お待たせしました。本日、書店に『米中「AI大戦」』が搬入されます。

 Minnie Chan 記者による2018-12-17記事「Deputy head of Chinese shipbuilder sacked and expelled from Communist Party」。
       国営海軍工廠CSICの経営大幹部が、中共党中央規律審査委員会によって、腐敗の咎で、中共党員を除名された。
 真の嫌疑は、空母『遼寧』の秘密をバラしたことにあるという。
 ※おそらく、じつのところは『遼寧』がさんざんな失敗作だったので、その責任をみせしめに誰かに取らせることによって、次の国産空母『001A』が続けて失敗におわることは許さないからな、との精神的発破をかけるのが目的だろう。
 大連港にあるCSICは潜水艦や空母を建造している造船所である。もちろん国有。『001A』も進水させた。
 『001A』は公試運転中である。国家指導部としては2019の建国70周年に就役させたいところであろう。それが失敗したらどうなるか……。
 ※エンジンが国産できないのにどうするんですかという話。あとから良いエンジンが手に入っても、空母の最下層デッキが主機室なので、上層甲板をぜんぶはがさねばならず、改装は数年がかりだ。つまり『001A』も失敗は約束されている。ところでそもそも中共はどうして空母を欲しがるようになったかといえば、パラセルでベトナム軍と実戦になったとき、島嶼上空でCASできないことに気付いたからだった。陸上機で南シナ海にCASを提供できないのは、ソ連製エンジンしか入手できないから。最初から最後までエンジンが祟っている。
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 Charlotte Jee 記者による2018-12-17記事「A food delivery robot burst into flames」。
    バークレー大学構内では100機以上のロボットが無人デリバリーに走り回っているが、そのうちの1機が突如、炎上。
 設計者いわく。だれかが安物の電池を装填したのだ。その電池が火を吹いた。
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 ストラテジーペイジの2018-12-18記事。
    Auto-GCASとは、自動墜落回避システムのこと。F-35用が7年間開発されていたが、11月に実装された。
 単座のハイG戦闘機では、うっかりして腹式呼吸を忘れて機動したとたんに操縦士が失神することはよくある。その結果、もし機体が地面に向かって無為に突っ込んでいくようだとコンピュータに判断できたときは、コンピュータが操縦桿を奪い、水平飛行に復帰させる。これが Auto-GCAS だ。
 このシステムは2014年時点ではすでに2機種のハイG戦闘機に実装されている。すなわちF-22と、F-16の最新ロット(600機)である。
 確認されているだけでも過去4年間に、Auto GCAS と PARS(雲中パニックボタン。いずれが天地なのか分からなくなったとパイロットが恐怖を覚えたときに押せば、コンピュータが水平飛行に復帰させてくれる。F-2にもついている)のおかげで7人のF-16乗りが、命が助かった。うち1件は、戦地上空であった。機体価格とすれば総額で3億5000万ドルか。
 Auto GCAS は現在、スーパーホーネットの最新モデルにも後付けされつつある。
 民航機の墜落警報システムは、「プル・アップ!」とかのボイスで警告するだけ。しかしベテラン民航機長や軍用機パイロットは、こうしたボイス警告を無視したがる。
 そこで、強制自動操作にする必要があった。


人手不足はおそろしい。

 10月に台風が襲来した浜松市では、吹き飛んだ屋根瓦の修理工事が年内にできないお宅がまだたくさんあるのだという。
 また過日の札幌ガス爆発事故では、巻き添え被害をくらって割れたマンションの窓サッシを全取替えする必要があるのに、年内には工事は無理だという。この人たちは外窓に仮に戸板を打ちつけて風雪を塞ぎ、避難所で越年するしかないという。
 人手不足が災害を長引かせる――。こんな時代がやって来た。
 「臨時修繕業」という新商売が流行るのかもしれない。完全な復旧工事ではなくて、当座を凌ぐだけの緊急の補修だけ、とりあえず即日にしてくれる、というね。
 また先進国軍隊では、「修理の早い装備」が、設計段階から、あるいは調達計画段階から、優先的に考慮されないといけないだろう。
 スーパーツカノはAHよりも簡単に修理できる。稼働率は後進国においても8割弱をキープ。
 これなら津波も火山噴火も怖くはない。
 人手不足時代には、新たに確保できる人材の「質と量」とが両立しない。それはどんな優良組織だろうと、同様に起きてしまう現象なのだ。
 陸自の幹部も曹士も、「優秀者」の比率は低下するだろう。では、その数にかぎりがある稀少な優秀者を、隊内のどこへ集中的に充当してやるのが、日本国として一番有利で合理的なのか。
 石垣島から尖閣まで届きもせぬ砲兵隊か? 九州から石垣島へ自力飛行展開すらできないAH隊か? フィリピン軍やインドネシア軍と共同作戦できないAHか? 友軍マリンコにCASを提供できないAHか? 洋上に長時間滞空して無人機スウォームを固定MGでバタバタと撃墜することの無理なAHか?
 「万能固定翼軽攻撃機」部隊に回すのが、最適解じゃないのか?
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 ストラテジーペイジの2018-12-17記事。
  中共では大学新卒者世代が真のコミュニズムを復興させようとしている。
 中共では労組が禁止されてきた。それを当局に逆らって創ろうじゃないかというのだ。
 あまりにもシナ人の労働者たちは搾取されていて悲惨であるので。
 毛沢東は労組の英雄ではなかった。が、学生たちは、毛沢東主義を標榜することで、当局の弾圧を撥ね返そうと考えている。
 ついに共産主義者が育ってしまったのだ。現代資本主義中国の中に。
 1989-6-4の天安門では公式には学生300人ほどが殺されたことになっているが、一時、中共の赤十字が2700人死んでいると速報。それはすぐに撤回させられた。
 事件のあいだ、天安門広場からは救急車は遠ざけられていた。無理に進入した救急隊員のうち、すばやく離脱できなかった者は、学生と一緒に殺された。
 英国と米国は、天安門では民衆1万人以上が殺され、4万人が負傷したと見積もっている。
 これは2014年に英国の外交官が中共の高官から聞き出した数値で、中共指導部の間では、天安門では最低1万人殺したというのが常識になっていたのであった。
 しかしいったいどうやってそれだけの死体を隠せたのだろうか?
 天安門広場の地下には、容量十分な下水設備がある。ところどころの石畳をめくると、下水に汚物を落とし込むことができる。1万人の死体は、焼かれ、小さく分割された上で、投下口から下水に流されたのである。
 広場を包囲した軍警は、広場結界内の全員を殺すように命令されていた。最初の一斉銃撃の後、デモを解散して帰宅すれば逮捕はしないと騙し、群集をおとなしくさせた上で、適宜に殺し易いところへ誘導して始末した。
 北京には1990年まで戒厳令が敷かれ、その間に死体は処理され、デモに参加しながら現場から逃れた学生もことごとく探し出されて逮捕された。
  ※焚書坑儒の「坑」は「あなうめ」と訓ずる。民族の伝統は、あまり変わらないのだ。それと、シナ人は来世を信じない。だから「1万人の幽霊が出る」などと天安門で騒ぐインスタ写真も流行らない。
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 Jordyn Dahl 記者による2018-12-17記事「Why China’s electric-car industry is leaving Detroit, Japan, and Germany in the dust」。
   内燃機関自動車のナンバープレートは上海ではオークション制となっており、1枚1万4000ドル。中国産の自動車本体価格よりもかかる。
 電気自動車ならば、ナンバープレート代金は、かからない。
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 Ramesh Thakur 記者による2018-12-17記事「Towards a Multilateral Arrangement for Controlling Nuclear Weapons」。
      INFから脱退することにより、米国は、グァム島、日本、韓国、北オーストラリアに、中共本土に届く地上発射型巡航ミサイルを置くことができる。
  ※北豪からは届かない。また、スピードが遅い巡航ミサイルにする合理性もない。中共工作班に抱きこまれた世論扇動記事のサンプルか?


