※このエッセイは、「water_dog」さまからの有償仕事依頼に応じて、兵頭二十八が書いています。
●赤字鉄道の線路に接続する「コンテナ・ハウス村」を臨機に造成することを、機動的な災害救済に大いに役立てるべき事
多数の罹災者が、一時的もしくは中~長期的に避難所生活を送らねばならない事態が、また発生しました。
熊本県の今回の震度7地震は、過去のすべての震災と同様に、一回で終わる話ではない。明日以降、またどこかで、大災害が立て続くかもしれないという覚悟はしておく必要があります。
それが日本列島のどこで起こるのかは、予測不可能です。しかし、ユニバーサルな「避難民対策」は、可能です。
わが国土には「赤字ながらも機能している」鉄道インフラが適度に散在しています。神経網のようにネットワークもできている。そのうちの不採算路線が、過疎地や僻地に敷設されていることは、まさに好都合なのだ。
自治体にとって重荷であったインフラが、こんなときに救いの神になるのです。
先に私は、《わが国では、新規のデータセンターの心臓部は、鉄道コンテナに収めてその多数結合や個別交換メンテナンスを自在化するユニット形式とし、それを既存の不採算私鉄路線や、将来的に黒字化の見込みが消えた新設新幹線(工事半成区)の隣接スペース(可能な場合はトンネル内)の随所に、引き込み線によってスポット集結もしくは分散させるようにすれば、場所はいずこも選りすぐりの過疎地ゆえに騒音の迷惑などは生ぜず、線路に沿わせた専用の電力供給グリッドは地域の電力グリッドとは独立した系ゆえに地元住民に不都合なことも何も起き得ず、税収だけは数倍になるではないか》と提言しました。
この方式は、「罹災者の一時避難生活村」にも、ほぼそのまま適用ができる話だと思います。
「コンテナ・ハウス」を平時から大量にストックしておく防災基地は、全国のどこにあってもかまわない。JRの鉄道線路の脇ならば。
日本のどこかで大地震が発災したなら、ただちに各地にあるその基地から、臨時の小編成の貨物列車が、コンテナ・ハウスを積載して、現地近くへ走り出す。時間帯は深夜。スピードは徐行で構わない。
この臨時貨物列車のうち1~2両には、コンテナ・ハウスを搭載・運搬・卸下できる作業用フォークリフトが、無蓋貨車上に縛着されて同行。
現地からあまり遠くない場所に適宜な線路脇スペースが確保できたなら、そこに貨物列車を臨時停車させ、フォークリストでコンテナハウスを卸下して並べる。コンテナハウスには4脚~6脚の、手動ハンドルだけで上下調節ができるアウトリガーをあてがい、それが一般住宅の「基礎」の代わりとなる。
数週間したところでこのスペースには専用引き込み線も敷設。それは、数年後に避難生活村を解消して撤収するときの作業を省力化する。また、とりあえず一旦そこに避難してきたコンテナ住人が、別な過疎沿線スペースへ「引っ越し」しようとする際にも、とても便利である。コンテナ内部はそのままで、すなわち家具調度私物付きで、引っ越しできる。
時とともに、特定の避難生活コンテナ村が拡大して、定住拠点のようになる場合もあるだろう。多数の定住者が、既存鉄道を通勤や買い物に頻繁に利用するのであれば、そこに「新駅」を創ってしまうことも検討される。
すなわち、災害が機縁となって、赤字鉄道の収支が上向くこともあるかもしれないのである。
●データセンター用の貨車上コンテナには、防炎機能が必要だ
ついでに補足します。
列車用コンテナを筐体とするAI向けデータ処理ユニットは、自己火災を自動消火する必要はないが、外部からの炎を延焼させない、できるかぎりの自己防御装置は法定されるべきだ。
というのは、将来想定される重大な脅威は、これらの貨車に爆弾をこっそり仕掛けてトンネル内基地に送り込もうとするテロだから。
それを仕掛けるほどの者は、コンテナ内部の消火装置を簡単に無力化できるだろう。
だから、火災を自動消火する機能を法定しても、テロに対して現実的に有効でない。むしろ、延焼に耐え得ることを法定しておいたならば、被害は拡大しなくなるので、テロに対して有効だ。
●トヨタは軍用車部門を太くするのが今後の路線として真っ当なのではないか
7月下旬のN特のトヨタ会議、視ましたかい? わたしだったら普通車のユニバーサル金型なんかには見切りをつけますぜ。
理屈はこうです。まもなく日本のメーカーは、プレス成形の金属モノコックの庶民向け乗用車で中共メーカーの開発サイクル(2年で新型に更新)と競合し続けられなくなることが、会社資源の量の差から、予測可能。
だったらもう次のような路線を検討するしかないはずだ。
針路その一。無敵ブランドの地位をこれまで確立できていない車格については、プレスのモノコックなどきっぱりやめてしまう。
たとえばラダー・フレームに戻す。それで市販車としての競争力が消滅するようなら、逐次に普通乗用車市場から撤退。「普通でない」車両や無人輸送機械だけを世界へ提供するメーカーへと脱皮する。
