つちのこ型のATGM。

 無誘導のロケットブースターの先端に、ドローン(クォッドコプターを碁石状の外皮で包摂したもの。すなわち下向きフェネストロン×4)をくっつけた物を、破壊目標に向けて投射する。
 敵AFVのはるか手前でロケットブースターは分離し落下する。
 その後、クォッドコプターがゆっくりと標的に迫る。機体中央に、自己鍛造弾頭が固定されている。機体は、敵AFVの至近距離から、装甲の弱点に向けて、自己鍛造弾を発射する。その方向は、真横向き、真下向き、真上向き、斜め向き……どのようにも自由自在である。
 敵戦車がもしもいきなり至近距離に出現した場合には、ロケットブースターを使わなければよい。したがって、このウェポンシステムは、ゼロ距離から使えるのである。
 オペレーターからみて、自爆が敵戦車の向こう側で起き、なおかつ、自己鍛造弾の軸線がオペレーターと重なっていなければ、ゼロ距離でも自傷被害は最小限に抑制されるだろう。
 ウェポンシステムの進化は一日も休んではくれない。円盤型ケーシングのクォッドコプターはすでに登場している。こうしたオフザシェルフの要素のみを組み合わせて、早く試製することが肝要だと愚考する。
 次。
 Patrick Tucker 記者による2019-3-31記事「The Newest AI-Enabled Weapon: ‘Deep-Faking’ Photos of the Earth」。
     衛星から地上を撮影した「写真」にもディープフェイク技術が応用されるのは時間の問題になってきた。2台の敵対的AIチェッカーを競わせれば、たちどころに、ホンモノと見間違える、つくりものの写真が完成してしまう(GAN技術)。それをネット上へ流し込んでやれば、あとは庶民が拡散してくれる。
 予想戦場に存在する河川に、じっさいには存在していない橋がかかっている合成衛星写真をネットに流布させておけば、米軍AIはそこからあてにできない地図を作成し、参謀は、不可能な作戦をプランニングしてしまうかもしれない。
 ※このフェイク写真技術は、防備のないところに防備や地形障害ができているようにみせかける目的でまず北鮮のようなチンピラ国家によって悪用されると考えるべきだろう。その次に、中東その他の市街地のある場所に、あたかもテロリストやドラッグギャングが出入りしているかのように思わせるフェイク「盗撮」写真が流布されるだろうと想像ができる。米軍がそのフェイク望遠写真を信じて「MQ-9 リーパー」から誘導爆弾を投下したりSWATを突入させれば、まったく無辜の住民が死傷したり誤認逮捕されて、米国の評判は当該地域においては激下がりになるという塩梅だ。
 GAN技術は2014年から宣伝されてきた。漸く近年、その洗練度が凄いことになってきた。
 2017年に中共の研究者が、GAN技術を使って、衛星写真の中から「道路」「橋」などをマシンに探し出させるAIを考案している。
 この技術はそっくり、同じようなことをAIにさせている敵軍のチームを騙してやるための偽写真づくりに、応用ができる。
 ※ひょっとするとグーグル社は、衛星写真があればそこからAIが道路を識別できるようになり、それでロボット自動車も走れるようになるゆえ、ゼンリンなどのMapはもう要らないと思っているのか?
 次。
 David Axe 記者による2019-3-31記事「Light Aircraft Carriers」。
    強襲揚陸艦『ワスプ』は従来、6機のF-35BもしくはAV-8Bしか搭載しなかったのだが、この3月に太平洋に配属されたさいには、10~11機のF-35を積んできた。これは強襲揚陸艦を「軽空母」にしようという実験なのである。海兵隊はそのような構想を数年来、主張してきた。
 海兵隊/海軍は8隻のワスプ級をもっている。いずれも、10機のMV-22、4機のAH-1Z、4機のUH-1Y、5機のCH-53E、6機のV/STOL戦闘機(以上は海兵隊員が操縦)+2機の海軍航空隊が運用する捜索救難ヘリMH-60を載せているのが常態だった。
 このヘリコプターの数を削減すれば、V/STOL戦闘機の数は増やせる。じっさい、2003年イラク侵攻作戦のときには、4隻の強襲揚陸艦に、それぞれ20機のハリヤーを積んでいったものだ。
 海兵隊は2025年までにF-35Bを185機揃えるつもりである。
 その時点で、ワスプ級が7隻と、最新鋭の『アメリカ』級強襲揚陸艦×3隻があるはず。
 ワスプ級にはF-35を16機~20機、積むことが可能。
 強襲揚陸艦は排水量4万トン強。それはニミッツ級(11隻あり)の半分弱である。
 ニミッツ級空母1隻から発進する戦闘攻撃機は40機前後だから、艦も攻撃機隊もちょうどその半分にあたる。
 海兵隊の見積もりでは、「軽空母」は1日に40ソーティを、作戦期間中、持続し得るであろう。
 しかし最新鋭の核空母『フォード』は160ソーティ/日を持続できるという。
 よって、正規空母を、その2倍数の軽空母で代替できると考えるのは妄想である。
 しかし、フォード級の建造費が130億ドルかかるのに比し、アメリカ級揚陸艦は30億ドル。
 だからRAND研究所などは2017年に、正規空母1隻を軽空母2隻で代替するべきだ、と提言している。
 もちろん、非核動力空母が核動力空母の代用になるわけはない。
 正規空母は、E-2DやECM専用機、そしてタンカーを発艦させられる。
 ※正規空母の固定翼機には着艦失敗のおそれが常にあるので、着艦復行用の余裕燃料を与えてやるため、帰投機にはかならず着艦前の空中給油が1回必要になる。太平洋では特にそうなるだろう。それに対してVTOL着艦はF-35Bではハンズフリーにまで進化しているそうだから、着艦やりなおしの必要がほとんどなくなったのだとすれば、帰投中の空中給油を不要にできるかもしれない。これはたいへんなアドバンテージになり得る。
 海兵隊は目下、V-22をタンカーにするキットを研究中。
 次。
 KIM GAMEL 記者による2019-4-1記事「Army allows soldiers to wear masks while in uniform when air quality is poor in S. Korea」。
    在韓米陸軍は、病気でもない一般兵が軍服着用時にマスクをかけることをこれまで禁じてきたが、大気汚染があまりにはなはだしいので、ついに許可に踏み切った。ちなみに在韓米空軍ではすでに、その日の空気汚染度に応じて許可するようになっている。
 米陸軍も、PM2.5のレベルが「オレンジ」(101~150)以上のときだけ許可する。
 韓国の大気は2015年から酷くなってきた。だいたい年間に100日はPM2.5に襲われる。
 白マスクはダメ。黒一色のマスクであること。N-95以上のフィルター効果があること(微粒子が95%阻止される)。
 マスクは目や耳まで覆うものであってはならない。
 世界35ヵ国の富裕国のうち、韓国の大気は最悪である。
 韓国大衆は汚染原因を中国に帰しているが、2016年から韓国の大気を研究しているNASAの男いわく。汚染の主因は韓国国内からの排出なのです。
 次。
 星条旗新聞 の 2019-3-31記事「Officials investigate cause of Marine helicopter crash in Arizona that killed two pilots」。
   ユマ演習場で海兵隊のAH-1Zが墜落し、乗っていた2人が死亡した。
 次。
 JAMES BOLINGER 記者による2019-4-1記事「April Fools’: Military trolls troops over allowing beards for airmen, pets in barracks」。
     アンダーセン基地の公式フェイスブックに4月1日、「空軍兵は今後、顎鬚を伸ばしてよい」という釣りネタが掲載され、何人かはひっかかった模様である。
 同じ日、「沖縄の海兵隊兵舎内で1人が1匹までペットを飼うことを許可する」と「防衛ビジュアル情報サービス配信」ウェブが公報。
 ただし条件があり、上司に申告して、「ペット・ケア&トレーニング 入門講習」を完全に修了しなければならない、と。
 ペットにはマイクロチップを埋め込まねばならず、戸外へ出すときは反射性たすきを装着せねばならない。オーナーはペットの写真付きIDも携帯すること。
 許可されるペットは、犬、猫、6インチ未満の大きさの魚、ハリネズミ、アゴヒゲトカゲ。齧歯類と兎は、いかなるものでも不許可。
 そして文末に「ハッピー・エイプリルフールズデイ!」とあった由。
 ちなみに昨年4-1の在日米軍は、次のようなネタを投下している。それは「マフィンズ」という名の軍用猫の写真付き特集記事で、米軍に10匹しかいない軍用猫の1匹として、訓練の最終段階にある、というもの。
 遡れる限りの記録によれば、1915年4月1日、フランス軍パイロットが、爆弾のようなものをドイツ軍野営地に投下して去ったという。しかし回収してみるとそれはサッカーボールで、表面にエイプリルフールと書いてあったそうな。


