世界海軍史上初の「無人機母艦」はトルコ海軍が先鞭をつけそうだ。

 『indomiliter』の2021-5-11記事「Forget about the F-35B, Turkey’s Anadolu Class LHD prepares to operate TB-3 paid drones」。
   トルコはF-35生産チェーンから外されてしまったが、トルコ海軍は空母運用の夢を捨てていない。F-35Bを使えないなら、バイラクター「TB3」無人攻撃機をスキージャンプ型空母(『アナドル』級LHDベース)に搭載すればいいという話になってきた。

 2万7000トンの『アナドル』級1番艦は建造中で、2022年にトルコ海軍へ引き渡される。

 さいしょからスキージャンプ台を設けたのだが、F-35B取得はもう絶望なので、他の方法で活かす道を考えねばならぬ。そうしないとヘリ空母としてはスキージャンプ台が却って邪魔にしかならないので。

 無人機を加速させて発艦させてやるための特別なローラー・システムを増設する。
 もともと2022就役予定だった『アナドル』の竣工が遅れているのは、有人固定翼機用のカタパルトシステムを付けようなどと、技術知識不相応に欲張ったから。

 トルコ防衛産業の長官いわく、この艦は、同時に10機の武装ドローンを、発着艦させられるであろうと。
 他に、AH-1戦闘ヘリなどを搭載する。

 次。
 Bayu Pamungkas 記者による2021-5-1記事「Antasena Tank Boat Prototype Finally Performs Test in the Waters」
  「アンタセナ」という名の水上歩兵戦闘艇が4月28日から、東ジャワ島沖で公試運転をスタート。

 高速ボートに戦車砲塔をのっけて、海兵隊が海賊拠点を襲撃するのに使う。

 メーカーは、インドネシアの「PTルディン工業インベスト」社。別名「北海ボート」。プロトタイプは2019に作られていた。

 航続距離600海里で、歩兵部隊1個小隊を乗せ、戦車型の砲塔からの105ミリ砲弾もしくは30ミリ機関砲弾によって火力支援する。12.7ミリ機関銃や7.62ミリ機関銃のRWSも備える。

 105ミリ主砲はコッケリルの低圧砲だが、インドネシア企業によって、ライセンス生産される予定。
 仰角を42度まで上げられるので榴弾砲としても使える。
 また、射程3マイルの「ファラリック」ミサイルを砲身内から発射することもできる。

 40ノットを出せる。もちろんウォータージェット。
 海賊はカリマンタンやパプアの巨大河口や沼地を根城にしている。そこを急襲するにはこのような装備が必要である。

 艇体は双胴艇である。そのおかげで、吃水が1mしかないのに、プラットフォームとしては安定する。
 また、ビーチにぎりぎりまで近づいて歩兵を揚陸させられる。
 歩兵(インドネシア海兵隊員)は20人を余裕で乗せる。無理すれば60人詰め込んで運ぶことも。
 このタイプの舟艇は、津波災害などの救援にも重宝する。

 全長60フィート。

 次。
 ストラテジーペイジの2021-5-12記事。
  民間の衛星写真がとらえた。IRGC(イラン革命防衛隊)は、配下の3箇所の造船所で、双胴艇を量産しつつあり。
 そのうち1タイプは全長76m。

 次。
 Seth J. Frantzman 記者による記事「Pentagon orders small Israeli drones for indoor special operations」。
    米特殊部隊はイスラエル製の「スカイロード・エクステンダー」という屋内作戦用の超小型ドローンを発注した。
 メーカーは、「エクステンド」社。

 同社は、敵のドローンを攻撃し破壊するドローン「スカイロード・グリフォン」も実用化している。
 壁に、レンガ1個分の穴があいていれば、そこからこのドローンは屋内へ進入できる。

 クォッドコプター型だが、ローター外周に沿って縁ガードがあり、壁にぶつかってもブレードは破損しない。
 ※GPSに全く依拠しない高性能のINSを搭載していると思われる。

 次。
 CHAD GARLAND 記者による2021-5-12記事「Intestinal fortitude: The Army wants to make missile fuel using gut bacteria」。
    大腸菌に生産させたロケット燃料でヘルファイアミサイルを飛ばせそうなので、さらにそのスケールを拡大する。
 陸軍が支援する、腸内菌にバイオロケット燃料を生産させる研究プロジェクト。

 従来の単段式のミサイル用のロケット推進薬の原材料には、将来に国際関係が険悪化したときにはただちに入手できなくされてしまいそうな非友好国の寡占する物資や、国内の特定工場だけが製造し納品しているモノがすくなからずある。そうした有事のサプライチェーン上の潜在ネックを今から解消しておく必要があるわけだ。

 まずBTとよばれる前駆物質をバクテリアにつくらせる。従来これは米国内の1工場だけが合成して納入していたので、有事リスクがある。
 バクテリアにBTをつくらせたら、それをもとにBTTNという製品にする。これは多数のケミカル工場において可能である。

 2007の海軍の委嘱調査によれば、米国軍需産業は、このBTを年に1万5000ポンド、使っている。

 ミサイル用固体燃料のバイオ原料化は、BTの製品コストも下げると期待される。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法