最新の《note》は、トマス・アクィナスの神学大全と、ノモンハン&機甲の大特集、および、ロシア軍小特集 です。

 共産主義の屁理屈の根っこにはキリスト教神学がある。これをおさえておかないと国際宣伝戦で悪魔に勝つことはできない。おさえましょう。たったの300円です。

 ノモンハン事件でソ連の機械化部隊に対する苦戦を日本陸軍がどれほどショックに感じたかは、その後数年間で刊行された一般向けの数学系・理工系の書籍をながめると、得心できます。紙不足の統制経済下の出版は、陸軍省の許可なくしては不可能だったからです。

 日露戦争における国際法や戦費の工面、さらにそれが日本の世相をどう変えたか、おさらいしておくのも有益でしょう。

 いずれも、  https://note.com/187326mg/  を ごらんください。

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 Rupert Darwall 記者による2022-2-24記事「Standing Up to Putin Means Ditching Net-Zero」。

   バイデン政権が成立するとまず北米の「Keystone XL」パイプライン敷設計画の免許を取り消したが、こんな環境政策をやっていればロシアがますます地政学的に強敵に成長するだけだろう。

 米国ニューイングランド地方は他地域とのガスパイプラインの連接がよくない。2018の冬は大ピンチだったが、ロシアからLNGタンカーが入港することで何とかしのぐことができたのである。米国じしんがロシアにエネルギーを依存するというトンチキなことになっているのだ。それを解消するのが「Keystone XL」パイプラインのはずだった。その敷設を禁止してバイデン政権は何をしたいのか。

 「ネットゼロ」というスーパー理想主義は、EUという単国家を超越した法支配空間内においてのみ、有効なのだ。とうとうそれが証拠立てられた。このたびロシアが単国家として無法をやり始めたら、EUにはなすすべが無いのだ。

 米国が環境問題で、このEUに追随すれば、米国もまた、無法国(ロシアと中共、その他)に対して、EUと同様、何もできなくなってしまうだろう。

 EUが国連におしつけた「気候プロセス」からも米国は脱退すべきである。もうそんなことをやっている場合じゃない。EUにはロシアの侵略をストップする力が無いのだから。

 EUの中ではドイツが、はやばやと2000年に「リニューアブルエネルギー法」を成立させて、ソーラーと風力に本格投資すると決めた。が、それは事実上は、ロシアのガスへの全面依拠路線の確定であった。※メルケルは首相になったのは2005だが、キリスト教民主同盟の党首になったのは2000-4。

 イギリスも苦しい立場だ。EUからは脱退したものの、エネルギーに関しては、イギリスはEUと一体であるしかないからだ。EUの気候政策に付き合わぬわけにはいかず、それは英国に非常なコストと、地政学的な弱点を負わせている。

 ボリス・ジョンソンは2019に商業的フラッキング(地下への水注入法による石油採掘)を禁じた。そして今月、試掘中の2つのシェール層をコンクリートで塞いで探査を打ち切らせる命令を下した。

 そもそもソ連が西欧へ天然ガスを供給しはじめたのは1960年代である。

 当時の西ドイツ(石炭には不足していなかった)の指導者ウィリー・ブラントが、その取引を推進したのは、もっともな理由があった。東西両ドイツを再統合するためには、まずソ連となじみになるしかなかったからだ。だからこそ、東ドイツが最も、ソ連=西独のガス貿易に、反対をしたものである。

 2009年にガスプロムは欧州向けのガス送出を止めたことがある。
 にもかかわらずドイツとベルギーは原発の廃止を決めてますますプーチンの支配に入りたがっている。

 地政学的リアリズムとは、エネルギーの現実主義だ。
 この現実主義の立場からは、「ネットゼロ」は西側世界の自殺であると予見できる。

 ※熊プーがプーチンを声援できるわけがない。なぜならロシアが今見せている侵略テクニックは、満州事変や冀東・冀察政権(北支分離工作)と同列だからだ。大連や東支鉄道を作ったのは帝政ロシアである。新疆も一時はソ連勢力圏に入っていた。それらを返してもらうといわれたら中共はどうするんだ?


★《続・読書余論》『世界の名著20 トマス・アクィナス』1980年刊

★《続・読書余論》ノモンハンと戦車と機械化 大特集

★《続・読書余論》 ロシア軍 小特集


★《続・読書余論》の最新Upは、袖井林二郎著『マッカーサーの二千日』です。

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 ストラテジーペイジの2022-2-22記事。
   ウクライナはイスラエルに、「アイアン・ドーム」を売ってくれと頼んだが、イスラエルはロシアを刺激したくないので、この引き合いを断った。

 プーチンが今やっていることは、1938にヒトラーがチェコスロバキアを切り取った手口と同じだ。そして1938の英国チェンバレン内閣と同じ手緩い反応を、NATOと米国は続けている。

 とうじ、英政府は、チェコ人となんら相談することなく、ドイツによるチェコ領土併合を認めてやったものである。

 ヒトラーは、それ以上の領土併合は考えていないと1938までは英国に口約束していたが、翌1939にポーランドを半分切り取った。これで第2次大戦になった。

 ロシアは常に、隣国の強さだけをリスペクトし、弱い隣国からは徹底的に毟り取るだけである。

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 SOFREP の2022-2-21 記事「‘Don’t You Know There’s A War On?” Rationing In WWI」。
    米国はWWIに1917から参戦したが、そのさい、アルコール飲料の販売規制がかかった。特に兵営と弾薬製造工場の近辺での販売が厳禁。またビール工場への穀物輸送も阻止された。

