《note》の最新Upは、石炭問題大特集 と 原発・ダム特集。

 https://note.com/187326mg/  を ごらんください。

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 APの2022-2-10記事「Denmark may allow US troops on its soil, pact in the works」。
   デンマーク領内に米軍部隊やその装備を自由に置けるようにする協議が、二国間で進行中。

 おそらく、ノルウェーが2021-5に米国に与えたのと同様の「自由出入り権」を与えることで合意するのではないか。もちろんホスト国の法律は尊重されるのである。また、核兵器と、ノルウェーが禁止条約を批准している対人地雷ならびにクラスター爆弾の持込みは、米国が勝手にすることはできない。

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 Ameya Paleja 記者による2022-2-8記事「The SkyRanger 30 HEL: Novel laser weapon with a 30mm revolving gun」。
   ラインメタル社が、装輪車載の複合防空火器「スカイレンジャー 30 HEL」をお披露目。
 短射程対空ミサイル、単装30ミリ高射機関砲、それに対空レーザー銃が標準で装備されている。

 特に小型UAV対策を考えた。VT信管に頼るのではなく、30ミリ機関砲弾の空中炸裂秒時を精密に刻む(砲側において測合して射ち出す)ことにより、従来のSAMや、直撃式の機関砲弾によっては撃墜至難であった小型サイズの標的を、空から叩き落とせる。

 HELは、ハイ・エナジー・レーザーの略である。とりあえずは20キロワット型を搭載。いずれは100キロワットに強化する。

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 ストラテジーペイジの2022-2-10記事。 February 10, 2022:
   実弾実艦撃沈試験(演習)である、米海軍の「SINKEX」。
 最新版では、2020-7に造船所で火災になってしまった大型揚陸艦(2021-4に除籍)を、標的にしたようだ。

 毎年、SINKEXでは、2隻の実艦を、加州沖かハワイ沖で、撃沈している。
 このデータはとうぜん部外秘。こうした実験をしておらず、データの蓄積の無い中共海軍に対する、米海軍の圧倒的な強みになっている。

 火事といえば、ロサンゼルス級SSNの『マイアミ』が2012-5-23にメイン州ポーツマスの海軍工廠内でアップグレード工事中に放火されて4億ドルの損傷を蒙った事件。
 この火付けをやらかしたのは工廠の工員で、6-16にもまた放火したがそっちはすぐ消し止められている。
 この男は6-21から6-23にかけて自発的に精神病院に通っていた。

 海軍工廠が、なぜそのような男を原潜内へ入れていたのか?
 ひとつには、造船所の世界ではユニオンが強い。
 もうひとつには、連邦の規則が逐年強化されているために、上司が連邦職員に対して「以前に精神病を疑われたことがあるか?」などと質問することがゆるされなくなっている事情がある。

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 古い記事。2019-5-16の「Nord Stream 2: Climate activists get into gas pipeline in Germany」。

   現状、EUは、消費する天然ガスの40%をロシアから買っている。これはノルウェーからのガス供給を上回る。
 ノルドストリーム2が将来稼動すると、EU向けのロシア産ガスはさらに毎年550億立方mも増える。

 ノルドストリーム2へのドイツからの巨額投資を決めたのは、シュレーダー首相時代であった。

 ドイツ企業だけでなく、アングロダッチシェルなど、英墺仏の大手エネルギー企業も、このノルドストリーム2への投資には一枚噛んでいる。

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 The Maritime Executive の2022-2-9記事「Environmentalists Protest Calling for End to Deep Sea Mining」。
   グリーンピースは、こんどは、深海の鉱物採掘事業全般に反対を唱えるようだ。


★《続・読書余論》 原発とダム 関係摘録集

★《続・読書余論》 石炭技術史の大特集


JR千歳線の敷地内の複数箇所の地下に「大深度・地熱加温融雪水槽」を建設し、積雪シーズン中、それを稼動させるとよい。

 積雪のシーズンが終わったら、水槽の底部の「対流」を、バルブを閉めて停止させる。
 そして、水槽上部の温水がしぜんに冷える夏頃に、徐々に地熱利用の小型ポンプで排水するようにすれば、環境への悪影響もCO2 エミッションもゼロで済むことだろう。

 千歳線を地下鉄化するのは現実的でない。しかし、これからは「激甚気象時代」に遷移することも疑いはない。何の対策もしなければ、札幌圏と千歳国際空港は、毎冬、分断されてしまう。

 もはやフィージブルな対策は、線路下に数ヶ所の巨大地下空間を掘ることしかないだろう。

 そこに雪を捨てて貯蔵しようというのではない。
 秋に線路敷地に降った雨を多少集めておき、それを冬に、地熱で加熱(さらに大深度まで伸ばした熱対流用の縦坑のバルブを開くことによる)。

 この温水をスプリンクラーで軌条にそそぎ、融雪する。そこで生じた融雪排水はふたたび暗渠導水管で地下空間に集めて、リサイクルするのだ。

 このスプリンクラーを駆動させるポンプの動力も地熱で賄えるはずだ。

 千歳空港(航空自衛隊千歳基地)は、アラスカから米陸軍の大部隊が空輸されてくるときの最も有力なハブ基地であるので、夏でも冬でも、片時も機能が止まってしまっては、わが国とアジアの軍事的安定が揺るがされてしまう事態に直結する。

 したがってこの地下貯水スペース設備工事に国費を投入することは、理に適っている。

 さて、ここで宣伝。《note》 https://note.com/187326mg/  の最新Upは、パイプライン、温泉、海底ケーブルに関連した摘録集だ。この分野の歴史に精通することで、近未来の水中工作戦を占おう!

