こっちのほうでもドンドンドン。

 Bill Gertz 記者による2018-3-12記事「After Tariffs, Trump to Punish China for Intellectual Property Theft」。
  中共は2025年までに世界市場を支配する気でいるが、ロボットとAIで未来工業/経済をシナが牛耳るようなことには絶対にさせない。そのために通商法の301条を発動するのだ。
   ※とうとう米国は中共を「脅威になるナンバー2」と認識した。90年代の日本と同じに視ているとすれば、これで中共は終わる。
 1974の通商法の第301条項。米国ビジネスを毀損している行為者に対して懲罰ができる。大統領の一存で。
 3-11にピーター・ナヴァロがFoxで語った。知財窃盗者中共に対する懲罰アクションがまもなく行なわれる、と。
 100以上の中共からの輸入製品に対して制裁または関税が課せられるだろう。また、シナ人が米国ビジネス界で巨額買収をすることが制限されるだろう。
 過去にUSTRは、1991と94の二回、中共に対して301条を発動したことがある。
 鉄鋼関税25%およびアルミ関税10%は3-23から施行される。
 トランプの認識。国内のあっちこっちの製鉄所の高炉から次々と火が消えている。熟練労働者もいなくなってしまう。許せん。
 中共はとっくに過剰生産状態であるのに、2016年には、さらに3600万トンも鉄鋼を増産しやがった。
 鉄鋼とアルミに無差別にかける関税は、それをかけられた国々が、中共に生産抑制を求める動機となるので、正義なのだ。
 同時にUSTRはWTOに対し、中共体制を市場経済であるかのように扱おうとするのは止せ、と求めつつあり。
 中共は米国車を輸入するときに25%の関税をかけている。許せん。
 関税がいやなら国内に工場を建てろと中共はいう。テスラ社が中共内に自動車製造ラインを建設すれば、それは技術を盗まれるのと同じことではないか。
  ※記者のビル・ガーツはもともと『WP』紙の安保関係記者で、そこに27年も在籍していた。バルカンにおけるロシアの諜報活動を記事にしたときは、あまりに正確だったので、ロシア側から「CIAの手先」と呼ばれた。新華社からも2006年に「反支専門家No.1」の称号を奉られている。ゴロツキ国家群に対して中共が兵器弾薬を売りまくっている実態を暴いたので。彼の最新単行本のタイトルは『iWar』という。