なぜ潔く「男子医大」を標榜せぬのか。コソコソやるから叩かれる。

 「女子医大」と「男子医大」を隣接地に建てて、一部教員にかけもちさせれば、経営だってうまくいくだろ。頭使えや。
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 Kyle Mizokami 記者による2018-12-11記事「Oops! Mapping Service Blurs Out Military Bases, But Accidentally Locates Secret Ones」。
      ロシアのオンライン地図サービスの「Yandex Maps」が、イスラエルとトルコの軍事基地をぜんぶ(300箇所以上)教えてくれている。グーグルMapだとそれらは隠されるのだが……。
 イスラエルの核施設も丸見えだそうである。
 米国内のマップサービス会社は、連邦法により、イスラエルの地図を、民間衛星の写真精度(2m)以上の解像度で表示してはならないことになっている。
 トルコ内の米軍基地、インシルリクも、ありありと……。
 ※おそらくイスラエルはこの報復措置としてロシア国内の秘密基地の場所をバラすMap情報を漏洩させるだろう。注目したい。むろんその狙いは、ロシア側に「自粛」を促すことにある。これが外交的な相互主義である。日本の懦弱外交官と売国政治家にはこの呼吸は分からない。彼らに対露交渉をさせておくと、全国民が百年以上も後悔するであろう。
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 ストラテジーペイジの2018-12-16記事。
    2007年夏にロンドン郊外の工事現場から、「V-1」の不発弾が見つかった。
 弾頭重量は900kg。
 V-1の巡航速度は630km/時だった。
 このためRAFの迎撃機は、最初は高空に位置して、ダイブ加速によってV-1に迫るようにしないと、追いつけないのだった。
 したがって、V-1の主翼を迎撃機の主翼で跳ね上げてやったなどという武勇伝は、じっさいには2~3度しか実行されたことはない。
 戦闘機のMGで射撃する場合の距離も数百mだから、空中でV-1の弾頭が炸裂した場合は戦闘機もまきぞえになってしまう恐れがあった。
 2419発以上のV-1がロンドン圏に落下した。対空砲と迎撃機と阻塞気球(のテザリング・ケーブル)は、4261機のV-1を墜落させた。この他に数量不詳の不明機がある。2007の不発弾はその1つだ。不発のV-1はとても珍しい。なおかつ、デブリの中に埋まって発見されずにいたというのは、超稀れなケース。
 ロンドン市内ではV-1により6184人が死亡し、17981人が負傷した。
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 Kyle Mizokami 記者による2018-12-14記事「Ex-Military Jet Crashes in Hawaii, Pilot Pulled to Safety」。
      ハワイ州兵空軍の訓練の敵役を務めていた民間サービス会社の低速ジェット機ホーカーハンターが13日に海に墜落し、乗っていたパイロットは低空からイジェクトし負傷した。
 オアフ島沖、サンド島近く。機体は単座。
 パイロットは近くのパラセイラーによって救助され、コーストガード船によって病院へ運ばれた。重傷。
 機体を所有していたのはATAC(Airborne Tactical Advantage Company)という民間軍事サービス会社である。もちろん非武装。
 最近では、普通のアグレッサー役としてだけでなく、「巡航ミサイル」の代役を米軍の訓練等のために演ずることもあるという。
 ATACは海軍のトップガンスクールでも相手役を務めるし、2018リムパックにも動員されて堂々と参加しているのである。
 同社のホーカーハンターは、もともとスイス空軍所属機で、古くなったのを買い取った。製造元は英国。他の保有機種としては、イスラエルのクフィル戦闘機、チェコ製のL-39アルバトロスジェット練習機、仏製ミラージュF1戦闘機。
※いまから20年も前(H10)に某「懇談会」が、大綱「別表」が防衛装備の数量に偏った内容であるのは、その数字の上方/下方硬直性をもたらす弊害があるから、やめろ――と勧告していた。「スーパーツカノ」がAHよりも何十倍も役に立つ装備であると知られ、少子時代の南方防衛に向いていることが分かっても、アイテムが最初から「指名」されてしまっていては「動的」に編制を変えることもできない。「計画」は努めて「定性的」に記述するべきである。「定量的」に記述する場合は、1~2年後の見直しに含みを持たすことが望ましい。
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 Joseph Truini 記者による2018-12-12記事「How to Silence a Noisy Steam Radiator」。
        スチーム暖房は150年前に発明され、1940以降は米国の普通の家にも普及した。
 一大利点は、高温蒸気は自分で勝手に循環してくれるので、ポンプ類の設備が必要ない。したがって点検整備の要目も、とても少なくてすむ。
 逆に、一大欠点は、その騒音。
  ※私も自衛隊の営内居住でスチームセントラルヒーティングを初体験した口だが、まず起床時刻前の早朝の屋外ボイラーの点火時に、どこかで金属パイプをいろいろな強さで叩いたり揺り動かしているような「シュゴン!」「ドウッ!」「カンカン」「パカン!」という音が、突然、壁際の放熱管部分から室内に響き渡るのである。タコ部屋の総員起こしかよというレベルだが、慣れるとそれでも眠れるから恐ろしい。あれは経路中の冷えきった金属が熱で膨脹する音なのだろうと私は考えていた。それに、断続的な「ゴォッ」だとか「プッシューッ」という音が加わる。数十分して初期加熱が一段落すると、概ね、静かになってくれる。
 じつはこの騒音のもとになっているのは、パイプ経路中のあちこちにトラップされている「水」なのだ。
 スチーム暖房を停めると、パイプ内は冷えて、水蒸気から水が生ずる。それはドレーン穴を通じて再びボイラーまで回収されるように設計されているのだが、放熱器部分がかしいでいたりすると、水抜きが完全に行なわれず、滞留したままになってしまう。
 そこへ、次に高温蒸気が流されたとき、その水が吹き飛ばされてパイプの屈曲部などに衝突し、派手な音を立てる、というわけなのだ。
 ※三十年ぶりにひとつ利口になったぜ。
 長尺の水平パイプの中間部分が低くたわんでいても、この水溜りができてしまう。中間に吊り手を付加するなどすれば、改善される。


