アジアフライ

 ADAM TAYLOR 記者による2018-2-24記事「What we know about shadowy Russian mercenary firm behind attack on US troops in Syria」。
   ワグナー社の傭兵たちの戦場デビューは2014のウクライナ領土切り取り作戦。
 この会社の総指揮官は、2013までGRU(露軍情報部)の一員であったドゥミトリー・ウトゥキンであると信じられていた。
 軍を退役したあとウトキンは、「モラン警備保障グループ」や「スラヴォニック社」に就職した。後者は2013にシリアに傭兵を派遣し、悪名を轟かせている。
 ウトキンは米国財務省から個人としての制裁対象者に指名されている。ウクライナの侵略に加担しているので。
 ワグナー社は2015-9からシリアに傭兵を送り込んでいる。その1ヵ月前から露軍機がシリアで反アサドゲリラを空爆開始していた。
 他にワグナー社は、スーダンや中央アフリカ共和国にも、傭兵を派遣している。
 さてプリゴジンの方だが、こやつは「プーチンのシェフ」と陰口されたレストランオーナーだった。
 こやつは9年間刑務所で暮らした過去を持つ。強盗と組織売春の罪で。だが今はロシア屈指の富豪になった。
 プーチンのために、汚い仕事を請け負う、鉄砲玉の親分である。
 サンクトペテルブルクにある「インターネット・リサーチ・エージェンシー」という会社を通じて2016年の米大統領選挙の結果を左右させようとフェイク工作もした。
 プリゴジンはケータリングサービス会社「コンコード」も所有し、その会社は巨額の「投資」もする。
 昨年の報道では、ウトゥキンは「コンコード」の総支配人のリストに入っている。
 ワグナー社はさいしょはシリアの露軍基地の警備だけをしていたが、2016~17のパルミラ奪回戦では最前線にも動員されている。
 APの昨年の報道によれば、シリア国営石油会社は、ISから精油所を奪還してくれれば、そのアガリの一部をワグナー社に与えよう、ともちかけた。
 表向きは傭兵会社はロシアでは違法。だから「スラヴォニック社」が2013にシリアから戻ったとき、メンバー数人が逮捕された。
 プーチンは、傭兵会社のアイディアは良い、と支持を公言している。
 ワグナーの傭兵部隊が米軍から袋叩きにされているときに、ロシア正規軍はいっさい、援けなかった。
 プーチン側近の座を、ショイグとプリゴジンが競っているのだという解説もある。
 昨年ISは、露兵捕虜のビデオを公表した。これはワグナー傭兵だった。
 シリア介入はロシア本国では不人気なので、プーチンはできるだけ現地での犠牲は知られたくない。それで傭兵を使っているのだが……。
 ロシア人の32%は、シリアがロシアにとっての「ニュー・アフガニスタン」になってしまうのではないかと恐れている。
 次。
 DAN LAMOTHE 記者による2018-2-24記事「New court ruling jeopardizes military’s ability to pursue old rape cases」。
   出訴期限法によれば強姦の起訴は事件から5年以内にしなければならないというので1997に空軍将校が起こした事件についての2015年の訴えが2018-2に却下されたが、米軍はこの時効をなくする方向で動いている。
 2006年以前の事件を今訴えても受理するように。
 軍法会議では強姦犯に死刑が言い渡されることもあり得る。1986秋から2006秋までに犯された事件については。
 2006に統一米軍法規の出訴制限が、強姦罪については撤廃されている(議会で可決された)。
 1986以前の事件については、出訴まで5年という訴訟制限が生きている。
 1986から2006までは、米軍は「死刑が適用され得る全犯罪について時効をなくする」ことになっている。そして軍法では強姦犯人が死刑にされることもある。
 今では、退役将校が、除隊後何年もしてから強姦容疑で軍法会議にかけられることもあり、となったのだ。
 軍法会議にも控訴審がある。その上は、連邦最高裁判所である。
 次。
 Matt Spetalnick, Phil Stewart, David Brunnstrom記者による2018-2-24記事「U.S. prepares high-seas crackdown on North Korea sanctions evaders – sources」。
   日本の防衛省の役人いわく。現行の対北鮮国連制裁の枠組みでは、国旗国の政府および船長の同意なくして、公海上での商船臨検などできぬ。


常時公然と銃器を携帯できる教師が校内でのマスマーダーを計画したら、誰がそれを阻止できるんだ?

