空母改装された『かが』は来年、米東海岸へ行き、海兵隊のF-35Bを使って調子を見る。

 海兵隊の『ワスプ』級がだいたい『かが』と同じ甲板構成。フラットで、カタパルトとバリアーがなく、エレベーターはある。

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 Philip Butterworth-Hayes 記者による2023-11-16記事「US warship “shoots down drone launched in Yemen during Red Sea patrol”」。
    米海軍のイージス駆逐艦『トマス・ハドナー』(アーレイバーク級・DDG 116)が紅海で無人機を1機、撃墜した。場所は公海上。

 この撃墜は「自衛」であったとペンタゴンは声明している。

 『ハドナー』は、空母『フォード』の輪形陣を構成していた。僚艦は他に、『ノルマンディ』『ラメイジ』『カーニー』『ローズヴェルト』。

 ドローンはフーシが放ったものと考えられるけれども詳細は不明。

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 Andrii Ryzhenko 記者による2023-11-15記事「Ukraine Uses Innovative Drone and Missile Tactics to Combat Russian Dominance in Black Sea」。
    ノヴォロシスク軍港で8-4に無人特攻艇(ケルチ橋橋脚を攻撃したのと同タイプで、炸薬1トン)にやられたロシアのLSTみたいな揚陸艇『オレネゴルスク・ホルニャク』。この揚陸艇の上には防備に必要な武器も兵員も映っていなかった。すなわち無防備。
 露軍は、そこが攻撃されるとは思っていなかったのだ。

 ※水中爆発によって、橋脚ではなく、水面から相当に離れた橋桁を破壊する方法があるんじゃないだろうか。気化爆弾を使えば。まず水中で「エアバッグ」のようなものを膨らませる。そのエアバッグは、パラボラ状で、キノコの傘の天地をひっくりかえしたようなシェイプ。起爆させると、パラボラの内側海面の水が高速ジェットとなって吹き上がる。

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 Ashish Dangwal 記者による2023-11-17記事「China Wants ‘Nuclear Parity’ With US; Could Achieve The Scary Milestone By Mid-2030s」。
    連邦議会の米国戦略態勢委員会は11月15日、中共は2030年代に、米国との「戦略核パリティ」を達成するだろうと予言した。

 いま、米露は互いに5500発~6000発の核弾頭を保管し、そのうち1600発はいつでも発射できる状態にしている。あと10年すれば、中国もまたそれに並ぶというのである。

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 Brian G. Chow 記者による2023-11-15記事「Deterring a looming Space Pearl Harbor through better public discourse」。
   宇宙のパールハーバーとは何か。
 それは中共が2008年いらい構築している奇襲テクニックで、平時に枢要な米国衛星の同じ軌道に、破壊工作用のストーカー衛星をつきまとわせておき、開戦劈頭に、一斉に米国衛星の機能を奪ってしまうというものだ。
 イーロンマスクもロシアからこれをやるぞと脅されたのである。

 予測では、2026年までに、中共は、この方法で、200個の米国衛星を、いちどに機能停止させることができるようになるだろう。

 「宇宙のパールハーバー」という用語は、2001にラムズフェルド委員会が初使用している。

 ※ゼレンスキーがアフリカのメディアに対して、米国製のM-1戦車は数が少なすぎて何の役にも立っていないと語った。この乞食はすべてがじぶんのせいだと理解する必要がある。何もかも貰うということは、有限なマンアワーが分散され、戦争が長引くということなのだ。それを慫慂したのはこのオヤジ本人なのだ。四人乗り戦車に必要な人数は、四人か? 違う。たった1両の戦車を貰っても、200人くらいはそれにかかりきりになってしまうはずだ。人的資源のこの無駄遣いは、ドナー国側でも同様に発生する。まさに幾何級数的に無駄な努力分散が強いられる。その皺寄せで、前線味方部隊が得べかりしロケット弾、迫撃砲と迫撃砲弾、弾着を観測するドローンと特攻ドローン、トンネル工事用機材などの戦力増強が、遅延させられてしまう。それらならば余計な人手は喰わない。貰えば貰っただけ、ストレートに、国家総力戦力を補強してくれたのに。馬鹿は死なねば治らぬ。F-16でもきっと同じ繰り言を聞かせてくれるであろう。

 ※戦史叢書のガダルカナル島の部・後編『南太平洋陸軍作戦〈2〉』を読んで考える事。《ゲル状糧秣》というものがあってもよいのではないか。まずUUVが海岸に近づき、波打ち際まで「チューブ」を延ばす。陸上でそれを引っ張りあげて、端末を林縁内まで引き込む。(機械力で引くためのキャプスタンとワイヤーと巻き上げ装置をあらかじめ用意。)そのチューブから液状糧秣が圧送されて出てくる。この液状糧秣が、「灯油燃料」であってもいいはずだ。離島作戦で、かならず重宝するだろう。


米宇宙軍が創設されてから4年を迎えた節目に、同軍作戦部長のザルツマン大将は、中共のASATが最大の脅威であるという認識を語った。

 Kelly Laco 記者による2023-11-13記事「US territory Guam is ‘highly vulnerable’ to Chinese missiles」。
   共和党下院議員のマイク・ギャラガー(ウィスコンシン州選出)は、下院の対中共委員会の委員長。
 ギャラガーは月曜日に陸軍長官(文官)に書簡を与えた。いわく。米領のグァム島には、有事には「数百発」の中共軍の巡航ミサイルが飛んで来るだろうと。
 そしてそれに対する防御の体制は不十分であると。そのため同島の2万人の米兵は危険にさらされているぞと。

 米海軍の西太平洋における唯一の潜水艦基地が、グァム島にある。※厳密には、SSBN用の施設ということか。SSN用なら日本にもある。

 ※日本外務省はこういうことを考えたことがあるだろうか。核弾頭付きトマホークを米潜が、三陸沖から発射したとする。たまたまその1発がエンジン不調になり、韓国領土上に墜落。弾頭はほぼ無傷で韓国軍によって回収された。あるいはまた核弾頭付きトマホークを米潜が、ボルネオ南方沖から発射して、たまたまその1発がボルネオ島のジャングルに墜落……。こうしたケースで、韓国政府、インドネシア政府またはマレーシア政府は、核弾頭の返還に応じてくれるだろうか? 弾道弾と違って巡航ミサイルは、途中墜落したときに、誰かに無傷で枢要パーツを拾われてしまう可能性が無視できないのだ。スプラトリーの暗礁帯であったら、海底からの揚収も容易である。誰が拾うかわからない。

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 Joe Saballa 記者による2023-11-15記事「Taiwanese Soldiers May Soon Train on US Soil」。
    火曜日、米支経済安全保障見直し委員会は、米連邦議会に対して勧告した。台湾軍が米本土で演習できるようにせよ、と。

 まずは台湾軍からの「オブザーバー」チームを受け入れろ、と。

 台湾がカネを出して米国メーカーに発注した大量の武器がまだ台湾に納品されていないのは大問題である。その使用法の訓練を、台湾軍人を米本土に招致して、先行して、させるがよい。

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 2023-11-16記事「Latvian organization donated Bandvagn tracked all-terrain vehicles to Ukraine」。
  「Bandvagn 202」は、前後重連の全地形用装軌車両で、もともとヴォルヴォ社が開発。このほどシカゴにあるラトビア人の有志団体が、ノルウェー軍が退役させたこの車両を4両買って、アンビュランスに改装工事したうえで、ウクライナ軍へ寄贈した。
 兵隊10人、プラス、荷物1トンを運搬できる。

 また、そのまま、浮航も可能。

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 Defense Express の2023-11-16記事「Over a Thousand Mortars, Updated Varta APC, and a New Interesting Project from Ukrainian Armor」。
   「ウクライニアン・アーマー」社が、小型トラックと82ミリ迫撃砲の結合を研究している。

 同社はこれまで、装輪APCのVartaとNovatorを生産してきた。
 また、60㎜、82㎜、120㎜の迫撃砲も製造している。現状でその製造ペースは年産数百門(2022-2以後に、累積トータルで1000門以上の迫撃砲を宇軍に納品したという)。目下、設備投資して増産を企画中。

 同社は、今次戦争の開始と同時に、工場の移転・再配置も考えなくてはならなくなった。

 同社の、迫撃砲の弾薬の製造は、2022-2以降、逆に、ストップしてしまっている。

 APCのVartaには、ベラルーシ工場からとりよせたMAZトラックのシャシが使われていた。これを国産品で更新する研究も進んでいる。

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 Dan Williams 記者による2023-11-16記事「With mapping robots and blast gel, Israel wages war on Hamas tunnels」。
    イスラエル軍は、ハマスのトンネルを潰滅させる道具として、Gel状の爆薬を使っている。

