イージス艦のダメコンについて再検討する最良の資料が偶然に得られた。この貴重情報は米国が独占する。

 David B. Larter 記者による2017-6-30記事「Navy struggles with approach to fix crippled destroyer Fitzgerald, as investigation continues」。
  駆逐艦『フィッツジェラルド』に開いた穴は、トレーラートラックが素通りできる大きさである。
 水線下に12フィート×17フィートの大穴が穿たれた。コンテナ船『クリスタル』のバルバスバウにより。
 居室の水兵には脱出時間は1分しか与えられなかった。
 海水は、無線装置の中枢まで浸してしまい、電子戦機能は停止したらしい。
 7月上旬にまず横須賀でドライドックに入れて水抜きし、調べる。すべてはそれからだ。
 弾火薬はすでに6-25に艦からぜんぶ卸した。燃料はまだある。
 本格修理は米本国ですることになるだろう。横須賀では調査と簡単な修理だけをする。
 万事順調に進めば、1年以内にフィッツジェラルドは一線復帰できる。
 だが、もし衝突衝撃でイージス艦の船殻構造そのものが歪み、SPY-1レーダーのアラインメントが微妙に狂ってしまっていると判明したなら、本格大修理が必要だ。
 キールが歪んでいるとさらに大ごとになる。1988に触雷したフリゲート艦『サミュエル・B・ロバート』は、竜骨修理のために巨費を要したものだ。
 爆装ボートに横腹をやられた駆逐艦『コール』の修理には、2億5000万ドルかかった。F-35の2・5機分だ。
 軍艦の本格修理は外国ではできない。だからドライドックで調査して、自航可能なまでに応急修理することはむずかしいと判断されたら、重量物運搬船ですくいあげて米本土まで運ぶ。
 おそらくサンディエゴにあるGD社の船渠に入れられるだろう。
 ちなみに『コール』は、重量物運搬船『ブルーマーリン』にて、ミシシッピ州ペンサコラの、建造元だったインガルス造船所まで中東から輸送されている。
 『コール』はそこで船体を三つに溶断され、故障区間をまるっきりとっかえられた。主エンジン2基も交換された。
 次。
 ストラテジーペイジの2017-6-30記事。
 例の狙撃距離新記録。
 カナダ軍はイラクでは直接に戦闘はしていないはずだった。ただ特殊部隊がイラク政府軍に稽古をつけてやったり、近接航空爆撃を無線で呼んでやったり、敵の居所情報を教えてやっているだけだと。
 ところが今回、やらかしちまった。自分らで狙撃してしまった。
 次。
 Michael C. Horowitz 記者による2017-6-26記事「Drones aren’t missiles, so don’t regulate them like they are」。
   ことしはMTCRの三十周年だ。
 いまは35カ国が加盟。
 巡航ミサイル拡散は阻止できていないが、弾道弾の拡散はおかげで抑制されている。
 1987年においてドローンとは、一回性の短距離飛行をするものだった。つまりミサイルの親類だった。
 いまはドローンは明らかに飛行機そのものであってミサイルではない。
 MTCRのカテゴリー1とは。飛距離300km、ペイロード500kg以上は大量破壊兵器になるので拡散禁止。
 中共はメンバーではないが、1991からそのガイダンスに従うよと言っている。
 ドローンは巡航ミサイルの一種だと思われたから規制された。しかし今はドローンは有人機に近くなっている。
 NATO同盟国に対し、F-35戦闘機を売るよりも、非武装型リーパーを売る方がハードルが高くなってしまっている。こんな阿呆な話があるか。
 武装無人機はすでに17ヵ国によって保有されている。12ヵ国以上が、あらたにそれを購入しようと動いている。
 米国は、最初から武装しているドローンは、英国にしか売ってない。その後、イタリアに売った非武装型リーパーの武装を2011に許可しているが。
 中共は、10ヵ国に武装ドローンをすでに売った。エジプト、イラク、ヨルダン、カザフ、ミャンマー、ナイジェリア、パキスタン、サウジ、トルクメニスタン、UAE。
 武装ドローンを国内で自製できる国は、中共、イラン、イスラエル、ロシア、トルコ、米国である。※欧州ひとつもなしですかい……。
 中共は、輸出しているCH-3はペイロード500kg未満だと公称している尤も、どんな証明もされていないが。
 イスラエルはインドにヘロン無人攻撃機を10機売るという契約を2015にしていて、2017後半に引き渡す予定。そのペイロードは450kgだという。
 次。
  Steven Stashwick 記者による2017-6-28記事「Photos Reveal Possible New Chinese Sub-Tracking Surveillance Ship」。
   中共のSWATH船のメーカーは香港の近くにある。
 SWATHでしかも電動モーター駆動とすると、そいつはやたらに静かになる。
 曳航式アレイソナーから、低周波を発して、反射音を聞くという、アクティヴ曳航アレイソナーも、理論上は、可能。
 ただの海洋調査船(海軍の傭船)なら塗装は白とする。これは米もシナも同じ。乗員も契約文民。
 しかしこんどのはグレー塗装。やつらは対潜任務軍艦をSWATHにする気なのだ。
 『インペカブル』も軍艦じゃなかった。それを海上民兵のトロール船団がさんざんに妨害したものだ。
 シナはこの軍艦でグァム島のすぐ近くから監視をするつもりなのではないか。
 中共は比島東沖の「ベンハム堆」で水中音響調査をした。
 そこは重要通航点なのだ。


