米ドル換算すると、100ドルにならない水準らしい。そして同州の教育長によると、賃上げする気はないそうである。
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Jon Grevatt 記者による2023-11-7記事「Defense & Security 2023: Norinco to supply Sky Saker FX80 UAV to Thai army」。
中共の国営武器会社ノリンコが開発したハイブリッド砲兵観測機「Sky Saker FX80」をタイ陸軍が購入することになった。
兵器展示会が催されているバンコクで11月7日に公表された。契約は10月に済んでいるという。まず4機と地上管制ステーション×1基。引渡しは来年の予定。
売値は非公表だが、だいたい530万ドルになるだろう。
※模型の外形はユニークで、見れば見るほど面白い。双ブームは長く、前半は中央主胴の前端までもある。そして水平尾翼が無く、かわりにエンテ翼が主胴前端から生えており、その先尾翼の両端が双ブームの前端をブリッジしている。双ブームの後端には、それぞれ下方にのみ垂直尾翼がある。そしておそらくこの垂直尾翼によって、プッシャープロペラが側方に対して特徴的なレーダー反射をストレートに返さぬように意図している可能性がある。VTOL用の電動ローターは8軸。すべて双ブーム上にある。ただし双ブームの後ろ半分はやや寸詰まりなので、やむなく2軸を段違いに配置している。主胴後端の内燃エンジンは露出部分がなく、スピナーまで段差なしに流線形フェアリングで覆っており、冷却方式が謎。
※古い資料にあった「FX70」のスペック。主エンジンは灯油系ヘヴィフュールを用いる。離陸重量は30~70kg。滞空20時間まで可能。データ通信は100kmまで届く。
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Peter CATTERALL 記者による2023-11-7記事「China owed more than $1 trillion in Belt and Road debt: report」。
中共は「一帯一路」事業を通じてすでに1兆ドルの海外債権を握った。中国は世界最大の債権国になった。
貸し付けている相手国の8割は、財政難に陥っている。
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2023-9-14記事「Norinco China is the Winner of the Royal Thai Army’s VTOL UAV Project for Field Artillery Target Acquisition Battery」。
タイ軍の砲兵師団は、ながらく、イスラエルのIAIから「サーチャー2」を購入して観測とターゲティングに使ってきた。このたび、それを中国製の無人観測機で更新することが決まった。それがノリンコの「FX80」だ。
珠海の国際航空ショー(2022年11月)にて発表されていた数値によると、FX80は航続距離が100km。滞空は8時間まで可能。巡航速度は90~110km/時。
ノリンコは、採用競争で、イスラエルのアエロノーティクス社とタイの「RV Connex」社の合同提案である「PATHUM 4」ハイブリッド無人機(双ブーム上の電動ローター4軸+プッシャー式単発エンジン・プロペラ)を、破った。この「PATHUM 4」は、アエロノーティクスの「オービター4」の改善型で、採用されればタイ国内で製造するという提案だった。
また、アエロテクノロジーインダストリー社(ATIL)提案の「DP6」という候補機も、ノリンコは破ったことになる。これまた、採用されればタイ国内で製造されるはずであった。
※ノリンコ提案品は、タイ国内での生産をしない。それでも競争に勝つとは恐れ入る。裏で圧倒的な工作があったことを想像されても仕方あるまい。
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Defense Express の2023-11-8記事「The Scorpion Self-Propelled Mortar, Which Recently Appeared on the Battlefield, Accurately “Stings” the russians」。
トヨタのランドクルーザーと120㎜迫撃砲を組み合わせたハイテク・システム「スコーピオン」は米国製。
これがウクライナに供給されていて、すでに戦場に出ているという。
宇軍の特殊部隊「クラーケン」がこれで訓練しているビデオは、10月にSNSに出ていた。
ユーザーの感想。精度は抜群だそうである。固定式の迫撃砲よりも精密だと。
射程1kmにつき2mの着弾誤差しか増えないという。
照準はすべてメカトロニクスが自動でやってくれる。運行姿勢では迫撃砲はランクルの荷台に横倒しとなる。運行姿勢から射撃姿勢までの転換も、すべて機械がやってくれる。
人がすることは、砲弾を砲口から落とし込むことと、拉縄式を好む場合は、その拉縄を引く操作。
最低人数で運用したければ、ランクルに兵隊2名を乗せればいい。1人は操縦席でタッチパネルを操作する。もう1人は車外で砲弾を装填する。
迫撃砲は、スペインの「グローバル・ミリタリー・プロダクツ」社製の「アラクラン」というシステムである。
※宣伝ビデオがじつに気持ちいい。
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2023-11-8記事「Germany ordered 100,000 rounds of 120mm mortar ammunition for Ukraine」。
ドイツ政府は、ラインメタル社に対して、120㎜迫撃砲弾×10万発の製造を発注した。すべて、対ウクライナの援助分である。ラインメタル社がプレス向けに公表した。
