Sydney J. Freedberg Jr. 記者による2018-8-8記事「Detect Nukes In Flight With Electron Beam Technology」。
アラバマ州のハンツヴィル市で、宇宙とミサイル防衛のシンポジウムが開かれた。
シンポジウムの主催者はデイヴィッド・マン退役陸軍大将。彼は2016まで宇宙&ミサイル防衛コマンドの司令長官であった。
物理学者ウィリアム・デントが、中性子発生装置が諸問題を解決するとプレゼンした。
デントは若い陸軍将校だったとき「セーフガード」ABMシステム(小型核弾頭の空中炸裂による放射線によってソ連のRVを迎撃しようというもの)に関与した。レーガン時代にはSDIに関わった。
デントは目下、陸軍のために、IEDをはるか手前から発見する技法を研究している。
米陸軍はすでに中性子放射による地雷探知装置を使っている。中性子は低密度の土壁などは透過するが、高密度の爆弾に衝突すれば、その爆弾材料を放射性に変える。したがってIEDからガンマ線が輻射されるようになるので、センサーで探知ができるという次第。
※これは初耳。しかし硝酸アンモニウム爆薬は高密度ではないし、放射性に変わるとは聞いたことがない。容器にドラム缶が使われていればそれはスチールだろうから、放射性化するだろう。しかしプラスチックの容器が使われていたなら? 逆に、舗装のアスファルトや、地中の大きな自然石も、中性子を浴びることでことごとく放射性を帯びてしまうのでは? どうも額面通りに受け取れない。そしてもっと初歩的な疑問。アフガニスタンやイラクで道を歩いている住民や軍属は、知らないうちに米軍車両から中性子線を浴びせられてしまうのか? 装置の操作員や車両のドライバーだって被曝しているはずだし、なんでそれが大問題にならない???
この現行の中性子式地雷探知機は、対象物が小さくて深いと1m先までしか有効ではないが、浅く埋められた大きな爆弾なら20m以上先から探知ができるという。
課題は、現行品は、中性子放射が非指向性であること。四方八方に中性子が飛び出す。ゆえに対象物までの距離の2乗に反比例して中性子密度が減少してしまう。
ところがデントは、帯電しない粒子であるためにレーザーのように指向性は与え難かった中性子を、このたびビーム化することに成功したという。
※それが本当ならば、一大技術革命。ノーベル賞にも相当近い。
この中性子ビームを使えば、キロメーター単位で、探知が可能になるという。
中性子のスピードは、光の14%である。時速にすると、1億7400万km強。
中性子ジェネレーターと、照準指向システム、給電装置など一式で、14トン以下の総重量にまとめられる、とデントは言っている。
これは何を意味するか。とりあえずは車載システムとして地雷探知に使えるわけだが、14トンなら、大型輸送機や、大型人工衛星に搭載することも、不可能ではない。
そこからは、SDI復活の道も開けるだろう。
※トランプは早くからこの報告を受けていたので「宇宙軍」創設に大乗り気なのか?
敵が発射した弾道核ミサイルの再突入体(RV)の外殻金属、さらにその中味のプルトニウムやウラニウムはかなり密度が高い材料だから、ビームとして飛来した中性子を捕獲して、みずから顕著なガンマ線を輻射するようになるだろう。
したがってレーダーと中性子ビームを同時に照射してやれば、リアルのRVはガンマ線を輻射し始めるが、メッキされた風船に他ならないデコイは観測可能なガンマ線を輻射しないので、簡単確実に見分けることが可能になる。
※この話には盲点がある。たしかにポリバルーン製デコイの時代はこれで終わった。しかし劣化ウラン殻に通常炸薬やダーティボム素材を封入したRVは、どうやって真弾頭と識別できる? ガンマ線の輻射がちょっと弱いというだけでは、それが非核である保証とはならないのだ。つまり「軽い水爆弾頭」と「重い非核弾頭」を、この方式では識別できない。軽量のダーティボムRVならば、やすやすと見逃されかねない。
高エネルギーの中性子ビームは、シリコンやガリウムにとって有害である。したがってRV内の起爆回路を、ビーム照射だけで破壊できるかもしれない。
※この場合も、信管がなくともキッチリと機能を果たすダーティボムRVに対しては、効果がない。
マイクロ波ビームも、敵RV内チップを破壊できるポテンシャルを有するが、射程は中性子ビームより短い。
中性子は重く、電荷も帯びず、磁石に影響されず、簡単に励起されて飛び出したりしないが、いったん動きが与えられると、ほとんど止める方法がない。いわば、指穴のないボーリングボールのようなもの。
デントはいかにして中性子に指向性を与えることができたか。
まず、中性子は原子から分離できる。粒子加速器を使って、重水素と3重水素を核融合させると、中性子が飛び出す。
中性子は電磁場に不感症なのだけれども、電子が飛び出すかくっつくかして荷電された原子の方は、電磁的に操縦できる。だから、中性子の親の方を操縦してやればいいのだ。
質量保存の法則があるので、親原子核のスピンによって、そこから飛び出した中性子のスピンも従わせることができる。
さいしょに原子を一列に整列させてしまえばいい。そしてその全原子を同じ方向にスピンさせる。さすれば、そこから飛び出してくる中性子の方向は、予測可能になる。
SDI時代に構想された電荷粒子ビーム砲は、照準こそ楽なのだが、地球の磁力に影響され、大気とも摩擦があるため、粒子がどんどん減速してしまうのだった。それを克服するためには、馬鹿みたいなエネルギー源が必要だった。
これに比して中性子ビームは、高性能炸薬よりも低密度の物料(たとえば大気)によっては捕えられず、地磁気からも影響されないで直進を続ける。したがって、遠達させるためにエネルギー源を巨大化する必要はない。
ちなみに、ICBMの核弾頭は、爆発するまでは、バナナと同じくらいのガンマ線しか外に出していない。ゆえにパッシヴ方式で遠くから探知する方法は、なかったのだ。