とうぜん、海外の軍用車市場を取りに行く。トヨタなしでは西側軍隊は立ち行かないように見えるまで、攻めることができるはずだ。
ラダー・フレームは重くなって燃費が不利だが、武人の蛮用にはこの上なく適している。それは人々に安全をもたらし、同時にユーザーに与えるカスタムの自由度も大だから、歓迎される。
フォードの「モデル・T」は、ラダー・フレームで全米を席捲した。もし「モデル・T」のコストダウン努力や新技術導入や特殊用途のバリエーション展開を倦まず無限に継続していたなら、その商品寿命は今日までも保たれて、誰も想像もしなかったモビリティ革命(貧民を含めた交通弱者の救済)が全世界で達成されていたかもしれないと、私は思う。
針路その二。3Dプリンターで金属/新素材のモノコックボディを成形できる技術を開発しつつあるベンチャー複数に出資し、見込みのある会社をすぐ買収。
針路その三。金属/新素材モノコックを「削り出し」で仕上げるようにする。これならば後出しで「CAD修正」がいろいろ効くだろう。
●AESAを空対空兵装にするインターセプターが流行り
7月の報道によると、レイセオン社の対ドローン・インターセプター「コヨーテ」はすでに対イランの実戦に使用されている。体当たり方式。メーカーは、これを使い捨てにしなくてよい方法として、マイクロ波を空中で標的に指向集中して、電子チップを狂わせて墜落させる方式をテスト中。
ロッキードマーティン社も同様に、使い捨てにしないインターセプターの「モーフィウス Xローター」を開発して試験中。やはり高出力マイクロ波(HPM)を兵装とする由。
要するに小型軽量のフェイズドアレイ・レーダーでしょう。
私は2026-4にDJI社の最新の、4腕8発(二重反転)形式の強力なマルチコプター「フライカート100」(ポテンシャルとして大の男1人を楽々吊るして運べるパワーがあり、それにもかかわらず、存外に騒々しくもない)のデモ飛行を見学しました。この機体には小さなミリ波のフェイズドアレイが取り付けられていて、地上の人をローターに巻き込んだりしない用心のセンサーになっていたので、これにも感心しました。
これほどコンパクトな民生用のAESAは、空中で、少し離れたところを三次元機動するターゲットを追随照射することは現状、難しいでしょうが、インターセプターの機体そのものをターゲットにぶつかるぐらいにまで近づけてやり、照射方位固定で最大出力で電磁波を一点集中させるならば、ターゲット機の搭載チップを誤作動させてやれるのだろうと想像されます。信号の「1」と「0」がひとつ反転しただけでも致命的になり得るのが、フライトコントローラ基盤内のデジタル処理の弱みでしょう。
●ワイルドベリーズの物流センターが次々炎上
宇軍がまたひとつ、露軍のウィークポイントを発見した。ロシア版アマゾンである「ワイルドベリーズ」の巨大物流倉庫は、ロシア西部に数十ヵ所ある。それをひとつ、またひとつと、特攻機によって炎上させている。
パケットの梱包材はすべて可燃物だろうから、中味がなんだろうと関係なく、盛大に燃えてくれる。
ロシア国内の軍需工場は、中国を筆頭とする海外メーカーから、細々した部品を取り寄せている。それが配達途中で灰になってしまうので、弾道ミサイルも小型ドローンも完成ができなくなる。
軍需物流に大混乱を惹き起こしてやれる。
ところでこれは西側諸国も「明日の我が身」と思わなくてはいけない。今までは、紙袋やボール紙函のパッケージは、ふつうの可燃ゴミとして環境負荷の低い処分ができるから、まず理想に近いものだと自画自賛されてきた。
これからはすべて「不燃パッケージ」に切り替えないとまずい。郵便物も「不燃紙」でないとまずい。
理想は、極薄のセラミックスだろう。しかし、それが割れたときに刃物のような破片になってしまうだろう。撓らせようとして繊維状にすれば、畢竟、ロックウールと同じで、塵肺リスクが無視できまい。
私の提案はこうだ。分子量の大きなガスは通さない、蛋白質のバブルに二酸化炭素を封入し、それを段ボール(セルロース)の中に織り込むのだ。梱包材に炎が当たって延焼しはじめるや、そのバブルが破裂して、溢れた二酸化炭素が燃焼にブレーキをかける。そういう仕組みを追究するがよい。
「不燃性のビニールシート/ビニール袋」も必要でしょう。待ったなし、だと思います。
●国防大臣フェドロフの解任騒ぎと東欧圏の病理
サラ・ウィットモア&ベッティーナ・レンツ記者による2026-7-25記事「政治家対将軍:ウクライナの長きにわたる隠された内戦」が、権力構造の理解のために分かりやすいです。
ウクライナの国家基本法には「文民統制」が担保されていないようで、軍の制服トップはいつでも単独で大統領に対して《帷幄上奏》ができる。国防相を通す必要がないのです。
帷幄上奏権を持っていた最高司令官だったシルスキー将軍は、フェドロフの何に反発したのでしょうか?
