最新の《続・読書余論》は、立花隆『農協』1984年・ほか です。

 こんかいの《続・読書余論》は、農業大特集!
 キエフに対してプーチンは、現代の「備中高松城攻め」をやろうとしている。兵糧攻めの飢餓作戦。しかし包囲そのものが完成しないだろう。だからNATO側による「大高城兵糧入れ」が延々と続く。

 現代の国際人道法で兵糧攻めは禁じられているが、そんなの特亜とロシアには関係ねえ。
 すると、日本は大丈夫なのか?

 ……と思った人は、食糧安保について、学びましょう。

 《note》 https://note.com/187326mg/  をごらんください。

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 雑報。

 ウクライナの泥濘期は、あと1ヵ月、続く。

 米国はRPGのクローン「PSRL-1」をライセンス無断で製造しており、このたびマリウポリのウクライナ兵がそれを携えている写真が撮影された。

 露軍の攻撃型UAVが、じつは活躍していた。「Forpost-R」というもの。ウクライナ軍が森林中に隠した指揮通信所などを的確に探し出して、ピンポイント爆撃を加えている。

 露軍の将官が戦死するパターンが分かってきた。非暗号の電話で無線指示を飛ばしているため、その座標を電波標定されてしまうのである。そこへウクライナの長距離砲兵が榴弾を集中する。その結果、幕僚もいっしょに、名誉の戦死を遂げてしまうのだ。

 露軍はけっこうの数の「誘導砲弾」を、152ミリ榴弾砲から発射させている。一箇所で漫然と停止したままのウクライナ軍のトラックは、この餌食になる。観測にはUAVが活躍している。

 以下、私見。
 近年、ロシアで起きているのは「じじい反動」なのかもしれない。国際原油価格が上がる一方だった1960年代と70年代のソ連で青年期を過ごしたじじい世代は発言力をうしないつつあるだろうが、外貨がおびただしくソ連に入っていたその世代が確実に老齢年金を得られて60歳で楽隠居できていた、そんな姿を見て覚えている、それに続行する「新じじい世代」が、いちばん現状に不満で、「昔に戻れるはずだ」というプーチンの幻想宣伝に浸りやすいのだろう。プーチンと同世代の「新じじい世代」が、次々に露軍を駆り立てて侵略戦争を起こさせているのだろう。ソ連隆盛時代を経験もしていない若い世代は、しかし、もうひっかからない。ロシア本国でもドンバスでも、ドンバス分離政権の現実(経済的に少しも良いところなし)が分かってしまったから。ソ連式腐敗経済に未来などなかったのである。だからウクライナ内のロシア系マイノリティーも、こんかいは露軍には協力をしなかった。しても得るものなどないと知ってしまった。隣のドンバス分離政権を見て。これをFSBはプーチンに報告できなかった。それはプーチン世代の全否定になるからだ。

 隣国から侵略される危険を予期する諸国では、ふつう、幹線道路にあらかじめ「爆薬」を仕掛けるための穴と蓋とを用意しておいて、敵軍の侵攻が始まったら即座に舗装道路をクレーターだらけにできるようにしておくものだが、そんな簡単な準備すら、ウクライナ政府と国軍は、していなかった。しかし逆に見ると、だからこそロシア軍は、この泥濘期に戦争を始めても問題はないのだと思い込んでしまったのだろう。まさかポーランド国軍には、そんなぬかりはないよな? 泥濘の代名詞といえばまずポーランドなのだから。

 今、ポーランドに滞留している膨大な数の難民が、3週間後、露軍の敗退後に自宅まで戻ろうとするのに、廉価な「キャンピングカー」が、移動手段として必要になるはずだ。幌付きの軽トラのようなもの、あるいは、中古の自動二輪車でリアカーを曳かせるものでも、役立つはずだ。国境からすぐのポーランド領内に、こうした特殊車両を現地で改造して難民に大量に供給してやれるような「工場」を、日本が建てるべきだ。アナログ技術だけを使うものとすれば修理はユーザーでできるし、職工も全員、現地雇用でいい。「素材」は日本製にかぎらず、全欧から広範に集めればいい。タダ同然で大量に供給されるだろう(エコ規制で売れなくなるはずの型落ちの車両が)。難民救恤用だからEUの排ガス規制等は無視できる。これでポーランド国内には新しいビジネスができることになり、ポーランド政府の苦労も緩和される。これが大事なところだ。なぜかというと、今、中共がポーランドの地政学的な地位に目をつけていて、難民接受でカネに困りそうなところへつけいり、懐柔して取り込まんと、虎視眈々なのだ。それを許してはならぬ。

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 Vladislav Inozemtsev 記者による2022-3-16記事「Russia’s default: believe it or not」。
   ロシアの対外債務は、無視できる額だ。2-18時点で、594億ドル。それはふたつから成る。ユーロ債の額面が181億ドル。外国人が保有するロシア・ソヴリン債が2兆9500万ルーブル。トータルでも、ロシアの2021年GDPの3.35%である。またそれは、開戦前のロシアの外貨準備ならびにGold準備の9.2%である。

 中共の国債の形では1千億ドル、ロシアは保有している。これは元建てである。
 そして2300トンの、貨幣用Gold。ドルにすると今のレートで1454億ドルだ。

 さらに、ドル、ユーロ、ポンドを、ロシア中央銀行は、キャッシュで抱えている。その額は300億ドル~320億ドルくらいだろう。

 これだけで、ロシアの発行したユーロ債の額面の1.5倍以上ある。だから、デフォルトにはなるまい。

 モルガンスタンレーによると、これからロシアは以下のような債券の利払いをしなくてはならない。まず3月16日に、1億700万ドルの利子の支払いが必要になる。また3月31日には、3億5900万ドルだ。4月4日には、1億ドル。

 ロシアの大蔵省が中央銀行からGoldを買い、それをユーロボンドを割り引く銀行へ現送したっていいのだ。25億ドルくらいまで余裕だろう。

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 David O’Byrne 記者による2022-3-17記事「No magic tap for Europe to replace Russian gas via Turkey」。
   ロシア産ガスに、天然ガス需要の4割も依存してきた欧州諸国は、代替の供給源と供給路を探さねばならない。
 注目されているのが、アゼルバイジャンのガスをトルコ経由で受け取るというもの。
 そしてもうひとつが、イスラエル沖の、いざというときのために掘らないで温存している「リヴァイアサン」海底天然ガス田を開発しちまおうぜという話。

 イスラエルとトルコとの間にガスパイプラインを敷かねばならないが、その場合、中間地のキプロスがゴネ得(ガス田の領有権主張も)を狙うので厄介である。

 その面倒を回避するには、イスラエルから逆にエジプトへ向けてパイプ圧送し、エジプトにてガスを液化し、LNGタンカーで欧州へ向けて出荷したほうがいい。

 トルクメニスタンは世界第四番目のガス埋蔵量があるのだが、そこからカスピ海底を経てアゼルバイジャンを経てトルコを経て欧州にまでガスを届けるには、新規パイプラインの膨大なインフラ投資が必要になる。

 イラクのクルド人自治区にも、ガス田がある。そこからトルコまでパイプラインを敷くのは、安価で済む。
 ※これはトルコ人が喜ばないだろう。そのガス田はトルコのものだと思っているはずだから。


★《続・読書余論》立花隆『農協』1984年・ほか