新刊は10月31日。

 さんざんに検証されているようにも思えた数々のテーマが、案外にそうでもないと知る。長生きするとこんな発見をさせてもらえるようになる。
 若いうちは、「先人は何が分かっていないのか」が、分からない。だからたまたま読んだ資料の中の鉱脈にも気づかない。
 先人が分かっていないこととは何かを把握するためには、先人が書いてくれたものを、最近刊まで含めてひととおり読まねばならない。それは参照文献として挙げられることはなくても、じつは不可欠の学習資料である。
 旧石器時代までさかのぼり、時代ごとの「進化圧・淘汰圧」の増減から、わが国独特の武器体系の秘密に迫る。且つまた、活字で公刊されていたのになぜか歴史学者たちが重視しないテキストから、合戦のリアリズムに迫る。お楽しみに!
 次。
 JON GAMBRELL 記者による2019-9-14記事「Yemen rebels claim drone attacks on major Saudi oil sites」。
    フーシがドローンで9-14に攻撃したサウジの石油精製施設。
 場所は、ブキャクとクーライスの油田地帯。アブカイク精油工場という。
 ドローンは複数機。
 フーシの放送局である「アル・マシラー」によると、10機で攻撃をしかけた。
 アラムコによると、ブキャクは、原油精製プラントとしては世界最大であると。
 1日に原油700万バレルを石油製品に変えられる。そこからパイプラインで、ペルシャ湾と紅海にある積み出し港へ送出している。
 この工場、2006-2にアルカイダが自爆テロのターゲットにしたことがあるが、破壊には失敗している。
 クーライス油田は日産100万バレル。埋蔵量はアラムコによれば200億バレル。
 事件は週末の国際油価には無影響だった。ベンチマークであるブレント原油はバレルあたり60ドルで取引されている。
 ブキャクは、首都リヤドから330km強、北東にある。
 サウジやUAEなどのGCC有志連合軍は2015-3からイエメンのシーア派ゲリラ「フーシ」と交戦状態にある。フーシのバックはイランである。
 2015いらい、イエメン国民は9万人死んでいる。餓死と空爆を合わせて。
 フーシは最初は市販のホビー用ドローンを使っていたが、やがてイランが自爆ドローンを提供するようになった。その性能も運用能力も逐次に向上しつつある。もちろんイランは関与を否定する。
 たとえばサウジの飛行場にスカッドSSMを撃ち込む直前に、サウジ領内のペトリオット基地に対してドローン攻撃を仕掛けて、ペトリが短距離弾道ミサイルを迎撃できぬようにしてやるという高度な調整攻撃も、フーシはできるようになっている。
 2019-5には、サウジにとってとても重要な、東西を横断する大パイプラインに対して、フーシがドローン特攻を試みた。これは米国の反イラン感情を刺激した。
 2019-8には、サウジのシャイバー油田に、フーシがドローン攻撃。同油田の日々産出量は100万バレルで、UAE国境に近い。
 国連の調査チームによると、フーシがここ数ヶ月、空港攻撃などに使っている自爆式の新型無人機は、飛翔距離が1500kmもあるようだという。
 ※片道1500kmのプリプログラム飛行による特攻ができるということは、韓国の海岸から発進させると、最北は稚内、最南は宮古島にある空自レーダーサイトを全部一斉に爆破して目潰しできるということだね。空自レーダーは超小型の低速機には対応してないので、お手上げだ。2020東京五輪の前に半島から関東地方各地に対するドローン攻撃が相次げば、東京大会は流会だろう。
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 Richard Schulman 記者による2019-9-8記事「Missile defense for allies but not US」。
      米軍がTHAADとペトリオットを配備しているおかげを蒙っている諸国は次の如し。トルコ、UAE、サウジアラビア、日本、韓国、グァム、イスラエル、ルーマニア。 ※ちょっと待った、グァムは米領だろ?


商い刑事[デカ]