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 ストラテジーペイジの2022-2-9記事。
    中共は、死んだ静止衛星を、数百km内側の軌道に移し、そこを「衛星墓場」として利用し始めた。
 移動させる手段として、先日打ち上げられた、マジックハンド付きの「SJ-21」作業衛星を使っているのが、観測された。

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 SOFREP の2022-2-9記事「Why Your Flameless Ration Heater Says To Rest It On A “Rock Or Something”」。
    軍用レーションの中には、レトルトパウチにセルフ加温機能がついているものがある。
 最前線で生火を使えば、キミの位置は敵にバレてしまい、そこに砲弾が降って来る。
 だから、自動加温機能付きのレトルト食品は、重宝だ。

 加温は、使い捨てカイロと同じしくみでなされる。マグネシウム粉、微量の鉄粉、そして食塩が化学反応するときに、熱が出るのだ。
 乾燥状態の食塩が、水を吸って電解液になれば、マグネシウム粉と鉄粉が、微少な電池のようになり、発熱する。

 8オンスのパックなら、10分間の反応により、温度は摂氏37度(華氏100度)、上昇する。


★《続・読書余論》 パイプラインと温泉と海底ケーブル 関連摘録集


《note》 https://note.com/187326mg/  にUpした最新《続・読書余論》は、スラヴィンスキー著『千島占領 一九四五年夏』1993年訳刊 です。

 スターリンが、沖縄の嘉手納基地のような米軍の航空基地を択捉島に置かれることを早くからどれほどに嫌がっていたかを、ふりかえって確かめておくことには、意味があります。
 非常に興味深いことに、1993年当時の著者スラヴィンスキー氏すら、この点を軽視しており、四島まとめて返還できるなどと考えていたこと。

 日本側は、道東の釧路以北に、三沢基地並の(すなわち択捉島の飛行場など霞むくらいの)一大空自基地を整備して、対抗不能性を誇示し、その上で「3島」を落としどころに平和条約(日露終戦条約)を呼びかけることだけが、唯一の可能性でしたが、外務省周辺にも誰もその地政学を理解できる者がおらず、チャンスはむざむざうしなわれて、プーチン時代に移ってしまいました。

 かつて「シナ通」を誇った者が対支政策を根本的に誤ったように、「ロシア通」を自認する者たちがこの問題の解決の芽を摘んだのです。

 ソ連軍による択捉島への侵攻が、まず「カタリナ」を使ってなされようとしていたことも、あまり認知されていないでしょう。それほど、飛行場の制圧には高い優先順位を置いていた。

 また、海岸防御には大量の地雷と機雷を使うのがとうぜんであったロシア軍の目には、日本軍の千島防衛にそれらがまったく使われていないことが、いかにも奇異に映ったことも、『千島占領』はよく伝えています。

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 SOFREP 2022-2-6記事「Blow The Man Down: Same Sex Marriage Was Practiced By Pirates?」。
    18世紀に西インド諸島海域で有名になった海賊「黒ひげ」は実在の人物で、英国ブリストル生まれ。
 彼は、どのくらいの期間、暴れていたか。たったの2年である。そう、海賊は長生きができぬ商売だ。

 海賊船は小型で快速だった。商船を見つけたら砲撃などしない。乗り移って、船まるごと、捕獲する。
 その商船が予想外に重武装だったり、乗員が戦意満々だったりすれば、海賊はあっけなく殺されてしまう。出たとこ勝負だから、寿命が短いのもとうぜんだ。

 海賊の世界では、捕獲財の分け前は、親分とその副官が最初にいちばん多く取るのだが、その余は、全ての子分のあいだで平等に分けた。

 この慣行、仲間がひとり死ねばじぶんの取り分が増えることを意味する。
 ということは、仲間同士の殺し合いも、いつ始まるかわからない。
 そこで、仲間の所有物をめぐる殺し合いを抑制する方策として、17~18世紀の海賊のあいだでは「マテロタージュ」という同性擬制婚が自然に発達した。

 語源はフランス語。というのも最初にフランスのバッカニアが創始し、それが全海賊に普及したものだからだ。

 すなわち男2名の間で収益は共有することにし、互いにピンチを救い合い、もしどちらかが死亡したときはその財産をかたわれが正当に引き継ぐという契約をかわしたのである。
 この関係は、プラトニックではないことが多かった。

 17~18世紀の欧州ではホモは絞首刑なので、それを嫌って海賊に身を投じた男もいたという。

 そんな海賊同士の婚姻契約にさいしては、海賊キャプテンや海賊司祭が立ち会って式を主宰。指輪が交換されたという。

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 Nathan Jeffay 記者による2022-2-7記事「Israeli lab-made spinal cords get paralyzed mice walking; human trial in 3 years」。
  イスラエルで、ねずみの脊髄治療実験、大成功。長い間、麻痺していた15匹のうち12匹が、普通に歩けるまでに復活した。
 3年後には人間による臨床試験が始まるとのこと。

 やったのはテルアビブ大学。
 ヒト由来の脊髄細胞を、マウスに移植してみた。

 人間に適用するときは、本人の細胞をもとにする予定である。さすれば、拒絶反応抑制のための、好ましくない投薬は必要なくなるから。

 世界中で、幹細胞を使った、脊髄損傷患者の治療研究がなされているが、これまで成功報告はひとつもない。
 テルアビブ大は、ヒトの腹部の生検を遺伝子改造して脊髄細胞に育てた。
 そしてこれが、短期麻痺マウスだけでなく、長期麻痺マウスにも有効だと確かめられたのだ。

 長期麻痺マウスで80%が四肢機能復活。短期麻痺マウスなら100%が完治したというからすごい。

 2年半後に臨床にもっていきたい。もともとヒト生検だから、確認のステップが最初から早いのだ。

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 Sandra Erwin 記者による2022-2-6記事「Space Development Agency, General Atomics eye options after setback in laser comms experiment」。
    
 昨年の6月30日に軌道に投入した、2機のキューブサット同士で、赤外線レーザーを使って衛星通信ができるかどうかの実験が、うまくいってない。
 請け負っているのは、ジェネラルアトミクス社の電磁システム部門。

 発注者の宇宙開発局によると、衛星が不羈旋転してしまっているようだ。そうなった原因は、軌道に投入したロケット「スペースX」にあった。

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 Kristin Huang 記者による2022-2-6記事「Why China’s J-20 Mighty Dragon may lack the firepower to use laser weapons」。
    中共の「殲20」戦闘機に有力なレーザー兵器を積めないでいる原因は、国産エンジンが非力で、必要な電力を作り出せないため。

 また、機速が超音速域に近づくと、衝撃波が形成されるために、それがレーザー光線を攪乱して、威力をなくしてしまう。この問題にも直面している。


★《続・読書余論》スラヴィンスキー著『千島占領 一九四五年夏』1993年訳刊


Even Baltic States could puncture the evil pipelines as turning against an aggressor.