 このアメリカ以上にすごいことをやったのが帝政ロシア。なんとWWIにさいしてウォッカを禁止した。そしてこの措置は革命後も1925年まで継続され、「文化革命」と自画自賛されていた。

 英国はジョージ5世が率先して、ワイン、蒸留酒、ビールの消費を、戦争終結まで断った。

 酒豪のアスキス首相だけが、公然と、これに倣わなかった。ということは皆、陰ではこっそり飲んでいたのだろう。

 米国ウィルソン大統領は、戦争中は諸事経費をきりつめるべきであるとして、1918年に、ホワイトハウスの芝刈りを禁じた。そのかわりに、多数の羊が庭に放たれた。
 その羊の毛は刈り取られ、収益は赤十字に寄付された。「ホワイトハウスウール」と称された。

 長距離爆撃に使われたツェッペリン飛行船の皮は、1機分が、25万頭分の牛の腸からできていた。文字どおりの、「飛ぶソーセージ」だったのだ。
 ドイツ当局は、この膨大な腸を確保するべく、ブラートヴルスト(独式ソーセージ)の製造を統制した。肉屋は、腸をすべてツェッペリン工場向けに提出しなければならなかったのである。

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 Brett Tingley 記者による2022-2-22記事「Scores Of ‘Dark Vessels’ Belonging To China’s Maritime Militias Are Operating In Contested Waters」。

 民間衛星会社の「Unseen Labs」は、宇宙から海上の電波発信源を同定できる能力を売り物にしている。同社は、中共があやつる、見かけは非軍艦・非公船である不審船多数が、トランスポンダー(AIS)のスイッチを切った状態で東シナ海を横行している実態を明らかにした。

 国際海洋機構の2004の定めにより、300トン以上の外航貨物船、500トン以上の内航貨物船、そしてすべての客船は、AISを切ってはならない。中共はこれに違反しているのである。

 また各国はそれぞれに、国内法でAIS運用基準を定めている。たとえば米国の全長65フィート以上ある漁船は常時、AISをつけっぱなしにしていなくてはならない。

 中共は、米海軍の駆逐艦がコンテナ船にぶつかると弱いという弱点を知ったので、コンテナ船が輻輳する海域でわざとAIS無しの商船を充満させ、米海軍の接近をたじろがせようという魂胆なのだろう。


★《続・読書余論》袖井林二郎『マッカーサーの二千日』中公文庫2004、初版1974年


最新の ★《続・読書余論》は『四王天延孝回顧録』です。

 雑誌『諸君!』の2009-4月号に、四王天の長女と結婚した山口隆一が1951年に中共で処刑されていたという謎を追った三山喬氏の記事が寄稿されています。四王天の自伝は70歳頃までで終わっているので、その補足になるでしょう。

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 Chris Cruden and Nicholas Krohley 記者による2022-2-22記事「Flunking the New York Times Test: Making Sense of Russian “Covert” Action」。
    NYT紙は2019-10-8に報じている。GRU内の暗殺部隊「29155」部隊による違法作戦の詳細を。
 現地に慣れている元スペツナヅの隊員が、ロシア周縁部諸国に入り込んで、反露スタンスの政治家、ロシアから出国した反モスクワのロシア人である活動家たちを次々に殺しているというものだった。

 じつは国家情報業界では、「裏工作の失敗基準」というものがあり、そのひとつは、《『ニューヨークタイムズ』の1面にとりあげられたら、それは失敗作戦だ》とする。

 この基準ではGRUは失敗したことになろう。記事では29155部隊の所属隊員の個人名や、司令部所在地まで報道されてしまっているのだ。

 だがロシア人はアメリカ人とは同じようには考えない。彼らは、違法暗殺作戦が大手メディアに報じられることで、それを次なる恐怖作戦の梃子として利用できると期待しているのである。

 ほんとうのプロが国家意思をうけて暗殺仕事をするのに、民間ジャーナリズムが何をつかめるというのか。NYTがスッパ抜きと信じた材料は、じつはすべてGRUが意図的にばら撒いたパン屑なのだ。

 違法だろうが何だろうがロシアは殺そうと思った個人は殺してしまえるし、それがバレてもぜんぜん平気だぞという「宣伝」くらい、クレムリンにとって都合が良いストーリーはない。なにより、国内から反対者や裏切り者や対敵投降者が続出するのを抑止できる。次の脅迫はいっそう容易になり、ロシアの対外影響力はますます大きくなるであろう。そうなれば、戦わずして勝利できるのである。


★《続・読書余論》四王天延孝著『四王天延孝回顧録』昭和39年刊


《note》の最新Upは、 《「奇襲」特集》 と 《補給の関連 集積》  です。

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 VLADIMIR ISACHENKOV, YURAS KARMANAU and AAMER MADHANI 記者による2022-2-18記事「Kremlin declares nuclear drills as Ukrainian rebels evacuate civilians to Russia」。
    プーチンは、緊急事態大臣がロストフ地区に飛ぶように命じた。そこで避難民救護させるために。またプーチンは、ドンバスからの難民民(ロシア系住民)には1人1万ルーブル(約130ドル。ドンバスの勤労者の平均月給のおよそ半額相当)を与えよとも、ロシア政府に命じた。