これは外野からの想像にすぎませんけど、兵隊の動員権限への容喙を、許忍できなかったのでしょう。
本朝の戦前の東條は陸軍大臣の兵隊動員権限をフル活用して、みずからが号令する戦時統制体制を盤石にしました。政敵を速攻で好きなようにイヤガラセできる権限です。シルスキーもその権力を楽しんでいたはずだ。
これに対するフェドロフさんのニュー・アイディアには脱帽です。
芸の無い前進攻撃や死守を命ずることしかできない無能な師団長や連隊長の部隊には所属していたくはないと考えるウクライナ兵が、皆、脱走してしまうでしょう。その逃亡兵に、逆にじぶんが所属したい部隊を選ぶ自由を与え、軍隊に戻れば処罰しないよと約束したのです。
ほとんど改革不可能だったソ連=東欧式軍隊の面目を一新して文字通り生まれ変わらせる、考え得る最速の方法ではありませんか? この人は天才だと思う。
しかしシルスキーやその取り巻きの立場からすれば、こんなシステムを大々的に導入されてはみずからの権力基盤が干上がりますから、フェドロフに対する組織的なサボタージュを画策し実行したんでしょう。
フェドロフ流のもうひとつの目覚ましいイニシアチブが、「ePoints」システムです。ドローン運用部隊が、戦果ビデオを提出すると、その戦果に応じて、欲しいドローンを優先的に購入できるポイントがボーナスで付与されるようにした。露兵を今最も効率よく無力化している有能な部隊に、ドローン資源をありったけ持たせてやる仕組みだ。
これは、実はソ連軍式です。ソ連軍のドクトリンでは、攻撃前進が現に成功している部隊に、すべての予備戦力資源を集中して送り届けてやり、それによって長躯穿貫機動の勢いを保たせる。攻撃が阻止されて苦戦している味方部隊には、一切の増援をしません。
ことし1月の時点で宇軍の脱走兵は20万人、加えて徴兵逃れが200万人以上もいる、とフェドロフは語っています。もしこれらの人的埋蔵資源を何か巧妙なスキームによって表世界に動員できたならば、国家社会の公平性に対する人民の信頼が堅実になり、理想国の空気に近づくでしょう。もちろんしかし特権一派は大いに僻んで妨害することでしょう。
●人は拘束を嫌う、というあたりまえの真実
テッド・ジオイア記者による2026-7-18記事「Netflixの崩壊は、視聴者獲得の終焉を告げる」は、現代の人事の参考になるでしょう。
サブスクリプションなどで長期に束縛されることを、視聴者・消費者は、いずれ拒否するようになるというのです。
安値で釣って囲い込んだあとから課金率を上げてやればいい、と経営陣がたくらんでも、そうは問屋が卸さずに、ソッポを向かれてしまいます。
私も今、さまざまなアルバイトにエントリーしていますが、「週に一、二回のシフトでも可で、しかも徒歩圏」のパートタイムジョブというのには、滅多にありつけません。
できれば週に5日出てもらいたいと雇い主側が考えるのは無理もないと思える業種もあります。たとえば某コンビニのサンドウィッチは20種類あり、そのうち10種類は毎週、更新されて行くのです。それらを作る工場はベルトコンベア式になっていて、バイトの1人は1箇所に立ち、ただ1つの具材だけをひたすらトッピングし続ければいいのですが、新商品の正しいトッピング具合は、その都度、遅滞なく習熟しなくてはいかん。「週2回」の出勤ですと、それを覚えることは現実的に不可能なわけです。
しかしこのような職場と、「週1~2回でもいいよ」「全日でなくても半日でもいいよ」という職場が選択できる場合、現代の労働者がどっちを好むかは考えるまでもない。
ウクライナ軍からの逃亡者に戻ってきてもらう方法も、おそらくヒントはここにあるでしょう。
現代の先進国では、パートタイム・ローテーションのうまい方法を、雇用者側が設計し提示する義務があるのです。軍隊だけでなく、これからの「人を使う正社員」に、必要とされるスキルじゃないですか。
●欧州戦局の行方
アンドリュー・チャコヤン記者による記事「ロシアの戦争とプーチンの選択」が勉強になりました。
