なぜ不燃のグラスウール等じゃなくて、可燃のウレタンをわざわざ詰めた?  計画段階からおかしいだろ。

  Ryan Heath and Andrew Gray 記者による2018-7-27記事「Beware Chinese Trojan horses in the Balkans, EU warns」。
   西バルカン諸国は、中共流の統制経済がお好みである。
 先週トランプは、モンテネグロ国民が第三次世界大戦の引き金になるかもしれないと言った。
 隣国のセルビアは2014からEU加盟交渉を開始していて、モンテネグロとともに2025にはEUメンバーになりそうだ。
 両国ともに、元ユーゴスラビア。
 しかしフランスのマクロンは、西バルカン諸国を現状のままEUに加盟させたくない。
 フランス政府は、組織犯罪や腐敗文化が根付いている後進国をEUに加えたくないのだ。
 来年の欧州議会選挙の前には特に。
 だから6月には、アルバニアとマケドニアをEUに入れるかどうかの議題を先送りした。
 コソヴォと、「ボスニア&ヘルツェゴヴィナ」をどうするかの話は、EU内では、最も先送りにされている。
 コソヴォはセルビアから分離していらい、セルビアとの紛争を続けている。かつまた、コソヴォ政府の財政が関税に依存しすぎている。その流儀のままでは、欧州単一市場にまぜてやるわけにいかない。
 次。
 Eric Berger 記者による2018-7-27記事「After 25 years, military told to move from “expendable” to “reusable” rockets」。
       1960年代と70年代を通じ、米軍は、その衛星の打ち上げを、ICBMから発展させた宇宙ロケットに依存した。ひとつはロックマートのアトラス系列。もうひとつはボーイングのデルタ系列である。
 70年代後半、空軍はNASAと協働でスペースシャトルを開発した。1982-6以降、それを使って軍用衛星が打ち上げられるようになったが、86年の大事故の結果、シャトル事業は終わった。
 空軍はアトラスとデルタの性能向上と価格削減を両メーカーに求め、その改善のために30億ドルを与えた。
 にもかかわらず90年代を通じ、アトラス系も、デルタ系も、ロシア製もしくは欧州製の宇宙ロケットに価格で競争ができなかった。
 割高だけれども発注してくれる、米政府の秘密衛星事業だけが、両ロケットの収益だった。
 そこでペンタゴンが斡旋に乗り出した。ロックマートとボーイングの宇宙ロケット部門をそれぞれ切り離した上で合併させ、ULA(United Launch Alliance)社を発足させたのだ。
 資本比率は両親会社で50:50。
 スペースX社を手掛けるイーロン・マスクは、これは独禁法違反であるとして2005に提訴した。
 ※日本のNHKビジネスは独禁法違反だとして訴えるやつがいないのは何故だ? 日本の法曹界が愚劣だからです。
 マスクは訴訟では敗れたが、スペースX社のリユーザブルな独自の宇宙ロケット「ファルコン1」の開発は進捗し、NASAとの契約も勝ち取り、国際宇宙ステーションに物料を補給するための「ファルコン9」を完成させた。
 このファルコン9をひっさげて、マスクはこんどは、ULA社と、米軍の衛星打ち上げ事業をめぐって競わんとす。
 4年前、マスクは、米軍=政府がULA社ばかりに随意契約・発注しているのは違法だと提訴した。
 この訴訟にスペースX社は勝利し、米空軍は、「ファルコン9」にも国家の秘密衛星を打ち上げる資格があると承認した。
 ファルコン9の1段目が発射後の自律安着回収に成功したのは2015-12のこと。
 ついで2017-3には、回収したロケットの再整備→再発射に初成功。
 今日までに14回、再使用ブースターを機能させてみせた。
 2018前半には、ファルコン重ロケットを試射。
 コアにはファルコン9がリユースされていた。
 ファルコン重ロケットは、げんざいの米軍衛星のあらゆる軌道投入に、対応できる。
 よって、宇宙戦国時代が始まる。
 次。ストラテジーペイジの2018-7-28記事。
   中共海軍の艦上戦闘機「殲15」は、2013から量産に移ったと宣伝されているのに、今日まで、わずか30機未満しか製造されていない。
 ※つまり新空母1隻の搭載定数にすらも達していない。予備機、練習機、整備員用の練習機材の必要を考えると、戦力としてゼロ。


管理人より  兵頭本新刊[日本転覆テロの怖すぎる手口]の表紙の写真が手に入りました。

管理人より
こんにちは。
本日は28日。兵頭ファンにとっての祭日ですよ。
待望の兵頭本新刊 PHP新書[日本転覆テロの怖すぎる手口](2018/8/16発刊予定)の写真が手に入りましたので[お知らせと更新情報]で共有しておきます。
http://osirase28.sorceress.raindrop.jp/?eid=96
私は今月大阪へ転勤になりました。8年ぶりくらいに関西に住んでおります。
皆様良い週末をお過ごし下さい。