ウエストサイズストーリー。

 Mark B. Schneider 記者による2018-3-12記事「Deterring Russian First Use of Low-Yield Nuclear Weapons」。
       2018NPRのひとつの結論。米国はトライデントSLBMの弾頭に、低出力水爆を採用すべし。それによってロシアが低出力戦術核の第一撃によって北欧で侵略戦争を成功させようとしている野心を挫かなければならぬ、と。
 ※GDPで14分の1にすぎぬロシアが米国に優っているのはストックの戦術核弾頭の数の多さだけである。だからロシアはこの自らの長所を最大限に活かそうとする。それを止めなくてはならない。
 ロシアの先制核戦争野心について最初に警告したのは2016-10のアシュトン・カーター長官。通常戦力ではもうNATOにかなわないものだから、戦術核の限定使用で勝とうとしている、と。
 大威力水爆を製造できる国が遭えて弾道弾に低威力弾頭を搭載することは珍しくはない。ロシアだけでもない。英国とフランスはSLBMに複数の低出力水爆弾頭を搭載している。
 ロシア政府が、出力可変式で精密に着弾してコラテラルダメジを抑制できる戦術核弾頭の開発や使用について承認したのは1999-4のこと。それは2002にロシア人ジャーナリストによって暴露されている。そのイールドはTNT換算で数十トンから数百トンというところ。すなわち0.1キロトン前後。
 CIAはこのロシアの意図に2000年から気付いていたことが、公開文書によって判明済みである。当時のCIA報告書にいわく。低出力で高精度の戦術核弾頭は、野砲の砲弾、空対空ミサイル、ABM弾頭、ASAT兵器、多連装ロケット弾に搭載され得る、と。
 ※野砲弾はナンセンスだ。盗難リスクが高すぎるし大射程ではそもそも「精密」に落ちないから。しかし空対空核ミサイルは現実的だ。これで西側のAWACSを落とせる。もちろんAWACSの整備工場所在地もBMで吹き飛ばす気だろう。
 2009の民主・共和両党の合同リポートいわく。ロシアは地下に貫徹して爆発する低出力の核兵器を開発中である、と。
 ロシアの国営メディアの報道によれば、すでにロシアのSLBMの「シネヴァ」および「ブラヴァ30」には、特別に低威力(0.1キロトン未満~0.2キロトン)の弾頭を装着したものがある。
 セルゲイ・イワノフが国防相だったときにいわく。ブラヴァ30SLBMと、RS-24「ヤース」ICBMには、同じ新型の弾頭が搭載されている、と。ここから、RS-24にも低威力弾頭のオプションがあることが示唆される。
 2004年にロシアのテレビは、新しい野砲のフッテージに添えた解説で、低出力核弾頭も発射できる、と解説。※バルト沿海諸国に向けた典型的なブラフ宣伝である。野砲から発射させる合理性がない。
 2013にロシアの元核兵器研究所の男いわく。野砲から発射できる口径152mmで出力1キロトンの核砲弾は、露軍全体に行き渡っている、と。※冷戦中にそのような砲弾があった。誰でも知っていること。ただそれだけ。この宣伝強調は、じっさいには古い野砲用の核砲弾が実用的でなくなっていて、新型短距離核SSMを必死で開発中であることを暗示する。
 2009にタス通信が宣伝。SSNの『セヴェロドヴィンスク』型は、低威力水爆弾頭の長射程巡航ミサイルを搭載するであろう、と。
 2018NPRいわく。ロシア軍は近接射程の核弾道弾を持っており、それは目の前の敵に対して用いるものであるがゆえに低出力であると。
 ポトマック研究所の男いわく。5000発ある露軍の戦術核弾頭のうち半分は、すでにサブキロトンの低威力水爆に更新されているだろう。それは防空用途にも投じられ、また、魚雷や巡航ミサイルにも使用され得ると。
 サロフ核研究所が2013にいわく。冷戦中、われわれはPNE(平和的核爆弾)を開発していたと。それは99.85%が核融合であったと。※米国の中性子爆弾と何も変わらない。米国人は幼稚にもニュートロンボムなどというおどろおどろしい名付けをしてロシアの宣伝機関に完全につけこまれて欧州反核運動が盛り上がった。当のロシア人は同じものにずっと響きの良い名前を与えた。国際宣伝戦のセンスにかけてはロシア人の方が上なのである。
 露人ジャーナリストいわく。S-300/400/500とモスクワABMには核弾頭を装置できる。それらを核SSMにも転用可能である、と。
 タスとスプートニクの二つの国営メディアも、S-300とS-400は地対地ミサイルにもなるものだと確認をしている。
 2007にロシア軍参謀本部次長が言った。5キロトン未満の低威力戦術核兵器をすでに開発したと。
 ロシア発の宣伝のひとつの特徴。じぶんたち自身がまさしく現在進行させていることを、米国がやっている所業だとして非難する。
 2009-3のタスの報道に注目。セヴェロドヴィンスクから発射される低威力核弾頭付きの巡航ミサイルは、米空母艦隊を狙うものであると。
 ※洋心に所在する敵に対する核攻撃で弾頭の出力を控える合理性がどこにあるのか? これは港湾に在泊中を狙うつもりなのだと考えると、初めて辻褄が合う。
 戦術核のコラテラルを減らすためには核分裂エネルギーを少なくして核融合エネルギーを増やさねばならない。要するに米国の80年代の中性子爆弾だが、ロシアはこれを完成するのに2000年代までかかっているらしい。
 ※これに関するロシア人の宣伝レトリックに出発点からして錯誤がある。中性子が地面に届く高度で爆発させれば、その中性子照射が地表の物質を放射性同位体に変えてしまう。そのうえに火球が地面に接触する低高度爆発なら、強放射性フォールアウトが必然的に発生し、エネルギー源が核分裂だろうが核融合だろうが関係なく、広範囲且つ長期の民間汚染をもたらすからである。
 2010年のヴォストーク演習で極東軍区の軍隊新聞は書いた。分離主義抵抗集団のセンター市街区をぶっ潰し、かつ、わが軍の損耗を最小にするために、低威力の核攻撃が敵に対して加えられる、と。
 ※中共がシベリアや樺太で分離運動をそそのかすと想定しているわけ。
 そしてこの演習で、S-300の核弾頭タイプを、地対地ミサイルとして使用する想定が実行された。
 ※これでどうしてロシア政府が日本の地ージス案を非難するのかが分かる。SM-3に核弾頭を搭載すれば中距離弾道弾になるじゃないか、と言いたいわけ。てめえらがやっていることをもって他者を非難して来るのが連中の手癖也。
 〔欧州の?〕米空軍基地に対してロシアが10発のありふれた核ミサイルで先制奇襲すれば、その時点でアラートになっていなかったすべての米軍機は報復のために飛び立つことはもうできなくなる。
 CSISの2007リポートいわく。ロシアは米本土の3箇所の核爆撃機基地と2箇所のSSBN基地を、5基の核ミサイルだけで壊滅させられる。
 すると欧州のために米国が使える核運搬手段は、すでに海に出ているだけのSSBN〔とICBM〕が担うより他はない。
 在欧の5箇所のB-61貯蔵所も、とうぜんに核奇襲で破壊されているだろう。