お詫び:新刊『米中「AI大戦」』の写真キャプションの間違いについて

 129ページの写真キャプション。「防災用に提案されている国産のマルチコプター型テザリング・ドローンの例。」とありますのは、「防災用に提案されているマルチコプター型テザリング・ドローンの例。」に修正をしてくださるようにお願いを申し上げます。
 この写真のドローンは、米国マサチューセッツ州ボストンのベンチャー企業、サイファイ・ワークス社が米軍と共同開発した製品で、「PARC」といい、国境警備に導入されているそうです。日本国内では「田中電気」が代理店になっているとのこと。
 国産ではありませんでした。ご迷惑をおかけした関係各位にお詫びして訂正をいたします。
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 PATRICK MARTIN 記者による2018-12-15記事「Could China squeeze the US out of its only permanent military base in Africa?」
    ジョン・ボルトンによると、ジブチ唯一のコンテナ港「ドラレ・コンテナ・ターミナル」が中共資本に買収されようとしており、それが実現すると、米空軍のジブチの基地も補給を受けられなくなるので、米軍はジブチから出て行くしかないという。
 ジブチの面積はNJ州より小さい。人口は100万人に足りない。紅海南端の立地は他に代替不可能。
 スエズとアジアの間を行き来するすべての船舶がその目の前(バブエルマンデブ海峡)を通る。
 9-11テロ以降、ここにあった仏外人部隊の基地が米国から注目された。イエメンやソマリアのテロリストの立ち寄り中継点にジブチがなっているので。
 基地の飛行場は、ジブチ唯一の国際空港と共用である。
 米軍はこの基地から今年だけでも32回の空襲(無人機)を発起し、1月1日からの爆殺(ソマリアのアルシャバブ・メンバー)トータルは254人である。
 ちなみに2017年の実績は150人。
 10月、国防総省は、ジブチの滑走路を最大の戦略輸送機が利用できるように2億4000万ドルかけて拡張すると発表。
 オバマ政権は2014年に、30年間、毎年6300万ドルの借地料を払うというリース契約をジブチ政府と結んでいる。
 そこへ中共も巨額インフラ・ローンで割り込んできた。
 ジブチの対外債務は2014から雪ダルマ状態。中共からローンを受けたので。
 また中共軍は2017にドラレ多目的港の近くに基地を借りた。
 ドラレコンテナターミナルは2008に運開。もともとUAEの一企業とジブチ政府のJBだったが、ジブチ政府がJBを解消し、9月に国営化していた。
 同政府にいわせると、ジブチ人の事業家が、UAE企業から買収されて不利な契約を結んでいたのだと。
 ところが国際仲裁裁判所(英国)は2016に、この事業家には非がなかったことを裁定した。しかしジブチ政府はそれには従わずに、あらためて港の権利を中共へ売り渡そうとしているわけだ。
 同港はエチオピアにとっても重要な輸入港であるので、中共がエチオピア経済の安全も左右できることになる。
 この問題への注意を喚起したのは、民主党・デラウェア州選出のクリス・クーンズ上院議員と、共和党・フロリダ州選出のマルコ・ルビオ上院議員。二人は連名で、ポンペオ国務長官とマティス国防長官に宛てて書簡を送った。
 下院軍事委員長のマック・ソーンベリー(共和党・テキサス州)は、アフリカの角などを視察していて、やはりこの問題を重視している。
 元アフリカ連合大使だったルーベン・ブリゲティいわく。あと数手で詰みだと読めているチェスの試合のようなものだ。米国が今これを座視すれば中共が確実にアフリカを支配するだけだ。
 次。
 Will Knight 記者による2018-12-14記事「These incredibly realistic fake faces show how algorithms can now mess with us」。
    数名分のセレブの顔を合成してユーザーの理想の顔写真をこしらえる技術が、途方もない完成度。GANという。Nvidia 社がつくった。
 これも、「アラ探し指摘役のAI」と「創作画家AI」とを対決させる技法の応用により、可能になったもの。
 この世に存在しない顔なのに、実在するとしか思えないレベルのクロースアップ写真になる。
 「フェイク・セレブ」の時代がやってきたのだ。
 お好みとあらばニキビを追加してもよい。
 その創った顔を、笑わせたり、加齢させることも、スーパーリアルに可能。
 次。
 Michael Peck 記者による2018-12-15記事「The Air Force Has a Plan to Stop Navy-Killer Missiles」。
      レーダーピケット艦の役割を果たす小型のロボット・ボートを海に放とうというアイディアが空軍から出てきた。
 シー・スキミング巡航ミサイルを早期探知するため。
 ボートのサイズは手漕ぎ舟相当にするという。
 10フィート×2フィート。全重100ポンド弱。
 スウォーム・ピケットだ。
 これができれば、人の乗った軍艦からはレーダー波を出さずに済む。
 特に対策しなければならないのは、ロシア製のジルコン巡航ミサイル。海面スレスレをマッハ5で飛んでくる。