 ELLEN NAKASHIMA, KAREN DEYOUNG AND LIZ SLY 記者による2018-2-23記事「Putin ally said to be in touch with Kremlin, Assad before his mercenaries attacked US troops
   プーチンもアサドも、ロシア傭兵部隊がユーフラテス東岸の米軍を攻撃する計画であることについては、事前に承知をしていた。
 攻撃は2/7だったが、それに先立つ1月下旬、ロシアの大物イェフゲニー・プリゴジンが、シリア高官に対して、2月前半に実行されるはずの「迅速・強力」な前進計画についての某ロシア政府大臣からの確かな許可を得ている、と語っている通信が、米国によって傍受されているのだ。
 プリゴズィンは、米国の2016大統領選に情報干渉した中心人物としてロバート・ミュラーから名を挙げられている怪人物である。
 もともとサンクトペテルスブルクのレストラン経営者だったが、そこでプーチンと密接な関係を築き、今ではロシア国防省相手のビジネスまでも手がける一財閥の巨頭に成り上がっている。
 米情報機関が睨んでいるところでは、プリゴジンは傭兵会社も支配していて、アサドに貸し出しているロシア兵を統制している。
 個々の傭兵はワグナー社が雇い上げている。兵隊は主に、極右のロシア人や、元軍人たちで、ウクライナで実戦してきたばかりの者もいる。
 事件は、2月7日の夜に起き、8日の未明まで続いた。
 敵の人数は300人から500人であった。
 米軍のカウントでは戦闘3時間で100人前後を戦死させた。
  ※通常、戦死1人に対して戦傷者は5人を数える。この露軍は殆ど「全滅」したと見ていいだろう。
 傍受によるとプリゴジンはシリアの大統領問題担当大臣ファドゥララ・アザムと連絡していた。
 1月24日の通信では、プリゴジンは23日にロシアの某大臣から、「迅速・強力」な攻撃計画についての確かな許可を得ていることをアザムに請合った。そして、あとは、シリア政府の決心次第だと言った。
 1-30にプリゴジンはアザムに対し、2月の6日から9日の間に、アサド大統領にとっての嬉しいサプライズニュースがあるだろう、と大言壮語。それに対してアザムは、謝礼金ははずむよ、と約束。
 この間、プリゴジンは、プーチンの側近であるアントン・ウァイノおよびウラジミール・オストロヴェンコと頻繁に連絡を取り続けている。それは2-5まで続き、2-8からまた再開されている。
 現地米軍は、ISRによって、対岸の露軍が2-7の攻撃開始よりもすくなくも1週間前から戦闘準備に入っていることを偵知していた。
 米財務省によると、プリゴジンの所有する「エヴロ・ポリス」社は、2016にアサドと契約を結び、IS支配区を奪還したならその土地に眠る石油と天然ガスの25%を貰えることになっていた。
 その土地のほとんどはユーフラテスの東岸にあり。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-2-23記事。
    2017-12時点でワグナーグループは1200人の露兵(傭兵)をシリアに展開させていた。
 その半数は直接戦闘要員である。
 ロシア語のSNSをモニターしていれば、非常に多数の元軍人が傭兵会社に登録していることは簡単に判る。
 こやつらが勝手にシリアやウクライナから写真をネットにアップロードしてくれているのだ。
 シリアでは傭兵は、ロシア正規軍部隊の基地を守衛している。アサド軍をロシア砲兵が支援するときには、その正規軍砲兵をロシア人傭兵が護衛する。
 ごく稀に、シリア政府軍の直衛としてロシア人傭兵隊が前線に出ることもある。
 ウクライナでは、傭兵部隊は、「親ロシア」なのだが統率に従わないウクライナ人武装叛乱団の不羈を罰するために出動することがある。
 出動して何をするのかというと、こっそりと、そのリーダーを始末してしまうのである。
 ウクライナ人はロシア傭兵チームを「掃除屋」と呼んでいる。
 シリアにはエリートのキューバ兵もやってきている。彼らはアサド軍に稽古をつけてやっている。
 2017末までにシリアではロシア将兵は公式には45人だけ死んだことになっているが、実数は3割増し~8割増しだ。
 ワグナー社の賃金体系。戦死手当ては、階級が高ければ、最高で8万8000ドルだという。遺骸はひっそりと、ロシアの家族のもとに還される。
 傭兵は、守秘義務契約を結んでいる。しかし傭兵の家族にはそれは適用されない。だから遺家族がSNSに勝手に投稿するので、外部世界は、ロシア語SNSをモニターしていれば、シリアで何が起きているのかを推知できる。
 インターネット情報を総合すると、2/7には50人死んだのは確実で、別に70人が負傷した。
 東部ウクライナには、ワグナー社とは別な複数の傭兵会社も、傭兵を送り込んでいる。
 シリア内の露軍陣地の周りには恒常的なジャミングがかけられていて、基地内からGPS付きスマホによる送信(SNS投稿)ができない他、クォッドコプターの操縦も不可能になっている。これはスウォーム襲撃と、情報漏洩をふたつながらに予防する。
 ロシアは中共の次にはインドネシアにスホイ35を売りたくて必死。
 ゴラン高原でイスラエルのF-16(複座)を撃墜したのはS-200=SA-5であった。
 SA-5などがなぜそこに残されていたのかというと、ロシアとイスラエル政府の間の協定で、破壊しないことになっていたのだ。