 バルト海は平均水深は55m。ノルドストリームの1と2は、おそらく100mくらいのところに敷設してあるだろうから、レジャー漁船の簡易魚群探知機でもその位置は分かってしまい(というか、錨被害を避けるために初めからGPS座標が公表されているであろう)、場合によっては、昔ながらの「測深錘」でも位置を探り当てられるだろう。

 つまり、海軍の特殊部隊でなくとも、このパイプに小孔をあけようと思ったら、誰でもできてしまうのだ。
 海底ガスパイプラインは、小孔があいただけでも、機能は止まる。復旧には、長期の大修理が必要である。

 ゲリラが放つ、大きなオモチャ級のUUVとIEDにより、ノルドストリームは端から端まで完膚なきまでに破壊できる。バルト三国もフィンランドもポーランドも、最後の報復措置としてこの手段をもっているのだ。

 ロシアの2021年の国家予算の36%に相当する外貨を、天然ガス輸出が稼いでいる。プーチンの権力源はこれだけである。ウクライナとポーランドが国内の陸上パイプラインを破壊すれば、あとはノルドストリーム1だけがドイツにつながる太いパイプになる。それは、バルト海と無関係の外国のフロッグマンやUUVによっても、いともかんたんに寸断できるのだ。

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 ストラテジーペイジの2022-2-4記事。
   2021年にトルコはウクライナと74億ドルの貿易をしている。これは2020年よりも47億ドル多い。

 トルコは現状、穀物をロシアから最も多く輸入している。2021年だと560万トンだ。しかしこの量は、近年、減らされる趨勢にある。
 トルコは、穀物輸入先を、ウクライナにシフトさせつつある。2021年の実績だと140万トン。

 2月3日、米軍のコマンドー部隊が、トルコ国境から数kmしか離れていないシリアのイドリブ県内のIS幹部アジトを急襲。
 アル・クライシは、3階建ての要塞屋敷の三階部分に、全家族をまとめて生活させていた。これも人間の盾なのである。

 そこで米軍の襲撃隊は、未明に建物を包囲したあと、拡声器で、一般市民は建物の外に出ろと警告した。特殊部隊員はアラビア語で警告できるのである。近所の住民にも退避を促した。
 覚悟したアル・クライシは妻子を集めて自爆ヴェストに点火した。

 トルコは2021末時点で、年36.08%のインフレだった。それで、トルコ・リラの外国為替価値も40%下がった。さすがにこれはまずいとエルドアンも認めるしかなくなっている。

 2022-1-29、エルドアンは統計局長をクビにした。しかし統計局長は本当の数字を出したのだろうか?

 エルドアンはインフレを抑制しなければならないのに、逆に金利を下げさせてきた。おかげで2月にはインフレは49%になったと発表された。だが民間研究者は、トルコのじっさいのインフレはその倍だと言っている。

 利下げをすることでトルコ経済はよくなるか? 百歩ゆずって、もしそうなるとしても1年以上先だ。トルコ国民は、燃料と食料の価格上昇をあと1年も我慢できない。つまりエルドアンは今、大ピンチなのだ。

 イランからトルコに天然ガスを送っているパイプラインが、なんらかの技術的な故障により、1月20日、止まった。

 イランはその不具合の詳細について何も発表していない。※ロシア発のサイバー工作等が疑われる。

 トルコ国営の、天然ガス配給機関であるBOTASは、国内の工場やガス火力発電所へのガス供給を40%減らすしかなくなった。
 そのかわり、一般家庭への送ガスは保たれている。もし一般家庭用のガスを冬に止めたら、国内で反エルドアンの暴動が起こってしまいかねない。

 しかし1月28日にイランからのガス供給が復活したので、工場への配給もこんご10日以内に元の水準に戻せるとBOTASは声明した。

 2020年の実績で、トルコは480億立方メーターの天然ガスを消費している。
 イランは同年、53億立方メーターのガスをトルコへ輸出した。約10%だ。
 2021年には、その割合は15%に増えた。

 1月21日、ギリシャなどの警察が、個人所有のヨットを使ってトルコからイタリアへ不法に移民を渡らせようとした犯罪組織を摘発した。

 サッカーのワールドカップが2022-11から、45日間、カタールで開催されるのだが、カタールにはそれを警備する警察力がないので、トルコが3250人を派遣することになった。1-19のトルコ発表。そのなかには50人の爆弾処理のプロも含まれる。

 トルコは国連で使われる国名を、現在のかんぜんな英語式から、英語圏のキーボードにはない字を含むトルコ式の表記に変えさせるつもりである。

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 Liam Giliver and Emily Baker 記者による2022-2-4記事「Germany Has Officially Banned The Culling Of Male Chicks」。
   昨年、ドイツは、鶏卵生産業者がニワトリのオスの雛を間引くことを禁ずる法案を考え始め、2022-1-1にそれは動物福祉法の一部として制定された。

 法律が施行されるのは2024からである。それ以降は、受精卵が6日目になるあいだにオスを間引く行為だけが許される。6日を過ぎると胎児に感覚が生ずるので殺すのは残虐だというわけ。
 ところが今の技術では、受精卵が9日目にならないとオス/メスは判別できない。

 牡雛を大量にシュレッダー処理する風景が、フランスやスイスでは以前から嫌悪されてきた。それをやめさせようという動きは、独仏がリーダーシップを競っている。

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 「Green construction: Fixing concrete’s carbon footprint」という記事。

