エアドロップというアプリが香港の反中共デモを支えている

 Katie Bo Williams 記者による記事「Bolton Fired as National Security Adviser. Who’s Next?」。
      タイムライン整理。
 ボルトンが現地時間月曜日に辞任を申し出た。トランプは「明日それについて話し合おう」と答えた。
 火曜日午後、ボルトンがホワイトハウスでのプレスブリーフィングに加わる予定の直前、トランプはツイッターに書き込んだ。「昨夜私はボルトンに、もう君はホワイトハウスでは必要がない、と告げた。《中略》ボルトンは今朝、辞意を知らせてきた」と。
 NBCニュースによれば、とうぶん、国家安全保障担当副補佐官のチャールズ・クッパーマンがボルトンの代役になる。
 ボルトンが辞めるんじゃないかという噂は何ヶ月も前からあり。
 ボルトンとトランプは、アメリカ単独主義では共通する。しかしトランプは対外不干渉主義が基本である。そこがボルトンの積極関与主義と対立した。
 トランプはボルトンについて、あいつにとって過去の悪い戦争なんてひとつもないのだ、と軽口批評したことあり。
 ボルトンはこれまでもトランプのいくつかの重要外交決定から疎外されてきた。ボルトンはアフガニスタンからの撤退交渉にそもそも反対だった。
 6月にはトランプは、韓国行きにボルトンを帯同せず、三代目と電撃会見した。その間ボルトンはモンゴルへ出張させられていた。
 2018-5にイラン核合意から米国が離脱し、最大圧政策が開始されたのは、ボルトンの手柄である。
 ヴェネズエラの反体制議員を合法的国家指導者として承認した政策もボルトン路線であった。
 アフガニスタンで米兵や米国同盟軍によって犯された犯罪を裁く国際法廷を新設しようというICC法(2002年議会制定)に、ボルトンはずっと反対していた。それに2002当時のブッシュ大統領が署名しなかったことが自分の最も幸福な日であるという。
 だが夏〔いつの夏だよ?〕からボルトンの影響力は翳った。代わりにポンペオが浮上していることが、トランプと並んで立つ位置の変化から、世間に伝わった。
 トランプは、米国が圧力をかけているのにヴェネズエラの独裁者マデュロが追放されないことが不満である。またボルトンがイランとの戦争に米国を誘導しようとしているとトランプは疑った。
 ボルトンの前任はマクマスター。その前任はフリンである。
 ※ボルトンの生涯最高ホームランは、INF離脱をすんなりまとめたこと。たまたまトランプと「単独主義」で意気投合したのだろうが……。
 次。
 Patrick Tucker 記者による2019-9-9記事「A Rocket-Fuel Additive Could Be the Next Great Power Breakthrough」。
    水酸化アルミが、無公害で強力な未来の燃料電池になる?
 もともと固体燃料ロケット推薬の添加物であったが、米陸軍の研究所が、それ自体を燃料電池にもできることを発見してしまった。性能は非常に有望。
 旧来方式の水素を閉じ込める方法はいずれも不安定で危険だった。過ぐる6月だけでも、加州で水素燃料電池の製造工場が火災を起こしたし、ノルウェーでは水素燃料電池の補給処が火災を起こしている。
 米陸軍が注目したのは、アルミ原子1個と水素原子3個がくっついた「アレイン」という分子。1970年代から、これはロケット燃料に混ぜられている。
 ※ロケットモーターの白煙の正体はアルミ酸化物だろう。ところで、酸化する前の物質を「水酸化」とは呼べないんじゃ……?
 その性情はベビーパウダーのようなもので、運搬容易である。特別なタンカーもパイプラインも必要としない。
 ある専門家によると、燃料電池としてのアレインは、気体状の水素ガスの4倍の《エネルギー圧縮密度》を有するのだと。
 このパウダーをカートリッヂに入れたものを補給する。そのカートリッヂを熱すれば、中から水素ガスが出てくる。それを酸化させることにより、発電ができる。すなわち燃料電池。
 アレインは、とにかく軽い。充填されたカートリッヂを手にした人は、中味が空なのではないかと疑ってしまうくらいに、超軽量だ。
 陸軍と共同開発しているArdicaテクノロジーズ社(サンフランシスコ)によると、商品化まであと半年というところまで来ているそうだ。
 アレインにはリチウムのようなレアアースが必要ない。これは米軍として歓迎する。生産工場はいくらでも拡大ができる。無制限だ。
 ただし現状は違う。これから膨大な量産設備を立ち上げようという段階なのだ。
 国防総省は7月に、アルミ水素化合物の米国内での製造能力が足りないと発表している。これは米軍が、Alane燃料電池に賭けるつもりでいることを暗示していた。
 ※アルミは安い。安いから投棄できる。これは軍用機にとっては大朗報。空のタンクを次々に空中で投棄すれば機体を軽くして航続距離を延ばせる。


