金属3Dプリンターを使えば、不活性気体バブル入りのチタニウム・ブロックができるのではないか?

 ストラテジーペイジの2019-6-26記事。
   CMF=発泡コンポジットメタル が、軽量強力防弾素材として超有望だと発見されてから3年。とうとう実用化するぜ。
 従来の戦車のチョバム式複合装甲。そのスチール素材(米戦車においては劣化ウラン素材)の層を、このCMFで代置すると、すごいことになる。
 これまでより装甲が軽くなるのに、これまでより防護力を強靭にできるのだ。
 セラミクスの層は、いままで通り。
 なぜそんなに防弾力が高まるのか。CMFに高速物体が衝突すると、CMFは圧縮されるのである。その圧縮するときに、徹甲弾のエネルギーを75%も奪ってしまうわけ。
 CMFを製造するには、ガスの泡を、熔けた金属の中に無数に封入しなければならない。
 このCMFは2015年に、各種放射線を防護するための軽量なブロック材として発明された。
 CMF単体でも役に立つ。たとえば人工衛星を宇宙線から守る目的で。
 するとあるとき、このCMFをセラミクスで挟んでやったら、複合防弾構造になりはしないかと思いついた技師が、実験してみたら、じっさい凄かった。
 CMF装甲の応用ポテンシャルは広範囲に及ぶ。いままで、エンジンが非力で、とても重い鋼鈑など被せられなかった非装甲車両を、あらためて防弾化してやれることにもなるのだ。
 正面装甲より防護力の手薄であった、AFVの側面や背面でも、APFSDS弾をストップできるようになる。
 とうぜん、歩兵のボディアーマーへの応用も考えられるだろう。
 重くて割れ易いセラミック挿入板の代わりに、このCMFを使えるだろう。
 ※イランや中共は、特に価値の高いものを蔵めた地下室を覆う、防空壕の天蓋に応用しようとするだろう。これで米軍の地下侵徹爆弾は無力化されてしまうことになる。
 次。
 Andrew Greene and Michael Park 記者による2019-6-23記事「Secret plans for new port outside Darwin to accommodate visiting US Marines」。
    豪州政府は、ダーウィン港の北東40kmにあるグライド岬地区に新商港を建設し、それを米海兵隊専用に充てる計画。
 グライド岬地区は海岸の水深が大なので、かねてからノーザンテリトリー州政府が、臨海工業地区として開発できると目していたところ。
 岸壁水深が大であるということは、米海軍の『ワスプ』や、豪州海軍のLHDも横付けができるということ。
 築港が成れば、将来、2000人のローテーション派遣の米海兵隊が宿営するのにも適するだろう。
 7月に米豪合同演習の「タリズマンセイバー」が実施される。そのとき、公式アナウンスがあろう。
 豪州政府高官によると、公式発表を遅らせている理由は、インドネシアの大統領選挙が済んでしまう前にインドネシア人を刺激したくないから。
 しかしいずれにしても、公式発表はシナ人を怒らせるだろう。
 事情通いわく。米軍はダーウィン港が99年間シナ企業「ランドブリッジ」社にレンタルされてしまったときから、代替基地を模索していた。2015にグリーナート米海軍作戦部長も、豪州の別なところに恒久海軍基地を探すと明言している。じつはそのときいらい、候補にはシンガポールまで含めて検討を続けてきた。けっきょくの結論として、大面積の埠頭を確保できるところは豪北しかない。
 ※中共の中距離弾道弾が届くシンガポールなどまじめに検討したはずがない。それは対豪州人の交渉を強気で進めるためのマヌーバだろう。豪北のヴァンディーメン湾の立地はとにかく軍港として最初から素晴らしいのである。目の前にメルヴィル島があり、艦隊は、その東を回っても、西を回っても出撃できる。マハンも、こういう地形が最高なんだと言ったはず。英ポーツマス軍港前のワイト島、米NY港前のロングアイランド島の如し。中共の弾道弾から遠いという点では豪州西海岸もまた捨てがたかっただろうが、やや都市化していてすでにシナ人密度が高いのと、なんといっても Van Diemen Gulf のような天与の軍港地形(敵潜水艦の接近路が限られる)には恵まれていないのだ。
 最近、4000万ドルを投じて、グライド岬に近いガン岬までの新道が開通している。表向き、釣り人の利便改善のために造ったと言われていた。だがダーウィン市住民は、すでに基地移転計画がスタートしているのだと皆、察している。


