摘録とコメント

▼Z. Brezezinski著“Game Plan”鈴木康雄 tr.1988、原1986
 ※ソ連がイランに攻め込むのではないかと心配されていた時の本。ソ連は西欧を攻撃しても東欧というバッファーゾーンがあるが、イランを攻めれば自国境が乱れる。当時としては、するわけはなかった。
 ※同じ著者の“Power and Principle”は未訳? それはつまらないから?
 リチャード・パイプスは1984の著で、侵略され続けた国が世界最大の面積を持つに至るなどありえぬ、と。
 スターリンはアメリカを怖れて、フィンランド全域占領をしなかった(p.54)。
 ほとんどのアメリカ人は、メキシコ人が歴史的に感じている不満について何も知らないのが一般的だ。
 メキシコとキューバの関係は良好(p.120)。
 キューバとベトナム、東独の間には’80’sに軍事条約あるが、ソ玖間には何の安保条約もない。
 ブレジンスキは、中米全体が戦場になっても第二のベトナムにはなり得ないと見る。
 ソ要人シェルターの数は800~1500ヶ所(p.147)。
 その入居予定者は175000人。
 自然国境なき辺縁での内部分立騒動に対する恐怖がロシア人の独裁を維持するエナジーだ(p.171)。
 軍縮は、第一撃能力にマトを絞った質的なものでなくんばあらず。
 飛行実験全面禁止以外のモニターでは「単にあざむきのインセンティブをソ連に与えるだけのことである」(p.213)。
 1985-7ウォールstジャーナル紙上の宇宙のすみわけ協定案を支持。
 MXを敵の第2撃部署に照準し、一方SDIはMXを守れ(p.222)。※オプションを自縄自縛してどうする? ポ人ブレジンスキはひらめきはあるが、軽い。独人キッシンジャーは重いがねじけた思い込みがある。どちらが日本の脅威だったか。
 旧ABM条約とMADを廃棄して新ABM交渉を始めろ(pp.226-7)。
 エアランドバトルは1960’sトリップワイヤの非核版。近似の戦闘地域観がある(p.240図)。
 ’60’sトリップワイヤのNATOの反撃はあくまで戦術核だった。
 シナ=パキスタン間のシルクロードを復活させろ(p.300)。※その結果、パキは核武装した。
 アフガンにアルジェリア、シリア兵を駐留させてソ連を撤退せしむ(p.304)。
 ミロバン・ジラスは、ソ連はオスマントルコと同じで、崩壊し始めてもなお拡張がやめられない、と(pp.311-2)。
 NATOはこう宣言すべし。中立宣言すれば有事に攻撃せず、と。今日のポーランドは戦前より少数民族すくなく、均質化した(p.316)。
 「上兵は謀を伐つ」を引用(pp.323&337)。※米指導階級にとって『孫子』は珍しいテキストではない。それをわざわざ持参した胡錦濤には特別な意味があるわけ。
 1977のカーター提案のように、米ソサミットを連年行なえば、より中味に芝居気がなくなり、よい。
 歴史健忘症は、アメリカが治療することができない高価な病である(p.337)。
▼R・マクナマラ『世界核戦略論』藤本直 tr.1988、原1986
 第三次中東戦争がはじまるまでホットラインの米端末はペンタゴンにしかなかった。
 ケネディは『8月の砲声』の愛読者。
 1985の在欧の米戦術核。投下爆弾(F-111などから)1075発、203ミリ+155ミリが1660発、パーシングIa用が72発、ランス+オネストジョン用が895発、パーシングII用が108発、LCMが128発、SAM+地雷が870発。=計4808発。※旧来からのF-111の水爆の数と新しいINFの数を比較せよ。段違いに前者が多い。それなのにソ連がINFに猛反対運動した理由は何か。合理的な答えは、この時点までソ連は先制戦術核攻撃から始まる欧州限定の電撃戦争勝利を真剣にプランニングしていたのである。モスクワに届かない戦術核や、特定飛行場に依存する戦域核が何千発あっても、ソ連からの奇襲開戦のインセンティブはなくせなかったのだ。
 核地雷(破壊用核資材=ADM)は山岳などの隘路で使う(p.52)。※これがスーツケース核爆弾。ソ連が崩壊してこれがアングラに流れた場合にあまりにヤバイので米国は155/203mm砲弾用と一緒に率先して廃止し、そのよびかけに、ロシア政府も従った。
