■「全翼」飛行機があるのなら、「全ローター」飛行機があっても可いはずだ

 ※このエッセイは、「water_dog」さまからの有償仕事依頼に応じて、兵頭二十八が書いています。

 ダニエル・テリル記者による2026-8-19記事「DARPAは、自重の4倍の重量を持ち上げられるドローンを見つける寸前までいった」によりますと、DARPAの「リフト・チャレンジ」に参加したメーカーたちのうち、カナダのAVIDrone社が開発した電動ヘリコプターが、3.84対1という前例のない積載重量比を達成しましたが、課題値とされていた4倍は、今回もついに誰も達成ができなかった、と。

 AVIDrone社の自重29.3ポンド(約13.3kg)の大型ドローン「カタナ」は、5海里(約8.8km)の距離を、112.4ポンド(約51.6kg)の積載物を持ち上げて運搬してみせて、優勝。

 記事によりますと、マルチローター型ドローンは通常、自重以下のペイロードしか運搬できないのが現状であるそうです。

 私がデザイナーだったら、自然界にある、樹木の高いところから、「翼」の揚力を利かせて、極力遠くまで風に乗って運ばれてやろうと狙う「翼果」と呼ばれるタネの形状を、まず参考にするでしょう。

 たとえばそれを拡張して長大な2翅ローターの形をつくり、それを無人機の本体とし、その翅の前縁に、ミニ・モーターとプロペラをとりつける。プロペラの推進力は、機体を水平に移動させるのではなく、機体全体をその場で旋転させる。その旋転によってまず浮力が生じ、垂直離昇する。そのあとから、こんどは水平方向へ機体を動かす算段をつけることは、たやすいでしょう。

 「翼果」には、シンメトリカルではなく、ブーメランのような「片翼」で旋転する形状のものもありますよね。そういうのも、漏らさず、すべて実験してみるべきです。

 「機体全部がそのままローター」構造の飛行機は、とても「有人」にはできません。しかし、無人ならば、何の問題もありますまい。

 もうひとつのニュース。
 ロマン・プリホドコ記者による2026-8-19記事によれば、陸自はイスラエル製の対ドローン照準器「SMASH 3000」を使用開始しているそうです。

 私が、AIがアシストしてくれる小火器用の光学照準システムについて自著の中で取り上げましたのは、想い出せないくらい古い。ともかくもそれが今、ようやく部隊でテストされるところまで漕ぎつけたのかと思いますと、感慨深いです。しかし、2週間ごとに競争のノッチが上がると言われる現代のドローン前線に、わが軍はこのスピード感では、いけないような気もします。

  ――《令和八年八月二十日・記》――