次。
ストラテジーペイジの2018-8-9記事。
シリアで露軍が学んだこと。
最新型の対戦車ミサイルでも、走行中の車両にヒットさせることは、容易ではない。
露軍の戦車隊の最近の戦技。「車懸りの陣」。10両の戦車〔つまり中隊か〕が、回転木馬のように円を描いて廻る。そして、敵方から見て、円周の横端に位置した戦車が、敵に発砲する。
なんでそんなことをするのかというと、全周に対して敵ATM陣地を警戒するためだ。
このあたりにはもうATMの脅威は無い、とみきわめられた時点で、はじめて、全戦車が、正面の目標(敵車両や歩兵陣地)に集中して交戦する。それまでは、ひたすら側方や後方のATM警戒に精力を割くべきなのだ。
もし中隊の1両が敵ATMによって擱坐させられたら、全中隊はその1両を円陣の中に取り込んで守る。
シリア軍に供与されている戦車は、行進間射撃をしても当たらない三流品なので、ゲリラの特攻車両に対して、特別な防禦陣を採用している。
すなわち土を盛って防弾堤を築城し、その壁の後ろ側に戦車を隠す。ただし戦車砲による反撃ができる「狭間」の切り欠きは設けてある。
もちろん発砲したらすぐ、その「窓」から離れる。
ゲリラは、ATMと自爆トラックを併用するようになっている。
築城だけが、それを無力化できる。
投稿者: 兵頭二十八
ベネズエラのSPは対ドローン妨害法を知っていた。
Josh Abbey 記者による2018-8-8記事「Sea Mines in Amphibious Operations」。
これから流行る機雷。アクティヴ機雷。移動式機雷。スウォーミング機雷。
機雷輸出国は現在すでに20ヵ国ある。
ノルマンディ上陸作戦時、制海権があったにもかかわらず連合軍艦船は43隻も敵機雷によって撃沈破されている。
朝鮮戦争当時、北鮮は、元山港の前に3週間で3000個の磁気機雷を敷設した。
国連軍はその3000個のうち224個を除去して、上陸用の水路を啓開した。しかしその啓開のため上陸日は5日遅れた。また、4隻が機雷で沈められ、それによる死傷者は200人を超えた。
元山沖の3000個の機雷原は、国連軍の上陸は阻止できなかったが、残った2700個が国連軍艦船の進入できる海面をその後も局限し続けたため、ビーチヘッドへの補給活動は停滞し、かつまた、艦砲射撃が届く敵陣の範囲も狭められてしまっている。
機雷のメリットは広範にわたる。ある海面を真剣に掃海し始めたら、その次に何をしたがっているのか、敵にこちらの作戦企図がバレてしまう。
陽攻をしかけようとすればかなりの掃海部隊を別な海面へ派遣するしかなく、そんなことはとうてい無理なので、敵はやすやすと必要な防衛正面を正確に予測して、そこの海岸の守りだけに集中することができるのだ。
機雷が、築城や内線機動や部隊撤収のための時間を稼いでくれるのは、防者にとっての大メリットだ。
これらの機雷は小型でボロボロの漁船によって仕掛けられた。
巡洋艦『プリンストン』が機雷にやられたのは1991-2-18のこと。他に『トリポリ』も触雷した。
湾岸戦争でイラクは、1600個の機雷を、アルファウ半島からサウジ国境にかけて敷設した。
イラクが仕掛けた機雷を掃海するのには4~6日必要だった。作業を開始すれば上陸作戦の予告となるから、これは戦術的にはたいへんな余裕を敵軍に与えてしまう。もし24時間でその掃海を完了させたくば、米海軍が保有する全掃海艇の2倍数の掃海艇が必要だった。
米海兵隊は、クウェート海岸への敵前上陸作戦を実行すれば、イラクの機雷のせいで3000人から5000人が死傷すると見積もった。
※これが事実なら海兵隊はほんとうに要らない。ヘリコプターで陸軍歩兵を輸送した方がよっぽどスピード決着する。
WWII後、米艦船15隻が触雷している。うち、掃海艦は4隻のみ。
次。
Kathy Gilsinan 記者による2018-8-7記事「America Is Not Ready for Exploding Drones」。
ヴェネズエラの大統領の隣に並んでいたのは、女房と高官たち。
自爆コプター(じばこぷたあ)は、空中で炸裂したらしい。複数機。
国家元首を狙った自爆ドローンによるテロとしては、これが世界史初である。
ISがモスルでドローンを偵察用に飛ばしていると報告されたのが2014夏のことだった。
2016秋には、イラク北部で、撃墜したISの爆装ドローンを点検していたクルド兵2名が、炸薬の爆発によって死亡した。
メキシコの麻薬カルテルが、爆発しないようにした手榴弾をドローンに結び付けて地方警察署長の私邸に墜落させ、脅迫した事例もあり。
2017夏には、ウクライナの弾薬集積所に、爆装ドローンが突入して、(カイル・ミゾカミ記者によれば)数十億ドルの損失が生じたと。
ヴェネズエラの内務大臣いわく、このたびの2機のドローンは、2ポンドのプラスチック爆弾を抱えていた、と。
比較すると、米軍の固定翼無人機リーパーは、500ポンド爆弾複数を抱えた状態でほぼ1日滞空できる。
ヴェネズエラのジバコプターは殺傷力よりも群集パニック喚起力があることを、示した。
米国カリフォルニア州では、1機の民間ドローンが電線を切ったために2017夏に停電が起き、1000人に迷惑をかけたと。
また2017-11に、加州でひとりの男がフットボールスタジアム上にドローンで政治ビラを撒いた。もちろん群集上を飛行させることは違法であった。
NFLの幹部いわく。民間ドローンの厄介なのは、それを操っているのが真正の極悪テロリストなのか、もしくはただの趣味人なのか、判別つけ難いことである、と。
法令では、ドローンは登録されねばならず、ナンバープレートのようなものも義務付けられている。しかし、それを飛行中に地上から識別することなど不可能である。
ヴェネズエラの警備当局はあきらかに、ドローンに対して電波ジャミングを試みた。
しかし米国内法では、違法ドローンを撃墜することが合法ではない。
すでにアマゾンで『日本転覆テロの怖すぎる手口』を注文可能ですぜっ!