なごやかに花のかたみのみことのり 雪やはらぎて春は来るべし/二十八

 「令和」の新元号を聞きて詠める。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-3-31記事。
   てのひらドローンである「ブラックホーネットPRS」を米陸軍が600セット以上調達。
 PRSは、初期型のPD-100よりちょこっと大型だが、それでも重さが33グラムしかない。
 電池式で滞空25分。
 夜間偵察用ビデオの解像度は160×120ピクセルだが、何の問題もない。敵はこのドローンを見ることも聞くこともできない。
 時速27kmの風が吹いていても問題ない。


また積雪……。タイヤ交換は新元号になってからだな……。

 JULIA BERGMAN 記者による2019-3-30記事「Why are so many women leaving the Coast Guard?」。
    なぜコーストガードの女子将兵は男子将兵よりも早期離職率が高いのか。コーストガードはRAND研究所に委嘱して調査してもらい、その200頁リポートが出た。
 しかしある退職者いわく。辞めてない職員にアンケートを取ったって何が分かる? じっさいに辞めてしまった女子に訊かないとダメよ。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-3-30記事。
   中共の8×8装輪戦車である「ZBL 11」。
 寒冷地テストをしているのが目撃されている。
 105ミリ砲は、あきらかに自動装填装置付きだったという。
 砲塔上には新型の12.7ミリのリモコン銃塔が載っている。
 内部砲弾は30発。
 12.7ミリ用は500発。
 3人で外周を見張るため、車外モニター用のビデオカメラは多数、装置されている。


自宅帝國

  Andrew Krepinevich 記者による2019-3-27記事「‘How Is Yoda?’: An Appreciation Of Andy Marshall」。
     アンドリュー・マーシャルはペンタゴン周辺では「あなたが聞いたこともない、最も有名な人物」であった。
 二十代にしてエンリコ・フェルミとサイクロトロンを構築。経済学者のケネス・アローとはブリッジ・ゲームの相棒だった。
 1950年代のランド研究所にはハーマン・カーンやアルバート・ウォルステッターのような核戦略家がいた。それに伍していた。
 グラハム・アリソン著『意思決定の本質』は、マーシャルの仕事からヒントを得ている。
 1970年代に、ソ連経済とソ連軍の分析に関し、彼はCIAの見立てに真っ向から異を唱えた。結局、マーシャルが正しかった。ソ連の軍拡は、経済力の下支えを欠いた、持続不可能なものだった。米情報当局は、社会主義計画経済のポテンシャルを買いかぶりすぎていたのだ。
 マーシャルのおすすめ大戦略は、「我慢して時間を稼げ」だった。なぜなら時間が西側経済システムの味方であって、ソ連経済は時間とともに苦しくなる一方だと予測ができたから。
 マーシャルはいまから30年以上も前に、「次の米国のライバルは中共で、そうなるのに半世紀かからない」と予言した。
 マーシャルは核爆発実験にも立ち会ったことがあり、太陽の中にいるような熱をその閃光から感じて、まさに恐怖の兵器であることを理解した。
 この経験から、大国の指導者は全員、熱核兵器の大気圏内実験を見学すべきだと信じていた。そうすれば正気を保てる、と。
 欧州旅行したときにマーシャルはノルマンディの米軍墓地に詣でた〔ノルマンディ上陸作戦のときマーシャルは22歳くらいだったはず〕。同年代の戦死者たちは、彼の《身代わり》のようなものだった。
 マーシャルは1939年に高校を卒業した。9月1日にヒトラーのポーランド侵攻があり、数日後には英仏が宣戦して第二次世界大戦が始まった。彼の親世代はWWIを知っている。やがて全米の家族から戦死傷者が出るはずだと予見できた。そのためこの年9月の高校卒業式は、ムードが沈鬱だったという点で歴史的に稀有なものだった。参席した親たちの多くが、卒業する息子の姿を見て泣いていたという。
 こんな経験をしているマーシャルが、他の世代人よりも強く心に誓うところがあったであろうことは想像に難くない。
 次。
 KIM GAMEL 記者による2019-3-29記事「US military increases security at S. Korea bases due to potential threat」。
     キャンプ・ハンフリーズと米軍に反対する韓国人によるテロ攻撃が予想されるため、同基地では、警戒レベルを引き上げた。
 ※沖縄ではすでに反米軍ゲリラによる放火テロが起きている(3月24日。容疑者情報皆無)。いまほど暴徒予備軍密度が高くなっている沖縄県に、監視カメラもロクに設置されていないとは、あきれるばかりだ。杉並のコソ泥殺人犯だって、監視カメラ網の密度が他の文明国並に高ければ、即座に特定できたはずだろう。自動録画可能なテレビドアホンも、最近は電池式・無線式のものが登場していて、全戸に普及させることは容易なのに、みんな何をやっているのかと思う。


