グーグルのしらべ。アクセスするのに6秒余計にかかるウェブサイトは、客がアクセスそのものを止めてしまう率が2倍になる。

 Alan Tovey 記者による2017-12-13記事「BAE Systems tests drone controlled by blasts of air that could lead to faster and stealthier aircraft」。
   マグマ・ドローンという英国製の単発・全翼型ステルス無人戦闘機。
  BAEとマンチェスター大学の共同開発。
 全翼なのに、なんと、エルロンとフラップを廃止。翼の後縁から空気を噴出すことで、その機能を代替するから。
 B2でさえ、コースを変えるのにフラップを使っている。マグマは、その可動部すらなくす。
 また、単発エンジンのスラスト方向を変更するのにも、メカニカルな「絞り板」「屈曲板」は用いない。高速の空気を吹き付けることによって、真っ直ぐなエンジンのスラストを随意の向きへ曲げてしまう。
 これは単純機構なので、機体はますます軽くでき、安価に製造ができ、故障もしないのでスペアパーツなどメンテナンス費用もかからない。
 次。
 Don Tse 記者による2017-12-13記事「China’s Americanized Military」。
 内モンゴルの朱日和鎮という、演習場に隣接した村には「第195機械化歩兵旅団」という、完全アメリカ式のエリート演習対抗旅団、すなわちOPFORが駐屯する。
 この演習改革は習近平のさしずで2013からスタートした。
 某旅団は内モンゴルの演習場にてOPFORと7日間交戦して完敗を喫した。その政治将校はカメラの前で泣いた。
 これはドキュメンタリー番組化され、第19回中共党大会の数日前に放映された。
 このOPFEORはこれまで演習で1回しか負けていない。
 OPFORはアメリカ式に、核攻撃、絨毯爆撃、電子攻撃、夜間襲撃を加える。尤もハードウェアはぜんぶシナ製の旧装備。それを米式装備と見立てるのだ。
 中共軍は真正面からでは米軍には勝てない。そこで「ギャップをバイパスせよ!」と叫ばれている。ギャップを埋めるのではなく。
 キーワードが「殺手【金間】」=shashoujian=「Assassin’s Mace」。
 ※この【金へんに間】という字が我が辞書には無く、意味不明。


17日に東京とんぼ返りの予定。御用のお方はお知らせください。

 Bill Gertz 記者による2017-12-6記事「China confirms test of powerful DF-41 intercontinental ballistic missile」。
     11月、トランプが北京を訪れる日の2日前に、中共は「東風41」の発射テストをして米国を威圧した。
 2016-4-12、空母『ステニス』が南シナ海に入る3日前のタイミングでも、中共は「東風41」を発射して虚勢を張っている。


真珠湾への第一次攻撃の発艦に失敗したパイロットは『蒼龍』所属と裏付けられたが、いったいその後どんなキャリアを歩んだのか?

