今回、現代戦争史上初めて、一国軍の損害の過半が、相手軍の無人システムによってもたらされた。

 Nicole Thomas, LTC Matt Jamison, CAPT(P) Kendall Gamber, and Derek Walton 記者による2021-4-4記事「What the United States Military Can Learn from the Nagorno-Karabakh War」。
   ナゴルノカラバフ自治区は、80年代にソ連が設けた。アゼルバイジャン領内でありながら、住民の95%がアルメニア人なので。
 ソ連が崩壊すると、ナゴルノカラバフの住民はアゼルとの完全分離・独立を欲した。

 こうして自治区軍 vs.アゼル政府軍の内戦が始まった。ロシアは双方に武器と傭兵を供給した。
 1994にロシアは両者を手打ちさせた。しかし双方が不満だった。いらい、協定侵害行為は7000を数えるという。

 2016-4に「四日間戦争」勃発。
 この結果は、アゼルバイジャン政府に、武力行使だけが情況を好転させると確信させた。
 そして4年間、イスラエルやトルコと組んで熱心に軍備改革を進めた結果が、2020に実ったといえる。

 2020年の短期決戦は、スタートから44日間で停戦となった。アゼルは、ナゴルノカラバフの「三分の一」を武力回収できた。

 2020-9-27の開戦からわずか6日目にして、アゼル軍は、250両のAFV、ほぼ同数の砲兵、39の防空システム(その中には、ロシア版ペトリオットである S-300×1も)を、破壊したと公報主張。

 アルメニア軍は、アゼル軍のUAVのために武装解除されようとしたのであった。

 アゼルとトルコの紐帯は強力だ。言語が相通ずる。そしてアゼル難民が大量にトルコ領内に居る。だからトルコ人の意識では、アゼルは近隣国だが、ネイションとしては別ではなく、ひとつだ、と思う。
 いま、アゼル国内にはトルコ国旗がひるがえりまくっている。

 アゼルがソ連邦から離れたとき、アゼル政府は「汎トルコ」アジェンダを掲げた。
 このイデオロギーが、トルコからのあらゆる援助を惹き付けた。

 1992にトルコとアゼルは軍事援助、訓練支援、合同演習に関して合意。
 さらに1999に両国は、経済開発の共通ゴールを策定した。

 トルコ、アゼルバイジャン、ジョージアは、カスピから地中海に達する原油パイプラインを共同運営している。BTC(三国の首府の頭文字)ライン、という。

 このパイプラインを通じて原油を西側に好きなように売れるために、アゼルの収益はものすごいことになった。2011年の統計では、アゼル人ひとりあたりの平均年収は7190ドル。アルメニア人は3526ドル。ジョージア人は4022ドルだ。

 ありあまる資金をアゼル政府は兵器調達に突っ込んだ。2006~2019の総額でみると、アゼルは290億ドルを軍備に投資した。かたや同期間のアルメニアは60億ドルである。

 15年間経済が成長し、余剰資金を軍備に傾注し、トルコを同盟者にもった強みが、とうぜんのように発揮されたのである。

 10種弱の無人機をアゼル軍は揃えている。今次紛争で最も活躍したのは、トルコ製の「バイラクタル TB2」であった。同機は、小型のレーザー誘導兵装(スマート・マイクロ・ミュニション)を4発、翼下に吊下できる。
 加えて、イスラエル製の自爆無人機を2種類、使った。「ハロプ」と「スカイストライカー」である。

 また「オービター1K」もカミカゼドローンとして用いた。
 ロシア製の古い「AN-2」有人機(複葉)を、無人ISR機や無人自爆機に改造したものも、複数機、投入した。

 アルメニア軍も無人機を有していたが、いずれも国産の小さなもので、偵察任務以上の仕事はできなかった。※まさしく今の自衛隊の現況だろ、それ。

 アゼル軍はまず、低空を低速で飛行できる「AN2」を囮として敵SAM陣地上空に放ち、敵SAM陣地の所在を確認した。その確認位置に対して「TB2」や自爆型無人機が差し向けられ、高空から精密攻撃した。

 つまりワイルドウィーゼルの仕事をぜんぶ、無人機のセットだけでやり遂げたのである。

 もうひとつ特筆されること。今次ナゴルノカラバフ戦争では、回転翼機の出番は無かった。

 「TB2」の高度は十分に高く、旧ソ連製の「2K11」「9K33」「2K12」「9K35」といった地対空ミサイル・システムでは、探知ができても撃墜までは無理であった。

