◎「読書余論」 2008年7月25日配信 の内容予告

 はじめに、ドロボウ続報です。トイレの窓枠の埃の上に犯人が手をかけた跡があり、その繊維状模様から、犯人は軍手のようなものをはめていたと想像できました。また犯人の身長は170センチ以下かもしれません。
 さて、
 今号から、「読書余論」の各号にとりあげている書目の予告を、兵頭じしんが書くことにしました。(いままでは杉山さんが開頭の1~2行をコピーして添えくれていましたが、これだと摘録の眼目はかえって分かりづらいでしょう。)
 以下、タイトルだけのものは、摘録が非常にすくないか、特に驚くようなことが書いてあるわけではないものです。
▼野砲兵学校・重砲兵学校・高射砲兵学校・著『陸軍少年砲兵』S19-10
 重砲兵学校では、少年に沿岸ソナーの操作を教えていた。少年の耳の方が良いから。
▼防研史料『支那軍ノ戦力及戦法ノ史的観察竝ニ対策』by 大本営陸軍部 S15-6
 シナ軍の毒ガス装備について言及あり。ホスゲンを発射してきたことなど。
▼金子空軒『陸軍史談』S18-9
 西南戦争当時の徴兵の識字率は異常に低かった。軍人が平時に事故死しても靖国には入れてもらえぬ。演習で死んだのでもダメ。
▼牧島貞一『鬪ふ航空母艦』S18-4
 大鳳の居住区が狭いことなど。同乗リポート。
▼西原勝『陸の若鷲』S14-5
▼山岡荘八『小説太平洋戦争・5』S42
▼三国一朗『昭和史探訪』S49
▼防研史料『昭和十四年三月十九日 侍従武官御差遣時 張鼓峯事件に於ける工兵第十九聯隊 小林・武井両小隊の戦車肉迫攻撃説明要旨』〔満洲/支那事変/18〕
 本文では「肉薄」と表記。ノモンハンとは植生が違ったから有利だった。
▼防研史料『風力ニ対スル射距離差及横偏差修正法』by呉海軍工廠、S13-2 〔6/研究資料/81〕
 遠距離艦砲射撃が当たるわけがない理由。
▼防研史料『対蘇海軍作戦』by二復 S22-11調製 〔3/ソ連/8〕
 なんと対ソ戦になったら水上機をぜんぶ北満の陸軍のための直協機にするつもりだった。二復とは旧海軍省のこと。
▼防研史料『第十三航空隊 戦訓所見(自13-4 至13-12)』by 航本教育部 〔2/支那事変/260〕
 96陸攻で2500m以下を飛ぶとシナ軍のAAにやられる。しかし地上目視は不完全になる。だから友軍誤爆が……。
▼古川薫『天辺の椅子』1992-11
 児玉源太郎の比較的に新しい評伝。毎日新聞夕刊に連載された。宿利が記さず、その後に分かったことはなにか。
▼宿利重一[しゅくり・しげいち]『兒玉源太郎』S17-11初版、S18-1訂正再版
 良質の伝記は、摘録しても長くなる。おそろしいくらいの手間のかかった一級文献。この古本は買うとかなり高いが、今回の配信を読めば、斜め読みした気になれます。
▼S4-10『明治文化全集 第二十二巻・雑史篇』所収、佐田自茅「樺太評論」原M8-4
 江戸幕府が無能なために樺太が雑居になってしまった次第について。
▼ギュンテル・プリイン著、浜野修tr.『独逸軍神プリイン少佐』S18-10、原「スカパフロウまでの我が経路」1940
▼M・ヴァレンティネル少佐著、安原茂夫tr.『独潜水艦長の手記』S15-12
 1911のU-3号の沈底事故とその引き上げ成功の記録。
▼福田一郎『潜水艦』S17-10
 日本海海戦のとき、津軽海峡には潜水艦がいると偽情報を流した。
▼広瀬彦太『世界潜水艦ものがたり』S19-6
 大正13年の第43号潜水艦の事故顛末。ペリと発見距離の艦種別データ。
▼大分県pub.『大分県の産業先覚者』1970
 28サンチ榴弾砲の砲床を急造した横田穣の小伝。
▼麻野尚延ed.『わが国農林業と規制緩和』平10
 自由な資本が農業に向かうことはありえない。城郭と数奇屋風書院造が日本の林業を変えた。
▼田代浄一『日本に農業はいらないか』1987
 ハイエク主義では農業は亡び、それによって国家も没落する。
▼岸康彦『食と農の戦後史』1996
 冷凍施設なしでは漁業も成り立たない。
▼オマケ。
 東大附属図書館の昭和11~20年受け入れの興味深い軍事関係珍書奇書タイトルについて。
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が紹介し、他では読めないコメントを附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)
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