 ハマスは、退却するときにはトンネル内にIEDを残していく。それはトンネルの壁に埋め込まれているので「サイド・ボム」とも呼ぶ。
 このような危険があるので、最初からジェル爆弾を用いる方が安全なのだ。

 トンネルの地上の蓋を開けるときから、危険は始まる。先週、4人のイスラエル兵が戦死したが、それは、蓋を開けると紐が引っ張られて爆薬が起爆するような仕組みを、ハマスが置き土産としていたからだった。

 ハマスの主たるトンネルは、地表から最低20m、最深だと80mに掘られている。

 ゲル爆弾の成分を明かすことはできない。しかしこれはトラックによって運ばれてくる。長さ数百mのトンネルを潰すためには、液状爆薬をトラック1台分、流し込まなくてはならないのだ。

 ※単純なスラリー爆薬ではないだろう。敵の銃撃で誘爆しかねなぬものでは、危なくて、大量に運べぬ。かならず、バイナリーの工夫がしてある筈。

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 ストラテジーペイジ の2023-11-16記事。
   M2ブラドリーの履帯にはゴムパッドが嵌められているが、これは消耗品である。
 M2の履帯は、通常、1年に1回、新品とまるごと交換しなくてはならない。

 2003年のイラク作戦では、700両のM2が投入されているが、それらは数ヵ月ごとに履帯を交換する必要があった。
 とても新品の補給は追いつかないので、現地の補給廠にて、履帯「再生」作業を行ない、8割の交換需要は、再生品によって間に合わせた。昼夜ぶっとおしの年無休のサービスだった。

 設計寿命では、それらの履帯は、走行距離1300kmか1600kmまでは使えることになっていた。

 じつは、M2の履帯の補給が逼迫したので、あわてて、「装甲化HMMWV」をこしらえて、それを大量にイラクへ送ったという次第なのだ。

 2011年以降、コストがM2の半分で済む8×8装輪の「ストライカー」が本格導入されることになった。こちらは1両が240万ドルであった。そして、履帯作業のネックがないのだ。

 ちなみに、MRAPSは、重すぎて各部の消耗スピードが速いので、平時の訓練に使えない。だから数千両もあるのに、けっしてストライカーの代わりにはならず、緊急予備用として砂漠に保管されているのである。

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 2023-11-16記事「Ukraine produces dozens of Shahed drone analogs per month」。
    ウクライナの戦略工業大臣いわく。シャヘド136のコピー品の量産を開始したと。月産数十機のペースだという。

 あだ名が「ウクライニアン・シャヘド」。もちろん、ウクライナ政府はそんな名前は使わない。

 大臣はまた、これまで公開されていない新型のドローンが、その中には含まれているとも述べた。

 オリジナルのシャヘド136は、40kgから50kgの弾頭重量で、レンジが1000kmから2000kmある。

 生産ペースはもちろん、上げねばならない。大臣の希望としては、月産数百機単位にしたい。
 目下の製造担当は、半官のUkroboronpromにやらせている。

 零細なスタートアップ企業にもUAVの手づくり試作はできる。しかしマスプロ量産は、ガレージではできないのだ。


8両のスウェーデン製155SP「アーチャー」を機能させるには、ウクライナ兵100名が必要だと判明。

 発射は4名でできても、それだけでは複雑なシステムは維持できない。
 修理、補給、指揮などに別な人数が要る。

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 Matthew R. Costlow and Keith B. Payne 記者による2023-11-15記事「 TLAM-N and SLCM-N: Lessons for Extended Deterrence and Assuring Allies」。
   TLAM-Nとは、潜水艦から発射する核弾頭付きの対地攻撃用トマホーク巡航ミサイルである。
 SLCM-Nとは、やはり潜水艦から発射するトマホーク巡航核ミサイルである。

 米軍がTLAM-NをSSNと水上艦に実装しはじめたのは1983年のレーガン政権時代であった。

 これについてワインバーガー国防長官は1986年に議会にこう説明している(年次報告書)。

 この流儀は「費用対効果」が優れている。SSNと水上艦は多数あり、しかも分散しているので、ソ連はそのすべてを先制破壊できない。多くのプラットフォーム艦がソ連からの第一撃を生き残り、確実に核報復するだろうとソ連は理解する。よって抑止になる。

 またいわく。TLAM-Nは米国の戦略核の予備戦力ともみなされる。また全世界に核抑止を顕在せしめる手段になる。また、ソ連のバックファイアとバジャーが、核弾頭付きの空対艦ミサイルによって米艦を先制攻撃してやろうとの企図を、抑止する。

 結果を読めなくしてやることによって、敵の親玉が、海上での核戦争などを夢想できないようにしてやるのだ。

 TLAM-Nは、その始まりから、海外地域での「拡大抑止」にむすびついていた。

 ワインバーガーの意図は、さいきん、当時の文書が秘密解除になって、確認ができるようになっている。彼が統合参謀本部議長に与えた注記など。

 1987に米国はソ連とINF全廃条約を結ぶが、それにもかかわらず西欧に対する「拡大抑止」は維持された。それはTLAM-Nがあったおかげ。

 いくつかの同盟国は、TLAM-Nこそが、米国が発揮している拡大抑止の唯一の正体だと理解していた。

 しかし冷戦が終了するや、米政府は、TLAM-Nを水上艦/潜水艦からことごとく陸揚げさせ、米海軍の陸上倉庫中に保管させる措置を取った。

 米海軍はその後も、もし緊張がまた高まってきたときには、命令から30日にして、陸上倉庫のTLAM-Nをふたたび水上艦やSSNに揚搭して、再度、核武装化できるように、演練だけはし続けた。

 2010年、オバマ政権は、「NPR」の中で、TLAM-Nを全廃する法令を整えた。その説明によれば、米軍の戦略爆撃機と、核爆弾運用可能な戦闘機が「前方展開」できる以上、それにTLAM-Nを付け加えても、不必要に冗長なだけである、と。

 これはおかしな話である。2010年以前にも戦略爆撃機はあり、多数の戦闘機が核爆弾運用可能であった。1950年代からそれらはあったし1983年にもそれらはあった。しかし1983にTLAM-Nは確証性に満ちた核抑止手段として、それら航空機にプラスされ、意義が認められたのだ。

 「2010 NPR」は説明する。冷戦が終わり、もはや米国や世界にとっての最大の危険は、他国と核戦争ではなくなったのである、と。むしろ、核テロと核拡散を阻止することを重視しなければならない。その努力の一環として、TLAM-Nは廃止するのである、と。

 米国、米国の同盟国、パートナー国は、ますますもって、米軍の無類の通常戦力、ならびに「ミサイル防衛」手段によって、その安全が守られるようになっている、と。

 NPR2010は、初めて、米国の筆頭のアジェンダを「核の不拡散」であると宣言した。それが核の全廃への一歩だ、とも。

 異常なNPRであった。米政府が、核戦争の抑止確証よりも、核兵器全廃のための不拡散の方が重要だと言い始めたのだ。

 米政府のこの路線は、日本政府と韓国政府に重大な懸念を抱かせた。この2国にとり、TLAM-Nが消えることは、米国による拡大抑止が消えることと同義だった。

 2009に連邦議会の超党派の「戦略体制委員会」は結論を出している。アジアの同盟国は、ロサンゼルス級SSNに搭載された核弾頭付きのトマホーク・ミサイルを、拡大抑止として深刻に恃みにしている。そして、米政府が核戦力政策をどうするかの論議の蚊帳の外に置かれている、と。

 この委員会は、日本政府がTLAM-Nの退役について重大な関心をもっていることを、このときに承知した。

 ジョン・フォスター博士の議会証言。低イールドで、コラテラルダメジが最小で、硬化目標(核ミサイルを納めてあるトンネルなど)を破壊できる手段として、日本政府はTLAM-Nの米SSN配備を高く評価し希望するであろうと。

 NPR2010の、公表前の事前説明の場にて、オバマ政府の高官は、こう強調した。TLAM-N引退の決定の前に、日本政府とは協議していると。また、これからも相談は続ける、と。アジアでも、米軍の戦略爆撃機と、核運用可能な戦闘機による「拡大抑止」機能は強化できる、と。

 これは嘘であった。米空軍の戦略爆撃機は、アジアには前方展開されていない。その逆に、「New START」条約にて、相当の数の爆撃機が、核兵器を搭載できなくされている。