「読書余論」 2017年7月25日配信号 の 内容予告

▼枝松茂夫tr.『紅楼夢(一)~(十二)』1972~1985イワブン
 最初の誕生日祝いに、父親が、男子の将来の性向を占うために、世上のありとあらゆるものをその前にならべて、嬰児にそれを掴ませてみる。
 「人を殺しても頭を下げれば事はすむ」ということわざがある。
 支那里は、0.66km。
 11~12世紀の宋代に口語体小説が起こった。
 14世紀に、「章回小説」(長編小説)の手本になる『水滸伝』『三国志演義』が成立した。
 16世紀の明の中葉に、『西遊記』と『金瓶梅』が続いた。
 18世紀なかば以降の清朝で、『儒林外史』と『紅楼夢』が書かれた。この『紅楼夢』を最後として、それを凌駕する小説は支那ではついに書かれていないのである。
 訳者は戦前に『紅楼夢』の訳刊をスタートさせていたが、戦争になり、不要不急の出版とされ、中断。終戦後のS26にようやく、最後の14冊目を出すことができた。それを改訳したのが、この文庫版。
 S33~35に、伊藤漱平が平凡社から斬新な全訳本を出している。それも参照して旧約本の誤りを是正した。
 流刑の一種に「軍流」があった。辺境の駐屯部隊に配属されて、そこで雑役に服する。「充軍」ともいった。
▼M.C.ペリー著、F.L.ホークス編纂、宮崎壽子監訳『ペリー提督日本遠征記』上下巻 角川文庫 H26 pub.
 ペリーいわく。われわれアメリカ人には、他国(英国)の国民が、征服した国々の原住民に加えた非道をののしる権利はない。われわれも、土着の諸部族を欺き、残忍に扱ったことについては彼らと大差はないのである。
 首里についての感想。これほど清潔な都市をわたしはいままで見たことはない。一片のごみやチリも見ることはなく、中国のあらゆる都市の汚なさとは非常に異なっている。
 香港は、最大級の船舶でも陸から700ヤード以内に碇泊でき、しかも風波からは守られる。超良港だ。
 台湾とシナ本土の間の海峡には、強い南走海流がある。これは西洋航海士にはよく知られていた。
 日本の扇は寸法が決まっていて、それをものさしに使うことができる。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
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   Scout Warrior の最新記事「Navy Builds 3rd America-Class Amphib – Return of the Well Deck & Future Amphibious Assault」。
  LHAの『アメリカ』級は、最初の2艦がウェルデッキなしだったが、3番艦『ブーゲンヴィル』にはウェルデッキを設けることになった。同級は合計11隻の建造が計画されている。
 3番艦の就役は2024になるだろう。
 しかし、上陸用舟艇は、非常に散開していかないと、将来は、敵から撃退されてしまうだろう。
 アメリカ級2番艦は『トリポリ』である。2017-5にすでに進水した。
 ガスタービンながら燃費を重視し、20ノット強までしか出さない。
  ※米海兵隊はバルト海でポーランド海岸に上陸する演習を実施した。将来、対露用に「上陸作戦」があるとも考えているようだ。
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  Deborah Ziff 記者による2017-6-14記事「3 Myths About Army ROTC Scholarships for College」。
  米陸軍のROTC制度については誤解がある。
 事実。
 まず、それを受講した全員の大学の学費がタダになる制度ではない。
 また、それを受講したからといって、卒後の入隊は確定されない。