 NATO先制核使用反対の先鋒はイギリスの古株軍人たち。マクナマラは1961~2年にこの結論を得た、と(p.58)。
 1985までの統合参謀議長ジョン・ヴェセイ陸軍大将いわく、オガルコフと立場を代わりたいとは思わない。
 1962のときも、米ソは均衡していた。なぜなら生き残った10基のソ連ミサイルでも「数百万のアメリカ国民を死にいたらしめることになるわけです」(pp.72-3)。
 マクナマラは1960’sのモスクワABMはソ連全土に拡大すると判断した。それで議会は米もABM網をつくるべきだと考えた(p.91)。※この議会の判断はなんと正しかったのだろうか。
 1967、ABM制限の話にソが応じぬため、MIRVを始める(p.95)。※対抗不能性を考えなかったので、かくして最悪の米ソ不安定対等に向かったのは歴史が記すとおり。米はMIRVではなく全米ABM網を選択した上でソ連と交渉に臨むべきであったが、コストカットしか頭にないマクナマラが大きく途を誤らせた。そしてその誤りを認めたくないものだからマクナマラは成功したレーガン以降の共和党政権の軍事外交すべてにイチャモンをつけ続けるしかない。最近は老耄度が増し、ルメイが広島原爆に関与していたなどと「フォッグ・オブ・ウォー」(未見)に関連して語っているらしい。
 1970のSALT-I交渉時点ではすでにMIRV化の流れは止め処がなかった(p.108)。
 むかしの原爆は6回実験すればよかったが、今日は100~200回必要(pp.130-1)。
 ルメイSAC司令長官は1954の文書で、米は第一撃を躊躇すな、と。※初期の秀逸な核戦争SF小説の多くがルメイ長官時代に書かれた。
 1960~70’s、モスクワABMに対抗するため多数の弾頭がモスクワに向けられた。
 米海軍は1950’s末、戦略核は464発で十分と計算している(p.200)。
 ターミナルでレーザーを感ずると自爆する信管の可能性(p.253)。※このへん、SDI批判。
 ソ連ミサイルは1弾頭につき10個のダミーを伴ってくる(p.255)。
 自由電子ビームは真贋判定にも使える。
 本物の弾頭が大気圏内を落ち行くと、空気の乱れの航跡が残る。
▼打村広三『アメリカの戦争力』S16
 著者は外務省通商局。
 米は航空機燃料としての高オクタン価ガソリンを1939-10~1940-8の間、10057千バレル生産。
 天然ガスと精製ガスは81オクタンのガソリン8345万ガロン、92オクタンのもの3275百ガロンに潜在的に転化し得る。四エチル鉛などを加えれば100オクタンのハイオクガソリンを60億ガロン生産できよう。
 製鋼力は現時、粗鋼で8415万ネット・トン/年で、1942以降やがて9000万tに達しよう。
 アメリカも近年は平炉による屑鉄からの製鋼法による率が高まりつゝある。1929は78%が銑鉄だったが、’40年には66%になってしまった。
 目下発注の船用には4年間で350万トンの完成鋼(鋼塊換算500万t)が必要で、航空機と戦車用には各々最大50万tを使うとみられている。だが米鉄鋼協会長W.S.タウワーは粗鋼800万N.tが毎年国防用に必要という。
 上に加え、民需用6000万ネットt+輸出1200万tが要るが、屑鉄がストックゼロなので、禁輸したのだ(p.48)。※対日屑鉄禁輸は自分使用=対独戦準備の為であった。
 軍需用高級鋼のみでは1939に3212千ネット・トン。米では平炉が90%なのだが高級鋼や航空機用ステンレスは電気炉が必要である。
 ※ニッケル含有鋼の高級屑鉄を材料にして電気炉で製品にすると最高の機関銃部品がつくれるわけ。
 米語で Strategic Materials といえば、「海外依存の国防資材」のこと。
 生ゴムは、タイヤの他には、防毒面、軌条用裏張り〔キャタピラに張るゴムのこと〕、気球に需要がある。
 87価以上をハイオクとみなし、禁輸中(p.163)。
 透明プラスチックも禁輸リストに載る(p.179)。
▼今里勝雄『軍備と税制の歴史』新紀元社S29
 徳川討伐費は京阪の商人からの強制徴税。
 西南役の赤字は酒税増で賄う。→初の減税運動に。
 海軍拡張のためM20に所得税。世界では英、スイス、イタリアに次ぐ四番目の導入国。それまでは地租のみ。
 M32以降、税収の首位は酒税に。
 M37にタバコを専売化、ならびに税率UP。
 M38塩専売。