 「ミサイル防衛(MD)」が拡大抑止の穴を満たすなどという脳内妄想ももちろん、TLAM-Nの代用になるものではなかった。

 トランプ政権下、「NPR 2018」は、今日、SLCM-N と呼ばれているものの導入を標榜した。
 それは、INF条約違反を推進しているロシアへの回答だと宣言された。
 SLCM-Nも、低イールドである。
 そして米政府による「拡大抑止」コミットメントの闡明であるとした。

 日本政府は狂喜したそうである。

 しかしバイデン政権は「NPR 2022」で、SLCM-N計画をまた葬った。

 バイデン政権の方針を承けて、韓国大統領Yoonは、韓国が独自の核兵器を開発するか、もしくは米軍が戦術核兵器を半島に再導入するか、どっちかにしなくては、と言い出している。

 これを宥めるためにSSBNが韓国に寄港している。
 だがその程度では韓国が満足する「拡大抑止」にはほど遠いのである。

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 Sarah Simpson 記者による2023-11-14記事「Elistair unveils KHRONOS a push-button drone-in-a-box solution designed for ISR operation from vehicles and fixed platforms」
  簡単きわまる、有線の見張りドローン。
 重さは66ポンド。
 見張り半径は10km。夜間も見通す。
 連続24時間、浮かんでいられる。

 車両(ピックアップトラック)が走行すると、浮いたままそれについてくる「フォロー・ミー」モードあり。もちろんテザリングされている状態で。凧揚げの凧みたいなもん。

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 Kate Plummer 記者による2023-11-14記事「The NRA is Slowly Dying」。
   2013年時点で全米ライフル協会のメンバーは1000万人もいた。
 しかし2023-1時点では、430万人だという。

 会員が半減したということは、本部が集める会費も減ったわけである。それは銃器擁護のロビー活動に響かざるを得ない。

 2022年にNRAが集めたカネ(会費+協賛金)は、2億1300万ドル。※最盛期はその倍かよ!

 会長のラピエールは、2020年にNY州検事局から訴追されている。会への寄付金を着服し、じぶんの家族のバハマへの大名旅行に使ったとして。その裁判はまだ続いている。

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 John Hill 記者による2023-11-14記事「MBDA Germany plans full-scale production of Enforcer before end of 2023」。
    MBDA社が2019末にドイツ軍から受注した「エンフォーサー」という個人携帯ミサイル。量産に入った。
 このミサイルは肩射ち式で、有効射程1800m。

 これが「対ドローン」のミサイルとして期待されているという。

 発射チューブやサイト込みで、重さは12kg未満である。

 光学照準器はスウェーデンの「Aimpoint」社から供給される。

 飛翔体は径89ミリである。その重さ、7kg。

 IR画像にロックオンして、追尾する。


マルチコプタードローンを軍艦から発進させると、そいつは海面に着水し、さらに潜り、水中を泳ぎ、海底の機雷を撮影し、ふたたび浮上し、離水し、軍艦に戻ってくる。

 そんなシステムを米海軍はすでに試作着手している。
 機体は水中にて、ローターをスクリューとしてそのまま回すようだ。

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 Defense Express の2023-11-14記事「First Shahed-136 Prototype was Created in Germany in the 1980s, and It was Called DAR」。
  本日 最大の、「驚き」記事。

 シャヘド136の祖形がイスラエルのハーピィであることは分かっていたが、じつはハーピィはIAIの発明ではなく、ほとんどドルニエ社(2002年に消滅)の「対レーダー無人機(Die Drohne Antiradar)」の設計が流用されただけだった???

 1980年代のなかば、ドイツと米国は、片道特攻無人機の合同研究に着手した。破壊対象は、ソ連軍の野戦用レーダー。それは、「射ち放し」式でなくてはいけないとされた。つまり無人機が自律で目標を捜索して突っ込むもの。

 コンペに勝ったのが、ドルニエ社だった。テキサスインスツルメンツ社の技術も、その中には採り入れられた。

 機体全重110kg。最大速力250km/時。滞空3時間可能。推定最大到達距離600km。空冷の水平対向エンジンは「Fichtel and Sachs」社が供給した。この会社は今日、自動車用エンジンだけを製造している。

 この特攻機は、大型トラックの荷台に、特製コンテナに入れられて6個、横向きに搭載され、そこからつるべ射ちされる。

 当初計画では、ドイツ連邦軍が1990年代にこれを装備化するはずだった。しかし、冷戦が突如、終了してしまい、このプロジェクトには、もはや予算がつかなくなった。

 2009年、発射車両のプロトタイプ×2台が、非公開の買い手に、売り払われた。
 あとは、想像すべし。

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 Aadil Brar 記者による2023-11-13記事「Taiwan and China Build Missiles to Strike Each Other’s Heartland」。
    台湾は、「擎天」という射程2000kmの地対地ミサイルの試験を終わり、量産に移した。このレンジだと、北京のはるか北側まで射程内である。

 げんざい、台湾軍には、4種類の、射程が1000kmを超える国産ミサイルが存在する。

 「雄風-IIE」巡航ミサイルの「B型」は、レンジが1200km~1500km。

 「雄風 III」はまた別のミサイルである。レンジは1000km以上で、陸上目標も海上艦艇もどちらも攻撃できる。

 「雲峰」ミサイルは、超音速の巡航ミサイルで、レンジは1200kmから2000kmのあいだ。

 2022-8にペロシ議長の訪台に対するイヤガラセとして中共が11発発射した「東風15」は、レンジが600~900kmの弾道弾である。

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Jon Grevatt 記者による2023-11-13記事「Edge partners Thai firm on UAVs, munitions」。
    UAEのメーカー「Edge」グループは、このほど、タイの国防企業である「RV Connex」社と提携する。
 エッジ社は、攻撃型無人機から投下する精密誘導ミサイル「RASH-1M」を持っている。
 RV社は、「スカイ・スカウト」という固定翼の無人機を持っている。

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 The Maritime Executive の2023-11-13記事「Abu Dhabi Companies “Print” World’s Largest Water Taxi Using 3D Tech」。
    アブダビで開催の「インターナショナル・ボート・ショー」に、世界で初めて「3Dプリンターで建造した水上タクシー」が出品された。

 全長389フィート〔ママ〕。巾12フィート。排水量6.4トン。動力は15kwの電動スラスター×2基。
 船体は双胴構造。船尾と船首に、畳んだり伸ばしたりできるボーディング・ランプを備える。

 この船体を3Dプリントするのは、11日がかりだという。
 船体の67%は、リサイクル素材である。

 舟艇を3Dプリントした最初のチームは米国メイン大学の先進構造複合材センターで2019年のこと。それは、全長25フィート、重さ5000ポンドで、72時間で形成されたという。

 この同じチームが2022年には、米国防総省のために補給用舟艇のプロトタイプを大小2隻、3Dプリントした。
 このうち大型のものは、補給艦の本船から海岸まで、20フィート・コンテナを載せて送り届けることができるサイズだという。

 小型のものは、フル装備の1個海兵小銃分隊を、3日分の補給品とともに、運ぶことができるサイズだという。

 これを「曳き船」で1対1曳航することもできる。

 ※「歩いて押す」専用の、チェーンもペダルもない、ソリッドゴムまたは麻紐をリムに巻いただけのタイヤの戦時製造式輸送用自転車でインパール作戦は乗り切れたという確信を、私は得つつある。さいきんありがたいのは、『戦史叢書』を防衛研究所がPDF公開しているおかげで、古書の値段が手頃になっている。昔は、1冊数千円のこのシリーズは、あまりにも高額で、私には買えるものではなかった。しかも情報量が一般書籍の5倍以上は詰まっているので、図書館で読もうとすれば他の資料をその日は閲覧ができなくなる「タイパ」上のジレンマがあり、この歳まで読み漏らしていたタイトルがたくさんあるのだ。今、古書を手に入れて読みふけっているのは、ガ島作戦の後半が載っている『南太平洋陸軍作戦〈2〉』。じつに多くの示唆を得る。揚陸海岸から、密林中の、アップダウンと泥濘部もある「丸山道」(巾65センチ)を、歩兵たちが重いモノをかついで且つ高速で移動できなかったために、第2師団の一斉攻撃計画は破綻した。「押して歩く」自転車があれば、問題はすべて解決していた。現地には辻政信も東京から派遣されていたが、所詮は歩兵頭の陸大エリートで、輜重を根本から研究する着眼など持ってはいなかったようだ。今日、3Dプリンターで繊維強化ポリマー製の半没無人輸送艇を量産できる。そこに20フィーターコンテナを積んで行ける。半没とすることにより、昼間でも月夜でも敵機の目が気にならない。鼠輸送の現代版だ。中共軍はとうぜんに注目して研究しているはずだ。1944のビルマでは、往路よりも退却帰路が大問題になった。1人の傷病兵を、天幕利用の担架で搬送するには、4人がかり。それを2チームで交替するので8人がかり。さらにその個人装備も持っていくとなったら9人がかり。これを、5日以上何も食べていない兵隊にさせられるか? できるわけがない。だから放置された。もし、輸送用自転車がそこに空中投下されたらどうであったか? 後部荷台にマクガイバー式「修羅」を縛着してひきずれば、1人の健全兵が、1人の傷病兵を、2人分の装備と数十kgの糧秣ごと、運搬できたのだ。これは今のガザ地区でも同じである。トラック用のガソリンがないなら、自転車を送り届けろ。