 もちろん奨学金機能はある。しかしそれは受講生が有能さを立証した場合である。その補助金額も数段階がある。
 ことし、米陸軍は、全米1万3000人以上のROTC受講学生に対して、2億7400万ドルの報奨金を用意している。
 米陸軍のROTC制度は、過去100年以上の歴史がある。
 事実。一部の学生は、ROTC受講中から少尉任官するまで、まったく奨学金を受け取っていない。
 まず全米の高校最終学年の生徒12000人が、約2000人分の陸軍ROTC奨学金の獲得のために、競争をしなければならないのである。最優秀の2000人だけが全額奨学金を得られる。
 しかも全額奨学金にも2種類がある。2000人のうち半数は、3年分の奨学金。のこり半数は、大学4年分の奨学金を受け取れる。
 募集官によると、この奨学金を得るような生徒は、高校のクラス上位25%に入る成績であって、社会活動団体や、スポーツ団体でも活動している。
 そして高校の中盤でレジュメを準備する。
 とにかくアクティヴな奴、と評価されないと、4年間の奨学金を貰うことは無理だろう。
 ただし、3年または4年の奨学金を得られなかった生徒も、大学進学後にROTCに加わることで、それらとは別な部分的奨学金がもらえる場合もある。
 たとえば某君は、大学1年生になったあとで、陸軍将校になりたいと思い立ち、奨学金のことは期待せずにROTCに加わった。すると2学期の始まりに、彼の寮の部屋代と食費とをカバーしてくれる奨学金が支給された。
 このタイプの奨学金は、1学期につき5000ドルを上限として支給される。
 大学でROTCに登録しても、2年間は「試される期間」である。それまでは、少尉任官を望んでも「陸軍への入隊」は待たされる。
 ROTCに入るとき、学生は二つのことを約束させられる。学業において一定以上の成績をマークし続けること。そして卒後は陸軍に奉職すること。
 その契約奉職期間だが、一般に、8年間である。それはしかし、州兵の現役期間や、陸軍予備役の身分で動員された期間や、それらを複合した期間でもよい。
 奨学金をほとんど受け取れなかったROTC受講者も、最初の約束によって、修了後は8年間の陸軍生活を送らねばならない。「陸軍を8年間所有する」のだと思ってほしい。
 ROTCが要求する水準に達することができず、あるいは気が変わり、ROTCプログラムを中途離脱した学生には、陸軍への入隊義務は無いのである。そのかわり、ROTC制度から支給された奨学金の全額は、とうぜん返納せねばならぬ。
 例外的宥免は、病気や怪我のために続けられなくなった場合のみだ。
 ※奨学金をまったくもらっていないROTC受講者のなかには、おそらく、少尉任官するかどうかの決定を最後の最後まで保留したいと思い、首鼠両端を持すタイプの学生がいるのだろう。卒業時点ではあるいは景気が極端に悪く、民間への就職に失敗するかもしれないし、その頃にはアフガニスタンへの米軍派遣はなくなっているかもしれないし。
 ROTC受講中の学生が戦場へ送られることはない。
 たとい、その学生が、現在前線で活動中の州兵部隊に書類上で所属しているとしてもである。
 しかし少尉任官したあとは、とうぜんながら前線行きがある。
 次。
  Mike Stone 記者による201-6-20記事「Airshow: Lockheed signs pact with Tata to make F-16 planes in India」。
   ロックマートがタタ社と組んで、F-16の最終バージョンをインド国内で製造するかも。
 ただしこれ、「パートナーを目指しましょう」という合意にすぎず、製造が確定したわけではない。
 モディ首相が訪米し、6-26にトランプと初面会する予定。その直前のタイミングである。モディには手土産が必要だろう。
 タタ社は、現在、C-130の部品を製造している。