FSX騒動の真相がようやく呑み込めた新刊『主任設計者が明かすF-2戦闘機開発』に拍手。

 並木書房さんから出た快著。故人である三菱重工の神田國一氏の遺稿が陽の目を見た。
 T-2の主脚扉が飛行中になぜか吹き飛んだ事故。亜音速であってもエアインテイク回りから衝撃波が生まれることがあり、その反射のせいだと見当がついて、対策した。その20年後、FS-Xのためフォートワースで初めてF-16の実機を見せてもらったら、その脚扉には、明らかにはるか昔、同じ経験をして対策をしていたのだと思しい意図的なデザインが……(pp.46-7)。
 この下りに鳥肌が立つ。FS-Xは共同開発とはいいながら、GD社から日本側へは、「試験結果を含まない」資料だけが渡されていた。
 それはどういう意味なのかと想像すると、過去のいろいろな飛行機の開発と運用を通じて、米メーカーも米軍もいろいろな事故を経験している。それは「ネガティヴ・データ」集だが、それこそが米国のもつ知的財宝である。その安全対策として、長年、新しい試験項目がたくさん追加されてきたであろう。その試験項目が具体的に分かってしまえば、経験のない外国人技師たちにも、過去に何が原因でどんな事故が起きたのかという想像がついてしまう。それこそ、貴重知財の流出だ。だから「ネガティヴ・データ」独占のアドバンテージを守るために、試験結果(というより試験項目)を教えられないのであろう。
 しからば今の中共はサイバー・ハッキングによってこの「ネガティヴ・データ」を米国から盗取できているか?
 それはとてもできそうもないことも本書から分かるのだ。
 フォートワースでは、細部の技術的な資料は、「GD社の資料」としては整理はされていない。デジタルファイル化がされていないのだ。なんと、紙束、「ジャンク・ファイル」の状態で、属人的に、特定の技術者個人が、抱え込んでいるのだ(p.97)。
 どんなオンライン・ハッカーも、これを盗み取ることはできまい。
 それならば、シナ人スパイがGD/LM社員となって現場に潜り込んだら、技術は盗めるだろうか?
 それも無理であろうと察しがつく。
 GDの設計チームは、ひとりひとり、専任する仕事内容が異常に細分化されていて、隣の技師の担当業務には、誰も決して首を突っ込まない。仕事の境界を厳密に守る。「一人一芸」の集合体なのだ(p.87)。
 だから、もし支那人スパイが正体を隠してLMやボーイングの正社員となりおおせて米軍用機の開発チームに参加できたとしても、そこで何年勤続しようが、ついに「一芸」に関してしかノウハウは蓄積できぬわけだ。その知識をもって帰国しても、軍用機開発プロジェクト全体の指揮官は務まらぬわけである。
 マンハッタン計画が外に漏れなかったのも、隣の部門の所属技師と「交流」することが厳禁されていたからだった、という話を思い出した。
 FS-Xは日本にとって得だったのか損だったのか? 隔靴掻痒&的はずれなマスコミ論説ではモヤモヤ感が拭えなかった真相が、本書でハッキリする。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-12-14記事。
    11-25~12-7のNATO演習で米軍のLCUがアイスランド沖の悪天候のためえらい目に遭った。
 フィリピンにはしょっちゅう台風が襲来するので、新人パイロットを育成するのに必要な年に150時間のフライトがなかなか確保できない。
 ※空自がこの比軍パイロットのための訓練場を提供するべきである。実績のある海自の徳島基地でもいいだろう。なんでわが政府にはそういう発想ができないのか。有事には自衛隊機が比島に疎開できる。もちつもたれつだ。
 北鮮はSWIFTへのアクセス権を失っている。
 密輸を止めないのでその制裁として。つまり銀行間の国際決済ができない。
 孟晩舟が逮捕されたのも、SWIFTからはじきだされたイランの苦境を中共企業が助けようとした容疑である。これから北鮮はロシアの密輸業者に頼ることになるが、そのロシア人は国外において孟晩舟のように逮捕されるリスクに怯えねばならない。
 SWIFTが使えない以上、外国の港湾で北鮮の貨物船船長が現金を前払いすることによって64万1000トンの食糧を輸入しないと北鮮は来年、また餓死の巷に戻る。しかしたぶんそんな現金はない。
 次。
 Robin Wright 記者による2018-12-13記事「The Loose “Shoot and Scoot” Missiles and the Threat to Aviation」。
        シリアでは反政府ゲリラがMANPADを使って露軍のスホイ25を1機撃墜している。イドリブ県で2月に。パイロットはイジェクトしたが地上で殺された。
 1978年にMANPADSでターボプロップの民航機が撃墜された事件があった。場所はローデシア。
 民航機がMANPADSで撃墜された初ケースであった。その5ヵ月後、またしてもローデシア航空の旅客機がMANPADS(man-portable air-defense systems)で撃墜された。
 肩射ち式対空ミサイルである。
 米国務省の特別班はこれまで39000基ものMANPADSを30ヵ国の闇市場から回収したという。
 それでもまだ世界で72以上のゲリラ・グループがMANPADSで武装している現実は変わっていない。
 1975年いらい、50機以上の民間航空機に向けてMANPADSは発射され、結果として世界で28機が撃墜されている。
 ただし南北アメリカ大陸に限っては、未だMANPADSが民航機に対して発射されたという事案は1件も報告されてはいない。
 1994年、タンザニアでの和平会議から戻る途中のルワンダとブルンディシの大統領が乗った航空機がMANPADSで撃墜され、それがルワンダにおいて50万人のジェノサイドを発生させた。
 2002年、アルカイダ系のゲリラが、ケニヤのモンバサ空港の近くで2基のSA-7(ストレラ2)を、イスラエルのチャーター旅客機(Bo757、乗客260人)に向けて発射し、ジープで逃走。ミサイルは2発とも外れたが、ケニヤ観光はしばらく回復できなかった。
 2011年のリビアの混乱で、カダフィ政権がストックしていた数千基のMANPADS(大宗は旧ソ連設計系)が闇市場に流出してしまった。
 2014年までに国連は、リビアにあったMANPADSが、チュニジア、マリ、チャド、レバノン、シリアに出現していると報告。
 2003年のイラク占領作戦の直後にも、サダム政権時代のMANPADSストック4000基が行方知れずになっている。
 この他、1機の露軍の輸送機、1機のトルコ軍のヘリコプターが、シリアでMANPADSにより撃墜されている。
 またシリア政府軍の航空機は2011年からこれまですくなくも12機、MANPADSで撃墜されたのではないかと米軍は見ている。
 2014年にシナイ半島では、ゲリラがMANPADSで1機のエジプト軍ヘリを撃墜した。
 1995のボスニアでは、仏軍のミラージュ戦闘機が1機、MANPADSで撃墜されている。
 MANPADSの最大射高は4900m以下。ヘリコプターと与圧のない固定翼機はこの高度より低く飛ぶので最も危ない。与圧のある固定翼機も離着陸時は狙われる。
 2014にISはMANPADSでセベラル機のイラク政府軍ヘリを撃墜した。
 MANPADSの射手は、水平距離にして3マイル離れたところから発射した例が多いそうである。
 拡散したMANPADを使えば全世界テロができてしまう。世界中で同時に民間空港の近くでMANPADを発射する活動を2週間続けるのだ。世界の経済は、麻痺するであろう。
 9-11の直後、パウエル国務長官がイスラマバードに飛んだ。パキスタン当局とアフガン戦争について話し合うために。
 記者(♀)はその飛行機に同乗していたが、下向きの見張り窓にはりついていた空軍の男が何か発見したらしくて、3分間で7000フィートの急降下をしたので驚いた。
 イスラマバードを離陸するときは、記者全員がシートに座る前から地上滑走が始まった。何しろ機体の青白塗装が目立つのだ。
 80年代、米国がアフガンゲリラに供与したスティンガーは、260機以上のソ連機を撃墜したそうである。
 1989からこんどはその余剰のスティンガーを現金で買い戻そうとした。予算は6500万ドルだった。
 けっきょく、スティンガーの元値の4倍額が、ゲリラに支払われねばならなかった。
 ラ米ではベネズエラがやばい。5000基以上のMANPADSがあり、政権はいつ崩壊するかも分からないからだ。ポンペオがCIA長官だった2017に上院公聴会でこれを力説した。
 ※AI時代には、闇夜に耳から聞こえる航空機の音だけを頼りに、ロクに狙わないで斜め上に向け発射しても、シーカーが無差別に空中目標を捜索して追尾するMNPADSが、実現されるだろう。
 次。
 Michael Peck 記者による2018-12-14記事「The Navy Wants Swarm Weapons That Can Do Something Amazing」。
   スウォーム作戦に使うミニドローンはせいぜい30分しか内蔵バッテリーで飛べないだろう。その再充電をどうするのか?
 そこで、米海軍が、戦場で電力源を勝手に見つけて自己充電できるUAVを模索中。
 たとえば電線に止まり、誘導電流を取り込んで充電する。
  ※このアイディアはおそろしく古いぞ。1991年前後の英国製のSF系PCゲームソフトで、宇宙船のエネルギーを補給するためにときどき高圧電線に沿って飛行しなければならない、という枷のかかったものがあった。クソゲーだったので、すぐに中古屋へ売り払ったが。


