DJI製品は飛行中、独特のコード信号を送受する仕様になっており、そのコードを受信解析するデバイスも同社によって売られている。この解析ハードウェアを持っている者には、付近空間にDJIドローンが存在しているかどうか、また、それらのDJIドローンをどこから誰が飛ばしており、発進点と帰還場所はどこか、までも、リアルタイムで分かってしまう。DJI本社には、その購入者の登録情報が集まっているから、そのデータベースと併せることで、ユーザーについてますますいろいろ分かってしまう。米軍はそれを忌避しているわけである。
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Samuel Bendett and David Kirichenko 記者による2025-1-10記事「Battlefield Drones and the Accelerating Autonomous Arms Race in Ukraine」。
2024-12に宇軍は、人類戦史上はじめて、FPV式に操縦されるUAV+UGVだけの攻勢を、露軍陣地に対して仕掛けた。
このUGVは機関銃搭載。場所はハルキウの北郊の Lyptsi 村である。
その前に、UGVと人間の協働突撃が、2024-9に、クルスクの露軍塹壕に対して、催行されている。
ウクライナの人的資源はロシアに劣後し、戦線は800マイルもある。宇軍はどうしてもロボットに頼るしかないのだ。
※「自走するタイヤ爆弾」がどうして塹壕攻略フェイズで活用されないのか、不審でならない。露軍の滑空爆弾に匹敵する炸薬量(アエロゾル化爆薬)を充填して、敵塹壕の出口がありそうな藪の中まで転がして次々と起爆させてやるだけで、もう敵兵は地表に頭を出せなくなる。
2024-2にゼレンスキーは「無人機軍」の創設を命じ、2024-6に発足した。長は、スハレフスキー大佐。
ロシアも2024-12に「無人システム局」を軍内に新設し、ウクライナ戦争で得られたロボットの知見を全軍に均霑させることにした。
2025の予想だが、宇軍はUAVにもUGVにもAIを結合させて、そのスウォームを前に出すようにし、できるだけ生身の兵隊は後ろに下げる。人的資源の損耗をできるだけ抑制する路線を模索している。
ロシア国防省は2024-8に「ルビコン・センター」を創設し、AIの軍事応用を加速させようとしている。
宇軍幹部は、2025には、数万台のUGVが戦闘任務と補給任務に必要だと公言している。
いま、ウクライナ国内には、およそ10社の、AI製品メーカーがあって、国からの受注を競っている。
ドイツに本社がある「Helsing AI」社は2024-12に発表した。「HX-2 カルマ」というUAVを4000機近く、ウクライナから受注しており、その最初の数百機がウクライナの前線へ搬出されたと。
このUAVはGNSSには依拠せず、自律的に標的候補を捜索し、人間のオペレーターが許可した標的に、自律誘導にて特攻するものと想像される。
前の統合参謀本部議長で退役したマーク・ミレー大将は予言する。これから10~15年のうちに、米軍の最大「三分の一」はロボットになる。
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Matthias Gafni, Susie Neilson 記者による2025-1-9記事「Private firefighters protected a Hollywood talent manager’s home. Why are people so mad?」。
カリフォルニア州のベバリーヒルズのような富裕地区では、保険会社のサービスとは無関係に、法人や私人が、私的に「消防会社」と契約して、不動産を延焼から守らせることがある。
この私営消防会社の活動は、必然的に、公共とバッティングしがちだ。たとえば取水先がひとつのプールであった場合、ほんらいなら町の消火に使われるべき水が、特定の個人の家屋の防衛のために使われてしまうわけだ。また、その消火会社の「消防車」が、狭い道路を塞ぐことによって、公共消防隊の移動や展開が邪魔されたり、住民の避難や救難、搬出作業などに差し障りが生ずる恐れが、とうぜんに予測されねばならぬ。
ある大手の民間消防会社。なんとその規模は、連邦消防局、加州消防局に次ぐ、全米第三位の陣容を誇る。
それで、たとえば「ウォーター・テンダー」(ポンプ車)を火災時に公共の消防局に貸してやったりする。それもまた、事前に契約されたビジネスなのである。
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Thomas Newdick 記者による2025-1-13記事「North Korean Air Defense System Revealed In Ukraine By Russian Friendly Fire Strike」。
北朝鮮がせっかく最前線に自走SAMを持ち込んでやったのに、それを露軍のFPVドローンが撃破してしまった。同士討ちだ。
ビデオが撮影された場所はクルスク。
正式名称は不明。しかし、ロシアのTor(SA-15)の模倣品と考えられる。車体は装輪式なので、これはあるいは、ベラルーシ製の類似システム「Tor-M2K」のコピーなのかもしれないという。
ちなみに宇軍は、ごく少数の装軌式の「9K330/331/332」をもっているにすぎない。「Tor」の系統としては。
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Jessica Fu 記者による2025-1-9記事「A Blistering Inferno. A Whirling Tornado. A Shocking Crash」。
今日、空から撒いている消火液剤は、水とケミカルを混ぜたもので、赤く着色されている。ただの水だと、火焔の熱ですぐに蒸発してしまう。簡単に蒸発させないようなケミカルになっている。
特に、野火の初期消火に有効。その拡張を防いでくれる。
最大級の消火用航空機は「DC-10」を改造したもので、8000ガロンを上から撒ける。
EUが出資している「rescEU」という国際消防団は、空中消防タンカーを28機、備えており、いつでも、全欧の大火災鎮圧に、飛んで行く。
また、消防用航空機を操縦できるパイロットがふだんは民間で別な仕事をしているが、それを、緊急非常時に、当地の行政の消火活動のために貸し出すという、広域人材派遣斡旋商売も、欧州にはある。
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Sofiia Syngaivska 記者による2025-1-13記事「The UK Defense Intelligence: russia Deploys 1,700 OWA UAS, Marking the First Decline Since Spring 2024」。
片道特攻無人機のことをOWA(ワン・ウェイ・アタック)UAS(無人航空システム)とよぶ。
露軍が繰り出した、この「OWA」機の数は、2024-12月の1ヵ月間で1700機であった。
これは、2024-11月の2300機より減っている。
※米大統領選に合わせて努力を集中したのである。かき集めたありったけを放った。だから直後は、在庫が品薄になる。
2024-3月いらい、露軍が繰り出すOWAは増え続けていたが、初めての減少となった。
ただし今後とも、1500機よりも減ることはなさそうだ。
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Boyko Nikolov 記者による2025-1-11記事「Ukrainians detonate their own American-made M1A1 Abrams tank」。
クルスクで、停止している「M1」戦車に、ウクライナ軍のFPVドローンが命中する動画が、米国のSNSに投稿されている。どういう情況だったなのか、判明していない。
米国は2023に、31両の「M1」をめぐんでやった。オランダのOSINTによれば、すでに17両が戦場で喪失済みである。
Oryxによれば、それとは別に7両が、故障や損傷のために動かせぬ状態だという。
前線で回収できなくなった重装備は、ウクライナ軍の方針として、ドローンで始末させてしまう。露軍が鹵獲できないように安全化するのだ。
1ヵ月くらい放置したあとで、破壊処分することもある。
また Oryx の見積では、「ブラドリー」は125両がすでにやられているという。そのうち半数は、前線において、完全に破壊された状態だという。