蜘蛛の巣は風に強いね。

 Dara Massicot 記者による2019-9-9記事「Anticipating a New Russian Military Doctrine in 2020: What it Might Contain and Why it Matters」。
   露軍の最新版ドクトリンは2014発表のものである。
 その後、シリア干渉などの情勢変化があったので、現在改訂がすすめられており、たぶん2020には次のバージョンが発表されるはずだ。
 公開文書から、その内容を予想してみよう。
 露軍は2008から軍事改革をすすめている。2020までには装備の7割を新型に置き換えると謳っていた。人員充足と、軍需工業基盤の育成も。
 2014ドクトリンの前は2010版があった。
 2019-7にロシアの安全保障会議のニコライ・パトルシェフが、来年に国家安全保障戦略をアップデートすると声明しているので、早ければ2019-12後半にはそれは公表されるだろう。
 ロシアのこうした文書は読んでおく価値がある。たとえば2014ドクトリンで国内の脅威が始めて取り上げられた。続いてモスクワに、国防統制センターが置かれ、単一の国土防衛隊に、それまでの雑多な警備機関が統合された。
 2016版のロシアの「外交政策コンセプト」からはINFへの言及がなくなった。すでにINF違反を始めていたのがバレてしまい、この条約を守る気は無いと暗示したのである。
 2013に参謀総長ヴァレリー・ゲラシモフは、非軍事的手段をすべての紛争に用いることを強調した。2014に、露軍の身分を隠した工作隊によるウクライナ侵略が成功した。シリアには露人からなる民間傭兵部隊を送り込んでいる。ヴェネズエラでも同じことをしているようだ。
 軍隊同士が激突する前に、さまざまな手段によって敵を麻痺させてしまうことが肝要なのだとゲラシモフは2019-3に強調している。有言実行する気だろう。
 2017年版のロシア軍事用語辞典では、限定作戦のためにも核を使用する場合があると言っている。
 シリアで現に実験しているように、4000人前後の小集団で、これからは外地作戦を実行するんだというのが、もっかの方針なのかもしれない。
 2014ドクトリンで初言及された民間軍事会社は、すでに、シリア、ウクライナ、リビアに投入されている。
 ロシアは先制核攻撃をまだ公式にはオプションに入れていない。
 ロシアのテスト中の核兵器には、空中発射式弾道ミサイル「キンザール」、ハイパーソニック滑空弾「アヴァンガルド」、核動力巡航ミサイル「ブレヴェストニク」がある。
 次。
 Mike Orcutt 記者による2019-9-6記事「The US government has a hidden weapon it could deploy against Bitcoin」。
     50年近く前、銀行安全法というのが米国の連邦法として成立している。
 合衆国内の金融機関は、マネーロンダリングを取り締まる法執行機関に協力しなければならぬと定めてある。
 この法律を根拠にして、連邦政府は将来、ブロックチェーン/暗号通貨/ビットコインを、人身売買などの特定の犯罪容疑者が使えないようにする可能性がある。
 暗号通貨のプロバイダーも同法でいう「金融機関」だ――と財務省が解釈すれば、そうなる。


この暑さで植物に異変がなければよいのだが……。

 Patrick Tucker 記者による2019-9-4記事「Pentagon Shelves Neutral Particle Beam Research」。
  中性子線をレイガンから発射してMDとして使おうという試みを米国は当分、諦める。
 構想としては、軌道上の大型衛星からビームを発射させ、ブーストフェイズで敵ICBMを叩き落す、というものだった。2019-3に一部軍人が、FY2020に3400万ドルの予算をとって、2023年には宇宙でテストしよう、と言っていた。
 しかし、そんなカネがあったらレーザー開発に集中して突っ込んだ方がよいと結論された。下院内の民主党員が特にこれに反対している。
 ※中共内のどこかの研究所がとつぜんにレーザーの放熱問題を解決してしまう可能性が無視できないので、米国内には危機意識がある。
 
 次。
 ストラテジーペイジの2019-9-8記事。
    クラスノヤルスク地区はロシアの東西国境のまんなかへんにあり、土地は広いが、地域人口は全国の2%にすぎない。ここに「カメンカ弾薬庫」が置かれて古い弾薬が大量に貯蔵されていたのは理にかなっていた。交通アクセスはシベリア鉄道だけである。
 8月5日、1人が死亡し10人が負傷する爆発炎上事故が起きた。20km圏内の住民1万6000人が1週間弱、避難させられた。
 この事故により、火薬庫の施設である避雷針群が機能しなくなったため、夏の雷雨に伴う森林火災が1週間後に発生。それが2度目の弾薬庫爆発を招いた。
 かたやスカイフォールの爆発事故だが……。
 まず飛翔実験の途中でミサイルが墜落し、全体が海底に沈んだ。
 技師たちは、ミサイル動力の心臓部である原子炉をミサイル本体から外して回収・保管する必要があった。
 そこでミサイル全体をサルベージ船に引き揚げ、船上で原子炉の取り外しにかかったところで、大爆発が起きた。
 当初、事故の負傷者たちは火傷の治療をされていると発表されていた。
 だが実際には、放射能被曝症の治療を受けていることがわかった。その数は数十人に及ぶ。
 冷戦期のソ連の僻地にはふつうに「アイソトープ発電機」が設置されていたという。それらがどうなったかは、まともに調べられてもいないようである。
 2014年にロシア規格の23ミリ機関砲弾を製造していたインドの工場から不良ロットが量産されたというので全量廃棄することになり、安全に爆破処分するための地面の穴まで運搬をしていたところ、途中で自爆してしまって、6人が死亡した。
 インドでは2016年に対戦車地雷の炸薬が染み出して不安定化して爆発し、16人が死亡。最近ではインド国産の155ミリ砲弾も欠陥品であると分かった。
 ※TNTなら「染み出す」ことはあり得ない。いったいどういう炸薬を使っているのか……? 地雷ではなく、地雷原啓開用のロケット弾の推薬ではないのか? それなら硝酸エステル系だろう。
 2011年、ウラル山地のプガチョヴォ町近郊の弾薬補給処で、古くなって廃棄予定の15万発の砲弾に野火が燃え移り、大爆発。破片で100名近くが負傷した。野火の原因は工場の誰かが投げ捨てたタバコだった。
 同じ工場では2018年にも誰かが違法に草原を焼き払おうとしてその火が制御不能になり、小爆発事故に。
 地上型の砲弾の貯蔵庫が爆発した場合、最大で1km以上水平に、未発の砲弾が跳ね飛ぶ(2013年のチャパイェフスク事故の実例)。そして、未発砲弾をすべて拾い集めるために、多大のコストがかかる。
 ※90年代からロシア火薬庫の爆発事故が頻発していたので、私はそれを題材にして某劇画の原作公募に応募することを思いついた。その後しばらく、小学館の出版系のパーティの招待状が届くようになったので、タダ飯を目当てに毎度出かけた。あるときそこで、安部譲二氏をみかけたのだが、共通の話題がたぶん無いと思い、とても話しかけられなかったことを思い出す。しかし安部氏の方も、立食会場は居心地の良い場所ではなかったのじゃないかな。


