『AI戦争論』の見本を入手しました。これは読みやすい!

 Kris Osborn 記者による記事「Navy Test-Fires Trident II D5 Sub-Launched Nuclear Weapons」。
  米海軍は3月26日、加州沖のSSBN『ネブラスカ』から、2基の「トライデント2-D5」を試射した。
 トライデントD5の再突入体は「マーク4」という。
 これは2019年からは「マーク5」に変えていく。
 このミサイルは1基が3000万ドルである。
 D5の弾頭としては、三種類がある。まず100キロトンのW76弾頭。この再突入体のバージョン違いがある。そして455キロトンのW88弾頭が1種類。
 ICBMも含め、455キロトン以上のBM用の核弾頭は、米国には無い。
 次。
 Josh Mayers 記者による2018-4-5記事Catching a Chinese IP Thief: How the FBI Tracked and Caught Sinovel」。
   2018-1-24のウィスコンシン州の連邦裁判所における評決。被告の、中共資本の風力タービン・メーカー「シノヴェル・ウィンド・グループ」は、米国の「AMSC」社からソフトウェア技術を盗んだ。有罪。
 起訴したのは連邦検事である。
 AMSCは12億ドルの損害を蒙った。そして600名が仕事を失った。
 MIT卒業生たちが1987年に立ち上げたAMSC社は、超伝導ワイヤーに特化したベンチャーだった。
 2006年に彼らはオーストリーのウィンドテック社を買収した。そこが、風力発電タービンを制御するソフトウェア技術を持っていた。ここからAMSC社の商売は波に乗って急拡大する。
 中共のSinovel社は、彼らの最王手の顧客となった。中共政府が株式の18%を保有している半官企業だ。
 2010年時点でシノヴェル社は、風力発電タービンの世界市場シェアが第3位であった。
 しかし前々から中共の田舎に設置されている数千機の風力発電タービンのソフトウェアも一挙にAMSCの効率的なものに変更して中共党の急ぎの要求に応えねばならなくなったとき、シノヴェル社は、必要であるはずのソフトウェア使用料をAMSCに払わない道を選んだ。
 AMSC社はゴビ砂漠でシノヴェル製の風力発電塔を調査して、ソフトを違法コピーされていると知ると、違法コピーの場合は機能しなくなるような秘密コードを組み込んで対抗した。
 AMSC社がシノヴェル社へ長期出向させていたセルビア出身の若い社員(ウィンドテック社が最初に雇った)は、社内叩き上げで、有能であり、シナ大陸のど田舎に長期滞在して非常に熱心に働く男であった。が、その活躍ぶりが本社からはふさわしく評価されていないと考えていた。こやつが本社を裏切り、シナ人のためのスパイに変身した。
 シノヴェル社長はこのセルビア人を170万ドルで釣ったのである。
 セルビア人はAMSCのソフトから窃盗防止コードを除去する作業を、北京市内にあてがわれた隠れ家で推進。そこからAMSC本社にハッキングもした。
 FBIは、セルビア人が加工したソフトをシノヴェル本社へeメールで電送したことまで、つきとめ、ついに公判に勝利したのである。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-4-5記事。
 2-10に撃墜されたイスラエルのF-16の真相。
 2018-2-10にシリア上空で何が起きたのか。
 まずシリア中部のイラン軍基地から無人機が飛び出し、イスラエル領空に入って90秒後に撃墜された。
 イスラエル空軍は報復にF-16I×8機を発進させ、イラン軍基地の爆撃に向かった。
 爆撃によって施設は爆破され、イラン人7人死亡。
 基地は75%が壊れたため、その後イラン人たちは別な基地へ移転することになった。
 このときロシア製SAMの「SA-5」によって1機のF-16が被弾した。それはイスラエル領空まで戻ってから放棄された。乗員2名は空中からエジェクト。
 調査の結果、墜落原因はパイロットの判断エラーだった。
 イスラエル空軍はとっくにSA-5対策ができており、通常、それで撃墜されることはありえないのだ。このたびもパイロットはSA-5で狙われていることを知っていたが、回避やジャミングを後回しにし、まずイラン基地に投弾することを優先してしまったのである。そのためにSA-5が命中した。
 ところで、経験豊富なイスラエル空軍は、ポーランド、イタリー、ギリシャ空軍のパイロットに、自国内で稽古をつけてやっている。もちろん有料で。これがけっこうな外貨収入源になっている。
 2017年には参加無料の「ブルー・フラッグ」空戦演習を開催し、これには、米、ギリシャ、ポーランド、仏、独、インド、イタリーの空軍機が参加した。