七月中旬の関東某地における「和弓実射テスト」の計測と撮影を手伝ってくれる人を募集しています。

 甲冑相当鉄板に対する征矢での実射貫通データの参考に足るものが無いという呆れた実態に気づかされたわたくしが、さる方にお願いして初めて実験するものです。
 科学的に再現・検証可能な基礎データとするために、念入りな計測を望んでおります。
 まとめたデータを小生の著書およびブログで公開します。
 写真の版権は撮影者各人に帰属します。
 臨場する全員に「ゴーグル」を必ず着装していただきます。金属スプリンターがあり得るので。
 次。
 Lorris Beverelli 記者による2019-6-25記事「Between Strategic Autonomy and Limited Power: The French Paradox」。
      フランス陸軍は、2025年には、本格戦車を225両しか持たない予定である。兵員は7万7000人。
 ※イランの話などよりも「コウイチTV」の方が面白いのでぜんぜん海外記事のフォローに時間を割けてはいないのだが、2つだけピンときたことあり。まず米政府は《イラン国民は敵ではない。宗教専制政府が敵である》とのスタンスをイラン大衆向けに打ち出さんとしている。ハメネイだけ狙い撃ちして、庶民と政府との乖離を促した。だがこれは70年代テレビシリーズの「スパイ大作戦」の頃から底流している米国人通有の思い込み(病気といえるレベル)で、イラン大衆が宗教反革命を起こして現政府を打倒することはないだろう。もうひとつ。日米関係に関するロシア系の情報工作メディアなどを読んですぐ信じてしまいそうになる人は、できれば「kouichitv」のこじつけ都市伝説でも視て感覚を中和しなさい。「完全に一致しているのである」。
 次。
 J.P. LAWRENCE 記者による2019-6-25記事「Kazakh and Tajik troops take on snipers, bombs in US-led exercise」。
   カザフ軍を中東PKFに仕立てるための米軍による努力。
 ※この記事に添えられている「金属製の楯」の写っている写真に釘付けだ。なぜ平安末期から元和元年にかけてわが国には「持ち楯」は流行しなかったのか? 歴史学者の人々が答えてくれない、いろいろな疑問に、近い将来の企画で答えるよ。ご期待ください。