借家の古い玄関の断熱性は改善できる。2~数千円の投資で。

 すばらしい効能だ。「マドピタシート・レース」というホーム用資材。
 表面がザラついた摺りガラス面であっても、問題なく貼付できる。
 最初から片面に糊がついているので、両面テープなどの用意は必要なし。貼りつき過ぎるということもなく、貼りなおしが可能。
 剥がしても汚れは残らない。
 かなり結露のあるガラス面や、屋内の表面がでこぼこしている金属ドアも、ウエスで湿気を拭き取ってすぐに貼り付ければ、問題なく定着する。
 定着後に激しく結露しても、それで剥がれることはない。強度が絶妙。
 なにより、金属ドア内側の結氷が見られなくなる、劇的な断熱効果が嬉しい。
 フィルム全面に細かなタテヨコの白い罫線が入っている。それを目安に裁ち鋏で切れば、どんな四角形にもピタリと合わせられる。
 いろいろと感心しました。
 北海道の住居は古い借家でもたいがい二重窓がデファクトスタンダード。だが、和室に関しては内側窓がサッシではない古い木枠のガラス窓であったり、玄関構造が気密二重構造にはなっていなかったりする。
 そこでこの「マドピタシート」を貼り付けてみると、ポリエチレンフィルムにバブル状に封入された空気が多重窓と似た断熱増強効果を発揮してくれる。
 屋内の暖房器具をすべて止めた数時間後、夜間の冷気が緩和されたことを体感できる。これが、窓数枚分、数千円にして手に入るのなら安い。
 真冬に、朝起きて北側の玄関にアプローチするときの絶望的な寒さとはもう縁が切れるのかと思うと、感動モン。
 あまりに気に入ったので大型ホームセンターまで自動車で数往復し、あらゆる窓に貼ってしまった。
 実感の上ではこれは、北海道の冬が短くなり、春が早く来るようになる、それと同じことだろう。
 ところで、梱包用緩衝材としてタダで入手できる透明ポリエチレン製の気泡入りシートがありますよね。乞食ハウスみたいに見えてもいいから、あれが使えるじゃないかと思った方に、ご注意。
 数年前、あれを南向きの透明の外窓の裏地に貼って実験してみた。結果。2年たらずして手におえないボロ屑と化してしまった。ガラス1枚では紫外線が透過するのか、それとも結露の氷結が繰り返されるせいなのか、機序は分からない。が、ともかく、永続せぬのである。
 さて、以上とは別にふと考えた。「まどぴた」のような高性能の気泡シート層を二重・三重にして、光透過構造の温室倉庫のライナーとして利用したら、真冬の北海道でハウス栽培すら経営が可能になるのではないかと。
 あるいは畑のマルチングシートやトンネル材に応用したらどうなるのか?
 さらに、こいつをすべて防燃物質(封入ガスは二酸化炭素)でこしらえて屋根裏充填材・床下充填材・壁充填材に転用したら、寒冷地住宅の暖房費はもっと節約できるのではないかと。
 さらに空想する。最初から二酸化炭素バブルがぎっしりつまった不燃性新建材でモノコック構造の住宅を造るようにすれば、もっと良いはずだ。
 家屋のぶあつい壁の中に二酸化炭素が工業的に埋め込まれるのだ。環境中へのCO2排出を劇的に減らしていますという対外宣伝が打てるだろう。
 次。
 Steve Helber & Darlene Superville 記者による2018-12-13記事「Melania Trump Makes First Lady History With Ride in Osprey」。
     12日、メラニア・トランプ夫人がV-22オスプレイに搭乗した。
 ファーストレディがオスプレイで飛んだのは、これが米国史上で、最初である。
 ※どんだけ今まで危険視されてきたんだ、ということ。
 飛行経路は、ワシントンDCのアナコスティア・ボリング共同基地を離陸して、ヴァジニア州ハンプトン市のラングレー・ユースティス共同基地に着陸。メラニア夫人は同基地で空母『ジョージ・H・W・ブッシュ』を訪問した。
 次。
 Erin Winick 記者による2018-12-13記事「Virgin Galactic has reached suborbital space for the first time」。
   ヴァージン・ギャラクティック社が14年かけて開発してきた機体が、高度8万2千680mまで到達した。83キロメーター弱ということ。
 まだカルマン線=高度100kmには届いていないが、米空軍やNASAの基準では、もうその高さは立派な宇宙空間だ。
 このたびの飛行には、NASAの有償のペイロードを乗せた。すなわち会社の初収益も記録。
 「スペースシップ2」の動力はロケット。それを今回は、60秒吹かした。


