“GAMELA” for “Ground Adhesive Missile Eealy Looking Antenna”

 米・露・支の弾道弾早期警戒レーダーについて英文サイトをグーグル検索していて、そのついでに拾った話とか感想を、備忘のためメモしておきましょう。ただし古いニュースも多いですから、ほんの「チラ裏」と思ってください。
 シナのOTHレーダーは大小2つで重複的に台湾海峡北側入り口を監視中。
 でかいほうは3000kmも届くOTH-Bのため、OTH特有のブラインド・スポット(灯台元暗しエリア)もでかい。しかしちっこい方は、尖閣諸島を含む海面を濃密にカバーするから、尖閣にちょっとした船舶で近づく者は、ぜんぶ見えているのだろう。
 ちっこいOTHの基地は、浙江省の平陽市の近くにある。海岸から8km引っ込んだところ。OTHの送信局と受信局は、電波干渉を防ぐためにじゅうぶんに離す必要がある。
 とにかくシナは台湾海峡に米空母が入るのが憎たらしいんだね。よく分かったよ。
 しかしシナさんは電力を定常供給できるのか? 短波だから大電力は必要ないのか……。
 無線マニアの投稿によると、豪州でモニターできるシナのOTHの周波数は、7、6、5、そして3.6~3.8メガヘルツ。当然短波。
 豪州でもOTHを運用しているが、そっちはシナのOTHよりは運用帯域が狭く、スウィープが早く(FMの連続波)、しかもアマチュア無線帯を妨害しないんだと。
 グーグルアースには、南シナ奥地の奇妙な鉄塔列が写されている。近くにSAMサイトがガードしているから、かなり重要な軍事施設なのだろう。昼間の影から計算して、この塔は中波用。しかし、もし中波のプロパガンダ放送局なら、国境近くに建てないと、昼間の電波が届かない。だからマニアにもこいつの用途の見当が付かんと。
 兵頭いわく、それはたぶんシャム湾やベンガル湾で行動する予定のシナ潜水艦に、衛星を頼らずに指令を送るための通信施設だ。中波でもある程度水中に届くけれども、塔頂に空中線を張り渡して長波を送れば、より目的合理的だろう。
 シナは米軍の Lacrosse 衛星の同格機を打ち上げたくてたまらないのだが、いまだに実現できない。これ無しだと全球的に米空母の居所を知ることができない。
 だからとりあえずOTHに頼ろうとしているのだろう。
  Lacrosse とかキーホール衛星は15トン以上もあるので、低緯度の海南島の新射場が整備されるまでは、とうてい高い軌道に投入できないのかもしれない。もちろん、合成開口レーダーの技術の未熟もあろう。それに、通信リレー衛星がないと、レーダーで得られた情報を利用するのに何十分もかかって、空母攻撃用ミサイル(当面は巡航ミサイル)に適時のキューを出すことができない。
 そんなこんなで米軍独占の Lacrosse が憎いものだから、シナ人は衛星爆破実験などをやらかして気勢をあげたのだろう。パラサイト衛星でいつでも破壊してやるぞというわけだ。
 米国は、そういうシナ人に冷水を浴びせるため、「NROL 21 / USA 193」という登録番号でしか知られていない、通信途絶に陥った巨大衛星を太平洋上で撃墜してみせることにした。同衛星は傾斜角が Lacrosse radar satellites と同じだったという。でかすぎるのでシャトルでは持ち帰れないし、ユーラシア大陸に燃え尽きずに落下して、どこをどうレーダー撮影したかの情報をシナ人やロシア人に解析されても困る。
 というわけで2007-8に破壊デモンストレーションが決定され、2008-2-21に、高度247kmまで下がってきたところをSM-3で撃ち落した。
 しかし Lacrosse の公開写真をみると、大型ダンプカー×2台分は優にある大きさだね。弾道ミサイルへの直撃と同日に語ることはできません。
 「衛星193」を撃墜したとき、SBX(アリューシャンのアダック島を母港とする、浮航式Xバンド・レーダー・サイト)は、そのコースの真下にいた。
 つまり本来はGBI用のSBXが、探知とキュー出しと中間誘導をやったということ?