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 Sakshi Tiwari 記者による2023-11-14記事「China’s $21 Billion ‘Missing’ From Pakistan’s Files; PLA-Navy Holds Massive Drills With Its ‘Satellite State’」。
    パキスタンと中国の洋上合同演習が、今週末に実施される。中共はパキに対して追加で210億ドルを貸し付ける。パキは財政は、支那ローンでジャブジャブである。

 パキスタンは対インドに関しては中共の衛星国同然だが、ことさらに反米というわけでもなく、米国製のP-3Cを持っている。

 インドはやはり米国製のP-8とMQ-9Bをもっており、先月のSNS書き込みによれば、中共の潜水艦がスンダ海峡を通過する前から探知ができているという。

 ※このリーパー用の兵装を米国がインドへ売り渋っているというので、インド人は怒っている。MQではなくて実質RQだとわかっていたら、最初から購入しなかったぞ、と。しかしインド政府が対辺境ゲリラにそれを使いたいのを米政府はお見通し。だから兵装は売らない。

 パキが中共から借りているカネは、2000年から2021年までのトータルで、672億ドル。これはAidDataという米国某大学研究所の見積もり。パキ政府が世銀に申告している金額は460億ドルだが、それは嘘だ。

 ※Bellingcatによると、露軍はこの10月から11月にかけてカリニングラードから多数の輸送機を使って防空システムのあらかたを搬出した。これによりカリニングラードはもはや防空に関しては丸裸状態であると。

 ※独『シュピーゲル』によると、権威あるドイツ人ジャーナリストだと思われていた Hubert Seipel がロシアから数十万ユーロの賂いを受け取って「ロシアよいしょ」の寄稿を多年にわたり、書きまくっていたことがバレた。


ロサンゼルスの高速道路の高架下に大規模なホームレス村があって、麻薬が溢れているという住民の苦情を市当局は何年も放置していたが、習近平が通過する2日前になって突然大火事が発生。

 テント小屋群は燃えるに任され、きれいさっぱり灰と化した。

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 2023-11-132023-記事「The new version of the Iranian Shahed-136 loitering munition received a jet engine and its own optical sensor for targeting」。
   イランでドキュメンタリーTV番組が放映され、その中で、「シャヘド136」のエンジンをジェット化し、機首に下向きの光学センサーをとりつけた新型が登場。実写かどうかは不明。

 「シャヘド136」は、自動車の屋根に載せて、その自動車を疾走させることで、ロケットモーターを使わずに離陸させることもできるといわれている。その動画も公開された。分析したところ、自動車は、時速190kmまで増速する必要があるようだ。つまり、このやり方では、ほぼ実用性は望めなかったのである。

 シャヘドのエンジンを、従来のピストンエンジンから、タービンエンジンに換装すると、巡航スピードは上がるが、ひきかえに、レンジは縮んでしまう。

 宣伝では、シャヘド136は2000km航続するという。露軍がウクライナで飛ばしている実用距離も、1000kmを超えている。

 これはプリプログラム飛行だから、電力も余計に消費せず、可能になっていた航続距離だ。光学センサーを積んだり双方向通信するようになったら、それなりの電力が要る。ますますレンジは縮む。

 しかも、相当の高空を飛ばすのであっても、地上との見通し通信距離は100km台がせいぜいのはず。それ以遠まで飛ばしてリモコンしようと思ったら、あるいはもっと低空で運用しようと思ったら、衛星中継通信が必要になるが、イランはそのネックを解決していないはずだ。

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 Frank Furedi 記者による2023-記事「How multiculturalism fuels hate」。
    英国の内務大臣、スエラ・ブラヴェルマンは九月にDCにて、「多文化主義はヨーロッパに於いて失敗した」と宣言した。

 マルチカルチュラリズムが標榜されると、欧州国家内に流入してきた異域の集団民が、ホスト地域の慣行を尊重する必要をなんら感じなくなり、ホスト地域の中に、まったく融合することのない異文化占領区を確保することになる。

 ホスト地域の社会の安定と安全を覆してやろうと狙う、敵国の破壊工作チームにとり、この環境は理想的である。

 ドイツのメルケルも2010-10に認めた。ドイツにおける多文化主義は、まったく失敗におわった、と。

 2011-2にデイヴィッド・キャメロン(当時首相)も指摘した。欧州でこんなに爆破銃撃テロが横行している理由のひとつは、国家公認の多文化主義である、と。

 米国は「メルティング・ポット」だと言われる。これは多文化主義を意味していなかった。どの地域からやって来た移民だろうが、WASPの流儀に溶け込むことで、社会がうまく回っていたのだ。〔たとえばローズヴェルト家はオランダ系、ケネディ家はアイリッシュ、ラガーディアはイタリア系、アイゼンハワーやニミッツはドイツ系である。〕然るに1970年代に米国でも多文化が称揚されるようになって、それ以降、社会の分断が進む一方になった。

 ※たしかに「セサミストリート」の中でスペイン語を教えていたのはまずいと思っていた。あそこから崩壊が始まっている。

 マルチカルチュラリズムは、市民間のしぜんな結合と、尊重される価値観の成長を破壊する。敵国陣営の社会を分断して、近代民主主義を弱めてやるための政治武器なのである。

 ※スナク首相が閣僚1名を罷免した。この閣僚は、英警察が「プロ・パレスナ」のデモ隊に寛容過ぎると苦言を呈していた。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-11-13記事「23 percent of 383 Israeli armored vehicles were destroyed in 5 days」。
   地上進攻開始から5日にして、イスラエル軍のAFVが88両、やられた。

 ※ショイグは、ドニプロ河右岸の露軍は左岸へ「転進」したと声明していた。撤退である。ところがこれを月曜日に報道したロシア国営メディアは、同じ日のうちに、その記事を削除した。


17兆円の「防衛国債」を発行しよう。それを買えるのは「マイナンバーカード」を持っている個人だけ、とする。

 これで大蔵省的には満足ができるはずだ。
 2022-12-16に閣議決定された「国家安全保障戦略」には、《国家としての力の発揮は国民の決意から始まる》旨が闡明されている。国民の決意は、国防債の購入によっても示されるはずであろう。

 償還期限の設定は、中共が亡びるであろう2027年以降、2049年以前としておくのがよいだろう。
 この国防債の利回りは課税対象にしない。また国防債の相続についても課税はしない。

 それ以外にも、国家と命運を共にする覚悟を表した国民に対しての、ふさわしい特別処遇があって可い。中共が亡びた後の世界で、彼らは正当に酬われる。

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 November 12, 2023 2023-記事「Royal Thai Army to Procure Additional M361 Autonomous Truck-Mounted Mortars」。
 タイ陸軍が、もうじき、12両の「M361 車載自動迫撃砲(ATMM)」を受領する。
 発注済みは22両。その最初の引渡し。

 メーカーはイスラエルのエルビット・システムズ。開発発注が2017年であった。迫撃砲は120㎜である。

 タイの海兵隊は、この新装備に関心はもっているが、発注する動きは無い。

 この自走迫撃砲は、ベース車体が、インドの「タタ」製の4×4である。(車体はユーザーが選べる。)

 後部荷台には、厚さ7ミリの鋼鈑を敷いてある。
 その上に、エルビット社製の「Spear」120ミリ迫撃砲を装載。
 砲身は通常、後ろ向きだが、砲全体がターンテーブル上に載っており、円盤状の基部が軸旋回する。
 「自動」というのは、俯仰や旋回の照準調節に人力のハンドル操作が不要という意味。砲弾の装填は人力だ。
 このトラックに4人の兵隊が乗る。
 走行状態から、停止して発射するまで、2分でできる。
 写真を見る限り、アウトリガーを下ろさない(ついていない)。

 最大射程は6.5km。
 CEPは30mと公称されている。
 トラックのサスペンションは特別に強化されている。

 砲身は「ソフト・リコイル」するようになっており、それで反動を緩和する。

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 RFE/RL の2023-11-11記事。
    貨車19両からなる列車がリャザンで11-11朝に脱線した。負傷者1名。運転士ではない。

 現場はモスクワの200km南東。
 積荷は肥料だった。

 地元警察によると、IEDが爆発して脱線したのだという。

 ※写真をみると片側のレールがきれいさっぱりみあたらない。IEDだとすれば、先頭の機関車が通過する直前にレールの継ぎ目を大きくめくり上げ、そこに車体がひっかかるようにしたのか?

