プロスペクト理論によれば、ネタニヤフは、起死回生の大博奕を打つはず。

 有権者から飽きられていることに急に気づかされたため、大焦りだ。
 イラン船に対する焼き討ちぐらいでは、国内人気は回復しない。だから、これからもっと大きなことをやらねばならない。

 しかしあまり無謀な作戦だと、次の政権との関係をよくしたいと思う軍人が協力してくれない。
 イラン船焼き討ちは、モサドの方でもずっとやりたかったので、すぐに実行されたのだろう。

 ネタニヤフは、チャイナウイルスを抑制し、ハマスを屠り、じぶんでは大手柄だと思っていた、それが油断だった。よくあるパターンだ。
 人々は「善政」にも飽きてしまう。これもプロスペクト理論だ。

 たんに「善政」であるだけではダメなのだ。「有権者に恩を着せる」小演出が必要なのだ。
 これがわかっている宣伝屋は、西側にも、ほとんどいない。

 次。
 Josh Bloom 記者による2021-6-2記事「Three Things You Probably Don’t Know About the Ocean (2021)」。
   メモリアルデイの週末は、米国では非公式に「夏の開始」である。ワクチンを打ち終わった者はマスクなしで海岸を歩ける。

 この時期、東海岸のあちこちで、海水浴場の水温が華氏で急に10度も上昇し、遊泳可能になったと宣言される。
 だが、海水の温度が太陽熱によって急にそんなに上昇するだろうか?

 じつは、これは風がしてくれている仕事なのだ。

 東海岸に、海風が陸に向かって吹くと、大西洋の海表面で温められた水の塊が海岸に押し寄せるため、一挙に海水温度が上昇するのである。その海水塊の色は、ブルー・グリーンである。

 ぎゃくに、東海岸に、陸風が海に向かって吹けば、海面の暖かい水塊は沖へ移動し、そのため垂直対流が起きて、海底にあった冷たい水の塊が、湧くように上昇してくる。これで、一挙に海水浴場の水温が下がるわけである。その水塊の色は、暗くて、濁っている。なぜなら、藻類が冷たい水を好むので。

 真夏にこの陸風が吹けば、ビーチはやたら熱いのに、水は意外に冷たいということにもなるので、気をつけよう。

 砂浜でつま先を海水に浸してみる前に、風がどっちから吹いているかをよく観察すれば、沿岸の水温が暖かいか冷たいかは、だいたい予想できる。
 微妙な風向きは、鼻で知れ。内陸まで潮の匂いがやってくるなら、海風が吹いているわけだ。

 そして海岸に到着して、海水の色が暗く、茶色っぽければ、まちがいなく冷たい。青緑色なら、暖かいと察すべし。

 ※あるサヴァンの人が海の絵を描きながら言ったという。「海に色はないんですよ」。

 次に、砂浜の真実。
 黒砂は、清潔である。見た目とは裏腹に。

 暗色の砂は、三種類の鉱物から構成されている。石英(クォーツ)、ガーネット(ざくろ石)、マグネタイト(磁鉄鉱)。
 その砂の中に磁石棒を突っ込めば、黒い砂鉄がくっついてくる。それがマグネタイト。赤紫色のガーネットと、白い石英は、くっついてこない。

 ※冒険家が初めて太平洋を横断飛行したときの起点には青森県の淋代海岸が選ばれた。そこの砂が砂鉄質であることは上空から一目でわかった。そして期待どおり、タイヤの接地圧をしっかり支えてくれた。

 海岸では、ふたつの青いモノに気をつけろ。
 ひとつは、うちあげられている「カツオノエボシ」(英語では「ポルトガルの軍艦」Portuguese Man-of-War という)。触手が強毒である。

 もうひとつは、「ブルーフィッシュ」(ムツ科の「あみきり」)。
 こいつの口から針を外そうとして、よく釣り人が指を噛まれる。傷は骨まで達する。ある人いわく。もしもこの魚が人肉の味を覚えてしまったなら、この世に「海水浴」なんてありえまい、と。