 ロシアがアルメニアに供給していた「Polye-21」というECM装置は、アゼルのドローンを妨害した。ただし、さいしょの4日間だけであった。

 「Buk」と「トール」の2つのSAMシステムは、紛争の後半になってロシアから供給され、アゼルのドローンを数機、撃墜できたようである。しかし日が経つにつれて、これらのSAMシステムも、無人機のために撃破されて沈黙した。

 「S-300」はそもそも対無人機の機能を期待されておらず、開戦早々にロイタリングミュニションの餌食になった。

 アゼル軍は特殊挺進隊を開戦の数日前からアルメニア占領区内に浸透させ、空き家のなかなどで待機させていた。「破壊活動グループ」と称していた。

 アルメニア側では、「アルメニア人ではない謎の人々が町の中に住みつき始めた」ということだけは、わかっていたという。

 「破壊活動グループ」は、攻撃型無人機の兵装誘導補助だけでなく、精密誘導ロケット弾の火力要請もした。空地連絡係でもあったのだ。
 ※そしてじつはトルコ人であったというオチか。

 要するにNATO軍がアフガン討匪作戦で磨き上げた、挺進火力誘導員の仕事を、アゼル兵はきっちりとこなした。レーザー照準/標定装置を携行していたことは言うまでもない。

 現地ナゴルノカラバフは高山帯であって、戦車などは高速で所要点まで移動ができない。よって、歩兵+無人機のコンビが最強なのである。

 留意が必要なこと。現地は植生が乏しい。そのため対空偽装が簡単にはできない。これが無人機側をとても有利にした。地上の敵軍配置を、高空から確実にみきわめることができた。

 偵察用無人機は、「精密グリッド・コーディネーション」を味方ロケット砲兵に提供することができた。アゼルの長射程砲兵は、連絡された座標から10m以内に着弾させることができた。

 両国側によって公表されているビデオは、双方ともに地上軍の偽装についてはアマチュア級であったことを教えてくれる。どちらの軍も、上空からは丸見えに等しかった。

 無思慮に開闊地に展開しようとし、同じ場所に何十分もとどまっていたり、移動が平時ペースのノロノロ運転であったり、人員・車両・装備を蝟集させすぎていた。それで偽装ゼロなのだから、対地攻撃機にとっては好餌以外のなにものでもなかった。

 AFVが新式であるか旧式であるかは、何の関係もなかった。AFVの中に乗っている人間が、空からの脅威を油断なく意識できていたかどうかが、生死を分けている。上空の脅威に対する直感が働かない乗員は、乗っている高額な高性能戦車もろともに、吹き飛ばされた。

 アゼル側は、所定の高価値目標を爆砕してしまうや、すぐに、次等の価値ある目標を即興で探し当てて、その場で無人機で攻撃できることが、ビデオからよくわかる。
 このことはまた、トルコとイスラエルから供給されている精密弾薬/自爆無人機の数がおそろしく豊富で、タマ惜しみをする必要がアゼル側にはなかったことも教えてくれる。ふつうは、数人ばかりの兵隊がこもる塹壕をレーザー誘導爆弾で狙ったりしないものである。

 『ナショナル・インタレスト』のエピスコポス記者は、トルコ軍は事実上、参戦していたと断言する。特殊部隊員や、トルコが雇い挙げたシリア人傭兵を、戦線へ派遣していたと。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

無人消防艇の名目で無人戦闘艇を開発して行くのが、周到な着眼というもの。

 The Maritime Executive の2021-3-4記事「Developing Unmanned Fireboats to Improve Operations and Safety」。
   シンガポールの会社、Zycraft社は、無人の消防艇を開発中。
 全長26フィートの試作艇が、フェイズ2段階まで来ている。
 毎時60立方mの海水を、電動ポンプにより、距離35m先へ放水できる。

 無人艇の主機はディーゼル×1で、ウォータージェットによる最大速力は35ノット。

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 Stephanie Bailey 記者による記事「Drones could help fight coronavirus by air-dropping medical supplies」。
    慢性疾患のある人々には困った時代になった。頻繁に病院に通う必要があるのだが、外出すると感染リスクにさらされてしまう。
 サンフランシスコに会社があるベンチャーの「ジップライン」。2016年からドローンを使ってルワンダの地方病院へ輸血液や医薬品などを配達している。2020年にはガーナでもおなじサービスを始め、ついに今年後半からは北米に手を拡げる。

 ジップライン社はルワンダには2箇所のセンター、ガーナには4箇所のセンターを構える。
 どちらの国も、道路の整備状況が劣悪で、冷蔵トラックや冷凍トラックが無い。

 医師たちが電話で医療品を発注すると、50マイル圏内であれば、平均30分にしてその品物は届けられる。
 同社のドローンは、荷物を4ポンド(1.8kg)まで搭載し、それを空中から投下することができる。