八丈島と大東諸島にもSAMが必要だよね。

 ストラテジーペイジの2019-6-23記事。
   イランは6月前半、「ホルダド15」という国産レーダーと射撃統制システムを就役させたと発表。その3週間後に、トライトン無人哨戒機を撃墜した。
 現場には、4発のELINT機も在空。そこには35人が乗っていた。
 この2機が組になって飛ぶことにより、イラン海岸や陸地の動静を偵察していたのである。高度が高いから、かなり内陸まで視察できる。
 ※したがって2機はイラン領空に入る必要はなかった。
 「ホルダド15」はなんとAESAレーダーだという。イランの宣伝によると。
 イラン技師は、もし自由に開発ができたならば、とっくにAESAシステムを実用化できた。しかし科学に無知な宗教独裁政府が、これまで予算を付けなかったようである。
 イランは海外の武器市場へは自由に売り込めない立場なので、こうした新兵器の開発はすべて役所(公務員)でやっている。およそ役所は政府がくれた予算の中で仕事をすることしかできない。
 ハッキング情報だけではAESAは完成できない。真に有能でやる気のあるチームが長期間取り組んだ結果である。今回、やっと彼らの実力を証明することができた。
 「サヤード3」ミサイルと射統システムは、基本的に、ロシアの古い「S-200」の模倣だろう。
 シリア政府軍が「S-200」の現役ユーザーだが、イスラエル空軍機はまったく気にしていない。低空から攻撃を仕掛けるので。
 しかし「S-200」は、高空を無防備で飛行している航空機に対しては、強い。
 この前、シリア軍が、間違ってロシアの四発哨戒機を撃墜してしまったが、あのとき発射されたのが「S-200」なのである。
 イランの防空体制は独特である。宗教専制政府は、地対空ミサイル部隊を、空軍から組織図の上で切り離した。そして「防空軍」を独立させている。西側諸国は、この変化を2009年に察知した。
 ※イラン空軍の将校たちは、シャー・パーレヴィ時代にすっかり頭の中身がアメリカナイズされてしまっていて、心の中がまったく西側近代人であり、そのため、イスラム専制指導者層は空軍をぜんぜん信用していないし評価もしない。それで、戦闘機にはロクに予算をつけてもらっていないのである。その代わりに、SAM部隊が優遇されていることが、今回、ハッキリした。
 ハメネイは2018-8に防空軍の司令官を更迭している。それは2018年において5人目の、軍隊指揮官の更迭だった。危機意識が反映されている。
 2017年に、イランの防空体制は無力だという研究報告が軍事雑誌上に公開されている。イランの内外の誰でもそれを読むことができる。
 そのリポートでは、米空軍が、発送電施設を機能停止させるための良導体カーボンファイバーを飛散させる爆弾や、EMP爆弾を使用してくることまでが想定されていた。
 ※公海上空の無人機に対する海賊行為に対する返礼としては、砂漠の中のパイプラインや送電施設に対する攻撃があり得ただろう。オプションとしてそれを示さなかった統幕は、ボルトンに対して内心で反対なのだろう。
 最高指導者ハメネイは、IRGC(イラン革命防衛隊)が頻繁に発信するフェイクな《大本営発表》にも怒っている。代表的なのが、2018にマスコミ発表された「イラン国産ステルス戦闘機」の写真だ。
 国外にあるペルシャ語の諸メディアが、その馬鹿馬鹿しさを嘲弄した。それらの批評は、イラン国内でもインターネット経由でアクセスできる。
 イランの最新鋭の防空システムは、ロシア製の「S-300 PMU2」である。別名SA-20C。2016年前半に搬入され、その2年後に、4個高射大隊が実戦配備されたとの発表があった。
 するとそのすぐあと、2018-5にロシアは、「S-300」をシリア国内の誰にも納品するつもりがないことを、そっと、世界に知らせた。
 これはイスラエルが公然とロシアに求めていた措置であった。
 シリアは結局S-300を手にしている。ただしロシア人の教官・アドバイザーがつきっきりなので、イスラエル軍機に対しては発射されないだろう。
 ※イスラエル国内にはおびただしい数の「元ロシア人」が暮らしているので、あらゆるレベルにおいて同じロシア語で機微な相談がすぐにできることは非常な強みである。
 S-300はペトリ相当。レーダーのレンジは300km。1個大隊にランチャーが4両。各ランチャーにはミサイルが4発。その水平射程は200km。
 水平射程40km内なら、落ちてくる短距離弾道弾にも対応できる。
 イランは1980年代の技術が使われている「S-300PT」という古いモデルをベラルーシから2008年に買った。4個大隊分。
 PTの最大射程は75kmにとどまる。
 IRGCは新型S-300をイランが受領する前に、国産の「バヴァー273」という長射程SAMを国産化したと大本営発表したものだが、そのような現物は存在しない。
 2011年には米国製ホークを独自に改良した「シャヒン」という低層防空ミサイルを国産化したとも発表している。
 また中共の「紅旗2」SAM、ホーク、およびスタンダードミサイルの要素を組み合わせたと思しい「サヤド2」という防空システムを2013年に製造中であるとも発表されている。
 このミサイルは二段式で、高度2万mまで届く。水平射程は80km。
 「ホルダド15」レーダーは覆域150kmだろう。
 「サヤド3」の水平射距離は75kmだろう。
 次。
 Kyle Mizokami 記者による2019-6-20記事「A Closer Look at the MQ-4 Triton, the Recon Drone Iran Just Shot Down」。
      ペンタゴンは20日、「MQ-4 トライトン」が撃墜されたと発表。
 セントコムの発表によると、撃墜された時刻はGMTで2019-6-19午後11時35分。
 トライトンは最大5万6000フィートまで行ける。
 エンジンはロールズロイスAE3007H。これはビジネスジェットによく使われている。それによる最大速度は368マイル/時。
 トライトンは、ロサンゼルスからワシントンDCまでの2668マイルを8時間かけて翔破し、DC上空で8時間のロイタリングをし、ふたたびロサンゼルスに8時間かけて戻ることができる。その間、無給油で。
 MQ-4に搭載されている「AN/ZPY-3」マルチファンクションアクティヴセンサー(MFAS)は、360度の海面を捜索する。
 ESMも搭載していて、低周波から高周波までキャッチし、その発信源を分析できる。
 また、自律的に他機との空中衝突を回避するソフトウェアも組み込まれている。
 過去、「RQ-4 グローバルホーク」を受け入れているUAEのアルダフラ基地を、「MQ-4 トライトン」も利用しているのだろう。
 1969-3に北鮮の戦闘機が米海軍のEC-121M偵察機を公海上で撃墜したことがある。31名が殉職したが、米政府は報復をしなかった。