「ダウン入り腹巻き」はなぜ売られないのか?

 ユニクロさん?
 次。
 Linda Shiner記者による『Air & Space Magazine』誌の2019-4月号記事「F-35: What The Pilots Say」。
   航空ショーでF-22は下向きスパイラルをやってみせるが、テストパイロットのビリー・フリンは、スラスト・ヴェクタリングができないF-35でそれをやってみせた(於・パリ)。
 観衆からはヘリコプターの動きのように見えたことだろう。
 海兵隊中佐のデイヴィッド・バークは、テスパイではないが、職掌の関係で、空軍のF-22もF-35Aも操縦してきた。
 今の戦闘機にとって最も重要な性能は? 百人のパイロットに訊き給え。百人が答えるだろう。「シチュエーショナル・アウェアネス」〔自機の周辺で何が起きているか、味方と敵は何処なりや、その敵の正体は何ぞ、脅威はどこから迫っているか……が把握できること〕だ、と。
 「旋回半径です」などというパイロットはただの1人もいやしないと断言できるね。
 近傍の敵情をリアルタイムですばやく把握できるなら、キミは敵をあしらうための最善の決心が随意に、余裕綽綽でできるわけだ。
 この「近傍情況把握性能」にかんしてはF-35はF-22を凌ぐ。
 ステルス性は、F-35といえども、漫然と飛ぶだけだと実現できない。頭を使って飛ぶ必要があるのだ。その面倒な工夫は離陸の瞬間から始まる。
 だからF-35パイロットが考えなくてはならぬことは山ほどあり、F-18の比ではない。
 スーパーホーネットのパイロットは、離陸の瞬間から敵レーダーにまる見えだと思って問題ない。したがって、ことさら、ステルス飛行に心掛けても無意味なわけだ。
 F-35は、敵レーダーに対する飛び方を工夫すればするほど、ステルス性が向上する。だから、新米パイロットよりも、ベテランパイロットの方が、飛び方が巧妙になり、敵からはみつかりにくくなる。
 訓練飛行の度に、被探知の具合を確かめ、反省し、勉強し、工夫を積み重ねて行くことが求められるのだ。
 こんどはステンスラド海軍中尉の証言。
 ディスプレイがパイロットに呈示してくれる情報の多さがすばらしい。しかも、パイロットを混乱させないように、目下いちばん大事な情報は何かをAIが選んで、それを強調してくれている。
 わたしはフライトゲームも楽しむ者だが、既存のいかなるゲームソフト開発者も、このF-35のディスプレイの機能をほとんど想像し得てはいない。だからF-35を操縦して、まず一驚しないパイロットなど、この世にはいないだろうね。
 F-35の3バージョン全部を操縦した元テスパイであり、短距離発進→超音速までの加速→垂直着陸の流れを初めて試して成功させた、海兵隊のアーサー・トマセッティ大佐の証言。
 3バージョンともマッハ1.6まで出せるのだが、正規空母用のC型は翼面積が最大であるゆえ空気抵抗もあり、そこまで加速するのにはちょっと手間がかかる。
 しかし概してF-35はすんなりと音速に達するので、他の操作に集中していた場合には、パイロットは、超えた瞬間を気づかないかもしれない。そのくらい、なめらか。
 エドワーズ空軍基地を離陸して、干上がった広い湖の上で超音速を出せるか試す……。これって昔チャック・イエーガーが最初にやったことだから、開発中のF-35で初めてそれを再現する乗り手として若い私(当時少佐)が選ばれたことは光栄だと思っていますよ。
 感銘を受けるのはやはりフライバイワイヤ。パイロットの操縦意図を、最適の操縦信号に変換してくれるのですが、毎回、それが違うのです。つまりAI並に進歩している。
 かりにF-35の操縦用の舵のひとつが敵弾のため破壊されたとしましょう。従来の戦闘機ですと、飛行制御ソフトは、その破壊された舵が依然として正常そのものであるかのように、操舵信号を送り出すはずです。それしかできないんだ。ところがF-35のソフトは違う。舵がひとつ破壊されたことをすぐにコンピュータが知覚し、その破壊された舵の機能を他の舵等で補うにはどうしたらよいかを考えて、操縦信号をたちどころにアレンジしてくれるのです。
 初めてF-35Bに乗るパイロットたちをひとりずつ、私が教導していっしょに飛び、着陸します。
 飛行機をおりてきたパイロットは、バイザーを上げるや、例外なく、ニッコリとします。そこでわたしは尋ねる。「着陸を練習する必要があるかい?」 答えは必ず「その必要ないですね」。
 F-35Bは、新米パイロットでも楽々と垂直に着陸させられるという点で、じつに革命的な戦闘機です。
 これがハリアーでしたら、とてもこうはいかない。ホバリングするための、たいへんな練習時間が必要。特に横風のあるときには大苦労。