ぜんぜん関係ないのですがわが国では大学の医学部の偏差値が年々高くなる一方なのだという。
そしてその説明としては、〈親たちが頭のよい息子に、倒産リスク等のない安全なエリート人生を送らせてやりたいと願っているから〉――なのだという。
オイ、そんなの嘘に極まってるだろ?
親たちが後期高齢期に達したときに、随時に息子に医療相談をしたり、安価に息子の手による施療をしてもらいたい――と願っているだけじゃろう。
完全に親の都合ですよ。
医業の世界も、パワハラ、巻き込まれ型スキャンダル、自業自得スキャンダル、学部長や病院長といった枢要ポストが得られぬ憾み……それこそなんでもアリのはず。
さすがに失職して路頭には迷わんだろうけれども、カネや事業継承の心配は終生つきまとうだろう。激務からのがれられなくなるコースにはまる率も小さくはない。誰がそれを安楽と言うのか。
しかし、親はとても安心する。これが最大の功利だ。というか、唯一の功利だ。
教育勅語が消滅してくれたと思ったら、自然に、『孝経』が復活した。
次。
John Watts および Christian Trotti 記者による2018-8-6記事「Stealthier Tanks Are On The Way」。
グラフェンでシートを造ると、戦車が輻射する赤外線を大幅に抑制できるという。
さらに動力を内燃機関ではなく電池とすれば、熱線輻射そのものも低減する。
次。
ストラテジーペイジの2018-8-7記事。
7月20日の事件。ハマスはイランから供給されたAM-50という12.7ミリ口径の狙撃銃を使って、国境フェンスの向こう側のイスラエル兵を射殺した。
ガザ地区には2013年後半から、シュタイヤー=マンリッヒャー社製の「HS50」という12.7mmの狙撃銃が持ち込まれていた。しかしそれがイスラエル兵に向けて発射されたことはこれまでなかった。
イランは2006年に、オーストリーから800梃の「HS50」を輸入していた。
発注されたのは2004年であった。
イランは、その武器を、アフガニスタンやパキスタン国境で麻薬密輸を阻止する警備のために使うのだと説明していた。だから武器禁輸されていたイランなのに、買うことができた。
しかし2007年には、イランからこの「HS50」を供与されたゲリラが複数の米兵を射殺した。
「HS50」は単発銃だ。弾倉は無い。1発づつ、指で薬室にこめる。銃は重さが12.4kgもある。全長137センチ、銃身長は833ミリである。
狙えるレンジは1500m。
これをイランは2013年までにコピーして「AM50」と命名している。
AM50はバレルが長く、933ミリある。全長も148センチと長いが、全重は逆に軽い。12.2kgだ。
すぐに、三発入りの弾倉を備えた新型も登場した。
最新の「HS50 M1」だと、5発マガジンである。
有効射程は1200mと謳われている。
このクラスの狙撃銃になると、品質管理された弾薬と精巧な照準器を用いるかどうかで、有効射程はガラリと変わってしまう。低廉な自家製弾薬と原始的な照準器でも1200mまで狙えるという意味だ。
イランに狙撃銃を売ったオーストリーのメーカーは米国から制裁を受けたものだから、あわてて、イランへ売った全製品のシリアル番号を米政府に教えている。ちなみに中共の6社もイランへ武器を売った咎により米国から制裁を喰らっており、米国内で商品を売ることができない。
HS50がイランに売られたときの単価は6000ドル強だった。闇市場では、その2倍以上で取引されている。
北海道の夏が、もう終わっちまった……。
こう凉しくっちゃよぅ……と、かこちたくなる、昨日今日の陽気……。
ある年の夏ピーク(7月末~8月初)がいくら暑く感じられても、その年末からの冬シーズンが緩和されるとは限らないことを、この地方の住民なら知っている。
それどころか、むしろ、今まで以上の過酷な厳冬が来ることを、もうすでに敏感に予想しているのである。
おそらく長期的には、日本列島は、極熱地と、非極熱地に分かれる。
温暖化と寒冷化が、同時に日本を襲う。北海道は寒冷化にさらされる。
それにともない、日本市場で販売される自動車の断熱仕様を、これまでとはすっかり変えなくてはなるまい。
非極熱地仕様の自動車は、やはり北海道で製造するのが合理的である。北海道からならば、最短航路でカナダへも輸出できるから。
そのように工場を二地域で思い切って分離するなら、断熱仕様だけでなくて、基本レイアウトも、根本から寒地向きにしてしまえる。
極寒地用には、ミッドシップエンジンが、具合がよくなるかもしれない。
エンジン停止後の熱量をすこしでも多く、長く、保存利用できるとすれば、ガス欠で凍死する人だって、減るだろう。
また早朝の始動も、いささか安心かもしれぬ。
次。
Vanya Eftimova Bellinger 記者による2018-8-6記事「Clausewitz’s Library: Strategy, Politics, and Poetry」。
クラウゼヴィッツと出身地を同じくする例の研究家女史がまたも大発掘。ポツダムの公文書館にマリーの遺言状があった。そこには、夫妻の遺産である蔵書の総目録も付属していた。
1831のクラウゼヴィッツの病死に続き、マリーも子無しにて1836に没したことから、役所としては細密な資産目録を作る必要があったのだ。
1836時点での夫妻の蔵書は380冊であった。
すでに、その蔵書リストの英語版が、ネット上に公開されている。
まず驚くのが、蔵書の数の少なさだろう。たったの380冊なんてありえるか?