爾後の積雪地方の都市計画では「排雪用サイロ」が市心各所に考えられるべきである。

 これは地下に溜める方式では容積がパンクするのは必定なので、廃ビルを再利用するか、空き家の土地を利用した巨大円筒構造物とし、ひたすら高く積み上げる方式にするとよいだろう。
 次。
 APのCATHERINE LUCEY AND JONATHAN LEMIRE 記者による2018-3-10記事「Confidants: Trump wants to rely less on White House staff」。
   韓国の高官チュンユイヨンが三代目の意向をトランプに伝えると、トランプはすぐにその場で同意した。その場にはマクマクスターも居た。
 トランプはチュンに、すぐそれをホワイトハウス詰めのマスコミの前で発表しなさいと促した。
 チュンは、その前に文左衛門にアナウンスをチェックしてもらわねば、と言った。
 文左衛門は許可を与えた。
 するとトランプは、前例が無い真似に出た。自身がちょくせつホワイトハウスの記者会見場に伝令となって赴き、まもなく韓国人が大きな発表をするぜ、と予告をしたのだ。
 関税問題については、トランプが、コーンと、正反対の論者のピーター・ナヴァロを、何週間も、論戦させ続けていた。
 米国は保護主義を必要としている。この信念は30年来の筋金入りだ。トランプが側近にそのように明言しているのだ。
 関税を課すことによって、ペンシルベニア、オハイオ、ミシガン等の錆び錆びステイツが次の国政選挙で自分の味方になる、とトランプは信じている。
 ※三十年来のトランプのターゲットは日本である。したがって日本政府はじたばたせずに、国防費をGDP2%にしますよと宣言することで切り抜けるしかないだろう。
 次。
 Michael Downing 記者による2018-3-10記事「100 Years Later, The Madness of Daylight Saving Time Endures」。
     フロリダ州は、同州では一年中を「サマータイム」にすることを欲している。連邦議会が認めれば、そうなる。
 サマータイム法(正確には「デイライト・セイヴィング」法)は米国では百年前の1918-3に成立した。ウィルソン大統領時代。
 サマータイム法は19世紀末の英国議会で長年、論議されていたものだった。
 国家総力戦となったWWIがすべてを変えた。
 まずドイツが1916に英国案を採用。1年以内に英国も追随した。
 米国は1918-3-19から徐々に試行した。時計を1時間早める。
 1920年に米国の商店主が発見したこと。日没時刻が遅くなればなるほど、人々は仕事帰りに買い物してくれる。
 今日、やはり人々は、日没が遅くなればなるほど、学校後にスポーツ活動したり、プロスポーツイベントを観戦する傾向がある。
 1920年のワシントンポスト紙の報道。サマータイム法が制定された1918年、ゴルフボールの売り上げは前年比2割増しだったと。
 1986年に、サマータイムを6ヶ月間ではなく7ヶ月間にすることが連邦議会で決められた。そのおかげで全米のゴルフ業界は4億ドルも余計に儲けられたという。
 ただし米国人は戸外でなにかしようというときには車を走らせるから、総体的にエネルギーの節約にはならない。テレビ視聴者がサマータイムの夕方にはがっくりと減ることは確かめられている。
 問題は、年中サマータイムにしてしまうと、フロリダ州では、冬至前後は、朝8時を過ぎないと日の出は拝めない。暗いうちに児童が登校するようになる結果、交通事故死者が増えることは、過去の例から確実である。


