「読書余論」 2010年12月25日配信号 の 内容予告

▼国際事情研究會・眞隅伴雄ed.『日蘇戦争は何時始まるか?』S12-5
 ある人からプレゼントされるまで、わたしはこの古書の存在すら知らなかった。稀覯本にして、目から鱗が落ちる快著。
▼三根生久大『戦略――アメリカはアジアを見捨てたか』1975-11
 「抑止」の概念がどのように戦後の米軍に導入され定着したかを学びたい学徒にとり、本書は必読である。
▼マイケル・アームストロング著、宮崎正弘tr.『’86年 日本は核武装する』1981-9。
 この著者は実在しない。イザヤ・ベンダサンの成功にあやかろうと、この変名IDで書いてしまった初期の数冊は、宮崎氏の黒歴史かもしれない。もしも本名で書いていたなら、今頃どのくらい胸を張ることができていたか分からない。
▼エドワード・N・Luttwak著、川島・稲葉共訳『米国海軍戦略――海洋力の政治的利用』S54、原1974“The Political Uses of Sea Power”
▼田辺英蔵『統率のパラドックス――闘争とヒューマニズムの挾間』1983
 旧海軍の「次室士官心得」を紹介する。米海軍のマニュアルと対比して。
▼篠崎孝子『相模湾上陸作戦』H7-12、有隣堂新書
 繆斌はホンモノだったのに、外務省が潰してしまった。神奈川と静岡の海岸に、28cm榴弾砲を据え付けた。1952に中共軍が日本本土を占領した場合、米軍は茅ヶ崎に再上陸して奪回するつもりで研究と演習を重ねていた。
▼『「昭和軍事秘話」――同台クラブ講演集 上巻』S62-12
 タイトルに芸がなさすぎて看過されているのだが、陸軍の機甲兵器がなぜダメだったかを考え度い者には、必読の好資料だ。
▼『大蔵省印刷局百年史 資料編』S49
 下瀬火薬の発明者はじつは大蔵省の技手であった。
▼『七十五年の歩み――大日本印刷株式會社史』S27、非売品
 アンチモニー導入史は、国産鉛弾の硬化時期と関係する。
▼松村黄次郎『撃墜』S17-3
 ノモンハンの航空戦事情。
▼ゼークト著、斉藤栄治tr.『モルトケ』S18-1
▼服部敏良『奈良時代医学の研究』S20-7
▼高貫布士『旅順大砲撃戦』1998
 海軍の陸戦重砲隊に注目した、半分ノンフィクション。
▼佐々木達治郎『岩波全書 14 航空計器』S8-12
▼河村清『満州の河川の話』康徳6年4月pub.
▼城戸久『城と要塞』S18-5
▼綱淵兼錠『史談・往く人来る人』1987文春文庫
 元中公の編集者が、人肉食事件を機に、古い人肉食事情の薀蓄を傾けた。
▼『第2期 現代漫画 (11)』筑摩書房1970-12
 ロボット三等兵の作者は、原田三夫の息子で、ビルマ戦線の脱走兵であった。
▼新村出『船舶史考』S18-2repr. 原S2
 「マル」はポルトガル語のメールなのだろうか?