九月にこんな暑い日が来るとは……たしかにどうかしとるわ。

 COLBY ITKOWITZ 記者による2019-9-7記事「House panel is probing US military use of Trump-owned property in Scotland」。
       トランプは2014にスコットランド西海岸のターンベリー・ゴルフ・リゾートを買収した。そのゴルフコースからの収益はそれいらい一度も黒字にはなっていない。
 買収から数年後、トランプは、同ゴルフ場から30マイルに位置するグラスゴー・プレストウィック空港にもっと到着便を増やせと主張するようになった。
 トランプが大統領になってから、国防総省の飛行機がこの空港を利用する頻度が増えた。しかも乗り組みの米軍人と契約民間人たちは同ゴルフ場で無料でプレイをさせてもらっている。それについて下院の予算管理委員会が6月にDoDへ質問状を出していた。
 スキャンダルをかぎつけたのは英紙『ガーディアン』で、2018-2にすっぱぬいた。国防総省はこの空港で燃料補給をするよう部内にうながしており、2017-10以降、プレストウィック空港は米機から給油代金1100万ドルを得ている、と。
 『ポリティコ』の報道によると、ある州兵空軍機が米本土からクウェートまで往復するときに、往路でも復路でもプレストウィックで途中給油した。しかもその乗員たちは、トランプが運営するターンベリーゴルフ場を立ち寄り利用した。通常、米軍機が途中で給油をする空港は、米軍基地所在の飛行場と決まっているのに。
 合衆国憲法は、合衆国大統領が外国の指導者や政府から、金銭もギフトも受け取ることはできないと定めている。
 さきごろペンス副大統領は、ダブリンでの会合に出席するさい、そこからかなり遠い、アイルランド内のトランプの所有地に滞在した。下院予算管理委員会は、この副大統領の旅宿選択によってトランプが私益を得ていないかどうかを、調査する予定である。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-8-7記事。
    アフガン政府は2017にバイオメトリックIDを軍人に配った。
 そしてこのたび、アフガン警察にも、バイオメトリックIDを配り了えた。
 これで「幽霊隊員」が何万人も帳簿上から削除されると期待されているが……。


本田宗一郎は、生きているうちに「ホンダジェット」を見ることはなかった。

 宗一郎にとってはオートバイや四輪乗用車以上に、純国産飛行機を作ってドヤ顔をしたかったはず。あれこそが、一番の夢だった。しかしそれは、生前にはついに実現できなかったのである。
 これはどういう教訓かというと、事業を発想するのは一日で済むが、それをじっさいに立ち上げて軌道に乗せるまでには、どんなに急いでも何十年もかかってしまうということなのだ。
 だから、起業は今すぐにやれ。50歳になる前にいちはやく収益の柱を早く確立し、そこからの残りの余生で、隠し玉にしていた「夢物語」でも追求したらよい。
 だれか私と一緒に「民活空軍会社」をやる人はおらんかな?
 次。
 Andrew Taffer 記者による2019-9-6記事「China’s Senkaku/Diaoyu Islands Ploy to Undercut the U.S.-Japan Alliance」。
    ※この記者には『脅しと機会――中共が尖閣紛争に打ち込んでいる楔』という単行本がある。珍しいこの分野専門の学者だ。
 北京が尖閣海域に連日侵犯を繰り返させている目的は、じつは、米国の地域信用を落とすことにある。
 ワシントンは尖閣をめぐって東シナ海で中共と本格戦争はしたくない。
 そこを北京は看取したので、尖閣をガンガン侵犯し続けることで、「米国も米軍もまったく頼りにならんぞ」という心証を日本やアジア諸国民に植えつけようとしているのだ。
 中共はすでに対ホワイトハウス工作を成功させた。国家安全保障アドバイザーのトム・ドニロンは中共に籠絡されてこう言った。日支は外交チャンネルを通じて尖閣の帰属について相談すべきである、と。これは日本外務省の立場=尖閣の領有権は自明であって交渉の対象とはならない と、まったくさかさまの注文である。
 中共が、尖閣がコアインタレストだと表明したのは2013-4のこと。
 尖閣をADIZに含めたのは2013後半のこと。
 次。
 Rebeccah L. Heinrichs 記者による2019-9-6記事「Let’s See If the SM-3 Block IIA Can Hit an ICBM」。
     日本が大いにかかわっている「SM-3ブロック2A」には、ICBMを撃墜できるポテンシャルがあるのではないかと言われる。
 共和党が多数を占める連邦下院が2018年度国防予算法(NDAA)を通したとき、2020-12-31までにブロック2Aの対ICBM実験をするようにと法定していた。
 ところがその後、下院の多数派が民主党となり、FY2020NDAAと歳出予算案とによって、この試験ができなくなっているのだ。
 2009年のこと。北鮮がしきりにミサイル挑発するので、ゲイツ国防長官は、ハワイにTHAADを再展開するとアナウンスしたことがある。
 ペンタゴンはブロック2Aを対ICBM用のABMにするために、すでに1億2100万ドルを投入している。
 次。
 David S. Maxwell 記者による書評記事「SWJ Quick-Look Book Review – Call Sign Chaos」。
   新刊の中でマティスは、指揮官には三階層があるという。陣頭指揮官、監督指揮官、戦略指揮官。