ノルウェーの船の検分はどうなったんだ?

 DAN LAMOTHE 記者による2019-6-22記事「The US outguns Iran, but it faces painful realities in the event of a war」。
      トランプが攻撃開始を止めさせたのは、空母『エイブラハム・リンカン』の艦上機〔つまりはF/A-18 スーパーホーネット〕と、随伴の駆逐艦『ベインブリッジ』および巡洋艦『レイテ・ガルフ』搭載のトマホーク・ミサイルであったらしい。
 イランの一線防空ミサイルであるS-300は高度15マイルまで届く。
 ※第五艦隊からの攻撃を中止させたとイランに知らせることでトランプは何がしたいのか? それは「だったら早く米艦を攻撃せねば」とイラン革命防衛隊に思わせて、直接的な、米海軍艦艇に対する攻撃を、誘いかけることにある。相手に先に攻撃の手を出させて「アグレッサーはイランだ」と世界に分からせてから戦争を始めないと、パリ不戦条約ならびに国際聯盟規約以降の現代世界においては、大義名分がついてこない。ここが永久に理解できない頭脳の持主が、戦前の東條内閣および戦後の馬鹿保守どもなのである。北鮮政府やイラン政府すら、ここがしっかり理解できているというのに……。もちろんトランプ本人もイランとの戦争が必要であることは分かっている。なぜならイランが核武装すると、その日を以てイスラエルが存続不可能になるからだ。日本と違って国土が狭すぎ、1発の原爆の地表爆発でも、北部大都市域に人が住めなくなってしまう。イスラエル人は死後の世界は信じていないので、イランが行動を起こす前に、とっとと国民がイスラエル国外への逃散を始め、イスラエルという国家は自然消滅してしまうだろう。これを止める方法は、米国がイランと戦争状態を開始する他にないのだ。