知識は風をもたらす。

  Vaughn Standley 記者による2018-3-6記事「What’s Missing in the 2018 Nuclear Posture Review」。
    地球上の核爆発をすべて即座に承知ができる新システム。USNDS(U.S. nuclear detonation detection system)という。詳しくは秘密だが、これからだんだん部分的に公表されるだろう。
 こんなすごいシステムを米国は密かに構築してきていたのだ。
 ほぼ、リアルタイムで、地球上のどこの爆発でも、リポートしてくれる。
 偽の核爆発速報に反応して阿呆な元首が核戦争を始めてしまう事態は、このシステムが利用されるようになれば、予防される。
 ただし地下爆発には対応していない。
 いまのところ、USNDSの受信装置のサイズは、大型トレーラートラックに匹敵。
 しかしこの点は今から楽観していい。GPSも似たようなものだったのだ。
 かつてGPSの利用は軍隊だけに限定されていたが、1983に大韓航空機がソ連戦闘機に撃墜された事件をきっかけとして、レーガン政権が、その利用を民間にまで広げさせた。
 ついでクリントン政権が、GPSのかなりの情報を民間に使わせることを許可した。
 そしていまでは庶民が自分の携帯電話で精密GPSを受信して利用できる。USNDSも、必ずそうなる。
 その結果、核戦争が始まったり予期せぬ核爆発が起きたときに、ハザード・エリアはどこになるか、近くのシェルターはどこなのか、フォールアウトを避けるためにはどこへ移動したらよいのかという判断が、各人においてすばやく正確に可能にもなるのだ。
 将来、USNDSは、雷雲の刻々の位置、台風の眼の刻々の位置、局地的異常暴風圏の移動模様などを米国民に提供するようにもなるだろう。つまり戦災だけでなく、天災・気象災害からも米国民の安全を守る情報システムに育って行く。
 USNDSは、核戦争時にも受信を継続できるように特別に設計されている。宇宙での核爆発が起きても、通信は維持される。国連の地下核爆発監視網のように、分析までに何時間もかかったりすることもない。なんでもかんでもニア・リアルタイムで国民に情報が提示される。国連の地下爆発監視システムは、戦時には沈黙してしまう。USNDSは、敵が破壊しようとしても破壊されない。USNDSは、究極の、非常時に国民が頼りにできる情報ネットワークなのだ。
 2018NPRから、このような未来が読める。USNDSは、最初こそは国家機関だけにユーザーが限定されるが、やがては、かつてのGPSが辿った路と同様に、その利用が庶民に開放される。
 ※センサーも通信リレーも衛星なのだろう。目的を明らかにしない衛星が過去に多数、打ち上げられているので。


I stand by Lt. Gen. McMaster.