 ※黒海で商船同士の衝突事故を起こしたロシア船『Slavyanin』は、面白い貨物船で、露天の上甲板に、LNGタンク貨車の列車をまるごと、5列に引き込めるようになっている(機関車は運ばないだろうが)。船の長さ492フィート。6580dwt。1984年建造。こういうLNGの売り方もあるわけだ。

 ※ドイツ政府は来年の対ウクライナ援助予算を80億ユーロに倍増する。これで米国に次ぐ巨額の支援者となる。

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 Defense Express の2023-11-11記事「Can the MiG-29 Be Retrofitted to Carry a Ballistic Missile, and How Much Time Could This Take?」。
    インド軍、発表。ミグ29Kと、イスラエル製の「ランペイジ」というSSMを組み合わせて、対地攻撃用のスタンドオフ兵器にする。12ヵ月後に実験する。

 ランページは、径306ミリの「EXTRA」地対地弾道ミサイルの改良品である。それをASM化しようというのだ。

 この改造のために、IAI社とエルビット社が協力する。

 ランページの公表スペック。全長4.7m。全重570kg。弾頭重量150kg。レンジは160kmから300km。ジェーンは、150kmだと書いている。

 ミグ29は、ウクライナ軍も持っている。

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 Tim Newcomb 記者による2023-11-9記事「A Scientist Says the Singularity Will Happen by 2031」。
    テンプル大学の博士号をもっているベン・ゲーツェルは、シンギュラリティは早ければあと3年後にやって来るという。遅くても8年後であるそうだ。つまり2031年かその以前に、AIが人間知能に並ぶ。

 シンギュラリティとは、AIが発達して、AGI=人工総合知能 が実現したときのこととほぼ同義である。もはやAIは特定の仕事をこなすだけが能ではなくなって、人間同様に、何でもできる。したがって、AIがAIを開発することもできる。それが人間にとってどういう世界なのか、誰も予測ができない。そして、後戻りはできない。だから、一回こっきりの「特異点」。この特異点がいつか来ることを最初に予言したのは、フォン・ノイマン。


他の助けも必要とせずに自力で歩き回ることができた、最も重かった人は、486kgであった。米国籍男子。1958年に満32歳で死亡。

 過去、記録されている、最も重かった人のピーク体重は727kgであった。女性。身長170センチ。1994年に34歳で死亡。キャロル・イェーガー。米国籍。

 減量世界記録の持ち主はサウジアラビア人。542kgを絞って体重は68kgとなった。身長173センチ。ピーク620kg。

 ここから考えて、荷物運搬用の「押して歩く」専用の自転車やキックボードには、200kgの荷物を積んでもいいことにするべきだと私は思う。

 200kgというのは、ベトナム戦争中に「押して歩く」改造自転車に縛り付けて運んだ荷物量として、珍しくはなかった。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-11-11記事「RuAF Lancet suicide uses molten alloy in its projectile」。
    さいきん戦場に出てきた「ランセット改」は、弾頭に「自己鍛造」式発射爆薬を採用していると考えられるという。HEATではなく。
 爆薬の力で瞬時に金属円盤を熔融させ、その熔融した金属塊を「弾丸」として前方へ超高速で射出する。この熔融金属塊には、AFVの天板装甲を貫徹できるほどの威力がある。

 「爆発成形徹甲弾」=EFP ともいう。

 ある情報。KrabというEFP弾薬の場合、ミルスペックの「MIL-12560H」防弾鋼板を、厚さ16ミリ、貫徹できると。ランセットの弾頭の数値は未だ得られていない。

 EFPを、ATGMのような高速飛翔体に仕込む場合は、最適間合いである、標的から12フィート~15フィートでの起爆を確実にするために、レーザー光反射利用の近接信管が不可欠である。「ランセット改」の頭部の右サイドには、その送信レンズと受信レンズが付いているのが確認できる。

 初期型ランセットと、ランセット改とでは、十字翼の畳み方もまったく違っている。改型では、キャニスターチューブの中に収容されている状態での十字翼は、ミサイル胴体の表面に沿わせてある。初期型のように胴体の中に埋め込ませておく手間を省いた。

 ランセットは初期型も改善がされつつあり、最近はカメラがサーマルイメージだという。したがって、これからは夜間でも飛んで来る。

 基本スペック。ウイングスパン1.6m、全長1.2m、飛翔重量5.5kg。滞空2時間可能。高度は5000mまで行ける。

 15m以上の強風が吹いていると、この兵器は使えない。
 衛星信号はGPSを使っている。

 サーモバリック弾頭をとりつけたランセットもある。

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 2023-11-82023-記事「How Much Money U.S. Army Needs to Scale Up Acquisition and Production of 155mm Ammunition, Pentagon Official Reveals」。
   げんざい米国内では、砲弾の製造ペースが、月産2万8000発。
 これまで、米国はウクライナに200万発以上の155ミリ砲弾を補給した。

 米陸軍はいま、議会に対し、31億ドルの弾薬予算を承認してくれるよう求めている。その半分は砲弾製造工場の設備投資に使われる。残り半分が、砲弾の買い上げ代金だ。

 米軍ではペトリオットは陸軍の担当。このミサイルも、今の年産550発を650発に増やしたい。

 米軍は2026年までに、155㎜砲弾の製造ペースを月産10万発にする計画である。
 ※27年が対中決戦の年と想定されている。

 欧州では、Nammoなどの砲弾メーカーが、域内政府に対し、工場の設備投資のために60億ドル以上を支出するようもとめている。

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 Defense Express の2023-11-10記事「Why Europe Failed: EU Acknowledged They Cannot Implement the Plan of Producing 1 Million Artillery Shells for Ukraine by March」。
    ロシアのじっさいの砲弾製造能力について絞り込めないためにEUは悩んでいる。ロシア大本営発表によれば、連中は年に120万発以上〔の152㎜砲弾〕を製造できると吹かしていた。

 これが正確だという前提で、EUは、155ミリ砲弾を年に100万発製造する必要があると結論した。

 だが設備と人員にネックがあって、ことし10月末までに30万発くらいしか量産できていない。

 ブルームバーグのすっぱぬきによると、EUは2024年3月までに100万発の砲弾を製造することは不可能だ。

 年に100万発を製造するということは、月に8万3000発を製造するということである。月に83000ならば、それを日になおせば、毎日2800発を仕上げるということだ。

 ちなみに2023年3月のひとつきだけで、ウクライナ軍は、11万発の十五榴の砲弾を費消した(辞任したひげねずみの証言)。これを日に直せば、3600発を連日射耗したのである。

 米国が頼みの綱になっている。しかし米国は155ミリ砲弾を2021年時点では1万4000発しか月産していなかった。それを急いで今年の9月までに2万8000発まで増やすことができたが、そこから先は新規設備投資が必要である。設備投資してラインが稼動するまでには2年かかる。

 これに対してEUの今年9月時点での製造能力は、4万2800発/月である。

 米国の計画。2024年には月産6万発にする。2025年には月産8万発にする。2026年には月産10万発にする。

 いまのところ、米欧あわせて月産6万発。これでロシアの大本営発表である月産12~15万発に対抗できるのかと心配になる。だが、もしロシアが、152ミリ砲弾だけでなくて、口径20mm以上の全種の砲弾をカウントして12万発以上だと盛っているのだとしたら? 

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 2023-11-10記事「Airbus to Provide Sales and Operations Support of Silent Arrow UAS to European Markets」。
「サイレントアロー GD-2000」は、1トン積みの無人の貨物グライダーである。
 サイレント・アロー社は、エアバス社と組むことになった。
 エアバス製の戦術輸送機「A400M」から、それを空中において次々と放出する。

 滑空距離は40マイルを超える。
 投下母機は、C-130でもいいし、C-17でもいい。

 ※余っている航空爆弾をこいつに取り付ければいいだろ?