 ちなみに米国の衛星監視所が、フィリピンとマーシャル群島(クェゼリン?)にある。尤も、これらは高性能のXバンド・レーダーじゃなかろう。
 Xバンドの威力を理解するには、ノルウェーの Vardo に設けられた米軍の27m直径の皿型Xバンド・レーダーの報道/解説が役に立つ。こいつのコードネームは HAVE STARE と言った。ちなみにガメラは18m直径のフェイズドアレイ。
 開発担当はやっぱりレイセオン。レイセオンはかつてのヒューズ(F-14の火器管制システムをつくった)を併呑したメーカー。
 アメリカは1998年に「宇宙のゴミ」を見張るという名目でわざわざノルウェーに巨大Xバンド・レーダーを据えつけたが、誰でも想像のついた真の狙いは、ロシアがカムチャッカに向けてプレセツクやバレンツ海からテスト発射する新型弾道ミサイルが、ミッド・コースで囮弾頭をどのように放出するか、その模様を仔細に観察することだった。
 ポテンシャルとして15cm分解が可能。「イメージング」ができる。デコイか真弾頭か分かる。
 プレセツク射場は白海の150マイル南にあり、カムチャッカは4千マイル先だ。
 てことはアメリカは本当は宗谷に巨大Xバンド局を置きたかっただろうね。シベリア上空からカムチャッカに着弾するまで、見届けられるから。
 もちろんその目的のためには、アリューシャンのシェミヤ島(これって「シマ」の語源ですかい?)に「コブラ・デイン」があるけれども。
 ソ連の最初期のABMレーダーは、1959年に開発され、その探知距離は1200kmだった。つまりこれ以下のABMレーダー/弾道弾早期警戒レーダーは、今日ではまずありえない。
 冷戦期から今日までのロシアの弾道弾早期警戒レーダーサイトが、いったいどことどこに設けられていたかと調べると、あっと驚くことは、日本方向はまったく「放置」していた/していること。
 モスクワ防衛しか、あいつらの関心は無かった。今も無いのだろう。ということは、北方領土にモスクワはしがみつくまい。ウラジオすら見捨てられている。
 ムルマンスク(フィンランド国境)とリガ(バルト三国中央)が、米国ICBMをレーダーで警戒する最重要拠点だった。そのあたりにロシアの早期警戒レーダーの主力が今も置かれている。
 ソ連の1975製の「ピルボックス」ABMレーダーは、フェイズドアレイは直径が16mで、宇宙のセンチメーター単位の物を見分けたという。ガメラは径18mだから、これより高性能なのは間違いない。
 ノースダコタのレーダー「AN/FPQ-16」は、別名PARCSといい、一面のみを有するフェイズドアレイで、方角はハドソン湾に固定。SLBM警戒用である。そして3218km先のバスケットボールを探知できる。水平角度広がりは140度。仰角は93度まで可能。こいつはかなり古いシステムなのだが、この性能だ。
 アメリカ海軍はアリューシャンのアムチトカ島に、「AN/TPS-71」というOTH-Bを配備していたことがあった。ソ連崩壊後の1993年に解体された。たぶん、バックファイアーなど大型機の動静を見張っていたのだろう。
 比較的進化したXバンドのフェイズドアレイが「PAVE PAWS」だ。
 冷戦中はジョージア州の空軍基地にも「PAVE PAWS」が置かれていたが、B-52クルーの人体にそのマイクロ波が当たると危険だ(といってもXバンドはエックス線ではない。8000MHz~10000MHz、すなわちパトリオット管制用のCバンドよりいちだん高い周波数で、対迫レーダーやPAC-3弾頭シーカーのKuバンドよりいちだん低い周波数のマイクロ波をXバンドと呼ぶまでである。L、S、C、X、Kといったバンド呼称は、第二次大戦中にはじまった表現で、いらい軍用無線の世界ではこれが慣用になってしまったのだ。ちなみにテレビ放送のUHFはLバンドよりいちだん低い周波数。電子レンジやイージス艦のSPY-1はSバンドである)として、ジョージアのPAVE PAWSは休止させられた。冷戦後のコストカット政策もあった。ついでにテキサス州にあったやつはアラスカに移設させられた。
 SBXは4700km遠くの野球ボール大を弁別できると、MDA長官が公表した。
 もし民間航空機がSBXに81マイル以内に接近したらレーダーは停波せよという指示が出されている。それほど強力。
 てことはXバンドを人口が密集した内陸に置くとヤバイのか? だからガメラはLバンドなのか?