 BRIAN BENNETT 記者による2018-3-4記事「McMaster caught in the middle as Mattis and Tillerson maneuver to restrain Trump」。
  マクマスター中将が、イラン、イエメン、パキスタン、北鮮に対して米政府がどうするべきなのか、そのオプションを未だに大統領に示さないので、トランプが非常に憤慨しているという。
 だ真相は、マティス国防長官とティラーソン国務長官が、マクマスター案の提出を阻止しているのだという。
 一事情通氏いわく。マティスとティラーソンは、トランプが馬鹿なことをおっ始めないようにしているのだ、と。
 NSA長官のロジャース提督。2-27に議会上院軍事委員会で証言し、トランプ政権は米国政選挙に介入したロシアに対する報復を命じず、しかも、ロジャースに対して将来の容喙を阻止しろという指令も出さなかったと。珍しい政権批判。
 ロジャースいわく。プーチンはこう思っているはずだ。サイバー世論工作をいくら仕掛けても米国から懲罰されることはないので、どんどんやり続けよう、と。あきらかに米国の対露制裁は不十分すぎる。
 マクマスターは、先月ミュンヘンで、連邦法務長官が訴追した13人のロシア人の罪状は論争の余地もなく明白だと述べた。つまり2016年大統領選挙に介入したのだと。
 ところがトランプがこの発言にツイッターで注文をつけた。マクマスターは、ロシアの介入があったことが2016年大統領選挙の結果には何ら影響をしていないことも言い添えるべきであったと。
 マクマスターの信念は、彼の博士論文にあらわれている。彼はLBJ政権当時のペンタゴンの官僚機構があまりに職務怠慢の無責任なものであったためにベトナム戦争がエスカレートした、と論じていたのだ。彼はこのテーマで1997年に1冊の本『Dereliction of Duty』も出している。それはマクマスターがトランプ政権に加わった昨年にベストセラーになった。
 対北鮮のブラディノーズ攻撃を策案しろとトランプはマクマスターに言い、マクマスターはそれに応えるべくオプションをまとめたのだ。それが提出されればトランプの気性から、「すぐこれをやれ」と言ってしまうだろう。まさしくそれをマティスとティラーソンが怖れている。
 マクマスターは、よく対外政策エキスパートが広舌する「米軍が限定的な空爆をすれば、それは朝鮮半島でのフルスケールの戦争に発展する」という議論の仮定前提を、斥ける。
 ※とうぜん、数十万人が死傷するだろうとする国防総省=マティスの最近の警告も信用してはいないのだろう。
 ティラーソンは国務省に先月、対北鮮のあらゆる制裁リストをまとめさせた。その狙いも、トランプがマクマスターのブラディノーズ作戦案を採用しないようにさせることにあった。
 4月にイランが後援するイエメンのフーシが1隻の爆装高速ボートでサウジにあるアラムコ社の石油ターミナルを攻撃した。トランプは米軍に対し、将来の類似のゲリラ攻撃に対抗する米国としての軍事オプションを出せと命じた。マティスが持ってきたそのリストに、トランプは不満であった。
 トランプは、イラン製の地対地弾道弾がフーシによってサウジ領内に撃ち込まれ続けているのに、米軍として何ができるのか、ペンタゴンにリストを出させた。またしても、そのオプション案はトランプを満足させなかった。
 マクマスターの部下たちは、ティラーソンとマティスがマクマスターを対等に扱っていないと感じている。
 とはいえ、マティスは退役海兵大将。マクマスターは現役ながら陸軍中将だから、対等でなくても仕方ない。
 トランプと前任のフリンは同志愛を持っていた。が、トランプとマクマスターの間にはそのような交感が無い。
 昨年夏、トランプはイランとの核合意を破棄して対イラン制裁を始めたかった。このときはティラーソンもマクマスターもおしとどめ役に回った。トランプは非常に怒ったという。
 そしてこの一件いらい、トランプはマクマスターに冷たくなった。
 そこでマクマスターは態度を改め、爾後はボスの方針に忠実に策案をまとめるようにしている。これがマティスとの衝突を招いている。
 3-1にオーヴァルオフィスで昼食会があり、トランプはそこに、マティス、ペンス、そしてマクマスターを呼んだ。
 憶測がいろいろある。マティスは、いかなる軍事オプションも大統領にはとりつがせぬようにしているのではないかとか。ペンタゴンは否定しているが。
 国務省も、トランプが軍事行動等の決心を即断しないようにあらゆるサボタージュをしている。なにしろ、いったん大統領命令が出てしまえば、あとは国務省もそれに協力するほかなくなるからだ。
 ※韓国の工作に簡単にノセられるようなティラーソンを日本として信用できるわけがない。総理は大統領と電話で話すときにティラーソンに対する苦情をはっきりと述べ、ティラーソンを政権から追放させる公然の口実をトランプ氏に与えるべきであったかもしれない。