    コンクリート建設物に不可欠なセメント工業は、航空機や船舶の2倍、すなわち全地球に排出される年々の二酸化炭素のうちの8%の排出元になっているため、なんとかしなくてはいけない。

 1年間に生産されるセメントの量は、40億トンである。

 後進国の経済が発展すると人々は都市に集まり、先進国並の集合住宅が需要され、これからもっとセメント消費は増すはずだ。

 もっか中共は世界のセメント生産の半分以上を生産中である。中共が2011年から2013年に製造したセメントの量は、なんと、合衆国が20世紀の百年間に製造したセメントの量よりも多い。

 セメントを造るときには、原料の石灰石を、回転するキルン窯の中で1400度以上に熱しなくてはならない。その熱源として石炭や重油が燃やされるほか、石灰石が「クリンカー」に化学変化するときにも二酸化炭素が出てきてしまう。

 2021-10に、世界セメント&コンクリート協会(そのメンバーは中共外の会社からなり、非中共の業界の8割を代表する)は、2050年までに100%の脱炭素を実現するというロードマップを公表している。

 具体的な方法としては、キルンの熱源としてゴミ焼却炉の熱を利用し、また、クリンカーの一部として、製鉄工場が出す廃物や石炭ガラを再利用するという。ただしそれだけでは40%の脱炭素しかできない。

 ビルの設計を見直し、また、コンクリート建築物の寿命を伸ばすことによっても、25%近くの脱炭素ができるという。それには、古いビルを壊さずに、パッチをあてて使い続けることも推奨される。

 期待のかかる脱炭素技術は、工程の途中で生ずる二酸化炭素を、環境中に放出される前に捕獲してしまえる、新しいプラントである。
 これは簡単な話ではなく、実現するとしても10年後。

 フランスでは某セメント会社が、工程中で発生する二酸化炭素を、ダスト状の軽量骨材(すなわち砂の代わりになる)の中に取り込むことに成功した。

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 Zarvan 記者による2011-4-28(もしくは2015-11-18)記事「Silent Sniping Grows In Popularity」。
    パキスタンの軍も警察も、消音狙撃銃に関心を強めている。.22口径—.22ロングライフルという競技銃用の実包—で、亜音速の弾丸を発射するライフルだ。
 精密に当てられる距離は100m未満である。

 じつは犯罪組織に雇われる殺し屋の間では.22ロングライフル実包を使う消音拳銃が、暗殺手段として1990年代から選好されてきた。

 競技用の非力な弾丸でも、至近距離から人の頭に2発撃ち込めば、まずそいつは死んだと思っていい。
 また.22LR実包は、サイレンサーを使えばもちろんのこと、サイレンサーなしであっても、相当に発射音は小さい。

 そしてまた、非力な弾丸を発射する拳銃は小型軽量である。隠し持ちやすく、且つ、こっそり捨てる場所に困らない。

 特殊任務中には、警備犬を射殺したり、監視カメラを壊したりと、小口径の非力な拳銃を使いたくなる局面は多々ある。

 1990年代、ロシア軍の侵攻を迎え撃ったチェチェンのゲリラたちは、子どもが栗鼠などをハントするための.22LR仕様の軽量猟銃(安価な照準スコープ付き)の銃身に、底の中央に小孔をあけたペットボトルを被せれば、実用的な消音狙撃銃になることを立証した。
 用いる場所は夜の市街地なので、ターゲットの露兵までの距離は100m未満である。
 それだけの近さであっても、発射音が聞こえない限り、露軍のパトロールには、どこから発砲されたかの見当はつかない。

 もちろんヘルメットにボディアーマー着用だから、正面から顔面を狙われるわけだが、それでも、音には気付かないのである。

 露軍もこのローテク兵器には著効があることを認め、2004年に、最初から軍用に設計した.22LR仕様の消音狙撃ライフル「SV-99」をこしらえた。

 SV-99は、100m先を狙撃した場合に、弾着の散らばりが半径12ミリ以内だそうである。その代わり、子ども用猟銃を改造したものと比べて重い(3.8kg)。

 ※米国でこの.22LR射的銃+ペットボトル消音を自分で試した人の投稿を読んだところ、何発発射しても、10フィート離れた人に、まったくその発射音は聞こえなかったそうである。ただし、スコープの視野を太いペットボトルが阻害するので、スコープの取り付け方は工夫をする必要があった。.22LRの威力だが、サウスカロライナ州の体長3mのアリゲーターを2発で殺せるそうだ。

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 SOFREP の2022-2-4記事「Fact or Fiction: Can You Really Use A Mortar Round As A Grenade?」。
    映画の『プライベート・ライアン』を観た人は思っただろう。「本当に迫撃砲弾を手投げ爆弾にできるのか?」と。
 答えよう。できる、と。

 まず着発信管の安全ピン(迫撃砲弾にもついている)を抜き、ついで、迫撃砲弾の底部を何かにぶつけて、内臓の安全機能を解除する。これは通常、発射時のGで自動解除される仕組みである。
 二重に安全を解除したら、あとは、放り投げるだけ。ただし注意。着発信管は敏感だから、投げる途中で傍らの何かに弾頭部をこすったりすれば、瞬時に自爆してキミはおしまいである。

 第二次大戦中の沖縄で、日本軍が逆襲してきたとき、ビューフォード・アンダーソン軍曹には、投げるべき手榴弾がなくなっていた。そこで日本軍の迫撃砲弾の不発弾を拾って投げ返したところ、それはうまく爆発して、複数の日本兵を斃したという。さらにアンダーソンは、自軍の60ミリ迫撃砲弾の弾薬箱から弾丸を取り出し、その安全ピンを外し、底部を岩に打ち付けてから、アメフトのパスを出す投げ方で投擲。これと、カービン銃の射撃を交互に繰り返して、日本軍の逆襲を阻止した。このとき彼が投げた60ミリ迫撃砲弾は14発に及んだという。アンダーソンは、この活躍により、議会勲章(メダルオブオナー)を授与された。したがってこの話も嘘ではないと公式審査で認められているわけだ。

 もうひとつ、イタリア戦線でも、迫撃砲弾を手榴弾代わりに投擲した実例が記録されている。WWIIを通じて、この2ケースしかないそうだ。

 ただし注意。迫撃砲弾の破片は45フィート以上飛び散る。そして重さは、60ミリ迫撃砲弾であっても、アメフトのボールの3倍ある。それを45フィート以上、投げるというのは、簡単ではない。だから、かならず胸壁などの手前から投げて、爆発破片をじぶんが浴びないように考える必要があるのだ。

 ※最新の《続・読書余論》は、 特殊部隊・破壊工作 関連摘録集 をUPします。これを勉強して、ウクライナ支援、ポーランド支援、バルト三国支援、フィンランド支援を考えよう!