季刊『宗教問題』も絶賛発売中だよ

 Tanner Greer 記者による2019-9-4記事「American Bases in Japan Are Sitting Ducks」。
     米軍のために全額日本の負担で基地を整備するという約束は、附属文書の日米地位協定で定められている。接続道路、港湾、空港の利用権も。
 他方、軍隊の維持コストは米側が負担して、日本側には負担させないとも規定されている。
 だが1970年代以降、日本が豊かになると、米軍の日常コストも日本が負担するのがフェアであると思われるようになった。それは日本がじぶんでできる国防努力をサボっている代価とみなせるからだ。かくして米軍経費の7割を日本政府が支払うようになっている。
 いまから10年前、中共は在日米軍の飛行場に対して100発未満のSSMしか到達させることはできなかった。しかし今日では、国防総省の見積もりによると、1000発前後のミサイル攻撃が可能である。
 弾道弾の場合、中共本土上のTELから発射されて沖縄の航空基地に着弾するまでの時間は、6分から9分である。
 標的には滑走路や格納庫だけでなく、地対空ミサイル部隊、指揮所、通信設備も含まれる。
 中共軍の文書を2人の研究者が調べたところでは、中共軍は、ミサイル攻撃の第一波によって、在日米軍の航空基地の滑走路を穴だらけにしてしまうことを優先している。まず米軍機を離陸できなくしておき、第二波以降で、その機体を破壊するように努めるのだ。
 2017年に別の2人の研究者は結論した。中共軍のロケット軍による在日米軍基地に対する第一波の攻撃は、MDを飽和するであろうと。
 開戦から30分以内に、200機以上の米軍機、すべての住所固定の米軍指揮所、すべての米軍用の滑走路、および、日本の軍港内に停泊中のほとんどの米艦艇は、破壊されるであろう、と2人は見積もった。
 近年、ランド研究所も同様の結論を出した。それを見てロバート・ワークがいみじくも言った。F-35は空中では無敵だが、地上で多数がやられてしまうだろう、と。
 在日米軍基地は、次の7箇所に固まっている。三沢、ヨコタ、厚木、岩国、佐世保、横須賀、沖縄。そのうち特に沖縄に集中して置き過ぎている。
 基地の集中はまったく愚かである。辺野古もダメである。そもそも沖縄ではダメなのだ。
 賢者ならば、航空基地と軍港は極力分散する。分散していれば敵は開戦奇襲ではそれを全滅させられないと弁えるので、平時から強気になれない。
 つまり、米国や日本にとって、主要基地の分散以上に対支軍備で重要な政策はないはずだ。なのに、ペンタゴンにその着想・着意が無いことに、われわれは呆れる他はない。
 ※北海道駒ケ岳の東麓に広がる自衛隊演習場一帯は、いつまた火山噴火があるかわからないところなので、リゾート開発もできない荒野である。ここに米軍のための分散(=divert用)航空基地を設定することを、私はリコメンドしたい。いやいっそ、海兵隊をここにもってきたっていい。噴火湾には珊瑚もジュゴンも棲息してないしね。露助に対する脅しにもなるはずだ。
 次。
 Hope Hodge Seck 記者による2019-9-4記事「10 Things You Didn’t Know About Jim Mattis from His New Memoir ‘Call Sign Chaos’」。
         マティス元長官の回顧録『コールサイン・カオス』は、著者はビング・ウェストとなっている。9-2に発売された。
 この中ではマティスはトランプについて語ることを遠慮した模様。ほとんど言及がないそうだ。
 そのかわりに、「ドクトリンとは、想像力の無いやつの逃げ込む場所だ」――といった決め台詞がてんこもりで、それだけでももうおなかいっぱいのタッチであるようだ。
 マティスはセントコム司令官だったときにオバマと路線対立して2013に左遷された。それが買われてトランプ政権で2年間、長官に就任した。
 マティスは自分のコールサインとして「カオス」を好んだ。それが「すばらしい他の解決案を持っている大佐」の略号になっている、として。
 マティスは2001当時はフランクス大将(陸軍)をセントコム司令官に戴く下僚だったが、部下の海兵隊の歩兵部隊に出動させてくれれば、ビンラディンをトラボラ地区からパキスタン領内に逃がすことはなかったのだと、今でも信じている。
 フランクスは、アフガンの山地に車両や歩兵を出しても旧ソ連の二の舞になるだけだとしてマティスの進言を斥けた。そんなトラップは存在しなかったのだ。おかげでビンラディンは2011年まで逃亡を続けられた。
 マティスはこう言いたかったと夢を見る。「閣下、ここに作戦プランがあります。ビンラディンを殺し、閣下に勝利を進呈できます。必要なのは閣下の御裁可だけなのですが」。
 マティスは2003-3、バクダッド進軍中に、部下のジョー・ダウディ大佐(第一連隊戦闘団長)を解任した。進撃スピードをもっと上げることにダウディが抵抗したので。しかし自著の中ではダウディの名前を出さずに、それを解説している。
 マティスはときどき過激な表現を使ったが、それは計算されていた。「言語は武器である」という信条を持っていた。だからマスコミの前で絶対に発言について謝罪しなかった。
 2017-1から2018-12までの長官任期中の話は少ない。
 マティスは女子戦闘員についてはそもそも反対の信条だったと思われるが、トランスジェンダーと女子隊員の話は避けている。
 マティスは、軍隊は社会の実験場ではないと思っている。
 効率的に敵を殺すことを考えろ。それが味方の死傷を減らし、敵を抑止するのだ。
 次。
 Bill Gertz 記者による2019-9-4記事「Influence Power: How China Covertly Operates in the U.S.」。
     ビル・ガーツの新刊『天を欺く――中共の世界支配構想』が出たよ。
 中共は、米国に避難中の郭文貴をシナ本土に連れ戻すためにトランプ政権周辺に対して30億ドル規模のロビイングを展開している。
 中共のカネの手先になっている代理人として、マレーシアの事業家にしてお尋ね者の Low Taek Jho、通称ジョー・ローや、ヒップホップラッパーのプラス・マイケルがいる。この2名も郭の身柄送致をトランプ政権に働きかけている。
 中共の工作部隊は、共和党の財務担当であったエリオット・ブロイディとその妻までも抱きこんだ。
 ブロイディはロサンゼルスのベンチャー資本家。トランプの大統領選挙に対して高額の献金をした。
 トランプが大統領に選ばれると、ブロイディは共和党の全国委員会のナンバー2の地位を得た。それはジョン・ケリー首席補佐官や、セッションズ司法長官にアクセスできる地位である。
 中共の元のままでは賄賂にならないので、多額の元をドルにロンダリングする必要があった。それには司法省のジョージ・ヒギンボサム(裁判で有罪を認めている)が抱きこまれて手を貸した。ローとマイケルを通じて7400万ドルの政治工作資金が振り出される仕組みになっていた。
 郭の拉致はアブダビ経由でなされる算段であった。郭は同地で投資家たちのカネ30億ドルを騙し取ったといわれている。中共は、そのカネを中共が出してやるから郭の拉致に手を貸せとオファーしたのだ。
 しかし郭によれば郭はアブダビで投資詐欺など働いておらず、現にアブダビ政府からいかなる訴えもなされていない、と。
 ラスベガスの富豪、スティーヴ・ウェインも、郭の身柄を中共に渡せという習近平の手紙をトランプにとりついだ。
 ウェインはマカオにもカジノを経営しており、それは地元の中共幹部の許可が必要である。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-9-5記事。
   米陸軍航空隊もちょっと人手不足。
 米陸軍航空隊は、予備役も含めて1万4000人のパイロットが必要なのだが、今、700名ほど、パイロットの人数が足りない。