 F-35Bには、空中の任意の一点で静止させるコマンドがあって、そのモードになったときは、キャノピーの縁の線より高く、パイロットの両手を挙げて見せ、両手が操縦桿/スロットルから離れていることを地上員に対して示す。ハリアーとはもはや別次元の自動化です。
 空軍のF-35教官、ウェツバーガー少佐の証言。
 彼はストライクイーグルから機種転換した。
 まさにマニュアルシフト車からオートマ車に乗り換えたようなもんですよ。
 ちなみに父はF-4の操縦者でしたが、《ジェット機なんてみな同じだから、機種転換を恐れるでない》と常々申しておりましたっけな。
 F-15Eとの顕著な違いは、F-35Aは、大仰角(high-AOA)時にも機体制御が容易であることです。
 F-35には敵防空網の制圧が期待されています。そこで空軍の訓練は、SAMがやってくる方向に早く気づくこと、編隊僚機をいかに守ってやるか、離陸前に命じられていた地上の破壊目標〔たとえばレーダー車〕に対する兵装発射とECM、帰還途中での空戦に集中される。
 やることはストライクイーグルと違わないが、機材がとにかく別次元。
 訓練を重ねると、半年毎に知見のレベルが一段、上がり続ける。戦術もアップグレードし続ける。
 訓練生にはこう言い聞かせる。「ゆっくりやればスムースにできる。スムースこそが早道也。」
 最初はゆっくりでいいからいちばんプライオリティの高いことを確実にやり遂げろ。それを実行し終えてから、次のプライオリティへ行け。これが、編隊に貢献する道である。やっているうちに、どんどん早くできるようになるから。
 ロッキード社のチーフテストパイロットだったジョン・ビースリー。
 テスパイ出身でレーガン政権の国防次官になったジャック・クリングズから言われたものだ。「空戦とは常にステルス問題であった。WWIの戦闘機も太陽に隠れようとした。なぜなら、敵からは見られたくなかったからだ」。
 ※高緯度のドイツでは夏でも太陽高度が日本の冬よりも低い位置にある。したがって、太陽に隠れるために、敵編隊よりもやたらに高度を上げる必要はなかったわけだ。このことは日本で暮らしているとなかなか想像ができないのである。
 F-117は平面だけで構成する必要があった。なぜか? 1970年代の設計支援コンピュータのパワーが小さかったため、曲面構成にすると、反射の最小化・最適化の設計がとてもできなかった。計算を単純にする必要があったのだ。しかしF-22以降は、設計コンピュータのパワーが上がったので、曲面にしてステルス効果も追求できるようになった。
 航空ショーでロシアの戦闘機が曲芸もどきをやってくれる。あれは選ばれたパイロットだけができることだ。それに対してF-35は、新米パイロットが、大迎え角での曲技を楽々とこなせる。この大違い。
 英空軍のF-35B編隊長、アンディ・エジェルの証言。
 昨年エジェルは『クイーンエリザベス』の飛行甲板に、F-35で艦尾向きに着艦してみせた。
 機種転換する前はハリヤー乗りだった。アフガニスタンでの実戦経験もあり。
 なにしろ両手放しで着艦できるので、ハリアーとは比較になりませんや。
 乱暴な操縦も、機械の方で受け流してくれる。マッハ1.2での無理な蛇行飛行を試みても平気。
 急上昇に入りつつラダーも操作するというテストをしていたら、6G近くかかったために、ラダーの踏み変えができず、焦った。足がGで押し付けられてね。足が動かせなくなったら、そこで機動の意図を中断するしかない。
 F-35ぐらいコンピュータ化されていると、飛ばしていても面白くないのではないか、と人々は想像するだろう。逆だ。こんなに飛ばすのが面白い機体はないよ。
 とにかくエンジンパワーが段違い。高度5000フィートで角度70度のダイブからスティックを一杯に引き、50度の上昇姿勢に転じた。あっというまにそれができてしまう。われながらこんなに驚いたことはねえ。
 逆向き着艦は何のために試したかというと、空母の機関がやられて漂流しており、なおかつ、艦尾が風上であるという、悪い情況を想定したわけだ。
 ところがこれが、ガッカリするほど、簡単にできてしまった。
 米空軍の飛行中隊長、モリス中佐の証言。
 F-16からF-35にコンバートした。
 F-35は敵のSAMが飛んでくる方向をパイロットに教えてくれる。
 この飛行機ぜんたいが、巨大なアンテナと同じだ。
 レッドフラッグ演習では、味方が70機、敵が20機出てくる。F-35のディスプレイはそれを全部示してしまう。そこでパイロットの仕事は、とりあえず必要がない情報を表示させないようにする(デクラッター)こと。このスキルに習熟しなくてはならんのだ。