  Brian Todd 記者による2017-12-8記事「Air Force developing weapon that could disable North Korean missiles」。
  米空軍はCHAMP(Counter-electronics High Power Microwave Advanced Missile Project)をニューメキシコ沙漠で実験中。
 これで平壌の政府機関ビルのPCをほとんどシャットダウンさせられる。
 ※前々から実験されていたもので、北鮮にプレッシャーをかけるための宣伝的なニュースだが、添えられているイラストレイティヴ動画からは得るところが多かった。こいつを「EMP爆弾」とか「電子レンジ」とか言うのはミスリーディングで、要するにAESAの応用じゃないか。下向きにとりつけた小型のAESA。そいつでもって超低空をフライパスしつつ特定ビルを狙い打てば、強烈なジャミング効果は出る。ただし単価は箆棒になるだろう。おいそれとは発射もできまい。この特殊巡航ミサイル、最後は必ず海まで飛んで落下させることにも決めているようだ。理由は、内蔵しているAESAのノウハウを敵陣営に開示したくはないからだろう。しかし正体がAESAだと見当がついた以上は北鮮も中共もPC端末作業を地下室へ移して、ファラデーケイジで天井を覆うだけだ。米側は、こんなのは役には立つまいと見通したので、映像を公開してせめてものブラフに役立てようとしているのか?
 次。
Kris Osborn 記者による記事「F-35 Sensor Performs Ballistic Missile Defense Missions」。
  F-35に標準装備されているDASという機能を使うと800海里も先からBMの三次元的な動態追跡が光学的に可能。その軌道データを「リンク16」で地ージスまで速報してやれば、それだけで対BMのキルチェーンは完成してしまう。つまりイージス艦も早期警戒衛星も日本は必要なくなるという、空幕にとっては夢のような話。
 ※グロホはますます不要になるという点も強調したい。
 DASはF-35の機体表面にとりつけられた6個のカメラで得られる360度の映像。
 ※ついでに解説しとく。なぜ対支空母用のLRASMはF-35に吊下させて使う必要があるかというと、ESMのテクノロジーがF-35用とLRASM用とで相通じているから。この連繋によって真の対空母奇襲ができる。もちろんF-16やF-2にも吊下できるのだけれども、国産ESMでは性能がショボすぎて結局F-2が対水上の捜索レーダーを使う必要がある。それではLRASMの奇襲力のポテンシャルをフルに活かすことはできない。他方で、なぜ「JASSEM-ER」の方はF-15から運用させるのかといえば、これは対北鮮のTEL撃破用のスペシャルだから。防空レーダーすら無い北鮮相手にステルス機をわざわざ飛ばすのは貴重資源の無駄使いとなるのである。おそらくF-15はほどほどの低空で北鮮海岸まで接近し、急上昇後に「JASSEM-ER」を発射するのであろう。射程にはえらい余裕があるから日本海上の何百kmも手前でリリースしたっていいのだが、それでは着弾までに時間がかかり、敵が先にBMを発射してしまうかもしれない。どうしてもF-15がアフターバーナーを使って急行する必要があるわけだ。帰りは燃料切れになっても仕方ない。そのくらいの覚悟だろう。こちらがそういうプレッシャーをかけ続ければ、敵BM操作兵も手順を焦ってミスを犯す確率が増すだろう。
 次。
 ストラテジーペイジの2017-12-8記事。
 DMZから逃げ込んできた兵隊は25歳で、父親は北鮮軍の憲兵隊の中佐だった。
 北鮮人は韓国では普通に手に入る「チョコパイ」に感激する。それはWWI中に米国の南部で流行ったスナック菓子に似ている。
 北鮮兵は、兵役が10年もあるのにうんざりしている。
 軍では、浴用石鹸、洗剤、そして歯磨き粉が支給されず、また、兵士はそれを買うカネが無い。
 朝満国境では北鮮兵が徒党を組んで深夜に支那領へ渡り、手当たり次第に物品を略奪して去るという犯罪が頻発している。
 ※松前小島の一件のおかげで、こうしたニュースがガセではないということが日本人にも理解できるようになってきたろう。いや、戦前には常識だったのだが……。二度の元寇で鎌倉幕府がいちばんショックを受けたことは何だったか。高麗からやってきた元軍の手先のみすぼらしい朝鮮兵が、略奪にかけてはプロ中のプロであったということ。これで幕府の「賎民観」がすっかり変わった。爾後、自国内の乞食に対する取締りを格段に強化する流れとなった。なお松前小島が松前城の復元天守3階から視認ができることは『新解 函館戦争――幕末箱館の海陸戦を一日ごとに再現する』の81ページの写真を見てくれ。
 北鮮では首都ですら毎日停電の時間帯があるので、金持ち階級は皆、ソーラーパネルと蓄電池で自家給電するようになっている。平壌政権はパネルにメーターをつけて課税したいと狙っているが、金持ち階級は従わない。
 エジプト、キューバ、イラン、モザンビーク、ビルマ、スリランカ、シリア、アンゴラ、ウガンダの政府は、自国内で北鮮の外交官が外交特権を利用して闇商売を営み、ドルを稼いで本国へ送っているのを黙認している。役人たちが北鮮外交官から賄賂を掴まされているため。
 北京がおそれているのは、米朝有事の後に放射能まみれの北鮮難民がどっと満州に入って来てしまうこと。満州住民はまちがいなくそれに大反発するから。


ロシアの不参加により北鮮が平昌を流会にさせるびっくり作戦の心理障壁は何もなくなった。生物兵器演習もしくは大気圏内核爆発は年内か?