 Mike Orcutt 記者による記事「China is about to launch its own digital currency. Here’s what we know so far」。
 バンク・オブ・チャイナが国営中央銀行としてデジタル・カレンシーの発行に踏み切ろうとしている気配が濃厚である。ここ数週間、それをほのめかす情報が3つある。
 ブロックチェーン技術を使うのかどうかは、不明。
 ウィーチャットやアリペイのような私企業が電子マネーを発行すると、その会社が倒産した場合の人民の損害が巨額になる。けっきょくやるなら中央銀行がやるしかないのだ。
 おそらく、リブラ類似のものになるだろう。
 そしてリブラではまだ実現できていない、「インターネット接続無し」での使用もできるようにするという野心もある。
 ※米ドルから完全に切り離された経済圏が完成することになるだろう。日本の自動車メーカーは、どっちの圏に所属するつもりなんだ?
 次。
 Franz-Stefan Gady 記者による2019-9-12記事「US Navy Deploys Littoral Combat Ship Armed With New Naval Strike Missile to Pacific」。
    三胴スタイルであるインディペンデント級のLCSである『ゲイブリエル・ギフォーズ』が9月3日に太平洋域に配備された。搭載している対艦ミサイルは、レンジの大きな「NSM」だ。
 この艦は2017-6に就役した。母港はサンディエゴ。
 LCSのもうひとつの型はフリーダム級。どちらのクラスも主砲は57ミリで、シーラム対空ミサイル(11セル)を備える。
 2019末までに、すべてのLCSは、24発のヘルファイアを垂直に発射できるようにもする。対舟艇用。
 NSMは2023までにすべてのLCSの上甲板にキャニスターが載せられる。
 最大で8基。
 NSMはノルウェーのコングスベルグ社が「ペンギン」対艦ミサイルの後継として開発した。弾頭センサーはイメージ赤外線。陸上目標も打撃できる。射程は100海里=185km。弾頭重量は125kg。
 超水平線射程のNSMを運用するためには、無人ヘリのMQ-8Bファイアスカウトを先に飛ばして目標の所在を知らねばならない。『ゲイブリエル・ギフォーズ』は、今年中に後付けで、この無人ヘリ(実用化のお墨付きが6月に出たばかり)を搭載する。
 ※だから日本もファイアスカウトの輸入を決めた。


海保船艇に目立たずに搭載できる重武装として、対水上用の「マイクロ魚雷」を開発すべきである。

 炸薬威力は随意可変式とし、小は武装ゴムボートから、大は1万トン級の公船まで、対応可能にすることだ。これがあるとないとでは、1隻の海保船艇の存在圧力に霄壤の違いがあるだろう。
 有視界の睨み合いの状況の中で使用するものなので、レンジも短くていいし、駛走スピードも低速のみでいい。もちろん有線。これなら、驚くほどマイクロ化できるし、同時に多数艦も相手にできる。
 ちょっと外して起爆させて機雷原があるのかと錯覚させることも容易だろう。
 アンダーキールで抑制されたイールドの爆発を起こせば、浸水は緩徐なので、乗員は退船の余裕を得られる。つまり、これぐらい人道的な武器はない。まさに海保用にオススメだ。
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 Marcus Weisgerber 記者による2019-9-11記事「US Lawmaker Threatens to Give the Next Attack Plane to the Army」。
      ライトアタック機の導入を米空軍が一向に進める気がなさそうなので、下院議院のマイケル・ウォルツ(フロリダ州選挙区、共和党員)は、SOCOMがライトアタックを選定できるように法制化しする音頭をとった。
 そして今、彼は、ライトアタックの主管を、空軍ではなく陸軍にさせてしまおうとも唱え始めた。
 ※そいつはオレかよ!
 ウォルツの演説はミッチェル研究所のイベント会場でなされた。
 下院はすでにSOCOMにライトアタックの購入権限を授与している。
 ウォルツは、同じ予算上の権限を陸軍にも与えてやれ、と言い出したのだ。
 過去12年間、空軍はライトアタックの採用に抵抗してきた。高性能防空システムによって簡単に撃墜されてしまうというのだ。
 元グリーンベレーであるウォルツの問題意識は違う。
 アフリカ、中東、南アジア、南アメリカでは今後も低烈度紛争が絶えることはなく、米軍には、同盟国の地上部隊を、空から支援してやる責務がある。対露戦ばかり考えてちゃダメだ。
 購入授権は、2020国防予算権限法によってなされる。これには現在、下院バージョンと上院バージョンがあるので、最終的には調整が必要である。ウォルツは下院バージョンにライトアタック条項を押し込むのに最も尽力した。
 2013年に空軍は、自軍ではもう使わないと判断したC-27Jスパルタン輸送機複数を、陸軍の特殊部隊のために気前よく、くれてやったことがある。
 次。
 DAN LAMOTHE 記者による2019-9-12記事「Defense Department clears retired Navy officer’s book about former Pentagon chief Mattis after facing lawsuit」。
    2018-8に海軍をコモドアの階級で退役し、マティス長官のスピーチライターを17ヶ月にわたって勤めてきた男。それが、ガイ・スノッドグラスだ。
 彼はこのたび『Holding the Line』という内幕暴露本を出す。これは規則に則り、部外秘の情報がないかどうか、出版の前にペンタゴンで何ヶ月も検閲作業していた。
 スノッドグラスと彼の弁護士マーク・ザイードによれば、国防総省から彼は降等処分の脅しを受けたという。
 秘密保護法的には問題なくとも、公には知らせない方がよい情報がある。たとえば、政府や軍から派遣された使節が宿泊したホテルの名前である。検閲官は、そういうのは削除してくれと要請した。
 著者が、マティスが辞任してから3ヵ月後にマティスに出版の話をしたら、マティスからは難詰のEメールが来た。いわく。何かが決定される前の幕僚間のディスカッションについては公けにはされないというのが私のスタッフの暗黙ルールであった。なぜならこの暗黙ルール無しには誰も自由に意見を言えないだろう。
 マティスは辞任後もノンポリの立場を堅持している。これはジャーナリストたちには不満である。マティスは出版パーティの場で冗談を言った。《よーし、ホワイトハウスを焼き討ちしてやるぞ――という行動を私が取らないことに、皆さん方はご不満のようだね》。
 ※この暴露本はたぶんマティスの回顧録の何倍も売れることになるだろう。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-9-12記事を元に、まとめた。
 最新の北鮮の短距離ミサイルと長距離ロケット弾のラインナップを整理すると、こうなる。
 まず射程700km弱のKN-23という弾道ミサイル。これは韓国がロシア人から買ってそのまま北鮮へ漏洩させたイスカンデルの設計図をもとにしたもので、満洲国境近くから発射したとしても、緊張時に米空軍が避退する光州の航空基地を先制破壊できる。それどころか、米海兵隊の岩国航空基地もやられてしまう。
 