おきなければ おきなわけん

 Jason Blackstone 記者による2018-3-1記事「Giving the Super Hornet More Punch: Think SM-6」。
       米海軍は最近ついにF/A-18 スーパーホーネット用のコンフォーマルタンクを予算要求した。
 これによって落下増槽を吊るす必要はなくなる。その空いたウェポンステイションになら「SM-6」が吊るせるぞ、という話が出てきた。
 SAMを、超長射程のAAMにコンバートできるのだ。
 これで往年のF-14+フェニックスAAMと同じ仕事、すなわち、至大距離にての敵CM母機そのものの撃墜を託すことができる。
 対艦攻撃機のバックファイアを有するロシアが好戦的になってきたのと、中共がH-6Kを近代化していることに対応する。
 今のスパホが増槽×3とアムラーム×6発を抱えて飛び出しても、迎撃半径は最大400マイル。
 しかしF-18を存分に改修してブロック3にすると、4発の「SM-6 デュアル2」により迎撃半径を510マイルに延長できる。
 「SM-6 デュアル2」は現在開発中。海面から発射した場合のレンジは130マイルである。
 全長15フィート、重さ1800ポンド。
 ただし急いでも今から2年以内には「SM-6」のスパホ運用は実現しない。2020年でもたぶん無理。
 「SM-6」の炸薬量はハープーンには及ばないが、ハープーンが亜音速なのに対してマッハ4で命中するので、CIWSを突破して大被害を敵艦に与えることもできる。
 次。
  Daniel Cebul 記者による記事「Nonstrategic nukes: What are they good for?」。
    米軍は約500発の非戦略用の核弾頭をもっている。そのうち200発は、トルコ、ベルギー、オランダ、ドイツ、イタリーの米空軍基地に置いている。
 ロシアは1000発から6000発もの非戦略用の核弾頭をもっている。
 ロシアが戦術核を使ってきたら、こっちも戦術核を使うしかない。そのために戦術核を低威力化しておく。
 米戦略軍のハイテン大将の問題意識。米軍の持っている戦術核は、航空機から運用するものばかり。これをLRSMで更新したとしても、露軍が侵略戦争を開始した場所には即座には投入ができない。
 ※とうぜん、ドイツ、オランダ、ベルギー、イタリア、トルコの発進基地はロシアの戦術核で先制攻撃を受けると考える。
 そこでこのたびのNPRは、米国が海上から発射できる戦術核を充実させておくことによって、露軍からの先制戦術核攻撃はけっして成功しないとプーチンに考えさせようとしている。侵略戦争の抑止である。