 シベリア出兵でまた増税に迫られた。※それで不景気じゃ、政府が不評なわけだ。
 S28-7の河野一郎の追及で、ガリオア、イロア資金のうち10億ドルの使途不明金がある、と。
 マックの「東洋のスイス」とは、米ソどちらにも属さぬ中立国たれとの意味でS24年までこの考えだった(p.262)。※スイスは武装国家だがマック構想は完全非武装だから要はマックはスイスのことも日本の地理歴史も何も知らなかったわけ。
 S26までの駐留費支払いは、5075億9200万円。
▼山口平四郎『港湾の地理』S55
 開通当時のスエズは水深8m。当時はそれでよかった。WWⅠ直前に、各主要港は11m標準となる(p.8)。
 熱帯では風上海岸は全く住むに耐えないので発達しない。
▼岩尾久彌『海運より見たる太平洋諸島』S18
 英は、香港、昭南、ポートモレスビーを前哨三角形としていた。※ポートモレスビーと沖縄間の距離は、昭南←→沖縄間に等しい。
 豪州系のW.R.カーペンター商会はラバウルに、近海航路船を修理する船渠を設立、運営してゐる(p.34)。
 WWⅠ初からWWⅠ後の約7年間に、米は1230万総トン、英は900万総トン、日は230万総トンの船を各々新造した。また1927~30は、第二の建造ラッシュである。
▼綾川武治『我が大陸経営失敗の真相』S10
 青島では三国干渉発起人への怨みがあったが、シベリア出兵には何もなかった(p.655)。※戦略行動自己基準がないために常に外国の言動に振り回される。
 大9の4~5月頃、ハイラルではチェコ兵と日本軍が衝突した。ハイラル事件(pp.678-80)。
▼A・ヒトラー『完訳・わが闘争』平野一郎 tr.S36
 人を説得しうるのは、書かれたことばによるよりも、話されたことばによるもの(pp.116-7)。
 偉大な文筆家より偉大な演説家が世界運動を進める。
 父の蔵書の、普仏戦争の挿絵入り普及書に熱中した。11歳前。
 地理と歴史は優、他は不可、だった。
 15歳でオーストリー風「王朝愛国主義」を捨て、民族的国家主義に。
 歴史は暗記ではなく原因の発見であるべし。本質的ならざるものを忘れること(p.26)。
 12歳からワグネリアン。
 13歳で父卒す。
 結核となる。2年後、母没す。
 ウィーンの美術学校に落ち、建築家を目指す。しかし中学課程欠くので資格なし。
 5年間は、はじめ補助工員、ついで画家となり、空腹の代償にオペラの切符と本を買った。※不遇時代の多読はナポレオンも同じ。
 下vs中層の階級間の断絶がいかに起こるかをスルドく見抜く。今までは下層の実態をしらざりしが、今やその世界を見た。
 オーストリーは極度にウィーンに集約された(p.35)。※だから普墺戦争は簡単にカタがついた。おなじことは普仏戦にもいえる。そこからドイツ参本流の速戦速決戦争哲学が生ずるが、これは初期電撃戦にのみ適用が利き、イギリスやロシアに対しては通用しない。ましていわんや日本がシナやソ連極東領に適用することができようか。唯一適用できたのが、フィリピン(首都をマニラと看做せば)とマレー(首都をシンガポールと看做せば)だと気付き、陸軍は南進にとびついたのだという鳥居民氏説には説得力があろう。
 広い住居にいるなら、少し離れていることによって、とっくに仲なおりすることができるごく小さい対立も、ここでは果しない、いやな争いにまで導くのだ(p.43)。
 1910頃、画家に。
 わたしは若いときからずっと、正しく読むことに努力してきた。それと同時にさいわいにも記憶力や理解力がよかった。
 ついには現実を理論的に基礎づけ、理論を実際で試そうという姿勢をとった(p.49)。
 ユダヤ人は「水好きでな」く、臭かったことが嫌悪を増した(p.68)。
 淫売業への関与に最も憤慨する(pp.70-1)。
 ユダヤ人を憎むことで、非国民労働者を許す気になる(p.74)。
 オーストリア議会現実への絶望(pp.87-8)。
 一体全体、多数の優柔不断の人間にいつか責任を負わすことができるだろうか(p.90)。
 無能官僚の弊害を見抜く(pp.93-4)。※このへんは教育の階級別が希薄な日本ではまずなかったことか。
 大衆はまさしくすべてのすぐれた天才に対して、嫌悪を本能的に感じている(p.98)。※トクヴィルと意見が一致するとは。