 その下位の打撃手段が、径600ミリの「KN-25」。9月9日に試射されている。
 終末誘導がGPS電波によってなされる。
 4連装なのだが、9日には、なぜか、3発しか発射されなかった。
 330km飛んだ。ということはDMZ近くから発射すれば、光州の航空基地まで届く。ただし弾道が単純なので、ペトリで迎撃されてしまうだろう。
 KN-25は、米国が韓国に1998に売り、それを韓国が勝手にコピーしたATACMSにクリソツなので、これも南から北への設計図の流出なのだろう。ちなみにATACMSは径610ミリ。
 その下位の打撃手段が、径300ミリの6連装ロケット弾だ。射程は100km超というところ。DMZから発射すれば烏山の米空軍基地までギリギリ届く。清州の韓国軍F-35までは届かない。もちろん群山の米空軍基地には届かぬ。
 射台トラックは中共製の「ZZ2257M5857A」という6×6である。中共はこれは民用だと強弁して堂々と輸出し続けている。終末GPS誘導システムも、まったく中共製だと思われる。
 オマケ情報。現在、米陸軍が欧州に展開している155ミリ砲熕砲兵の射程は20マイル未満である。


なぜ電池の話をしつこくするのか、分かっていただけただろうか?

 みなさんは『日韓戦争を自衛隊はどう戦うか』の中に独立自衛グリッドの話が出てくるのが唐突だと思ったのではないか?
 だが見よ! 千葉県では依然40万戸が停電しているではないか。
 わずかな送電鉄塔が倒されただけで、冬は凍死者、夏は熱死者が出る。
 組織的なミサイル空襲がパワーグリッドに仕掛けられ、トラックテロが交通インフラに加えられた場合、首都圏は簡単に麻痺してしまい、自衛隊は対三国戦争には集中できなくされるはずだ。
 庶民がぼんやりしているときに警鐘を鳴らさないとしたら、評論家の居る意味などない。
 次。
 Jonathan Lemire, Zeke Miller & Deb Riechmann 記者による2019-9-11記事「Inside Bolton’s Exit: Mongolia, a Mustache, a Tweet」。
      トランプは、この夏以降、テレビ番組の中で自分を弁護してくれる補佐官だけをプラスに評価したい。ところがボルトンは日曜のトークショー×2本で、政権の外交に批判的だった。
 トランプはボルトンを解任することについてフォックス・ニュースのホストであるタッカー・カールソンと数週間も話し合ってきた。
 トランプはタリバンの指導者複数をキャンプデービッドに呼んで会談する気だった。ボルトンは反対していた。
 ※北鮮には核地雷の保有だけを認め、中距離ミサイルの保有は許さない。韓国にも中距離ミサイルを持たせない。これがいちばん正しい大方針だった。2018年の『空母を持って自衛隊は何をするのか』で私は、どうしてこれだけが合理解なのかを説くことに努めた。しかしトランプ政権はその逆を選び、耳をかさなかった。ボルトンもトランプもみごとに大失敗しつつある。今の調子では、北鮮および韓国は、核弾頭もICBMもSLBMも持つことになるだろう。制御できない反近代国家が半島に生まれようとしている。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-9-11記事。
    欧州宇宙局ESAはロシアに通告した。今後、ESAの人員を国際ステーションISSまで輸送するのにソユーズロケットはもう使わない、と。
 米国企業の2種類のロケットが2020年前半に実用化する見通しのため。
 ということは7月の輸送がソユーズ便乗の最後だったことになる。