▼木俣滋郎『帝国陸軍兵器考』S49-5
 前年に韓国から60式自走無反動砲等を買いたいというオファーがあり、武器輸出が解禁されるのではないかというタイミングで、吉川弘文館からの刊。ところが「ガムを咬みながら米兵が…」の木俣節炸裂で歴史研究書の体裁を相当逸脱。
▼川合康『源平合戦の虚像を剥ぐ』1996-4
▼犬飼哲夫『北の風土と動物』S18-7
 爆薬「口発破」によるキツネ猟につき。
▼土申昇『日本航空輸送史 輸送機篇(1)』H4
 海軍もディーゼル飛行艇をつくろうとしていた。
▼竹内富子『現代の技術』S15
 なぜスウェーデン鋼に価値があったか。製鋼法が発明されると資源の価値も見直されること。
▼アルフレッド・ハッドン著、植木謙芝tr.『呪法と呪物崇拝』S2、原1910
 爪の垢……は、じつは南方の呪術であった。
▼小田切信夫『国歌君が代講話』S4-8
 もともと「よ」とは寿命のことだった。
▼真樹日佐夫『兄貴』2000、原1997
 『荒野に一騎咆ゆ』を改筆したもの。
▼『撰名講話』S10
 弥太郎とか又二郎とか、いちいち厳密な意味があるのだ。
▼徳田浩淳『国民常識 名づけ心得』S17-7
 皇族と同じ名前をつけてはいけない。
▼北里 闌『日本古代語と国民精神』
▼『奈良平安時代論集 下巻』S59所収、笹山晴生「左右近衛上級官人の構成とその推移」
 大将とか中将とかの歴史。
▼円谷勝『強健への道』S19-4
 玄米をいかに調理して生きのびるか。
▼『岩波講座 倫理学 第八冊』S16-9所収、金倉圓照「印度の倫理」
▼駒林&松浦『航空機沿革史』S18-10repe. 原S17-5、
▼釋悟庵『禅と武士道』M40-9
▼血達磨・著『風塵録』M36-2
▼遠藤早泉『東国及東国精神』S19-3
▼小川菊松『猟犬銃猟射撃事典(増補改訂版)』S35
▼圭室諦成[たまむろたいじょう]『西南戦争』S33
▼『日露戦争統計集 12』
▼荒木貞夫ed.『元帥上原勇作傳』上・下 S12年10月
 ※古書で買えば数万円する資料です。その要点は……。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
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JALは「割愛」空自パイロットだけは流出させるな 2010-11-17

 ナショナルフラッグキャリアーであるこの親方日の丸航空会社が、かつて人手不足でとても困っていたとき、空自と海自から、優秀なパイロットが何人も「割愛」された。それがいま、17~18人くらいも、「自主退職」を強要されんとしていると聞き及ぶ。
 この自衛隊出身者が解雇された場合に、もっか人手不足な上、フランスからエアバスを120機もポンと買うとかいう中共の航空会社に再雇用され、空自や海自の秘密が流出してしまうという、困った事態すら想像される。F-15、F-2A、P-3Cの運用上のノウハウを、彼らは持っている。シナ民航は、パイロットさえ調達できるなら、飛行機は何機でも買うつもりだ。
 バカ右翼は分かっていないが(そして煽り屋の「シナ専門家」は、分かっていてわざと逆のことを叫んでいるが)、中共軍の最弱メンバーが空軍なのだ。話にならぬくらいに弱い。尖閣上空に領空侵犯する度胸も腕もない。そんなレベル。
 基本的に地上からのリモコンである宇宙軍拡とは違い、空軍の精強化だけは、シナ人の独力では、文化的に絶対に不可能なのだ。だからシナ人スパイの関心も、西側の空軍のソフト面に対して照準が合っているわけだ。
 防衛庁に泣き付いて割愛させたはずなのに、1尉から3佐でせっかく転職してきた彼らパイロットに対するJALの処遇はBADなものだった。その年齢相当に機長訓練を受けさせようとはしないで、他の副操縦士よりも訓練を受ける順番を遅らせ、そして今、けっきょく副操縦士のままで、シャバへ放り出そうというわけだ。機長経験がないのでは、他の航空会社への転職も難しい。
 自衛隊では「恩給」を十分に積み立てていなかった上、民間に移ったあとの日数も足りないので、彼らは企業年金も受けられないという、崖っぷちでもある。ここにシナ企業が甘い話で誘いをかけたら、どうなるのだ?