けっきょくHIMARSはただのデモ試射だったようだ。

 朝雲新聞によれば、米陸軍のHIMARSは海に向けて放っただけという。北朝鮮かよ!
 次。
 Leo Shane III 記者による記事「Congress is giving the officer promotion system a massive overhaul」。
  このAI時代に米軍の人事機構改革がちっとも進まないのにシビレを切らした連邦議会が、斬新な制度を法令として押し付けることになった。
 メシの数ではなく、能力次第で高速昇進させる。
 「アップ・オア・アウト」=昇進せぬなら馘=の規則をなくする。
 民間人ながら軍がことのほか要求するスキルを持っている人材は、最高で「O-6」……すなわち大佐の初任階級でもって軍へ迎え入れる。
 今後の米軍人事では、「実役停年名簿」は無視する。将校が、ある階級になってまだわずか1年くらいしか経っておらずとも、有能であるならばドシドシ進級させてしまう。有能な人材の昇格を何年も待たせない。
 これらの準則は予算法とともに近々連邦下院で法令化されるので、四軍はこれを厭でも実施しなくてはならない。
 ただし四軍間には温度差がある。諸手を挙げて賛成しているのが海軍。内心で大反対なのが海兵隊。
 爾後は、余人を以て替え難いスキルを持つ将校は、昇進をしないで20年から40年も同じ階級・同じポストにとどまっていてくれても構わない。従来は、米軍将校は数年ごとに昇進をし続ける義務があり、昇進選考失敗=ただちに馘、だった。
 ※40年というのは少尉の場合である。万年少尉! 戦前だったら相当ヤバイ事故歴のある奴でも中尉にまではしてもらえたはずだ。三船敏郎の万年上等兵復員と同じくらいにインパクトがある話じゃろう。
 「アップ・オア・アウト」は原則維持させるが、その例外をもっと増やそうというのである。
 見習士官の全員が、末は海軍作戦部長(軍令部総長)か陸軍参謀総長を目指さなければならないなんて、おかしいのだ。
 前の国防長官、アシュトン・カーターはこう言っていた。ある日、フェイスブックのCEOであるザッカーバーグ氏を米軍に迎え入れたいと思ったとする。現行のシステムでは、軍は彼に初任で「O-2」、すなわち中尉の階級しか付与することができない。そんな馬鹿な話があるか。
 次。
 Sergey Sukhankin 記者による2018-7-26記事「Russia to Use Irregular Forces Against ‘Hybrid Threats’: The Case of Kaliningrad」。
        ロシア人のハイブリッド戦術とは、隣国政体を転覆させるのに、ロシアの正規軍を攻め込ますと同時に、隣国内に扶植しておいた味方の非正規兵力〔完全に違法〕を要所で蹶起させる。そったく同時の奇襲術。
 そしてインフラと通信手段をおさえることで他国領土を恒久占領する。
 あるロシア人による整理。
 非正規軍は、使える。
 ひとつには、住民の蜂起を鎮圧し無力化するのに使える。
 またひとつには、テログループとわたりあうのに使える。
 またひとつには、非常事態下での治安維持に使える。
 わが方のインフラ警備に使える。
 原発や工場等の産業系大事故の被害拡大抑制にもそれを投入できる。
 それを「新しいコサック」と呼んでもいい。
 ※ロシア流の自警団。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-7-26記事。
   露軍は『イワン・グレン』級の揚陸艦を建造中。1番艦がようやく就役した。
 この『グレン』型は、4100トンで未だ現役の古い『ロプチャ』型LSTを更新するものである。
 1番艦は2012に進水した。
 ただ、2016年の公試運転で問題が見つかり、改修を続けていた。
 2番艦は2019就役予定。
 1番艦の調子がよければ計4艦が建造される計画であったが、もはや3番艦の目は無い。
 『グレン』型は、全長120m、排水量6500トン。戦車13両または歩兵戦闘車36両と、歩兵300人を運送できる。
 時速30kmで巡航すると6500kmの航続距離。
 洋上には30日間、無補給でとどまれる。
 1番艦のコストは2億ドル。これには改修費用も含まれる。


もしAI操縦システムが発達すれば、ドライバーが酩酊状態でスポーツカーを運転しても、人をはねなくて済むようになる?

 これは酒を提供するすべてのショップにとって大朗報ではないだろうか?
 次。
 Sandra Erwin 記者による2018-7-24記事「No GPS? No problem, there are increasingly more options」。
    ロックマートが近未来に軌道投入する第三世代のGPSは、精度がいままでの3倍、耐妨害能力は8倍だという。
 しかし現行のGPSの電界強度は、携帯電話の無線電波の1万分の1である。これに頼るのは危険すぎるのだ。
    ケン・ゲブリエルは、元DARPAの副局長だ。
 角度計測センサーの精度が非常に向上したので、弾道ミサイルの場合、天測航法によってGPSの代用とさせる道が開けてきた。星だけでなく、軌道が既知で登録されている無数のデブリをも、この「天測」の対象として使える。
 米海軍のSLBMは、今日ではGPS受信機を内蔵していない。もともと最初のポラリスには利用できるGPS環境も無かったし。
 その代わりにINSと天測を利用して、ミッドコースの位置極めをしているのだ。
 海軍が開発中の、すごい「位置決め」システム。これはGPS電波に頼らず、他者が発する無線通信電波だけを頼りに、つまり「方探」の精度を超向上させることによって、洋上会合や空中会合等を精確に案内する。空中給油のランデブーもこれによってGPS無しで可能になる。
 ※F-35のパッシヴ方探の技術が転用されているものと想像できる。
 1機の航空機を実戦の前線に配備するまでにかかるコストの75%は、機上に搭載する器材類のインテグレーションを取るための手間なのである。アンテナもアビオニクスも増設の必要がない新システムは、歓迎されるだろう。
 次。
 Bill Murphy Jr. 記者による2018-7-24記事「After 10 Years Studying Sleep, the U.S. Military Just Revealed Something Eye-Opening About Caffeine」。
   CDCにいわせると、人は8~9時間の睡眠が必要。なのに米兵は平均して5時間未満しか寝ていない。
 最適カフェイン投与を計算で決める方法の大発見については学会誌の『スリープ』で論文が初公表され、それをWSJ紙のJ・C・マギンティ記者がフォローしている。
 ここでは、研究の結論をもっと単純化しよう。
 いつものように昨晩もまた5時間しか寝ていないキミは、まず起きぬけに、あまり濃くないコーヒーをカップに2杯飲め。そしてその4時間後に、またカップに2杯、飲め。
 こうすることで、本日のひるまのキミのアタマは、「8時間寝た」と同じ状態に保てる。これ以外のコーヒーの摂り方では、覚醒作用と肉体の健康が両立しない。
 昨晩は5時間以上寝たが、今夜は徹宵作業しなければならない、というときは? その作業の開始直前に、やはり、薄めのコーヒーをカップで2杯、飲め。
 連日、5時間未満しか寝られない状態が幾日か続いており、今晩もまた徹夜だ――というときは? その場合は、深夜の零時、明け方4時、そして朝8時に、カップ2杯づつの薄めのコーヒーを飲め。
 肉体の健康上、とても重要なことは、血中のカフェインを400ミリグラムよりも増やしてしまわないことだ。
 薄めのコーヒー1杯は、100ミリグラムのカフェインと覚えておけ。
 米軍用ではなく、一般人向けのダウンロードアプリも、もうじきリリースされる予定だ。


フェイクニュース本舗はどこ?