 木曜日、国連安保理に対するブリンケンの警告。ロシアは、贋の爆弾事件、自作自演のドローン攻撃、およびリアルな毒ガス攻撃、フェイクの毒ガス攻撃をロシア国内で起こして、それを口実に戦争を開始する気である、と。

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 The Maritime Executive の2022-2-17記事「Volcanic Debris May Have Caused Blackout Aboard Australian Amphib」。
    トンガに救援にかけつけた豪州の揚陸艦『HMAS Adelaide』の機関が先月、故障してしまった原因は、未だ分からない。が、おそらくは海水中の火山灰ではないかと考えている。

 故障したのは「発電機」だということだ。
 そして豪州海軍は認めた。いままで、火山噴火の近くに軍艦を寄せた経験が無かった、と。

 冷却水として海水をとりこむときに、軽石もいっしょに吸い込んでパイプが詰まり、それによってディーゼル発電機がオーバーヒートしてシャットダウンした、というのが、もっかの仮説だ。

 『アデレード』は2回、機関停止した。まず1-29にディーゼル発電機が止まった。そして翌日は、主機のガスタービンがシャットダウンしてしまった。

 日本の海保が、2021-8のフクトクオカノバの海底噴火のあとに発した注意。船舶乗員は、海水の圧力ゲージをモニターせよ。また、冷却用排水の昇温に特に気をつけていれば、軽石「詰まり」の兆候を察知できる、と。

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 ストラテジーペイジの2022-2-17記事。
   中共海軍は1990年代に輸入した古い『キロ』級潜水艦を退役させ始めた。

 中共は1994から2006にかけて、12隻のキロ級を買っている。そのうち最後の2隻は、改良型。

 ロシアは2010年からキロの後継の『ラダ』級のディーゼル潜水艦を完成しようとしてたが、AIPがぜんぜんダメで、2019末時点でもそれは完成していない。

 一時、ロシアはイタリアのAIP技術を買い、それを『アムール』級と名づけて輸出しようとしたのだが、この計画は2014年のクリミア侵略によって頓挫した。ロシアへは国際的な経済制裁がかかり、西側から軍用のパーツは買えなくなったのである。

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 ストラテジーペイジの2022-2-17記事。
   スペースXが軌道投入したばかりの49機のスターリンク衛星(1個227kg)のうち40機が墜落してしまった事件。
 地磁気嵐による大気の膨らみによる抵抗増は、高度540kmだったならば、無問題だったのだが、スペースX社の「効率的な」軌道投入の流儀が、今回はわざわいした。

 ふつうはLEO衛星は高度540kmにいきなり投入される。

 だが、スターリンクは、いったん打ち上げロケットで高度200kmに投入されて、そこから、あらためて、低電力でクリプトンガスを加速させる電磁スラスターを使い、所定の高度540kmまで徐々に上がるという方式なのだ。

 この工程の途中で、太陽風を喰らってしまったのだ。

 スラスターは非常な省エネ設計なので、急に軌道を変える能力はない。だからなすすべがなかった。
 なお、スラスターを逆方向で使えば、スターリンク衛星はいつでも軌道を下げ、大気圏内で燃え尽きる設計。だから、LEOに1万機以上を投入しても、デブリを増やすことにはならないのである。

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 Stephen Chen 記者による2022-2-17記事「Chinese scientists say a cheap, lightweight foam could improve hypersonic weapons」。

 カーボンフォーム=炭素泡 という新素材を、中共の研究者が提言している。これでハイパーソニック飛翔体をコーティングすると、衝撃波を20%軽減できるのだという。

 ハイパーソニック飛翔体の外殻は、チタン合金や炭素繊維でできている。

 それをカーボンフォームで皮膜すれば、その表面がフラッシュではなく、でこぼこしており、微細な「気孔」だらけなので、マッハ6での飛翔中に生ずる乱流を緩和できるのだという。

 カーボンフォームは、航空機の空気取り入れ口や、ロケットには、すでに被覆剤として実用されている。

 遷音速域以下では、ざらざら表面は空気抵抗を増やす。
 しかし超音速域では、抵抗はもっぱら衝撃波なので、スポンジのような作用で衝撃波発生を抑制できれば、抵抗も減るのだ。

 しかも敵のレーダー波を吸収できるのでステルスにもなりそうだという。

 課題は、摂氏3000度の高温の中でざらざら表面を燃やさずにいられるかというところ。


★《続・読書余論》  「奇襲」特集

★《続・読書余論》  補給の関連 集積


《note》の最新Upは、「弾薬補給に関する摘録集」「ダーウィン著『種の起源』」「化学兵器と防毒 特集」の三本です。

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 R. B. Watts 記者による2022-2-15記事「Poor History and Failed Paradigms: Flawed Naval Strategy and Learning the Wrong Lessons from a Century of Conflict」。

 マハン理論はWWIのユトランド海戦という反証によって破綻している。史上最大の海戦は、すこしも決定的ではなかった。

 しかしいまだに米海軍の主流は、マハン型の海軍を追求し続けている。このままでは中共に逆にしてやられるだけだろう。

 WWIIの大西洋海面は、小型艦が主役となる戦争だった。相手はUボートだった。非マハン型の戦争だった。
 今日、対支の参考になるのはこの大西洋の海戦史であって、太平洋の海戦史ではない。こんなことが提督たちには分からないのだ。