眼底にナノ分子を注射して近赤外線を可視化させ、暗視装置を不要にするという鼠実験を某国はやっているそうだ。

Joseph V. Micallef 記者による2019-9-3記事「Russian Harassment of NATO Personnel, Families: The Next Chapter in Information Warfare?」。
    NATOからバルト三国へ派遣されている人々の留守家族のところにロシア語訛のイヤガラセ電話が頻々とかかってくる。王立国際問題協会のジャイルズは、ロシアは末端軍人の留守家族の情報を収集して、ピンポイントの偽情報攻撃や脅迫を展開しているのだと警告している。
 2017年にオランダ空軍はF-16をバルト三国へ進出させて領空侵犯機(=露軍機)のパトロールを手伝わせた。そのさい、派遣パイロットたちがオランダに残した家族のところへは、ロシアからのイヤガラセ電話攻撃が続いた。
 2017年にデンマーク陸軍が歩兵をバルト三国へ派遣するときには、派遣の前から、家族に対するロシアからの脅迫電話が相次いだ。
 ジャイルズは2015年からロシアによるこのタイプの脅迫工作の事例を集め、これは小さな話ではなく、ロシア政府が「情報戦争」を仕掛けているのだと判断した。
 ポーランド軍将校の家庭にもロシア国内からのイヤガラセ電話がひっきりなしにかかってくるという。
 NATOはロシア発のこうしたイヤガラセについて表立っての抗議をしていない。
 ロシアが推進する広義の情報戦争には、心理戦も含まれる。敵軍、住民、国際世論の心理を変えようとする。
 ジョージ・ケナンは1946から警告している。ロシアと対決するときにロシア人の真似はするなよ、と。われわれがロシア人の真似をするということは、ロシアの腐れ文化が勝ってしまったということなのだ。だからわれわれはシリアに派兵されている露軍将兵の留守家族に脅迫電話をかけたりはせぬ。
 ※元SASのテレビタレント、ベア・グリルズ(Bear Grylls)氏が、太平洋の島でロケ中に、蜂に二度刺されたことによるアナフィラクティック・ショックで死にかけ、「エピペン」(携帯式緊急注射薬)を打って病院に搬送されて助かったという報道を数日前に見かけた。これを知った露軍はさっそく、蜂毒を《暗殺には見えない暗殺》に利用する方法を研究し始めることだろう。
 次。
 Jeff Goodson 記者による2019-9-3記事「What Mattis gets wrong: Alliances also need rebuilding at home」。
      記者が米軍に入ったのは1983だったが、そのときいちばん驚いたのは、アパラチア山脈の西へは一度も行ったことがないという将兵がふつうに存在したこと。平均年齢30歳だぞ。
 つまり米軍という組織はじつは人的なキャラクターとしては、世間しらずどもの集まりなのだ。生まれた町や村の中だけでずっと生きてきた連中が多い。だから、海外に無知であるという前に、そもそも米国がどういう国なのかもよく知らない。米国の内部において、アパルトヘイトの現実があるのだ。
 マティス元長官は最新の回顧録の中で、中共と対決するためには同盟国が大事だと言う。しかし記者いわく。その前に米国内のポリティカル・アパルトヘイトをなんとかせよ。
 ※ボブ・ウッドワード著、伏見威蕃tr.『FEAR 恐怖の男』(原2018“Trump in the White House”、邦訳2018-11)は、米政府の朝鮮無知についてのおそろしい実態を明かしている。どうやら半島のプロは(側近にも制服にも)一人もおらず、元KATUSAグループの情報工作にホワイトハウス全体が操られているのだ。そんな中で、大統領トランプの《直感》だけがきわだって冴えている。半島に関して彼は正しい。ウッドワード等の方が真相を把握できていない。
 スティーブ・バノンはマティスに言った。「きみたちは太平洋のことをまったく考えてこなかった。中国のことを考えなかった。詳細な研究がない。きみたちは中央軍〔CENTCOM=イラクとアフガン担当〕にばかりこだわっている」。さらにマティスに提案した。中国封じ込めをそちらが支援すれば、アフガニスタンからの撤兵を求める圧力を弱める、と。これにマティスは反対した。世界貿易〔対支友好〕を重視したいから、と。
 上院軍事委員長ジョン・マケインはトランプに言った。「北朝鮮は通常の大砲やロケット砲で、ソウル市民一〇〇万人を殺すことができます。だからやりにくいのです」。
 スティーブ・バノンが政権から追い出される直前の半島認識。「われわれは彼ら〔北鮮〕に急所をつかまれている。“ソウル市民一〇〇〇万人が通常兵器によって開戦から三〇分以内に死なずにすむ方法を示せ”という方程式の解をだれかが私に示せるならべつだが、そんな馬鹿な話はないだろう」。
 上院議員リンゼー・グラムは、在韓米軍将兵の家族を韓国内に住まわせていることがそもそも気違い沙汰だと認識していた。しかし誰かが、家族エバキュエーションを実行すると韓国の株式市場と日本経済が激動するからと脅かして、その考えを翻させた。トランプはツイッターを使って、とっとと米軍家族を韓国から外に出してやりたかったのに。グラムは他方で、中共に三代目を除去させよう、とケリーとマクマスターに提案もしている。
 「特別アクセスプログラム」=SAPが米韓間に存在することによって、北鮮のミサイル発射を米国は7秒後に探知できるが、それがないとアラスカの施設で15分後に探知することになる、とマティスとダンフォードが大統領に説明している。マクマスターもトランプに言った。現状では北朝鮮のICBM発射を〔在韓米軍が〕七秒で探知できるが、〔年35億ドルかかっている米軍の韓国駐留をやめれば〕アラスカからの探知に一五分かかると。