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 2023-11-11記事「New AI Noise-Canceling Headphone Technology Lets Wearers Pick Which Sounds They Hear」。
    自動車のクラクション、子供の泣き声、人の話し声、掃除機をかける音、鳥の啼き声……。20種類の音源のどれをキャンセルし、どれを鮮明に聴きたいか、随意に選べるAIヘッドフォンが、研究されている。

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 Defense Express の2023-11-9記事「Analyzing russian Report of 2,100 Tanks Produced in 2023, and Where’s the Catch in These Data」。
     ロシアの大本営発表とかんけいなく、スウェーデンのFOIという政府の国防研究所が、以下の数字を弾き出している。
 これは2023年に関するポテンシャル値である。
 ロシアの工場は、新型の戦車である「T-90M Proryv」を62両+「T-90/T-90A」を62両+「T-80BVM」を80両+「T-72B3」を140両+「T-72B3M 近代改修型」を140両、露軍に納品することができるだろう。

 もっと古い戦車は最大4800両のストックがあり、その一部はレストアできるだろう。

 FOIの見積もりでは、2024年2月時点で、露軍は、動かせる戦車を2500両から3000両は有していると考えるべきだ。


黒海でリベリア船籍の『Kmax Ruler』に11-8に「AS-17」ミサイルがヒット。露人操縦士は何か別なモノを狙ったのに、ミサイルが商船のレーダー波に吸引されたと英国防省が推理している。そうでなくばブリッヂ上には着弾せぬ。

 Nick Mordowanec 記者による2023-11-9記事「Putin Struggling to Pronounce Ally Leader’s Name Raises Eyebrows」。
   木曜日、プー之介のバレバレの影武者が、カザフスタンのKostanay市にて、カザフ大統領のトカイェフと並んで式典に出演した。

 しかしトカエフの名前すらうまく発音できない、ぎこちなさすぎる様子が、全ロシアにテレビ中継されてしまった。
 会場にいあわせたラブロフやペスコフらの幹部連も「こりゃまずい」と、視線のやり場に困っている。

 SNS上の噂。すでにAstana飛行場に降り立ったときから、プー之介のほっぺたが奇妙であったと。
 プーチンと同じ顔形にするためにほっぺたに何か詰め物をしているのがあからさまである。
 それで、人並みに喋り難いのであろう。

 ※サンクトペテルスブルグ市内のコンサート会場をFSBと警察が急襲。ゼロピープルというバンドが平和メッセージを歌っていた嫌疑で。

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 2023-11-10記事「3D Printed vs. Wood Molds: Benefit Breakdown」。
 鉄筋入りで、規格化されていて、そのまま壁や柱などにするコンクリート部材=「プレキャスト・コンクリート」を製造するときは、従来、材木板を型枠にしていた。

 このほど、その材木にかわるものとして、3Dプリンターで繊維入りのポリマーを原料につくりだした型枠板を、国立オークリッヂ研究所のチームが提案。

 この流儀にすると、複雑な形の型枠も短時間でできあがる。しかもこの複合素材は、リサイクルができる。もちろん、型枠は何度も繰り返して使用可能。
 エコである。

 ※この技術を使い、日本中の飛行場に、戦闘機を格納できるHAS(掩体)の簡易版を、2000箇所くらい用意したら、中共軍の中距離SSMはほとんどが「単弾頭」をとりつけてそのHASに向けられるしかなくなる。ひいては、都市や民生インフラに落下するミサイルの数をがっくりと減らしてやることができ、イージスなどに投資するよりも何倍もコスパの好い「ミサイル防衛」となるであろう。クラスター弾の子弾の破片に耐えるだけの薄さの、中空構造(もなか)になっている、アーチの輪切りのセグメントを、大量生産。そのセグメントは、飛行場の現場にて、ユニックと、人手によるボルト締め作業だけで、HASに組み上げられるものにするのだ。

 次。
 Sakshi Tiwari 記者による2023-11-10記事「Australia ‘Eliminates’ China Threat From Southern Pacific; Signs Critical Pact With Tiny State Of Tuvalu」。
    豪州はツバル政府にいっそうの支援を与えることになった。ツバルは台湾と外交関係を維持している。

 ※ツバルとかツラギとかの「Tu」は、「対馬」の「つ」と、古代に於いて語幹が同じなのだと私は考える。アッツ島までもこの語幹が通用しているのだ。

 次。
 Kebba Jeffang 記者による2023-11-9記事「Illegal Fishing Off West Africa Drives Maritime Migration」。
   中共が西アフリカ沿岸で無法なトロール漁で水産資源を濫獲するものだから、地元漁師が皆、喰えなくなって、経済難民となってヨーロッパへ密航しようとしているのではないかという疑い。

 外国トロール船は、地元漁師が仕掛けている定置網も破壊するという。もちろん補償は無い。だから難民化するしかない。

 トロール船は、禁漁期間のローカルルールも守らないという。

 次。
 2023-11-10記事「Junker-DG-250 Cargo Parachutes Delivered to Russian Army」。
    ロシア軍が新導入した、降下中にコース操縦が可能な四角い物料傘。「フォロー・ミー」運用もできる。つまり自由降下の落下傘兵が物料の直後に輸送機の後部ランプから飛び降りて、じぶんが着地しようとする場所へ、物料傘を半自動で導く。マラソンの併走のように。

 高度8000mを時速350kmで飛んでいる輸送機から、こいつは落としてやれる。物料傘と荷物の総計は250kg。メーカーは、その倍の荷物に対応できる500kg型をいま、研究中である。

 物料傘だけ単独で落としてやると、誤差は100mだという。衛星航法信号のGLONASSを使う。

 次。
 Christina Noriega 記者による2023-11-9記事「Why Latin America’s ‘pink tide’ is taking a stand against Israel」。
    ラ米の左巻きの政治リーダーたちが、しきりに反イスラエル&プロ・ハマスの発言。
 ラ米政治の左傾化は、「桃色の上げ潮」と呼ばれている。

 ラ米最大のユダヤ人コミュニティがあるのはアルゼンチンであるが、この国もすっかり反イスラエル。

 ※むかし「ハイミー」という調味料があったんだが、あの名前はヤバかったな……。

 歴史をさかのぼると、1973年にカストロのキューバが、イスラエルとの外交関係を断った。これが嚆矢。

 「ラテンアメリカのパレスティニアン・ユニオン」という団体があり、その副会長氏にいわせると、こういうことだ。米ソ冷戦の時代、米国は、ラ米諸国の反共の独裁者たちを支援していた。それら独裁政権は各国内の左翼市民を弾圧していた。そのときの記憶が、今や政治支配者となった元左翼市民に、ハマスを支持させるのだ。すなわち彼らの目には、今のイスラエルが、冷戦時代の反共政権だと映る。どちらも、バックにはホワイトハウスがある。

 ※だったらラ米の左巻き政権は合同で「パレスチナ人の移民を無制限に受け入れる」と声明すれば、次のノーベル平和賞は間違いないのではないか? それでガザの戦争も終る。

 ちなみにイスラエルは冷戦中、グァテマラやアルゼンチンの政府軍警のために巨額の武器を売っていたという。

 次。
 Michael Rubin 記者による2023-11-11記事「The Hypocrisy of America and the UN on Criticism of Israel’s Urban Warfare」。
   記者は、ラッカとモスルを見てきた。ここでもテロ・ゲリラ集団が住民を囲い込んで何年も立て籠もった。今ではISはいないが、市街の一部はいまだに廃墟同然である。
 住民は、自力ではゲリラを追い出せなかった。できるわけがないだろう。

 あなたが自宅の庭に「蜂の巣」を発見したする。いちばんまずい対応は、その蜂の巣を棒で1回叩き、ぼんやりと突っ立って巣を眺めていることだ。たちまちに、巣から怒り狂った蜂が全匹出てきてしまい、あなたは報復される。
 つまり住民であるあなたは、居候であるゲリラの頭を軽く叩いて追い出すというわけにはいかない。段取りよく先手を打って皆殺しにするか、何もせず、刺激しないようにして同居を我慢するか、どちらかしかないのだ。

 というわけで、われわれはガザ市民をあまり責められない。無数のスズメバチの巣と同居している住民に、手は貸さずに遠くから口だけ出して、巣を取り除け、と説教するようなものだ。


ハマスが小学校の隣を弾薬庫にしていた映像が上がっている。

 2023-11-9記事「The Lancet drone has acquired the ability to destroy targets protected by nets」。
   ランセットの最新型は、コープケージを突破するために、起爆を標的のAFVから数m離れた空中でするように改善されている。その近接信管にはアクティヴ・レーザーを使っている。