エアドロップというアプリが香港の反中共デモを支えている

 Katie Bo Williams 記者による記事「Bolton Fired as National Security Adviser. Who’s Next?」。
      タイムライン整理。
 ボルトンが現地時間月曜日に辞任を申し出た。トランプは「明日それについて話し合おう」と答えた。
 火曜日午後、ボルトンがホワイトハウスでのプレスブリーフィングに加わる予定の直前、トランプはツイッターに書き込んだ。「昨夜私はボルトンに、もう君はホワイトハウスでは必要がない、と告げた。《中略》ボルトンは今朝、辞意を知らせてきた」と。
 NBCニュースによれば、とうぶん、国家安全保障担当副補佐官のチャールズ・クッパーマンがボルトンの代役になる。
 ボルトンが辞めるんじゃないかという噂は何ヶ月も前からあり。
 ボルトンとトランプは、アメリカ単独主義では共通する。しかしトランプは対外不干渉主義が基本である。そこがボルトンの積極関与主義と対立した。
 トランプはボルトンについて、あいつにとって過去の悪い戦争なんてひとつもないのだ、と軽口批評したことあり。
 ボルトンはこれまでもトランプのいくつかの重要外交決定から疎外されてきた。ボルトンはアフガニスタンからの撤退交渉にそもそも反対だった。
 6月にはトランプは、韓国行きにボルトンを帯同せず、三代目と電撃会見した。その間ボルトンはモンゴルへ出張させられていた。
 2018-5にイラン核合意から米国が離脱し、最大圧政策が開始されたのは、ボルトンの手柄である。
 ヴェネズエラの反体制議員を合法的国家指導者として承認した政策もボルトン路線であった。
 アフガニスタンで米兵や米国同盟軍によって犯された犯罪を裁く国際法廷を新設しようというICC法(2002年議会制定)に、ボルトンはずっと反対していた。それに2002当時のブッシュ大統領が署名しなかったことが自分の最も幸福な日であるという。
 だが夏〔いつの夏だよ?〕からボルトンの影響力は翳った。代わりにポンペオが浮上していることが、トランプと並んで立つ位置の変化から、世間に伝わった。
 トランプは、米国が圧力をかけているのにヴェネズエラの独裁者マデュロが追放されないことが不満である。またボルトンがイランとの戦争に米国を誘導しようとしているとトランプは疑った。
 ボルトンの前任はマクマスター。その前任はフリンである。
 ※ボルトンの生涯最高ホームランは、INF離脱をすんなりまとめたこと。たまたまトランプと「単独主義」で意気投合したのだろうが……。
 次。
 Patrick Tucker 記者による2019-9-9記事「A Rocket-Fuel Additive Could Be the Next Great Power Breakthrough」。
    水酸化アルミが、無公害で強力な未来の燃料電池になる?
 もともと固体燃料ロケット推薬の添加物であったが、米陸軍の研究所が、それ自体を燃料電池にもできることを発見してしまった。性能は非常に有望。
 旧来方式の水素を閉じ込める方法はいずれも不安定で危険だった。過ぐる6月だけでも、加州で水素燃料電池の製造工場が火災を起こしたし、ノルウェーでは水素燃料電池の補給処が火災を起こしている。
 米陸軍が注目したのは、アルミ原子1個と水素原子3個がくっついた「アレイン」という分子。1970年代から、これはロケット燃料に混ぜられている。
 ※ロケットモーターの白煙の正体はアルミ酸化物だろう。ところで、酸化する前の物質を「水酸化」とは呼べないんじゃ……?
 その性情はベビーパウダーのようなもので、運搬容易である。特別なタンカーもパイプラインも必要としない。
 ある専門家によると、燃料電池としてのアレインは、気体状の水素ガスの4倍の《エネルギー圧縮密度》を有するのだと。
 このパウダーをカートリッヂに入れたものを補給する。そのカートリッヂを熱すれば、中から水素ガスが出てくる。それを酸化させることにより、発電ができる。すなわち燃料電池。
 アレインは、とにかく軽い。充填されたカートリッヂを手にした人は、中味が空なのではないかと疑ってしまうくらいに、超軽量だ。
 陸軍と共同開発しているArdicaテクノロジーズ社(サンフランシスコ)によると、商品化まであと半年というところまで来ているそうだ。
 アレインにはリチウムのようなレアアースが必要ない。これは米軍として歓迎する。生産工場はいくらでも拡大ができる。無制限だ。
 ただし現状は違う。これから膨大な量産設備を立ち上げようという段階なのだ。
 国防総省は7月に、アルミ水素化合物の米国内での製造能力が足りないと発表している。これは米軍が、Alane燃料電池に賭けるつもりでいることを暗示していた。
 ※アルミは安い。安いから投棄できる。これは軍用機にとっては大朗報。空のタンクを次々に空中で投棄すれば機体を軽くして航続距離を延ばせる。