「読書余論」 2018年4月25日配信号 の 内容予告

▼ダーウィン著、島地威雄tr.『ビーグル号航海記』イワブンS34~36
 ゴウチョ〔ガウチョ〕の特筆されるべき技。bolas(ボラス)=投げ球。主にダチョウを捕らえるための猟具で、2タイプある。
 ひとつは、2個の丸い石を革で包み、8フィートほどの細い編んだ紐でつないである。
 もうひとつのタイプは、3個の球が、革紐で共通の中心につながれている。
 馬を傷つけずに捕獲したいときは、蕪ほどの大きさの木製の球でできたボラスを投げる。
 ※火器を持たない歩兵でも騎兵の突進を止めることのできる近接防禦兵器が19世紀の南米で殖民白人によって発明され大成していた。
 敵からボラスを投げられて自分の馬の脚に絡んだら、すかさず飛び降りてナイフで紐を切り離す。
 人間が後方からボラスを受けると、その紐がからみついた脚部の皮膚には、蚯蚓腫れができる。
 殺されてからあまり日数を経ぬ去勢牛の骨は、灌木代りの燃料として燃やせる。
 牛以外の野獣でも、骨は燃やせるという。冬期にはしばしば野獣を殺して、ナイフで骨から肉を除き、夜食にはその骨で肉を焼く。
 ラバこそ、最も驚くべき動物だ。牝馬と牡ロバの雑種だが、両親のいずれよりも、理解力、記憶、執拗、同類に対する愛情、筋肉の耐久、生存の永さにおいてすぐれているのだ。
 蟹は、椰子の実の繊維を一本一本切って、果実の殻を破る。作業は常に、殻の下に三個の窪穴が存在する側から始める。
▼『ベルツの日記』第一部・上巻 つゞき
 日本の弓術を練習している。弓は練習用なのだが、すこぶる強い。張るのがやっと。
▼千崎達也『カンブリアンモンスター図鑑』2015-10
 複眼の解像度は、眼の数に比例する。現在、トンボは3万個の眼を有し、ダントツ。カンブリア起のアノマロカリスは1万6000個もあったので、特異。
             ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
 バックナンバーも1号分が500円で、1号分のみでも講読ができます。
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 で、タイトルが確認できます。
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 「読書余論」は、2018年6月25日配信号より以降の号は、無料公開版となります。
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 閲読にさいしての登録は必要ありません。
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ミニオンズとは奴隷同然に頤使されている手下どものこと。

 Pavel Felgenhauer 記者による2018-3-30記事「Moscow Surprised by Western Show of Solidarity With Britain」。
       神経毒ノヴィチョクによる国家テロに制裁すべく、28ヵ国が計150人以上のロシア外交官を違法諜報活動の咎で追放した。
 ルクセンブルク、マルタ、ポルトガル、スロヴェニアは、ロシア外交官の追放をしないかわりに大使を一時召還した。
 ロシアは完全に読みを誤った。英国はブレグジットで欧州から切断されつつある上、女の首相では何もできまいと高を括っていたのだ。
 さらに米国のトランプを抱きこんだと思っていたら、米国は列国中最多の60人のロシア人外交官を追放。その中には国連代表団員も居り、かつまたシアトルの領事館が閉鎖された。
 クレムリンに近いメディアいわく。この報復として多数の米国外交官がロシアから追放され、大使館の人手不足から、以後はロシア市民が渡米のためのビザを得ることもできなくなるだろう、と。
 オーストリーはロシア外交官を追放しなかったというのでロシアメディアから褒められている。
 ドイツは、四人追放したがその代人を入国させてもいいよという生ぬるい措置。これもロシアメディアから褒められた。
 ドイツ政府は、ロシアの天然ガスをガスプロム社がウクライナ領を通らずにドイツに供給する2ルートのバルト海底パイプラインの建設を許可した。ワシントンはこの事業に反対しているのだが。
 ただしこの敷設を開始する前にロシアは、フィンランド、スウェーデン、デンマークからも同意を貰わねばならない。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-3-30記事。
   ロシア軍とNATO軍の総力格差は、冷戦中よりも今の方が甚だしい。これはロシア人も認めている。
 ロシアはトルコをNATOから離反させようと工作中。
 3-29時点で判明。露軍はウクライナ軍との最前線で「目潰しレーザー」を実用し始めた。これは国際合意で禁じられた兵器である。
 シリアに持ち込まれたスホイ57はロシアへ戻った。2月末までに。目的はセンサーの実地テストだった。