ことしは小吉のはずだったが超吉になるとは……。/はぴべえ(HAPPY兵衛)。

 記事「The 1949 Revolt of the Admirals and Victory at Sea」。
  米国史上、文民政府に対するプロ軍人のもっとも露骨な反乱が1949に起きた。
 この事件の引き金は、1947の空軍独立によって引かれた。
 1945夏。対日戦争は米海軍の勝利であるのに、新聞紙的には原爆の手柄になった。米海軍の不満のはじまりだった。
 『NYT』もVJ-Day論説で、エアパワーによる勝利だとした。海軍提督は、ゆるせないと思った。
 海軍に言わせると、ミズーリ号上で日本の降伏を接受するべきはニミッツなのであって、マックではないはずだ。しかるに田舎人のトルーマンは東部エリートのニミッツを名誉から遠ざけて田舎出身のマックを贔屓した。
 1947年の国家安全保障法。これによって「戦争省(陸軍省)」と「海軍省」が消え、海軍は独自に予算を要求できなくなった。
 「国防省」が、陸軍、海軍、空軍の予算を一括して仕切ることになった。
 陸軍航空隊が空軍になった。だから空軍は陸軍の分身である。空軍将官の多くはウェストポイント卒なのだ。
 陸軍と空軍が対立することはあっても、将官同士の気心は知れている。
 ベルリン空輸も空軍の手柄になった。冷戦は、米海軍の存在感をますますなくするようだった。
 超空母『ユナイテドステイツ』は、1949-4-18にニューポートニューズで起工された。が、数日後に、国防長官ルイス・ジョンソンによってキャンセルされた。
 なぜエセックス級の2倍ものサイズにする必要があったのかというと、当時まだかなりの重さであった核爆弾を吊るした爆撃機を空母から発進させるためには、滑走距離が長くなければいけなかったのだ。核運用可能な空母を持つことで、海軍は空軍と予算権力を張り合える。
 しかし空軍と陸軍が超空母予算に反対したのは当然だった。そんなところに巨額の予算が使われたら空軍と陸軍の取り分がガックリと減るのだ。
 国防費そのものが、1945から1949のあいだに十分の一に削減されていた。
 そしてトルーマンにはそれでも不満だった。国防費110億ドルだけで1949国家予算の30%に近いのだ。他の政策に使える予算が喰われている。
 スーパーキャリアーのキャンセルは、もちろん統合参謀長のオマー・ブラドリーも賛成である。
 ここにおいて海軍提督たちがブチキレた。
 そしてシビリアン・コントロールに公然と叛旗を翻した。
 海軍部内で書かれた弾劾文書がひそかにマスコミに渡された。その文書は、ジョンソン長官と空軍最高幹部らが腐敗していて、公務員として不正だと非難していた。
 ルイス・デンフェルド作戦部長以下、海軍の最高幹部が議会公聴会に呼び出された。海軍将官たちは大いに弁じた。シーパワーを無視するな、と。
 しかしこれが概ね不評だった。ブラドリーは、海軍のやり方は恥だと言った。
 下院軍事委員会も、海軍による非難は理が無く失当だと結論。作戦部長(軍令部長)は即刻馘になり、他の数名の提督たちは早期退役を強いられた。
 政治戦略の大失敗を痛感した米海軍は、1952に、テレビシリーズの『ヴィクトリー・アット・シー』を制作・放映させた。納税者にして有権者たる大衆に直接、シーパーワーの意義を啓蒙することにしたのだ。
 これが、大当たりであった。
 提督にしてハーバード歴史学教授のサミュエル・モリソンの監修した公式米海軍戦史に準拠した、第二次大戦ドラマ。全26回。
 このシリーズ企画は、エミー賞などを総ナメにした。
 音楽は、ミュージカル巨匠、リチャード・ロジャースの作曲である。
 この番組は全米の視聴者に、第二次大戦とは米海軍の戦争だったのであり、第二次大戦に勝ったのは、わが米海軍だったのだ、と信じさせた。
 全26回を通じて、陸戦にスポットを当てている尺は、トータルで1分にも満たない。
 その第25回、沖縄ではバックナー中将が戦死する大激戦となった。こんな陸戦を東京まであと1000マイルも繰り返せるか? だから海軍なんですよ、とドキュメンタリーは訴えた。
 空軍から「宇宙軍」が分離されると、同じ騒動が起きる可能性がある。
 ※その予想を知りたい人は『米中「AI大戦」』を読もう! アマゾンで予約が可能です。
 次。
 Peter Fairley 記者による2018-12-12記事「China’s losing its taste for nuclear power. That’s bad news」。
    中共の総発電量に占める原発の比率は今年、24%に増加した。
 しかし風向きが変わってきた。原発はどうも高額すぎると政府は思うようになってきた。そして民衆も、原発を望んでいないのだ。
 2011の福島第一原発事故がずっと響いている。2017-8の世論調査によると、シナ人民の40%しか、原発建設には賛成していない。
 またブルームズバーグの報道によれば、風力とソーラーによる発電コストは、今では原発より2割安くなっている、と。
 2000年代の中共圏内電力消費は年に10%づつ増加していたから原発を建設しなくてはどうにもならなかったが、今では電力消費は年率4%未満しか伸びていない。
 だとしたら新規原発は無しでもよい。
 福島第一原発事故の北京への衝撃は水爆級だった。類似の事故がもし中共内の原発で起きれば、中共体制は全人民から見限られ、易姓革命につながると真剣に惧れられた。
 福島事故のわずか数日後、全中国の原発建設を、すべて凍結することが命じられた。そして、数ヶ月かけて安全対策が審査された。結果、将来の新プラントは、より安全面で進化した設計にしなくてはならなくなった。
 だが人民は納得しない。
 香港の東に位置する「南?」市に建設予定だった新原発は、2013に住民の反対運動で計画が取りやめられた。
 連雲港に建設予定であった核燃料再処理プラントも、地元民の大反対により、2016に初期工事が中断されたままだ。
 中共中央は、原発施設の建設の前にパブリックヒアリングをしろよと指導した。
 2018-6に米国設計の新原発AP1000が中国内で運開した。福島第一原発は発電機が津波で冠水して電源喪失し、冷却水ポンプが動かなくなってメルトダウンしたのだが、この新原発は炉心よりも高いところに水プールが置かれている。重力によって給水が可能なので、電源なしでも冷却は続くという売り文句である。
 そのかわり、建設コストが高い。AP1000×2基で76億ドルもかかってしまった。これは中国におけるそれまでの原発の建設コストの2倍である。
 このAP1000をてがけたCGN社ですら、同時にリニューアブル発電システムに巨額の投資をして、ヘッジをかけている。安全で安価な新原発ができるのかどうか、中共の原発メーカーも自信が持てないのだ。
 ※「なぜ艦船自前の発電機をすべて水線下の低い層に置く必要がある?」……ナショナルジオグラフィックのサルベージ番組を視ていて沸いた疑問だ。発電機室が冠水すれば発電機は使えなくなる。発電機が使えなければ排水ポンプが動かない。照明も真っ暗のまま。……ダメじゃん? それじゃ浸水からの自力回復不可能でしょ? 福島第一原発事故の再現でしょう。最初から設計思想に欠陥があるんじゃないの? バルクヘッドがあるから発電機室には浸水しない? 近年誰がそんなセールストークを信じるんだっつーの。最低1基の発電機は、上甲板近くに据えておくべきでしょう。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-12-12記事。
   露軍は「オルラン10」UAVの新型バージョンに、最大100kmの携帯電話を不通にしてやれる電波妨害装置を搭載した新システムを使い始めた。「RB-341V」または「Leer-3」という。
 ウクライナ軍は、部隊通信として携帯電話がとても便利だと思っている。中継塔がたくさんある戦場では、確かにそうなのだ。が、露軍の電波妨害があると、話は別となる。
 「オルラン10」は自重15kgだが、固定翼機なので、最大6kgのペイロードを載せられる。
 ガソリンエンジンで、空荷ならば16時間滞空可能。
 3機で1システム。その1システムの値段は50万ドルくらい。
 発進はカタパルトにより、回収はパラシュートによる。露軍では2012年から使われ始め、着実に性能を向上させつつある。
 次。
 Roger McDermott 記者による2018-12-12記事「Moscow Deploys Latest Electronic Warfare Systems in Kaliningrad」。
      ロシアは「サマルカンド」という名の強力な通信妨害システムをカリニングラードに持ち込んだ。
※孟晩舟の逮捕をトランプが知らなかったなどという与太記事を散見するが、一瞬でもその記載を信じたあなたは外交官には向いていない。米支の要人会談時には必ず、双方が何か「奇襲いやがらせ」を発動せしめて臨むのが、普通のことなのである。米ソ冷戦時代からの長い伝統ある「作法」のようなものともいえる。それはたとえば核実験であったり、新型戦略ミサイルの発射であったり、秘密のステルス機のデビューフライトであったり、スパイの一斉摘発であったり、会見場に2時間遅れて現れることだったり、あるいは一切報道されない何かだったりするが、とにかく会談している相手の困惑する顔を見て楽しもうというゲームなのだ。そこで困惑した顔をした側が、貫目が下がるという次第である。


ネットで新刊紹介してくれる方に『米中「AI大戦」』をタダで進呈します。

 新刊が出ますと、著者も版元も、あちこちの新聞社や雑誌出版社に「見本」を送って、新刊紹介や書評が載ることを期待して待つんですが、その掲載が3ヵ月後だったり(もう書店の棚に無いわ)、完全な「空振り」だったりして、あんまり効率が良くないんですよね。
 そこでわたしゃ考えた。今回は、軍事系ブロガーの人々にタダで見本を配ったらいいんじゃないか、と。
 名案でしょ?
 ただし、ひとつ、難点があります。わたしどもは、その軍事系ブロガーさんたちの「住所」を、とんと存じ上げない。
 住所がわからなきゃ、ゆうパックも届きようがないじゃないか。
 そこで、いちおう、公募を試みます。
 住所を兵頭に晒してもいいから、『米中「AI大戦」――地球最後の覇権は、こうして決まる』を今週中に入手し、一晩で読み終え、19日の書店発売日より前に新刊紹介をアップロードするぜという奇特な軍事系ブロガーのみなさま。
 ご連絡をお待ちします。(もちろん私は知り得た住所を並木書房さん以外には通知をしません。見本は、並木書房さんから最速で直送されます。すでに見本が刷り上がっています。)
 しかし見本には数に限りがございます。ご決断はお早めに!