 Kristin Houser 記者による2018-7-23記事「U.S. Military Declares Mandate on AI: “We Want to Be the Threat”」。
    米軍がAIを最大課題と見据えたのは2016-10のことだった。
 2018-6-27には、ペンタゴンが統合AIセンターJAICを開設する意向を公表。
 議会にはペンタゴンは、AI関係のプロジェクトが四軍内に600件あると報告している。センターの予算は、6年間で17億ドルを見込む。
 音頭をとっているのはデビュティ・セクデフのパトリック・シャナハン。
 このセンターを創ることにより、国家として巨額予算を投入すべきAI系事業の優先順位が浮かび上がる。
 他国と協働でAIを開発した方がよい場合、それを推進できる。
 次。
 Kyle Mizokami 記者による2018-7-24記事「The U.S. Army Is Learning to Take Out Warships Again」。
    リムパックのSINKEXで米陸軍がトラック上から1発だけ発射したノルウェー製「NSM」について。
 このミサイルは将来、海軍のLCSにも搭載されることになっている。
 また、F-35からも運用できる。
 今回のSINKEXでは、およそ55海里=101.8kmを飛んで廃艦『ラシン』に命中した。
 戦前、米陸軍は、主要な沿岸に海岸要塞砲を据えていた。サンフランシスコ湾、NY港(フォートハミルトンなど)、ボストン港、ハワイ、パナマ運河、そして比島。
 WWIIの直前には、そこに高射砲も加えられている。
 しかし米海軍による制海が不動になり、核時代にもなったことから、1950年に陸軍沿岸重砲兵は解隊された。
 NSM(Naval Strike Missile)は、陸上から発射しても100海里先の艦船を打撃できる。
 ※185.2km。宮古島からは届かないが石垣島からなら魚釣島まで届くわけだ。西表島からも届く。
 次。
 Robert Hunter Ward 記者による2018-7-24記事「The Dawn of Anti-Personnel Directed-Energy Weapons」。
     国連総会は1972年に、焼夷兵器を戦闘員に対して用いることを禁ずる決議をしている。(国際赤十字委員会 ルール85)。
 ※もしそうなら、各国軍が装備している火炎放射器は、「野焼き」用装備だってか?
 1977年のジュネーヴ・コンヴェンションのアーティクル35は、不必要な傷や苦痛を与える兵器を禁じている。
 もし、エネルギー指向兵器からレーザーやマイクロ波を発射して敵兵を斃そうとするのなら、どちらかの見直しが必要だ。
 ※もしレーザーによる受傷が銃創よりも出血が少なく、しかも感染症を起こしにくいとエビデンスを以て証明されたらどうなる? 余計な苦痛はむしろ少ないと主張できる。
 専門家によれば、人が火傷するレーザー光のエネルギーは数メガワットだそうである。
 もし米軍が、国際法上合法のレーザー対人火器を装備したいなら、「即死」させる威力が求められる。敵兵をただ生焼きにするだけだと「不必要な苦痛を与える兵器」に該当してしまうからだ。
 米空軍は2017-11に、タンカーのKC-135が自衛するための武器としてレーザー銃を搭載できるか、試験したいと語った。
 2017-7には、レイセオン社が米陸軍のアパッチ・ヘリにレーザー銃を実装させ、それを空対空兵器として用いる試験を実施した。
 都市の大群集を盾に取ったゲリラを、上空から、レーザーの一閃で、コラテラルダメージを与えることなく、精密に次々と殺害することも、やがて可能になる。
  ※この記者は空軍の若手将校なので、航空機搭載型に関心の中心がある。
 次。
 Beba Cibralic & Aaron Connelly 記者による2018-7-24記事「Russia’s Disinformation Game in Southeast Asia」。
    2017-12にロシアの戦略爆撃機T-95ベアー(複数)がインドネシアと合同演習。パプアのビアク空軍基地に飛来し、アラフラ海を横切った。ダーウィンの豪州空軍は非常に緊張。
 マレーシアの公式ニュース・エージェンシーである「ベルナマ」が2017-12に、クレムリンが運営させている通信社「スプートニク」と、相互にニュースを利用することについて合意した。
 当時のマレーシア政権は、『ウォールストリートジャーナル』の報道のせいで打撃を受けていた。「1MDB」というソヴレイン・ウェルス・ファンド絡みの腐敗を暴かれたからだ。
 マレーシア政府は、「フェイクニュース法」をつくって、そうした疑惑について議論することを禁じようとした。と同時に、西側のニュースは嘘ばかりだと宣伝し続けてきた「スプートニク」を賞揚したわけだ。
 スプートニクの姉妹機関で、テレビとデジタルを牛耳っているのが「RT」。どちらも〈俺たちはディスインフォメーションのエージェントじゃないよ〉と言っている。
 だが、彼らの社説、論説、分析、コメンタリーは、しつこく強調し続けている。いわく。西側は落ち目だ。西側は帝国主義だ。西側の資金には陰謀がある……。
 昨年、ロヒンギャ問題についてスプートニクはどんなコメンタリーを発信したか。いわく。ジョージ・ソロスがミャンマーの油田等を取得したいために同国を不安定化させているのだ、と。
 2017後半、メドベジェフ首相は比島のドゥテルテ大統領と、「国家情報の撒き散らし」に関して協定を結んだ。
 この協定にもとづき、フィリピンから通信系の役人たちがロシアに留学して、訓練を受けることになっている。
 政界ライバルが警告。これで比島にもロシア流の、偽ニュースによって愛国心をかきたてて国内を団結させる世論操作手法が導入されるだろうと。
 ロシア流の人民支配術では、情報空間を政府が完全に統制する必要などない。特定の権威メディアや、反政府勢力や、独立機関の信用を毀損してやるだけでいいのだ。
 豪州政府は、南アジア地域にまともな報道機関が育つよう、資金その他の援助を惜しまない。
 そしてこの事業では、日本との協働を模索するべきである。