使い捨てマスクの「おもしろ化」の工夫が必要だ。

 インフルエンザが流行っているというので子供が使い捨てマスクを大量に買ってきたが、なんとつまらんデザインなのだろう。無味乾燥にも程がある。
 せっかくの消耗品マスクなのだから、目までも覆うようにして、ベネチアンマスクもどきに意匠を凝らせばいいではないか。
 今のままでは、誰も彼も個性が無くなりすぎて、そんなモブが大量に街を歩いていたら、気味悪いだけだぜ。東京五輪前に改善すべし。
 全国の通勤者諸君。目まで覆う変装マスクを着用して毎日電車に乗り、官公署通りを闊歩したくないか?
 風邪マスクをボックスで1ダース買うと、12種類の仮面変装ができる。そういうのを誰も考えないというのが情けないと思わんか。
 次。
 Ankit Panda 記者による2018-2-20記事「A Nuclear Angle to the 2014 PNS Zulfiquar Attack?」。
    2014年9月にアルカイダ系ゲリラがパキスタン海軍のフリゲート『ズルフィカー』を襲撃した事件。インドの情報部によれば、この艦には核兵器が搭載されていて、アルカイダはその奪取を狙ったのだという。スティーヴ・コールがこのネタを1冊の本に書いている。
 核弾頭は1発だけ艦内に存在した。それが巡航ミサイルか弾道ミサイルかは不明。
 「ハルバ」という艦対艦/艦隊地の巡航ミサイルだったかもしれない。
 この巡航ミサイルは、地対地/潜水艦対地の巡航ミサイルである「バブール」の派生型である。
 パキスタンは中共製のC-802を地上発射型の「ザーブ」というミサイルに改造している。こちらだった可能性も排除はできない。
 ※パキスタンがイスラムテログループに核爆弾を横流しし、表向きは「奪われた」と称しておいて、NYCで核爆発を起こさせたとする。この場合米国はテログループに反撃するだけではなく、パキスタン軍やISIにも核報復する必要があるだろう。地表爆発には、地表爆発で酬いなければならない。そのためにはフォールアウトを最小にできる核爆弾が必要だ。米政府は、そのための威力調節容易な新弾頭を整備することに決めた。この予算がパキスタンやイランに対する警告メッセージとなり、「代理核テロ戦争」を抑止してくれる効果を米国は期待しているのだ。もうひとつの公言され得ない事情。ロシアはバルト海で、小型核爆弾をいきなり使ったミニ侵略戦争を計画中である。もちろん同時に対米・対欧の大規模なサイバーテロも繰り出すだろう。これをやられた場合、米政府はどう反撃すべきかをめぐって指導部が麻痺してしまうおそれがある。しかし超小威力核兵器が充実していれば、話は別だ。小型核爆弾には、小型核爆弾で躊躇なく反撃するぞというメッセージが、今、モスクワに対してこそ必要なのだ。このたびリトアニア、ラトビアに続き、スウェーデン政府も、じつに1961年いらいひさびさに、全世帯470万戸に、有事ガイダンスのパンフレットを配った。日本の〈国際政治専門家〉さんが知らないところで、核戦争は切迫しているのだ。米政府の方針はもちろん日本にとって朗報である。なぜなら北鮮や北京で地表爆発したフォールアウトが日本まで漂ってくるリスクもついでに軽減されるからだ。外務省が歓迎声明を出したのは、米国の対露強硬姿勢を日本は支持しますという「打ち合わせ【口卒】啄[そったく]」だろう。だからロシアは長距離爆撃機を飛ばして日本を脅した。
 次。
 MARTIN EGNASH 記者による2018-2-22記事「‘PowerPoint karaoke’ to celebrate the best and worst of a modern military requirement」。
   英語で、ボスに言われて厭々ながらやる仕事を“voluntold”という。
 米海兵隊の中少尉にとって、パワポを使ったプレゼンはこれに当たる。
 海兵隊のプレゼンテーションの会場がどこかを捜す必要はない。屠所へ曳かれる牝牛のごとく元気のない中少尉の海兵隊員の一団を追って行けばいい。とにかくパワポプレゼンは他人のカラオケを1時間以上聞かされると同じくらいに退屈なのだ。セクハラ防止訓示等、毎回同じような内容のこともあるし。
 眠気をふりはらうために後方席の隊員がときおり部屋の壁際の立ち見席へ移るのはよくある会場光景である。
 ※スノーダンプというと当地の住民はアルミハンドル+FRP本体の軽い小型の物を最寄のホームセンターから買って使っていることが多いが、これって氷塊をドスンと落としたり、金属スコップの刃をうっかり当てたりすると、割れちゃうんだよね。そこでわたしは今回、浅香工業(株)製の「金象 アルミスノーカート 大」を通販で調達した。本体がアルミで、ハンドルはスチールである。組み立て方の図面案内のようなものがまるでみあたらず、4本のボルトの向きとか、横捧(足で押し込むところ)のとりつけ方で悩んでしまったが、PCモニターで広告写真を拡大して、なんとか承知できた。組み立てには、太いプラスドライバー(ロッドは短くてよい)と、小型のモンキーレンチが必須だと思った。ナットがシングルなので、これが緩んでこないか心配だったが、ワッシャーも介在しており、いまのところ不都合はない。なおわたしの経験から言わせてもらうと、エッジで雪山に刺してこじるという使い方は、どんな素材だろうと、すべきではない。すなおに割れてくれない雪塊は、最初から、別のアルミスコップで切って盛り入れてやるという技法にするべきなのだ。手袋は軍手ではアカン。指先凍傷になりかかる。