中共を打倒する大戦略がないから、敵の「軍備による勝利」政略にまんまとひっかかってしまう。

 PHILLIP WALTER WELLMAN 記者による2018-12-11記事「Afghan air force conducts first nighttime airstrikes」。
   アフガン空軍が米国から供与されたA-29 スーパーツカノによって、対タリバンの夜間空襲を初めて実施した。11日にウルズガン県で。
 COIN機で空襲する場合、昼よりも夜の方が安全だと考えられている。ゲリラからは小型機を視認できないので。
 近い将来、アフガニスタン政府軍には、MD-530F「カイユースウォリアー」軽攻撃ヘリも米国から供与され始める。やはり、夜襲専用機だ。
 ※写真解説によるとアフガンにおけるA-29の夜間の作戦出撃はすでに5-17に実施されていた。今回は精密誘導爆弾を投下したのだろう。夜間作戦のためには後部座席のモニターでFLIRを見ている必要があるので、どうしてもスーパーツカノは複座型でなくてはならない。レーザー照射そのものは地上の誘導員がやったと思われる。COIN機といえどもペイヴウェイ使用が望ましいことは、2017の比島のマラウィ市攻囲で痛感された。比軍のCOIN機は度重なる誤爆で味方将兵多数を殺傷してしまったのだ。したがって陸自が「従来とは抜本的に異なる速度で改革を図る」ためには複座型のスーパーツカノを買わねばならない。F-35はあと十年くらいは戦列化できないが、EMB-314は発注した1年後には練習機×2機が、2年目には1個スコードロン分が届けられるのだから。調達のスピード感がぜんぜん違う。陸自が「少人数化」時代のクロスドメイン改革の主役となる日が来た。
 米国にとってアフガンはとっくに泥沼である。いまでも米軍が提供する航空戦力なくしてアフガン政府はおそらく保ち得ない状況。2018年の米軍機のアフガン国内での投弾量は、過去10年で最も多くなってしまっている。
 だからアフガン政府軍の空軍力の自立が急かされている。しかしCAS自立にはあと1年はかかるだろう。
 シエラネバダ社製の「Embraer/SNC A-29 Super Tucano」の対アフガン援助1号機は、2016-2に引き渡された。
 ※もちろんFMSなんて枠組みを使ってたらダメだ。陸自は国内民間商社を介してエンブラル社製を買うのがいちばん速い。付いているアビオニクスはぜんぶイスラエルのエルビット社製である。モニター表示はしっかりと米空軍式に合わせてくれてある。誘導爆弾もイスラエル製が入手できる。これらは中南米とアフリカのCOIN作戦で何度も成功実績があるので、調べれば不安がないことが判る。イスラエルの兵器関連製品を日本が買えば、イスラエルはそれだけ潤うから、トランプ政権は対イスラエル援助を減額できる。したがってクシュナーがトランプをうまくとりなし、怒らせるどころか、逆にトランプから感謝されるだろう。
 計画では、他にMD-530Fを24機以上と、Mi-35武装ヘリをセベラル機、アフガニスタン政府軍に米国から贈与する予定。
 次。
  Beth Maundrill 記者による2018-12-10記事「British Army demos new Challenger 2 urban operation tank concept」。
   市街戦向きに改良されたチャレンジャー2。外部視察カメラの映像は、戦車兵の所持するアンドロイド・タブレットにてモニターされる。
 複数の固定カメラと、360度警戒できる赤外線パノラマイメージセンサー、砲身先端には左右確認カメラ(曲がり角から砲口だけ突き出して敵兵の有無を視認できる)。しかも戦車の得ている映像を、下車した戦車兵のタブレットでも受像し続けられる。
 ※英陸軍は歩兵戦闘車ウォリアーは無人操縦化するらしい。すでに実験開始した。考えてみれば、歩兵を卸したあとのAPCは、することないもんな。これは「ドラグーン」(乗馬機動歩兵)の発想だ。空馬が勝手に次の収容点に移動してくれるのだ。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-12-11記事。
   イスラム・テロリストは、覚醒剤の代用品として「Captagon」という市販薬をほぼ全員が服用しているという。その成分は「fenethylline」である。副作用としては、慢性高血圧など。
 ※急に鼻血が出たりするのかな?
 だいたい1980年代にはどこの先進国でも規制されたが、中東ではガレージで密造されて市販が続いている。テロリストも使うし、政府軍もまた、服用するのだ。
 ネイヴィー・シールズ御用達の睡眠薬は「Ambien」である。音のうるさい輸送機で非常な長時間の移動の後、世界の涯のような田舎に着く。そこで出撃準備し、行動は徹宵になることも多い。出撃前の少ない時節に確実に急いで眠りを稼いでおかねばならない。だから必要。
 米陸軍は2007年に「ステイ・アラート」(気をつけ続けろ)というカフェイン・ガムを戦闘部隊に配っている。
 そして米空軍御用達の覚醒剤もある。「Ambien」という。準覚醒剤的な副作用がある。
 また「Modafinil」を成分とする商品名「Provigil」も9-11以降、使われた。
 謳い文句は、気分が明るくなり、記憶力が強化される、というものだった。
 米軍で実験したところ、確かに、これを飲んだ兵隊と飲まない兵隊とでは、24時間不眠後のパフォーマンスが大違いであった。
 「Modafinil」の覚醒効果は「dextroamphetamine」よりは劣るという。
 しかし「Modafinil」には常習中毒性が少ないメリットがあり、長期的な悪影響は報告されていないという。
 その「dextroamphetamine」より効果が勝るという謳い文句で「CX717」という新興奮薬が登場したので、DoDでテストしたところ、「Modafinil」とあまり差がないことが判明している。
 艦隊勤務の将兵は、見張り上番中に熱いコーヒーをいくらでもふんだんに飲める。しかし歩兵の立哨は蛸壺にコーヒーメーカーがあるわけではなく、また長時間飛行する爆撃機のコクピット内にもコーヒーメーカーは置いてない。したがって陸軍と空軍は、海軍とは違う解決策を模索せねばならない。
 次。
 KIM GAMEL AND YOO KYONG CHANG 記者による2018-12-10記事。
   米国務省によれば、2018-3時点で韓国は年に8億3000万ドル強、米軍駐留費を負担している。
 しかし『WSJ』紙によれば、トランプは韓国に、毎年16億ドルを払えと要求している。
 年内に妥結しなければ、米軍基地で働く韓国人1万2000人の全員を、2019-4-15からスタートして30日間以上、一時解雇すると米側は脅している。この警告は、はるか前からなされていた。
 韓国メディアの飛ばし記事。米国は韓国に、THAADの配備コストも負担せよと迫っている。また、米空母や米空軍機が半島のために展開していることに対する礼金も出せと迫っている。
 2013にもこの負担増交渉は年末までには妥結しなかった。しかし韓国は数週間後に屈して負担金を5.8%増やしたという経緯がある。今回もそのパターンになるであろう。