猛暑の五輪中に大停電が起きれば わが国の信用は終わる。原発よりも送電線路が狙われるだろう。

  Jon Askonas 記者による2018-7-23記事「Bolshevik Hybrid Warfare」。
   新刊紹介である。著者はLaura Engelstein氏。タイトルは『Russia in Flames: War, Revolution, Civil War, 1914 – 1921』。版元はNYのOxford University Press。
 ロシア特有の政治侵略のやり口を、歴史的に時系列的に学べる本。
 ロシア共産党の機動戦略。ただしこの機動(マヌーバ)とは三次元の動きのことではない。敵(モスクワ政府)の反応を不可能にしてやる工作イニシアチブのこと也。勝てると見込める狭い分野に先に集中すること。敵(政府)を出し抜く奇襲をし続ける事。
 ボルシェビキはまず活動拠点をつくる工作に数年をかけた。ペトログラードの工場労働者、同市内の陸海軍の兵士、電報局員、鉄道員、郵便屋を組織しようとした。
 かくして通信基幹をおさえたことが生存につながった。当局がボルシェビキを摘発しようとしても、決して後手にまわらずに済んだ。当局の指揮・連絡・通信を随意に妨害してやることができた。
 いたるところで、ストと暴動。
 鎮定のための増援軍は、兵士を満載した列車があらぬ方向へ向かってしまうことにより、ペトログラードへの集中ができなかった。
 現地兵営内でも、反政府アジテーション。
 ボルシォビキは、政治次元での機動戦(速度戦)に長けていたのである。それは三次元での機動戦より重要なことであった。
 ※イニシアチーフのことね。マヌーバではなくて。
 1917年に政権をとった社会主義革命は、農村に支持基盤があった。それに対してボルシェビキは、都市と軍隊が勢力基盤だった。
 ボルシェビキは内戦を恐れる理由がなかった。政敵たちは、皆、内戦を極度に嫌った。
 ドイツとブレストリトヴスク条約を結んでWWIから脱し得たのもボルシェビキの手柄である。他の社会主義者には、こんな大胆な決定は下し兼ねたのだ。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-7-23記事。
   米兵死傷の最新統計。
 こうした統計を見るときに、注意すべきこと。
 テロ攻撃を避けるために兵隊が車両を猛スピードで走らせる。その結果として交通事故死(自損事故)が増える。この死者をどう評価すべきか?
 長い間、国防総省は、朝鮮戦争での米兵の戦死者数を、じっさいより1万人以上多いとしていた。
 これは、統計をつくった粗忽者が、1950から53に全世界で事故死した米兵の数を、朝鮮での戦死者数にくっつけてしまったからだった。
 ようやく1980年代にこの誤統計が確認された。
 味方の誤射により死亡した将兵の実数は、伝統的に、常に、最小限に報告される。また、逃亡して行方知れずになった将兵も、しばしば、戦死者に括り入れて処理される。そうしないと部隊も銃後も動揺するからだ。
 ※最も堂々と誤統計が作られていたのが、戦闘攻撃機パイロットの誤認による味方攻撃の隠蔽だと思う。WWII中の米軍「エース」の多くが、相当数の味方のパイロットや地上兵、海上水兵を殺しているはずである。これこそ統計的に、そうでなくてはおかしいのである。しかしそれは物の見事に、決して、永久に、表沙汰にはされない。理由は想像がつく。なぜなら、味方を殺したと公認されてしまうと、もはやそのパイロットは、精神的にまったく使い物にはならなくなり、トータルで、味方軍の大損になってしまうからだ。