 民衆には1人の敵だけを示せ(p.127)。
 ドイツ芸術のメッカたるミュンヘンに往く。1912春。※このバイエルン賛美。ヒトラーはまったくプロイセン型ではない。
 種の劣化を招くので、自主的出産制限には反対(pp.141-2)。※まず多産させ、適者のみが生き残るようにせよとの考え。
 文化的に劣った人種が人口を増やさないようにするため、彼等の耕地を奪わなければならない。生産性向上には限界あり。
 民主主義に従えば、数の多い民族が有利であり、自然暴力に従えば、より野蛮な方が有利だ(p.145)。
 商工貿易より農業自給が健全だ(p.147)。
 WWⅠのヘマは反イギリス政策にあった(p.150)。
 WWⅠ中に、宣伝について考察始める。
 シラーを引用。「汝が生命を賭せざれば、生を得る事なかるべし」。
 国家を形成する内面的な強さは経済とは無縁(p.161)。
 国民は経済のためには死なない。だからイギリスは「小国の自由の為に」といって開戦する。
 経済的国家建設とはユダヤ的寄生者国家だ(p.162)。
 南ア戦争は新聞でむさぼり読み、日露戦争では反スラブから日本を応援(p.167)。
 サラエボ事件おこるやオーストリーを見捨ててバイエルン聯隊に志願。6年間軍服を着る(p.172)。
 感激は一度くだけたら二度とめざめないから、陶酔状態を持続させるための手をうたなければならない。それは美的なものでは無意味(p.176)。
 農民は、知らないものは食べない(p.177)。※馬鈴薯の全欧普及に何百年もかかっている理由のひとつ。
 ある「理念」は、その担い手の最後の一人まで、自国のすぐれた人材を滅損するにもおかまいなく根絶する他ない(p.179)。※???
 社会民主党は、民主主義政党によっては駆逐できない(p.183)。
 戦時宣伝を敵から学んだ(p.184)。
 宣伝はインテリにすべきでなく大衆に対して耳(p.187)。
 全民衆にするときは最低レベルに合わせる。※日本の対米宣伝はこの言葉を学んでいない。
 敵については過大視した宣伝をしないと兵士は上を信じなくなろう(p.189)。
 「戦争責任はドイツにはない」では駄目で、「責任は他国にある」と言わなければならない(p.190)。※よってシナ政府は永久に「責任は日本にある」といい続ける。
 兵士への「啓蒙」工作は現地軍の手によってでなく、本国から来なければならない。反宣伝も。
 バイエルン師団に対する反プロイセン宣伝(p.197)。
 1918に英軍の黄十字ガスに目をやられる。於・イーペルン(pp.208-9)。
 「永久に盲目になりはしないかという恐怖で一瞬絶望しそうになった」(p.211)。
 演説しはじめのヒトラーは早起きで、ねずみにパンを与えて観察していた(p.226)。
 はじめたからにはやめない人間(p.229)。
 梅毒への言及。売笑制反対。早婚をすすめればなくなる、と。不治者は断種する。自己の健康のために闘争せよ(2巻 pp.32-45)。
 WWⅠの海軍は、優秀な小型艦で大型英艦に対抗し得ると考えた。これは防禦主義だ。「最後の勝利は永遠に攻撃の中にのみあり、またありうるはずだからである」(p.68)。※だからMe262は爆撃機にしなければならないのだ。
 北米と南米の差は現地混血の有無にありとする(p.76)。
 日本人は文化創造者でなく支持者にすぎない。西洋との交渉なくなれば、独りでは伸びは止まるだろう(pp.80-1)。※戦中の邦訳版ではカットされていた部分。
 ユダヤ人のどこが嫌いか。滅私奉公の反極的性質だから(p.91)。
 「かれらはフランス語で話しながらも、ユダヤ的に考えており、ドイツ語の話に技巧をこらしていても自分の民族性の本質だけを享楽して生きている」(p.98)。
 女子のユダヤ人は基督教徒とも結婚したが男子はユダヤ教徒としか結婚しない(p.107)。
 ヒトラーにとっての暴力は、演説・宣伝の強制(p.156)。※強制的宣伝としての戦争へ。
 宣伝の「普及には最大の堅忍さをもち、影響の期待には忍耐を持つこと」。色は共産主義者を挑発する赤が基調となる(p.159)。
 民族性は言語の中にはなく、非ゲルマンにドイツ語教える要なし(p.183)。
 ヒトラーの「血」の理論(p.191)。※世界理論ではない。分裂的国家を統一するための内政手段。