 国家経済会議NEC委員長ゲーリー・コーンの認識。在韓米軍を撤退させたら、地域不安を鎮めるために、配置する海軍の空母打撃群を増やさなければならず、そのほうがコストが10倍かかる。最高機密に関する情報をSAPによって得られているのは、韓国の承諾があるからだとも。
 なぜ七秒で探知できるのかについて、ウッドワードは政府高官複数から聞かされたが、同時に、その詳細を公表しないようにも頼まれているので、書けない(p.147)。
 兵頭が註釈をつけよう。DMZに沿って米空軍のISR機が高度18000mを遊弋すると、朝満国境の向こう側まで、ラインオブサイトで見渡せるのである。つまりICBM発射に特徴的な赤外線のフラッシュがあれば、1秒で探知可能だ。「韓国の承諾」とは、その飛行許可に他ならない。ところが近年韓国はDMZ近くを米軍機が飛ぶことを禁じてしまった。SAPは文左衛門によって骨抜きにされたのである。ところで、ISR機によらずに北鮮から北米東部に向けたICBMを早期に探知できるレーダーサイトの屈強のポイントがある。それが鬱陵島で、次等の拠点は竹島だ。どちらかの島にXバンド・レーダーを置けば、アラスカ方向に向かうICBMは即座に探知ができる。とうぜん北鮮は韓国に対し、絶対にそれをさせるなよと要求中であろう。WWII直後に竹島を韓国防空識別圏に所属させてしまった米軍の失策のツケを、今、アメリカは支払っているのだ。
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 Patrick Tucker 記者による2019-9-3記事「How AI Will Predict Chinese and Russian Moves in the Pacific」。
    すべての中共軍航空機の動きを仔細に長期間観測して、その軌跡のパターン等をビッグデータ化しておけば、実戦で開戦奇襲をたくらんでいるときには平時の訓練パターンから大きく外れるので、AIによる開戦予測&警報が可能になり、奇襲を食らわずに済むだろうという研究が進んでいる。
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 Karen Hao 記者による記事「An AI app that turns you into a movie star has risked the privacy of millions」。
   中共内のアップルストアでは8-30に発売された「ZAO」というフェイス・スワップ・アプリが、ダウンロードの大人気。
 映画の1シーンの静止画の中の任意の役者の顔に、自分の顔写真を全自動で融合させることができる。その操作は数秒で完了する。
 問題は、このアプリを開発したMOMO社が、アップロードされたユーザーの顔データの使用権を永遠に取得するという約定になっていたこと。
 以後はユーザーの許可なしで、その顔データが、サードパーティに売り渡されることもあるのだ。これは中共の国内法に違反しているため、たちまち騒ぎとなり、MOMO社は利用規定を削除した。「ウィーチャット」は、「ZAO」からの写真や動画をシェアすることを禁止した。
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 長谷川慶太郎氏の訃報に接し、氏から昔頂戴したハガキを捜索した。が、見つからなかった。しょうがないので記憶を頼りに話そう。
 そのハガキで教えて貰ったことは「礬素銅」〔あるいは礬素鋼?〕の意味だった。
 あとで承知したが、先生は、阪大の冶金科の卒業生だったのだ。
 「礬素銅」の語は、大正9年の陸軍省刊『兵器沿革史(野砲・山砲) 第二輯』の中の、明治25年の試作野戦火砲(のちに「三一式野砲/山砲」となるもの)の「試製第一號」砲(有坂成章大佐設計)と「試製第三號」砲(栗山少佐設計)についての説明として、出てくるものだ。
 そこから推量して、おそらくハードカバーの『有坂銃』を刊行した直後に、版元の四谷ラウンド宛てに送られたハガキだったのだろう。その初版の中では私は、《礬素●の意味は分からない》と正直に書いておいたのだ。
 長谷川先生はそこをお読みになり、一面識も無い駆け出しの著者にハガキで知らせねばという気になった。その心理を想像すると面白い。立場が逆なら私も同じことをしたに違いない。当時はインターネット検索には頼れなかった。漢和辞典で「礬」の字をいくら調べても冶金の奥義には辿り着けない。
 じつは昔、熔鉱中の不純物を除去する方法として、アルミのインゴットを投入して不純物を吸着させる方法があった。そうやって得られた素材を「礬素●」と称したのである。私の疑問は長谷川先生のおかげで氷解した。たぶん、『FN文庫』版ではそこを直していると思う。
 ミッドウェー海戦の敗因のひとつとして、米海軍は日本近海の海底電信線を開戦直後にすべて切断したのに、日本海軍はぼんやりしていて、ミッドウェー島に通ずる海底ケーブルなどもほとんどそのままに放置しておいたから、敵は有線を使って自在に秘密裡に日本軍をひっかける打ち合わせができたんだという指摘を、戦後のわが国で最初にしたのも、長谷川氏監修のシリーズ企画本じゃなかったか? 俺の記憶ではそうなっている。
 とうとう面晤の栄に浴することもなかったのだが、長谷川先生と拙稿が同じ『Voice』に載ったときなどは、さすがに感慨があった。忘れられぬ老大家也。R.I.P.……。