 KIM GAMEL 記者による2017-12-7記事「US aircraft moved due to weather, runway issues during war games in S. Korea」。
   烏山[オサン]基地の米空軍のF-16とA-10が、悪天候を理由として、ソウルから170マイル南にある光州の韓国空軍基地まで移転した。
 烏山のすぐ南の群山[クンサン]基地に移さなかった理由として米空軍の広報は、群山でタキシングしていたF-16の車輪が壊れてしまった事故の処理の関係で滑走路が一時的に使えないので……と説明している。
 ※光州基地は韓国空軍基地だが、いちおう米空軍専用の弾薬庫もある。そのような飛行場施設としては、半島での最南端(群山基地よりもずっと南)。北鮮の300ミリ地対地多連装ロケットによる奇襲破壊を避けるために彼らはいつでも光州へ移転できるように準備しているのだろう。DMZの北から光州を攻撃するためにはスカッド/スカッドERを使うしかない。
 光州の滑走路にはラプターも着陸している。
 次。
 Ankit Panda 記者による2017-12-6記事「The Hwasong-15: The Anatomy of North Korea’s New ICBM」。
   火星14を発射したTELは北鮮が中共製の8軸の「WS51200」という木材運搬トラックを改造したものだが、今回のは9軸。どうやら内製化しているらしい。
 火星15の第一段エンジンは、128秒燃えた。
 第二段は、161秒燃えたという。
 キャセイのクルーが目撃したもののなかには、第二段のフェアリングが含まれているかもしれない。
 ロフテド軌道は、ブースターの調子を自国の近くでより長く確認したいときに便利な軌道である。テレメトリーを終始、発射場で受信できるので。
 日本を飛び越えた火星12×2発のテストでは、どちらもRVが落下中にタンブリングしていた。
 火星15は、RVにオンボードカメラを入れて撮影動画を受信できている。テレメトリーを送受する技術は連中にはあるのだ。
 しかしもし次にMET(最適弾道)で発射するなら、テレメトリーはダイレクトに本国アンテナで受信できないから、衛星で受信もさせられない北鮮としては、観測船を事前に外に出すしかない。


エロール・フリンのカスター将軍が貴乃花親方にしか見えねえ。

 昔のウェストポイントには「何年で卒業」という決まりはなかったことがよく描かれていた『壮烈第七騎兵隊』。初期のウェストポイントについて知りたい人は拙著『地政学は殺傷力のある武器である』の第二章を見るべし。
 次。
 Mac Slavo 記者による2017-12-5記事「US Military Invests in ‘Doomsday Genetics’ Technology: ‘My Main Worry Is that We Do Something Irreversible’」。
       特定の生物種をターゲットとして選び、その生物種だけ死滅させてしまうことのできる遺伝子兵器。
 とりあえず、疫病や蚊の根絶のために研究されているところだが、この応用が拡大したらどうなるのか? という懸念。
 一歩まちがえたらヒトの方が亡びてしまいはしないか。
 ※いちばん予算をつけているのがDARPAなので、ロシアのボット宣伝機関はこの恐怖とDARPAを結びつけるSNS工作に注力中だろうね。かつてエイズはCIAがアフリカ黒人を絶滅させるために発明したものだという噂を流すのにも成功している。
 それともうひとつ。ある有害生物を死滅させたところ、じつはその有害生物のおかげで普通に生きていられた他の生物に、予想しなかった影響が及んで、結果的に、連鎖的に人間の生活も大混乱させられてしまわないか。
 次。
 Tyler Rogoway 記者による2017-12-4記事「Missile Defense Madness: Myth Of Perfect Patriots, Magic THAAD, And The ICBM Shield」。
      米西海岸にあたらしい基地を選んでそこにTHAAD大隊を置くという噂が議会内をかけめぐっているが、ナンセンスだろう。THAADはICBM用ではないからだ。
 またもしそれがICBMのターミナルにも有効だったら、北鮮は西海岸都市以外の場所を狙うだけ。
 トランプ政権は、アラスカのGMDも、44発から64発に増やそうとしている。
 ヴァンデンバーグにあるGMD基地は現在は試験場であって、加州を防空する機能は無い。
 ではあるけれども、ヴァンデンバーグのGMDを強化するというのならばそれはTHAADよりはマシな政策になろう。
 サウジがイエメン発のスカッドを落としまくっているのはPAC-2である。
  ※サレハが殺される数日前からサウジ空軍は、サレハ派を支援する空爆をイエメン首都で続けていたようだな。
 UAEもペトリオットでSSMを迎撃できている。
 2017-6に米海軍のスパホがサイドワインダー(AIM-9X)でシリアのスホイ22を撃墜しようとして失敗。かんぜんにエンヴェロープの中だったのに……。
 ミサイルなんてそのぐらい、あてにならない。
 日本が買う地ージスも、北鮮からの天井サーブ攻撃にはなすすべなし。
 ※防衛省は距離800mでジュラルミン板に穴を空けるレーザーを開発済み。地表爆発さえさせなければ、都市は復興できる。この地対空レーザーを全国に急いで配備せよ。
 ※もし北鮮が意図的に不発の原爆を米国の大都市に落として地中にめりこませてしまったら、その都市の全住民は、無期限に自宅から遠く退避させられるしかないんじゃね? 北鮮は、不発のときは「時限信管だ」と宣伝するだけでいい。小威力の原爆で最大の政治効果を得る方法じゃないか。軽量原爆なら、弾殻を特に厚くして大気焼蝕を免れることもできるだろう。