コンテナ船には「衝角」戦能力があった。

 Philip Ewing 記者による2017-6-19記事「How Could The Navy Destroyer Collision Happen?」。
   月は無かった。深夜2時半。ほぼ凪。
 2012には『フィッツジェラルド』と同型駆逐艦の『ポーター』がホルムズ海峡でタンカー『オトワサン』と衝突している。
 この事故の原因は、周囲の多数の艦船がどこに行くのかにばかり注意をしていて、自分のフネのコースについての注意がおろそかになっていたためだった。今日の艦船は、進むコースをたいがいあらかじめ航法ソフトでセットして自動航進しているので、ブリッヂで誰かが常に舵を握っている必要がないのだ。
 『オトワサン』が急に前方に見えたので、座乗していた准将が、左転舵を命じた。
 しかしその発令タイミングは遅く、しかもまた、「機関全速」も命じなかった。
 2009年に、揚陸輸送艦『ニューオリンズ』にSSNの『ハートフォード』が衝突した。その調査では、『ハートフォード』の側がぶったるんでいたことが判明した。
 ホルムズ海峡のような混雑海域を通るときは艦長は制御室に常在していなければならないのにずっと不在だった。航海長は上級士官室でアイポッドで音楽を聴いていた。
 ひとつ確かなこと。フィッツジェラルドの艦長は、事故当時、船室に居た。
 艦長室は右舷にあった。そのためベンソン艦長は部屋ごと潰されて負傷し、日本の海保のヘリで本州まで運ばれた。
 ※大昔は船長室は必ず艦尾の左舷側にあった。なぜなら港には常に左舷から着岸させたから。今日の軍艦では艦尾は音がうるさいので士官室も置かない。
 兵員室はもっと低層のデッキにあった。そこが『クリスタル』のバルバスバウで突き破られ、ドッと海水が流れ込んだ。
 発電用ガスタービンが入った機械室も、そのとき塩水に完全に漬かった。
 『フィッツジェラルド』は自航で横須賀までたどりつけたが、なんと発電機の関係で電子機器は使えなくなっており、「磁石コンパス」で針路を定めたという。スクリューは2軸のうち1軸が動かないという。
 次。
 Bryan McGrath 記者による2017-6-19記事「How Could This Happen? The Fitzgerald, the U.S. Navy, and Collisions at Sea」。
    わたしはよく似た駆逐艦『バークレイ』の艦長を2年勤めた経験がある。
 洋上の2隻の関係。
 「スタンドオン」は、譲る必要のない側。
 「ギブウェイ」は、譲らねばならぬ側。
 そして海上の任意の2隻の接近コースは3種類に分けられる。
 ミーティング(ヘッドオン)。
 クロッシング(横合い)。
 そしてオーバーテイキング(追い越し)。
 問題は、クロッシングとオーバーテイキングの境目なのだ。ここが現実には、あいまいで混乱するのだ。
 「追い抜き」をかけられているフネAは、「スタンドオン」の立場なので、コースも速度も変えてはいけない。衝突回避義務は、追い越しをかけているフネBにある。
 しかしAの右方のちょっと後方から接近してくるフネBが急に認識されたばあい、直進船Aは、逆に「ギブウェイ」の立場となり、Aに衝突回避の義務が生ずる。
 Bが追い抜きをかけていく途中で、Aとの立場関係が逆転する可能性が、リアルな海では、しばしばあるのだ。殊に「指定航路幅」が狭く、混雑しがちな海面では。それで、両船のブリッヂに、混乱やとまどいがもたらされる。
 まして夜間となったら……。
 この、クロッシングか追い越しかの境目をはっきりさせてくれるライトシステム(電燈の色によって、相手船の相対角度がわかる)が、船舶には備わっているのだが、夜間にはどうしても視認し難い。霧の夜となったら、お手上げである。
 レーダーは全周の距離8マイルまでの他船の動きを教えてくれる。その同じ画像を、艦長居室のベッド脇のミニモニターで見ていることもできる。
 海面が荒れていると、しかし、クラッターのために、レーダーは小型船を見逃すようになる。
 1996-10に、空母『TR』と、巡洋艦『レイテ湾』が衝突した事故があった。
 『TR』は後進してきた。しかし『レイテ湾』のブリッヂでは、そのレーダー表示が信じられなかった。空母がバックしてくるとは思えなかったから。それで回避が遅れ、ぶつかってしまった。
 2万9000トンのコンテナ船が15ノットで走っているとする。いっぱんに、このフネが行き脚を止めるためには、さらに2.5海里も走らねばならぬ。また、旋回するには、最小で0.5海里の回転半径が必要だ。
 駆逐艦は9000トンで相当に機敏なれども、自動車のようにキキッとは停まってはくれぬもの也。
 だから洋上では、衝突回避の決心と命令は、とにかく早めに、うんと遠くから発しないと間に合わないわけさ。


日本の「軽トラック」が火力支援車として採用されるか?

 ストラテジーペイジの2017-6-18記事。 June 18, 2017:
   ピックアップトラックの荷台から81ミリ迫撃砲を発射すると、車体が発射衝撃でじきに壊れてしまう。しかしエイモスというリコイル緩衝機付きの81ミリ迫撃砲なら、問題なく発射し続けられる。
 これが現在、シリア内の反政府ゲリラ(クルド系)に、米国によって供給されている。
 荷台には、54発分の弾薬も積めるのである。
 射程は5km。
 エイモスを最初に買ったのはバーレーンだった。2016のこと。
 イスラエルの技術陣によると、緩衝機を迫撃砲に取り付けることにより、反動は7割緩和できる。120ミリ迫をハンヴィーの車上から発射することが可能になるが、さすがにピックアップトラックの荷台から発射できるのは、81ミリまでが限度だという。
 2004年にイスラエルは、120ミリ迫撃砲に緩衝機をつけて1.6トンにまとめ、それを7トン軍用トラック(4×4)の荷台に固定して発射できるようにした。
 通常弾で射程8.2km、ロケットアシスト弾なら13km届く。
 そして2012年にはイスラエルは81ミリ迫撃砲に緩衝システムを結合させ、スペインの2トン積み軍用トラック(ハンヴィーもどき)の荷台に固定してやった。そのシステムを6つ、売った。
 一般にはイスラム圏ではイスラエル製の武器は売れない。しかしトルコは2000年以前はイスラエル製兵器のバイヤーだった。またクルド人は、常にイスラエルとコネクションを維持している。