 投下に使用される落下傘はシンプルな紙製で、使い捨てができる。

 同社の実績。すでに6万単位以上の医療品(血液袋や、はしかワクチン、ポリオワクチンを含む)を配達したと。

 新コロ対応としてPPEなどの輸送も今後さらに増える見通し。まずガーナで。

 そしてまもなく、病院だけでなく一般家庭でも、投下点(ドロップオフポイント)を表示してくれれば、荷物を空中投下できるようにする。

 ジップライン社は2016創立で、いまでは従業員300名。

 ※使い捨ての紙製物料傘とは、思いつかなかった。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

東京五輪の「聖火」は、紅白の紙テープに下から送風して垂直に靡かせ、そこへオレンジ色のLEDを下から照射する「フェイク炎」に切り替えるべきである。

 その必要電力はすべて風力タービン+ソーラーパネル+電池によって供給されるべし。この演出変更は秘密裏に準備して、開会式本番にて奇襲的に披露すべきである。ショボくていい。というか、ショボいほど、今回の五輪にふさわしい。世界は誰もそれを批難はできず、欧米偽善メディアはこぞってむしろ賞讃するほかにないのである。これによって我が国が欧米諸国以上に地球温暖化防止を気にかけていることは劇的に印象づけられる。併せて、近代五輪はいまや「聖」でもなんでもないことを、暗に示唆する皮肉ともなろう。

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 AFPの2021-4-4記事「Inuits, Vikings, no Covid dead: Five things to know about Greenland」。
   この火曜日にグリーンランドで議会選挙があり、地下の天然ガスを開発すべきかどうかの針路が決まる。

 原住民はイヌイットで、4500年前にはいたと見られる。
 10世紀のバイキングの赤毛エリックがこの島をグリーンランドと名づけた。

 ※この記事はまったくスルーしているが、10世紀は地球が温暖だったので、じっさいにこの島は緑だった。だからバイキングも定住できたのである。そこに陸地があることはみんな知っていた。

 いまから300年前、デンマークがこの島を再発見した。そのときは氷の島だった。

 ※グリーンだった島がイヌイット以外の定住者によっていったん放棄されてしまった理由は、地球が寒冷期に入って植生が絶えたから。AFPは温暖化に恩恵があったことを意図して隠蔽しようとしている。デンマークが人を送り込めるようになったのは、越冬に必要なノウハウと資材・技術全般に進歩があったから。

 1979年にグリーンランドには大幅な自治権があたえられたが、地元税収だけでは財政が成り立たない。それで、デンマーク政府が毎年6億2000万ドル規模の財政補助をしている。これはグリーンランド予算の三分の一に相当する金額。

 グリーンランドの外交権、和戦権はコペンハーゲンが握っている。しかしグリーンランド自治政府は、1985年にEUから脱退した。

 現在、人口5万6000人。首府のヌックにはそのうち1万8000人が住む。九割はイヌイット族である。
 グリーンランドは、ゴールド、ウラニウム、ルビーなどを地下に埋蔵する。しかし鉱山は2つしかない。
 天然ガスと原油は、あるんじゃないかと期待されているが、まだ発見されていない。

 かつてアルミニウムの精錬に用いられたクリオライト(氷晶石)では収益は得られなくなっている。
 ※ウィキによると1799にグリーンランドで発見され、1886からアルミ精錬の融剤として輸出されるようになったが、その後、蛍石にとってかわられて、鉱山は1987に閉じられた。

 グリーンランドの氷河は温暖化により後退している。氷河の溶けた水は、ミネラルリッチな岩石粉を多量に押し出してくる。その粉を採取し、アフリカや南米の乾燥不毛地に撒けば、そのまま肥料になってくれるというので、いまや、土くれが輸出品だ。

 グリーンランドでは、このパンデミックを通じて、たった31人しか新コロ感染者がいない。

 1年以上前、最初の感染者が確認されたところで、自治政府はすぐに、グリーンランドの国境を事実上、封鎖した。ただでさえ孤絶した土地柄なのに。そして観光インバウンド依存度が高い財政なのに。
 ※極寒地では人は屋内に密集するしかないので、正しい措置だろう。