 対潜作戦には大型空母は貢献しない。それは大西洋の戦いで学習されていたこと。にもかかわらず戦後の米海軍は大型空母中心の無駄な投資を続けた。

 旧冷戦中の対ソの海軍構築もまちがっていたし、現今の対支の海軍構築も、まちがっているのである。

 海では、「じっさいに直面している敵」(リアルの中共海軍)を考えなければいけない。米海軍の提督たちが夢に描く「直面したい敵」(過去の日本海軍のような愉快な敵海軍)ではなくて。

 空母によって大陸国家/沿岸国家を攻撃することぐらい「非決定的」な戦法もない。それはベトナム、イラク、アフガニスタンで幾度も証明されているのである。

 こっちからの攻撃(艦上機による対支空爆)は少しも決定的にはなり得ないのに、敵の超音速ミサイルや魚雷(2006に『キティホーク』を1回支那潜は「撃沈」した)によって米海軍の正規空母が1隻でも沈められてしまえば、それは米海軍にとってとてつもないダメージである。米支角逐の未来の太平洋抗争史の上でも「決定的」になってしまうだろう。

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 Robert Zubrin 記者による2022-2-15記事「NATO Needs Ukraine」。
    ウクライナはNATOを必要としている? 違う。NATOがウクライナを必要としているのだ。なぜなら欧州でロシアを抑止するには有力な陸軍が必要であって、その有力な陸軍をもっているのがウクライナだからだ。

 1943のテヘラン会談で、チャーチルはスターリンに、ローマ法皇が戦後のポーランドに関してひとつの注文を持っている、と伝えた。その返事:「ああそうですか。で、ローマ法皇は何個師団を持っている?」。

 ロシア指導部は、陸軍が弱体である相手の言い分など、聞く耳を持っていない。

 NATOの陸軍兵力削減はクリントン政権時代から始まり、オバマ時代にはとても危険な水準に下がった。
 ライン川以東でロシア軍とわたりあえそうな陸軍は、ポーランド軍の18万人だけしかなくなっている。これではプーチンは誰の言い分も聞く必要がない。NATOに陸軍が足りていないのだ。

 ポーランドや他の東欧諸国陸軍をあわせたよりも多い、45万人の現役将兵を、ウクライナは擁している。このウクライナ陸軍を米英空軍によって対地直協してやり、さらに装備弾薬を補給してやれば、立派に露軍に対抗ができる。プーチンはもうおとなしくするしかなくなる。

 スターリングラード市をドイツ軍から防衛するのに、ソ連兵は25万人が死んでいる。そして勝利した。
 これを西部戦線のマーケットガーデン作戦と比べてみよ。たった1万5000人が死傷しただけで、英米軍は総退却した。もしソ連軍だったら、そのくらいではちっとも敗北にはむすびつかないのだ。

 欧州大陸では、陸軍の数以上にモノを言うものはないのである。

 チェコは35個師団もっていたが、英仏軍と一体になっていなかったのでヒトラーに切り取られた。
 ポーランドは39個師団もっていたが、やはり同じようにしてヒトラーの前に単独で壊滅させられた。
 欧州諸国は、侵略者の前では団結している必要があるのだ。


★《続・読書余論》 弾薬補給に関する摘録集

★《続・読書余論》ダーウィン著『種の起源』1990年刊

★《続・読書余論》 化学兵器と防毒 特集


最新の 《続・読書余論》は、「間接侵略・プロパガンダ、マスコミ工作 特集」です。

 ウクライナでの作戦開始と同時に、GPS妨害、衛星通信妨害、海底ケーブル切断、電力網に対するサイバー攻撃などが一斉に始まると考えられていますが、同時に「贋TV番組」「ディープフェイク・ラジオニュース」なども登場するでしょう。

 備えましょう。

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 Katie Stallard 記者による2022-2-15記事「The clock is running out for Vladimir Putin on Ukraine」。
   2月後半になるとウクライナでも融雪が始まり、車両の路外機動が不自由になる。
 また時間とともに、西側の制裁が積み重なり、宮廷クーデターの気運がクレムリン内に生ずる。

 2014-3のクリミア併合のときは、ロシア国内のリベラルすらも、それを支持した。そのくらいクリミアについてはロシアの軍港拠点として長年の「保有感」があったのだ。

 それから3年間、プーチンの国内支持率はまちがいなく高かった。この2014の成功体験が、プーチンを狂わせている。

 2014のウクライナ軍はどうしようもなかった。兵隊のヘルメットと半長靴も員数に足りなかった。動かせる状態の兵力はたったの6000人だったという。
 つまりはウクライナ政府が無能・無気力で隙だらけだったから、当然のように隣国からの侵略を招いたのである。

 しかしプーチンの侵略をまのあたりにしたことで、ウクライナ人の国防意識が改革されてしまった。

 現在ウクライナ軍は、当時より兵隊を10万人ちかく増やしている。2014時点では額面16万8000人。今は25万人なのだ。しかも8年間、ドンバスで内戦が続いてきたおかげで、それなりにツラ構えが変わっている。

 さらにウクライナのゼレンスキー大統領は、これから3年かけてウクライナ軍の定員を10万人追加し、将兵の給与も上げると2-1に声明した。このぐらいヤル気を見せると米国の納税者も納得する。