 企業には確かに解雇権がある。しかし、JALは純然たる民間会社ではない。親方日の丸同然であることは誰でも知っている。「割愛」からのいきさつを考えれば、やっていいことと悪いことがある筈だろう。
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偶成 2010-11-10

これまでは 淡なる捕吏と思ひしに 破魔のさきがけ弓をひきたり(二十八)
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「読書余論」 2010年11月25日配信号 の 内容予告

▼豊田有恒『長編歴史小説 北方の夢 近代日本を先駆した風雲児ブラキストン』1999-4
 著者には『いい加減にしろ韓国』などあり。
▼竹内運平『箱館海戦史話』復刻S55、原S18-7
▼海洋・東アジア研究会編『海上保安庁進化論――海洋国家日本のポリスシーパワー』2009-5
 韓国はシナとの係争地の蘇岩礁にさっさと巨大な鉄筋15階ビルを建て、レーダー基地化してしまうことによって、シナ政府を黙らせた。面子潰れなのでシナ政府は国内では一切報道させていない。
▼中田祝夫・校注&訳『日本古典文学全集 6 日本霊異記』S50、小学館
▼篠原昌人『陸軍戦略の先駆者 小川又次』2000-7
 ※この著者のとりあげるラインナップが渋い。
▼朝永三十郎『近世に於ける「我」の自覚史』S16repr. 初版大5
 軍国主義と哲学は、ベルリンのヘーゲルが初めて一致させた。それ以前のイェナ時代には理想主義があったが、その理想が挫折し、下地ができた。
 唯物史観も理想否定の根は同じで、それを政治的に表現したのがビスマルクに他ならぬ。ヘーゲル、マルクスとビスマルクがWWIの種を播いたのだ。
▼武井群嗣・田中好『土木行政』(自治行政叢書VOL.9)S10-10
 国防事業の土地収用は天皇大権だから行政法規と無関係。
▼海軍航空本部『金星発動機五〇型取扱説明書 改訂第一版(51~54型)』S17-6
▼『タンバク毒素』上・下、S47
 炭疽菌に抵抗力のある動物は?
▼長野 朗『暗雲ただよふ 満蒙』S6-11
▼永岡慶之助『散華・会津藩の怨念』S52
▼永岡慶之助『会津戦争始末記』S48
▼東洋協会調査部ed.『北鮮三港と日満通商関係』S18-8
▼樋口清策ed.『自然及経済地理概説備考』S12-6
▼原田二郎『戦闘神技 戦術の常識』S18-12
 ※ガダルカナル・ショックの緩和のために書かれた本。
▼榊原平八『代用食 芋と南瓜の上手な食べ方』S20-10
▼神奈川県食糧営団ed.『決戦食生活工夫集』S19-12
▼及川道子『いばらの道』皇紀2595年刊
▼神崎照恵ed.『新更論集』S8-7所収、伊東政喜「兵器を中心とせる国防問題」
 無線戦車の話が出る。
▼隅部一雄『大陸と科学』S13-10
 戦前のタクシー事情など。
▼伊崎浩司『討伐日記』S17-12
▼張君約・著、藤田実tr.『支那屯田兵制史』S17-1
 圧倒的な事典である。
▼日野開三郎『中世支那の軍閥――唐と五代の藩鎮の研究』S17-11
▼北山康夫『北支那の戦争地理』S14-12
 なぜ北京が首都になったかの軍事的説明。
▼藤村駒蔵『函館図書館叢書 第十一篇 嗚呼瓦全の僕』S10-3
▼井坂錦江『水滸伝と支那民族』S17-5
 大相撲が国技? まるっきりシナの発明品だったということが分かるよ。
▼日本工業協会ed.『物資動員』S14-4
 飛行機の羽布は「麻」であった。
 ◆  ◆  ◆
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2010-10-25配信予定の「読書余論」の内容予告

▼佐藤鋼次郎『日露戦争秘史 旅順を落すまで』大13-5
 砲工科から陸大に進むと、専門知識に於いて歩兵科と大差がなくなってしまう。つまり特科出身の参謀が、特科の新時代の技術知識をまるで欠くようになってしまう。
 統帥権を独立させ、参本がすべてを牛耳るしくみは田村怡與造がつくりあげた。田村が大佐時代、陸軍のことは彼一人が決定していた。田村が生きていたら、寺内はとても総理にはなれなかったはず。
▼『落合博満の超野球学(1)』2003-6
 都築有さんのオススメ本だが、たしかに面白い。
▼『落合博満の超野球学(2)』2004-4
▼井上司朗『証言・戦時文壇史』1984-6
 東大を卒業した芥川龍之介が横須賀の海軍機関学校の嘱託教官になったとき、菅虎雄が下宿を世話した。
▼W・ゲルダート『イギリス法原理・第8版』
 もし英法体系からコモンローを除けば、残された制定法は、脈絡のない「法準則」のみ。
▼Arthur.H.Crow著、岡田・武田共訳『クロウ日本内陸紀行』S59-7、原1883
 米海軍の1870-1-24のフリゲート艦 Oneida号沈没事故など。
▼ホフスタッター&デネットed.、坂本百大・他tr.『新装版 マインズ・アイ(上)』1992、原1981
 ※下巻はとりあげません。
▼東江平之・他ed.『大田昌秀教授退官記念論文集 沖縄を考える』1990
 浮原島訓練場その他のこと。
▼丸山静雄『中野学校』S23-4
 柔道は教えなかった。理由は、殺せないから。※その程度の理解だったとはね……。
▼諸岡青人&里深文彦『民具の文化史』1996
 アイヌの原始的な仕掛け弓について。
▼『倫理学 第7冊』S16-7所収、尾高朝雄「国家哲学」
▼『岩波講座 世界思潮1』1929所収、矢崎美盛「啓蒙思潮」
 17~18世紀に、英→仏→独とひろまった合理主義精神。
▼南原茂『国家と宗教』S17-11、S21-1repr.