 証拠の動画は11月になってSNSに出るようになった。

 従来のピエゾ式の「インパクト・フューズ」だと、金網がクッションとなって衝突の加速度が緩和され、不発に終ることがあった。これを解消した。

 爆発景況からして、タンデムHEATではないようである。ランセットがこれまで搭載している「KZ-6」という爆発部を新型にとりかえたかどうかは不明。

 ランセットや、その上空から偵察しているZala社製のUAVは、周波数868~870メガヘルツ、および、周波数902~928MHzの無線電波を、リモコン用に同時に受信もしくは送信している。オシロスコープでは「2ピーク」があらわれる。この電波をESMで警戒していれば、ランセットがやってくるかどうか、事前に承知することができる。

 さらにもうひとつ。じつはランセットには、GPSスプーフィングを無力化する能力は無い。つまり、露軍がEWとして連日出し続けている1575メガヘルツの攪乱電波信号に、やられてしまう。だから、ランセットを飛ばす前には、露軍は、その戦場一帯で、対GPSスプーフィングを止める。これがウクライナ軍にとっては、注意すべき「前兆」になる。

 次。
 ストラテジーペイジ の2023-11-9記事。
    いま米国の工場では毎月1万4000発の155ミリ砲弾が製造されている。増産のための設備投資が進められており、来年には、月産8万発を超える見通しだ。

 ウクライナ軍は連日7000発の砲弾を発射中である。露軍はその三倍ともいう。

 ロシアも152ミリ砲弾を増産させたいに違いないが、経済制裁を受けているロシアにとって、工場の設備投資は、難題である。

 2022-2時点でロシア国内には400万発の砲弾がストックされていたと見積もられる。

 ※開戦から700日に近い。毎日2万1000発、発射したとして、700日で1470万発?

 ※11-9のWSJ報によると、露軍はヘリコプターのエンジンのスペアパーツ欠乏に苦しんでおり、かつてヘリコプターを輸出した、ベラルーシ、エジプト、パキスタン、ブラジルから、そのエンジンを買い戻そうとしている。

 次。
 Isabel van Brugen 記者による2023-11-8記事「Explosions Seen As Russian Drone Pilot Training Hub Targeted by Ukraine」。
   ドネツク占領区内にある「Vladimir Zhoga UAV Center」は、ロシア兵にカミカゼドローン操縦術を教習させる施設だが、そのビルをHIMARSが直撃した。

 テレグラムに投稿されたビデオはすぐに削除された。

 ※この10月後半に5043人に尋ねた、オンライン調査機関の集計をイズヴェスティアが報じたところでは、勤労ロシア国民の47%は、毎月の所得の半分を食費に充てている。もちろん地域差があり、ハバロフスクでは57%の勤労者がそうなっている。

 次。
 Matthew M. Burke and Mari Higa 記者による2023-11-9記事「Relocated Reaper drones are already conducting surveillance from Okinawa」。
    鹿屋に配備されていた、6機のRQ-9 リーパーは、10月13日から22日にかけ、すべて、嘉手納に移駐しおえた。150人の人員とともに。
 すでに嘉手納からの哨戒飛行も、スタートしている。

 ※フーシがイエメン沖で「MQ-9 リーパー」を撃墜したと言っている。11月8日に。

 次。
 The Maritime Executive の2023-11-8記事「Italy Deploys Fleet Oiler to Serve as Floating Hospital off Gaza」。
    イタリアの国防相によると、イタリア海軍の給油・補給艦『Vulcano』を臨時の病院船に仕立てて、ガザ沖に派遣するつもり。
 この補給艦の固有乗員は140名。便乗医療スタッフは30名。

 もともと「Role 2LM」というメディカル設備を随時に艦内に搭載できる設計になっている。これはNATO基準の外科装備。

 船まで患者を輸送するのには、仏海軍のヘリコプター空母『Tonnerre』が協力する。
 またもう1隻の仏ヘリ空母『Dixmude』は、みずから病院船の機能を果たすべく、艤装中。

 ※パレスチナ人のメディックが、IDFから射たれないのをいいことに、負傷して戦闘継続できなくなったハマスゲリラの小銃を拾い上げて、負傷していないハマスゲリラに与えて射撃させている動画が、撮影されている。

 次。
 Defense Express の2023-11-9記事「Why Targeting russian Warships in Dry Docks is the Only Choice Ukraine Has」。
    なぜ「ストーム・シャドウ/SCALP」は、洋上の敵艦ではなく、わざわざドライドック内のミサイルコルヴェットなどを狙うのだろうか?
 じつは、そうしなければならぬ理由があるのだ。

 「ストームシャドウ」は、ほんらい、対艦ミサイルではないのである。そもそも、対地攻撃用なのだ。
 つまり、弾頭の赤外線画像センサーを作動させるのは、衝突の直前のみ。

 そこに到達するまでの誘導は、「プリ・プログラム」なのである。
 戦闘機が離陸する前の段階で、このミサイルの飛翔コースは、決められる。
 飛翔途中のコースの維持は、TERCOMが頼りである。陸地の凸凹の変化を検知して、地図情報と照合しつつ進む。したがって標高の変化の無い洋上では自己位置をロストする可能性が高い。敵は衛星信号を攪乱・妨害するだろうから、あまり衛星にも頼れない。

 こちらの飛行機からからはレーダーでも捕捉ができないくらい遠くの洋上を移動している敵艦を正確に襲撃できる空対艦ミサイルの真打は、「AGM-158C LRASM」である。

 LRASMは何がすごいかというと、こちらの飛行機から多数発を一斉に放ってやると、このミサイル同士が、飛翔中に、空中でESM情報を交換し合う。すなわち、敵艦隊が出している特徴的なレーダー波をパッシブ・アンテナで受信して、その方位に向かって行くのだが、その途中で、最も攻撃価値のある標的を、ミサイル同士が相談して見当を絞込み、最適の目標割り振りを決めて、突っ込むのだ。ホーミングの最終段階では、画像照合によって、その標的が本当に敵の軍艦かどうかを見極める。レンジは900kmもあり、ミサイルの外形はステルスにできている。

 これほどに進化したハイテク・ミサイルとなると、米国から他国軍に供給してやることはまったく考えられない。同盟国だろうと、ダメである。

 ※米軍としてはLRASMで中共のもつ空母/ヘリコプター揚陸艦を、開戦から48時間以内に全滅させたい肚なので、それまでは、他地域の戦場で試しに使うことも控えると思う。実戦の蓋を開ける前に、対策のヒントとなるようなデータを、一切、シナ人には与えない方針だと思う。当然、航空自衛隊にも売ってはくれない。

 いまのところ、LRASMは、F/A-18 スーパーホーネットからのみ、運用される。

 理論的には、これを陸上のHIMARSから発射させることも可能である。


ロシアのOrenburg州(カザフとの国境にある)の教職員の月給は8000~9000ルーブルである。日本円にすれば9000ルーブリでも1万4795円か。

 米ドル換算すると、100ドルにならない水準らしい。そして同州の教育長によると、賃上げする気はないそうである。

 次。
 Jon Grevatt 記者による2023-11-7記事「Defense & Security 2023: Norinco to supply Sky Saker FX80 UAV to Thai army」。
   中共の国営武器会社ノリンコが開発したハイブリッド砲兵観測機「Sky Saker FX80」をタイ陸軍が購入することになった。

 兵器展示会が催されているバンコクで11月7日に公表された。契約は10月に済んでいるという。まず4機と地上管制ステーション×1基。引渡しは来年の予定。

 売値は非公表だが、だいたい530万ドルになるだろう。

 ※模型の外形はユニークで、見れば見るほど面白い。双ブームは長く、前半は中央主胴の前端までもある。そして水平尾翼が無く、かわりにエンテ翼が主胴前端から生えており、その先尾翼の両端が双ブームの前端をブリッジしている。双ブームの後端には、それぞれ下方にのみ垂直尾翼がある。そしておそらくこの垂直尾翼によって、プッシャープロペラが側方に対して特徴的なレーダー反射をストレートに返さぬように意図している可能性がある。VTOL用の電動ローターは8軸。すべて双ブーム上にある。ただし双ブームの後ろ半分はやや寸詰まりなので、やむなく2軸を段違いに配置している。主胴後端の内燃エンジンは露出部分がなく、スピナーまで段差なしに流線形フェアリングで覆っており、冷却方式が謎。

 ※古い資料にあった「FX70」のスペック。主エンジンは灯油系ヘヴィフュールを用いる。離陸重量は30~70kg。滞空20時間まで可能。データ通信は100kmまで届く。

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 Peter CATTERALL 記者による2023-11-7記事「China owed more than $1 trillion in Belt and Road debt: report」。
   中共は「一帯一路」事業を通じてすでに1兆ドルの海外債権を握った。中国は世界最大の債権国になった。
 貸し付けている相手国の8割は、財政難に陥っている。