イカはぬる温で火傷する。人肌に触れても火傷してしまう。

 だから海水が温暖化すると、いなくなってしまう。昨日、函館水産試験場の所属船『金星丸』の人から聞きました。
 次。
 Rob Goodier 記者による2018-7-20記事「How Climate Change Could Break the Internet」。
    地球温暖化により平均海面が上昇すると沿岸部の長大区間コンジット(電纜用暗渠)が新たに水没することになり、NYCのような大都市でその影響は大きい。
 海底ケーブルの上陸結節点も、ドライではなくなってしまう。
 ハリケーン・カトリナの襲来により、ルイジアナでは8%、ミシシッピでは三分の一のネット回線が不通になった。
 ミシシッピでは被災後10日経っても、不通化した回線の5~10%しか復旧しなかった。
 地震で海底ケーブルが切れた例。1929年のグランドバンクス地震。ニューファウンドランド沖の、電信ケーブル12回線が海底地崩れと混濁流とにより破断。
 海底地震が混濁流(海底の火砕流のようなもの)を起こし、それが陸源性の岩石を高速で浮動させる結果、ケーブルが切断される。
 次。
 Jay Bennett 記者による2018-7-18記事「New Technology Allows Ground Telescope to Take Sharper Images Than Hubble」。
     1610年、ガリレオは自作の望遠鏡で木星の四個の大衛星を確認した。
 それから200年以上、観測者たちは、より大型の望遠鏡の製作に打ち込んだ。
 19世紀になり、大気による光学上の悪影響を少しでも減らすため、本格的な望遠鏡は高山上に置かれるようになった。
 1968年、望遠鏡が宇宙軌道に投入された。「OAO-2」と言った。
 ゆがみが無い映像を得るには宇宙に優る設置場所はもう無いと考えられていたが、下からのマルチスペクトラム探索によって上空大気の状態をリアルタイム観測して、宇宙からの到来光が蒙っている大気の悪影響をリアルタイムに補正してやるという最近の可変鏡面技術が、ハッブル宇宙望遠鏡以上の解像度を、地上設置式望遠鏡によって得られるようにしてくれつつある。
 このシステムを導入した地上天文台は、チリのアタカマ沙漠にあるVLTである。運用しているのは欧州の機関でESOという。ESOは過去2年近く、このテクニックに取り組んできた。
 大気観測および補正に利用するシステムはGALACSIと称し、径8.2mの望遠鏡×4基からなる。
 全天写真を撮るような場合の大気補正のデータは、望遠鏡の標高より上空1kmまでの大気を探って、得る。
 しかしたとえば海王星だけを撮るような、狭視野の撮影の場合には、補正データを、レーザーによって得る。断層撮影法と同じノリで。
 具体的には、径30cmの4光軸のオレンジ色のレーザーを上空に向けて照射。これがトンボ=擬似標準星になってくれる。
 レーザーは高層大気中のナトリウム原子を励起させる。それによって大気のタービュランスの程度を計り知ることができる。
 このデータに基づき、観測望遠鏡側の補正用ミラーのアクチュエーターを毎秒1000回動かして、写真露光中の光の歪みを取り除く。
 かくすることにより、地上の天文台でありながら、軌道上の望遠鏡から撮影したような画像が得られる。
 このような補正コンセプト自体は1950年代から思い付かれていたものだ。しかし実現性が出てきたのは90年代以降である。メカトロニクスの発達が前提だった。
 ESOはいま、径39mのモンスター望遠鏡を建造せんとしている。これと新補正技術が結合した場合に、どんな画像が得られるのか。誰も知らない。
 次。
 Kyle Mizokami 記者による2018-7-18記事「Watch an Ex-US Navy Ship Sink Under a Hail of Rockets, Missiles, and Torpedoes」。
        解役された『ニューポート』級戦車揚陸艇の『ラシン(USS Racine)』を使ったSINKEX(実艦撃沈演習)がRIMPAC恒例のハイライトとしてまた実施された。
 そこにミサイルが立て続けに命中している動画も配信されている。
 航洋タグボートの『スー(USNS Sioux)』が『ラシン』を曳航してパールハーバーを出航。カウアイ島沖のミサイルレンジに浮かべた。
 SINKEXは海洋環境に充分に配慮されている。廃艦からは油などを全部抜いて清掃済みである。
 撃沈する場所は、最寄の陸岸から50海里【sic.】以上離れていて、なおかつ深度6000フィート以上ある海面である。近くに海棲哺乳類も居ないと確認している。
 ※ということはHIMARSの出番は初めから無いわけじゃないか。射程70km~80kmでは、50海里=92.6km以上という上述の環境保護基準を満たせない。
 抜いたのは油槽の油だけではない。パイプ類までクリーニングしてある。
 PCBは特に注意され、小さなコンデンサーに至るまで事前に除去。
 浮流するゴミのもとになるものも除去。
 水銀やフロンを含む部品も除去。
 豪州空軍所属のP-8Aからはハープーンが発射された。
 海自はECMの現実を思い知った。最初に海自のP-3Cが『ラシン』の位置標定のために飛んだのだが、強烈なECMを喰らって役目を果たせず。
 ※米国GPSに頼りっぱなしの海自が、痛棒を喰らわされたか。
 そこで米陸軍が無人機『グレイイーグル』と有人ヘリ『アパッチ』を派遣して『ラシン』の位置を確認した。
 米陸軍の『アパッチ』は、そのデータを陸上の米陸軍と陸自へ電送。
 米陸軍はノルウェー製の地対艦ミサイル「NSM」を1発発射。陸自も「12式地対艦ミサイル」を4発発射した。この5発は、すべて命中した。
 ※海自が赤恥をかかされ、陸自が米陸軍の後援によって対艦能力を誇示し得た。あとはミサイル射程の延伸だけだね。
 地対艦ミサイルのランチャーと標的艦までの距離は、63海里=116.7kmであった。
 それに続いた訓練演目が、じつは謎に包まれている。
 ホノルルの『スター・アドバタイザー』紙によれば、米陸軍は5発のGMLRSを発射したとしている。しかしGMLRのレンジは43海里=79.6kmなのに対して、SINKEXの規定では標的は陸岸から57海里【sic.】〔前述数値と矛盾〕=105.6km 離隔しなければならないはずだ。
 『スター・アドバタイザー』によれば、NSMはレンジ63海里=116.7kmで発射されたという。
 ではどうやってGMLRSを標的に届かせたのだ? NSMを発射した基地 Barking Sands は狭い地積しかない。波打ち際ギリギリに近寄って発射したところで、標的までの距離を80km弱まで詰められるとは思えない。
 2017年の海軍=海兵隊の試験のように、水上艦船からHIMARSを発射したのでないことは確かである。というのは米海軍は今回のSINKEXには航空機と潜水艦と陸上アセットだけを参加させたと発表しているからだ。
 ※もし陸軍のLCU上から発射したとすれば?
 ひょっとして米陸軍は、射程90海里=166.6kmの、新開発の「尾翼制御GMLRS」=TC-GMLRSを使ったのだろうか。
 「グレイ・イーグル」がキュー出しをすれば、TC-GMLRSは動いている艦船をも直撃できる。
 ※そして166kmの射程があれば、西表島や石垣島の陸上から魚釣島近海を火制できる。米国は間違いなくこれを陸自に売り込むはずだ。
 『ラシン』に対するトドメの1撃は、米海軍のSSNから発射された1発のハープーンと、1本のマーク48魚雷だった。魚雷炸裂から1時間後に、『ラシン』は海没した。
 ※この炸裂シーンもあるのだが、不審なのは、それまでハープーン級のミサイルが何発も命中しているのに破孔がどれも小さいこと。明らかに炸薬を減らしているようである。また、炎上もしていないということは、対艦ミサイルの推薬もギリギリに減らしてあったということ? それで真の実験になるのだろうか?
 次。
 Kyle Mizokami 記者による2018-7-20記事「Spain’s Newest Submarine is Too Big For Port」。
   スペインの新造潜水艦『イサーク・ペラル』。建造途中で浮力が足りないことが分かり、船体を大型にしたために、予定していた軍港を使えなくなってしもうた。
 スペインは古い『アゴスタ』級の潜水艦を更新すべく2003年に4隻の『S-80』型を発注していた。
 武装は、ドイツ製の533ミリ魚雷、米国製のハープーン対艦ミサイル、および、米国製のトマホーク巡航ミサイルである。
 しかるに2000年代後半にスペイン経済が悪化。
 発注から10年後の2013に、設計ミスも判明。設計が変更され、予定より75トンから100トンも重くなった。
 APがすっぱ抜いたところでは、設計チームの誰かが小数点の位置を間違えたために、潜航はできるが浮上はできない潜水艦の図面になってしまったと。その間違えは、建造開始後になって発覚した。
 造船所の「ナバンティア」社は米国のイレクトリックボート社に助けを求め、不足浮力問題の解決を頼んだ。
 EB社のアドバイス。船体を設計図の232フィートから265フィートに伸ばせ。さすれば排水量が2200トンから3100トンになる。
 しかしその結果として、カルタヘナ軍港ではこの潜水艦は運用できなくなる。水深等が足りないのだ。
 おかしいのは、造船所はカルタヘナ港の中にあり、しかも関係者は5年前から設計変更と格闘していたのだ。その間、誰もこの問題を指摘できなかったようだ。
 建造の総予算は、3割超過したそうである。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-7-22記事。
   米陸軍大学校は、戦史の授業を減らし、兵棋の授業を増やす。
 これが必然である理由を語る。
 インタラクティヴ・ラーニングを重視した方がいい、という判断なのだ。
 戦史を学ぶならば、過去の戦争をシミュレートしている「戦争ゲーム」の方が良い、ということが気付かれた。それによってむしろ歴史もよく理解できるから。
 特に、戦争ゲームのシステムがコンピュータ化されて以降は、これが戦史の教育教材になることが理解されてきた。
 業界では「ストラテジー・ゲーム」と総称する。じっさいの内容は、タクティカルで作戦レベルのものばかりだが。
 コンピュータ・ウォー・ゲームで促成的に戦史を覚えさせた米軍のエリート将校たちが幕僚になり高級指揮官になり、すでに20年経つが、効果は立証されている。彼らは実戦で有能だ。
 1972年後半に「鼠年」という名のゲームが発売された。これは北ベトナムと南ベトナムの戦争をシミュレートするもので、同年前半の北ベトナムの攻勢が失敗した事情を理解するのに有益な内容だった。※1968のテト攻勢のことではないらしい。
 1973年の第四次中東戦争は「サイナイ(シナイ半島)」という市販ウォー・ゲームを生んだ。
 イスラエルの国連代表メンバーの一人がこのゲームの監修者だった。だから内容はリアルだった。
 湾岸戦争のときは「ガルフ・ストライク」、さらに「アラブの悪夢」という2つのウォー・ゲームが即座に発売され、後者のゲームは、多国籍軍の圧勝を正確に予言した。
 どちらのゲーム製作にも本職の米軍人が関与しており、リアルな非公開データが注入されていた。
 米国のテレビは1990年からこの分野に注目し、たとえば「ナイトライン」などのニュースショーで、最新ウォーゲームが詳しく紹介されている。
 PCウォーゲームのソフトの核心機能は、要するにスプレッドシート=表自動計算である。
 ※いわゆるボードゲームのことは「マニュアル・ゲーム」と呼ぶことを、この記事によって知ったぜ。
 2008年から米CGSCでは、レッド・チームという参謀を育成している。実戦経験のある指揮官を18週間、レヴンワースの参謀学校でコンピュータ・シミュレーションのエキスパートに仕上げる。彼らは前線の旅団司令部に派遣され、旅団が近未来に実行するために計画している作戦案を検分し、助言を与える。これにより、致命的失敗が回避される。あまりに鮮やかなので「ジェダイ」と仇名されている、若い新エリート参謀層だ。
 レッドチームがPCシミュレーションを呈示するのは、狭い部屋の中。そこで、ごく内輪に、早い段階で司令官に間違いを気付かせてやれるから、司令官は大勢の部下の前で恥をかかずに済むのだ。
 もはや軍の学校から戦史の授業が減るのは、とうぜんなのである。
 ※クリントン政権時代、シュガシュビリ統合参謀本部議長は、もし第二次朝鮮動乱となれば米兵が5万2000人死亡し、韓国兵が49万人が死亡し、在日米軍33400人のうち8割も最初の3ヵ月で被害を受けるなどと吹かして、クリントンに対北攻撃を諦めさせた。これは古い朝鮮戦争のデータをスプレッドシートに投入しただけの脳なしシミュレーションだったのだろう。戦史の前に「民族の癖」「国民性」「ISRの限界」「ディスインフォメーションの有効性」を知り究めた方がよい。そして、人はいかにして偽宣伝に騙されてきたかの歴史素養が、司令官と政治家には絶対に必要であると思う。