 カントは『エミール』から影響をうけた。
▼中村光夫『近代への疑惑』S22-7
 S17に『文學界』が有名な「近代の超克」という座談会をやったときに、提出論文も併載した。
▼Barry Plyner『デザインは犯罪を防ぐ』1991訳刊、原1983
 一軒家はいかにヤバいか。
▼近藤康雄、梶井功『日本漁村の過剰人口』1956
 戦後、東京湾口に防潜網があった。
▼木村正一『土幕民の生活・衛生』S17-8
 朝鮮人の不動産所有概念。
▼松山義雄『山村動物誌』S18-7
 日本にオオカミがいた頃はどんなであったか。
▼教学局ed.『教学叢書 第10輯』S16-4
 シナの路上喧嘩に仲裁人なし。
▼アナンダ・クーマラスワミ著、蘇武&岩崎tr.『印度美術史』大5-9
 仏教伝播史。
▼石川順『中國苗族考』大12-1
 ガリ版刷りの貴重本なり。
▼スミス&クリスチャン著、鈴木他tr.『パンと塩――ロシア食生活の社会経済史』1999、原1984
 ロシアでは開墾はどのようにしていたのか。江戸幕府が最も学ぶべきだったこと。
▼防研戦史部『戦史研究年報 第5号』H14-3-31
 ベンジャミン・S・ランベス論文を所収。※こんなの初めからインターネットで発表すべきだよね。税金で運営されてるんだから。
▼竹村文祥『戦争と医学』S16-6
 内外の戦争での病死データがてんこもり。
▼松野博『満洲国開拓と北海道農業』S16
 目覚めよ、有畜農業が日本を救う。寒冷地でコメを作ろうとするから農民は不幸になる。
▼吉岡金市『日本農業の機械化』S14-4
 日本耕耘機史の第一人者、吉岡による戦前トラクター本シリーズの第一弾がこれ。
▼吉岡金市『農業機械化の基本問題』S16-1
 GHQが出るまでもなく、西国の小作農たちはトラクターによって解放されつつあったことが分かる。
▼吉岡金市『農業機械化圖説』S18-3
 おそらくこれが戦中最後の吉岡のトラクター論議。
▼尾高豊作『都市と農村』S17-10
 桜井武雄の「農村の機械化」を所収。
▼菅原亀五郎『理想郷の建設者と百姓太閤』S5-8、兵用図書(株)pub.