選挙期間中は画鋲による自転車のパンクが増えるという話。

 春のシーズン初めの整備をして3週間も経たないのに、不可思議な空気抜けを起こした子供の通塾用自転車を町の自転車屋さんに持ち込んだら、たちまち原因が判明したのである。
 ついでに尋ねてみた。「ノーパンクタイヤに交換したら、いくらかかりますかね?」
 すると、意外にも、専門ショップではノーパンクタイヤは扱わぬという話であった。
 そのデメリットとは?
 滑る。地面からの震動が緩和されず、思わぬ金属パーツが疲労破壊してしまう。タイヤそのものが永久変形を起こす。変形したものを修繕する方法がない。
 ――などなど、良いことは少ないのだそうだ。
 だから、ノーパンクタイヤ付きの自転車を売るのは、スーパーマーケット系だけなのだと。
 またしても、勉強になっちまったぜ……。
 次。
 Bill Gertz 記者による2019-3-27記事「China Building Long-Range Cruise Missile Launched From Ship Container」。
     中共の「YJ-18C」巡航ミサイルは、ロシア製の「Club-K」をほぼコピーしたもので、国際規格の商用コンテナの内部にシステム一式を収める。そのため、外観上、それが対艦/対地ミサイルだとは、誰にも分からない。普通の商用コンテナ船や貨客船が、対地/対艦攻撃の奇襲手段となり、また、商港のコンテナヤードが、ミサイル補給基地と化すのだ。
 類似の商用コンテナ偽装パッケージはイスラエルも開発中で、そっちのシステム名は「Lora」という。
 世界中の港湾を買い上げて支配しつつある中共は、軍港機能を隠し持たせた商港、軍艦機能を隠し持たせた商船によって、商船を特別に保護する国際法を悪用しつつ、世界を軍事支配することができるだろう。
 イランや北鮮へ、システムまるごと売り渡すのにも、コンテナ外見は好都合である。
 中共が最初に「Club-K」もどきのコンテナ内蔵多連装ミサイル・システムを兵器ショーで公開したのは2016年のことである。
 GPS誘導できる多連装地対地ロケット弾をコンテナにパッケージした「SR5」という商品も、中共メーカーは輸出に意欲的である。
 ※商船や商港を特別に保護する「1856パリ宣言」や、日露戦争直後に機雷運用に箍を嵌めた「ヘーグ コンヴェンション VIII」の精神から類推して、外見を意図的に商用コンテナに似せたミサイル発射装置などは、それじたい当然に違法とみなされるべきなのに、一体いままで国際法学者どもは何をやっておるのだ? ひょっとしてWWI中の「Qシップ」のように、敵をおびきよせた上で、突如軍艦旗を掲げて兵装を発射するとか??
 貨物専用のコンテナ(空調装置付き)は、米軍の注意を惹くことなく、平時に世界中に輸送(海送および陸送)され、米軍所在地の近くのコンテナヤードの一隅に長期間保管され、対米有事の暁に、そこから一斉にミサイルを発射して、全世界同時的に米軍基地を機能麻痺させることもできる。
 シアトル港に、EMP弾頭を装着したミサイル・コンテナを配しておき、奇襲的に近傍のバンゴール基地上空で炸裂させれば、在港のSSBNは大混乱だ。
 しかも、当座、誰の仕業かハッキリしないから、報復攻撃をかけることもできない。
 中共旗をかかげた米国港向けの商船については、積み荷検査の流儀を一新しなければならないだろう――と、退役海軍大佐のジム・ファネル。
 海外にある、中共商船が立ち寄る港に置かれた、中共の戦術ミサイル内蔵コンテナ。これらは当然に、米軍による攻撃の対象になる。
 昨年、中共国有の商船会社Coscoは、加州ロングビーチにもっていた埠頭を売却した。ライバルのコンテナ海運会社「オリエント・オヴァーシーズ・インターナショナル」株式会社を買収した際に。
 退役米海軍大佐クリス・カールソンによると、中共のミサイル・メーカーは、その推進装置に未解決の後進性を抱えているので、公称射程は信じない方がいい。ロシアのターボファンエンジンをリバースエンジニアリングしたYJ-18も同様で、1000マイルも飛ぶことはありえない、と。
 ※初歩的疑問。巡航ミサイル用の使い捨てエンジンはターボファンではなくターボジェットでは? それともロシア製だけ違うのか??
 YJ-18は、コンテナ1個の中に、4基、収納される。
 世界の貨物コンテナの共通寸法は、幅8フィート、高さ8.5フィート。長さには2種類あって、小さいのが20フィート。長いのが40フィート。
 パナマを通峡したシナのコンテナは、ジャマイカの港で小分けされる。
 中共土建企業は、バハマ、ジャマイカといった、米国の裏庭において、築港工事を請け負いつつある。
 中共企業はパナマで「Colonコンテナ港」も築造中。中共マネーを重視したパナマ政府は2017に台湾承認を取り消して中共を国家承認した。
 米国に入る貨物、米国から出る貨物の三分の二は、パナマ海峡を通っている。
 すでに中共海軍の基地となったパキスタンのグァダル港はアラビア海に面し、ジブチ港はまた紅海の入り口を扼している。
 中共はグァダル港とは別に、イランに近い「Jiwani」港も拡張工事中である。
 スリランカ、ギリシャ、セイシェル、そして豪州のダーウィンにも地歩は築かれている。
 ※先日の報道によればそれにイスラエルも。
 次。
 ストラテジーペイジの2019-3-27記事。
     中共駆逐艦がヘリ甲板から、VTOL型UAVを飛ばしているのが今年、撮影されている。
 「SD40」という機種。
 全重40kg。
 ※初耳なのでグーグルで検索したら仰天した。P-38戦闘機式の3胴レイアウトで、中央短胴の尾端にプッシャープロペラ×1を配し、左右の長細胴の前後・天地に計8個のミニ回転翼を取り付けている。つまり4軸8発マルチコプターとプッシャー型固定翼機のハイブリッド。思いっきり力技だ。
 回転翼は電池式モーターで、発艦と着艦のときだけ回す。プッシャープロペラは、ガソリンエンジン駆動である。
 ※この着眼には敬服する。巡航中はバッテリーを浪費しない。そして内燃機関がもし空中で停止してしまっても、着艦用のバッテリー残量があれば、機体をなんとか回収することができるのだ。
 ウイングスパンは3.7mある。滞空6時間可能。ペイロード6kg。
 常用高度は1000mだが、無理すれば5000mまで上昇できる。
 次。
 SCOTT WYLAND 記者による2019-3-27記事「Faulty nuclear propulsion and elevators further delay USS Ford’s delivery」。
    新核空母『フォード』は10月までは艦隊に編入され得ない。
 『フォード』の納入価格は130億ドルになった。ニミッツ級最終艦の倍以上である。
 フォードはすでに洋上で747回、発艦させている。うち10回は致命的な失敗であった。
 着艦は763回。うち10回は失敗だった。
 ※時代遅れの空母などに漫然と投資してしまったことを悔いるときが、海自にはきっと来るだろう。その前にやるべきことが山ほどあるはずなのに……。しかしこれがもし、後戻りのきかないノッチ刻みのランニングコストを膨脹させて「GDP2%」を強制実現してしまう財政テクニックなのだとしたら、それはそれですごい。