蜘蛛の巣は風に強いね。

 Dara Massicot 記者による2019-9-9記事「Anticipating a New Russian Military Doctrine in 2020: What it Might Contain and Why it Matters」。
   露軍の最新版ドクトリンは2014発表のものである。
 その後、シリア干渉などの情勢変化があったので、現在改訂がすすめられており、たぶん2020には次のバージョンが発表されるはずだ。
 公開文書から、その内容を予想してみよう。
 露軍は2008から軍事改革をすすめている。2020までには装備の7割を新型に置き換えると謳っていた。人員充足と、軍需工業基盤の育成も。
 2014ドクトリンの前は2010版があった。
 2019-7にロシアの安全保障会議のニコライ・パトルシェフが、来年に国家安全保障戦略をアップデートすると声明しているので、早ければ2019-12後半にはそれは公表されるだろう。
 ロシアのこうした文書は読んでおく価値がある。たとえば2014ドクトリンで国内の脅威が始めて取り上げられた。続いてモスクワに、国防統制センターが置かれ、単一の国土防衛隊に、それまでの雑多な警備機関が統合された。
 2016版のロシアの「外交政策コンセプト」からはINFへの言及がなくなった。すでにINF違反を始めていたのがバレてしまい、この条約を守る気は無いと暗示したのである。
 2013に参謀総長ヴァレリー・ゲラシモフは、非軍事的手段をすべての紛争に用いることを強調した。2014に、露軍の身分を隠した工作隊によるウクライナ侵略が成功した。シリアには露人からなる民間傭兵部隊を送り込んでいる。ヴェネズエラでも同じことをしているようだ。
 軍隊同士が激突する前に、さまざまな手段によって敵を麻痺させてしまうことが肝要なのだとゲラシモフは2019-3に強調している。有言実行する気だろう。
 2017年版のロシア軍事用語辞典では、限定作戦のためにも核を使用する場合があると言っている。
 シリアで現に実験しているように、4000人前後の小集団で、これからは外地作戦を実行するんだというのが、もっかの方針なのかもしれない。
 2014ドクトリンで初言及された民間軍事会社は、すでに、シリア、ウクライナ、リビアに投入されている。
 ロシアは先制核攻撃をまだ公式にはオプションに入れていない。
 ロシアのテスト中の核兵器には、空中発射式弾道ミサイル「キンザール」、ハイパーソニック滑空弾「アヴァンガルド」、核動力巡航ミサイル「ブレヴェストニク」がある。
 次。
 Mike Orcutt 記者による2019-9-6記事「The US government has a hidden weapon it could deploy against Bitcoin」。
     50年近く前、銀行安全法というのが米国の連邦法として成立している。
 合衆国内の金融機関は、マネーロンダリングを取り締まる法執行機関に協力しなければならぬと定めてある。
 この法律を根拠にして、連邦政府は将来、ブロックチェーン/暗号通貨/ビットコインを、人身売買などの特定の犯罪容疑者が使えないようにする可能性がある。
 暗号通貨のプロバイダーも同法でいう「金融機関」だ――と財務省が解釈すれば、そうなる。


この暑さで植物に異変がなければよいのだが……。

 Patrick Tucker 記者による2019-9-4記事「Pentagon Shelves Neutral Particle Beam Research」。
  中性子線をレイガンから発射してMDとして使おうという試みを米国は当分、諦める。
 構想としては、軌道上の大型衛星からビームを発射させ、ブーストフェイズで敵ICBMを叩き落す、というものだった。2019-3に一部軍人が、FY2020に3400万ドルの予算をとって、2023年には宇宙でテストしよう、と言っていた。
 しかし、そんなカネがあったらレーザー開発に集中して突っ込んだ方がよいと結論された。下院内の民主党員が特にこれに反対している。
 ※中共内のどこかの研究所がとつぜんにレーザーの放熱問題を解決してしまう可能性が無視できないので、米国内には危機意識がある。
 