▼玉城 哲『水紀行――むらを訪ねて』S56
 水流の変化する川で水車を維持するのはどうしたか。
▼ブラハト&ブルクハルト著、日本写真測量学会tr.『写真測量の歴史』S63
 人間は凧に乗って何千mまで上昇可能か。
▼佐久間律堂・著『戊辰白河口戦争記』S16-9
 WWII中の体験記よりも深く考えさせるところのある証言集。
▼『野戦重砲兵第十二連隊史』H6
 38式15榴でM4シャーマンと戦闘して勝てるという話。
▼『わかりやすい真菌(かび)検査法と汚染防止対策』1988
▼J・W・ディーコン『現代真菌学入門』tr.S57
 発癌生物兵器の可能性。
▼『微生物の生態 9』1981
 アフラトキシンの恐怖。
▼マンゴールド&ゴールドバーグ著、上野元美tr.『細菌戦争の世紀』2000、原1999“Plague Wars”
 潜伏期ある細菌を空港の人ごみで撒くとどうなるか。
▼宮治誠『カビと病気』1986
 ジェット燃料にもカビが生える。
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「読書余論」 2010年9月25日配信号 の 内容予告

●「読書余論」 2010年9月25日配信号 の 内容予告
▼尾上正男『独ソ不可侵条約論』S37-11
 「間接侵略」という言葉の意味をいかにソ連が破壊してしまったかが学べる。
 リトビノフはかつて、締約国の一方が第三国に対して侵略を行なった場合の協定停止を謳っていないような不侵略条約は、実は侵略後援条約にほかならぬと演説。しかしまさにそれこそが独ソ不可侵条約の正体であった。
▼広瀬彦太ed.『榎本武揚 西比利亞日記』S18-7
 M26の福島中佐のシベリア単騎横断の15年も前に、馬車行列の大名旅行だが、1万3000kmの陸の旅をやってのけていた。
 併収の「渡蘭日記」は、海軍技術中将の澤鑑之丞の父が貰い受けて残っていた。太郎左衛門=『開陽』を江差で自沈させてしまった大間抜け艦長その人である。
 オランダへ行く途中で無人島に漂流してしまったが、やってきたマレーの海賊たちを逆に日本刀で脅し上げて洋行を続行す。
 露都で入手したフランス人宣教師の『朝鮮事情』を榎本は即翻訳。これは公刊された。
▼実業之日本社ed.『あなたも手の届く別荘地入門』S43-7
▼富樫敏『日本の別荘地』1973
▼離求庵『さらり~まんに別荘が建つ』1993-10
▼古島敏雄・校注『百姓伝記』上下、1977イワブン
▼三枝博音『復刻 日本科学古典全書 5』S53repr. 原S19
 ※「大砲鋳造砲」と「反射炉日録抄出」には特記事項なし。
▼木下桂風『釜の歴史と鑑賞』S54repr. 原S27
▼須藤隆仙ed.『箱館戦争史料集』1996-8
 「新開調記」、「箱館軍記」、「説夢録」、「衝鋒隊戦争略記」(大鳥の幕末実戦史の附録とは別バージョン)、「峠下ヨリ戦争之記」、「遊撃隊起終録」、「人見寧履歴書」、「北洲新話」、「苟生日記」、「函館脱兵諸士書簡」(『野史台維新史料叢書』第6冊で公刊済み)、「蝦夷錦」(2種類あるうちの、荒井宣行の書いたもの)、「戊辰戦争見聞略記」、「星恂太郎日記」、「函館戦記」が収められている。※箱館戦争の日記類は、じつは牢内で互いに見せ合いながら修正された回想が多い。それらの日付けすらが事実と相違しているため、参照する者はえらく苦しむ。そこで「苟生日記」のように、誰のチェックも受けず、他人の回想も参考にしなかった成り立ちの、書きたい放題の記録が、ウルトラ貴重となるわけである。
 ◆  ◆  ◆
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なぜかメールが通じないようなので、この場を借ります。

MHさま。そちらからの8-15メールが届きました。どうもこちらからのメールがそちらに届かないようです。8-13作文は13日朝と14日朝の2回送信しています。わたしはMHさまが休暇に入ったと思っておりました。以上、この場を借りてご連絡を申し上げます。ファンサイトの管理人さま、恐縮です。


新刊紹介:『誰も語らなかった防衛産業』(並木書房)

●新刊紹介:『誰も語らなかった防衛産業』(並木書房)
 桜林美佐さんの新著が届いたので拝読しました。
 例によって手間のかかった取材であります。(1年くらいかかっているのではないでしょうか。)
 しかも、わたしなんぞの入り込めないところを幾つも取材しておられます。
 「……防衛関連産業を取材させてもらったが、取材するにあたり相当の手続きが必要だった」「一般に防衛産業への取材は、かなりハードルが高いといえるだろう。町工場レベルであっても情報管理は徹底している……」(p.75)。
 まさにその通りでありましょう。