 また、SBXの技術は将来のビーム破壊兵器に発達する余地があるのか? だからボーイングなのか? いや、GBIがボーイングだからなのだろう。
 GBIのEKVは核爆発の放射線からプロテクトされるという。とするとRVがXバンド攻撃をしのぐこともできそうだ。
 Xバンドは、密集複数弾頭も識別できる。
 なるほどMaRVやMIRV以前の初歩的な技術として、弾頭のショットガン化は念頭しておかなければなるまい。シナも北鮮もこれをやるだけで通常弾頭のABMをスルーできそうだ……。
 2001以前のMD実験は、XバンドのSBXの支援が得られなかったがゆえに、標的側からビーコン輻射しておく必要があった。
 米海軍はなんでも3番艦までつくってローテするのが常だから、SBXもあと2隻できるかもしれない。
 迎撃が成功したか不成功かの見分けもできるのがXバンド。分解能は15cmである。
 SBXはまずGBIを発射させておいて、そのヘッドオン中に標的のデコイ識別をするという離れ業を強いられる。
 SBXは風速130マイルに耐えるレドームを有する。……てことは、それを透過するために余計なエナジーが必要なはずだ。
 もし遠い将来、宮古島のレーダーをXバンド化するなら、台風時には地下にひっこめられるようにするべきだ。あそこの台風はハンパじゃない。公園のコンクリート製の「なんちゃって丸太」の手摺りや支柱が、風圧でボキボキ折れたり倒れているのをわたしは見た。
 米国はABM条約から脱退した。それでSBXが可能になった。
 こいつのメリットはフィリピンみたいな政府方針が一貫しない国に施設を閉鎖しろとか脅かされることがない点だ。つまり東洋では日本以外にXバンドの固定基地が配備できる可能性はない。
 フィリピンにXバンドの基地が置かれるときは、SSBNが迎撃ミサイルのプラットフォームになるのだろう。
 アメリカは台湾を蒋介石に返したことを後悔しているだろう。日本領土だったらいまごろ、トンキン湾北部海面を見張る巨大アンテナ基地になっていた。
 GBIは発射から3分後、標的からの距離にして2253kmのところで、EKVを分離する。
 つまり2200km以内で敵バスからMIRVが分かれるからか。
 衝突の100秒前からEKVは己れの赤外線センサーを使う。SM-3なら30秒前だ。
 ソ連の最初のABMは、射距離が300kmで、射高は2万5000mだった。
 弾頭にはなんと1万6000個のタンガロイ玉が。それを皿状に散開させた。(HOEと違って燃えずに落ちてくるから怖いぜ。)
 ついで「ガロシュ」が採用された。大気圏外の350km先で迎撃する。固体のブースター、液体サスティナーの2段。鉄道上のコンテナからホットローンチ。弾頭は核。さいしょは極小イールドだったが、けっきょく最後は1メガトンに。理由は正確さに自信なきため。後継機では10メガトンまでいちおう考えた。それほど弾道弾迎撃は至難なのだ。
 弾道弾早期警戒用の「ヘンハウス」レーダーサイトは15箇所あるが、最も東寄りのは東経103度。イルクーツクよりチョイ西のモンゴル国境。対支用だ。対日本海用ではない。
 イルクーツクには複数の長距離レーダーサイトがあり、衛星も見ている。3520kmを見張れる。
 ヘンハウス最終型は6000kmぐらい見えるんじゃないか。このモンゴル北から5000km見えるとすると、北鮮ロケットはOTHによらずして探知できただろう。
 北緯50°53’34.66″、東経136°50’12.38″、および、北緯50°23’07.98″、東経137°19’41.87″(アムールスク、コムソモルスクなどのあたり)にある短波OTHが、ロシアの最も東にある、弾道弾早期警戒レーダーだ。
 マイクロ波だとイルクーツク。カムチャッカにあるレーダーは、弾道弾実験支援用。着弾を見届ける。
 極東にマイクロ波の弾道弾警戒レーダーがないということは、ABM部隊にキュー出しもできないということ。つまり極東が弾道弾攻撃を受けるとわかっても、とりあえず何もできない。
 コムソモルスクの「ヴォルガ」レーダーは、短波で4800km探知できる。
 ロシアは2000年時点で、ミンスク、ニコラエフ(黒海の町だ)、コムソモリスク、ナホトカにOTHを持っていたが、いまは2箇所。ナホトカにはでかいやつがある。
 豪州のOTHは3基地を北部に並べている。Jindalee Operational Radar Network と呼ぶ。800~3000kmをカバーする。800km以内はブラインド。
 衛星をホイホイ打ち上げられない日本こそ、これが必要だろう。
 OTHならパラサイト衛星にしてやられることもない。
 OTHの送信局と受信局は100マイルぐらい離すのがよい。160kmか。この間隔をとれるのは北海道か富士裾野しかあるまい。アレイは長さ3km以上になることも。この土地も北海道と富士山にしかない。積雪は無問題。
 1970年にはソ連のSLBMが脅威になり、DSPをSLBM対策として打ち上げた。これは高い静止軌道から、ひろびろと地球を見張っている。どこで赤外線が花咲いても、探知すべく。
 2009-4-5イベントでは、DSPが第一段および第二段モーターの点火などをモニターしていた。切り離しの様子はXバンドで確かめた。
 フランスもOTH-Bを計画している。NOSTRADAMUS という名称。
 送受2局ではなく星型配列とし、700~2000kmを見張るという。
 もちろん、米国のBMEWSやDSPに頼らずに、単独でロシアの中距離弾道ミサイル発射を見張るためだ。
 日本も倣うべし。
 海保はロラン局をどんどん閉鎖するつもりらしいが、これを海自はひきとるべきだ。
 GPSに頼らずに、極東でGPS並みの航法を可能にする地上系チェーンができるはずだ。
 湾岸戦争のときは、〈スカッドという心理兵器に、パトリオットという心理兵器で対抗した〉と総括された。4-5の騒ぎで、北鮮のテポドン2も、日本のMDも、どちらももはや、心理兵器にすらあたらぬことが立証されたのではないだろうか?
 では敵は次にどう出てくるだろうか?
 日本はどうすべきなのか?
 解答は、『予言 日支宗教戦争』(並木書房刊)の中にあります。