 次。
 ストラテジーペイジの2019-9-8記事。
    クラスノヤルスク地区はロシアの東西国境のまんなかへんにあり、土地は広いが、地域人口は全国の2%にすぎない。ここに「カメンカ弾薬庫」が置かれて古い弾薬が大量に貯蔵されていたのは理にかなっていた。交通アクセスはシベリア鉄道だけである。
 8月5日、1人が死亡し10人が負傷する爆発炎上事故が起きた。20km圏内の住民1万6000人が1週間弱、避難させられた。
 この事故により、火薬庫の施設である避雷針群が機能しなくなったため、夏の雷雨に伴う森林火災が1週間後に発生。それが2度目の弾薬庫爆発を招いた。
 かたやスカイフォールの爆発事故だが……。
 まず飛翔実験の途中でミサイルが墜落し、全体が海底に沈んだ。
 技師たちは、ミサイル動力の心臓部である原子炉をミサイル本体から外して回収・保管する必要があった。
 そこでミサイル全体をサルベージ船に引き揚げ、船上で原子炉の取り外しにかかったところで、大爆発が起きた。
 当初、事故の負傷者たちは火傷の治療をされていると発表されていた。
 だが実際には、放射能被曝症の治療を受けていることがわかった。その数は数十人に及ぶ。
 冷戦期のソ連の僻地にはふつうに「アイソトープ発電機」が設置されていたという。それらがどうなったかは、まともに調べられてもいないようである。
 2014年にロシア規格の23ミリ機関砲弾を製造していたインドの工場から不良ロットが量産されたというので全量廃棄することになり、安全に爆破処分するための地面の穴まで運搬をしていたところ、途中で自爆してしまって、6人が死亡した。
 インドでは2016年に対戦車地雷の炸薬が染み出して不安定化して爆発し、16人が死亡。最近ではインド国産の155ミリ砲弾も欠陥品であると分かった。
 ※TNTなら「染み出す」ことはあり得ない。いったいどういう炸薬を使っているのか……? 地雷ではなく、地雷原啓開用のロケット弾の推薬ではないのか? それなら硝酸エステル系だろう。
 2011年、ウラル山地のプガチョヴォ町近郊の弾薬補給処で、古くなって廃棄予定の15万発の砲弾に野火が燃え移り、大爆発。破片で100名近くが負傷した。野火の原因は工場の誰かが投げ捨てたタバコだった。
 同じ工場では2018年にも誰かが違法に草原を焼き払おうとしてその火が制御不能になり、小爆発事故に。
 地上型の砲弾の貯蔵庫が爆発した場合、最大で1km以上水平に、未発の砲弾が跳ね飛ぶ(2013年のチャパイェフスク事故の実例)。そして、未発砲弾をすべて拾い集めるために、多大のコストがかかる。
 ※90年代からロシア火薬庫の爆発事故が頻発していたので、私はそれを題材にして某劇画の原作公募に応募することを思いついた。その後しばらく、小学館の出版系のパーティの招待状が届くようになったので、タダ飯を目当てに毎度出かけた。あるときそこで、安部譲二氏をみかけたのだが、共通の話題がたぶん無いと思い、とても話しかけられなかったことを思い出す。しかし安部氏の方も、立食会場は居心地の良い場所ではなかったのじゃないかな。


九月にこんな暑い日が来るとは……たしかにどうかしとるわ。

 COLBY ITKOWITZ 記者による2019-9-7記事「House panel is probing US military use of Trump-owned property in Scotland」。
       トランプは2014にスコットランド西海岸のターンベリー・ゴルフ・リゾートを買収した。そのゴルフコースからの収益はそれいらい一度も黒字にはなっていない。
 買収から数年後、トランプは、同ゴルフ場から30マイルに位置するグラスゴー・プレストウィック空港にもっと到着便を増やせと主張するようになった。
 トランプが大統領になってから、国防総省の飛行機がこの空港を利用する頻度が増えた。しかも乗り組みの米軍人と契約民間人たちは同ゴルフ場で無料でプレイをさせてもらっている。それについて下院の予算管理委員会が6月にDoDへ質問状を出していた。
 スキャンダルをかぎつけたのは英紙『ガーディアン』で、2018-2にすっぱぬいた。国防総省はこの空港で燃料補給をするよう部内にうながしており、2017-10以降、プレストウィック空港は米機から給油代金1100万ドルを得ている、と。
 『ポリティコ』の報道によると、ある州兵空軍機が米本土からクウェートまで往復するときに、往路でも復路でもプレストウィックで途中給油した。しかもその乗員たちは、トランプが運営するターンベリーゴルフ場を立ち寄り利用した。通常、米軍機が途中で給油をする空港は、米軍基地所在の飛行場と決まっているのに。
 合衆国憲法は、合衆国大統領が外国の指導者や政府から、金銭もギフトも受け取ることはできないと定めている。
 さきごろペンス副大統領は、ダブリンでの会合に出席するさい、そこからかなり遠い、アイルランド内のトランプの所有地に滞在した。下院予算管理委員会は、この副大統領の旅宿選択によってトランプが私益を得ていないかどうかを、調査する予定である。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-8-7記事。
    アフガン政府は2017にバイオメトリックIDを軍人に配った。
 そしてこのたび、アフガン警察にも、バイオメトリックIDを配り了えた。
 これで「幽霊隊員」が何万人も帳簿上から削除されると期待されているが……。