★《続・読書余論》 特殊部隊・破壊工作 関連摘録集


《note》 https://note.com/187326mg/  の最新リリースは、★《続・読書余論》ゲリラ戦 関係 摘録集 です。

 The Maritime Executive の2022-2-4記事「Cyberattack Disrupting Northern European Oil Hubs in Major Ports」。
    西欧の複数の港の原油荷上げ施設に対する、ロシア発と疑われるサイバーアタックが起きていた。
 まずドイツで、ついでオランダとベルギーから、事例が報告されていた。

 1月29日に、かなり高度なサイバー攻撃がドイツの「Oiltranking Group」と「Mabanaft」社を狙い撃ち。

 「BlackCat」というランサムウェアだという。

 米国東部の燃料パイプライン網を麻痺させた2021-5のサイバー攻撃のリバイバルだと、誰もが思っている。

 次。
 2022-2-5記事「Shock in France after giant trawler sheds 100,000 dead fish off coast」。

 オランダ船籍のトロール漁船『FV Margiris』は、世界で二番目にでかい漁船であるが、10万尾以上の死んだ魚を大西洋のフランス沖で海上に投棄しているところを環境団体によって写真撮影されてしまった。
 会社の説明によると、網が壊れてしまったのだと。
 巨大トローラーの網は、全長が1kmを超える。

 ※底引き網で海底パイプラインが破壊されたという事例は寡聞にして知らないが、通信ケーブルをロシアの「漁船」が錨で切断する荒業は昔から有名だ。次に来るのはこの事態かもしれない。


★《続・読書余論》ゲリラ戦 関係 摘録集


最新の《続・読書余論》 https://note.com/187326mg/  は、『ヒュースケン 日本日記』1989年 岩波文庫刊・他 です。

 Jim Crotty 記者による2022-1-30記事「Synthetic Drugs are Different, Our Response Must be Too」。

   過去20年で麻薬ビジネスは何が変わったのか。工業的に合成できる薬物の登場である。たとえばフェンタニルや、メタンフェタミン。

 もし、コカインやヘロインなど、芥子栽培が前提となる麻薬ビジネスを始めようとすると、広大な土地をじぶんの思い通りにできる必要があり、しかもその土地は、芥子栽培に適した気候帯でなければ、失敗する。

 ところが合成ドラッグにはそんな参入制約がないのだ。

 製造コストは低い。製造から貯蔵まで、隠しておくことも容易。
 運び屋の視点からすれば、パーフェクトなドラッグだと言える。

 消費者側から言うと、合成ドラッグは、オーソドックスなドラッグより、致死的である。

 合衆国では今日、合成ドラッグの過剰摂取による死者が、他のドラッグが原因の死者数を、上回っている。
 この犯罪がらみの暴力やテロ行為も、アメリカ社会をいちじるしく脅かしている。
 もはや米国人の安全保障にとって、最大の害悪源泉だと見てよい。

 2001年以来このかた、違法薬物に関連して殺されている米国人の数は、なんと100万人を超えているのである。
 特に、フェンタニルは、筆頭だ。その過剰摂取は、18歳から45歳までの成人死因の第1位。自動車事故死よりも多いし、犯罪暴力による死亡よりも多いし、新コロによる病死よりも多いのだ。

 フェンタニルの原料は、中国からメキシコに輸入され、製品は、メキシコの工場から北米の南西海岸へ持ち込まれる。

 メキシコの麻薬カルテルの筆頭は、シナロア一家と、GNJG。この2グループによる寡占支配である。

 そして米政府の調べでは、昨年、違法薬物を使った米国人は、8000万人以上。

 トム・クランシーには申し訳ないが、今そこにある危機とは、メキシコから来るフェンタニルである。このサプライを撲滅しなければいけない。

 2019に米政府は、フェンタニルをメキシコへ輸出するな、と中共政府にかけあい、その結果、中共製の違法薬物は減ったのだが、こんどはそのかわりに中共から前駆物質がメキシコへ輸出されるようになった。メキシコの工場でフェンタニルが製造されるようになったのである。

 提案がある。もっか、米国の沿岸警備隊は、南米から北米へのコカインの密輸出を集中して取り締まっている。その努力を、中共からメキシコに運び込まれるフェンタニルの前駆物質の阻止に、振り向けるべきである。

 これは、コーストガード船が太平洋域で中共の商船を監視するということだから、米海軍の対支態勢の助けにもなる。意義が二重に大きくなるだろう。

 ながらく米政府は、大量破壊兵器がコンテナ船に仕込まれて米国港湾に送り込まれるという悪夢と戦ってきた。だが数値を見よ。過去12ヵ月で、違法薬物は10万人の米国人の命を奪っているのである。これこそ大量社会破壊兵器ではないか。現実を見るがいい。

 イラクとアフガニスタンで米軍は、ある技法をマスターした。それは、自家製爆薬を手作りできる技能を有するごく少数の爆薬プロ職人を探し出すテクニックである。
 このすぐれた捜査戦法を、こんどは、メキシコでフェンタニル合成工場を操業している、少数のケミカル専門家たちに適用することだ。そやつらこそが、合成麻薬撲滅に直結する、キーパーソンなのだ。