あっちの方でもどんどんどん……。

  JESSE JOHNSON 記者による2018-2-19記事「Report claims Kelly, Secret Service agent scuffled with Chinese security officials over nuclear ‘football’」。
 人民大会堂に2017-11-9にトランプが入場するとき、核攻撃命令鞄を持った武官が付き従おうとしたのを中共警察が阻止しようとして騒ぎに。
 大統領にはどんなときでも最低2名が随伴する。1人はこの鞄を持った軍人。もうひとりは侍医。
 首席補佐官ケリーはこの騒ぎを聞くや、そのまま進めと命令。
 すると中共警備員がケリーを掴んだ。ケリーがそれをふりほどくや、ケリーの護衛が中共警備員にタックルして床に捻じ伏せた。
 米国から高官が訪支するとき、これに似た嫌がらせは必ず発生するという。オバマ政権時代に2人の国防長官の下でアジア担当補佐官だったマグサメンいわく。
 2007から13まで駐北京メキシコ大使であったグァヤルド氏はツイッターでこの話には信憑性があると請合う。
 外国の外務大臣が訪支するときだって、常に厭がらせを受けるんですからな。
 メキシコ大統領が訪支したときには、メキシコ人カメラマンが中共警察に叩きのめされ病院送りにされたという。
 オバマが2016-9に最後の公式訪支をしたときには、杭州空港にエアフォースワン用のタラップがわざと用意されていなかったので、空港の「裏口」に回るしかなかった。
 ※こういう場合に備えて要人輸送専用機内には簡易タラップが用意されている。不当な異常事態を強調するためにそれを使うという決断ができなかったところが、オバマとそのスタッフの限界。
 またこの空港ではオバマの安全保障補佐官のスーザン・ライスとホワイトハウススタッフのベン・ローズが青色のロープを持ち上げてオバマに近づこうとしたところ警察がやかましく叫んで阻止しようとした。ライスの護衛が身を挺して進行させている。