バグダディ死亡の真相に迫りたい人は、本ブログ2017-5-22にUpした記事を読み直してくれ。

 露軍機には「住民の楯」など通用しない。非スマート爆弾で痛撃してやったのだろう。
 次。
  Steven Wills 記者による2017-6-16記事「Of Mothballs and Modernizations」。
     「350隻海軍」の公約の帳尻を合わすため、モスボール軍艦の現役復帰だって? やめとけよ。
 20世紀の教訓をふりかえるかぎりでは、それはロクな結果にならない。
 モスボールしてから5年未満のフネであっても、船体、機械、電装品は、すべておそろしい不完全コンディションなのだ。加えて、そのフネをちょっとした平時任務に就けるためにも、訓練された水兵を十分数、配置しなくては始まらない。
 古い艦艇は、新しい艦艇よりもメンテナンスのためのコストを食う。今の海軍ですら、メンテナンスのための諸資源は足りない。そこに古い艦艇を押し付けられたりしたら、とうていマネージできなくなるだろう。
 たしかに朝鮮戦争とベトナム戦争では、元モスボール艦がひっぱり出されて活動した。
 しかしそのほとんどは、揚陸艦や輸送艦や後方支援任務艦で、水上戦闘艦は例外的だったのだ。
 朝鮮戦争では戦艦(BB)の現役復帰が注目を浴び、それらの戦艦は米ソ冷戦中、活動した。
 沿岸砲撃に元モスボール艦を使ったとき、その海岸の敵から反撃を喰らう危険などまったくないことは確信されていた。だから個艦防空システムなど新設する必要もなく、昔の機能のままで現役復帰させられたのだ。
 WWII中の砲戦型巡洋艦『ボストン』は、モスボールから復帰させるときにミサイル巡洋艦へ改装された。その費用は1950年代で数百万ドルもかかり、しかも満足の行かない出来栄えだった。
 アイオワ級の戦艦も、元モスボール艦の高コスト体質を立証した。けっきょく10年も使わないでまた退役させて、ミュージアムシップとして只同然で売り払うしかなくなった。時代遅れの戦艦に数千名もの水兵を無駄に充当している余裕など、米海軍にだって無いのだ。
 古い軍艦は、鉄板は錆びて薄くなっているし、配管は腐蝕が進んでいるし、電路は絶縁が悪くなってしまっている。これらをあらかた新品同様に直せるものではないのだ。
 また、艦齢25年以上のフネだと、オリジナルの部品を納品したメーカーが、現在ではその部品を製造していない場合がほとんどである。
 ある型の艦内の勤務を特訓するための専用施設というものが1番艦の就役と同時に創られるのが海軍では通例だが、『ペリー』級フリゲートのように、その全艦が退役する前に、その訓練コースの方が消滅してしまっている場合も少なくない。そんな中古艦だけを復活させてみても、新規乗員の訓練は、いまさらどうやるんだという話。
 2009に退役させた空母『キティホーク』を再就役させろという話だが、その蒸気タービンに詳しい水兵や士官は、もういないんだよ。現役の『ワスプ』級揚陸艦の蒸気タービンとは、ぜんぜん違うものなのだ。
 ちなみに『キティホーク』を動かしたければ士官と水兵が4500人も必要で、そのうち数百人は「機関科」でなくちゃならない。古い蒸気タービン艦は、機関科の省力化がぜんぜん進んではいなかったんだから。
 キティホークの艦齢を延長する工事を1987~1990に施したとき、9億4750万ドルかかった。2017の物価に直すと、20億ドルである。
 その20億ドルは、他の現役艦の改装費・修繕費に使った方がいい。
 英海軍史家のD.K.ブラウンはその著書『ネルソンからヴァンガードまで』の中で、英海軍が予算不足に苦しめられた戦間期、旧艦艇の近代化改装に努力を集中したのは、えらく無駄であった、と結論づけている。そのために職工をぜんぶとられてしまって、新造艦の建造計画が阻害された。そして改修された旧艦の能力は、期待に応えなかったと。


任意の物体表面に銅を直接3Dプリンティングできる企業が米国にはある。ガワだけ真銅の偽硬貨が登場する日も近い?