日本がトライトンを導入する目は消えた。米軍すら泣き寝入りするしかないんだと実例が示されたので。

 DEB RIECHMANN AND LOLITA C. BALDOR 記者による2019-6-20記事「Trump called off strike on Iran minutes before launch, citing potential loss of life」。
     トランプは攻撃実行10分前に命令を撤回した。150人死ぬ可能性があると告げられたので。
 イラン革命防衛隊の司令官いわく。
 米海軍[sic.]のRQ-4A[sic.]グローバルホークのすぐ近くを、有人の米軍ISR機が随伴飛行していた。この機には35人くらい乗っていた。
 しかしイラン高射砲兵は意図的にこの有人機を狙わず、無人機を狙ったのであると。そして過去にセベラル回、この無人機の撃墜に関して米国に警告を与えていたと。
 米国の民航会社および、ブリティッシュエアウェイ、カンタス、ルフトハンザ、KLMは、ホルムズ海峡周辺海域上空を避けて飛ぶことを20日に決めている。
 トランプツイッター(21日)によるとトランプは3箇所の空爆を承認した。そのさいトランプの質問に対して、150人は死にます、と一人の将軍が答えていた。わたしは10分前に攻撃を止めたのである、と。
 止めた理由はそれが proportionate とはならないからだ。
  ※戦時国際法の「比例の原則」にもとるということ。こっちが殺されてないうちに相手を殺すのは、近代先進国としてはまずいのである。ところがこれをまったく尊重しない狂犬国家もある。民航機を何度も撃墜したり、漁船を銃撃したり体当たりで沈めてくるあの国やあの国だ。どちらも日本のすぐ近くにあるよね。トランプ氏はプロポーショナリティに詳しいとは思えないので、今回は下僚の誰かが諫言したのであると疑える。しかしそれが国務省内の誰かだとすれば、ポンペオ親分の覚えがめでたくなくなるだろう。
 トランプはNSCメンバーとだけでなく、直前まで議会領袖たちとも懇談を進めていた。
 ※トランプの中では、戦争準備は万端だった。米軍の無人機を撃墜された場合に即座に復仇破壊して金額的にプロポーショネイトな仕返しのできる「ほぼ無人のイラン施設」を前もってセレクトしおかなかった統合参謀本部員は、全員降格でいい。プロの仕事をしておらず、ボス=大統領に恥をかかせたわけだから。
 イランと米政府は、撃墜空域がイラン領海上であったか公海上であったかで発表が対立している。これは、今回どちらが「アグレッサー」なのかにかかわる重大焦点。
 ※はっきりしないことがまだ二、三ある。まずイランのレーダーとSAM陣地は「住民の楯」の中にあるのかどうか。次に、グロホは本当に公海上だけを飛んでいたのかどうか。撃墜される前にグローバルホークが一瞬でも領空侵犯をやらかしていた――ロシアの爆撃機が日本の領空を侵犯するときの常套手口のように――のだとすると、イラン側に一分の理があると世界は思うだろう。その上、コラテラルダメジで住民が死ぬと、それは宣伝され、イラン国民は宗教独裁政権の下で団結してしまう。他方で米軍の兵器庫の中には、そこに「住民の楯」があろうとなかろうと、コラテラルほぼゼロでSAMやレーダーを破壊する手段が複数ある。なぜそのオプションをトランプは選ばず、はたまた米軍は「死亡150人」のオプションしかトランプ部に呈示しなかったのか? 軍上層はサボタージュしているのではあるまいか?
 次。
 Patrick Tucker 記者による2019-6-20記事「How the Pentagon Nickel-and-Dimed Its Way Into Losing a Drone」。
    セントコムの公式発表。撃墜されたのは「BAMS-D RQ-4A Global Hawk」である。
 損害額は1億3000万ドルから2億2000万ドル。最近のF-35が9000万ドルで納品されつつあるので、戦闘機よりも高額だ。
 革命防衛隊発表によると、防空システムは「ホルダド3」だった。
 グローバルホークの常用高度まで届いたということは、SAMは「タラシュ 2B」であっただろう。
 S-300ではなかった。それは確か。
 今回、グローバルホークを撃墜するのにS-300級〔つまりはペトリ級〕のレーダーやミサイルなど必要ないことが、イランによって証明されてしまった。
 ここで当然、次の批判が起きる。
 2015年にノースロップグラマン社がX-47BというステルスジェットUAVを完成した。ところが米海軍上層が艦上攻撃機の無人化を嫌い、それを艦上給油機にすると言い出し、事実上、計画を斥けた。
 X-47Bをとっとと採用してさえいれば、防空システムを有するイラン相手に非ステルスの偵察機を飛ばす必要もないではないかと。
 ※RQ-170センチネルですら撃墜されているので、あまり期待もかけられない。だいいち洋上哨戒任務には低速&長時間滞空が要求されるので、アスペクト比がアルバトロス体型に近くないと目的合理的でない。その体型とステルス性とは相性が悪い。
 次。
 Brad Lendon 記者による2019-6-21記事「South China Sea: Satellite image shows Chinese fighter jets deployed to contested island」。
       中共はすくなくも4機の「J-10」戦闘機をパラセル諸島のウッディ島に置いている事実を西側の衛星に見せ付けている。配備は10日くらい前ではないかと。
 格納庫に入れないで、わざわざ滑走路脇に並べているのは、G-20の前に近隣諸国に示威する意図があるものと推定される。
 中期の狙いとしては、南シナ海にADIZを宣言する前の段階整備。
 ※リアルなアホウドリと同じくらいの寸法で長時間洋上哨戒のできる、消耗品的な運用が可能なUAVを開発する必要がある。スウォーム哨戒だ。トライトンを既に導入してしまった豪州は、頭を抱えているはずだから、いまこそ豪州企業と共同で新兵器を開発するチャンスではないのか?