 ※前の大統領のトランプが建設させたメキシコ国境の壁は、不法労働力の密入国は防いだが、ヤクの流入を減らせていない。ならば、彼はどうすればよかったのか? メキシコとの陸上交通を全面遮断し、メキシコからの米国入国は、必ず空港を経由しなければならない――ということにするのが、最善であっただろう。それで、自動車・トラックに麻薬を隠して持ち込むことは不可能になった。それで米側は、薬物取締りのマンパワーを空港に集中することで、違法ドラッグの流入を激減し得たと思う。もちろんそうすると、メキシコに工場を持っている米国資本は、海送か航空便で製品を米国内に搬送するしかなくなるので、商売が成り立たなくなる。けれども、トランプは「雇用も守る」「中国に出て行ったメーカーは反アメリカ」と言っていたので、ポリシーの首尾は一貫する。国境の陸路往来封鎖によって米国経済が蒙る物質的損失と、数万人単位の自国民の人命の救済を天秤にかけたなら、答えは明らかだと思うのだが、何ゆえ、米国の司法哲学は、この結論を避けようとするのであろうか?


★《続・読書余論》『ヒュースケン 日本日記』1989年 岩波文庫刊・他


摂氏50度のトンガ海岸で豪州海軍の揚陸用ヘリ空母『アデレード』が動力故障し立ち往生。水兵グロッギー。

 おまけに艦内で新コロに70人以上罹患していて参っているそうだ。

 ※この点、シナ海軍はちゃんと考えていた。「病院船」という名目で、実質、「海外派兵軍人のための休憩船」を用意した。これなら、病気が蔓延する外国の土地に寄港/上陸しなくとも、クーラーの効いた船内で、将兵がリラックス&リフレッシュできるわけである。わが国が「病院船」を造る合理性は無い。しかし、海外派兵自衛官のための洋上休息施設となるプラットフォーム船は、あっていい。それはいざというときは「隔離施設」にも供用できるし、普段は物資貯蔵船にしておける。平時の人件費は最小で、緊急非常時の融通性はMax。こういうモノを考えられるようでなくば、日本の造船会社の衰退もいたしかたないだろう。

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 Florian CAZERES 記者による2022-1-31記事「Ukraine tensions jumble up Germany’s energy puzzle」。
   今、ドイツが輸入する天然ガスの、55%は、ロシア産である。これは2012年と比べると40%も増えている。異常な政策が採用されてきたのだ。※ちなみにメルケルは2005末~2021末の期間、ドイツ連邦首相。

 ドイツが消費する全エネルギーに閉める天然ガスの割合は、げんざい、26.7%だ。
 またドイツの2世帯に1世帯は、暖房が天然ガスストーブだ。

 という次第で、ドイツがロシアに経済制裁を加えると、ドイツの方が痛いという愚かしいことになっている。
 今のドイツ外相は、「ノルドストリーム2」も制裁アイテムに含まれていると明言した。
 このパイプラインには100億ユーロ=120億ドルが突っ込まれている。メルケルはこれによって、リニューアブルエネルギーがドイツの総需要を満たせないときにも安心だと考えたのだ。

 ただし現実には、ノルトストリーム2が運開すればドイツのロシアへのエネルギー依存は2倍になってしまう。ロシアに地政学的な兵器を与えてやるようなものである。欧州の政治評論家たちは、メルケルの政策は危険すぎると警告してきた。その通りになってしまった。

 ドイツ政府は、国土の2%に風力発電タワーを建設することや、あらゆる建物の屋根にソーラー発電パネルを設置させる大計画を推進中である。

 ある経済研究所の試算。原発を2022末にフェイズアウトさせ、2030には石炭火発もゼロにすると、ドイツはこれから8年間、必要なエネルギーの三分の一を天然ガスに頼るしかない、と。

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 The Maritime Executive の2022-1-31記事「Los Angeles and Shanghai Plan World’s First Green Shipping Corridor」。
  上海市とロサンゼルス市は、長期的に、カーボンを排出しないコンテナ船の海上回廊を構築することになった。

 ※「上海~LA」航路が巨大コンテナ船にとってはドル箱路線なので、途中の日本の港にわざわざ大隈海峡から北上して立ち寄っている時間などは惜しい、という現象が既に発生している。そこで、中型~小型のスペシャルなコンテナ船が、日本のメーカーと商社専用に、必要になる次第だ。それはいったいどんな船内設備を持っていなければならないか、過去のブログを見て欲しい。

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 最新の《note》 https://note.com/187326mg/  は、ケンペル著『江戸参府旅行日記』です。今、ロシアや中国は「鎖国」を目指している。メルケルは、ドイツの鎖国は不可能だと考えた。ところがプーチンはそう思ってないわけです。しからば、日本にとっては、鎖国がよかったのか、開国がよかったのか? 江戸時代を覗いた外国人の記事くらい、その参考になる資料はないでしょう。


★《続・読書余論》エンゲルベルト・ケンペル著『江戸参府旅行日記』1977年訳刊・他


■《note》 https://note.com/187326mg/  の最新Upは、日独伊三国同盟について米内光政を軸に見直したい人のための摘録集成であります。

 ただし小磯国昭の自伝摘録が今回は収まらなかったので、後日別な米内本を紹介するときにまたこの関連テーマで一挙ご紹介をしたいと思います。

 いまドイツ人が何を考えているか?「ロシア牽制のために中共が強くなって暴れてくれればいい」と思ってるんじゃないか。

 これは1930年代以降のソ連周辺諸国の外交オプションが、姿を変えてまた生長しているのだとも看做し得る。国防の死活的要請があるならば、敵国の反対国境に所在する好位置の「悪者」と軍事同盟するべきなのか? 米国もWWII中はスターリンと同盟し、冷戦期後半には中共と結託しました。

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 BEN FOX and VLADIMIR ISACHENKOV 記者による2022-1-29記事「Russia’s risky options beyond full Ukraine attack」。
    2014にプーチンがクリミアを切り取った。同時にドンバス地方で武力内乱を起こさせたが、これですでに1万4000人もが死んでいる。