 2019に当選したゼレンスキーは、公文書の言語はウクライナ語に限るという法律を通すなど、脱ロシア化を進めつつあるが、そうさせたのは、2014のプーチンなのだ。因果が巡っているのである。

 ウクライナの成り上がり富豪、ヴィクトル・メドヴェチュクは、みずからプーチンの友人であることを誇り、3つのテレビ放送局を支配していたが、2021に自宅軟禁状態に置かれ、その支配チャンネルは停波させられた。その直後(2121-3)から、プーチンは対ウクライナのさらなる軍事作戦を考え始めたようである。


★《続・読書余論》  間接侵略・プロパガンダ、マスコミ工作 特集

兵頭二十八でございます。創作のパートナーを常時、募集しています。ジャンルは無制限。


★《続・読書余論》の最新Upは、「経済制裁関係」と「食糧備蓄関係」です。

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 Mark B. Schneider 記者による2022-2-14記事「Putin’s Arms Control Gambit: Arms Control Without Russian Compliance」。
   2022-2-2にロシアは、ジャーナリストを経由して《半公式》に対米脅迫宣伝をさせた。すなわち、地上機動式のICBM「ヤルス」を、2個発射師団分、常駐の基地の外に「演習」で展開させた、というのである。ICBM演習を真冬にやることは普通ではない。

 テーブルの上に銃を置きつつ、ロシアは「交渉しよう」と言っている。
 だが米政府はうそつきとの交渉は得意ではない。

 米政府(オバマ政権)はロシアがINF条約に背いていることを2011年に知ったのにもかかわらず、その違反行為(9M729のことだが、オバマ政権は名指しせず)について2014年まで公表をしなかった。結局米国(トランプ政権)はINFから2019に脱退する。

 スペイン・メディアの『エル・パイス』が2-2にリークした、おどろきの秘密文書。米国とNATOはロシアに対して約束した。われわれは東欧諸国には、攻撃兵器・核兵器を常駐配備しない、と。

 現状、東欧正面では露軍の通常兵力と戦術核戦力が圧倒的に優越しているのだから、これでは対露抑止など成り立つわけがない。

 プーチンは「安保確約条約」を米国とNATOによびかけている。その厚顔無恥な要求条文も、全文が公表されている。

 たとえば、こんな条項が並ぶ。
 《米国は、非核武装機であっても、重爆撃機を、米国の領空外では、飛行させない。ロシアも同様とする》
 《米国はロシア国内に届くミサイルは短距離のものであってもロシア周辺に配備しない》
 《米英仏露のSSBNは、それぞれ自国の領海内から出ないこととする》
 《米国は米国外にある核兵器をすべて撤収し、その貯蔵施設は破壊する》
 《米英仏は、非核国の外国軍民に、核兵器運用にも使える兵器の訓練を施さない》

 もしロシア提案の新条約を呑むとしたら、米軍の駆逐艦は射程900マイルのトマホークを運用できるのだから、ロシア領海から900マイル離れた場所にしか所在できないことになる。「航海の自由」はなくなる。

 ロシアは北極海の大陸棚について領有権を主張しているので、北極海のどこが公海なのかについての合意も、そもそもできない。

 ロシアは、「バックファイアー」は《重爆撃機》には含まれないという立場だ。「New START」条約ではバックファイアは非核爆撃機だと定義された。しかし誰が見てもバックファイアは核兵器を運用できる。
 ロシアの国営メディアも、射程4500kmの核弾頭装備可能な巡航ミサイルをバックファイアが運用できるというロシア国防省の自慢を報道しているのである。

 「START」条約では、空中発射式でレンジ600km以上の弾道ミサイルは禁止されたのだが、「New START」ではその禁止が撤廃されている。だからレンジ2000km以上の「キンジャル」弾道ミサイルを、露軍の単座戦闘機が運用できるのである。これには核弾頭を装置できる。
 2022-1にはロシア国防省は、ミグ31の1個飛行連隊がキンジャルを運用可能になったと発表し、さらにTASSがそれに追加して、キンジャルをバックファイアにも搭載させると報じている。

 9M728は、初期には「R-500巡航ミサイル」と報じられた。500というのはレンジ500kmを強調するのだが、じつは1000kmの試射をやっていたことが Pavel Felgenhauer 記者の2014年のスッパ抜き等で隠せなくなり、さらに燃料タンクの工夫次第でレンジは3000kmにも伸びると推定されたのである。

 ロシアは「New START」でまんまとせしめたこと、すなわちロシア側だけが条約違反をやりほうだいにできるつごうのよい新環境を、いわば「ニュー INF」として、また再演したいもののようである。

 ロシアは自国製のミサイルの真の射程をごまかす。それがINF破りの常套策であった。同じことが「新条約」で繰り返されるだろう。ロシア側は長距離核ミサイルを堂々と国境と領海に配備できる。

 ロシアがチートできるチャンスは、100%である。
 2016年、ロシアは、アラスカから86マイルの場所に、核ミサイルを配備しおえた。ところがその事実をモスクワは絶対に認めようとしないのである。

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 Sandra Erwin 記者による2022-2-13記事「Lockheed Martin terminates agreement to acquire Aerojet Rocketdyne」。
   ロッキードマーチン社は決定した。米国最後の独立系のロケットエンジンメーカーであるアエロジェット・ロケダイン社を44億ドルで買収する話は、止めたと。