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 Phoebe Wall Howard 記者による記事「Tesla owner with Mustang Mach-E reports threats on social media from Tesla fans」。
  フォードが電気自動車の「マスタング マックE」を発売しているのだが、このオーナーたちと、テスラ車のオーナーたちとの間で、SNS上ですさまじい罵倒合戦が、米国では展開している。たがいに、相手が自動車事故で死ぬことを熱望しているのだ。まあ、SNS時代では、こういうのも珍しくはない。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

ネタの宝庫だった60年代『トワイライト・ゾーン』

 さいきんゴジラ対キングコングのハリウッド版リメイクができたらしくて、あまりの内容の無さが一部批評家から腐されている。まあおたずねしたいが、その他の、拳銃やロボットやハイスペック自動車や兵隊やコップが出てくるフィクション作品群には「内容」とやらはあるのかね。
 「トワイライトゾーン」(邦題・ミステリーゾーン。長野市での放映は当時、なかったと思う)のシーズン2かそこらにこんな話が出てくる。少年が独裁権力をふるうようになり、人々に、じぶんだけは面白いと思っているテレビ番組の視聴を強制する。それはトリケラトプスが2匹でえんえんと角を突き合っているだけの内容である。――おもわず手を叩いたね。脚本家による俗流スポンサーへのデコピンだよ。
 ロッド・サーリングについては何も知らないが、おそらくテレビ第一世代の脚本家たちは、その前にはオフブロードウェイの舞台劇を書いていた人たちだと想像する。

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 Loren Thompson 記者による2021-4-3記事「The Army Needs To Rethink Its Opposition to Upgrading the Chinook Helicopter」。
   「チヌークF」はあと40年間、米陸軍で使われることは疑いもないのである。その代替機は現存せず、あるのは机上プランだけである。

 チヌークをさらに強化し「ブロック2」にアップデートしないかぎり、陸軍の軽榴弾砲や、HMMWV後継の「JLT」を吊り下げ空輸することは不可能である。

 ボーイング社はいう。ペンシルヴェニアにある同社のチヌーク組み立て工場を維持するためには、年に最低18機の注文が続かなくてはならない。さもなくば関連下請け280企業も仕事はなくなる。

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 ロイターの2021-4-3記事「Taiwan says European countries helping with submarine project」。
   金曜日に台湾の国防相は声明。米メディアの『ナショナルインタレスト』が、台湾メディアが2019に流した記事を引用しているが、ありえない、と。そのネタは、台湾が潜水艦技術を北鮮から貰う交渉を進めている、というもの。

 現在計画中の台湾国産潜水艦は、その技術支援を欧米にだけ仰いでいる、と。

 台湾は2018年に、英領ジブラルタルにある一企業に、新潜水艦群の設計を相談した。

 オランダは1980年代に潜水艦を2隻、台湾に売り、それはまだあるが、北京がそれについてオランダに激しくイヤガラセをしたので、オランダは懲り懲りし、もう台湾に武器を売る気はない。

 台湾にフリゲート艦や戦闘機を売っているフランスは、対台湾ビジネスを継続できる。

 次。
 ストラテジーペイジの2021-4-3記事。
   ベトナムも砂盛工事で中共に対抗し始めた。「ウェスト礁」と「Sin Cowe島」だ。
 ウェスト礁は砂盛工事により28ヘクタールになった。Sin Cowe島は11ヘクタールに。

 ※ベトナムは砂盛工事で鏡像対抗。フィリピンは「海上民兵」で鏡像対抗。ぼやぼやしているから、周辺ライバル国が、対支の対抗方法を次々に発見するよ。熊プーは「対抗不能性」理論について学習した方がよくないか。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

北海道を「ブッシュプレーン飛行特区」に指定して、《フライングカー》時代の先行予習を蓄積しておこうじゃないか。

 「飛行車」でも中共の後塵を拝するようになったら、国交省と経産省は全員首でも吊ったほうがいい。
 中共は個人の自由飛行なんかぜったいに認めない体制だから、法環境面では日本に勝ち目がある。しかし国交省がボンクラ揃いならば、日本でも中共でもない、他の国が先に成功するだけだ。

 次。
『The Maritime Executive』の2021-3-31記事「Report: Ever Given’s Crew May Risk Arrest」。
    『エバーギブン』号を操船していたのはインド人のクルー。彼らはいまエジプト国内で拘束されている。
 同船の座礁事故に関して、彼らはエジプト当局から訴追される可能性がある。

 乗員は総勢25人である。
 船長(マスター)の姓名はあきらかにされていない。

 SCAの概算では経済損失は10億ドルになるだろう。
 同船の保険引き受けはロンドンのロイズ。1億ドルまでの損失なら対処できるのだが……。

 同船の船底をダイバーが調べたところ、船首下にちょっとダメージがあるだけであったという。
 操船オフィサーたちは、場合によっては数年間、エジプト国内にとどめ置かれるだろう。

