■このごろ注意を惹いた軍事ニュース ならびに兵頭二十八によるその考察

 Sofiia Syngaivska記者による『Defense Express』の2026-5-59記事「Engine Noise Gives FPV Drones Deadly Advantage Over Motorcyclists」。
  記事の要点は、内燃機関エンジンを回して真っ昼間に一本道を高速疾走しているライダーの耳には、後上方から接近する「自爆型クォッドコプター」(おそらく有線リモコン)のドローンノイズが聞こえず、そのため回避チャンスはほぼゼロだ、というもの。証拠のビデオ・シーン複数が添えられている。

 この添付動画、数分間の尺のなかに数十例の、各種露軍車両に対する宇軍FPVドローン攻撃の成功事例が詰め込まれていて、ぼんやり眺めているだけでもすこぶる有益だ。私は、このビデオから、もし自衛隊車両が走行中、敵の特攻無人機の接近に気付いた場合に、どうすれば生残確率を高められるかのヒントを得てしまった。それは、低速「盆踊り」だ。

 このビデオには、地上で「円運動」を続ける車両にFPVドローンがヒットする例が、1つも含まれていない。このことは、ドライバーがそのような回避策を咄嗟に講じた車両に対しては、特攻機はことごとく失中したのであろうことを示唆している。

 旧海軍は、大型軍艦が敵機から空襲されたときに、面舵一杯または取舵一杯で高速転回を続けることを「盆おどり」と称した。
 陸上車両の場合、高速でハンドルを切りすぎれば横転してしまう。したがって、「円運動」をしたければ、低速でするしかない。
 低速におとすということは、「お客さん」の歩兵たちが、随意・随時に車外に飛び降りられるようになることをも同時に意味する。また、オープントップの荷台上から、銃撃等による積極防禦策を試みやすくなることも意味するだろう。

 軍用車が低速円運動を続けることによって、果たして、FPVドローンの最終突入を有意にかわせるのかどうかは、「実験」を24回以上やってみて、データを集めることで、統計的に明らかにされて行くだろう。

 以下、余談あり。
 日本の四大オートバイ・メーカーは、昔のBMWが採用していた「水平対向2気筒内燃エンジン+シャフト・ドライブ」の相似型商品をそれぞれ1車種だけ、国内のどこかの小規模ラインにて細々と製造維持するように、国策によって要請されるべきだ。そのエンジンは、有事には、そのまま、プロペラ駆動式の固定翼UAVの動力として転用できるから。
 シャフトドライブ式でない(つまりは現在ほとんどの)オートバイ用エンジンは、エンジンからのトルクを出力する回転の軸と、プロペラのスピナー軸とが、位相が90度ちがってしまうために、とても面倒な「リレー」を付け加えないかぎりは、固定翼無人機の動力として、使い物にならない。これでは、せっかく月産数万台もあるエンジン量産ポテンシャルを、近未来の無人機戦争に活用することができかねるのだ。

 さらに余談。
 日本の防刃衣類メーカーは、戦場ライダーが着込むことによって、FPVドローンの近距離爆発の毀害をすこしでも抑制できるようなデュアルユース商品を、早く製品化すべきじゃないか? 「母衣/保呂」が復活するかもしれないと思う。実験あるのみだ!

 次のニュース。
 コルトン・ジョーンズ記者による2026-5-27記事「DARPAは、バンカーバスター兵器の物理学を根本から変革しようとしている」。
  記事の梗概は、イランが再建していると伝えられる大深度地下の核工場を破壊するための、まったく異なったメソッドが米軍内で模索されているが、衝撃波を利用するという以外、その詳細は隠されている、というもの。

 誰でもピンと来るだろう。これは「腎臓結石を超音波パルスの多軸からの一点集中照射によって破砕する」技術の、軍用版であろう。
 炸薬を使うのか、無炸填のソリッド徹甲弾の超音速衝突エネルギーだけを使うのかは、どちらもありだと予期しておくべきだろう。