たとえばマリーの実父はドイツの一小邦の首相だったが、その蔵書は6万2000冊あった。
また、裕福であったジョージ・ワシントンの死亡時の蔵書は1200冊強。マウントヴァーノンに現在までも実物が保存されている。
まちがいなくマリー未亡人は、亡夫の知友に亡夫の蔵書の大部分をプレゼントしてしまったのだ。それが当時の慣行である。
ピーター・パレットは示唆する。1818から1830までクラウゼヴィッツは陸軍大学校〔クリーグスアカデミー。直訳すると「戦争アカデミー」〕の校長であった。その付属図書館は欧州最大級の軍事蔵書量を誇っていたのだから、私物として所有する必要はなかったんじゃないかと。
1815にクラウゼヴィッツは夫人に手紙を書いており、その中で、ヴァンデ叛乱についてのロシュジャクランによる回顧録の読後印象を語っていた。しかしその書名は、このたび発掘された遺品リスト中には見えない。
このような例を幾つも挙げることができる。
図書館や友人から借りて読んだのだとすれば、それらを所有していないことの説明になるだろう。
ジョミニの著作が1冊も目録に含まれていないのも不審である。
リストにはこんなものが含まれていた。
ヴォーバンの築城書。
モンテクコリの回顧録。
ドゥサクスの研究。
カルノーの工兵教範。
師匠であったシャルンホルストが書いた野外令/統帥綱領。
クリーグスアカデミーは科学と数学に力を入れている軍学校だった。ゆえにクラウゼヴィッツの個人蔵書遺品にも、数学、地学、物理学、天文学のタイトル多し。
フムボルトの2冊の本あり。
鉱物学、火砲の射表の較正、化学、地図作製学、複数の植物学の本。
電磁学についての1821年のパウル・エルマンの論文は、おそらく、激情と機会と理性が戦争の性格を形作る三つの磁石だというクラウゼヴィッツ流メタファーに貢献した書物のひとつなのだろう。
オスマントルコの探訪記、コサック史、クリミアの地理、アフリカの地理、西インドと東インドの植民地化史、ペルシャ諸王紀などもあり。
1805刊の『手紙の書き方』は、マリーの所属階層に自己を合わせようとした若いクラウゼヴィッツ大尉の必死の努力を窺わせる。
国家学、政治学、国際法と国内法、外交についての文献は1815以後に蒐集していることが分かる。
商業、経済、税金の本もある。
クラウゼヴィッツは1818年時点では『戦争論』をモンテスキューに倣ってまとめようと想っていた。
蔵書には、全12巻からなるフランス哲学者全集が含まれている。
※ルソーの単行本は早々と処分していたはずだ。しかし全集の形状ならば、持っていても変に疑われない。
フィヒテの本は2冊。
エラスムス集もあり。
ゲーテとシラーの文学作品が数冊。夫妻の好みが分かる。
380冊のうち100冊が文芸書なのだ。
ホメロス、ヘシオドス、シェークスピア、バイロン、トマス・モア、ノヴァリス。ヘルダーによる文学史叢書全32冊。
クラウゼヴィッツはスイスで詩人のシュレーゲルらにも会って話を聞いている。
英語で書かれている本もかなりある。それらはマリー夫人が購入したものに違いない。夫人の実母が英国外交官の娘であった関係で。
ベルリンでマリーは、将来の米大統領となるジョン・クインシー・アダムズおよびその妻ルイザとも知り合いだった。
マリーは個人的にバイロン卿の詩を愛好。またバイロンの影響でギリシャ独立運動も支持した。
刊年からして、夫の死後に夫人が買ったらしい書籍も含まれている。ほとんどはシラーなどの文学系。
夫妻は敬虔なキリスト教徒らしくはなかったのに、多くの宗教書もある。
1820年代にプロイセンには敬虔運動が流行し、夫妻の友人たちの多くがそれにハマっていた。
あるいは夫人が亭主の急死後に慰安を模索したのかもしれない。
シュライエルマッヒャー、マルチン・ルターなどの宗教書は、クラウゼヴィッツが戦争と倫理の関係を考究しようとしていたことの証拠なのか?