  Phil Stewart 記者による2017-6-14記事「U.S. weighs restricting Chinese investment in artificial intelligence」。
     米政府は、シリコンバレーの「AI」「マシンラーニング」に関する民間企業にはシナ人が投資できないようにする法規制に動く。
 省庁横断機関である CFIUS=外国人投資監視委員会が、規制する。
 ペンタゴンは、中共がCFIUSによる禁止発動を巧妙に回避しながら米国のハイテクに投資を通じてアクセスしているとして、特に警戒している。
 その形態には、JV、小比率で目立たぬ株券集め、起業時の出資申し出などが含まれる。
 これを黙過すると長期的に米国経済の健全度は損なわれる。
 セクデフのマティスは13日に上院公聴会で、CFIUSは時代遅れで、もっかのシナ人のたくらみを取り締まれていないと問題を指摘した。
 CFIUSは財務省が領導。常任委員は9人。国防総省、司法省、本土防衛庁、商務省、国務省、エネルギー省からの出向者が含まれている。
 このCFIUS会議は秘度が高く、何かが決定されたあとで、それについてマスコミがコメントを取れることはまずない。
 オバマ政権時代には、CFIUSは、高性能チップの米国内メーカーをシナ人投資家が乗っ取ろうとしたくわだてを何度か阻止している。
 CFIUSにもっと強い法的権限を与えて、技術系企業へのシナ人の投資を禦がせようという法案は、上院の共和党ナンバー2であるジョン・コーニンがとりまとめ中。
 コーニンの懸念は、中共軍が最先端のAIで武装してしまう未来である。
 AIについては、輸出管理をどうしたらいいのか、決められずにいる。そのためもあって規制のギャップをすりぬけられているのが現状だ。
 AIや核関係などの、どの先端技術が他国に渡ってはまずいのか、それをまず特定して範囲指定しなければならない。そのリスト作りはペンタゴンがリードしている。
 2016において中共の最大の海外投資先は米国。額は456億ドルにのぼっている。
 2017-1~5月の投資ペースは前年同期比で2倍に増えている。
 米軍が恐れているのは、AIは将来の無人機作戦をガラリと変える鍵だから。
 たとえばプレデター/リーパーでイラクやアフガニスタンの荒野を連続無制限に撮像し続けることならばすでに実施されている。ところが困ったことに、複数の無人機からリアルタイムでどんどん送られてくる沙漠や村落のビデオ画像を延々と凝視し続ける地上の人間の方が、集中力が続かない。昼も夜も休日もないのだ。
 そこでこの動画を人間の代りにAIにチェックさせたいというのがペンタゴンの優先関心事項。ゲリラに関連する要注目事象だけを見逃さずに発見し、そのつどオペレーターへ警告させるようにしたいのだ。
 アラート・アナリシスの、アルゴリズム開発である。
 米空軍内のプロジェクト班は、マシンに、車両や建物、人間を認識させ、いつもとは違うパターンに気付かせるというソフトを作っているところ。
 この開発予算として国防総省はFY2018に3000万ドルを要求する。
 しかるにシリコンバレーでは、ほぼ同じような働きをするAIが民生用に開発されつつあるのだ。そしてそれをシナ人が投資を通じて入手して中共軍用に転用してしまうおそれがあるのだ。
 ある調査会社によれば、中共国内から米国内のAI系会社への投資が始まったのは2012年のことで、げんざいまでに29の投資家の動きがそれに関して追跡されている。
 もしシリコンバレーでのベンチャーの起業にさいしてシナ人が出資したとする。将来すごいAI企業に成長できたときに、その会社が、ペンタゴンからのアクセスは拒絶して、純然、中共のための秘度の高い奉仕者となってしまう可能性もあるわけだ。
 シナのサーチエンジン「百度」の運営会社は、3月に中共国内にAI研究所を新設した。中共の国家機関である、国家開発リフォーム委員会が立てた計画に従って。
 百度社は4月、米国のコンピュータ画像企業「エックスパーセプション」を買収することで合意した。ロボットやヴァーチャルリアリティのための画像認識用のハードとソフトを手がけている会社だ。
 中共側の手口は、多くの場合、株式の大部分をおおっぴらに取得してしまうような完全買収ではなくて、あくまで部分出資にとどめる。かつまた、完成した技術を買い取ろうとするのではなくて、これから研究がスタートしようとしている分野に先行投資してくる。
 こういうふうにされると、CFIUSの禁止発動条件には抵触しないため、米政府とペンタゴンは指を咥えて見ているほかにない。だからペンタゴンは、CFIUS関連法を改正強化して、シナ人の支配力をAI業界から排除したいのだ。
 米国に留学してきたシナ人学生が、卒業後/修了後も中共に帰国せずにそのまま米国内にとどまっていることを禁ずる措置(移民/入国管理規則の改定)も必要だとペンタゴンは注意喚起している。
 反対意見もある。有能な若者を米国内に集めるのは悪いことじゃないから、むしろ、米国の大学を卒業できたシナ人学生には自動的にグリーンカードを発給してやり、ずっと米国内で暮らせるようにしてやったらどうか、という。※インチキ大学の阿呆学部を形式上卒業すれば米国市民権がもらえるのなら、数億人の合法的シナ移民が札束を握り締め米本土に殺到して米国がシナ化するだけじゃないのか。
 次。
 ストラテジーペイジの2017-6-14記事。
 米軍によるスマート爆弾類の調達の現況。
 イラク戦争が一段落した後で、米空軍がこんどは中共との戦争を意識したのが2013後半で、急にJDAMキット(通常爆弾にとりつける誘導部品)を増産させた。
 対ゲリラ戦とはくらべものにならない数の誘導爆弾が、対支戦争では必要になるから。
 JDAMキットは、有事に増産しても間に合わない。中共相手の戦争を考えると、平時から10万発分を溜めておく必要があるのだ。
 ※四稜郭で猫のバラバラ死体がみつかったとかいう数日前のK小学校発の速報(ルーモア?)は続報が無いのだが ガセだったのだろうか? だったら人騒がせな話だ。


