地球総人口が減少傾向に転ずれば、それだけで二酸化炭素問題は解決してしまう蓋然性がある。

 『World Nuclear News』の2021-5-4記事「Foratom highlights nuclear’s role in EU hydrogen economy」。

    欧州の原子力機関である「フォラトム」がポジション・ペーパーを発表。

 2020-8にヨーロッパ委員会は、「EU水素戦略」を採用した。
 それによると、2024年までに100万トンのリニューアル水素を製造できるように、総計6ギガワットの電気分解プラントの建設をEU内で推進せねばならない。

 2025年から2030年のあいだには、トータル40ギガワットの電気分解プラントが必要である。それによってEUはリニューアル水素を1000万トン製造する。

 2030年から2050年にかけては、リニューアブル水素技術は成熟し、脱炭素化のハードルが高い産業交通分野にも、広く普及しているはずだと。

 この戦略が用いている「リニューアブル水素」とは、リニューアブルなソースから得た電力によって水を電気分解して得た水素のことを指す。

 リニューアブルではない水素としては、化石燃料から抽出した水素がある。それは二酸化炭素回収プロセスを伴わせることで「低炭素水素」になる。
 この「低炭素水素」と「リニューアブル水素」が、温室ガスの排出を、経済活動の上流から下流までトータルで、抑制する。

 さてところがこの「戦略」文書では、「低炭素電源」としての原発についての言及がまったく無い。

 フォーラトムは疑問を呈する。大量の水素を製造するためには、電気分解のための、大量の電力供給が、安定的に必要なはずである。それを、原発抜きで実現できるのかと。

 無理に原発抜きでその目標を追求しようとすれば、それは「コスト・エフェクティヴ」なアプローチにはならぬだろう。

 そこでポジションペーパーのタイトルは、こうだ。「原発による水素製造――欧州脱炭素の鍵をにぎる低炭素技術」。

 EUは、水素を増やして二酸化炭素を減らすというゴールのためなら、技術中立政策を採るべきである。すなわち、反原発の立場に立つな。何が悪で何が善かは、ライフサイクルトータルでの二酸化炭素排出量を基準にするとよい。原発が発生している電力は、まちがいなく低炭素電力である。

 ※オランダやベルギーは海面が上昇しただけで国土が半減してしまうので地球温暖化が恐怖なのはわかるが、北欧諸国が温暖化に反対して何の得があるのか? 海岸線の海抜ゼロメートル線に沿って町が密集しているからなのか。

 次。
 ストラテジーペイジの2021-5-9記事。
   イエメンのシーア派はサウジ国境にはりついている。サウジ国境は1800kmあるが、そのうちの100kmくらい。

 イランがイエメンのシーア派に渡してサウジを攻撃させている「巡航ミサイル」は、値段はトマホークの十分の一と考えられる。トマホークよりも低空を低速で飛ぶ。そのためペトリオットでも迎撃が難しいのである。
 ※撃墜ができたとしても、ペトリの方が何倍も高額なので、戦費の上で持続は不可能。

 サウジはまたフーシが放つ片道特攻ドローン(巡航ミサイルよりもさらに低速で安価)を阻止するのに悩んでいる。F-15からAMRAAMを発射して撃墜したビデオが公表されている。しかしAMRAAMは1発100万ドルするのだ。

 同じ問題に先行して悩んだイスラエル空軍は、ドローンの撃墜には、赤外線誘導AAMを用いている。単価はAMRAAMの半分だ。

 またイスラエル空軍機は、独自の火器管制ソフトによって、爆装ドローンの迎撃に20mmガトリング砲も使えるようにした。従来、逸れ弾が地上の民家に降り注ぐとえらいことになるので、基本的に機関砲は低空では使えなかったのだが、独自ソフトは、逸れ弾が敵性隣国の領土に落下する場合にのみ、引き金を引けるようにつくられた。

 イスラエルは、マイクロ波を使った対ドローン高射砲「キメラ」も開発中。2020年から試射も始めている。敵のスウォームから、空港のような重要施設を防護するには、こうしたビーム兵器を使うしかない。コンセプトとしては、EMPに指向性を与えたものといえる。
 指向性を与える手法は、AESAと同じく、フェイズドアレイ技術である。
 HPM=ハイパワードマイクロウェイヴ とも呼ぶ。



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