 次。
 同じく2021-4-1記事「Ever Given’s Owner Files Suit to Limit Damages, Declares GA」。
   英国の『ザ・ロイヤー』誌によると、コンテナ船『エヴァーギヴン』号のオーナーが訴訟を起こした。相手は、運用会社の「エヴァーグリーン」社。

 先手を打つことで損害を局限しようという、民事法廷戦術である。SCAもたぶん、訴えられるだろう。SCAがオーナーに賠償要求する前に。

 オーナーは、パナマに会社の籍がある「ルステル・マリタイム」社である。同社は、日本の「ショウエイ汽船会社」の子会社である。

 エヴァーグリーン社は、台湾の会社である。そこに船がチャーターされている。
 船のマネジメントは、日本の「ヒガキ産業会社」がやっている。また、テクニカルマネジメントは、BSM社の香港の支社がやっている。

 SCAいわく。もしショウエイ汽船が本件の補償責任や補償額等について争い、法廷に持ち出すのなら、『エヴァーギヴン』号はその裁判の決着がつくまで抑留すると。

 ショウエイは、先に積荷のコンテナを船から降ろして運んでやるために、保証金(ボンド)を入れるだろう。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

中共の軍事ウェブサイト『ネイヴァル・ニューズ』が4-1ジョークとして、中共が核動力魚雷を搭載する世界最大のSSBNを建造したとイラスト付きで報道。

 当局はよろこばなかったようで、このサイト運営者にはお咎めがあるかも。
 ジョークの内容が小学生っぽくて、海軍の伝統のいかにも浅い国であることを、あらためて各国当路者に思い出させたと思う。

 スエズマックスの大型艦型にするのには一理あるとしても、1隻に数十基のSLBMを詰め込んでもちっとも合理的じゃない。ガキじゃないんだから、ここは、最新の陸上用ICBMをそのまま流用したSLBMを少数、積んでみますた(したがってすぐに米国東部に届きます)、という じっさいにやるかもしれないという一抹の疑心暗鬼を敵(米国)に与えるようなヒネリが必要だっただろう。そのリアルな凄みとどうじに、何かおもしろおかしい味が加えられていなければ、エイプリルフールにはふさわしくない。たとえば、セイルの外板をフカヒレでつくっています、とかね。

 次。
 KARIN ZEITVOGEL 記者による2021-4-2記事「Army special operations troops have lower blood lead levels after firing range fixes, study finds」。
    小銃射場で兵隊が、空気中に漂う鉛粉末を吸い込み、それが体内に蓄積されてしまうという健康被害問題。
 このほど、シュツットガルトの米陸軍の射場を改造してみた結果、そこを使用する特殊部隊員の血中鉛濃度が確かに低下したことがわかった。

 鉛は、バックストップの土手から飛散するようだ。そこで主眼としては、バックストップの土手の土を入れ替える。

 客土ができない場合は、兵士各人につき、そこの使用頻度を制限する。

 飛散した鉛は、戦闘服や手につく。そこで、射場に洗濯機を付随せしめ、さらに手洗いを励行させる。
 とくに射場を去る前に皮膚や衣服の鉛を落としておくことが大事。そのまま家庭に戻って子どもが鉛を吸い込んだら、さいあくの場合、神経の発達に悪影響が出る。

 特殊部隊員は実弾射撃を熱心にするゆえ、彼らが使う射場の空中鉛微粒子密度は、濃密になってしまう。

 この改革がなされる前の2017年の計測では射場を利用した特殊部隊員の血中には1デシリットルあたり1マイクログラムから35マイクログラムもの鉛が検出されていた。今日、それは1マイクログラムから15マイクログラムにまで減少を見たそうだ。ちなみにサンプルは57人である。

 軍が準拠する基準値は、1デシリッターあたり25マイクログラム。鉛がこのレベルを超えれば、健康の危険があると考えられる。

 兵隊ではない平均的な米国の成人だと、血中から、デシリットルあたり1マイクログラム未満の鉛しか、検出されることはない(2015~2016年の値)。

 成人が鉛にやられると、高血圧、関節痛、筋肉痛、頭痛、腹部痛、記憶障害、男子の精子異常、などが起きる場合がある。

 ※特殊部隊員が献血するとその血中には鉛が混ざっているわけか。タマにうつタマがない陸自隊員は、この点、しあわせかもね。あと、血中の鉛レベルなんか誰も気にしていなかった17世紀からベトナム戦中にかけては、どうなっていたのでしょうな。そしてもうひとつ。トラップ/スキートの散弾射撃の競技をしている人たちは、だいじょうぶなのかよ? はよ代替素材を考えましょうや。