 この買収話については連邦通商委員会が2020-12に、独禁法違反で提訴する意向を表明していた。

 さらに先月には、4対0で、差止め命令の準備に入ることを決めていた。そのような合併がなされれば、他のロケット部品メーカーはもはや経営が成り立たなくなり、国防強化に必要なミサイルの競争試作が将来、ありえなくなるから。

 現在、アエロジェット・ロケダイン社は、ロックマートに対してだけでなく、他の兵器メーカーに対しても、推進装置部品等を納入している。


★《続・読書余論》 食糧備蓄の摘録集積

★《続・読書余論》 禁輸と経済制裁、ブロケイド 特集


最新の★《続・読書余論》は、「クーデター関係」と「暗殺関係」の摘録集積です。

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 記事「A geomagnetic storm that swept over Earth on Friday had other plans.」。
    金曜日、地磁気嵐が発生した。太陽コロナの大量噴出にともない、荷電粒子(プラズマ)に満ちた太陽風が飛来し、地球の磁場が狂った。

 地磁気嵐は、地球大気を昇温させる。LEO衛星にとっては、大気密度=空気抵抗 が、とつぜんに増えるので、困ったことになる。

 スペースX社の発表によれば、空気抵抗はそれまでの1.5倍になったことが、機体に搭載されているGPSのデータから、分かったという。

 地上管制局は、これら衛星群を「安全モード」に入らせた。そのままだと墜落するLEO衛星の軌道を上昇させて、空気抵抗を避けさせるためだ。

 スペースX社は、米宇宙軍からの情報支援も受けている。加州のヴァンデンバーグには衛星の衝突危険をモニターしている部隊がある。また加州の「レンラブズ」社は、地上レーダーによって、死んだ衛星(スペース・ジャンク)の動きをトラッキングしているので、その情報も貰う。

 しかしどうも最大で40機は、救えなかった。「安全モード」の次の軌道上昇ができなかった。これらのLEO衛星(スターリンク衛星群の一部)は、大気圏に再突入して燃え尽きる運命だ。

 全地球的な高速インターネット接続サービス(有料)を目指しているスターリンク衛星群はすでに1800機以上が、地球を周回している。
 スペースX社は、さらに数万機のスターリンク衛星を軌道投入する予定なので、40機の喪失は、たいしたことではない。

 地磁気嵐も、過酷なレベルになると、衛星内部の電子回路を破壊してしまう。しかし今次の嵐は、そこまでではなかった。

 2014年には、宇宙空間に放射線バーストがあって、「キックサット」という衛星のマスタークロックがリセットされてしまったことがある。

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 Caitlin Doornbos 記者による2022-2-12記事「Navy denies Moscow’s claim that US submarine was chased out of Russian waters」。
   ロシア国営RT通信は、米潜は無人島であるウルップ島沖を潜航していたと。

 これに対して米軍インド太平洋軍広報官のカイル・ラインズ大佐は、米軍はそもそも公海でしか行動していない、と、ロシアの言い分を否定。

 ロサンゼルス級SSNを領海から追い出したと報告した駆逐艦は『シャポシニコフ元帥』。米潜はアクティヴレーダーデコイを使い、領海からフルスピードで去った、とRTは報じている。

 次。
 Marine Matra News の2022-2-13記事「Russia Releases “BOSS” Design ? Hybrid Battleship with Stealth Kemampuan Capability」。
   ロシアのルビン設計局(サンクトペテルスブルグ)からの提案。
 ハイブリッド潜水艦『SDV-1000V』。潜航可能なステルス駆逐艦、とでも言おうか。水中でも、また水上でも、敵と交戦できる。

 艦種はBOSS=国境&沿岸・可潜哨戒艦 という。
 BOSSは全長72m、重量1300トン。全体はタンブルホーム形。

 経済巡航速度10ノットで6437km動き回れる。最高は21ノット。

 機関砲、ミサイル発射機、324ミリ魚雷発射管×4。
 多機能耐圧ハンガーが2箇所あり、たとえばそこからドローンを飛ばすことができる。

 ※いっそ、山中峯太郎の、《飛行する潜水艦》のレベルまで行って欲しいものだ。

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 The Maritime Executive の2022-2-11記事「Channel to Remote Pacific Atoll」。
   米コーストガードの浮標敷設船『セコイア』は、米海軍の水中建設チームを乗せて、カロライン諸島の南端に位置する「カピンガマランギ環礁」の、狭小化していた水道を爆破浚渫し、再拡張した。

 ミクロネシア政府職員も同乗。

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 Diana Stancy Correll 記者による2022-2-13記事「Future sailors could earn up to $50K in enlistment bonuses」。
   米海軍の募集コマンドの広報官いわく。
 将来の水兵は、入隊するといきなり5万ドルのボーナスを手にできる。これは現行より1万ドル以上の厚遇である。
 ※実態を知らないため、文章からは素直にこのように解釈するしかない。俄かに信じられない話だが……。

 海上勤務手当ても4000ドルから、職域によっては1万4000ドル、乗艦の前にボーナスとして貰える。
 このくらい手厚くしないと優秀な水兵は集められない。

 もっとカネを稼ぎたい水兵は、情報収集任務の原潜に配乗されると、それが実現する。
 長期間、水底でじっとしているたいくつな乗務なので、最大で5万ドルくらい、手当てが出港前に貰える。