料理の本もなぜか1冊あった。
しかしマリーは生涯、じぶんで料理したことはないはずである。
この料理本は、誰かが夫妻にプレゼントしたのかもしれない。
低温ゆえ腐葉土化してない地中堆積層の潜行的な延焼は、消火しようがない筈。
Kyle Mizokami 記者による2018-7-26記事「Sweden Dropped a Laser-Guided Bomb on a Forest Fire」。
スウェーデン空軍は2機のグリペンからGBU-49 レーザー誘導爆弾を投下することによって森林火災を消そようと試みた。クリスマスケーキの蝋燭を吹き消すのと同じ効果を期待した。
スウェーデンの山火事は2週間燃え続けていて、アルヴダレン地区に近づいた。そこは陸上から消防隊の近づき難い僻地にあり、かつまた、古くからの射爆場である。不発弾を踏む恐れがあるから、もしアクセス容易であっても、消防士など投入させてよい場所ではない。
グリペン戦闘機は、高度9800フィートから、1発の誘導爆弾を投下。着弾点から半径100ヤードの炎は、吹き消されるという。
GBU-49は、500ポンド爆弾である。誘導は、レーザーにもGPSにも切換が随意。
レーザーは煙に弱い。GPSは敵のジャミングに弱い。レーザーは移動目標を執拗に最後まで精密に追える。GPSは爆弾をリリースしたら母機はすぐ空域から離脱していい。それぞれ一長一短あるので。
※どう考えても戦闘機から高額な誘導爆弾を落とさねばならぬ必然性は無く、また、たかだか500ポンド×2発で山火事が消えたはずもない。ただの通常の射爆訓練を「消火」と称してみただけなのであろう。しかしそれを大真面目に報道させている当局は、いったい何を考えているのか。もともとスウェーデン人にも部分的にイカレたところがある。暑さでそれが発現するのか。
1935年のこと。ジョージ・S・パットン将軍が、ハワイのマウナロア火山の溶岩噴出を止めようと、同火口を爆撃させたことがあったという。たぶん失敗しただろうが。
次。
ストラテジーペイジの2018-8-5記事。
エストニア人はフィンランド人の同類で、言語も近親。エストニアは、スラブ人の国々の中に浮かぶ孤立圏なのである。
20世紀初めに、フィンランドとエストニアは合邦したらよいのではないかと話し合われたこともあった。が、バルト海によって分断されている地勢のために、まとまらなかった。
首都のタリンに総人口の半分が暮らす。
タリンとヘルシンキの間の距離は87kmである。
エストニア人はタリンの放棄はできない。だから同市を「バルト海のスターリングラード」として徹底抗戦するつもりだ。
露軍の軍事雑誌には、そのようにして要塞化された敵国都市をいかにして征服したらいいかという研究文がすでに寄稿され出している。
彼らも、未来戦は市街戦だという認識なのだ。
12式地対艦ミサイルのコンテナ1個を、手押し式の「台車」×2台に載せることはできるか? ……できる。
先島群島で必要としている装備は、それだ。
手押し台車は、完全人力のみでの陣地進入を可能にするものだが、もし山を越えて何kmも移動したいときには、小型ジープやオートバイでゆっくりとロープ牽引したっていいだろう。
ミサイル本体1発が700kgということは、旧軍の1式機動47mm対戦車砲の800kgより軽い。今日ではノーパンクタイヤもベアリングも進歩した。四一式山砲580kgを分解して臂力でオーエンスタンレー山脈やアラカン山系を越えたことを想えば何でもない。
12式ミサイルのコンテナ1個と手押し式台車、さらに発動発電機や通信機や必要人員とをぜんぶあわせても2トン弱というところだろう。もっといろいろ欲張っても3トンで収まる。
すなわちチヌーク×数機が1往復するだけで、コンテナ4本と管制システム一式を離島へ急速に送り込める。
それがもし隣接した島嶼間の移転であったならば、CH-47ではなくUH-60を飛ばしても可能なわけだ。
台車にはエレクターがつかないから、発射するためには土工によって生地に「斜堤と壕」を適宜に築城せねばならない。これは兵隊を先行させて掘開させる。もちろんバラクーダを展張したその下でだ。そこに追及してきた手押し台車が陣地進入し、放列布置する。
この「手押し式台車」を部隊において工夫してみるのに、経費は数万円で足りるはずだ。
砲兵精神を発揮し、すぐにやるべし!