 さらに、余談あり。
 こんな技術が実現可能だとすれば、わが国は、まったく無炸填のソリッド徹甲弾だけをIRBMの頭部に詰め込んで、「敵国」のICBMサイロの周囲にその複数弾頭を「同時弾着」させ、そこから放散される「衝撃波」を敵のサイロに一点集中させることで、それを粉砕することが、可能になるかもしれない。

 次のニュース。
 ロイターのイ・ソンヒョン記者による記事「習近平が平壌に行く理由」。
  記事の要点は、習近平が近々、平壌を公式訪問しそうだというもの。

 いったい何を要請するのかだが、私おもうに、それは海底ケーブル/海底パイプラインの切断工作を、これまでのように中共船ばかりが担当するのは面白くないから、これからは、お前らが手先となって大いにやりなさい、と迫るつもりではないか。しかし北鮮にはそのための船がないゆえ、中共から安価に譲渡するなど、便宜は図りましょう、というのではないか。

 中共は対米AI戦争に勝てるとは思っていない。しかし米国のAIにかろうじて対抗することならばできる。ひとつの手段は、究極有事となったとき、中共は海底ケーブルをすべて切断しても堪えられるが、米国や日本や韓国は堪えられない、その戦略的な非対称を梃子として役立てること。

 これに関連するニュース。
 フランツィシェク・コプチェフスキ記者による2026-5-24記事「アラミドシールド:能動的な海底防衛のための捕獲ドローン」。
  バルト海で海底ケーブルやガスパイプラインを破壊しまくっているロシア&中共船を速攻で捕縛するために、ケブラー綱で商船のスクリューを絡め取るという方法が可能だ、と論じている。

 さらにこれに関連するニュース。
 エリック・バーガー記者による2026-5-26記事「中国の使用済みロケット弾に関するアナリストの見解:『事態は悪化の一途を辿るばかりだ』」。
  要点は、衛星投入ロケットの第二段より上の処理が、中共の場合、非常に無責任で杜撰であるというもの。宇宙のゴミを減らそうという考えが少しもない。

  私おもえらく、スターリンクが周回高度550kmに数万機のインターネット中継衛星を回すなら、中共は同じ高度帯に数百万のデブリを流し込める。それこそが「宇宙のパールハーバー」になるだろう。そしてイーロン・マスクは一度、プーチンから低軌道核爆発によるスターリンク破壊の脅しを受けて屈した過去もあるのだ。

 次の注目ニュース。
 ディフェンス・エクスプレスの2026-5-24記事「ウクライナのホーネット無人機は、クリミア回廊を標的に、気球を展開することでより遠く、より長く飛行できる可能性がある」。
  固定翼の自爆無人機を気球から逆さに吊るした姿で放球し、季節風にのせてロシア軍支配地の奥深くまで到達させ、高度8000m以上から自動的にリリースしてやると、ほとんど電池でプロペラを回す必要もなく、滑空だけで敵の発電所やガス関連プラントまで到達できることが、実験で確かめられたという。

 ペイロード5kgくらいの、至って安価な無人機であるところがミソ。これが高度8000mでやって来ているのを露軍がレーダーで探知できたとしても、それを撃墜するには、気球+無人機の値段の数十倍もするSAMを消費するしかないのだ。

 次の注目ニュース。
 ジョセフ・トレヴィシック記者による記事「超大型空母USSジェラルド・R・フォードが陸上施設向けの浮体式原子力発電所として機能へ」。
  この記事が列挙している、過去の実例の参考価値が高い。

 「MH-1A」という、洋上原発があった。WWII中に戦時標準商船として大量建造された「リバティー・シップ」の1隻を改造した。当初は『SS Charles H. Cugle』と名付けられ、後に『Sturgis』に改名。
 出力 10 MW で、米国陸軍工兵隊 (USACE) が主管。1968~1975年に、パナマ運河に電力を供給した。

 AI時代に陸上原発が不足するのはもう明らかなので、活路は浮体原発となるだろう。
 小さなものを多数こしらえるのが、合理的だろう。敵は必ず、エネルギー関連プラントを狙って攻撃してくるから。