 これを、小生らグータラなロッキングチェア批評家どもの代わりに桜林さんが身を挺してやってくれたというところが、じつに貴重なのであります。
 たとえば、三菱長崎機工。たしか旧海軍の魚雷を造っていたところじゃありませんでしたっけ? 今でもかなり「秘度」の高い工場のはずですが、その中に入って取材をしておられる。よく許可が出たもんです。脱帽です。
 日本製鋼所の室蘭製作所。この中に日本刀を鍛刀しているセクションがある……という話は聞いたことがありましたが、正面から取材を申し込んでみる気力が、ワタシにはありませんでした。それを桜林さんは、北海道住民でもないのに、サクッとやってしまっています。脱帽です。
 原子炉の圧力容器を作れる工場だからこそ、こんどのヒトマルの砲身だって、完全国産ができたんですなぁ。(つまり、ヒトマルTKは輸出の制約も少ないってことだ。)
 弾薬メーカーの旭精機。オレはこの会社にインタビューできるなら聞きたいことが山とある。しかし取材のカベがいかに厚いかも分かっているから、ハナから諦めているわけ。ところが桜林さんは何かマジックをもっているらしく、この会社にもあっさりと入り込んで取材をなすっておられる。脱帽です。
 下請け工場の取材もまたすごい。
 極端な話、〈百種類の部品を1個づつ納品してくれ〉と迫られてしまう下請けの特技工場さん。10個のロットで不具合が1個ならば予備の感覚で乗り切れるが、1個の発注しかないのにその1個が検品に不合格だと、それを作りなおすためには、2倍の労力・資材を投入せねばならない。
 これではとてもやっていられないという本音。同情できますね。
 防衛大綱が決まるまでにあと半年というグッド・タイミング。多くの人に読んでもらって、日本のダメさ加減についての認識をあらたにしてもらいたいですね。特に、〈日本の兵器技術は世界一〉だとか迂闊に思い込んでしまう、昔の石原慎太郎氏式な夜郎自大たち。もう日本の武器なんか欲しがる外国はいないんだよ。こっちから営業かけて売り込まぬ限りはね。それもオフセット条件(部品の国産工場まで建ててターンキーでひきわたしますとか、その兵器を装備する部隊の訓練までぜんぶ面倒みますとか)付きじゃないと、インドだっていまどき武器を買ってくれやしないのです。
 こういうすぐれた取材本を読んだ上で、ネット上に流れているリーク情報に気をとめていると、事態の真相にいくばくか接近できる気がしますね。たとえばアパッチの件で富士重工が防衛省を訴えたのは、当然、防衛省の方から「訴訟にしてもらった方が、手続き的に、補償がしやすい」というサゼッションがあったんでしょ? 大手マスコミはそういう真相を報じないから、まるで富士重工と役所がバトルを始めるみたいな印象しか与えませんけどね。
 あとぜんぜん関係ないんですが、ネットで『ガンズ&アンモ』をみていたら、米国で売られている「AR-15」自動小銃(ただしフルオート機能無し)用に、ニコンがすごいスコープを市販してるのな(M-223 シリーズとかいう)。ビミョーに兵器周辺的な器材なら、日本のメーカーは、すでに国際的な売り上げ実績を積んでいるわけですよ。パナソニックのラップトップもIED処理ロボットの遠隔操作用に使われてるしね。
 軍用に転用できぬ民生品などない。これを日本人は知るべきだね。
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読書余論 2010-8-25配信分の内容予告

▼小島直記『洋上の点――森恪[つとむ]という存在』S53-4
 田中義一内閣の実質外相だった、元・三井の商社員。S18の山浦版伝記が不満なので一から調べなおした評伝だという。山内万寿治は57ミリQF閉鎖機など発明しておらず、それは英国メーカーの贈賄の手口だった、等々面白し。
▼A・H・S・ランドー著、戸田祐子tr.『エゾ地一周ひとり旅』1985、原1893
 M23に146日間で単身北海道一周をやってのけた冒険野郎。20年前の箱館戦争当時の交通事情がどれほど劣悪だったかを推知するよすがとして貴重な証言。アウトドアズマンも必読。
▼金田一京助『古代蝦夷[えみし]とアイヌ』平凡社ライブラリー 2004
 東北のえみしと北海道アイヌは同じであったことを論証。それがいつしか別民族としか思われなくなった理由は、大和朝廷が完全同化策をとったのに対し、松前藩が最悪の差別支配を続けたから。地名語源詮索も面白し。
▼山辺安之助・述、金田一京助ed.『あいぬ物語』大2
 京助は春彦の父。
▼日本歴史地理学会ed.『奥羽沿革史論』大5-6
▼鳥居 民『昭和二十年 第一部=6 首都防空戦と新兵器の開発』1996
▼善波 周[まこと]『弾巣』S18-3
 青龍刀のシナ兵と真剣勝負した体験談あり。
▼会田雄次ed.『世界の名著 16 マキアヴェリ』S41
▼『太田耕造全集 第一巻』S58 亜細亜大学pub.
