails」。
   三沢基地の米空軍のF-16Cは、はるばる南シナ海まで下って長時間パトロールするさいには、AMRAAMを5発とサイドワインダーを1発、吊下させている。
 このサイドワインダーは翼端ではなく、内側に吊るしている。なぜなのだろうか。

 翼端にAMRAAMをつけておくと、主翼のフラッターを抑制できるので、とても都合がよいのだという。

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 ストラテジーペイジの2021-5-7記事。
   ウクライナがUH-1のライセンス生産を今年から始めた。8月には1号機がロールアウトする。



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