次。
Sydney J. Freedberg Jr. 記者による2018-8-2記事「Army, NASA Want Laser Micro-Satellites For 50 Times The Bandwidth」。
米陸軍は、地上部隊と衛星との間の通信をレーザー化することで、ロシア軍や中共軍の執拗な通信妨害を確実に回避したい。
これを、こんどはNASAと協働で、マイクロサットを使って実現する。
げんざい、米陸軍の旅団司令部は、実戦想定の演習において、毎秒2メガビットの衛星リンクを頼りにしている。旅団は4000人からなる。
かたや、市販のスマホは、毎秒70メガビットをやりとりできる。
いかに衛星通信というものが苦しいかがわかるだろう。
そこで、レーザーですよ。
NASAは、光学通信およびセンサーのデモンストレーション「OCSD」を実施する。LEOをペアで周回させる「AeroCube-7B」および「AeroCube-7C」(どちらもきっかり5ポンドの軽さ)。そこから発射されたレーザービームを、地表において受光する。
比較してみよう。かつてのペンタゴン主導のTサット計画。
たった5機の通信衛星に260億ドルかけようというイカレたものだった。2010年の中止時点で15億ドルが消えていた。
あらためて提案されているキューブサットは、レーザービームの向きを調節する可変反射鏡を搭載しない。
そのかわりに、衛星そのものが体位を変える。精密な天測によって、「四十分の一」度の精度で、地表の一点に一面を正対させるのである。今までの最も精密な通信・放送衛星でも、この照準角度の精度は1度であった。1度では、地上部隊の可搬式アンテナとレーザー光によって通信を維持することは不可能であった。
姿勢制御は、旧来のロケット燃料を燃やす方式ではない。そのかわりに、少量の水をスプレーし、その反動を利用する。
この実験、宇宙から地上に対し、レーザーでば毎秒100メガビットを送信する。
これは、同サイズのキューブサットが電波を用いた場合の50倍のビット量。電波通信では、せいぜい2メガビット/秒なのだ。
NASAの専門家は言う。軌道高度を調節するシステムを改善すれば、このバンドワイドスは2.5ギガビット/秒かそれ以上までも向上するであろう、と。
ちなみにT-SAT計画では、5機でトータル28.5ギガビット/秒を狙っていた。
もっかのところ、キューブサットは、衛星同士での通信はしない予定。これはT-SATとの大きな違い。
まさかLRDR導入により、日本版の対支GBI/GMDでも考えているのか……。
Tyler Rogoway 記者による2018-8-1記事「Navy’s Old Harpoon Anti-Ship Missile To Get New Tricks After Scoring Six For Six At RIMPAC」。
SINKEX2018では2隻の廃艦がターゲットに供された。1隻は『ラシン』。もう1隻は『USS McKlusky』である。
リムパック2018では総計6発のハープーンが発射された。そのうちの何本かが、上記2隻に向けられた。
発射プラットフォームは、米海軍のP-8、豪州軍のP-8、シンガポールのフリゲート『RSS Tenacious』、そして米海軍のロサンゼルス級SSN『オリンピア』であった。
洋上の『テナシアス』からは7-21に2本、発射されたようである。
『オリンピア(SSN717)』からの7-27の水中発射は特に注目された。というのも米SSNは過去20年以上も、ハープーンを発射したことがなかったのだ。
今日、ハープーンのユーザーは30ヵ国強。
そして、40年選手であるハープーンの最新型は「ブロック2+」。特に、入り組んだ沿岸域で運用しやすくしてある。飛翔中に双方向通信が確保されるのだ。 ※しかし双方向通信は潜水艦向きじゃないよね。
また、雨に強くなった。※いままでは弱かったってこと? 船がスコールに突っ込んだら、かわせたのか?
これまでのハープーンの総生産数は8000本に近い。
以下、米海軍ニュースのインタビュー記事にて太平洋艦隊の潜水艦隊司令のコードル中将が語ったこと。
潜水艦からハープーンを発射する訓練ができる海域はカウアイ島沖。
計画では空軍のLRASMの次にオリンピアがハープーンを放つ予定だったが、空軍側で不調が生じたために、オリンピアが先に発射することになった。
また、Mk48魚雷は別の廃艦に対して発射される計画だったが、いろいろ変更があり、やはり同じ日に同じ標的に対して『オリンピア』から魚雷も射つことになった。
魚雷はクロース・レンジで射つ手筈ゆえ、ハープーンより射点が縮まる。ゆえに、移動してから射った。
魚雷の方には実用頭部が付いていた。『ラシン』のキールは折れ、2時間後に水没した。
LRASMも1発発射されたという事実は、このインタビュー中にとつぜん、明かされた。
米海軍としては、ふたたびハープーンをSSNに搭載するかどうか決めねばならぬ。 ※これまでは搭載してない?
ハープーンの射程は今は80海里=148kmだが、ボーイング社はその射程を2倍に延ばすER型も開発中である。
これは弾頭重量を現行の500ポンド〔226kg〕から300ポンド〔136kg〕に削減することで、燃料を増やして実現する。
米陸軍は、地対艦ミサイルとして何を買うか、まだ決めていない。ハープーンのブロック2+ERは、買い物候補のひとつだ。
※逆に「12式」を日本から米陸軍に対して売り込めるかもしれないわけなのか。ハワイではそのデモをやってしまったのか。グレイ・イーグルとのリンクは完璧だったようだしな……。
真の友人あらわる。
Dan Leaf 記者による2018-7-30記事「Japan’s risky Aegis Ashore radar choice」。
日本が地ージス用にLRDR(Long Range Discrimination Radar)を選んだのは、リスキーな大博打だ。
米国は海外でLRDRを使う気はない。あくまで従来のAN/SPY-6レーダーのの改善だけを続ける。ルーマニアやポーランドもこれだ。
唯一、米本土外で、日本だけが、ABMシステムとしてのインテグレーションが取れるかどうか、その証明も実験もされていない開発中の新奇レーダーを採用しようというのだ。それでABMになるのか? 何を考えているのか?