オリンピックまでに「行水舟」を復活させるとよい。

 西鶴の『日本永代蔵』を読んでいて、こんなものがあったのかと感心した。この発想をほんのすこしだけ拡大して、遊覧船と温泉施設を結合させれば可いのだ。その発着場は隅田川もしくは江戸川でいいだろう。
 次。
 Yossi Melman 記者による2019-3-24記事「China Is Spying On Israel to Steal U.S. Secrets」。
      今月、イスラエルの国家安全保障会議NSCが、内閣に対し、外国からの投資はもっと受け入れろと勧説した。これは具体的には中共資本のことを指す。
 イスラエルの調べによれば、中共から中東への投資額は、2012年から2017年の間に、1700パーセントも増加している。
 中共はいまや7000億ドルも中東に投資しているのだ。
 うち半分はエネルギー分野。
 1500億ドルは研究開発分野。
 1130億ドルは工業分野。
 1020億ドルは輸送交通分野。
 680億ドルは軍事分野。
 40億ドルは金融。
 1億5500万ドルが人道支援。
 イスラエルと中共の間の貿易額は、1992年には5000万ドルだったが、2017年には131億ドルになった。その金額は、EUとの貿易額、米国との貿易額に次いで、第三位なのである。
 2018年上期、中共はイスラエルから27億7000万ドルの商品を買った。これは前年同期と比べて47%増。
 NSCはこうした経済関係は増強させるべしとする一方で、外国資本にイスラエルが支配されないように気をつけろとも警告する。
 イスラエルの国営および民営軍需企業に食い込むことにより、シナ人スパイやロシア人スパイは、間接的に米国の秘密を抜き取ることができる。
 中共が狙いを定めているのは、IAI社と、ラファエル社(このふたつが規模的にイスラエルを代表。どちらも国営)、および、エルビットシステムズ社(航空機アビオニクスに強い)だ。
 上記3社ともに、米国支店をもっている。米国内の工場で製造しないと、米軍には売りにくいからだ。
 イスラエル企業は、レイセオンやボーイング、ロックマートと、さまざまな共同開発をすすめている。たとえばABMのアロー・ミサイル。F-16やF-35。
 そこで中共はイスラエル企業にハッキングすることで、米国防企業へのバックドアを見つけようとしている。
 中共がテルアヴィヴ市内に大使館をもっているのは当然だが、さいきん中共は同市北郊の高級住宅街で、かなりの広さの土地を買おうと動いている。
 そこは、モサド司令部に非常に近い。
 イスラエルの公安であるシンベトは、イスラエル国内でのシナ人の経済行動を監視しているが、軍民共用商品のビジネスであれば、その監視は行き届き難い。
 そもそもシナ人に関しては「民間人」はありえない。中共党の方針に背けば、シナ人は厳しく罰せられる運命なのだ。
 中共からのイスラエル企業への投資は15年以上前から。
 すでに、国内最大の日用品メーカーである「Tnuva」社は、シナ資本により買い取られている。
 さらに道路建設、テルアビブ市内の軽便鉄道、ハイファのカーメル・トンネルの工事などの入札も、シナ土建がどんどん勝ち取っている。
 もっか、保険会社、銀行の買い取りを欲しており、ネゲヴ砂漠の農地化事業や、テルアビブ~エイラート間の鉄道建設工事にも手を挙げている。
 イスラエル最大の貿易港であるハイファとアシュドドの拡張工事も、シナ企業が請け負い中。
 しかもそれら2港を25年間にわたって運営する権利までも獲得している。
 どちらの港にもイスラエル海軍が所在し、潜水艦のブンカーもあるのだが。
 ハイファには米第6艦隊が寄港するから、米政府はこの中共によるイスラエル港湾支配に特別な関心を示してきた。
 ジョン・ボルトンとトランプは既にイスラエル政府に対し、港から中共を追い出せと注文をつけている。イスラエルは困ったことになった。契約は正式に結ばれてしまっているのだ。
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 James Stavridis 記者による2019-3-23記事「Brazil Isn’t Ready for Trump’s Invitation to NATO」。
      MNNA=主要な、非NATOの同盟国。これにはイスラエル、エジプト、豪州、日本など15ヵ国以上が含まれる。
  ※なぜ「以上」という曖昧な表現をするのか、ずっと気になっていたが、思うに、台湾の位置づけが微妙なのだろう。
 スタヴリディス大将はサザン・コマンドの司令官も3年やったから、知っているが、ブラジルの将官たちは、米国との協働拡張には賛成している。
 しかしスタブリジスがNATO司令官だったとき、アフガニスタンへ部隊派遣してくれる気はないかとブラジル軍の高級将官たちにアプローチしたときには、彼らは大声でそれを拒絶したものだ。コロンビアやエルサルバドルなどのラ米諸国は派遣してくれたのに。
 北大西洋の域外国にNATOの正式メンバーとなる道を認めるなら、ブラジルより前に、アンザックにその資格があるはずである。
 またブラジルの国防支出はGDPの1.3%なので、トランプがNATO諸国につきつけている2%基準を満たせない。
 ちなみにコロンビアは3.4%も軍事費に回しており、これは米国以上の《優等生》じゃないか。
 よくいわれる。「ブラジルは未来の国である。……いつまでも」。
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 ストラテジーペイジの2019-3-26記事。
   台湾の新対艦ミサイル「雄風2B」は射程が250kmに延びた。旧「2」型は160km。
 「2」型の弾頭重量は180kg。
 「雄風2」は命中直前に加速し、終速は毎秒250mに達する。
 ※この射程は台湾にとってはとても合理的だろう。台湾海峡の幅よりわずかばかり広いので、もしも海峡の海上で敵艦船目標を失探した場合、そのままシナ本土まで飛び続け、沿岸の強レーダー反射目標にテキトーに突っ込むことになるからだ。無駄にならない。
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 Defense Industry Daily staff 記者による2019-3-22記事「Boeing gets $4B for Super Hornets | Qatar receives first Apache」。
   ボーイング社は、AH-64Eアパッチ ガーディアンの1機をカタールに渡す。場所はアリゾナの工場にて。カタールからは24機の注文を受けている。FMSである。
 ジェーンの報道によれば日本はASM-3の射程を延ばす。
 ところが発射母機となるF-2のミッションコンピュータの完成が遅れており、いまだにインテグレートはできていない。
 2018-10報道によると、日本はロックマート、ボーイング、BAEからの提案を蹴り、F-2の後継戦闘機を純国産する方針を選んだ。
 ※さる出版社の人から聞いたが韓国人の書いた原稿は典拠資料の扱いがデタラメでとてもそのまま和訳して書籍にはできぬそうである。おそらく諸外国の出版人たちにもそうした評判はとっくに共有されているのではないか。
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 Will Knight 記者による2019-3-25記事「How malevolent machine learning could derail AI」。
       DARPAは、敵による欺騙韜晦にはだまされにくいAIを研究する。略してGARDと称する。敵対的マシンラーニング技法が使われるであろう。