テクノ黙示録

 ストラテジーペイジの2018-2-18記事。
   J-20を実戦配備しているとか吹かしている中共だが、2017年なかば以降、殲-20の生産機数はゼロである。発表された計画値では、毎月3機が量産されねばならないのに。
 ステルス性能にも、エンジン性能にも、問題がある模様だ。
 やっぱり致命的なのはエンジン。
 2017前半に「殲20」は最低12機が支那空軍に引き渡されていると公表された。これはパキスタンにJ20を売るための嘘情報だった可能性がある。中共メディアは、パキスタンがJ-20の輸入で合意したと報じていた。
 中共は2016までは、J-31は輸出させるがJ-20は輸出させないつもりであるようにみえた。しかし2017から方針転換した。
 J-20のメーカーであるCACは、過去にパキスタンと共同でJF-17を開発してパキスタンに買わせているという実績がある。
 次。
 Atlantic Council fellow の Matthew Krull 海軍中佐による2018-2-16記事「Foreign Disinformation is a Threat to Military Readiness, Too」。
  〈ロシア軍は米艦艇を無力化できる〉といったガセを流すことによってロシアはいったいどんな得をするのだろうか?
 こうした偽情報が一部の水兵や水兵の家族によって信じられれば、それだけで、米海軍の中に、国家の命令や、上官の命令について疑いを持つ者が現れる。
 自軍や味方に対する不信が醸成されることにより、有事の際に堅確・機敏・闊達な軍隊の諸活動が妨げられるようになるのだ。
 げんざい、シンクタンクのアトランティックカウンシルや、ブルッキングズ研究所で、ディスインフォメーションに対抗する研究「ニュージアム」をやっているところである。ドイツにも参加機関がある。
 ※先日の学校乱射事件直後に、ロシアの対米世論工作の方法についてUPIが解説していたところによれば、彼らはある特定の主張に米国世論を誘導しようとは考えない。この事件のケースでは、「もうこんな国はダメだ」という銃規制賛成の論陣と、「銃器武装は絶対に必要なんだ」という正反対の論陣の双方に同時に幾万もの、工作員認定をされ難い文章の投稿を流し込む。それによって米国社会を分断し、あるいは、すでに米国社会は分裂しまくっているという印象を作為できたならば、作戦は成功なのだ。


ナノなのだ。

 ROBERT BURNS AND VLADIMIR ISACHENKOV 記者による2018-2-14記事「US, Russian officials dispute reports of Russian casualties in Syria」。
   シリアのノモンハン事件(2018-2-7)は、とんでもない規模の一方的な袋叩きだったようだ。
  現地米軍によると、敵(ロシア軍)がまず、ユーフラテス東岸の「Deir el-Zour」省において、大砲と戦車砲によって攻撃してきた。それに対する反撃だったと。
 中東の米空軍司令官(カタールに所在)のジェフリー・ハリジアン中将によれば、たしかに大空襲で応じたと。
 3時間以上にわたり、F-15E、B-52、AC-130、アパッチ、リーパーが地上を攻撃し、ついで地上からも榴弾砲、迫撃砲、ロケット砲、戦車砲で反撃した。
 この空爆だけで、侵攻軍の戦車と野砲は多数、破壊されたという。
 ※アサド=モスクワは、シリアのユーフラテス東岸地帯が、イラクに合併されるか、クルドの国家になってしまうことを恐れているようだ。
 不確実情報としてロシア国内では、200人の露兵が死傷したという話が飛び交っている。
 すくなくも4人死んだことについては現時点で確認されている。
 ※米国務省とCIAが「露兵だとは確認できていない」「違う国籍の傭兵じゃないか」などと火消しに必死なのは、現地の軍隊の間では相互の憎悪が前々から昂進しているので、この「事件」がすぐに「事変」規模へ発展しかねないからだろう。


米露戦争が先週から始まっていた……。シリアのノモンハン事件。

    STEPAN KRAVCHENKO, HENRY MEYER AND MARGARET TALEV 記者による2018-2-13記事「US strikes said to kill scores of Russian fighters in Syria」。
  米軍がシリアでいちどに100人以上のロシア兵を戦死せしめた模様。
 2月7日、ユーフラテス川の東8kmで、諸兵種連合の1個大隊規模のアサド=ロシア軍が、米軍とクルドの同盟軍に向かって発砲しながら前進開始。
 敵は戦車、多連装ロケット砲兵も伴っていたが撃退された。
 この場所は Deir Ezzor 地区といい、石油とガスが埋蔵されている。敵はそこにこだわっている。
 ロシア兵は名目上はアサドが雇った傭兵という。200人以上いた。
 米軍発表によると露兵を100名は斃した。そしてその二、三倍は負傷させた。
 この攻撃は、現地ロシア軍の指揮系統からの命令によるものではなかったことが、事件後に確認されたという。つまり傭兵の暴走?
 米民間軍事会社「ブラックウォーター」のロシア版があるのだ。「アカデミ」という傭兵供給会社だ(以前は「ワグナー」と称していた)。アサドはそこから露兵をレンタルして、石油・ガス施設を守備させている。見返りとして、石油採掘権を譲与しているという。
 しかし2-7事件の傭兵の実態は解明されていない。イランが動かしているという説もあるが、とにかくロシア人/ウクライナ人であることは確か。
 米軍は、反撃の際、航空機と砲兵も投入した。
 そして米軍とクルド軍には一人の負傷者もなかったという。
 露軍の車両と歩兵がUターンして西に逃げ出したので、追い撃ちはしなかったと。
 ユーフラテス川が米露両軍の暫定境界線となっている。しかるにアサドとしては Deir Ezzor 東部の埋蔵資源を担保にして国家の財政を立て直したい。だから越境して攻め込んだのだろうが、もののみごとに失敗した。
 ロシア国防省の公式発表。シリア人戦士25人が負傷したと。
 ロシアの傭兵隊長に電話で取材したところによれば、彼の部下が数十人、セントペテルスブルクとモスクワの病院に入院している。
 傭兵のほとんどはロシア人と親露系ウクライナ人で、いずれも元軍人。ウクライナ戦線で実戦経験があるともいう。※つまりクリミア切り取りで暗躍したスペツナズ工作部隊じゃないか。
 反プーチンの政治家、グリゴリー・ヤヴリンスキーのツイッター書き込み。ロシア人が死傷しているというのに、参謀総長や軍の司令官はなぜ国民に対して説明もしないのか。
 ※鎧袖一触の赤恥。プーチンは五輪どころじゃないのだろう。