ヘイティストビーチ

 ストラテジーペイジの2018-3-29記事。
   イスラエル軍は2017-8から輸入品のDJIクォッドコプターを採用している。ユーザーは、歩兵旅団と、南部の国境警備大隊。
 商品名はメイヴィックとメイトリスだ。
 まずすべての歩兵部隊長は「メイヴィック・プロ」を受領する。空飛ぶ双眼鏡として。
 じっさい、メイヴィックは折り畳むと双眼鏡サイズにおさまる。自重734グラム。
 バッテリー1個がついてメイヴィックプロは1000ドルくらい。部隊長は予備バッテリーを多数携行する必要がある。1個の充電に1時間以上かかるので。
 メイヴィックは21分滞空できる。戦場ではそれを100m以下の超低空で飛ばすであろう。水平距離だと7kmは進出させられる。
 クオッドコプターの世界では「上昇限度」の高度のスペックにはあまり関心が払われない。というのは、いくら高く昇れるとしても、そこまで行くのにはものすごい時間と電池を消費してしまうから。だからみんな、超低空で飛ばすのである。
 メイヴィック・プロは2016年後半に発売されている。
 2018前半にDJI社は、重さが半分で一層小型のメイヴィック・エアを発売。滞空時間は同じ。
 自律的に障礙物との衝突を回避するソフトがついて、価格は800ドルだ。
 他方、「メイトリス100」は、逆に大型化した製品。メイヴィックより滞空時間は2倍長く、しかもナイトヴィジョンカメラ装備。イスラエルの国境警備部隊に、これが支給される。
 市販価格は1機3300ドル。しかし軍はまとめ買いするから、もっと安く収まるだろう。
 メイヴィックは、2015リリースの「ファントム3」の後継機である。
 ファントム3も単価1000ドル。しかし重さは3.9kgあった。
 滞空20分。
 進出水平距離2km。
 そもそも「ファントム」の最初のモデルは、2013年クリスマスシーズンに市販された。
 市販後、毎月のようにアップグレードとオプション機材がリリースされている。※この改善ペースがすばらしいのだ。詳しくは来月発売の拙著『AI戦争論』を読んで欲しい。日本の玩具メーカーはDJIの足元に及ばない。
 「ファントム3」は水平進出距離5km、ビデオは4K規格で、単価は1800ドルだった。
 米軍はこれらDJI製品のハードとソフトを、中共に部隊情報が漏れてしまうとして個人ユースであっても全面禁止している。が、イスラエル軍は「空とぶ双眼鏡」として使用する限りはノープロブレムだと判断した。
 メディアは、「恐怖」「不確実性」「疑い」を飯のタネにするものだ。FUDと称する。
 イスラエル軍にいわせると、DJI社をそこまで疑うよりも、その製品から得られる情報の方が、自軍を安全にする。
 ※陸自にミニUAVが普及しない事情の一つに、装備類を「消耗品扱いできない」というお役所流の文化があると思う。だが解決法はある。50mの有線テーザー式とするのだ。テザリング給電ならば機体にバッテリーをとりつけなくていい(ロスト時のビーコン用としてボタン電池がついていればいい)。そして「トンボの脚」をとりつけて、屋根の上や巨大鉄塔の途中の梁にマイクロ・クォッドコブターがしがみつき得るようにする。こうすると、高所にとまらせたあとは、ローターは停止させ、カメラ用に最小の給電を続けるだけで、無限の時間、「高所からのビデオ映像」が小隊長の端末に有線ブロードバンドで届く。こんな楽なことはない。小隊長がみずから屋根の上に登る必要などなくなるのだ。有線通信のみだから敵のECM妨害はまったく無駄である。しかも機械的不具合等が起きて飛び戻っては来られなくなったという場合には、そのテザー紐をたぐりよせれば、ほぼ確実に回収ができる。これで財務省もニッコリするはずだ。50mというのは「森田」が製造している最長の消防梯子車の到達Max高度と同じ。戦艦『大和』の艦橋トップの測距儀だって海面から40mしかなかったのだ。「遠見」のためには、もう十分であろう。