対戦車ヘリの時代はもうすぐ終わる。

 DJI社のMAVICという商品の「アクティヴ・トラック」機能のデモンストレーション動画に感銘を受ける。
 撮影対象人物を機上搭載AIが識別すると、あとは、ジンバル付きのカメラで執拗にフレーム中央に照準し続ける(もともとDJIは映画撮影用のジンバル付きカメラが得意技術分野だった)。
 撮像対象人物の歩いている後上方から一定距離を保って追躡するモードの他、対象人物の動線に並走飛翔しつつカメラだけ90度横向きに照準し続けるモードも選べる。
 もちろんその間に機体が維持すべき高度は任意に指定できる。
 誰しもこのデモ画面を見ただけで、「このカメラと同軸にレーザー・デジグネーターをジンバル吊下したらどうなる?」と考える。とっくに各国軍ではその実験をしていること、必定也。
 機体は大掛かり(高機動車の後部荷台に1機だけ収容しておけるサイズ)になるが、交戦法規上のハードルが低いことから、近い将来、まず最初に、「対戦車ヘリ」の機能がドローンによって代行されるだろう。
 機載のジンバルカメラの代わりに、重力落下式の小型誘導爆弾の先端シーカー(画像ロックオン用)のカメラが、オペレーターの操縦モニターと無線結合されるようにする。往路の操縦と捜索はそのカメラを使って行なう。
 敵の所在を察した後、高機動車から垂直離陸させ、敵戦車(または舟艇)の頭上へ近寄せる。
 有人ヘリだと敵軍後方にある防空レーダーによって探知され、SAMの脅威にさらされるからとても敵戦車の真上までは飛んで行けないが、このサイズのドローンなら通常の捜索レーダーにひっかからないし、敵のSAM1発よりも価格が安い。もちろん囮用の小型ドローンも乱舞させて敵空域は撹乱すべきである。
 標的を選び、画像によるロックオンができたら、重力落下式の誘導爆弾をリリース。
 弾頭は対装甲と対人を兼用する多目的弾頭。
 重力落下式ゆえ、ATMに必要なロケットモーターが不用なので、全重を抑えられる割には強力な弾頭とすることができる。
 誘導爆弾の動翼の面積を大きくしておけば、ある程度の滑空もできるので、かならずしも敵戦車の真上からでなくてもよい。
 命中したかどうかは、爆弾から送信された最後の動画により、居ながらにして「推認」できる。
 機体にはINS/GPSを用いたRTH(リターンtoホーム)機能があるから、兵装リリース後は、カメラ無しの盲目飛行で、正確に出発点近傍まで戻ってくれる。
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 Brandon Morgan 記者による2019-3-22記事「Up-Gunning the Queen of Battle: How the Army Can Fix the Infantry’s Anti-Armor Problem」。
       米陸軍のドクトリンが新しくなり、従来の「歩兵重火器中隊」は「対戦車中隊」に変わる。
 これは欧州でのロシア軍との対決を意識している。
 同中隊は、敵AFVの撃退が最重要の主任務となり、ライフル中隊への支援はその次だと定義される。
 一部のストライカーAPCに25ミリ~40ミリの自動火器砲塔を設けるようにするメリットは、こっちが移動中にも即座に交戦できること。TOWでは移動中の照準が難しく、また初弾発射までにもずいぶん時間がかかってしまう。
 朝鮮戦争中、ボフォース40ミリ自動砲×2を搭載したM19自走対空戦車が、中共軍歩兵に対する対地射撃ですこぶる有効であった。
 ※露軍をして、APSやERAへ過重に投資することを強いて、軍事財政を苦しくさせ、あるいは地上侵攻を躊躇させるような「兵器開発アナウンス」が西側には必要である。これにも《小型ドローン転用の歩兵中隊用の超低速対戦車ミサイル》が役に立つ。トップアタックではなく、その逆を考えることだ。地面スレスレの斜め下で自爆させ、自己鍛造ジェットにより敵戦車の下面を攻撃させる。マルチコプター型ドローンは、瞬間的に機体全体を任意方位へ30度ぐらい傾斜させることが容易なので、成形炸薬のコーンは「真上」へ向けて機体中央に固定しておけばいい(ジンバル安定の必要はない)。このラインナップがあることで、露軍戦車は、底面や車体最下部の装甲についても悩まなければならなくなる。たとえば最新の「T-14」はトップアタック対策が万全だが、乗員が車体内だけに配置されている以上、「斜め下側」対策をおろそかにすることはできない。余裕のないエンジン出力に、さらに増加装甲の負荷をかけてやることができるわけだ。このように、敵の創案を実戦の前に「無効化」してやる「対抗創案のアナウンス」が、露軍やシナ軍の侵略抑止のためには、すこぶる重要である。敵軍上下の士気を挫き、「妄想」を悟らせて正気に返してやることができるからだ。このような「心理戦」の有益性に気づく者が西側要路に少ないのが情けない。
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 Morris Jones 記者による2019-3-25記事「The ‘Satellite Clause’ for North Korea’s Rockets」。
      4月15日は金日成の誕生日なので、その前に習近平が訪朝するのではないかとか、「ナンチャッテ衛星」がまたブチ上げられるのではないかと予想されている。
 ※歴代日本内閣にはずばぬけて巧妙なところがある。《絶対に北鮮にはカネなどくれてやらない》ための予防線を張れていることだ。トランプ氏が三代目とどんなディールをしようが、この予防線が張られているかぎりは、日本は北鮮などのためにビタ銭一文出す必要はないのである。じつは対韓国についても予防線はかつて張られていた。それが《裏吉田ドクトリン》だったのだが(詳しくは『日本国憲法廃棄論』を見よ)、今はなくなり、その代わりの新予防線が創られようとしているところだ。
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 ストラテジーペイジの2019-3-25記事。
   「EA-18G グラウラー」をフィンランドが輸入することが決まった。
 同機種をすでに豪州軍が買っている(2015年から受領開始。1機事故喪失し、現有11機)。フィンランドはそれに続く外国バイヤー第2号。
 ※もし日本政府が、「対支渡洋爆撃を自衛隊もやるんだぞ」とアメリカ様から命令されているとすれば、空自もこれを買うことになるだろう。そしてこの飛行機は、悪い買い物ではない。オスプレイやアパッチのような筋悪商品と比べれば、何十倍も、国民の税金が有意義に使われることになるだろう。