スピード感のない海保定員増で北と南の領海警備が全うできると思うなら間抜け過ぎ。陸自の「デピュティシェリフ」転用しかない。

 AVI SELK 記者による2017-12-4記事「Commercial flight’s crew saw North Korean missile ‘blow up and fall apart’ near Japan」。
   サンフランシスコから香港を目指して飛んでいたキャセイパシフィック航空の893便のクルーが証言。北鮮のRVは大気圏摩擦でバラバラに砕けて落ちていったと。
 火星15は、29日の夜明け前、午前3時よりも前に発射された。
 飛翔時間は1時間近かった。
  ※ハイアングル発射は低伸弾道よりもモーターカット時のスピードは遅くなる。したがって再突入時のスピードも遅い。しかも垂直落下だから大気との摩擦時間も短い。しかもラウンドノーズで焼蝕に耐え易い形状。この好条件でもバラけてしまったということは、連中はまだ中距離弾道弾しか手にしていないということ。まあ工作員たちは逆の話を拾い集めてはしつこく熱心に和訳して伝えますけどね。嘘デタラメも百回宣伝すれば潜在意識に浸透するから。
 複数の分析者が、火星15の今回の弾頭は重さがほぼ空虚だっただろうと指摘。北鮮のスピーカーは、重い弾頭を運べると宣伝するのだが。
 次。
 ストラテジーペイジの2017-11-30記事。
   JSAの警備兵は南北とも40人弱。その武装は拳銃のみに限定される決まりだったが、今回はからずも、連中は勝手にアサルトライフルで武装していたことが判明した。
 40発発砲されたが、ほとんどはピストルだった。
 手術した医師たちの驚き。この兵士は最初から病体だった。
 韓国の医療現場には、複数の銃創を受けた兵士を治療するノウハウが不足していることも自覚された。
 問題意識は前からあり、2001年以降、韓国軍医界は、米軍のメディックから学んでいる。
 南北は2004にDMZで拡声器宣伝はしないと合意。それは攻撃行動と看做すと。
 しかし2010に北鮮による2回の露骨な攻撃があったので韓国は合意を白紙にもどし、2015までに新型スピーカー多数を設置した。
 北の兵士は多くがDMZから20km以内に宿営しているので、この音声放送を聞くことができる。影響は至大だ。
 スピーカー放送でニュースが始まると、北鮮人たちが軍人も非軍人も立ち上がって聞き耳を立てているのが、DMZの南側からよく観察されている。
 DMZは、幅4km。
 韓国がいま抱えている脱北者は3万人。だから北鮮の事情は大概、わかる。
 脱北者は皆成人であり、韓国の自由社会にはうまく適応できていない。子供ならなんとかなるだろうが。
 次。
 APの2017-12-4記事「Rebels kill Yemen’s former president Saleh as alliance collapses」。
  イエメンの反政府ゲリラ「フーチ」が、従来の彼らのリーダーであったはずの、サレー前大統領を殺した。理由は、首都の支配権をめぐって対立したかららしい。両派の戦闘は1週間続いていた。
 サレは首都サナ市の隣のサナン市(サレの故地)で軍議を開こうとして車列で移動中、フーシの追跡部隊(車両20台)に捕まり、銃撃戦の末射殺された。
 フーシは死体ビデオを公開している。まさしく2011に殺されたリビアのカダフィの最期を想起させる内容。
 サレはイエメンを三十年以上支配し、2000年代にはサレは米国の同盟者としてアルカイダ撲滅に強力し、見返りに多額の資金援助を受けていた。
 2011のアラブの春で追放されてからも強大な力を保ってきていた。2014にフーシと元部下軍人グループ(要するに出身地が同じ縁故部族)に支援されて首都を占領、正規政府のハディ大統領以下を逃亡させた。
 だが最近数ヶ月、サレはサウジアラビアのカネで籠絡されつつあるのではないかと、イランの代理人であるフーシは疑うようになった。サレはマリブ県からサウジアラビアへ脱出するつもりだったのではないかともいう。その末路がこれだ。
 ※サレハは米軍のリーパーによる攻撃もおそろしくなったのだろう。
 サナア市の北半分はフーチが押さえている。もともと行政中心街だった南半分は、サレの党与が確保中。