ゴリラとゴルラ

 APの2018-3-28記事「US: We won’t pay over 25 percent of UN peacekeeping anymore」。
   米国連大使ニッキ・ヘイリーは28日、国連安保理の平和維持活動改革の会議で発言し、米国は同活動の資金分担の米国分の上限を総額の25%に設定し、それ以上はもう拠出しないと宣言した。
 げんざい国連の平和維持活動は世界の15箇所で遂行されているところ。
 今年のその活動予算の28.5%=73億ドルを米国が出している。
 トランプは、その予算総額にも、その分担割合にも不平を述べている。それを承けて今年の活動予算は昨2017年よりも5億7000万ドル少ない。
 予算は国連総会の投票で決められる。各国の分担比率も。
 次。
 Ben Werner 記者による2018-3-27記事「Theodore Roosevelt Carrier Strike Group Leaves Middle East for Pacific」。
    CVN-71『セオドアローズヴェルト』を中心とするキャリアーストライクグループ9。四ヶ月の地中海派遣を終え、第五艦隊から第七艦隊に移る。つまりインド洋~太平洋にやってくる。
 もともと『TR』の母港はノーフォークだったが2015にサンディエゴに変わった。
 『TR』のまわりを固めている水上艦は、駆逐艦の『ハルゼー』『サンプソン』『プレブル』、そして巡洋艦『バンカーヒル』。すべてイージス。
 いま『GW』は四年がかりの燃料換装&改装中。
 『ロナルドレーガン』は横須賀を母港にしている。


米朝合意のナローな可能性は?

 まあ破談におわるのは眼に見えているが、唯一、妥結案もあり得る。
 それは以下のようなものだ。
 北鮮は「核地雷」だけは保有してもよい。
 しかし「弾道弾」を保有することは一切認められない。通常弾頭でも。
 北鮮は弾道ミサイルと長射程ロケット弾(射程150km以上)をすべて廃棄する。韓国も弾道ミサイルと長射程ロケット弾をすべて廃棄する。米軍も同地域に弾道ミサイルと長射程ロケット弾を持ち込まないと約する。
 その後、南北朝鮮がもし弾道弾を試射しようとしたら、それがいかなる口実であっても米国が容赦なく空爆する。
 この合意がトランプ老人にとって魅力的なのは、「在韓米軍の撤収」が可能になるからだ。
 そして核地雷を持っている北鮮体制は外国の地上侵攻によって一方的に亡ぼされることはなくなるから、三代目はとりあえず安心だ。
 中共も満足するだろう。
 日本も諸手を挙げて賛成できる。半島方面に関しては弾道弾軍縮が実現するからだ。
 文左衛門はとりあえず米軍の撤収に結びつくから大歓喜であろう。
 ところでトランプ老人は、側近から説得されるとその都度、一時的には正気の理性を示せるのだけれども、一晩寝れば、ボケ老人の如く1980年代の歪んだ信念が蘇る偏執狂患者である。
 その信念のセットとは、韓国については米軍の撤収と残留米軍の費用全額を韓国政府に負担させること。
 日本については貿易赤字分相当の経済制裁と、やはり駐留米軍の費用全額を負担させることだ。
 これらの政策は、トランプ老人が大統領であり続ける限り、幾度でも執拗に追求され続ける。ヒトラーが青年時代に決意していたバルバロッサ作戦と同じで、やるかやらないかではなく、いつやるかの問題にすぎないのだ。
 老人の硬直頭にはいまさら「地政学101」は入らない。そんな説得を試みても無駄なのである。
 むしろ精神の病人を悦ばせてやれる特殊なプランを提言するのが上策というものだろう。