LRDRは、完成そのものが遅れるだろう。そのあとでBMDとのインテグレーションに入る。いったい何年かかるかわからない。2023年のシステム運開など、間に合うわけはない。
これは何を意味するか。かなりの長期にわたり、日本は地ージスを対北鮮の「圧力」としては少しも役立たせ得ないことを意味するのだ。
米海軍は30隻以上のイージス艦を持っている。そのレーダーも AMDR AN/SPY-6 になる。LRDR になんかならぬのである。つまり日本だけが米同盟国の共通システムからは外れてしまうことになる。
SPY-6は、何十年もの実績があるSPY-1の発展型である。だから信頼できる。ところがLRDRには、先行するシステムも実績も何も無い。カタログスペックだけがあり、それが実用的なのかどうかは、誰も知らないのだ。
BMDの新システムを実戦で使えるようにするには、無数の迎撃テストを繰り返すステップが不可欠である。それには天文学的なカネがかかる。そのカネは誰が負担するのか? もちろん、その実験だけで、時間が何年もかかってしまう。今そこにある脅威には、すこしも対処し得ないお荷物が、なぜ日本政府の選択なのか?
ABMを実戦本番で失敗するということは致命的なのだ。だからどこの国でも、実力が証明済みの、長年頼られてきたシステムだけに頼る。日本は何を考えているのか?
ロイター報によると日本政府がLRDRを選んだ理由は、ライフサイクルコストが最も安くなるからであるという。耳を疑う説明だ。
これから完成させる武器システムのトータルコストをどうして日本政府は予言ができるのか? ABMの新システムなら、開発予算も調達予算も天文学的に膨れ上がるというのが、既往からの常識ではないか。まして買い手は日本しかないのだ。
日本は考え直した方がいいだろう。
LRDRは米本土防衛のために設計されているものなので、日本の地ージス用にはほとんどふさわしくないのである。
記者は元空軍中将でパコムの副司令官だった。出身は戦闘機パイロット。
※日本国家にとって真の友人とはこういう米軍人のことだろう。降って湧いたこのLRDR構想は、ごく簡単にいうと、カナダに置かれているDEWL(遠隔早期警戒線)の日本版だと思う。非常にカネもかかるので、それを日本で負担してくれと外務省が要求されたんだろう。「北鮮は無力化するから地ージスそのものが無用。だったら巨大レーダーを置け」と言われたんだろう。またも「赤紙」だ。DEWLの刷新構想について知りたい者は、Vivienne Machi記者による2018-7-27記事「United States, Canada Studying Options to Replace Arctic Early Warning Radars」があるからそれを読め。俺は本日は暑くなる前に『すずかぜ』の見学に(一無名人として)行きたいゆえ、こんなもの抄訳している暇は無いのだわ。ともかく、米本土防衛のために、日本領土に最強レーダーを置かせろ、という話に変わっちまった。あくまで米国が、中共や北鮮発のICBM/SLBMを最前縁(日本列島)で見張りたいというだけなので、それならば経ヶ岬と車力のXバンドレーダーを置き換えたらいいだけの話のようにも思う。時間がないので良いアイディアを述べる。『こんごう』のような古目のイージス艦のCICと上構を切り取り、それを道南の狩場山のような僻地の国有林上に据えれば、北方の地ージスは一丁あがりだろう。西日本は呉のイージス艦でカバーができるからぜんぜん急がなくてもいい。これまた古いイージス艦を「バージ」に改修して、軍艦ではなく「浮体」です――ということにしちまえばいいだけ。それで海自のフネの定数にも影響が及ばない。とりあえずロシアが地ージスを厭がっているという朗報があるから、北方だけは絶対に進めるべきだ。
函館湾内にも冬に海面結氷する一角があると初めて承知した。某タンク前。
Doug Livermore 記者による記事「Lessons of Covert Action in Tibet (1950-1972)」。
1950年から72年にかけ、CIA、米国務省、国防総省は、隠密裡にチベットの抵抗運動を支援した。
CIAはSADという工作チームを実際にチベットへ送り込んだ。レジスタンスを支援するため。
SADは見込みのある闘士を選別し、こっそりとサイパン島やコロラド州のキャンプヘイルへ連れ出して、そこで、爆破、秘密通信技法などのゲリラ・スキルを付与した。
また、ネパールとインド領内からもSADが後援するチベット人ゲリラを作戦させ、中共軍によるチベット人虐殺と、さらなる南アジア方面への侵略を牽制している。
このCIAの作戦を1972に中止させたのはニクソンである。ニクソンは中共との関係を改善しようとした。
このCIA作戦は、トータルでは収穫があった。
特にコミュニズムのインド浸透を防いだことだ。
中共軍の戦争資源を消耗させ、シナ人に力の限度を思い知らせ、占領域の拡張を許さなかった。
CIAがチベットを泥沼化させてやったおかげで、他の諸国は中共からの侵略を免れたのだ。
1959のCIAの試算では、中共軍はチベット戡定のために6万人の兵隊と、連日256トンの物資補給を吸引されつつある。
1959のダライラマ一党のインド亡命は、CIAが手引きしてやった。
毛沢東は1949から50にかけてソ連に長期滞留し、アジア解放のリーダーは俺だということを認めさせていた。
CIAは、年にたったの170万ドルのコストで偉業を成し遂げたりと、自画自賛している。