舵が故障した船で松前小島に上陸できたわけがない。船着場は風下なんだから。こいつらの正体は「放浪かっぱらい稼業」だ。

 Helen Edwards と Dave Edwards 記者による記事「Amazon may have patented the next big thing in online shopping」。
  アマゾンが考えているいくつかの新しい試み。買った商品に対するユーザーの評価投稿を、テキストだけではなく、ビデオでも受け付けるようにしたいという。
 さらにもうひとつ。ネットで広告をちゃんと視聴してくれれば、お買い求めの商品の代価がどんどん安くなりますよ、というサービスも、始めたい。
 すでに「映示内容に基づく値引きおよびインセンティヴ」というパテントを取得したという。
 「詳細を見る」をポチると、そこにはビデオ広告が複数、呈示されている。それをしっかりと視れば視るほどに、どんどん購入価格は値引きされていく……というスタイル。
 リアルショッピングでは、客は店舗をわざわざ訪れたことで自分の貴重な時間を使っている。だから、その時間コストに見合った買い物をしておこう(余計にあれもこれも買ってしまおう)という衝動が働くのだが、ネットショッピングではその衝動がないわけ。そこを補償して、ネットでの「ついで買い」を強く誘うシステムなのだ。
 「せっかく長時間広告を見て時間を潰したから、その元を取ろう」という判断がネットユーザーの心の中で働くであろう。
 さらに、「アマゾンで時間を潰せば潰すほど得をする。しかしユーチューブやフェイスブックやインスタグラムやスナップのサーフィンで時を過ごしても一文の商品ディスカウントにもつながりはしない。ただの時間の無駄」と人々が認識したならどうなるか? アマゾンの独り勝ちだ。
 ※あざやかな理論を初見すると、眠気がふっとぶくらい心地好い。この理論は動画による国際宣伝にも使われるようになるだろう。資金潤沢な中共は、「うちの宣伝ネット放送局を見てくれれば、視聴時間に応じて、仮想クーポン券がどんどん増えますよ」という仕組みに討って出るだろう。TVの「逆視聴料」だ!
 次。
 ストラテジーペイジの2017-12-1記事。
   2017-11-10に中共政府は命令した。すべての公務員は、近平閣下の御真影を家庭とオフィスに掲げること。
 キリスト教徒は、宗教関係のイコンを近平御真影と取り替えること。その御真影は当局が無料で配給するから。
 2017-11-4判明。中共の原油輸入は過去13ヶ月で最低に落ち込んでいる。
 輸入先の最大手はロシアで、日量109万バレル。次がサウジで108万バレル。中共は米国からも日量20万7000バレルを輸入している。
 2017-10-31判明。朝満国境の満州側での放射線量計測。9-3実験から1週間後、たしかに放射線レベルは7%上昇した。
 これは住民の不安を宥めるために中共地方政府当局が発表した。
 10月前半には北鮮の核実験場でトンネル崩落が起きた。最初の崩落で100人くらいが生き埋め。それを救出せんと坑道に100人くらい入ったところで二次崩落。ほとんど死んだ由。
 ※ラウンドノーズのRVは大気抵抗が大きく低精度だが焼蝕しにくい。尖頭RVは逆に高速で高精度だが焼蝕が激しい。ICBM射程になるとブーストカット時の速度が大だからとんがりコーンでは燃え尽きてしまう。そこで「火星15」は蛋形に近くした。
 次。
 Dhawal Shah 記者による2017-11-5記事「200 universities just launched 600 free online courses. Here’s the full list」。
   MOOCという略号を記憶すべし。 Massive Open Online Courses。
 タダ、またはほぼ無料でオンライン聴講可能な世界各地の大学の授業である。
 今では800近い大学が、8000以上の授業をネットで無料公開している。
 最近登録された、社会科学系のネット公開講座にはこんなものが……。
 スタンフォード大 「核テロリズム」。
 ミシガン大 「フェイクニュース、事実、もうひとつの事実」。
 大阪大学 「都市の災害リスクとその備え」。