 ロシアは石油の生産量において、サウジアラビア、米国に次ぐ、世界第三位である。そしてヨーロッパ人が消費する天然ガスの40%を供給している。

 また、あまり注目されていないが、主として発展途上国向けに、穀物も大量に輸出している。

 ロシアからの輸出が止まれば欧州は迷惑するが、この迷惑は一回きりである。なぜならそんな経験をしたら二度と欧州人は、ロシアのガスには依存しようなどと思わなくなる。ロシアは「ガス禁輸」のカードを、優良顧客とともに、永久に失うのだ。

 プーチンは、北京冬季五輪の開会式に参席するという。


★《続・読書余論》豊田穰著『激流の孤舟 提督・米内光政の生涯』講談社 昭和53年刊


『くだらぬ議論は止めよ! 敵地攻撃力はこうすればいい!』は BOOTH のみにて絶賛発売中。

 2022-1-26記事「Thai cleanup underway after oil spill off eastern coast」。
   タイの東海岸の工業地帯。その沖合い20kmのところで、原油のパイプラインが裂けてしまい、16万リッターが漏出したと見られる。

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 James Purtill 記者による2022-1-28記事「Direct air capture machines suck carbon dioxide from the atmosphere. Are they part of the solution to climate change?」。
   空気中の二酸化炭素を直接捕獲し、それを地中の岩石層に送り込んで閉じ込めてしまうという民間プロジェクトがすでにアイスランドで運開している。1年に数千トンの二酸化炭素を減らせるという。

 ある試算。オーストラリアが2年間で排出する二酸化炭素は10億トンである。これを森林によって吸収させるには、ニューサウスウェールズ州と同じくらいの面積に植林しなければならない。

 つまり、「もっと木を植える」という作戦では、なかなかはかどらないわけ。
 しかるに、直接空気捕獲法(DAC)の工業プラントなら、同じ仕事をさせるのに必要な面積は、ニューサウスウェールズ州の0.3%でいい。

 豪州国立大学の気候変動研究所所長氏いわく。地球気温上昇を1.5度まで抑制するには、たんにエミッションを減らすだけでは追いつかない。二酸化炭素の吸収除去が併用される必要があります。

 大型扇風機が空気を吸い込むと、その先には、薄いプラスチックの板があり、その表面には、水酸化カリウムの溶液が流れている。
 この水酸化カリウムが二酸化炭素の分子に結合して炭酸塩になる。

 また、別の方法もある。スポンジ状のフィルターで二酸化炭素を吸収させ、次にそのスポンジをガス貯蔵容器の中で再加熱することで二酸化炭素を吐き出させる。

 そしてアイスランドでやっている方法。捕えた二酸化炭素を、地中1kmの溶岩の中に注入する。
 2年以上経つと、それが玄武岩と反応して、硬い炭化物質に変わるという。

 カナダの「カーボン・エンジニアリング社」は、やはりDACの企業だが、捕獲した空中の二酸化炭素を原料にして、軽油や灯油を人造する方法を模索している。これならば、大気中に余計な温暖化ガスを増やすことにはならぬ。すなわち、カーボン・ニュートラルである。

 アイスランドのDACプラントは、年に4000トンの二酸化炭素を捕獲する。
 これは地球に1年間に放出される二酸化炭素の「1000万分の1」の量に相当する。

 空気を吸い込むためのファンを廻すために電力を使うのは面白くないというので、「メカニカル・ツリー」を考えているグループもある。高い塔に多数の隙間が設けられていて、そこを風が通るときに、二酸化炭素が捕獲されるという。

 豪州には、耕作に向かない広大な土地がある。そこに、小型のテント状の構造を多数置き並べて、太陽光線をエネルギー源にして二酸化炭素を空気中から除去しようという計画もある。
 この試作品は今年中にできあがる。

 ※極地や高地など、内部の保温を特に必要とする建築用のブロックに、二酸化炭素を封入するという考えがあっていいはずだ。二酸化炭素の泡(フォーム)で部材を軽量化し、且つ、温室効果を発揮させる。

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 Ben Turner 記者による2022-1-27記事「Out-of-control SpaceX rocket will smash into the moon in weeks」。
    7年近く前に打ち上げられた「スペースX」のロケットが、いま、月に向っている。月面に落下させて処分するためだ。

 2015-2に「ファルコン9」ロケットの二段目が、地球から150万kmも離れたラグランジュ均衡点に投入された。そこで、太陽嵐と、地球の気候の両方を、観測させるために。しかし、軌道維持のための燃料がなくなりかけている。このままでは重さ4トンのデブリになってしまう。

 衝突させるのは月の裏側である。2022-3-4がその予定日となっている。
 月の赤道上に落ちるだろう。

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 2022-1-26記事「Southern Ocean storms cause outgassing of carbon dioxide」。
   南極の周辺の海は冷たいので、たくさんの二酸化炭素がその中に溶けている。特に深海部分に。
 しかし烈風が吹くと、深層水が上昇してきて、さらに海面から大気中への、二酸化炭素ガス放出が促される。
 グーテンベルク大学が、筏ロボットなどを使った観測により、これをつきとめた。

 ※その逆の現象もあるはずだよね。熱帯と温帯の降雨は、大気中の二酸化炭素を捕捉しているだろう。


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 Fehim Tastekin 記者による2022-1-24記事「Why Turkey wants to mediate in Ukraine crisis」。
    トルコの苦悩。
 それは1936モントルー条約。
 黒海の沿岸国ではない国の軍艦は、ボスポラス&ダーダネルス海峡を自由勝手に通航できないようにする仕組みだ。
 トルコがNATOから抜ければこんな条約はロシアには強制できなくなる。
 だからNATOの東方拡大にトルコは賛成するしかない。しかしそうするとロシアとの対決必至。
 ウクライナの次に、露軍の攻略対象にされてしまう。