ロシア民族にはレッキとした故郷は無いので、虚構の歴史地理観の上に虚構の達成目標を重ねて「束ねる」しかないのだという指摘です。
キエフが5世紀から歴史記録に登場する一方、モスクワは12世紀にならないと登場しない。1547年にイヴァン雷帝はツァーリになったと宣言したが、域内の被支配諸民族にとってはロシア皇帝は古い文明の代表者ではないというのです。
祖国ロシアという概念がそもそも地理と関係が無く、社会制度空間のことでしかないので――これは「中国」と似ている――どこまで行っても地理的なゴールなどありえない。物理的なゴールは幻なのだ。
彼らには永久の過程だけがある。西側もそこを利用してつきあうしかない。永久戦争で恒常損害を出し続けてもらって、彼ら自身には「自分たちは強者である」「自己保存できている」と自己催眠させておく。その状態を一世代(だいたい30年くらいだろう)続けてもらえば、経済の下部条件(それは長く続くことにより「風土」と化す)が不可逆的に変わるので、ようやく「人」の質もいくらか変化し、そうなって初めて、「近代的な停戦媾和のための交渉」をスタートできる条件が整うだろう。
●悪天候時には何を観光させるか
ニセコには夏になるとサマー・ゴンドラが運行されるのですが、ガスったり雨模様だったりすると、これを利用したアクティヴィティなどは壊滅状態になります。
日本国はよく雨の降る気候帯に属しているのに、雨の日のことを最初から考えていない観光施設が多すぎませんかい?
強風時にはさすがに無理ですが、多少の降雨のときには、「悪天候下の生還」という体験型アクティビティをオプションで用意できるんじゃないですか?
ゴンドラで中腹まで行き、専門のガイドが集団を統率しつつ、麓のホテルまで、下山ルートを徒歩帰還させるのです。もちろんコースは事前にしっかりと設定されている。「擬似遭難」の気分が味わえるような演出を、その途中に点々と配置しておく。
こういう「遭難山」体験コース、晴天時の夜間に実施しても面白いはずだ。「お化け屋敷」の野外バージョンと思えばいい。
●完全栄養の「ローソク形クッキー」をとっとと創りなよ
ついでですので地元向けにもうひとつ書きましょう。
函館市内では7月7日の七夕に子供たちが、戸口に竹短冊を突き出している家々を目当てに、お菓子を貰い歩くという、愉快な風習があります。そのさい「蝋燭一本頂戴ナ」と声を張り上げるのがきまりごと。全国的にもここだけだろう。この由来・淵源は分からない。分からぬところが土俗らしくて味じゃないか。
しかし「ろうそくをくれ」と言って来るのが分かっているちいさいお客さまに、どうしてひとびとは、ガリガリ君だとか、なんともありきたりな市販菓子類を手渡すことで、宜しとしてしまっているのか? アカギさんに1mmも不満は無けれども、私はこの洒落の利かないセンスが大嫌いだ。
貴重な、せっかくの土俗が、軽薄で安っぽい子供騙しに堕落しちまってるんだよ!
当地に引っ越してきてから20年以上も経つ。そして何年期待しても、このイベント用に、6月から「蝋燭型のお菓子」を予め製造して売ってやろうという商売人が一人も現れぬという現実。私は情けない。作ればぜったいに売れるでしょう。多少高くても売れますよ。
市内の福祉作業所で、クッキーを焼いているところがあるだろう。このシーズンだけ、製造したらいいんですよ。
それならば市民もますます、それなりの単価に対して文句なんか言いませんよ。
もちろん、値段相応の品質にしなくちゃいけない。まず、それ1本でも「完全栄養」となるようにしよう。質感も、子供の歯の隙間に詰まり難いように。それを滅菌のうえ真空包装して、常温で長期保存することも問題がないようにする。デザインもユニークに。製品には、作業所ごとに個性があったほうがよい。
さらに余談。中空土偶という国宝があるでしょう。あれをそっくり形どったお菓子を、なんで南茅部町は土産用に製造・販売しないんだ? あれは「栗」の擬人化造形ですよ。そのまま栗菓子にできるはずです。
――《令和八年八月1日・記》――