 平沼内閣の書記官長(今の官房長官)。英字新聞を読んでいた反戦家は多くとも、英字新聞を読む攘夷家は稀少であったから、いろいろ参考になる。「三S」は遅くとも昭和5年には言われていたようだ。
▼防研史料 『和田秀穂史料』
 海軍のマッドマックス型の「號星拳銃」など。
▼防研史料 『爆撃精度向上ニ関スル研究(第三回報告)』S14-9~S15-10
 中攻による公算爆撃に関する、数字てんこもり資料。
▼竹長 吉正『日本近代戦争文学史――透谷・漱石・花袋・伝治を中心に』S51
▼(社)日本ねじ工業協会『日本におけるねじの始まり』S57
▼(社)日本ばね工業会『日本のばねの歴史』S59
▼陸軍文庫『砲兵陣中必携』M8
 4斤砲について詳しく分かる。
▼防研史料『大東亜戦争以前に於ける陸軍鉄兜に関する技術資料綴』
▼山下弥三左衛門『潜水奇談』S39
 米軍が戦時中に、酸素とヘリウムの混合気をホースで送り、200mでの長時間作業を可能にしていたこと。
▼黒石茂喜『潜水記』1966
 WWIに地中海で沈められた八阪丸の金塊をどうやって引き揚げたか、など。
▼坂ノ上言夫『拷問史』大15-8
 手術道具がないときにどうやって手足を苦痛なく切断し得るかが分かる。
▼田口【迎のシンニュウをサンズイにした字】三郎『音と戦争』S18-12
▼『史論叢録 上』大7、興亡史論刊行会pub.
 エリス・バーカー著の「和蘭興亡史論」の抄訳を収載。オランダは民主主義ゆえに没落した、とする。
▼森鉄之助『ゴム製造法』S18-9
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
 バックナンバーも1号分が500円で、1号分のみでも講読ができます。
 バックナンバーのコンテンツは、配信元の「武道通信」のウェブサイトで、確認ができます。
 ウェブサイトでわからない詳細なお問い合わせは、(有)杉山穎男事務所
sugiyama@budotusin.net
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札幌講演無事終了のお知らせ。【2010-7-18作文】

 暑中お見舞い申し上げます。
 おかげさまで、「かでる」の7-17講演は盛会裡に終了いたしました。
 ご参加のみなさま、どうも有り難う存じます。
 音声ファイルをひょっとしたら「ポッドキャスト28」でリリースできるかもしれません。未定です。
 それと、2010-7-13~7-15に、平成22年度の防衛省オピニオンリーダーの部隊見学が千歳を中心にあったのですが、今回、わたくし兵頭は、参加を見送りました。したがいまして、恒例の写真を紹介するコーナーは、22年度分はございませんので、どうぞご承知くださいまし。
 お中元をくださった皆様、ありがとうございます! この場を借りまして御礼申し上げます。
 (ところで、いままでLEDが一個も届いていないって、どーゆーこと???)
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