いまさら『いせ』に「アパッチ」を着艦させてみても、遅すぎるんだよという話。さんざん「できません」と言ってたろ。

 ストラテジーペイジの2021-9-19記事。
   ロシアのブロガーが投稿した写真からげんざいのロシア軍の苦境が判明してしまった。
 東ウクライナ戦線近くの「演習」に送られる途中の「2S19」自走砲(152ミリ加農)の1個大隊分の機材が、鉄道の駅前で積み残されているのだ。野ざらし状態である。

 これは「平台型貨車」の手当てがつかないことを示すのだろうか?

 「2S19」はデビューが1989で、長射程砲熕兵器というコンセプトじたいも時代遅れである。今は終末誘導機能を付加した地対地ロケット弾の方がランニングコストがはるかにかからないし人手も要しない。古くなったらロケット弾は訓練で消費してしまえば、新型の新品に更新されて行くわけだ。

 またロシアには、軍のAFVのモータープールに忍び込んで、闇市場に転売容易な部品だけ剥ぎ取ってしまう専門の窃盗団が横行している。それらは決して報道されることはないのだが、それにやられると部隊は機能できなくなる。

 ベルリンの西300kmのところに「戦車解体社」というちいさな民間企業があり、ロシアから冷戦時代の総計1万4000台ものおんぼろAFVを運び出してはトーチでカットして溶鉱炉に投げ込んできた。1台の解体は3日で終わるという。
 ロシアはそれらAFVが他に転売されていないか写真偵察衛星でモニターするという。

 152ミリ自走加農も、ドイツの解体屋にひきとってもらったほうがいいくらいの悪いコンディションなのかもしれない。それで運び出しやすい駅前に集積されているのかも……。

 ※北朝鮮の鉄道が、ミサイル宣伝用のフッテージであるにもかかわらず「H形鋼」をレール代わりに敷設している惨憺たる状態であるというユーチューブ解説を投稿してくれている人がいて、えらい勉強になりました。教えてくれた人、ありがとうございます。それで関連のユーチューブ動画も見ましたら、平壌から、海岸平野沿いを北上する2時間オーバーの車窓フッテージがあり(どうもロシア人が撮影してるっぽい)、とばしとばし見たところ、この路線にはトンネルがほぼ無いらしいことが印象的でした。だとしますと、北鮮が既存の鉄道トンネルを活用したいと思ったら、それは半島の西部平野部には無いので、半島東西横断路線か、東海岸路線を使うことになるのでしょう。誰か北鮮の「トンネル・マップ」を作ってSNSに投稿している人がいたら、教えてください。グーグルアースがあるから可能ですよね? すいませんが、わたしゃ基本的にSNSは見てませんので……。

 次。
 AFPの2021-9-19記事「France denies cancelling meeting with Swiss president over jet snub」。
    フランスはスイスに向けてながいあいだ自国製のラファール戦闘機を売り込もうと努力していたが、けっきょくスイス空軍はフランス製は買わないことに決まり、それでマクロンが怒ってパリでの首脳会談を拒否した――とスイスの2紙が報じているが、それは嘘であるとフランス政府は打ち消した。

 スイスは6月に、36機のF-35Aを買うと決定している。

 ※F-35とは戦闘機ではなく「単座のAWACS」なのである、と私は把握しています。北鮮領空ギリギリを飛ばしていたら、北鮮が本当にトマホークもどきの「巡航ミサイル」を1500km飛行させたのかどうか、いくら低空域でのテストであろうとも、それをモニターできなかったというのは、おかしな話なんですよ。あと、米軍に限っては、周回衛星のコンステレーションによる、赤外線飛翔体の継続追尾ができるはずですよね。というか、テスト飛行ならテレメトリーを出し続けているんだから、途中で落ちたら、シギント衛星でもすぐ分かるだろ!

 次。
 Sam Roggeveen 記者による2021-9-19記事「Op-Ed: Nuclear Sub Deal Ties Australia’s Defense to the United States」。
 世界で6カ国、SSN(核動力の魚雷戦型潜水艦)を運用しているけれども、いずれも、原発運用国でありかつまた核兵器を国産する産業を国内で抱えている。

 豪州がSSNを持つとこの例外となる。なお、ブラジルもSSNを国産する計画を持っている。

 ひとつ確かなことは、豪州が中共陣営にとりこまれることはこれで絶対になくなった。豪州は対支に関しては今後も米国と完全に一体になる道を決定的に選択したのである。

 ※豪州が米国を選んだというよりは、米国が豪州の地政学的なかけがえのない価値に太鼓判を押した。豪州内部での中共の工作が最も致命的なので、それを防遏する総合政策の一環だろう。となったら豪州政府はこのさいもっと米国にわがままな経済的な要求をつきつけても叶えられるはずだ。それで国内からの政権への攻撃は黙らせることができる。

 次。
 John Bowden 記者による記事「Former Joint Chiefs chairman says Milley reassuring China over Trump nuclear fears was ‘routine’ call」。
   オバマ政権時代に統合参謀本部議長であったマイケル・ミュレーン提督がABCのインタビュー番組に出演して、現議長のマーク・ミレー大将を擁護した。

 ミレーの電話は、米国政府内の安全保障系の高官たちが「傍聴」できる環境でなされている。なんら疚しいところはない、ルーチンの連絡交話であった。

 ※そうだとしても「余計なひとこと」を言ったかどうかは、大問題にされざるを得ないだろう。


(管理人Uより)

 兵頭先生が言及されているYouTubeの動画は『線路マニア』さんという方の『 【#鉄道】北朝鮮の線路について考察 』の筈です。

 私も見ました。面白かったです。