全長だけ大きい『いずも』の重さが『ワスプ』の半分なのは何を意味するか考えれば、F-35Bを艦尾に1機でMaxだと悟れる筈。

 ADAM MAJENDIE, KRYSTAL CHIA 記者による2018-2-11記事「In the global game of hide and seek, the drones are winning」。
  シンガポールのエアショーはドローンだらけだった。
 いまレースが進行中なのは自動操縦革命。
 昨年、タレス社が買収した英国の「アヴェイラント」社。同社はゲームキーパーというホログラフィック・レーダーを開発した。角砂糖サイズの物体を5km先から探知できると主張している。スキャンド・アレイ・レーダーの一種。
 ベンチャーの「スペクトロニク」社の宣伝。同社の燃料電池を使えば、無人機はリチウム電池の10倍のパワーを利用でき、しかも、燃料補充は数分で済む、と。
 次。
 このごろ座った姿勢で老眼鏡をかけて読書していると、どうも眼が疲れてきて集中が続きません。
 ひきこもり生活者の不健康をいささかでも改善し、なおかつ資料読みの生産性を、若年時並に高めるにはどうしたらよいだろうかと悩んでおりました。
 そこでこのたび、室内で立ったままで書見ができるように、キクタニ製の譜面台 オーケストラ用 OMS-01 ブラック というのを通販で取り寄せてみました。これが久々の大当たり。
 書籍見開きページ中央表面までの床からの高さを最大120cmにできます(実測)。
 安定性も十分。
 つまみやノブによるネジ締めもしっかりできています。
 バネの力が絶妙のフレキシブルなページ押さえには賛辞を献呈したい。
 驚いた発見。
 これに比較的に小さい活字がびっしり組まれた四六版ハードカバーを載せて読んでみますと、なぜか老眼鏡が要らないのだ。
 座位では、頭と書籍との距離や角度をフリー調節できない。だから疲労していたのだと悟りました。立姿なら、人間のほうで、自在に加減や変更ができるわけです。
 照明は、シーリングライトをLEDの明るいものにしておけば、他に何も要りません。スタンド灯が要らない。(まあ床から120cm以上ですから……。)
 ところで、さらにこれでもあきたらず、立姿で、しかもじゃっかん上目遣いで読書がしたくなったなら、それは器具を自作するしかありません。
 ぶら下がり健康器の垂直支柱の背面に、ホームセンターで入手できる金属製と塩ビ製のパイプ押さえクランプを2個、ナットとボルトで組み合わせて固定すればいいのです。高さ150センチオーバーの、簡易ながらもガッチリしたブックスタンドができます。
 ただしページ抑えは無いので、それは文房具の大型クリップ(ピンチ)を噛ませなければなりません。
 ちなみにわたしはベンチ付きのぶら下がり健康器のそのベンチ部分に、別な安物健康器具である「ワンダーコアもどき」(不用品)を据え、それを快適な背当てとして、PC作業をしています。ぶら下がりバーの高さは、座った状態から手をおもいきり真上へ伸ばせば、指先が触れるぐらいにしてあります。この高さですと、垂直支柱が25度でオーバーハングしている最上部の曲がり角が、ちょうど書籍の背に当たってくれるようになります。
 さらにPC用の机の下には、簡易型のペダル漕ぎ運動器。これだけはまだまだ改善の余地があると感じています。その話はまたいずれしましょう。
 次。
 ストラテジーペイジの2018-2-10記事。
   米海兵隊が「外人部隊」の編成に乗り出す。
 といっても海外で募集するわけじゃない。米国内には、米国籍をもっていない若者が仰山居る。その人的資源を狙うのだ。
 2001から2010年までを均した統計で、米国には2.2%の非米人が住んでいるのだが、米軍内では、その比率は4%である。
 しかし海兵隊構想は、非米人を主力にする特別部隊を創設しようという点がこれまでと異なる。
 部隊は、非正規戦連隊IWRと称し、4200人のうち3000人は特定海外戦域の言語を理解する非米人兵士とす。ただし軍曹(E-5)以上は米国籍の海兵隊員で固められる。
 応募してくれた兵隊は、まず英語訓練学校に送り込み、その後、新兵教育キャンプへ。ここまで2年。
 さらにIWRで3年。
 その時点で市民権獲得の資格も生じている。
 ところでこういう試みをすると敵国は、その制度を利用してスパイをもぐりこませようとする。そのスクリーニングが難しい。
 2001~2010に米軍は7万人の新兵を受け入れた。その5%が、米国市民権を持たない外国籍人であった。
 これらの新兵のモチベーションは非常に高い。新兵訓練課程で脱落する者も少ない。入隊3年後で比較すると、米国籍兵は72%しか残留していないが、非米国籍兵は84%が軍隊にとどまっている。
 ここに海兵隊のリクルーターは目をつけた。
 南北戦争中だって、北軍兵士の2割は、米国籍を持っていなかった。それでいいのだ。
 ちなみにバチカンのスイス傭兵は、全員がカトリック教徒である。
 ※地本が知っておかなくてはならないこと。高校には進路指導セクションがある。その中は、「進学」と「就職」に分かれる。防大進学を勧めたいのならば「進学」の先生に頼まねばならぬ。二士を採りたいのなら「就職」の人に頼まねばならぬ。ただし、キーパーソンは必ず教頭先生である。校長ではない。ここを絶対に勘違いしてはいけない。教頭は必ず職員室に居る。まずその人に資料を渡して話を通ずること。そうしないかぎり、資料は捨てられておしまいなのである。
 ※昔と違って今日の自衛隊で取れる大型免許は「自衛隊限定」。退職後に大型車に乗りたければ、あらためて私費で教習所の試験にパスする必要がある。こうなってしまったのも、退職自衛官の交通事故が多かったからだと。
 ※海保の人は退職したらすぐに水先案内人になれる。その資格を与える機関なのだから話も早いわけだ。しかし海自の人は、何十年勤続していても、シャバの船舶関係の免許は特についてはこないから、そこのところはよく考えねばならない。