 米海軍が、特技分野によって与えている手当ての高額なものとしては、たとえばヘリから海に飛び込むレスキュー隊員は、2万4000ドル。爆発物処理は1万8000ドル。特殊部隊用の高速ボート操縦者は1万8000ドル。


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★《続・読書余論》 の最新号は、「トンネル・坑道・横穴 特集」です。

 《note》 https://note.com/187326mg/  をごらんください。

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 Paul Roderick Gregory 記者による2022-2-11記事「A retired Russian general’s criticism may signal a larger problem for Putin」。
   78歳の元露軍の上級大将、レオニード・イワショフが、「プーチンは辞任せよ」と声明。
 英語で「Colonel-General」という階級なのだが、これは元帥の次に偉い。いま露軍には元帥はいないから、彼が最先任の将校ということになる。

 イワショフはプーチンによって2001年に退役させられた。※とうじ58歳だったら恨んで当然か。

 2011にはイワショフはロシア大統領選挙に討って出たが敗れ去っている。
 彼がプーチンに辞任を迫るのは今が初めてではなく、前々からなのだ。

 イワショフのスタンスは対NATOの宥和派ではない。あくまでプロ・ロシアのタカ派である。

 イワショフはNATOは敵陣営だがコントロールされており、ロシアを侵略しようとはしていないと見ている。彼はソ連時代にはNATOとの交渉に幾度も臨んでいて、NATO内部の空気を知っている。

 ところがプーチンは敢えて「NATOが攻めてくるぞっ!」というフィクションを宣伝してベラルーシやウクライナ国境に露軍を動員し、プーチン自身の失政によるロシア国内の経済的破綻から、ロシア国民の目を逸らさせようとしているのである、とイワショフは非難する。

 イワショフいわく。プーチン体制が続くうちに、ロシア国民は「世界の不可触賎民」になってしまった。
 ロシア国家の声価も、2014以来「ならず者国家」の仲間入りだ。

 イワショフは警告する。対ウクライナ戦争が始まると、トルコ軍がウクライナを直接応援してくる可能性がある、と。それは大戦争を意味する。グルジア戦線も再開するだろうからだ。

 イワショフは、今もしプーチンを辞任させられないなら、戦争を始めようとしている犯罪的政治のかどで逮捕して刑務所に入れるべきだと言う。

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 Joshua Underwood 記者による2022-2-7記事「Phantom Power:Russia’s Neo-Covert Operations in the 2008 Georgian and 2014 Ukrainian Conflicts」。
   ロシアは、ソ連時代のジョージアとウクライナを、みずからの帝国領土だと考えており、ここがNATOに組み込まれる流れをゆるしたくない。
 そのために、記者の造語である「ファントム・パワー」を駆使している。

 CIAがやるような「陰の工作」では、外国政府を倒すことまではできても、そのあと傀儡政府を樹立できるかどうかの保証はない。

 ところがロシアが2008年のグルジアでやってみせた「幽霊部隊」作戦、すなわち無徽章軍服の工作部隊を、平然と無制限に送り込む流儀ならば、ほぼ確実に傀儡政府を樹立してしまえるのである。

 そのテクニックは2014のクリミア併合でも使われ、またしても成功した。

 ロシアは、転覆させようと図る隣国の内部に「Nashi」と呼ぶ、新しい趣向の親露スタンスのグループもあらかじめ育成しておく。

 「スティッキー・パワー」戦術は、開戦前に隣国へのエネルギー供給(パイプライン経由)を支配してしまうことである。2008グルジア軍事干渉の前には、ロシアはもうそれを実践できていた。一方的にエネルギー価格を上昇させて、グルジア国内の光熱費や交通経済コストを左右することが可能であった。

 2007年1月にガスプロムはジョージア向けの天然ガスの値段をいきなり2倍にし、同時に、グルジア産のミネラルウォーターとワインの輸入を、衛生問題を名として禁輸した。

 ウクライナは自国民の消費するエネルギーの輸入代金すら工面できないようなダメ経済であったので、まんまとロシアにつけこまれた。セバストポリをリースすればガス代金を3割負けてやるといわれて契約。そのカネすら払えなくなるという体たらくであった。

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 星条旗新聞の2022-2-15記事「Russians claim they chased a US submarine out of Russian waters in the Pacific」。
   土曜日、ロシア軍は、ヴァジニア級原潜を千島列島のロシア領海から追い出したと発表。
 追い出す前に浮上命令を出したという。

 モスクワでは米国大使館附武官が呼び出された。

 現場の海域ではロシア海軍が演習中だった。


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イラストレーターさんを常に募集しています。BOOTH用の「薄い本」企画が無数にあるので。

 Jessica Casey 記者による2022-2-7記事「Poland and the Czech Republic sign Turow mine agreement」。
   ポーランドの「トロフ」炭田に石炭火力発電所があるのだが、ポーランド政府がエネルギー安保の見地からこの発電所を運転し続けることについて、すぐ隣に位置しているチェコ共和国は、理解を与えた。

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 Al Tompkins 記者による2021-2-22記事「‘Vehicle residency’: A growing number of people are living in their cars」。
  ※去年の記事なので注意。

 米本土では、500人に1人がホームレスではないかという。多いのは、西海岸と、北東部である。

 そして、「クルマを住居とする」ホームレスの形態が、増えつつある。牽引式のキャンピングカーではない。ふつうの乗用車・ヴァン・RVをシェルターとして、常にその中で寝泊りしているのだ。