 というわけでエルドアンは、外見的には「トルコは中立」と見せるしかない。

 エルドアンは2月にキエフを訪れ、その足でモスクワに向かい、緊張緩和をなんとか斡旋したい。

 ※TB2が大活躍してしまうとプーチンからエルドアンが恨まれるので、予防線を張るのにてんてこまいという感じだ。ところで北海道にやってくる最大の猛禽である「オオワシ」は、体重が9kgある。これは、「手投げ式自爆UAV」を新規に設計するときの、標準の目安になるのではないかと思う。最大離陸重量を9kgとして、そこになんとか4~5kgのサーモバリック爆薬(この分量ならばMBTにも有効)を充填し、ごく低速で飛翔させて、250mくらい先の目標を襲撃させる。レンジを欲張らなければ、じゅうぶんに安く大量生産ができるはずだ。市街戦の場合、敢えて「誘導させない」という選択もあるはずだ。

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 ストラテジーペイジの2022-1-26記事。
   イスラエルはUAEとは2020に外交関係を正常化した。それいらいイスラエルの軍事メーカーがUAE内に支社を置いているのだが、エルビットのUAE現地法人であるESELは昨年末、でかい商談を成立させた。

 UAEの保有するエアバスA330機、とくにそのタンカー型(正確には「マルチロール・タンカー・輸送機」MRTT)の、消極自衛装置一式だ。

 敵ミサイルの飛来を赤外線パッシブセンサーで探知して自動的に敵ミサイルを幻惑させる。

 すなわちフレアを投下するとともに、ターレット式の赤外線レーザー銃によって、飛来する敵ミサイルのIRシーカーを塗り付け、盲目化させるのだ。

 じつは欧州各国では、民航機がフレアをバラ撒くことを禁じている。下界の民家に火事を起こしてしまう可能性があるからだ。

 エルビット製の、ロボット式IRレーザー砲塔は、この問題をクリアする。

 センサーの構成だが、2個から6個の機外カメラによって、接近する敵ミサイルをパッシヴに探知する。脅威度を判定するのはAIである。そして、球形ターレットで首振りするレーザー銃を指向せしめる。

 ※おなじようなシステムを今では韓国メーカーも国外市場へ売り込んでいる。誰も解説しないのが不気味なのだが、スターウォーズの「R2D2」もどきといえるボール型レーザー砲塔(銃身は外には突き出さない。ドームの内側で動くだけ)は、赤外線波長を可視光線波長に変えれば、そのまんま、敵戦闘機のパイロットを目潰ししてやれる兵器になる。WWI中の「複座戦闘機」のリバイバルだ。ここにも進化論の大原則があてはまっている。いったん、進化の階梯を何段階かあともどりさせ、そこからあらためて別分岐の進化をやりなおさせることで、革命的システムを入手できるのである。

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 Andrew Eversden 記者による2022-1-25記事「Oshkosh Defense announces first hybrid electric JLTV」。
   オシュコシュ社は、自主的な社内投資として、JLTVを30分だけ、電池&モーターだけで走らせられるようなレトロフィットキットを開発した。

 静かな偵察が、短時間だけ、可能になるわけ。

 JLTVはすでに米陸軍と海兵隊に計1万5000両以上、納品されている。

 このためのバッテリー容量は「30キロワット・アワー」。
 しかもこの改造をほどこしたあとは、JLTVじたいが「発電車」になることができるので、外部に115キロワットアワーの電力を給電してやることもできる。

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 Joseph Trevithick 記者による2022-1-26記事「Here’s What Those ‘Bunker-Defeat’ Rockets The U.S. Sent To Ukraine Are Actually Capable Of」。
    米国はウクライナに、大量の「M141 バンカー破壊弾」を供給している。歩兵1名で携行して発射できる、使い捨て式の万能ロケット弾である。

 米空軍が公表した写真によると、1月22日に、デラウェア州のドーヴァー空軍基地から、「M141」をボーイング747貨物機に満載して、キエフに空輸したようである。
 この機体は「ナショナル・エアライン」が運用する。

 今日、この兵器はBDMと略称される。「SMAW」(Mk153 肩射ち多目的アサルト火器)という既存の使い捨てロケット弾から派生させたものゆえ、当初は「SMAW-D」と呼んでいた。ちなみにSMAWは使い捨て型ではなかった。
 1990年の開発当時は、この火器の使用目的は、敵の、コンクリートで強化された塹壕であった。

 もっとさかのぼると、イスラエルに「B-300」という歩兵用のロケット火器があり、SMAWはそれをベースにマクダネルダグラス社が改良したのである。海兵隊用に。1980年代の話。

 最新のBDMは、二重機能高威力炸裂弾頭(HEDP)を発射する。
 SMAWが500m飛翔したのに比してBDMは250mに抑制。

 ものすごく簡単に説明すると、BDMは、「M72 LAW(軽量対戦車弾薬)」の現代版なのだ。

 市街戦でビル壁の向こう側の敵兵を殺傷するのに役立つ。
 しかしMICVくらいのAFVなら、そのアーマーも破壊できる。

 ※キエフやハリコフで、近代軍が苦手とする市街戦が、延々と続くぞ、という「悪いプロスペクト」を露軍の参謀本部作戦課員に持たせようという「軍to軍」の心理戦である。政治家がBDMと聞いても、その意味までは分からないが、それでいいのだ。敵軍の参謀が分かっていれば。

 ※SMAWについては拙著『尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか』の pp.174~177 にいささか概説してありますので、どうかご参照ください。

 ※ところで先日クビになったドイツ海軍の制服の長だが、あいつはわざと辞任したくて、計算ずくであんな発言をしたのではあるまいか。ということは、穿って考えると、米海軍は今、黒海で、所在の露艦艇を全滅させてやるつもりで準備を進めているのではないか? 《クリミア砲撃にドイツ海軍もNATOとして加われ》と迫られたら、とても困ってしまう。バルト海に飛び火するからだ。それで、ノイローゼになり、わざとクビになる道を選んだのではないか?


★《続・読書余論》 ポーランドの防衛問題・軍事史 摘録集


尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法