なんで『週刊ポスト』は俺に寄稿を頼まなかったんだ。水臭い。

 Ammar al-Ashwal 記者による2019-8-30記事「Houthis tout missiles that down advanced US drones」。
   イエメンゲリラのフーシの宣伝によれば、8-20に米軍の無人機「MQ-9 リーパー」を撃墜したのは、フーシが自主開発した地対空ミサイルだったという。
 米軍セントラルコマンドの反応。米軍の無人機はイエメンの正統政府の許諾を得て飛んでいる。米国とイエメン政府は、対テロ協定を締結しているので。
 8-24、フーシのスポークスマンいわく。フーシは2種類のSAM「ファテル1」と「タキブ1」を有している。
 それらは2017年から実戦展開されていたという。
 しかし『ジェーンズディフェンスウィークリー』はこれを疑う。「ファテル1」はロシアから数年前に購入したものであろうと。
 イランはロシア製SAMの射高を独自に改善したようである。
 また別の一ソースは言う。イエメン旧政府の防空軍が保有していたSAMをフーシが押収しただけだと。
 フーシは6-7にも「MQ-9 リーパー」を1機墜としたし、3-22と5-14にはサナア市上空で「MQ-1 プレデター」をそれぞれ1機ずつ撃墜した。
 一軍事分析家いわく。従来米軍の無人機は、ゲリラのSAMの最大射高の少し上を飛ぶようにしていた。ところが意外にもゲリラがSAMの射高を改善していたので、不覚を取ったのである。
 ※h=5000mくらいが分かれ目だと思う。普通の肩SAMでは、カタログ上はともかくも、なかなかそこまで届かない。それがイランの手で改造されて、6000mとか7000mまでも届くようになったのか? プレデターはh=7600mまでしか上昇できない。当然イランはその線を狙って改造に努めたはずだ。低速機だから届きさえすればなんとかなる。これが「MQ-9 リーパー」なら、h=1万5240mまで行けるので、米軍としては、かわすことができたはずだが、油断して8000mくらいを飛んだのか?
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 CHAD GARLAND 記者による2019-9-2記事「Ranger School graduates include first woman in Air Force to earn tab, 7-foot former NBA player」。
    マーシャル・プラムリー少尉は、デューク大の2015年NCAAチームに所属し、ニューヨーク・ニックスでプレイしていた元プロバスケットボール選手だ。 
 身長7フィートのプラムリー歩兵少尉はこのたび、レンジャー・スクールの2箇月間の教程を修了した。
 プラムリーはデューク大生のときに、すでにROTCを志願していた。2017年にはニューヨーク州兵に登録。NBAでプレイしながら、初級将校の身分も得られるのだ。米国では。
 プラムリーの母親は、大学の籠球選手であった。
 陸軍への現役入隊とレンジャー・スクール行きも、母親が支持したという。
 プラムリーのコーチは有名なマイク・クルズィジュースキー〔おそらくポーランド系の苗字なのでこの読み方では違っているかもしれない〕であった。
 ※めぐまれた身体を持っていてもプロスポーツ界で活躍できるとは限らない。そこで提案。日本の陸海空三自衛隊は、現役のアマ/プロ選手については「ダブル身分」の取得を寛容に認めてやるようにし(特殊な職域・配属先も用意し)、また、元プロ選手に関しては、入隊年齢上限を撤廃したらどうだ? これで選手たちが「引退後」の人生設計も長期的に楽観できるようになる結果、どれほど日本のスポーツ界の「空気」が明るくなるか、わからないぜ!


96式6輪トラックの模型の写真を持っている人はいませんかな?