キチキチバンバン

 KIM GAMEL 記者による2018-3-22記事「US military plans evacuation drill at same time as war games with S. Korea」。
   在韓米軍は4月16日から20日にかけて、エバキュエーションの恒例リハーサルである「フォーカスト・パセージ」を実施する。
 このリハーサルは毎年、春と秋の2回、することになっている。
 今回は、一部の家族を、じっさいに北米までフライトさせてみるという。
 この訓練にあわせて、逆に半島へは他地域から米軍が増派されるであろう。
 太平洋コマンドのハリス大将は2-14に議会で証言している。半島で戦争が起きたら、在韓のシナ人100万人と、在韓の日本人6万人も、逃げ道を探さなくてはならぬ。
 米軍家族の荷物はとりあえず米軍基地内の体育館に集められて、そこから空送される。厄介なのはペット。これの処理には赤十字が協力する。また私有車両をどうするのかも課題として残る。
 日本行きを望む米民間人は、横田基地へ運ばれる。
 リアルに避難させなければならない人数のだいたい十分の一がこの実動訓練に参加してくれる。リアルとなれば米人の観光客もエバキュエートしなければならぬ。
 そして訓練では厳密に米人だけ救出するのだが、リアルとなったら日本人など多国籍の民間人も便乗させることになるだろう。
 韓国人も脱出しようとするだろうし、シナ政府とシナ人は近海で使えるフェリーの切符をぜんぶ買い占めて、同胞の半島脱出のために使わせようとするだろう。
 北鮮のミサイルは全空港と港湾に落下するはずだ。またエバキュエート先を最寄の在日米軍基地にしようとした場合、日本政府は「日本人も助けてくれんか」と求めてくることは必定。
 次。
 Ian T. Brown 記者による2018-3-22記事「John Boyd on Clausewitz: Don’t Fall in Love with Your Mental Model」。
       ジョン・ボイドいわく。クラウゼヴィッツは集中が最も大事だといいながら、それには四つの例外があるという。四つも例外があるのになんでそれがいちばん大事なんだ?
 ちなみにスピードが大事であることについての例外はクラウゼヴィッツは無言及である。
 よく読めば、クラウゼヴィッツは、作戦を素早く進めれば集中は不可欠ではないと考えていることがわかる。だったら、彼の掴んだ真の第一原則は「集中」ではなくて、「スピードの原則」だったのだ。
 クラウゼヴィッツは敵兵力が最も密集しているところに敵軍の重心はある、という。ボイド駁していわく。ドーナッツの重心は密度ゼロではないかと。ダンベルの重心は、両端よりも物量が少ないではないかと。
 ※1830年代の欧州知識人は皆、ニュートンの偉業に倣いたいと願っていて、無理して物理学的な用語にこだわった。その自設トラップにクラウゼヴィッツはからまってしまっただけ。
 次。
 Austin Bay 記者による2018-3-13記事「Is Russia’s Nerve Gas Attack in Great Britain An Act of War?」。
     2003年いらい英国では14人のロシア関係者が奇妙な不審死を遂げている。
 内訳は、元スパイ、事業家、反プーチンの政治活動家たちだ。
 プーチンを批判していた元公安高官のアレクサンダー・リトヴィネンコは2006年、紅茶に混入されていた「ポロニウム210」によって悶絶死した。
 英警察は2016に、この事件の犯人はロシアのFSBだと結論した。
 3月4日のスクリパリ父娘の暗殺未遂に使われたのは「Novichok-A-230」という強化神経剤。液状もしくはパウダー状で使用される。
 VXの8倍の殺傷力があるという。
 英国メイ首相は、これは「NATO・アーティクル5」案件だと言った。
 同条項は別名「三銃士条項」とも呼ばれる。加盟国のどれか1国の領土に加えられた攻撃を、全加盟国に対する攻撃だと看做して防衛行動を発動するものである。
 これまで「アーティクル5」は一度しか適用がされていない。すなわち「9・11」の時。
 ※ワールドカップをボイコットなんてできまい、ムムははは、とプーチンが高をくくって攻めてきているので、おそらくNATOはボイコットを決めるだろう。ここで決意を示さないと、やられ放題になるのが目に見えているから。