新刊ご紹介

 並木書房さんから、ゴードン・ロットマン氏著、床井雅美氏監訳、加藤喬氏tr.の新刊『AK-47ライフル』を頂戴しましたので早速拝読。
 原著者はM-16系と比較してAK-47系列を高く評価しています。
 各種の実包の細かい違いとスペックが網羅されているところ、資料価値が高い。
 東欧で戦後も鉄薬莢を広範に使っていたのだとは知りませんでした。
 床井さんが原著に書いてない情報を補足しているところは例によって貴重です。
 米軍の兵隊用のM-14はフルオートができない仕様になっていたとは知りませんでした。
 カラシニコフ氏の前半生についての大きな謎、「捕虜のドイツ人技師からどのくらい助けてもらったのよ?」には、今の段階でも最終回答が出ちゃいないようだな、と感じました。
 シュツルムゲヴェールと内部システムが違っていることは、ドイツ人の設計関与がなかったことを保証しませんからね。
 設計した本人、開発の陣頭指揮を執った本人しか語り得ないエピソードがあるはずです。別に寸法や素材や加工の秘密なんかをバラす必要はない。国家にとって無難な、しかし外人には興味深い体験談を、昔話として、いくらでもできるはず。本人は西側のインタビュアーに対してそれらを語る機会がいくらでもあったことが本書からもわかる。ところが、そうしたエピソードが本人の口から自然にアドリブで飛び出すことはなかったようです。本人はそれを強く自戒していたんだと疑える。
 削り出しの自動火器にしか過去に関与してこなかった叩き上げの工員が、いきなりプレス加工指向の簡易量産の、公差最大の自動小銃をデザインできるとは不思議千万。
 設計も開発も、StGの経験をたっぷり有するドイツ人チームがやったんでしょう。
 カラシニコフ氏は、戦後ソビエト=ロシアの国家威信発揚の宣伝塔キャラにまつりあげられたのだろうとわたしは疑います。農民/労働階級出身の一介の工員が国家英雄級の偉業をなしとげたことに、マルクス主義国家は、しておきたかった。グラスノスチ後のロシア軍も、その神話遺産は維持したかった。だとしたら本人も死ぬまでそのキャラを演じ、神話を守り続けるほかになかったのだろうなと拝察しました。
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マカオのオカマ