どんどん増えてきた日本絡みのフェイクニュース。

 Kyle Rempfer 記者による記事「Ever heard of ‘deep fake’ technology? The phony audio and video tech could be used to blackmail US troops」。
  2018-6-7にリトアニアと米軍の合同演習中、4両のストライカーが衝突事故。先頭車が路上の障害を見て急ブレーキをかけたので。
 まもなく、リトアニアの人気ニュースサイトが「この事故で地元の子供が死亡した」と報じた。
 それには、子供の死体、自転車、意識不明の米兵たちが一緒に写っている写真が加工して添えられていた。
 このケースでは、捏造ニュースは世間的にすぐ否定された。が、これからはそうはいかない。
 最先端の捏造テクニックがある。
 音声付きの動画を自在にこしらえることができる。編集の痕跡を粗探ししようとしても、見破れないほどに自然に。
 この域に達したものが「ディープ・フェイク」である。
 マルコ・ルビオ上院議員はこの問題に関心がある。
 ロシアは、米国の要人がバルト三国を見捨てる意向を語った加工音声、などをリアルのフッテージに重ねる演出もできる。その類の捏造証拠を次々に流布せしめることにより、NATOの団結を壊すことが敵の狙いだ。
 国家レベルで捏造に精励している文化圏もある一方、ISのような非国家のテロ集団も、かなり高度なフェイク動画を制作発信できるようになっている。
 ロシアは昔から、他国の外交官の公的信用を失墜させる情報工作も繰り返してきた。
 2009年、ロシア国内での人権問題を調べていた米国の外交官が、売春婦を買っているところだとする、ざらついた画質の動画が流布。
 この動画の人物は、その外交官ではなかった。しかしその外交官が電話をかけているリアルの別な動画と巧妙に接合することにより、フェイク・シチュエーションが仕上がったのだ。
 ルビオ議員の認識。今日では、リアルなフェイクビデオを作れる者は、空母やミサイルを所有していなくとも、米国を脅せるのである。
 米国の複数の大学と研究所が「パペテーリング(puppeteering)システム」を開発中である。
 リアルの人物の動画をたくさん蒐集して、マシンにラーニングさせておく。しかるのち、フェイクスミスが言わせたい「偽発言原稿」をテキストで打ち込めば、ソフトウェアが自動的に、その人物の口の周りを自然によどみなく変化させて、まさしくその発言をしているようにしか見えないCG動画を製造してくれる。そこへ合成音声をアフレコすれば、ディープ・フェイクの一丁あがりというわけだ。
 フェイクスミスは、リアルな政治家を、みずからの「あやつり人形(パペット)」と化し得るわけである。
 昨年、何者かが、このようなディープ・フェイク製造用のソフトウェアを「Reddit」というサイトにアップロードしている。だから今日では、只の個人でもディープ・フェイク動画を作成できる。
 ただしPCの処理力増強のためにグラフィック・ボード(またはグラフィック・カード)を買い足す必要はある。そのコストは1000ドル未満だが。
 どうしたらディープ・フェイクに対抗できるのか。この動画はフェイクではないかと、背後の政治的な意図を勘繰る癖をつける以外にない。
 しかし残念ながら、虚偽を暴き、真実が勝利するのは、常に何歩も遅くなってしまうだろう。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-7-21記事。
   ハマスがイスラエルにネットハニトラを仕掛けて部分的に成功。
 「ハートブレーカー」というプロットだ。
 まずSNSのワッツアップやフェイスブックの中にある、イスラエル人男女のための出会いサイトに、フェイクプロファイルのイスラエル女性をたくさん参入させる。
 この偽女たちは、イスラエル軍の若い兵隊たちに、アンドロイドスマホ用のアプリとして「ウインクチャット」「グランスラブ」、あるいはサッカーファン向けの「ゴールデンカップ」といったアプリをダウンロードさせようと誘った。
 じつはこのアプリがスパイウェア。ハマスは兵士のアンドロイドスマホのカメラをリモート操作できるようになるのだ。
 ただしネット上でのみ使われるヘブライ口語というものにハマスは通暁していなかった。そこから疑いが持たれた。
 ハマスのオペレーターは11人であったことをイスラエル軍は解析している。けっきょく、ダウンロードまで成功させた事例は多くはなかった。
 いま、イスラム圏でスパイウェアを最も多く開発している国は、パキスタンである。
 1980年代の「ブレイン・ヴァイラス」もパキスタン人が書いたものだった。つまり歴史が長いのだ。
 そうした有能なパキスタン人をISI(パキスタン公安部)がリクルートして使っている。