「読書余論」 2018年3月25日配信号 の 内容予告

▼トク・ベルツ編、菅沼竜太郎tr.『ベルツの日記』イワブンS26-9
 ※「第一部」上巻の途中まで。
 M9-11-3、パリ攻囲いらい聞かなかった規則正しい大砲の音。ビビる。天長節の礼砲を外国軍艦と湾内要塞が発射しているのだと分かる。なんと横浜から都内まで風に乗って上野まで聴こえてきたのだ。
 コルシェットは日本政府に、酒をコメからではなく大麦から造れと提案した。コメは輸出商品となるので、日本の貿易赤字を改善できるはずだから。
▼マレー・シャナハン著、ドミニク・チェン監訳『シンギュラリティ――人工知能から超知能へ』2016-2 原2015
 なぜ先進異星人が開発したAIがわたしたちの銀河をとっくに加工していないのか。
▼K・エリック・ドレクスラー著、相澤益男tr.『創造する機械――ナノテクノロジー』1992-2pub. 原1986
 「我々は、星から一人の外交使節も受け入れていない。たぶん、そこには誰も存在しないのだろう」。
 ※カーツワイルよりずいぶん早く、先師ドレクスラーが、地球人孤独説を唱えていた。
 ナノテクのアセンブラーと自動エンジニアリングが実現すると、「貿易」の必要はなくなる(p.233)。
 すると世界秩序はどうなるのか?
▼ジャレド・ダイアモンド著、レベッカ・ステフォフ編、秋山勝tr.『若い読者のための 第三のチンパンジー』2017草思社文庫
 ※2015の邦訳ハードカバーを文庫化したもの。
 全宇宙に高等文明は地球しかないなら、私たちにとってはむしろ幸運なのである。
 新大陸にも古代に馬はぎょうさんいた。ところがインディアンの祖先が侵入するや、あっというまに絶滅した。あらためてヨーロッパ人が持ち込むしかなかったのだ。
 大型のラクダ、ナマケモノ、ゾウも、インディアンが絶滅させたのだ。
 オーストラリアでも、アボリジニが侵入した直後に大型哺乳類はすべて絶滅した。
 ※著者はダーウィンの『ビーグル号航海記』から圧倒的なヒントを得ていると思う。しかしダイヤモンド先生としてはそれを素人読者に向けて再三強調する必要を感じていない。
▼小島直記『エンジン一代 ――山岡孫吉伝』S55-8pub.
 支那事変の水陸両用作戦で突如登場する「ヤンマー船」の正体が分かる本。あれはディーゼルエンジン搭載だった。
 蒸気機関は、サイズがでかいほどエネルギー転換効率が高い。大工場用蒸気機関は効率10%である。しかしそれを小型化すると効率が2%未満になってしまう。
 不況時には、大企業はこの点を利用して中小企業を壊滅させることができる。中小企業は石炭代を数倍も余計に負担しなければならないため大企業との競争は必敗なのだ。
 これがマルクスが『共産党宣言』で「万国のプロレタリアートは団結せよ!」と叫ばねばならなかった1847年頃のエネルギー構造。
 そこでルドルフ・ディーゼルは、小型でもエネルギー転換効率の高い機関を作ってやろうと志した。それによって社会的矛盾は緩和されるはずだった。
▼フランク・ウィルソン著、藤野・古賀tr.『手の五〇〇万年史――手と脳と言語はいかに結びついたか』2005、原1998
 ロビン・ダンパー(1947~)の説。人間は150人までの集団しか、きめこまかく束ねることはできない。
 これは歩兵中隊の規模と一致する。
 零細企業がもし120人以上に拡大すると、個人的面談より文書決裁やメモ伝達が多くなり、組織は非人間化し始める。
 馬と仲良くしたければ、口を利くよりも、手で触れるのがよい。もちろん笞はダメ。
 投球は右手でするのが自然。しかしバッティングはどっちでもいい。だからスイッチヒッターは珍しくない。スイッチピッチャーは珍しい。
 ※アマチュア軍は右投げ、左打ちで練習するのが有利ということか。
▼アンドリュー・パーカー著、渡辺・今西tr.『眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く』2006-3、原2003
 ガの体毛は、コウモリの超音波を吸収して反射を弱めるステルス素材。
 電気ウナギも突如出現したわけではない。微弱な電気パルスをソナーにして獲物を探していた、中間段階の魚類がいた。そこから、強い電気を防禦に用いるように進化した。
 葉の上で生活する甲虫は、半球形をしているものが多い。これは、どの方向から光が当たっても蔭ができにくく、それで生存率が高まる。しかし普通の甲虫のレイアウトを捨てて半球型となるためには非常な「再設計」のエネルギーとコストが必要だった。それを敢えて負担してでも進化する必要が彼らにはあった。それほど、光に満ちた環境はおそろしいものなのだ。
 オオグソクムシは、光が届かない深海に生息していたので、1億6000万年経っても、まったく進化しなかった。メキシコの海だろうがインドの海だろうが、同じ姿形なのだ。
 夜間、軽量級の貝虫が海水に漂っているとき、小魚が通過すると、航跡の撹乱に反応して発光する。その結果、小魚は、より大型の魚から目をつけられて捕食される。すなわち夜光虫である貝虫は反応発光することによって自衛ができるわけ。
 46億年前の太陽は現在よりも30%弱、暗かった。
             ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
 バックナンバーも1号分が500円で、1号分のみでも講読ができます。
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 で、タイトルが確認できます。
 電子書籍ソフト対応の「一括集成版」もできました。詳細は「武道通信」で。
 「読書余論」は、2018年6月25日配信号以降は無料化されます(購読者登録だけが必要)。これから数ヶ月分の購読料をまとめて振り込まれる方は特にご注意ください。詳細は「武道通信」で。
 ウェブサイトでわからない詳細なお問い合わせは、(有)杉山穎男事務所
sugiyama@budotusin.net
 へどうぞ。


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 長野市の長野駅の近くで、五人くらいの小宴会ができるスペース。
 時期は、三月中旬の週末。夕方。
 これについてどなたか詳しい方はいらっしゃいませんか?