本田宗一郎は、生きているうちに「ホンダジェット」を見ることはなかった。

 宗一郎にとってはオートバイや四輪乗用車以上に、純国産飛行機を作ってドヤ顔をしたかったはず。あれこそが、一番の夢だった。しかしそれは、生前にはついに実現できなかったのである。
 これはどういう教訓かというと、事業を発想するのは一日で済むが、それをじっさいに立ち上げて軌道に乗せるまでには、どんなに急いでも何十年もかかってしまうということなのだ。
 だから、起業は今すぐにやれ。50歳になる前にいちはやく収益の柱を早く確立し、そこからの残りの余生で、隠し玉にしていた「夢物語」でも追求したらよい。
 だれか私と一緒に「民活空軍会社」をやる人はおらんかな?
 次。
 Andrew Taffer 記者による2019-9-6記事「China’s Senkaku/Diaoyu Islands Ploy to Undercut the U.S.-Japan Alliance」。
    ※この記者には『脅しと機会――中共が尖閣紛争に打ち込んでいる楔』という単行本がある。珍しいこの分野専門の学者だ。
 北京が尖閣海域に連日侵犯を繰り返させている目的は、じつは、米国の地域信用を落とすことにある。
 ワシントンは尖閣をめぐって東シナ海で中共と本格戦争はしたくない。
 そこを北京は看取したので、尖閣をガンガン侵犯し続けることで、「米国も米軍もまったく頼りにならんぞ」という心証を日本やアジア諸国民に植えつけようとしているのだ。
 中共はすでに対ホワイトハウス工作を成功させた。国家安全保障アドバイザーのトム・ドニロンは中共に籠絡されてこう言った。日支は外交チャンネルを通じて尖閣の帰属について相談すべきである、と。これは日本外務省の立場=尖閣の領有権は自明であって交渉の対象とはならない と、まったくさかさまの注文である。
 中共が、尖閣がコアインタレストだと表明したのは2013-4のこと。
 尖閣をADIZに含めたのは2013後半のこと。
 次。
 Rebeccah L. Heinrichs 記者による2019-9-6記事「Let’s See If the SM-3 Block IIA Can Hit an ICBM」。
     日本が大いにかかわっている「SM-3ブロック2A」には、ICBMを撃墜できるポテンシャルがあるのではないかと言われる。
 共和党が多数を占める連邦下院が2018年度国防予算法(NDAA)を通したとき、2020-12-31までにブロック2Aの対ICBM実験をするようにと法定していた。
 ところがその後、下院の多数派が民主党となり、FY2020NDAAと歳出予算案とによって、この試験ができなくなっているのだ。
 2009年のこと。北鮮がしきりにミサイル挑発するので、ゲイツ国防長官は、ハワイにTHAADを再展開するとアナウンスしたことがある。
 ペンタゴンはブロック2Aを対ICBM用のABMにするために、すでに1億2100万ドルを投入している。
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 David S. Maxwell 記者による書評記事「SWJ Quick-Look Book Review – Call Sign Chaos」。
   新刊の中でマティスは、指揮官には三階層があるという。陣頭指揮官、監督指揮官、戦略指揮官。