すべてのペレットがナノワイヤーで連結されている散弾粒。

 それを散弾銃から発射する以外に、距離50m以内で実用的な対ドローン阻止は、構想しがたいという気がする。
 粒同士が紐でつながっていれば、逸れ弾がとんでもない遠距離まで到達してしまう確率はごく低くなるだろう。ワイヤーが、エアブレーキともなるのだ。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-7-18記事。
   2015に中共は「二人っ児」推奨政策に転換したのだが、若い世代が一向に子供を増やしてくれぬので、第二子に対してカネをやると最近、インセンティヴを持ち出している。
 尤も、これも効き目が無い。
 2016年に中共の労働力人口は400万人減少した。それに対して同年の新生児は130万人である。この調子だと、未来はどうなるか、明らかだ。
 北京としては、毎年あと300万人ほど、余計に新生児を得なくてはならないのだ。
 中共海軍でも将校不足が深刻だ。
 毎年12隻以上の軍艦が就役する。
 とてもそれに配乗させるだけの訓練済みの海軍士官など揃えられない。
 女子の比率を増やしても足りない。
 そこで、1~2年契約で民間人を軍艦の要所々々に張り付けている。
 この契約技術軍属の俸給は、同じ仕事内容の兵曹や将校よりもずっと高額だという。
 主計官業務はまっさきに民間人に委托されている。さすがに戦闘指揮にはこの軍属たちを関与させない。
 ベネズエラは中共から借りた500億ドルが返せなくなり、原油の現物で支払っている。
 中共はさらに2億5000万ドルの融資をもちかけている。ただしこんどは、返せなかったときは、油ではなくて、油田そのものを貰う、という条件だ。
 この取引は、1812年のモンロードクトリンと衝突する。米国は、ラ米諸国であろうとも借金のカタに外国軍を呼び込むようなマネをすることは許さない主義だからだ。
 北鮮は掘り出した石炭をトラックでロシア領まで違法に運び、そこから中共企業の貨物船で輸出して外貨に換えている。
 7-5に中共がイランに警告した。ホルムズ海峡を閉鎖したらそれは中共に対する敵対行為だと看做すと。要するに、GCCと戦争するなよ、と。
 7-5、国連安保理の英仏米は、中央アフリカが中共から無料で武器を貰うのをゆるしてくれという頼みをまだ聞いていない。
 この頼みは6月に中央アフリカから国連へ提起された。EUが中央アフリカの軍と警察をその武器で訓練してやる話があるのだという。しかし国連は2013に中央アフリカを兵器の禁輸国に指定している。
 仏米の言い分。中央アフリカは、隣国から爆撃される危険などないのに、なにゆえ、防空兵器などを買いたがるのか?