『AI戦争論』はいつ出るのか、本人も分かりません。まだゲラも出てきてません。

 Ajit Maan 記者による2018-2-27記事「Narrative Warfare」。
    ナラティヴの攻撃は、弾薬では防げない。
  ※ナラティヴとは、集団精神動員のための創作話のこと。
  ※語源はラテン語で、「覚えること」「認知すること」。そこから転じて「物語」。
 SNS上のナラティヴが、テログループのリクルートを援けている。
 ナラティヴは事実は語らない。ナラティヴは、事実の先の意味付けを語る。
 これが「ナラティヴ戦」である。
 「事実 vs.嘘」の闘いではない。
 敵は、「意義」および「アイデンティティ」〔目的の明確化、おまえは何をしなければならないか〕を創り出す工作によって、政治戦争を前進させる気なのである。
 嘘のストーリーでも、敵愾心を喚起し、動員力を発揮し、犠牲を美化する。
 敵陣営による嘘宣伝に対して「それは嘘だ」と否定し続けているだけでは、逆効果となってしまう。
 それでは却って聴衆の頭の中において、敵の宣伝内容が強く印象付けられるのだ。
 我々は我々のストーリーを効果的に語らなければならない。それが唯一の対抗策である。
 ナラティヴは、メタレベルでも、戦略レベルでも、戦術レベルでも、それぞれに用意されねばならぬ。すべて揃わねば、大威力を生み出さない。
 ロシアからの嘘宣伝攻勢に対抗するために、すでに欧州の23ヵ国がPESCOという恒久共同機構を立ち上げている〔英国、ノルウェー、デンマーク、スイスは未加入〕。


CGフェイクニュース時代はロシアではとっくに現実

 成長いちじるしい小学生に公立学校が上下制服をおしきせんとするのが非合理的なのはわかりきった話。
 ではどうすればいいのか?
 「制帽」「腕章」「ランドセルカバー」「首からさげるIDプレート(ただし校門外では裏返し)」「ソックス」。
 この五点だけ「制式制定」することだよ。
 かりにもし小六で身長が170センチに達してしまおうとも、この五点を揃えておくのに家計に異常な負担が求められることはあるまい。
 着脱容易な「校章バッヂ」もアリかもしれないが、後方から確認できないのが難点だ。
 腕章の裏側にIDをとりつけておくようにすれば、別にIDを首から提げたり胸ポケットに貼る必要もないかもしれない。
 戦時国際法では「腕章」が軍服の代用として認められている。「腕章」の有用性を再評価すべし。
 次。
 ALEX HORTON 記者による2018-2-26記事「Russian state media just mixed up Syrian war footage with a video game clip」。
  ロシア国営第一チャンネルでプーチンが、シリアでゲリラに包囲されたため「オイごと吹き飛ばせ」とスホイ25を誘導して敵を道連れに爆死したロシア兵を英雄として称讃。
 ところがそのビデオ映像は、プラハ市の「ボヘミア・インタラクティヴ」社がロシアでも販売している戦争ゲームの「アルマ」の一場面を意図的に使っていた。
 じつはこれ、ロシアのテレビマスコミが以前からおおっぴらにやっていること。戦争報道に、平然とゲーム画面を使うのだ。
 ※日本のまとめサイトでも、CGとリアルフッテージ映像の区別がつかんやつを時折みかけるがな……。
 「アルマ」シリーズは過去三作リリースされており、2006年いらい1200万個も売れている。画面をパクれば、すぐにバレる。それゆえ、意図が謎。