新幹線駅にある温泉。

ホテル ラジェントプラザ函館北斗 の2Fにある「天然温泉 北湯路」。なぜかほとんど宣伝してないようなので最近知ることとなったが、非宿泊客の立ち寄り利用が可能なのである。1人500円で。
 外来者の利用可能時間は13時~24時〔事実上は25時だとお見受けした〕。つまり東京駅発の最終便の新幹線「はやぶさ33号」で新函館北斗駅に23時33分かそれよりも少し遅く到着したとしても、利用が可能なのだ。(そのかわり確実に、はこだてライナーの最終便への乗り継ぎはできぬから、それは承知しなければならない。)
 深夜に、新幹線新函館北斗駅前からタクシー(もしくは駅隣接駐車場にとめておいた自家用車)で北斗市内/七飯町内/函館市内等、近郷の自宅に帰宅することになる人々には朗報だ。
 着駅にて入浴を手早く済ませられるのならば、真夜中に家人を起こすことなく、自分もすぐ就寝できるわけだから。
 新幹線駅舎とホテルと立体駐車場(有料)は、相互にほぼ接続している。やや離れた地上駐車場(無料)は2年前よりずいぶん拡張されたが、さすがにGWシーズン中だけは満杯になるかもしれない。
 浴場内には石鹸とシャンプーが置いてあるので利用者が用意する必要ない。タオルがなければフロントに言えば間に合う。料金はフロントに払う。フロントから見えるところが、温泉入り口なのだ。そこに待合室もある。
 ホテルそのものが新築なので、内部もすべて新しい。露天風呂は付属しているものの、ビルの2階ゆえ、外部の眺望は斜め上向きに限定的にあるのみ。サウナは付属していない。
 もしあなたが同ホテルの宿泊者であったならば、早朝の6時から午前9時半まで、この温泉を無料利用できる。まず、0635発・東京行きの始発新幹線「はやぶさ10号」には、間に合わぬ。
 ここにおいてわたしは思った。このホテル経営陣は「分かっていない」と。
 「はやぶさ1号」が新函館北斗に到着する0632から、「はやぶさ33号」の到着後90分の余裕がある25時まで、温泉を17時間半、連続営業しても、ホテル兼営なのだから人件費は増えない。
 到着客が、そのビルの中で消費を完結しても、満足の行くような、中核観光施設としての空間にも、ここは設計ができたはずなのだ。これは惜しい。
 もちろん近郷の住民は温泉リピーターになる。基本的に道南人は皆温泉リピーターなのだ。
 また、国道5号の「峠下」にほど近い立地なのだから、長距離トラックドライバーの深夜休憩拠点にもなるはずである。付近には屋外駐車場のスペースはナンボでもあるのだ。
 惜しすぎる。それだけのポテンシャルを活かしていないので。
 その方向で徐々に規模を拡大すれば、いわき市のスパリゾートハワイアンズを凌ぐ集客だってあり得るのだ。なにしろ新幹線駅に直結なんだから。
 次。
 David B. Larter 記者による記事「Here’s the latest on Lockheed’s massive long-range anti-ballistic missile radar」。
       ロックマートの最新式のMD用・対弾道弾警戒レーダー「LRDR」。
 ガリウム窒素半導体を用いて、旧来より探知距離や分解能が格段に向上する。2020年に1号機がアラスカのクリア空軍基地に納入される。建造はすでに9月にスタートしている。
 このLRDRをスケールダウンしたものが、日本の地ージスの警戒レーダーとなる予定である。
 ※つまり日本政府にとっては北鮮のフェイクミサイルを迎撃できるかどうかはどどうでもよいとみなされており、アメリカに向かって飛ぶ長射程ミサイルの早期トラッキング情報を北米のミサイル防衛庁に電送する体制の確立が、日本の都市防空よりも優先されている。そしてこういう「真相」の情報は「戦略ワトソン」のようなAI顧問システムに、テキストとして「入力」するわけには絶対にいかない(なぜなら後日に人が法的に責任を問われることになるかもしれない証拠が作製されてしまう)。これが、AIが政治を代行することだけはできない理由である。詳しくは19日発売の新刊で。
 ロックマートは、LRDRおよび地ージスのレーダーをめぐってレイセオン社と争い、勝った(41億ドルの受注)。そしてこのLRDR基地を、次はハワイに開局するつもりである。年内に、その政府発表があるだろう。
 LRDRのフェイズドアレイレーダー面は、イージスの「AN/SPY-1」の25倍も広い。しかしメンテナンス性と修理の容易さが特に追究されている。
 なんと、レーダーを停波させることなく、そのまま運用を続けながら、修理したり点検したりできるという。
 いかにしてそれを可能としたか。電波の送信ユニットと、受信ユニットを、小数ずつまとめてブロック化〔弁当箱化〕しているのだ。
 だから調子のわるいブロックだけブレーカーで回路から切断して取り外し、その弁当箱ごと予備品と交換してから、再コネクトすればいい。
 次。
 星条旗新聞の記事の柱「US warns S. Korean workers will be furloughed if no deal reached on military cost-sharing」。
   トランプ政権が韓国政府に米軍駐留費負担の増額を要求しているらしい。もし韓国政府が応じなければ、米軍基地内で働いている韓国人従業員が一時解雇されるという話になっているようだ。
 次。
 Fred Kempe 記者による2018-12-8記事「China’s real endgame in the trade war runs through Europe」。
   2008年に国家破産しかかったハンガリーは、中共に財政の窮地を救われたので、オルバン首相はいまや習近平の尖兵を志願して、欧州の政治的な分断工作に挺身する。
 まずオルバンは2017年3月に、EUが合同でまとめようとした人権侵害(拷問)反対書簡を拒絶した。
 つづいて2017-7には、南シナ海の砂盛島は違法だとするブリュッセル宣言を、ギリシャとともに反対して潰した。
 つまり中共はすでにEUの「拒否権」を掌握してしまった。
 2017年に中共は、EUに対して300億ユーロも投資している。
 シナ人は対北米投資から対欧投資へ切り換えつつある。企業買収に投じられた金額では9倍の差(200億ドル対25億ドル)である。
 今後は、中国内で、これまで買っていた米国製商品を欧州製商品に切り替える動きが進むだろう。トランプ政権は対支絶縁を選好するので。
 欧州には米国のCFIUSに相当する機関がない。中共による特定技術保有企業の買収を行政命令で阻止できる、省庁横断審査機関が。
 しかしEUもそれに近い措置が取れるように、今月から、なっている。
 習近平はアルゼンチンに赴く途次、スペインに立ち寄り、帰路にはポルトガルに立ち寄った。次の国家ぐるみ買収ターゲットはこの2国だ。
 ※西欧は専制主義や侵略者に反対して頑張っている。ところが日本の総理大臣ときたら人類の敵プーチンに秋波を送る、近代世界の没義道漢である。要するに自由主義とは何かが分かっていない御仁なのである。一刻も早く早く退任することを望む。
 次。
 Brendan Nicholson 記者による2018-12-10記事「When Night Becomes Day: F-35s Join the RAAF」。
    F-35で飛んでみた豪州軍パイロットの感想。《これに比べると、スーパーホーネット世代の戦闘機は、夜道をライト無しで走っていたのと同じだ。F-35では、自機の周囲に存在する脅威をひとつひとつ、ディスプレイ上で確かめることができる》。
 敵機が何十km先に居ると分かるだけではない。その敵機の機種名までも、判る。そしてコンピュータが、そいつに対処する方法を複数、パイロットに提案してくれる。パイロットは、それを選ぶだけ。
 同じように、陸上や海上の敵も、「それは何なのか」まで分かってしまう。
 さらに感動的な機能。F-35から、自軍のスーパーホーネットや、駆逐艦、SAM部隊に対して、「この目標に向けてミサイルを発射せよ」とキュー出ししてやることが可能なのだ。
 ※E-2Dの単座機版だと考えるとよい。ならばF-35には「空戦」をさせる必要などないのである。別なミサイルキャリアー(それはF-2やP-1改造機でもいいしスーパーツカノでもいい)を傀儡[くぐつ]師のように操ることに特化すればいいのだ。そうすればF-35は即戦力として完成する。みずから空戦しようとするから、半永久に「戦列化」が遅れてしまう。日本も、戦列化されてない機体を100機も買っても困るだけだろう。
 単に仲間に敵目標のデータを送って、それっきり、ではない。仲間がミサイルを発射し、それが当たるところまで、F-35の側で、統制指揮できるのだ。
 F-35から出すデータ信号は、圧縮されて、短切に、バースト状に、指向的に味方へ送信される。よって、敵のELINTセンサーにも捉えられ難いのである。
 豪州空軍でF-35の教官となる男。これまで3年間、米国内で訓練を受けてきた。



米中「AI大戦」