 次。
 Sandra Erwin 記者による2021-4-1記事「Japanese military strengthens ties with U.S. Space Command」。
   米軍スペースコマンド発表。日本政府と米国政府は2020-12に合意文書に署名した。日本の準天頂衛星を打ち上げるついでに、2個の米軍のペイロードも軌道投入する、と。

 この合意には、空自のリエゾンオフィサー1名が、コロラド州のスペースコマンド司令部に常駐することも含まれている。

 2023年と2024年に種子島から打ち上げるロケットに、米軍の光学衛星(現在開発中)を積む。

 ※英文記事を見ていてもあんまり入ってこない情報を、九州大学の益尾知佐子准教授がいろいろなところで書いてくれているのでじつに助かる。特に「BeiDou VMS」(北斗衛星群が備えるVessele Monitoring機能)の解説は超貴重。すでに中共の漁船4万隻以上にこの端末が実装されていて、5分ごとにその最新の更新位置情報が陸上の海警に把握されているのだ。そして衛星経由で、漁船同士でもスマホの連絡がとれてしまう。北斗はただのナビ補助衛星ではなく、通信衛星機能を兼帯しているのである。内陸河川の漁船も、この端末をつけていれば、遠洋漁船と連絡できてしまう。というか、当局から完全に動静を把握されてしまう。もちろん過去の航跡ログも通信ログもぜんぶ記録されている。中共漁船に関しては、反政府活動にはぜったいに使えないようになっているのである。それを衛星で実現した。熊プー、すごいぞ。米軍スペースコマンドではこう思っているのではないか。なんで日本の準天頂衛星に、そういう機能をつけてやらんの? 対抗できんでしょ、と。さらにこうも思っているかもしれない。あるいは「フルノ」ならば、北斗のVMSにサイバーアタックをかける方法を発見してくれるかも……と。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

台湾はフランスで建造したフリゲート艦にVLSを取り付けてもらおうとしているが、技術漏洩の懸念があり、交渉が難航中か。

 Madeline Colwell 記者による2021-3-30記事「Breaking Ice in Darkness: Reflections from an Ice Pilot’s Winter Mission to the Arctic」。
    北緯66度33分の北極海西部。米コーストガードの砕氷船『ポーラースター』は、ここ数週間、太陽を見ていない。
 パトロール期間は、2020年12月から、2021年2月までだ。

 ワッチ当直の責任は重大。ひとつの誤判断により、舵やスクリューが損傷を蒙ってしまうから。

 なにを判断するか。いちばん氷が薄いところはどこかを、真っ暗闇の中で、見定めるのである。そこを進ませる。
 「氷上水先=アイスパイロット」という。

 アイスパイロットは、2名1組だ。2名が同時に当直。
 1人は、舵輪とスロットルレバーを握る。もう1人は、前方の氷を見てコースを決める。

 水面から105フィートの高さから見渡すので、コース選びは比較的に楽であるという。
 しかし光源は投光器の人工照明だけだ。ふぶけば視底はゼロになる。

 夏に白夜現象が起きるところが、極圏だ。
 そこでは冬には、逆に太陽が水平線から出なくなる。
 しかし完全な暗闇ではなくて、薄明/薄暮状態の期間が長いのである。

 アイスパイロットは、NVG(ナイトビジョンゴーグル)も用いる。

 レーダーの視程は、氷海面に対しては、だいたい1マイル未満だ。サーチライトが届かない距離の前方に大きな「嶺」があるかどうかの、見当がつく。

 「フルノ」と「Rutter」の2大民間レーダーメーカーは、反射信号をデジタル処理して、遠くの氷面の起伏をモニター画面上に可視化できるシステムをコーストガードに提案しているが、予算がなく、『ポーラースター』はそれを搭載できていない。
 ※フルノはほんとうにたのもしい日本企業だ。防衛省や海保がこのメーカーのポテンシャルを活かせていないとしたら残念なことだ。……というか、飛躍のためにはいっそ拠点を北米へ移したほうがいいのか?