季刊『宗教問題』も絶賛発売中だよ

 Tanner Greer 記者による2019-9-4記事「American Bases in Japan Are Sitting Ducks」。
     米軍のために全額日本の負担で基地を整備するという約束は、附属文書の日米地位協定で定められている。接続道路、港湾、空港の利用権も。
 他方、軍隊の維持コストは米側が負担して、日本側には負担させないとも規定されている。
 だが1970年代以降、日本が豊かになると、米軍の日常コストも日本が負担するのがフェアであると思われるようになった。それは日本がじぶんでできる国防努力をサボっている代価とみなせるからだ。かくして米軍経費の7割を日本政府が支払うようになっている。
 いまから10年前、中共は在日米軍の飛行場に対して100発未満のSSMしか到達させることはできなかった。しかし今日では、国防総省の見積もりによると、1000発前後のミサイル攻撃が可能である。
 弾道弾の場合、中共本土上のTELから発射されて沖縄の航空基地に着弾するまでの時間は、6分から9分である。
 標的には滑走路や格納庫だけでなく、地対空ミサイル部隊、指揮所、通信設備も含まれる。
 中共軍の文書を2人の研究者が調べたところでは、中共軍は、ミサイル攻撃の第一波によって、在日米軍の航空基地の滑走路を穴だらけにしてしまうことを優先している。まず米軍機を離陸できなくしておき、第二波以降で、その機体を破壊するように努めるのだ。
 2017年に別の2人の研究者は結論した。中共軍のロケット軍による在日米軍基地に対する第一波の攻撃は、MDを飽和するであろうと。
 開戦から30分以内に、200機以上の米軍機、すべての住所固定の米軍指揮所、すべての米軍用の滑走路、および、日本の軍港内に停泊中のほとんどの米艦艇は、破壊されるであろう、と2人は見積もった。
 近年、ランド研究所も同様の結論を出した。それを見てロバート・ワークがいみじくも言った。F-35は空中では無敵だが、地上で多数がやられてしまうだろう、と。
 在日米軍基地は、次の7箇所に固まっている。三沢、ヨコタ、厚木、岩国、佐世保、横須賀、沖縄。そのうち特に沖縄に集中して置き過ぎている。
 基地の集中はまったく愚かである。辺野古もダメである。そもそも沖縄ではダメなのだ。
 賢者ならば、航空基地と軍港は極力分散する。分散していれば敵は開戦奇襲ではそれを全滅させられないと弁えるので、平時から強気になれない。
 つまり、米国や日本にとって、主要基地の分散以上に対支軍備で重要な政策はないはずだ。なのに、ペンタゴンにその着想・着意が無いことに、われわれは呆れる他はない。
 ※北海道駒ケ岳の東麓に広がる自衛隊演習場一帯は、いつまた火山噴火があるかわからないところなので、リゾート開発もできない荒野である。ここに米軍のための分散(=divert用)航空基地を設定することを、私はリコメンドしたい。いやいっそ、海兵隊をここにもってきたっていい。噴火湾には珊瑚もジュゴンも棲息してないしね。露助に対する脅しにもなるはずだ。
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 Hope Hodge Seck 記者による2019-9-4記事「10 Things You Didn’t Know About Jim Mattis from His New Memoir ‘Call Sign Chaos’」。
         マティス元長官の回顧録『コールサイン・カオス』は、著者はビング・ウェストとなっている。9-2に発売された。
 この中ではマティスはトランプについて語ることを遠慮した模様。ほとんど言及がないそうだ。
 そのかわりに、「ドクトリンとは、想像力の無いやつの逃げ込む場所だ」――といった決め台詞がてんこもりで、それだけでももうおなかいっぱいのタッチであるようだ。
 マティスはセントコム司令官だったときにオバマと路線対立して2013に左遷された。それが買われてトランプ政権で2年間、長官に就任した。
 マティスは自分のコールサインとして「カオス」を好んだ。それが「すばらしい他の解決案を持っている大佐」の略号になっている、として。
 マティスは2001当時はフランクス大将(陸軍)をセントコム司令官に戴く下僚だったが、部下の海兵隊の歩兵部隊に出動させてくれれば、ビンラディンをトラボラ地区からパキスタン領内に逃がすことはなかったのだと、今でも信じている。
 フランクスは、アフガンの山地に車両や歩兵を出しても旧ソ連の二の舞になるだけだとしてマティスの進言を斥けた。そんなトラップは存在しなかったのだ。おかげでビンラディンは2011年まで逃亡を続けられた。
 マティスはこう言いたかったと夢を見る。「閣下、ここに作戦プランがあります。ビンラディンを殺し、閣下に勝利を進呈できます。必要なのは閣下の御裁可だけなのですが」。
 マティスは2003-3、バクダッド進軍中に、部下のジョー・ダウディ大佐(第一連隊戦闘団長)を解任した。進撃スピードをもっと上げることにダウディが抵抗したので。しかし自著の中ではダウディの名前を出さずに、それを解説している。
 マティスはときどき過激な表現を使ったが、それは計算されていた。「言語は武器である」という信条を持っていた。だからマスコミの前で絶対に発言について謝罪しなかった。
 2017-1から2018-12までの長官任期中の話は少ない。
 マティスは女子戦闘員についてはそもそも反対の信条だったと思われるが、トランスジェンダーと女子隊員の話は避けている。
 マティスは、軍隊は社会の実験場ではないと思っている。
 効率的に敵を殺すことを考えろ。それが味方の死傷を減らし、敵を抑止するのだ。
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 Bill Gertz 記者による2019-9-4記事「Influence Power: How China Covertly Operates in the U.S.」。
     ビル・ガーツの新刊『天を欺く――中共の世界支配構想』が出たよ。
 中共は、米国に避難中の郭文貴をシナ本土に連れ戻すためにトランプ政権周辺に対して30億ドル規模のロビイングを展開している。
 中共のカネの手先になっている代理人として、マレーシアの事業家にしてお尋ね者の Low Taek Jho、通称ジョー・ローや、ヒップホップラッパーのプラス・マイケルがいる。この2名も郭の身柄送致をトランプ政権に働きかけている。
 中共の工作部隊は、共和党の財務担当であったエリオット・ブロイディとその妻までも抱きこんだ。
 ブロイディはロサンゼルスのベンチャー資本家。トランプの大統領選挙に対して高額の献金をした。
 トランプが大統領に選ばれると、ブロイディは共和党の全国委員会のナンバー2の地位を得た。それはジョン・ケリー首席補佐官や、セッションズ司法長官にアクセスできる地位である。
 中共の元のままでは賄賂にならないので、多額の元をドルにロンダリングする必要があった。それには司法省のジョージ・ヒギンボサム(裁判で有罪を認めている)が抱きこまれて手を貸した。ローとマイケルを通じて7400万ドルの政治工作資金が振り出される仕組みになっていた。
 郭の拉致はアブダビ経由でなされる算段であった。郭は同地で投資家たちのカネ30億ドルを騙し取ったといわれている。中共は、そのカネを中共が出してやるから郭の拉致に手を貸せとオファーしたのだ。
 しかし郭によれば郭はアブダビで投資詐欺など働いておらず、現にアブダビ政府からいかなる訴えもなされていない、と。
 ラスベガスの富豪、スティーヴ・ウェインも、郭の身柄を中共に渡せという習近平の手紙をトランプにとりついだ。
 ウェインはマカオにもカジノを経営しており、それは地元の中共幹部の許可が必要である。
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 ストラテジーペイジの2019-9-5記事。
   米陸軍航空隊もちょっと人手不足。
 米陸軍航空隊は、予備役も含めて1万4000人のパイロットが必要なのだが、今、700名ほど、パイロットの人数が足りない。