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 Nathalie Sturgeon 記者による2022-2-5記事「N.B. tiny home community settles its first residents」。
    カナダのニューブランズウィック州(米国メイン州の北隣)には、「小さい家の村」が建設中。

 ホームレスを救済するために、原野をひらいて、最小面積の平屋住居を、一本の道路に沿って点々と設置した、新開地コミュニティだ。

 このコミュニティは8ブロックに分かれ、1ブロックは12棟からなる(総計96戸)。提供するのは、実業家のマルセル・ルブラン氏。まったくの慈善活動だ。敷地総面積は24ヘクタール。

 一戸の面積は23平米。その中に、キッチン、トイレ・風呂、天井裏収納スペースが揃っている。

 カナダ政府はこうしたプロジェクトには助成金を出す。おかげで、返済免除条件付きの融資の形態が可能になった。

 すなわち、世帯収入の3割以上を家賃に取られることはない。ふつうの民営アパートとは違い、ここに入居したら、そこから追い出される心配はないのだ。

 現状、まだ4棟しか竣工していないが、すでにその3棟には入居者が……。ともかく、ルブラン氏の夢の計画が始動した。

 ※真冬のカナダでテント生活しているホームレスのことを考えたら、ドイツ国民は欣然と「ガス断」を堪え忍ぶべきである。勝手に原発を停止してノルドストリームに投資し、世界に悪をはびこらせている罪は重い。

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 2022-2-10記事「The U.S. Army has released its first-ever climate strategy. Here’s what that means.」。

 米陸軍のグリーン・ロードマップ。
 2030年までに、陸軍の全基地の電力はカーボンフリーにする。
 2045年には全ての陸軍施設がネットゼロを達成する。
 2050年までには、電動の戦術車両を実用化する。
 2035年までには、ソーラーパネルをすべての米陸軍基地の配電網に組み込む。

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 2022-2-10記事「A brief history of the NFL, ‘The Star-Spangled Banner,’ the Super Bowl and their tangled saga of patriotism and dissent」。
   1945年まで、現職合衆国大統領がNFLの試合場にやってきたことはない。
 それでNFLコミッショナーのエルマー・レイデンが8月にホワイトハウスのトルーマンを訪れ、どの試合でも観戦できますというゴールデンパスを進呈した。

 その時点でNFLには四半世紀の歴史があったが、プロフットボールは、野球とボクシングの人気には、はるかに及ばないものだった。レイデンは、このパフォーマンスが新聞の見出しになれば、話題になると狙ったのだ。

 試合の開始の前に国歌「スタースパングルドバナー」を斉唱する儀式は、戦争中だけの習慣だった。レイデンは、この儀式を、日本が降伏したあともずっと続ける、と決めた。

 「ザ・スタースパングルド・バナー」は1814年にフランシス・スコット・ケイが作った。1812年の対英戦争の3年目。ボルチモアが英軍の猛攻を凌ぎ切った。その感動を、それ以前からよく知られていたメロディに、あとから詩を当てはめた。

 ※歌詞の中に「ロケット」が登場するが、これはコングリーヴ焼夷ロケット弾。薩英戦争のとき鹿児島城下もこれで焼き払われた。

 この曲が米国国歌であると法定されたのは、1931年である。
 しかし早くも1862年、つまり南北戦争中だが、ブラスバンドが、ブルックリンに新設されたユニオン野球場で、試合開始前にこの曲を演奏している。

 昔はPAがないのでバンドを雇う必要がある。それにはカネがかかるので、プロ野球の優勝決定戦のような大試合の前にだけ、それは演奏された。

 1903年の第一回ワールドシリーズでは、「ザ・スタースパングルド・バナー」は、1試合に2度、演奏された。

 興行者たちはWWI中、プロ野球は米国人の士気を高めるのに必要なので、選手を徴兵免除してくれ、と運動したが、それは失敗した。1918年のシーズンは、短縮された。
 このとき、ベースボールは非常時には不要な「ノンエッセンシャル」にすぎないと公定されたのである。

 しかしFDRはWWIIにおいて、野球は続けよ、と言ってくれた。
 これに応えねばならないと、米国のプロスポーツ業界は、WWII以降、愛国心と永久結合した。

 レイデンの誓いは、しかし、破られている。1977年のスーパーボウルでは、国歌の代わりに「アメリカ・ザ・ビューティフル」を演奏するしかなくなった。60年代から黒人選手が国歌に反発し続けていた。

 ※星条旗よ永遠なれ、は、高音部がかけはなれていて、通常男声の喉ではほぼ追躡できなくなる。音帯として誰でも歌い易いのは「アメリカ・ザ・ビューティフル」なので、こっちを国歌にしろ、という声が、昔からある。

 この風潮を一発で払拭した節目が、1991の第25回スーパーボウルでウィットニー・ヒューストン(2012没)が詠唱した国歌である。秀逸なバンドアレンジと自在にして圧巻の表現力がベストマッチし、聴く者をして鳥肌を立たしめた。

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 Minnie Chan 記者による2022-2-11記事「Was it Beijing testing Taiwan’s defences with unidentified Matsu island flyover?」。
   台湾南方の「マツ」諸島。中共の双発の固定翼プロペラ機がこの領空を侵犯した。

 このようなグレーゾーンの挑発とテストを繰り返し、隙ありと見えたなら、即座に占拠してしまおうと狙っているのだ。


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