「読書余論」 2017年12月25日配信号 の 内容予告

▼山路愛山『足利尊氏』S24-8イワブン、原M42-1
 山路が日本史を数人の個人で代表させると、まず日本武尊。ついで藤原鎌足、菅原道眞、藤原道長、源頼朝、足利尊氏、徳川家康、徳川吉宗、西郷隆盛と伊藤博文。
 これが模範的日本人で、この英雄たちがその時代を作った。
 ノーと言えるのは男らしさなのだと、カーライルが言った(p.29)。
 『朝野群載』によれば、対馬の山の北向き斜面から、湿気の無い晴天時に半島方向を見れば、肉眼で、「金海府」の牧野の馬の群れや、船に掛けた帆の布まで見えたと。
 文永以降、日本国内では誰も北條氏を困らせようとはしなかった。蒙古が迫っている以上、国内は団結しなければいけないと皆思っていた。だから鎌倉政権は、国内治安に煩わされずに済んだ。
 北條時代の武家の特色。兄弟がほぼ同格に並び称されていた。足利尊氏と直義。新田義貞と義助、高師直と師泰、菊池武重と武敏。
 一族の長者の家督といえども独裁権がない。これも鎌倉時代の特徴。
 侍は、御成敗式目によれば、土地をひとつでも持つ者。土地をもたない者は「凡下の輩」と区別される。
 古代ローマの共和政は、元老や代官たちが、属国の君主たちから賄賂を貰うようになってから、衰滅が止められなくなった。属国は軽侮するようになり、各地で一斉に叛乱が。
 神皇正統記には、新田義貞は足利高氏の一族だと書いてある。『保暦間記』にも。
 新田義貞は尊氏の命令によって挙兵したにすぎない。
 世人も、義貞は足利一族だと承認していた。尊氏の子の義詮は4歳で新田軍に加わっている。北條高時が滅亡した後、関東の将士は、新田義貞ではなく、足利義詮に属した。
 尊氏は、足利家にとって本国とも言うべき三河を通るときに、在地の吉良良義に相談した。そこで手兵をさらに集め、近江で先帝の綸旨を得、入京した。
 尊氏は、苦心惨憺なしとげるという人ではない。生まれつきのブルーブラッドで、苦労を知らないので、他者に寛大だった。誰も憎まなかった。
 努力してそういう性格になったのではない。ナチュラルにその性格だったのである。
 尊氏は人を信じることが自然にできた。
 また一面で運命論者で、生命の危機が迫ったときも心に余裕があった。
 巻末解題。
 日本の英雄として愛山は源頼朝を最初に取り上げる心組だったが、硬直右翼どもが日本の言論を統制しようとする空気があり、出版制約をかけられてしまう前に尊氏のまともな評価を出しておこうと山路は判断した。
 じっさい、M43以降、南北正閏論で日本の史学はムチャクチャになった。
 父の山路一郎は、榎本武揚に従って出奔。
 『防長回天史』を3年で仕上げた愛山は、信濃毎日新聞社の主筆になり、M26に信毎に「露国恐るるに足らず」「非非戦論」を寄稿。
 M41以降、日本の社会義者らは、マルクス主義の正当性を日本歴史で証明しようと考え始めた。幸徳秋水は室町時代史の研究に着手した。
▼野村喬『評傅眞山靑果』1994-10
 綿谷雪は早稲田を出たあと、S6から青果のもとで筆耕等の助手を勤めた。 綿谷の筆名が、戸伏太兵。S14から時代小説を書く。S36に『日本武芸者小伝』。そののち『日本武芸流派大事典』。
 漢学者の家に育った青果は、芝居=娯楽=悪 という刷りこまれた価値観から、死ぬまで逃れられなかった。
 徳川氏は足利氏から出たので、元禄時代にあっては、むしろ北朝贔屓の学者が少なくなかった。
 硬骨の政治家・赤城宗徳は、自分でも『平将門』を著している。赤城は大正末期の水戸高校時代に、青果の戯曲『平将門』を読んで共鳴した。真山はヒューマニストだと思った。
▼津軽海峡海難防止研究会ed.『津軽海峡の天気とことわざ』H1-12
 松前ではカモメのことを「ゴメ」という。カモメは時化の前には大食いになる。
 時化の前にはウニが砂に潜ろうとする。アワビは岩に強く吸着する。ナマコは、ちぢこまる。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
 バックナンバーも1号分が500円で、1号分のみでも講読ができます。
 過去のコンテンツは、配信元の「武道通信」のウェブサイト
http://www.budotusin.net/yoron.html
 で、タイトルが確認できます。
 電子書籍ソフト対応の「一括集成版」もできました。詳細は「武道通信」で。
 「読書余論」は、2018年6月25日配信号以降は無料化されます(購読者登録だけが必要)。これから数ヶ月分の購読料をまとめて振り込まれる方は特にご注意ください。詳細は「武道通信」で。
 ウェブサイトでわからない詳細なお問い合わせは、(有)杉山穎男事務所
sugiyama@budotusin.net
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日本も海保が「洋上抑留場」となる中古客船をチャーターできる仕組みを整えておくと、次の半島有事に便利だろう。