トリが好むモノはトリに聞け。

 定期的に草刈りをしている家の前の荒地。探索する都度、やたらに「タニウツギ」「カジノキ」「エゾニワトコ」「キンギンボク」等があちこちから芽を出していることに強い印象を受ける。これらは野鳥がタネを(消化器官経由で)撒布したものに間違いないだろう。
 わたしはさいきん、これらの天然実生苗木は刈らないで残すことに決めた。それらこそが「マーケットの需要」だと気付いた。「トリパラ計画」を見直さねばならない。
 野鳥食餌樹を解説した図鑑類に、ニワトコはともかく、カジノキ等をもれなく紹介している本には、わたしはお目にかかったことがない。しかも、ごく短期間のいきあたりばったりな観察で、これは鳥が好むとかこれは好まないとかの軽率なコメントまで付けたりしているのだ。
 「無知の知」をわきまえずにどうして皆、専門家(や「編集者」)を自称できるのだろうか?
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 ストラテジーペイジの2017-6-13記事。
  シルクロードを開発して利用したのはシナ人ではなかった。イラン人、インド人、アラブ人たちである。
 中共は一路一帯のため2000億ドルを出すと言っている。
 さいきん中共の国連代表は、国連機関が、アフリカにおけるシナ人の犯罪的事業を捜査することを、カネの力で止めさせた。
 中共は新疆において、16歳未満の子供の名前が「イスラム的すぎる」場合は改名を強制中だ。イスラム、コーラン、メッカ、ジハード、イマム、サダム、ハッジ、メディナ、アラファト……といったもの。
 16歳になると住民は、非イスラム名のIDカードを持たねばならない。非漢人はDNAサンプルも登録されている。
 すでに屋外での「顔隠し」は2017に違法化されている。
 また、中共の公共放送テレビ番組を視ない行為、中共の公共放送ラジオを聴かない行為も新疆では違法である。※NHKが欲する未来だね。
 パキスタン南西部で、スンニ系のテログループが、誘拐していたシナ人カップルを処刑した。
 この2名は目的を偽って入国し、勝手にキリスト教の伝道をしていた。
 2人のシナ人はクエッタの近くで5-24に誘拐された。そこにシナ文化センターがあって、それを2人で運営しながらウルドゥ語を学んでいたという。ところがこの2人は最初からキリスト教布教のために送り込まれてきた伝道師だったのだ。
 該グループは反シーアのテロ活動をずっと続けてきており、最近ISに加盟している。
 青海省では5-19にチベット僧侶1名が中共に抗議の焼身自殺。チベット暴動が2008に鎮圧されていらい、2009からかれこれ150人くらい焼身成仏しているという。
 シンガポールは今年、ドイツに2隻の『218SG』潜を追加発注した。
 その前に2013に2隻発注していて、それは2022までに納入される。
 1800トンのAIPで、電装品にはシンガポール製品も使われる。
 自動化がいちじるしく、乗員は28名。
 AIPだけで30日間もぐりっぱなしも可能である。
 訓練費用コミで1隻9億ドル。
 マラッカ海峡はいちばん狭いところで幅65km、その水深は27mから37mである。
 バルト海も浅いので、ドイツやスウェーデンの潜水艦が丁度良いのである。
 シンガポール軍7万1000人のうち55%は徴兵である。
 海軍にはすでに4隻の潜水艦がある。
 うち2隻は『ファースターゴットラント』級として2005にスウェーデンから買い、2012に大改装して『アーチャー』級と称す。
 1995にはやはりスウェーデン製『チャレンジャー』型を4隻買っていた。そのうちの2隻を『アーチャー』でリプレイスした。
 大改装では、AIPを搭載するため艦の容積を三分の一増やして1400トンにした。乗員28名。
 熱帯仕様としてエアコンが強化されているのがシンガポール潜の特徴だ。
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 2017-6-12記事「South Korea’s Defense Blunder」。
  5月に訪韓した民主党第二位の上院議員、ディック・ダービン(イリノイ州選出)は、『ワシントンエグザミナー』に語った。文は、アメリカよりもシナと組んだ方が北鮮封じ込めがうまくできると思ってるんじゃないか、と。
 文は6月後半にDCでトランプと会う予定だ。