管理人より ご協力して下さる方へ

お世話になっております。
兵頭ファンサイト半公式 管理人です。
兵頭先生に協力したいけど連絡先がわからない、という方がいらっしゃるかと思います。
下記アドレスまでご連絡下さい。
私に届くのですが、そのまま先生へ転送します。
よろしくお願いします。
28funsite@gmail.com


韓国式原発の燃料貯蔵プールは地上中層階にある

 CHAD GARLAND 記者による2019-6-20記事「Iran attack marks first known successful strike on high-flying Global Hawk drone」。
     RQ-4 グローバルホーク は、過去18年間、作戦飛行してきたが、初めて撃墜された。
 落とされたのは空軍のA型で、海上監視に任じていた。
 ※海軍が運用するC型「トライトン」ではないということ。
 グロホの価格は搭載機材にもよるが、最高で1億ドルする。
 空軍の人によると、高度は6万フィート。滞空は34時間。航続は1万5000マイル弱。これが最新の性能値。
 グロホの最初の墜落事故は2001にあり、いらい、すくなくも7機が事故で墜落している。
 2018-6にはスペイン沖で墜落し、それが8機目であるらしい。詳細は非公開。
 UAE内のグロホ基地は、アル・ダーフラである。すべて海洋監視特化タイプで、メリーランド州からやってくるらしい。
 今回の撃墜に使われたイラン製のSAMは、2014に公開されたもの。車両で路上を機動できる。対応できる高度は16マイルから19マイル。水平射距離は45マイル。同時に4目標まで対応できる。いずれもイラン国防省の報道部の公表値。
 イランは2011年に「RQ-170」〔カンダハルビーストと呼ばれたステルス形状のジェット無人機〕を撃墜・鹵獲した実績がある。飛ばしていたのはCIAだった。
 ※撃墜空域はフジャイラ軍港(第五艦隊分遣基地)の沖。タンカー攻撃もすべてそこに集中。イランはどうしても《米軍が先に手を出す》形で開戦にもちこみたいのだろう。そのための続けざまの挑発だ。
 次。
 Nasser Karimi & Jon Gambrell 記者による2019-6-20記事「IRGC Shoots Down U.S. Drone」。
      サウジアラビア20日発表。フーシは夜、サウジ領内の海水蒸留プラントに1発のロケット弾を発射したと。
 センチネルの撃墜は2011-12のこと。CIAはイランの核サイトを偵察させていた。基地はアフガン内にあった。
 ※貫通力実射実験のための「石鏃」を製作してくれる人を探しています。