 Traci Tong 記者による2017-11-28記事「U.S. Coast Guard operating secret floating prisons in Pacific Ocean」。
      米コーストガードが中南米の麻薬密輸業者を太平洋の公海上で捕まえたとき、沿岸警備船艇は臨時の長期留置場にされる。
 米国の司法体系の外側で米政府が外国人を抑留できる施設としてはキューバのグァンタナモ基地が知られている。
 しかしそれ以外にもあったのだ。「浮かぶグァンタナモ」が。
 NYTのすっぱ抜き。ボートごと太平洋上で抑留し、本土から護送命令が来るまで、そこで延々と数ヶ月も留置し続けることがあるという。
 テクニカルには、領海外であれば「逮捕」したことにはならないらしい。
 だから合衆国憲法が保証する、行政による私人の身柄拘束から起訴・公判までのタイムリミットは、そこでは無視できる。
 ※米当局は「麻薬に対する戦争」だと考えており、「容疑者」でも「捕虜」でもない「国際法違反の不法戦闘員」として時間無制限に訊問したい。
 米国務省はこれについて南米諸国政府と合意している。また、合衆国海上麻薬取締法(U.S. Maritime Drug Law Enforcement Act)というのもあって、それが適用されるから合法だという。
 米コーストガードは今日では、太平洋岸を南下して、コロムビア、エクアドル、中央アメリカ沿岸を見回っており、コカインがメキシコに揚陸される前に阻止しようと活動中。メキシコから、あらためて北米に持ち込まれるのだが、その段階ではもう遅いのだ。
 典型的な密輸屋。エクアドルの漁民で、カネが欲しくなり、麻薬密輸を志願する。1隻のボートに、別なエクアドル人やコロンビア人らと乗り組み、コカインを満載して、中央アメリカに近づき、さらにグァテマラに近づいたところで米コーストガード船に臨検される。
 ボートはコーストガード船に繋留され、運び屋たちは70日間、足首に鎖をつけられた状態で洋上のコーストガード船内に抑留される。90日という例もあったそうだ。
 ただし同一の船艇にずっといるのではない。複数のコーストガード船艇がリレー式に抑留場所を提供する。
 彼らはずっと起訴されない。
 じつは、抑留船となっている沿岸警備船艇が給油や需品積み込みのため陸岸に寄港することもちょくちょくある。そんな日は、捕らわれの「運び屋」たちは水線下の船室、もしくはヘリコプター格納庫内の「隠し部屋」に押し込められたまま。補給が済めば、船艇はまた沖へ戻って行く。
 運び屋どもの洋上での抑留期間は、平均すると18日だという。
 最終的には、フロリダの裁判所へ引き出される。
 この流儀は、トランプの首席補佐官であるジョン・ケリーの仕切りだ。
 ケリーは2012から16まで、「中南米コマンド」の司令官だった。その主任務は、対麻薬戦争であった。
 退役後にトランプ政権の本土防衛省の長官になった。そこが沿岸警備隊を統轄している。
 ケリーの主張。対麻薬戦争では、最前線をもっと外側へ大拡張しなくては米本土は守れやせぬ。だからコーストガードよ、敵の海岸の領海線ギリギリまで行け!
 いちおう、臨検は公海上でなされているが。
 下っ端の漁民の運び屋どもは、密輸ルートの全容なんか知らない。中米に荷渡ししたところで、彼らの請負仕事は終わりなのだ。その先は関知していない。ただし、直接北米へ向かう船がないとも言い切れない。
 ※コーストガードの警備が緩くなれば、直航するに決まっている。
 加州巡回法廷は、そのコカインの最終仕向け地が米国であると証明されぬと運び屋を有罪にできないと言っている。
 フロリダ州の法廷では、そのような面倒な立証は必要とされない。だからコーストガードは運び屋を必ずフロリダ州へ引っ立てる。
 洋上留置場で70日過ごした男は、フロリダに送致される前に、中央アメリカで上陸させられる。そして「麻薬取締局に身柄を引き渡す」と告げられる。そこからフロリダへ空輸される。
 そこから合衆国の刑法で裁かれ、裁判所で懲役十年の判決を言い渡され、NJ州の連邦監獄に入れられる、といったパターンだ。
 ところで抑留船艇の側では、「エクアドル地震で経済が不況だから麻薬密輸屋に志願した」とかぬかすこんな屑どもとの長期同居を歓迎しないのは当然である。よってトイレは使わせない。監禁部屋の中にバケツが置かれる。バケツの中身は運び屋自身が舷側から海に捨て、自分で掃除しなければならない。
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 Phil Stewart 記者による2017-11-28記事「China racing for AI military edge over U.S.: report」。
   中共軍内の思想家は、「バトルフィールド・シンギュラリティ」が来ると予測している。人間の将兵が、戦闘中、マシンによる意思決定の速さについて行けなくなる時が来るというのだ。
 ※ここんところ北鮮核関係の雑誌記事註文がたてつづいたせいで『AI戦争論』(飛鳥新社)の執筆が遅れています。が、これから挽回します! 刊行は来年です。お待ちください。
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 謹告。『日本史の謎は地政学で解ける』の訂正について。
 ほとんどの要訂正箇所は2刷で直っているのですが、なぜか2箇所、わたしの指示に反して直されていないところがあります。
 まずp.122のうしろから4行目、(しかも、~~ きわめて高い) とある文は編集者氏が挿入した一文で、わたしはそんなこと書いてませんので、読者の方でここを削除してお読みください。
 もうひとつは、初版のp.153のうしろから5~4行目、行長・清正の二名が~~偶然ではない。 とある一文です。これも同様で、わたしはそんなこと書いてませんので、読者の方でここを削除してお読みください。