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Alexey Lenkov 記者による2023-11-8記事「Russia keeps 4,500 D-30 and 2S1 guns in stock to absorb DPRK shells」。
ロシアには古い大砲は何千門もまだ在庫がある。問題は砲弾。ロシア政府は、月産150万発を製造すると吹かしているが、それは無理ではないか。
「Frontelligence Insight」という分析チームのOSINTによると、ロシアが北鮮から受取った50万発の弾薬のうち7割は、152ミリ砲弾であろう。38万6400発と推定する。
2割は、122㎜ロケット弾であろう。21万1000発と推定する。
残る1割は、種々雑多な弾薬だろう。
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ストラテジーペイジ の2023-11-8記事。
トルコは、米政府がガザ問題についてトルコに相談しなかったというので、またスウェーデンのNATO加盟手続きを遅らせ、拗ね者を演じている。
インシルリク空軍基地ゲートにおしよせた、プロ・パレスチナのデモ隊に対しては、催涙ガスと放水がお見舞いされた。11-5のこと。
11-2にイスタンブールでトルコ内務省が、国際麻薬密輸組織を一斉手入れ。このグループの源流は、豪州の暴走族「コマンチェロ・モーターサイクル・クラブ」を母体とし、今日では豪州のみならず、オランダ、香港、韓国、南アフリカ、そしてラ米に広く「支所」を展開している。
※英文ウィキを調べると、こんなことが書いてある。コマンチェロというのはジョンウェイン主演の1961の映画タイトル。そこからつけた。1968にシドニーでオートバイギャング団を立ち上げたのはスコットランド系移民のウィリアム・ジョージ・ロスである。2009年には米国のヘルスエンジェルスとシドニー空港で乱闘。死者あり。2018からはNZにも支部あり。
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David Shedd and Ivana Stradner 記者による2023-11-7記事「Russia’s Second Front in Europe」。
ロシアはバルカン半島に「第二戦線」を作れる情勢。ロシア人のおともだちであるセルビア人が、コソヴォを「西側のせいで奪われた失地」ととらえており、軍隊を使ってそれを取り戻すことに賛成だから。
※プー之介はハマスの前にセルビアに開戦させようとしたが、そっちは米国が未然に阻止した。しかし米国がガザにかかりっきりになると、再び好機がやってきたと、セルビア政府が考えるかもしれない。
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Alex Hollings 記者による2023-11-7記事「You’re probably thinking of missile costs all wrong」。
2月4日にF-22が中共のバルーンを、サイドワインダーで撃墜した一件を覚えているだろう。
なぜ機関砲を使わなかったかというと、それではバルーンに穴が開くだけで撃墜できないと、米空軍には事前にわかっていたから。
なぜAMRAAMを使わなかったかというと、1発100万ドルもするので、惜しいから。
AIM-9Xとて、1発47万2000ドル強、するのである。しかし、アムラームよりは安かった。だから選択された。
なお、サイドワインダーの今のシーカーはIRイメージ追尾なので、冷たいバルーンにも問題なくロックオン可能。
47万ドルは勿体無いと思う納税者がいるのはとうぜんだが、じつは、ミサイルにはすべて「サービス・ライフ(有効寿命)」がある。
冷蔵庫の中の牛乳と同じなのだ。賞味期限を越えて放置したら牛乳は必然的に変敗する。
ミサイルも、在庫品は、いつまでも使えるわけではなくて、一定期限内に、消費してしまわないと、実戦での性能や信頼性が保証されなくなる。
空対空ミサイルの場合、推進モーターの素材である固体燃料が、時間とともに化学変化して劣化する。
また、ミサイル内に組み込まれている電池も、働きが落ちてくる。センサー、コンピュータ、それから舵を動かしているアクチュエーターも電動であるから、電源の電圧が下がったら当たらない。
もちろん、ミサイルの寿命を延ばすリファービッシュ工事は可能である。たとえば「ミニットマン3」ICBMは1970年代に配備されたとき、寿命は10年だとされていた。しかし、何度も延命工事を続けて、これまで半世紀も現役を保っている。「ミニットマン3」はとっくに製造が終了しているので、ほんらいなら後継ICBMで更新されるべきなのだが、米ソ軍縮条約で後継の「ピースキーパー」を全廃したために、コスト面で合理的ではないのは百も承知で、「ミニットマン3」の延命工事をしている次第だ。
これに対してサイドワインダーやAMRAAMは、今も製造が続けられている、大量消費向きの弾薬だ。これらに延命工事を施すよりは、新しいロットで次々に更新した方が、コストは低くなり、パフォーマンスは高くなる。
げんざいの戦術ミサイルは、在庫性能保証期間を10年から20年くらいとして、設計・製造されている。
「AIM-9X」の有効保管寿命は20年。もし、それを過ぎる前に使わないなら、それを過ぎたところで廃棄される。
また、軍用機は、ミサイルを実装して離陸することがあるが、それを必ず空中で発射するわけではなく、装着したまま戻ってくることの方が平時は多い。ミサイルにとって、この「エア・アワー」は、急速に寿命が縮む時間である。高温から極低温までの苛烈な温度変化や、振動・衝撃等にさらされ通しだからだ。
最新ミサイルの「エア・アワー」は公表されていない。古いミサイルの慣行だと、「在空加算時間」は、倉庫に保管されている状態の時間の50倍~80倍として、余命の計算に反映させていた。今もそんなところかもしれない。
※北鮮が在庫の古い弾薬を片端から露軍に売り払ってしまうのも、合理的なわけだ。