都内か横浜近くの方で、ある実験企画のカメラ撮影を担当してくれる人を募集しています。まずご連絡ください。詳細をお話しします。

 JON GAMBRELL 記者による2019-6-19記事「US Navy expert: Tanker attack mine resembles Iranian mines」。
   第五艦隊の爆発物の専門家であるショーン・キド中佐。『国華カレジアス』から回収された破片や磁石をマスコミの前に示した。
 キドは強調した。『国華カレジアス』の損傷は、外部から飛来した物体によるものではない。
 『カレジアス』から回収された破片には、アルミニウムと複合金属が含まれている。
 米海軍の会見は、アブダビから210km北東にあるフジャイラ港で行なわれた。
 仕掛けられたリムペット機雷は、6個の永久磁石で船体にくっつけられる。そのうちの1個が現場に残留していた。イラン革命防衛隊が不発弾を回収するとき、その1個だけ残ってしまったのだ。
 この1個の磁石を船体から引き剥がすのに、米水兵はバールを使う必要があったという。
 円錐状の爆弾本体は、重さ90ポンド=42kg強。イラン革命防衛隊の息のかかった研究機関が製造しているものだという。
 このリムペット機雷をイランは、過去の軍事パレードで公開しているのである。一致は明らかだと木戸。
 爆発物をしかけたのが水線よりかなり上なのは、沈めようという意図がなかったからだ。
 検分したダメージは、飛来物によるものではない。リムペット機雷によるものである。
 指紋や手形も採取した。バイオメトリックから捜査が進むだろう。
 もう1隻のノルウェーの『フロント・アルテアー』も、『国華』と同じUAEの東海岸に現在繋留されているのに、そっちの調査がどうなっているのかについては、何の発表も無し。
 その前に5月12日に、4隻のタンカーが、やはりフジャイラの米軍軍港の近くで攻撃を受けている。これもイラン製のリムペットマインだったと分析されている。
 他方、イラク南部のバスラで19日、エクソンモービルの社員居住区にロケット弾(カチューシャ・タイプ)×1が着弾し、イラク人労務者3人が負傷。
 イラク国内には米兵5000人がいる。イラン系の民兵はそれに反発している。
 5月に米外交官のうち枢要でない人員はイラクから退避した。そのあとでバグダッドの米大使館の近くにミサイル1発が着弾している。
 次。
 Tom Rogan 記者による2019-6-18記事「New acting Defense Secretary Mark Esper is bad news for China」。
        マーク・エスパーは軍需産業界の業界人であった。そして対支の姿勢はマティスやシャナハンより強硬である。
 5月のアトランティック・カウンシルで吼えている。
 米陸軍が、中共近くの島々の上に、長射程の精密誘導兵器を保持することが緊要なのである、と。
 米陸軍の長距離ミサイルでシナ軍のSAMや艦艇を動けなくしてやる。それによって米陸軍は、米空軍と米海軍を助けることになる。
 次。
 Leo Shane III , Aaron Mehta , and Joe Gould 記者による記事「Five names to watch as Trump searches for his next defense secretary
      エスパーはレイセオン社のロビイストであった。
 いま56歳。湾岸戦争のとき、陸軍に所属していた。
 除隊後、ヘリテージ財団の幹部に就任していた時期もある。
 1998年成立のヴェイカンシー法、顕職空席規制というのがあって、ほんらい上院の承認が必要なポストが空席となっており、その職務を、代行の形で下位者が実質牛耳っているような状態を、大統領が無限に続けさせることはできない。もし大統領がエスパーを指名するなら、彼のDoD入りは政権発足時からで既に長いので、この規則により、上院の承認が得られるまで、ただちに現職を離れねばならない。