 切り開いた氷面は、艇のすぐうしろで、閉じようとする。その圧力は大きいので、後進をかけてから再前進で厚い氷を割ろうとするときに、バックできなくなることがある。すると、何時間もそこにとじこめられてしまうのだ。

 氷を擦りながら進むときのノイズは相当なもので、それが船内へモロに伝わるから、非番の乗員も水線下の居室で安眠などできるものでなく、全乗員がたいへんなストレスを蓄積する。

 『ポーラースター』はふだんはディーゼルで巡航するが、分厚い氷海面では、ガスタービンを起動する。
 新コロのおかげで、パトロール期間中にちょくちょく上陸休憩することもできなくなった。なんとか艦内で娯楽を用意するしかない。

 こんかい『ポーラースター』号は、北緯72度11分まで北上し、米国船籍の水上艦船として、新記録を打ち立てた。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

海底パイプラインも海底送電線も、有事には敵によって切断される。そこまで考えているか広域機関は?

 Stanis?aw ?aryn 記者による記事「Putin’s pipeline of aggression: How the Nord Stream 2 threatens the West」。
   ※記者はポーランド人のようだ。

 ロシアからバルト海の海底を経由してドイツに天然ガスを供給する新パイプライン「ノルト・ストリーム2」。
 これが完成するとヨーロッパはどのくらい危険になるか。

 このパイプラインに沿ってロシアはセンサーを敷設する。SOSUSみたいなものだ。
 さらに、そのパイプラインとセンサーを防護するという名目で、敷設海面への他国船舶の接近を禁ずるようになるだろう。

 バルト海が、《不自由の海》になってしまうのだ。

 次。
 Brent Schrotenboer 記者による記事「Sheriff department’s investigation into Tiger Woods crash scrutinized」。
   タイガーウッズの交通事故続報。
  こういう事故がおきたときはたいてい、DRE(drug-recognition expert)という血中薬物分析のプロが呼ばれるのだが、今回、管轄のシェリフはそれを呼ばぬことに決めた。彼らには、呼ぶか呼ばないか選ぶ権限がある。

 もしDREが病院に呼ばれてウッズの血液や組織から薬物(合法治療薬)を検出したら、ウッズは薬の影響下で運転したという「軽罪」に問われる可能性があった。

 しかしウッズの入院直後にシェリフがDREを呼ばず、ウッズの血液サンプルも確保しなかったことにより、当日、ウッズがどんな薬の影響下にあったかは、もはや闇の中である。

 ウッズが任意で血液を提出しない場合、シェリフは裁判所から令状をとってこないと、強制採血はできない。それには、ウッズが何かの犯罪に関与した疑いのあることを裁判官に納得させねばならない。それが、むずかしかったであろうことは想像がつく。

 本人が、運転していたことじたいの記憶が飛んでいる理由をシェリフは、エアバッグに頭を強打されたため、と看做そうとしているようだ。要するに、スポーツ界のレジェンドを、薬物運転の軽罪などに問いたくはないのであろう。
 事故直後は意識清明。アルコールの疑いも、違法ドラッグの疑いも、無かったのだ、とシェリフ当局。

 次。
 Kyle Porter 記者による記事「Tiger Woods car crash: Police determine cause but details will remain undisclosed over privacy concerns」。
   APが水曜日に報じたところでは、警察はウッズの乗用車のログデータを解析し、事故原因を特定したが、その詳細を公表しないことに決めたという。
 結論として、これは単純事故であったと。

 非公開理由は、それがウッズのプライバシーに関わるからであるという。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

マリの英軍歩兵は40ミリ擲弾発射銃からうちだす豪州製のクォッドコプター「ドローン40」を実用中。重さ190~300グラム。60分滞空で20km先まで偵察可。

 Peter Suciu 記者による記事「Why Was an F-35 Stealth Fighter Damaged By Its Own Bullet?」。
    3月12日、アリゾナ州のユマ上空で、海兵隊所属のF-35Bが夜間訓練中、GAU-22(四銃身)ガトリング砲から発射した1発の25粍「PGU-32/U SAPHEI-T」弾が、早発(砲身のすぐ前で過早に自爆)。このため機体の胴体が破片で損傷した。

 F-35Bにはこの実包(弾薬包)は220発、積まれている。発射レートは毎分3000発。
 F-35Aの場合、GAU-22ガトリング砲は機体左側内部に埋め込まれている。F-35Bの場合は、取り外し可能なガンポッドとして胴体の下に吊るされる。

 この事故での負傷者はなかった。
 機体損傷も、着陸にはなんらさしつかえがなかった。
 ただし機体修理費用は250万ドルを超えることが確実である。よって「Aクラスのやらかし」に分類される。