なぜ災害派遣任務用に空自型「待機車」の増強が望ましいのか? 写真特集を見てくれ。

 これを撮影するためだけに、わたしは八雲分屯基地まで往復したのである。
 次。
 ROSALIND S. HELDERMAN, TOM HAMBURGER, SHANE HARRIS AND CAROL D. LEONNIG 記者による2018-7-18記事「How alleged Russian agent Maria Butina gained access to elite conservative circles」。
 FBIにスパイとして検挙されたマリア・ブティナは、政治科学を専攻するロシア人学生であると名乗り、過去5年ちかく、「全米ライフル協会」と「保守政治行動会議」のイベント会場をおっかけていて、それらの指導者たちと親密であった。
 彼女は、ロシア国内で銃所持の権利を推進したい、などと標榜していた。
 じっさいに拳銃を携帯してNRAの会場にやってきたりしていたこの女は、最初は共和党の大統領候補のスコット・ウォーカー知事(ウィスコンシン州)に接近したのだが、ウォーカーの目がなくなったとみるや、ドナルド・トランプにターゲットを切り換えている。
 この女が学生ビザで米国内に腰を据えて暮らすようになったのは2016-8からである。FBIはその前からスパイ容疑者としてマークし、泳がせて様子を探っていた。
 この女はトランプ本人に、ロシアに対する見方を公然としつこく訊ねている。またトランプの長男とは、全米ライフル協会のコンヴェンション会場で面談している。
 トランプの大統領就任日の宴会場にも乗り込み、トランプとロシア高官の面会を手配。
 首都のアメリカン大学の院生になっていた2017年6月、この女は米政府を批判するサイドの人権団体にも「大学院の課題研究」と称して接触を試みた。サイバー脆弱性について詳しい人物から情報を取りたかったようだ。しかし団体のコンサルタントがこれは怪しすぎると直感してFBIに通報した。
 ※米国の治安環境の一大特徴は「タレコミ電話」がよく機能していること。ヨーロッパでは誰も「こいつテロリストじゃないかと思います」などとタレコんでくれぬのである。しかし米国ではタレコミ電話が機能しすぎているために、SWAT突入誤誘導の悪戯も起きてしまう。
 2018-7-8にこの女(29歳)は、DCからサウスダコタへ引っ越す準備を始めた。FBIは、田舎では監視がしにくい。そこで、逮捕に踏み切った。
 大陪審の罪状のひとつは、外国代理人登録法違反。
 ※この法律は1938年にできた。ナチスのエージェントをあぶり出す目的で。同じころ日本では、内務省幹部がドイツ大使館から賄賂を受け取り、内務省そのものがナチスの代理人に堕していた。GHQが内務省を取り潰したのも、あたりまえなのである。
 2015年に保守系のラジオでこの女は自分について次のように語った。幼少からシベリアで育ち、父から狼狩りの手ほどきを受けた、と。
 短期間、小規模な家具のチェーン店のオーナーだったが、その後モスクワへ移住して広告業界に転身。さらに「武装の権利」という団体を立ち上げ、ロシアの銃器取締り法令の緩和を訴えたのだ、と。
 するとプーチンの率いる党から幹部のアレクサンダー・トルシン(後にロシア中央銀行副総裁になる)がやってきて、彼女の後援者になってくれた。トルシンは全米ライフル協会の終身会員であり、かつまた、モスクワで毎年1回開催されているキリスト教保守主義の朝の祈りの朝食会の幹事連でもあった。
 このトルシンのアシスタント兼通訳を引き受けながら、ブティナ自身がNRAに食い込んだ。具体的には、2011年から13年までNRA会長だった、アメリカ保守組合の書記長デイヴィッド・キーン(故人)と親密になった。
 2013年には、ブティナとトルシンが、キーンら米国銃器会の大物をモスクワに招待した。名目は、彼女の組織の会合。
 この招待者の中にポール・エリクソンがいた。サウスダコタの共和党活動家で、1992年には大統領候補のパット・ブキャナンのための政治指南番であった。
 このエリクソンとブティナは性的関係を結んだ。これは2018-4に非公開で開かれた連邦上院情報委員会でブティナが語っている。
 エリクソンがあちこちの政界の名士に、ブティナを紹介してやったのである。
 ブティナは2014年から、NRAの年次総会に顔を出すようになった。
 NRAに100万ドル寄付しているなどのよほどのVIPしか呼ばれない特別ディナーにも、ブティナは、エリクソンのおかげで参席できるようになった。
 上院情報委員会での彼女の証言によれば、ブティナもトルシンもNRAには、定額の年会費以外の寄付をしていない。
 NRAの役員であるオレゴン州選出の民主党員、ロン・ワイデン上院議員いわく。トルシンは年会費しか払っていないから、以前は大口寄付者の会合には呼ばれていなかった、と。
 NRA年次会合が2015にナッシュビルで開かれた。NRAのはからいで、ブティナは、将来の大統領候補株の政治家が多数招かれるVIPルームに列席することができた。
 ブティナは、ウォーカー知事がロシア語を少し話したので驚いた、と自分のSNSで書いている。
 2015後半のウォーカーの出馬声明後の初集会にブティナは参加。続いてラスベガスへ。そこではルビオ候補やトランプ候補も演説した。
 ブティナは2017にWP紙にメールで弁解している。自分たちの団体はロシア内では人気があるとは言えず、また、ロシア政府からは1銭もカネは貰っていないと。
 しかしトルシンは、2018-4に米政府から対米不正活動の咎で制裁指定を受けたロシア高官17人のうちの1人である。
 ブティナは2018-3にアメリカン大学の修士課程を修了した。それでDCに住む必要もなくなったのでウィスコンシンへ転居の準備を始めた。それでFBIは逮捕に踏み切った。
 次。
  Scott Stewart 記者による2018-7-18記事「When Drones Attack: The Threat Remains Limited」。
      ドローンは、大打撃をじっさいに与えるためよりも、パニックを誘導する道具として重宝なはずだ。
 グリーンピースがスーパーマンのドローンを仏Bugey原発の建屋上層壁にブチ当てたのが2018-7-3のこと。その裏には使用済み燃料棒貯蔵プールがあった。つまり福島第一原発と同じ沸騰水型。
 グリーンピースは2機を放ったのだが、うち1機は警察が迎撃したという。
 7-10には、メキシコのバハ・カリフォルニア州の公安局長宅に、韓国製の手榴弾×2発をくくりつけたドローンが墜落。
 メキシコの麻薬カルテルのあいだでは、韓国製破片手榴弾はポピュラーである。
 しかるにこの6軸のマルチコプター(国境越しに麻薬を密輸するためによく使われる大型ドローン)の写真を見る限りでは、起爆(着発)させる機構がついていない。
 イスラムジハーディストはネット上に、どうやって市販ドローンを爆装させるかという手ほどきのビデオをUPしている。イタリアのポテンザ郡では、それに影響されたマケドニアのローンウルフが警察にとっつかまった。さいわい、こやつは、肝心の爆発物を仕入れることには失敗していた。
 7-11には、ウエストポイントにある対テロ戦闘センターの Don Rassler が、イスラムテロリストがどうやって市販ドローンを入手し、改造して攻撃に用いるかを、公表している。
 ある事例。英国在住のバングラデシュ人たちが、英国やスペインでドローン部品を調達して、トルコ経由で、ISまで届けていた。
 世界で最も多売されているDJI社製の「ファントム4」は、せいぜい1ポンド強の爆薬しか運搬できない。
 民間で手に入る重輸送用マルチコプター型ドローンは、20ポンド以上の物を持ち上げられるけれども、高額であり、どうしても足が付くだろう。
 しかしドローンのペイロードは年々、増強されているし、反面、ドローンの価格は、年々、下がっている。この趨勢、ヤバし。
 意外なところではスウェーデンが、軍用手榴弾を組織犯罪者が多用することで悪名高い。
 ドローンにくくりつけた手榴弾が爆発しても、ターゲットの警察長官が死ぬとは限らない。しかし、カルテルからの警告という機能は確実に果たすだろう。
 大群衆に対して小型の爆装ドローンが用いられた場合も、「爆死」者よりは「圧死」者が多くなるはずだ。
 ※最初に1機がスポーツスタジアムのスタンドに突っ込んで小爆発。その次に1~2機が現れてぐるぐると飛び回り続けたら、観客全員、逃げ惑わずにいられるだろうか? これが、いちばん怖い用法だ。
 次。ストラテジーペイジの2018-7-17記事。
  海兵隊のAAV7の後継の車両について。
 BAEがブラジル陸軍に売った6×6の装甲車がベースになっている。
 それを8×8にした。全重31.5トン。
 お客13人を操縦者3名で運搬する。
 1両は590万ドルになるだろう。
 AAV7の余裕浮力は30%である。沖合い36kmから海岸に達することができる。第五段階の荒れた海でも時速12km出せる。
 ACVの余裕浮力は21%しかない。第三段階の荒れた海で11kmまで出せる。沖合い36kmから着達できるのは同じ。
 陸上では、装輪のACVは時速105kmを出せる。AAV7は72kmだ。
 AAV7も29トンあった。乗員4+お客25人。
 不整地では32km/時で走れる。
 失敗したEFV(モーターボート並のスピードで洋上を疾走できる上陸用戦闘装甲車)のために海兵隊は30億ドルもドブに捨てている。
 海兵隊は、「コネクター」と称する新型高速LCUを海軍が開発してくれることを望んだ。敵海岸からは見えない40km以遠のはるか沖合いで、輸送艦からACVを「コネクター」に移し変え、その「コネクター」が荒海を優速で敵岸近くまで機動してACVを放出。
 最後の数百m~数十mだけACVに自航させて上陸させればよい、というアイディアだ。しかし海軍は、そんな限られた用途にしか使えない高額な舟艇のための支出を渋っている。
 次。
 ELIZABETH DINAN 記者による2018-7-17記事「This Air Force veteran was paid just $20 for a life-saving idea that’s still used today」。
   米空軍の兵隊だった22歳のロバート・カーペンターは、いまから60年前、トラクター&トレーラーの前車と後車のエアブレーキホースを結合するときに取り違えないように、ホースを色分けすることを空軍に提案し、採用された。空軍はその業務改善提案に対してカーペンターに金20ドル也を与えて報償した。
 今日、この「2ストライパー」方式は、米本国の道路運送法で法定されている。
 カーペンターの父親はマサチューセッツのトラックドライバー。14歳のときに、その親父から、ブレーキホースを違うコネクターにとりつけてしまったトレーラーがジャックナイフ事故を起こして少年が死んだという事故について聞かされた。
 カーペンターは1958年に日本に勤務しているときにその話を思い出したのである。
 2本のブレーキコネクターを取り違えると、ブレーキロックが起きてしまうのだ。
 そこで彼は、コネクターを赤か青かで塗り分けておいたなら、誰も間違うはずがないと考えた。
 20ドルで表彰されたのは1959のことである。