好天。ただし積雪あり。

 Avery Thompson 記者による2019-3-21記事「One of the Worst Earthquakes in Korea’s History Was Caused by Humans」。
    韓国の浦項にある地熱発電所の試験プラントが、フラッキング技法を使ったために地殻変動を誘発し、2017年の地震(マグニチュード5.5)を惹き起こしたという。
 フラッキングによる地熱発電の試みが地震を起こすことは最初にスイスで知られた。2006にマグニチュード3.4の地震を誘発したので。
 地震の後、浦項の実験発電所は永久閉鎖された。
 しかるに米国では「グリーンニューディール」とやらでこのタイプの地熱発電所が多数計画されている。
 推進派によれば、10億ドルの建設費を投ずるだけで、数十年間にわたり、100ギガワット以上の給電が可能になるのだとする。
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 Joe Pappalardo 記者による2019-3-20記事「Can the U.S. Save Alcantara, Brazil’s Cursed Spaceport?」。
      ブラジル新大統領は、「アウカンタラ」宇宙ロケット発射基地を米国資本に使わせてやるという協定を結んだ。
 米企業は、ほぼ赤道直下〔南緯2度24分。ちなみに欧州ロケットのギアナ発射場は北緯5度3分〕の発射場を使うことによって、〔フロリダから打ち上げるのと比較して〕ロケット燃料が30%もの節約になる。
 すなわちミニサテライトの打ち上げ請負い会社は、顧客にそれだけ安い料金を提示できる。
 ブラジルは2003-8-22にここから国産のVLSを打ち上げようとしたが、固体燃料が地上で自爆し、巨大火球が発生。作業員21人の死骸はその「歯」によって個人特定するしかなかった。
 ※アリアンロケットがいつのまにかソユーズに駆逐されていたのだとは知らなかったよ。このシビアなコスト競争をどうやって日本企業はしのぐ気なんだ?


山陰海岸に米海軍(コーストガード)用の泊地が必要だ。

 佐世保は対支用としては好位置であるが、日本海海上における北鮮・南鮮の策動を監視する拠点としては間合いが遠すぎる。
 また第七艦隊の水上艦艇が横須賀にあつめられすぎているのも、北鮮・南鮮を増長させる原因となっている。日本海から離隔されすぎていて、平時の睨みがきかないのだ。
 山陰の港に米海軍/米コーストガード用の泊地がひとつ用意されていれば、米駆逐艦はいちいち横須賀から出張してくる手間が省けるので、配乗されている水兵たちの肉体的な負担も軽くしてやれる。
 また、韓国内の反米工作も冷水をぶっかけられるだろう。
 この基地はポーランド方式で建設するとよい。
 全額日本政府が負担して「誘致」するのだ。
 これで在韓の米陸軍を減らしたいトランプ大統領にもひとつの「言い訳」が与えられる。
 日本の山陰地方に米海軍の新拠点ができたから、在韓米陸軍は削減できる――と。
 トランプ政権に2期目があるかないかとは関係なく、この施策はわが国の国益に適う。なぜなら韓国の「離米」は、止まりはしないからだ。
 次。
 2019-3-22記事「China to Use First Atomic Icebreaker as Test for Future Nuclear Aircraft Carriers」。
   中共の総合原子力企業CGN社が、3万トン級の核動力砕氷船の建造を公募した。
 国営核会社CNNCはすでに2018-6に、舶用の小型原子炉の入札を募っている。
 計画では25メガワットの加圧水型炉×2基で動かす。
 砕氷船の全長は152m、幅30m、吃水18m、排水量3万69トン。
 これはロシアが現用中の4隻の核砕氷船よりは大きいが、2023年就役予定の33450トン型よりは小さい。
 砕氷船が成功したら、次は核空母だろう。
 ※いま1隻ある中共の2万トン級の砕氷船は、ディーゼル主機からギアで動力をリレーしてスクリュープロペラを回す方式。この古めかしい流儀は今日の砕氷船向きとはいえない。内燃機関もしくは原子力ボイラーで発電し、その電力で電気モーターを回す方式としないとダメなのだ。それができないために空母の『遼寧』も必要なスピードを出せず、大失敗してしまったわけである。中共の技術的なアキレスの踵は依然として各種内燃エンジンにある。
 ※余談だが、国産のディーゼル電池(ただしリチウム)式潜水艦にはまだ改善の余地がある。非常時にはリチウム電池ケーシングをまるごと、外殻から海中へ分離・投棄できるレイアウトにしておくべきだ。それによって火災被害を局限し、且つ、非常時の緊急浮力が得られるように。また内殻内にはリチウム式ではない緊急バックアップ用の安全な電池槽も別に備えておくべきである。それは、一次電池だってよいはずだ。