 『エスクワイア』誌いわく。もしF-35Aでこの早発事故がおきたら、爆発はコクピット・キャノピーから数インチのところとなって、パイロットは無事ではなかっただろう。

 ※WWII初期の英軍の戦車が、2ポンド砲(40ミリ)用にソリッドのAP弾しか搭載していなかった理由は、やはり腔発事故を嫌ったのだろうと個人的に想像している。しかしそのおかげで、対歩兵の制圧射撃には遺憾の点が多くなってしまったことは、みなさんご承知の通りだ。いたしかゆし。

 ※さいきんは本格的な「海戦」も生起していないが、もし実戦になれば、軍艦や装甲車に搭載された爆裂弾頭の誘爆や自爆事故がおそろしいことになるはずなのである。敵味方ともにね。だから米軍は、極端に鈍感な爆薬の開発に余念がなかった。それでもこういう事故がおきるということ。ソリッド弾とHE弾のあいだには、いかほど小口径だろうと、天地の相違がある。対艦のハイパーソニック弾は、ソリッドにするのが利巧だと、私は直感します。

 ※3月にホビージャパンから刊行されたGun別冊ムックの『日本警察拳銃』は、カラー写真満載で、見ていて楽しい企画だ。それにしても滅法詳しい人がいるもんだ。どの分野にも。

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 Eamon Barrett 記者による2021-3-29記事「China burned over half the world’s coal last year, despite Xi Jinping’s net-zero pledge」。
   英国の研究機関の調査発表。中共の石炭火力発電は、2020年において、世界の全石炭火力発電量の53%を1国だけで占めたと。このシェアは2015年より9%も増加していると。

 中共国内の電力使用量は、2015年から2020年までのあいだに33%増えた。これはIEAの統計。
 ただし増加分の半分くらいはリニューアルエナジーで賄っている。
 中共はソーラーパネルでも発電風車でも世界最大の生産国なのだが、それでも、全電力の70%は、化石燃料を燃やす発電所から得るしかない。これが現状。

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 Liza Lin 記者による2021-3-24記事「Tesla Boss Elon Musk’s China Charm Offensive Rolls On With Praise for Climate Plans」。
    テスラは2020年に315億ドルを売り上げたが、その五分の一は中共市場だという。米本国では152億ドルを稼いでいる。
 だから中共から脅されると、イーロンマスク氏は中共ヨイショ発言をするしかない。

 中共は、テスラ車の使用を、国営企業や軍の関係者には、禁ずるという。
 なぜならテスラ車が自動であつめた諸データが米国に送信されてしまうから。

 テスラ車は常時自動で動画を採録し、現在位置情報を伝達する。スマホの無線網には常時接続。

 ※わたしが『米中「AI大戦」』の中で予言したことが、またしても当たってしまったではないか。ところで最新刊の『尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか』も、おかげさまで好評をいただいております。みんな、書店へ急ぐんだ!



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法


米中「AI大戦」

インド政府のハッカー部隊はシナ人を装って対パキスタンのサイバー作戦を推進中。

 Andrew S. Erickson & Ryan D. Martinson 記者による2021-3-29記事「Records Expose China’s Maritime Militia at Whitsun Reef」。
   人民解放軍海上民兵、略すとPAFMM。
 いま、Whitsunリーフ〔牛軛礁〕に居座り、なんの漁労もすることなく、フィリピンのEEZを不法に侵害している。

 中共外交部いわく。海上の強風からのシェルターとしてそこに避泊しているだけである、と。
  ※荒天からの避難は常に船舶の領海進入の正当化事由になる。とうぜん尖閣でもこの手を使う。外交部のカウンター宣伝も含めて、その予行実験を重ねているのである。そしてわが外務省が仕切る日本のNSCは、緊急避難を名とするホンモノの漁船の尖閣上陸ケースを終始一貫まったく想定していない。シナ人だったならさいしょに考え付く手なのに……。こういうのを「戦争のセンスがない」と私は呼ぶのである。

 PAFMMの船舶の動きはAISで把握できる。ただしシナ語版の有料サイトを覗く必要があるが。
  ※原文に、参照先等すべて載っている。略す。

 「ユニオンバンク」礁に出没するトロール漁船は、広東省江門市が2016に設立した漁業会社に所属している。
 PAFMM用の頑丈な鋼鉄製トロール漁船を建造しているのは、江西省の広信造船重工業。2017-3-15に9隻を受注している。全長62.8mである。なんとそれまで漁船を建造したことがない。それを9ヶ月で竣工し、2017-10に公試運転、12月5日に納入した。その式典に2人のエリート将官が臨席。

 船の登録番号もぜんぶ判明している。この艦隊が軍に指揮されて統一的・計画的にフィリピン方面作戦を展開していることは、出没記録から明白だ。



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