60年前の自転車の後方ブレーキのリレーはロッドのみ。ワイヤーを使ってなかった。厳寒地用にはこの方が優れている。

  Immanuel Jotham 記者による2017-11-27記事「Declassified Cold War files reveal how the Soviets sneaked up behind enemy submarines without sonar」。
  旧ソ連の潜水艦技術は大したことないとずっと思われてきたが、まだ冷戦期の秘密の半分は世間に対して保たれていることが分かってきた。
 ソ連の潜水艦が、米国の潜水艦からまったく探知されずに、米潜を6日間も尾行したことがあった。なぜそんなことができたのか?
 航跡(ウェーキ)を探知できるSOKSというシステムを、彼らは持っていたのだ。深海でも水の撹乱という形で航跡は残される。それを感じ取れるならば、もしパッシヴソナーで失探しても、じきににまた敵潜の後ろに付くことができるのである。ウェイクはかなり長く残るからだ。
 ※これは高速の原潜に対しては有効だろうが、水中で動きの鈍い電池式潜水艦についてはどうだかね。
 1970年代、ソ連潜水艦のフィン前縁に、「針とカップ」状の突起が見られた。これもそのセンサーのひとつだったようだ。
 米軍情報部はSOKSの威力について掴んでいたが、部外には教えなかった。今回、昔の文書が秘密解除されて、それが初めて一般に知られた。
 ただし技術的な細部は依然として不明だ。レーザーによって海水密度の変化を察するのだとか、放射能の臭いを辿るのだとか、さまざまに憶測されているのみ。
 ひとつ確かなのは、SOKSは単一のデバイスではなく、複数のセンサーが複合したシステムだ。
 敵原潜のエンジンが漏らす放射性核種の活性化を嗅ぎつけたり、「ガンマ線分光計」の助けを借りたり……。
 ソ連は、自軍の原潜を探知できるかどうか、いくらでも沿岸でテストができるので、早く開発できた。※公開文書ではその海域名が抹消されている。ロシア人もびっくりな米潜の活動がバレてしまうからだろう。
 潜水艦の防蝕のために「犠牲陽極」が使われるが、その陽極からは亜鉛が出る。酸素発生器からは水素が排出される。外部海水に通じている二次冷却系のパイプ内からはニッケルの微細な剥離片が放出されるだろう。
 それらの兆候の強まるところを、犬の鼻のように追っていけばいいのだ。
 原潜は高熱源でもある。排出された二次冷却水は、周囲の水温より10度以上高い。それは赤外線分光計でトレース可能だ。
 こうした痕跡は原潜の通過後、何時間もそこに残されるものである。
 SOKSは1969年に初導入されている。今でもアクラ級やヤセン級のSSNには搭載されているのだ。
 ところで、磁探はレンジが短く、現状ではソナーで探知できた敵潜の確認にしか使えない。
 しかし中共は量子コンピュータ(ただし超伝導利用のタイプ)でMADの解析レンジを増やすとかフカしている。
 支那軍の技術宣伝のパターンは、米国で「こんなものができるかも」という科学記事が出ると、それに便乗して、「われわれはすでにそれを実用化しつつあり」とフカすもの。3日ぐらいでそういう記事を捏造してくる。暇杉内?