新マシン

 Julio Rosas 記者による2019-6-16記事「UK sending Royal Marines to protect ships after oil tanker attacks」。
        英国は、ペルシャ湾の英海軍艦艇と商船を警護するため、ロイヤルマリンズを同地へ派遣する。100人ほど。
 米民主党の連邦下院議員アダム・シフは、タンカー攻撃の背後にイランがいることは間違いない、と日曜日に力強く明言。
 次。
 Sydney J. Freedberg Jr. 記者による2019-6-17記事「Army Buys 9,000 Mini-Drones, Rethinks Ground Robots」。
     将来、米陸軍の小隊は、ブラックホーネットUAVを使う。
 米陸軍の中隊はすでにRQ-11レイヴンを使っている。
 米陸軍の大隊も、レイヴンを偵察に使っている。
 陸軍の旅団は、RQ-7シャドウを使ってきたが、発進にはカタパルト、回収には滑走路が必要で、こんなものはもう捨て時だ。2021にVTOL機で更新予定である。
 陸軍の師団はグレイイーグルを使っている。これも新型が企画されつつある。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-6-17記事。
    ロシアが2014にウクライナを侵略する前、米国は、世界の友邦地域軍にタダで配ってやるために、ロシア企業や中共企業から多数の旧ソ連規格の弾薬類を調達していた。
 ロシアが侵略国となった今、輸出商売の道は断たれたので、ロシアの弾薬メーカーは財務が苦しい。
 古いソ連時代のAK-47小銃用の「7.62×39」実包は、独特だった。まず、カートリッヂが真鍮ではない。鉄製だったのだ。また雷管も安物で、すぐに腐蝕する金属を使っていた。だから倉庫にこの弾薬を長期間保管することは危険だった。錆び始める前に撃って使ってしまわなくてはならない。
 まさに戦時量産向きの弾薬だったゆえ、平時にはとても困る。
 そこである時点から、真鍮製のAK用実包の需要が生じた。ロシアメーカーは設備投資してその需要に応えた。
 その最大の顧客が米政府だった。米政府が真鍮製のAK用実包をロシア企業から買い取り、海外の必要なユーザーに配ったのだ。
 ※まさか1980年代にアフガンゲリラに支給した弾薬はぜんぶソ連製だったとか? 共産主義者こそ、てめえの首を絞めるロープを綯って売ったのか……。
 冷戦後は、AK系弾薬の最大の供給者は中共企業になった。
 2015年から米国は、ロシアからはロシア規格弾薬は調達していない。
 2016年、米特殊作戦コマンドは国内の企業に対し、ロシア規格弾薬の製造を慫慂した。
 今日、ロシア企業でも中共企業でも北鮮企業でもない、旧ソ連規格弾薬の供給網を、世界規模で構築できているのは、オービタルATK社だ。ノースロップグラマン社系列。
 ソ連は他国のパテントを尊重しなかったけれども、AKに関して、いまさらのようにパテント権を主張し始めた。イズマッシュ社が権利を代表している。イスラエルに対してもガリルのライセンス料を支払えと言っているようだ。
 つまりそれだけカネに窮しているということ。
 ※そこでブーズアレンは、宇宙にレーザー砲を置けと提案し始めた。プーチンがしぶといのでもう一回SDIを仕掛けて打倒しちまえという肚だ。サイバーコマンドの長、ポール・ナカソネ大将は、大統領の許可をいちいち貰わずにロシアの電力インフラにマルウェアを送り込んで「報復」できるようになった。この後ろ盾はボルトン氏だ。南米の大停電にロシアが関与しているのかどうかが気になる。


防災ジャンプ

 Garrett Reim 記者による2019-6-4記事「Jordan military tries to sell off ‘knock-off’ Chinese drones」。
     ヨルダン王国の陸軍と空軍が、まとまった数の手持ちの航空機を売却したいとネットで表明。
 そのなかには、輸入してまだ間もない、中共CASC社製の CH-4B 無人機〔プレデターもどき〕が6機、含まれている。
 7月1日まで買い手の入札を募るという。
 同時に出品されたのは、エアバスC-295輸送機×2機、CN-235輸送機×2機、C-130B輸送機×1機、BAEシステムズのホークジェット練習機×12機、MD530軽ヘリコプター×6機。
 このヘリコプターは平均31年も飛んでいる古物のはずである。
 かたや無人機の方は2年前に買ったばかりで新しい。しかし2018-11にヨルダン空軍はメディアのインタビューに答え、その性能が不満であるので早くも解役を検討していると語っていた。
 米国がMTCR規制を厳密に適用するため、プレデターやリーパーは、すでにミサイル技術を有している国に対してしか輸出ができない。だから中東諸国はパチモンのシナ製にでも手を出すしかないのである。
 ※モチノキは東北中部より南でしか植栽できないと図鑑にはあるが、近所の川縁の陽当たりの良い場所にモチノキの雌木としか思えない古木が約7mの高さに聳えていて、毎年ヒヨドリの天国になっている。この時期に北海道で枝じゅうに赤実が観察されるような植物は天然では無いはずなので、たぶん内地から移入して植えられたものだろう。また、近辺に同類の樹木が見当たらぬことは、大きくなった成木は越冬できても、実生の幼苗は越冬できないことを示唆しているように思う。