そっちのほうではストトコトントントン。

 ストラテジーペイジの2018-3-21記事。
   経済制裁が効いている。
 在中共の北鮮資本レストランでは従来は学生は働かせていなかったが、平壌の女子大の1年生は2年間そこでウェイトレスとして働けという政府の指令が出された。外貨が必要なため。
 また、中共領内で外貨を稼げる北鮮商人に対しては、平壌政府は、従来より長期間の出張を許すようになっている。
 また平壌政府は、およそ売れる物ならば何でも売る方針を余儀なくされつつある。「マンスデ・チャンネル」は北鮮版のネットフリックスである。従来は特定公務員にしか視聴を許して来なかったこのIPTVに、カネを支払えば誰でもがアクセスできるようにした。
 そのインストール代と月々の視聴料の支払いは、中共の通貨「元」でしなければならない。加入料が100ドル相当とも言う。平均労働者の月給2ヶ月分に等しい。
 コンテンツは、海外ニュースの他に、冷戦中に中共や東欧で放映されていた古い番組だそうである。
 シナ国境に近い北鮮の某水力発電所は、従来、北鮮軍の弾薬製造工場に給電していたのだったが、今では電力のほとんどを中共へ越境売電し、シナ人の建材工場がその電気を買っている。つまり北鮮軍は弾薬製造を止めてしまった。
 発電所長は、それらシナ人から、米ドルもしくは中共元で、電気料金を受け取っている。
 北鮮政府が「北鮮ウォン」札を刷り過ぎているのは確実。市場も敏感に察しており、誰もウォン札など受け取りたがらない。
 現在、1米ドルは8100北鮮ウォンである。1中共元は1200北鮮ウォンである。
 2017年後半の交換レートでは、1元=1400ウォンであり、また1ドル=8500ウォンであった。
 3年前だと、1元=1300ウォン。また、1ドル=8200ウォンだった。
 「元」は対支商売の小口決済で主用される。ドルは、大口の決済や、ガソリンや軽油を買い求めるときのとっておきの通貨である。そして法的にはドルの北鮮内流通は違法。
 北鮮国内の燃料代は、昨年に比べて2倍になった。瀬取り密輸がなければ、もっと高騰している筈。
 北鮮政府は、ガソリンや軽油を買いに来る自動車所有者に対して、「去勢牛で曳かせる荷車を使え」と指導中である。


ある作戦「後」。

 フィンランドが会見場所に選ばれたのは、航空機移動を恐れる三代目が、往復するのに際し、ロシア領空だけを飛べばよいために、比較的に安心感があるから。
 ところがこれはトラップでもある。
 もともと、三代目の国外逃亡先としては、ロシアしかあり得ないと考えられてきた。
 フィンランドに滞在中に北鮮でクーデターが起きたら、三代目はすぐにロシアに亡命できる。というか、そうするしかなくなるのだ。
 次。
 新刊『AI戦争論』は4月10日ぐらいに発売ではないかと……。
 版元は飛鳥新社さんです。
 若い人がこれを読むと人生が変わってしまいます。書店で見かけたときには、じゅうぶん注意しよう!


ある作戦

 マクマスターの首を挿げ替えるという話が出てから何週間も引っ張っているのは解せない。怪しい。
 これがディスインフォメーションだったとしたなら、どうなるだろうか?
 三代目がフィンランドまで出てきたところで、対北奇襲(ほぼマクマスター案)を開始。
 三代目はそのまま二度と帰国できなくなる。すぐにクーデター条件が整う。
 中共がマペットを平壌に押し込んで、クーデター成功。
 懲罰関税で米支関係が悪化したと世界には思わせておいて、じつは裏でコラボしていたという筋書きだ。
 トランプは、北鮮体制を転覆させた男として、歴史に記録される。