 不健康者はこどもを生むな(p.198)。※軍隊に入って鍛えられた者にして理解できる言葉。ただしF1が確率論的に両親より優秀になることに無知。
 米の禁酒法の試みに共感を示す(p.201)。
 「肉体的に丈夫だという確信があると、いかに自己の勇気が助長され、攻撃精神がわいてくるかは、軍隊をみればいちばんよくわかる」(p.206)。
 歴史教育は「偉大な明白な筋がまったく忘れられているのに、若干の日付、生年月日、人名などが記憶に残っているのがふつうである」(p.215)。
 「ローマ史を全体に大きな流れにおいて正しくつかむことは、今日のためばかりでなく、あらゆる時代にとって最良の教師である」(p.217)。→国籍と市民権に差別を設ける構想(p.236)。
 世襲制をとらないカトリックは、それだから民衆と一体である(p.227)。
 エリートによる大衆指揮制を共産主義に学ぶ(p.252)。
 カトリックが非科学的なドグマに固執している強みに学ぶ(p.254)。※アンタがアウグスティヌスを読んでいないことだけはわかった。つまりプラトンもわかってない。
 綱領を、時代精神に同調させるな(p.255)。
 大衆に迎合せず、世論の命令者になる必要(3巻 p.11)。
 おきまりの反論には、すべて準備したレトリックで完全撃破する(p.13)。
 大衆は、ブレストリトウスクがヴェルサイユをもたらしたのだ、と考えさせられていた。ヒトラーはそれを論破しようとした(p.14)。
 著作物では、下層大衆への感化力ゼロだと確信(p.18)。※この摘録だけ読み、オリジナルの邦訳は一生参照しない日本人が千倍以上いるだろうと確信。
 その先例にマルクス主義の集会を挙げる(p.19)。
 政治演説は人間の理性のタガがゆるむ夜8時開始に限る。昼にやるのは阿呆。カトリック教会は夜を演出している(pp.20-1)。
 ロイドジョージは大衆演説を知っていると評価(pp.22-3)。※ドイツ人はアジ演説が得意でなく、そこに共産党とヒトラーの乗ずる余地があった?
 ヒトラーの演説は3hに及ぶ(p.31)。
 赤地白丸黒ハーケンクロイツを制定す(p.43)。
 巨大な会場の方が、妨害者を鎮圧し易い(p.46)。
 突撃隊の前身は、集会場整理隊。ルドルフ・ヘスも一人(pp.52-3)。
 ボクシングと柔道の方が射撃訓練より重要。スポーツをやれ(p.91)。
 10人のパッシブな「支持者」に対して1~2人のポジティブな「党員」がいる(p.125)。
 英の、勇ましくはないが、目的に適った外交政策を讃える。「外交は、一民族が勇ましく滅亡することにではなく、実際に維持されてゆくことに尽力しなければならない。後者に到達する道はしたがってすべて目的に適わしいものであり、それらの道を歩まぬ場合は、義務を忘れた犯罪といわなければならない」(p.160)。
 仏は英に対し、長距離砲、空軍、Subで脅威できる(p.162)。
 仏の欧州覇権政策は根本的に英と対立する(p.163)。
 独の同盟国としては英以外にない。
 だがイタリアもある(p.165)。※どっちなんだー。
 誰が支配しようと仏は独の敵だ。イギリスがドイツの世界強国化を望まないとすれば、フランスはドイツと呼ばれる強国そのものを望まないのである(p.164)。
 英国内にも反ユダヤ派がいる。日英同盟は英の対米カードだ。その同盟を攻撃するのがユダヤ人。ユダヤ人は世界制覇のため日本の滅亡を望む(pp.184-6)。※誰に向けて語った宣伝なのか。
 「それゆえクラウゼヴィッツもかれの『三つの信条』の中で、……」「卑怯な屈服の汚名はけっして消し去ることはできぬ。一民族の血液内のこの毒薬のしずくは子孫に伝えられ、その後の種族の力を奪い、害するだろう」。またこれに反して「血みどろの、名誉ある闘争の結果であれば、この自由の滅亡でさえも民族の再生を保証し、そして、いつか新しい樹木となってしっかりと根を下すような生命の種子である(p.219)。
 「これこそがクラウゼヴィッツの語った『毒薬のしずく』のことである」(p.220)。
 「…クレマンソーの、わたしにとっては平和もまた戦争の継続に過ぎない、という金言は意味を一層深めたのである」(p.224)。
 ドイツ人兵士が前線で蒙ったと同様の目にユダヤ人の民族破壊者を遭わせろ(p.231)。※だからガスですかい。