ダライラマは1972のニクソンによる支援打ち切りについて1998のインタビューでさまざま不平を述べている。
※もしダライラマ一派に戦闘精神があれば、朝鮮戦争中にトルーマンから有力な「反支解放軍」に仕立ててもらって、朝鮮戦争の第二戦線がチベット内にできあがり、武装独立もできたはずである。何年経っても戦闘精神がなく他力本願だから、米政府からは見切られた。自業自得の因果応報耳。
1953にイランのモサデク政権を転覆させたのもSAD。1954のグァテマラ政変もSAD。
次。
Richard Sokolsky 記者による2018-7-31記事「A Road Map for Demilitarizing North Korea」。
国務省の2016統計によれば、北鮮は2005年から2015年のあいだ、平均して、1年に37億ドルを軍事費として支出した。それはGDPの23%にも相当している。
北鮮には180の武器工場がある。うち40は大砲の工場。10はAFV。10は海軍艦艇工廠。50は弾薬工場である。
民需用である115の工場も、軍需品生産に貢献している。
過去に北鮮は、2箇所の軍用飛行場を民用に転換させた。元山にあるカルマ飛行場とサムジヨン飛行場。同地の観光開発のためであった。
なぜ不燃のグラスウール等じゃなくて、可燃のウレタンをわざわざ詰めた? 計画段階からおかしいだろ。
Ryan Heath and Andrew Gray 記者による2018-7-27記事「Beware Chinese Trojan horses in the Balkans, EU warns」。
西バルカン諸国は、中共流の統制経済がお好みである。
先週トランプは、モンテネグロ国民が第三次世界大戦の引き金になるかもしれないと言った。
隣国のセルビアは2014からEU加盟交渉を開始していて、モンテネグロとともに2025にはEUメンバーになりそうだ。
両国ともに、元ユーゴスラビア。
しかしフランスのマクロンは、西バルカン諸国を現状のままEUに加盟させたくない。
フランス政府は、組織犯罪や腐敗文化が根付いている後進国をEUに加えたくないのだ。
来年の欧州議会選挙の前には特に。
だから6月には、アルバニアとマケドニアをEUに入れるかどうかの議題を先送りした。
コソヴォと、「ボスニア&ヘルツェゴヴィナ」をどうするかの話は、EU内では、最も先送りにされている。
コソヴォはセルビアから分離していらい、セルビアとの紛争を続けている。かつまた、コソヴォ政府の財政が関税に依存しすぎている。その流儀のままでは、欧州単一市場にまぜてやるわけにいかない。
次。
Eric Berger 記者による2018-7-27記事「After 25 years, military told to move from “expendable” to “reusable” rockets」。
1960年代と70年代を通じ、米軍は、その衛星の打ち上げを、ICBMから発展させた宇宙ロケットに依存した。ひとつはロックマートのアトラス系列。もうひとつはボーイングのデルタ系列である。
70年代後半、空軍はNASAと協働でスペースシャトルを開発した。1982-6以降、それを使って軍用衛星が打ち上げられるようになったが、86年の大事故の結果、シャトル事業は終わった。
空軍はアトラスとデルタの性能向上と価格削減を両メーカーに求め、その改善のために30億ドルを与えた。
にもかかわらず90年代を通じ、アトラス系も、デルタ系も、ロシア製もしくは欧州製の宇宙ロケットに価格で競争ができなかった。
割高だけれども発注してくれる、米政府の秘密衛星事業だけが、両ロケットの収益だった。
そこでペンタゴンが斡旋に乗り出した。ロックマートとボーイングの宇宙ロケット部門をそれぞれ切り離した上で合併させ、ULA(United Launch Alliance)社を発足させたのだ。
資本比率は両親会社で50:50。
スペースX社を手掛けるイーロン・マスクは、これは独禁法違反であるとして2005に提訴した。
※日本のNHKビジネスは独禁法違反だとして訴えるやつがいないのは何故だ? 日本の法曹界が愚劣だからです。
マスクは訴訟では敗れたが、スペースX社のリユーザブルな独自の宇宙ロケット「ファルコン1」の開発は進捗し、NASAとの契約も勝ち取り、国際宇宙ステーションに物料を補給するための「ファルコン9」を完成させた。
このファルコン9をひっさげて、マスクはこんどは、ULA社と、米軍の衛星打ち上げ事業をめぐって競わんとす。
4年前、マスクは、米軍=政府がULA社ばかりに随意契約・発注しているのは違法だと提訴した。
この訴訟にスペースX社は勝利し、米空軍は、「ファルコン9」にも国家の秘密衛星を打ち上げる資格があると承認した。
ファルコン9の1段目が発射後の自律安着回収に成功したのは2015-12のこと。
ついで2017-3には、回収したロケットの再整備→再発射に初成功。
今日までに14回、再使用ブースターを機能させてみせた。
2018前半には、ファルコン重ロケットを試射。
コアにはファルコン9がリユースされていた。
ファルコン重ロケットは、げんざいの米軍衛星のあらゆる軌道投入に、対応できる。
よって、宇宙戦国時代が始まる。
次。ストラテジーペイジの2018-7-28記事。
中共海軍の艦上戦闘機「殲15」は、2013から量産に移ったと宣伝されているのに、今日まで、わずか30機未満しか製造されていない。
※つまり新空母1隻の搭載定数にすらも達していない。予備機、練習機、整備員用の練習機材の必要を考えると、戦力としてゼロ。