 Evan Karlik 記者による2019-8-30記事「Where Will the US Base Intermediate-Range Missiles in the Pacific?」。
     米軍が中距離ミサイルを新規に展開する場所の候補として、南西諸島とパラオ諸島が浮上している。
 グァムではなぜだめか。一専門家いわく。すでに中共はグァム島の隅から隅まで、ミサイルで爆砕してしまう準備を進めているので。
 フィリピンは、中共からのイヤガラセが怖くて、米軍の中距離ミサイルは受け入れられない。中共はすでに、米軍にTHAAD用地を与えた韓国のロッテに報復して見せしめとしているし、観光客の渡航を制限するというカードを持っている。ドゥテルテにとっては、それが怖い。
 沖縄では、場所としては、既存の陸自の基地内に間借りする。米陸軍の車両発射式巡航ミサイルは、ほとんどスペースをとらないので、そのようなオプションも可能になるのだ。
 そうなったら、もはや中共は、尖閣占領の野望などはすっかり諦めるしかないだろう。米陸軍の巡航ミサイルで、尖閣領土もカバーされるのだ。
 パラオと米国とはすでに自由協力条約を結んでいて、米国は対価を払えばパラオ内に基地を置くことができるようになっている。
 パラオの大統領も、アンガウルやペリリューの港湾・空港の近代化が、米軍のプレゼンスによって促進されることを歓迎すると公言している。まず、決まりだろう。
 4月にはすでに米陸軍の視察団がパラオに入っている。37年ぶりだという。名目は、パラオ軍警の訓練、道路改修、医療のアウトリーチ協力。
 おそらく来年の後半には、米陸軍のミサイル大隊複数が、パラオ諸島に進駐する。
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 Paul McLeary 記者による2019-8-30記事「Army Tests Dispersed THAAD; Beginning Of Modular Missile Defense?」。
   THAADの迎撃実験が成功した。標的は1発のSSM。センサーはクェゼリンに置かれた。ランチャーはそこから相当に離れた場所に置いて、それらを連繋させてみた。
 ※ぼやかしているが、グァムか? つまり弾道弾を西向きに発射したのか?
 実験は8-30になされた。THAADのレーダー情報をPAC-3に与えるテストもついでにやってみたが、うまくいった。
 標的の弾道弾の発射タイミングは、迎撃側には事前に教えられなかった。
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 ストラテジーペイジの2019-8-31記事。
    イランのスパイ機関に一本釣りされた米空軍の情報兵、モニカ・ウィットの話。
 テキサス育ちのウィットは1997入隊。イラン語を学び、通訳級にまでなった。2003にはRC-135に乗り込み、米英軍のイラク侵攻中にイラン領内ではどんな会話がなされているかを盗聴した。
 驚いたことに「ついでに我がイランにも侵攻して宗教独裁政府を覆してくれんかな」という声が多かったという。
 その後、ウィットは、米国内でのイラン系犯罪を捜査する空軍の機関、OSIに転勤した。
 ウイットは下士官で2008に除隊した。というのもそのセキュリティクリアランスと語学特技があれば、政府からもっと高額で仕事がもらえたから。
 そのうちにイラン機関がささやきかけ、ウィットは過激シーア思想に染まり、2010に政府の仕事も辞めた。
 2013にイランに半ば亡命。
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 Tyler Rogoway 記者による2019-8-30記事「Shadowy New Electronic Warfare System Has Been Installed On U.S. Navy 7th Fleet Ships」。
    『フィッツジェラルド』の損壊箇所の写真を仔細に眺めているうちに、記者は、ある「装置」が設けられていたことに気づいてしまった。それは多角柱表面の棺桶を縦に置いたような器材で、指向方位を変更でき、どうやら飛来する対艦ミサイルに対して、従来とは違ったタイプの電子的ジャミングを集中する「電波砲」ではないかと見当がついた。
 そこでアーレイバーク級のすべての駆逐艦を調査してみた。
 その結果、第七艦隊の『ロナルドレーガン』、巡洋艦、駆逐艦には、すべてこの装置がついていることが写真で確かめられた。対支用のスペシャル装備だったのだ。
 この装置は正式には「AN/SLQ-59」という。トランスポータブル・エレクトロニック・ウォーフェア・モジュール=TEWMとも。
 後付けが簡単にできるようになっている。だから、脅威の大きな海域に出張するフネだけに取り付けたりできる。場合によっては陸上施設にも。
 どうやらAESAの原理を用いているようだ。だから空中の任意の一点へ電波を集中できる。
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 Kris Osborn 記者による2019-8-23記事「Army Infantry to Fire Soldier-Mounted Laser Weapons」。
    米陸軍が考えている、歩兵のレーザー利用法。
 対人レーダーのようにレーザーを使えないか。たとえば、照準スコープのガラス面を探知できる方法は考えられないか。それができれば、キミを狙っている敵兵士の存在を、マシーンがいちはやく警報してくれるようになる。敵がタマを発射する前に、キミはそれに気づいて対策できるのだ。


隼人の楯の写真を持っている人はいませんか?

 2019-8-29記事「How America’s Spooks Seek to Spy on Distant Satellites」。
    光干渉計の理論を使って、多数の小型望遠鏡でひとつの太陽同期衛星=偵察衛星を光学的に見張ろうというプロジェクト。太陽電池パネルの様子が分かる程度の解像度。
 2017-8-30に「Tlkom-1」という衛星が謎の爆発を起こして四散した。宇宙兵器が使われた可能性もある。デブリ衝突かもしれぬ。いずれにしても原因&犯人が分からない。監視網が足りないのだ。
 なぜ太陽同期衛星が焦点かというと、斜め軌道のLEO衛星よりも地上から遠いので、それだけ、光学的に常続監視するのが難しいのだ。
 たとえばニューメキシコにあるマグダレナ・リッヂの光干渉望遠鏡群。径1.4mの望遠鏡が10個、Yの字形に並んで散開している。
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 Brian Thompson 記者による記事「The Legacy of the GI Bill」。
   FDRが軍人復員法に署名したのは1944年。これがGIビルの始まりだ。
 ノルマンディに上陸してまだ2週間しか経ってないのに、はやくも米国指導層は、独日に対する完勝後の、平時経済活動への移行計画をスタートさせたわけ。
 GIビルを利用した復員兵は780万人に上った。彼らは徴兵されたことによって失われた教育を受ける機会を取り戻し、職業訓練もあらためて受けることができた。
 彼らは中産階級主導の経済成長をプッシュした。
 1988年に米連邦議会は結論した。GIビルに政府が投じた予算1ドルにつき、8ドルの経済成長があったと。
 
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 ストラテジーペイジの2019-8-30記事。
     米空軍の全機種の最新稼働率が公表された。
 CV-22の稼働率は59.4%であった。10年前は54.3%だった。
 MQ-9A リーパー は90.2%だった。10年前は91.9%だった。
 RQ-4B グローバルホーク は73.7%だった。10年前は41.6%だった。
  ※海保がリーパーを選ぶのは正しいね。海保は是非、無人機空母を持ってほしい。『いずも』級より、よほど役に立ってくれるはずだ。はるかに省力的にね。