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 2023-9-14記事「Norinco China is the Winner of the Royal Thai Army’s VTOL UAV Project for Field Artillery Target Acquisition Battery」。
    タイ軍の砲兵師団は、ながらく、イスラエルのIAIから「サーチャー2」を購入して観測とターゲティングに使ってきた。このたび、それを中国製の無人観測機で更新することが決まった。それがノリンコの「FX80」だ。
 珠海の国際航空ショー(2022年11月)にて発表されていた数値によると、FX80は航続距離が100km。滞空は8時間まで可能。巡航速度は90~110km/時。

 ノリンコは、採用競争で、イスラエルのアエロノーティクス社とタイの「RV Connex」社の合同提案である「PATHUM 4」ハイブリッド無人機(双ブーム上の電動ローター4軸+プッシャー式単発エンジン・プロペラ)を、破った。この「PATHUM 4」は、アエロノーティクスの「オービター4」の改善型で、採用されればタイ国内で製造するという提案だった。

 また、アエロテクノロジーインダストリー社(ATIL)提案の「DP6」という候補機も、ノリンコは破ったことになる。これまた、採用されればタイ国内で製造されるはずであった。

 ※ノリンコ提案品は、タイ国内での生産をしない。それでも競争に勝つとは恐れ入る。裏で圧倒的な工作があったことを想像されても仕方あるまい。

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 Defense Express の2023-11-8記事「The Scorpion Self-Propelled Mortar, Which Recently Appeared on the Battlefield, Accurately “Stings” the russians」。
    トヨタのランドクルーザーと120㎜迫撃砲を組み合わせたハイテク・システム「スコーピオン」は米国製。
 これがウクライナに供給されていて、すでに戦場に出ているという。
 宇軍の特殊部隊「クラーケン」がこれで訓練しているビデオは、10月にSNSに出ていた。

 ユーザーの感想。精度は抜群だそうである。固定式の迫撃砲よりも精密だと。

 射程1kmにつき2mの着弾誤差しか増えないという。

 照準はすべてメカトロニクスが自動でやってくれる。運行姿勢では迫撃砲はランクルの荷台に横倒しとなる。運行姿勢から射撃姿勢までの転換も、すべて機械がやってくれる。

 人がすることは、砲弾を砲口から落とし込むことと、拉縄式を好む場合は、その拉縄を引く操作。

 最低人数で運用したければ、ランクルに兵隊2名を乗せればいい。1人は操縦席でタッチパネルを操作する。もう1人は車外で砲弾を装填する。

 迫撃砲は、スペインの「グローバル・ミリタリー・プロダクツ」社製の「アラクラン」というシステムである。

 ※宣伝ビデオがじつに気持ちいい。

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 2023-11-8記事「Germany ordered 100,000 rounds of 120mm mortar ammunition for Ukraine」。
   ドイツ政府は、ラインメタル社に対して、120㎜迫撃砲弾×10万発の製造を発注した。すべて、対ウクライナの援助分である。ラインメタル社がプレス向けに公表した。

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 Alexey Lenkov 記者による2023-11-8記事「Russia keeps 4,500 D-30 and 2S1 guns in stock to absorb DPRK shells」。
    ロシアには古い大砲は何千門もまだ在庫がある。問題は砲弾。ロシア政府は、月産150万発を製造すると吹かしているが、それは無理ではないか。

 「Frontelligence Insight」という分析チームのOSINTによると、ロシアが北鮮から受取った50万発の弾薬のうち7割は、152ミリ砲弾であろう。38万6400発と推定する。
 2割は、122㎜ロケット弾であろう。21万1000発と推定する。
 残る1割は、種々雑多な弾薬だろう。

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 ストラテジーペイジ の2023-11-8記事。
   トルコは、米政府がガザ問題についてトルコに相談しなかったというので、またスウェーデンのNATO加盟手続きを遅らせ、拗ね者を演じている。

 インシルリク空軍基地ゲートにおしよせた、プロ・パレスチナのデモ隊に対しては、催涙ガスと放水がお見舞いされた。11-5のこと。

 11-2にイスタンブールでトルコ内務省が、国際麻薬密輸組織を一斉手入れ。このグループの源流は、豪州の暴走族「コマンチェロ・モーターサイクル・クラブ」を母体とし、今日では豪州のみならず、オランダ、香港、韓国、南アフリカ、そしてラ米に広く「支所」を展開している。

 ※英文ウィキを調べると、こんなことが書いてある。コマンチェロというのはジョンウェイン主演の1961の映画タイトル。そこからつけた。1968にシドニーでオートバイギャング団を立ち上げたのはスコットランド系移民のウィリアム・ジョージ・ロスである。2009年には米国のヘルスエンジェルスとシドニー空港で乱闘。死者あり。2018からはNZにも支部あり。

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 David Shedd and Ivana Stradner 記者による2023-11-7記事「Russia’s Second Front in Europe」。
   ロシアはバルカン半島に「第二戦線」を作れる情勢。ロシア人のおともだちであるセルビア人が、コソヴォを「西側のせいで奪われた失地」ととらえており、軍隊を使ってそれを取り戻すことに賛成だから。

 ※プー之介はハマスの前にセルビアに開戦させようとしたが、そっちは米国が未然に阻止した。しかし米国がガザにかかりっきりになると、再び好機がやってきたと、セルビア政府が考えるかもしれない。

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 Alex Hollings 記者による2023-11-7記事「You’re probably thinking of missile costs all wrong」。
    2月4日にF-22が中共のバルーンを、サイドワインダーで撃墜した一件を覚えているだろう。
 なぜ機関砲を使わなかったかというと、それではバルーンに穴が開くだけで撃墜できないと、米空軍には事前にわかっていたから。
 なぜAMRAAMを使わなかったかというと、1発100万ドルもするので、惜しいから。
 AIM-9Xとて、1発47万2000ドル強、するのである。しかし、アムラームよりは安かった。だから選択された。

 なお、サイドワインダーの今のシーカーはIRイメージ追尾なので、冷たいバルーンにも問題なくロックオン可能。

 47万ドルは勿体無いと思う納税者がいるのはとうぜんだが、じつは、ミサイルにはすべて「サービス・ライフ(有効寿命)」がある。
 冷蔵庫の中の牛乳と同じなのだ。賞味期限を越えて放置したら牛乳は必然的に変敗する。
 ミサイルも、在庫品は、いつまでも使えるわけではなくて、一定期限内に、消費してしまわないと、実戦での性能や信頼性が保証されなくなる。

 空対空ミサイルの場合、推進モーターの素材である固体燃料が、時間とともに化学変化して劣化する。
 また、ミサイル内に組み込まれている電池も、働きが落ちてくる。センサー、コンピュータ、それから舵を動かしているアクチュエーターも電動であるから、電源の電圧が下がったら当たらない。

 もちろん、ミサイルの寿命を延ばすリファービッシュ工事は可能である。たとえば「ミニットマン3」ICBMは1970年代に配備されたとき、寿命は10年だとされていた。しかし、何度も延命工事を続けて、これまで半世紀も現役を保っている。「ミニットマン3」はとっくに製造が終了しているので、ほんらいなら後継ICBMで更新されるべきなのだが、米ソ軍縮条約で後継の「ピースキーパー」を全廃したために、コスト面で合理的ではないのは百も承知で、「ミニットマン3」の延命工事をしている次第だ。

 これに対してサイドワインダーやAMRAAMは、今も製造が続けられている、大量消費向きの弾薬だ。これらに延命工事を施すよりは、新しいロットで次々に更新した方が、コストは低くなり、パフォーマンスは高くなる。

 げんざいの戦術ミサイルは、在庫性能保証期間を10年から20年くらいとして、設計・製造されている。

 「AIM-9X」の有効保管寿命は20年。もし、それを過ぎる前に使わないなら、それを過ぎたところで廃棄される。

 また、軍用機は、ミサイルを実装して離陸することがあるが、それを必ず空中で発射するわけではなく、装着したまま戻ってくることの方が平時は多い。ミサイルにとって、この「エア・アワー」は、急速に寿命が縮む時間である。高温から極低温までの苛烈な温度変化や、振動・衝撃等にさらされ通しだからだ。

 最新ミサイルの「エア・アワー」は公表されていない。古いミサイルの慣行だと、「在空加算時間」は、倉庫に保管されている状態の時間の50倍~80倍として、余命の計算に反映させていた。今もそんなところかもしれない。

 ※北鮮が在庫の古い弾薬を片端から露軍に売り払ってしまうのも、合理的なわけだ。