  Michael J. Hennelly 記者による2018-2-8記事「Fire One, Fire Ten: Implications of the Torpedo Scandal of World War II」。
         1943-7-23に独航していたタンカー『図南丸』を狙った米潜『ティノサ』(SS-283)。
 魚雷15本を発射。12本が命中。ただし爆発したのは1本のみ。
 タンカーは沈まずに逃げ、若いティノサ艦長はパールに戻って潜水隊司令部に怒鳴り込んだ。
 「マーク14」魚雷には3つの欠陥があったのだ。
 しかし本国の兵器本部は、問題は欠陥魚雷にはなく、艦長や水兵の無能にあるのだと主張。
 米海軍艦艇のうちたった2%だけが潜水艦だった。しかし太平洋戦域では日本の艦船の半分以上をその2%の潜水艦が沈めたのだ。
 「マーク14」には、深度調定器、磁気爆発尖、触接爆発尖が備わっていた。そのすべてが欠陥品だった。
 対日開戦するまで誰もその欠陥たる事実を認識していなかった。
 WWII前の世界は大恐慌時代である。そんな超デフレ時代に、「マーク14」は1本1万ドル以上もした。当時、新車の値段が700ドルである。
 必然的に兵器局は、魚雷の試験を非消耗的な流儀とさせた。同じ練習魚雷を何回も利用するのだ。
 潜水艦長は実用魚雷による発射訓練は一度もさせてもらえなかった。
 真珠湾攻撃から5時間以内に、米海軍作戦部長は「無制限潜水艦戦」を発令した。日本の商船も容赦なく沈めろというもの。
 じつは米海軍は戦間期、潜水艦隊によって日本列島をブロケイドするという想定は研究したことがなかった。
 水上艦隊の前衛哨戒をさせることばかりを考えていた。
 開戦してみてわかったこと。平時に勤務評定の高評価な艦長が戦時に有能とは限っていないこと。そこで最初の1年のうちに3割の潜水艦長たちが無能の故をもって交替させられた。
 1942の1年間で米潜は100隻以上の日本商船を沈めたが、魚雷の欠陥もあきらかになった。
 1942の夏に太平洋艦隊では、本国の兵器本部の異議を無視して独自に魚雷の徹底試験を開始。1943には、件の三箇所が欠陥なのであることをつきとめ、独自にそこに修正を施した。
 1943-9-30に出撃した米潜『バーブ』は、改善された触接爆発尖をマーク14に取り付けていた。これ以降、米潜の撃沈成績はうなぎのぼり。
 教訓。潜水艦用の魚雷の欠陥修正については、米海軍の中央集権機構は役に立たなかった。
 WWIIでは、米国には三艦隊があった。大西洋艦隊、太平洋艦隊、南西大西洋艦隊である。それぞれが司令部を有す。
 潜水隊司令部はその三艦隊司令部に分属し、最高位の潜水艦指揮官はワシントンには所在しなかった。これが潜水艦に関する諸改革を遅らせた。三つの潜水艦隊相互の情報共有もできなかった。
 次。
  Hans Ruhle 記者による2018-2-8記事「The New U.S. Nuclear Posture Review: Return to Realism」。
      もし米本土の原発にサイバーテロをやられたら、その報復として核攻撃することもあり得る。これがこんどのNPR。
 フランス政府もすでに、国家が後援するテロ攻撃を受けたときには核で反撃することもあると宣言をしている。
 なぜB-61を近代化(ダイヤルで低威力化したり地中貫徹もできるようにしたり)すると核戦争が起き易くなるという者がいるのか。航空機から投下する爆弾であるB-61は開戦奇襲に使えるようなシロモノではない。
 大規模なテロ攻撃等に対して、巨大水爆ミサイルと通常兵器の間にもうひとつかふたつの反撃や懲罰のオプションがありますよと平時から強調しておくことにより、敵は大規模なテロ攻撃や、周到に準備した通常兵力侵略戦争をしかけようとは思わなくなるのだ。