26日の米軍LCU卸下@沼津海岸を取材します。前日、お近くの人にはお目にかかりましょう。リバーサイドで。

  Katherine Owens 記者による2017-6-8記事「Lockheed enterprise computer connects older aircraft with F-35s」。
    ロックマート社は先月のノーザンエッヂ演習にて、初めて「エンタープライズ・ミッション・コンピュータ 2.0」をU-2に搭載し、それによってF-35やF-22とデータリンクができるようにした。
 スカンクワークスが開発したこの新ミッションコンピュータは「アインシュタイン・ボックス」と仇名されている。なぜなら頭文字が「EMC2」となるからだ。
 異なる戦術データリンク系統の間を自在に結べるようにした。
 前のモデルの「EMC1」は、リンク16を、それを使わない前提のF-22でも利用できるようにしたものだった。
 米空軍は「リンク16」と「マルチファンクション・アドバンスト・データ・リンク(MADL)」と「赤外線データリンク(IFDL)」の3系統の戦術データリンクを用いている。
 リンク16は、大量のデータを送受できるのはよいのだけれども、短波帯を用いるために、敵に電波技術があれば、妨害されたり、居場所の特定に逆用される可能性が高い。ステルス強調の第五世代機がこれを任務中に使えない理由も、居場所が悟られるからである。
 MADLはステルス任務中のF-35が用いる。20ギガから30ギガヘルツ帯を使う。
 IFDLはF-22編隊の専用データリンク。光線なので敵からまず逆探されないし、遠くの敵が傍受するという懸念もない。
 今回なぜU-2にテスト搭載されたかというと、「EMC2」は嵩張り、電力がたくさん必要で、本格的な冷却も不可欠なものなので、U-2ぐらいの余裕がある機体でないとまだダメなのである。
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 Zi Yang 記者による2017-6-7記事「Privatizing China’s Defense Industry」。
  中共政府が、国内の国有軍需企業の、効率の悪さ、イノベーションの無さ、負債の巨額さに音を上げ、これらを半分民営化して、競争原理と予算管理精神を注入したいと欲している。つまりペンタゴンがしているように、数社に競合させていちばん安上がりで良い兵器を選択して買い上げるようにしたい。MOR=混合所有形態改革 と称している。だが、そんな改革はまず無理であろう。
 ※それら国有軍需企業の発行する「社債」類が現況では市場で買い手がみつからず、このままでは運転資金の調達不能で運営が行き詰るという切羽詰った危機感が背景にありそうだ。銀行に利子をつけてカネを返さないという態度を続けてきたなら銀行も支援するわけがないし。本来なら倒産していておかしくない軍需企業・航空機メーカーが、わんさかあるのだろう。
 米国の軍需企業は、資金の7割を市場調達している。株式等の証券で。
 しかしシナ軍需企業は、市場からは25%しか資金を集められていない。
 従来は秘密一点張りだった軍事研究開発機関をできるだけ「会社」化して独立採算にさせようという組織改革も既に進行中である。それらの研究所の運転資金補給をもう政府が面倒見切れなくなった。
 ※ということは習近平が来日したら、カネの話になるね。連鎖倒産しそうなシナ企業に、日本国内で投資先が無いカネを突っ込んでくれという。AIIBの変化球だよ。もちろんいちばん最初に相談したのはキッシンジャーだろう。米国から先に手を回し、北鮮情勢とマヌケのトランプをうまく利用して、AIIBを肯定させた。いよいよ「お鉢」が日本に回ってくる。
 従業員に軍需企業の株式を買わせて会社を支えさせるかという実験も始まっている。問題は、どの割合までそれを許すのか。1人が1%まで、とか、全従業員でも30%まで、とか、規制をはめようとしている。株式の国有率を34%未満にするつもりは、中共にはない。
 2017-3に、解放軍が保有する秘密パテントのうち、軍民デュアルユースのもの3000件以上が、初めて秘密解除され、そのうち2346件は公開された。
 ハニカム構造を爆薬の力で鍛造する特許など、珍しいものもある。
 資産に対する負債の巨額さや、配当率の低さが、多くの中共企業に共通。
 国産空母を建造したCSIC社、初のジェット旅客機を製造することになったAVIC社は、シナ企業の中では資金調達の市場証券依存率が高い方だが、そのパフォーマンスは宜しくない。
 たとえばCSICのROEは2016において1.23%、2017において1.73%だ。
 中共軍の将来需要動向を知っているのは党員将校のインサイダーなのだから、シナ軍需企業に透明性など期待できるわけはなく、外国人証券投資家にとってはリスク買い以外の何ものでもない。
 ※NUKEMAP というお役立ちのHPがありまして、自分の町が核攻撃されたら被害はどうなるかというシミュレーションを、イールド別、起爆高度別に、RCビルが爆圧でぶっこわれる半径、木造家屋が壊れる半径、人が500レムを浴びる半径、人が三度の大火傷を負う半径(三度だと皮下の神経まで失うので逆に痛覚が無いと書いてある)、死者数、負傷者数を概略知ることができる。火球半径や、特定の毀害を最大面積化したい場合のイールド別の最適爆発高度まで教えてくれる。なんでいままでこういうソフトが無かったのか? 不動産屋は必見だろう。ちなみに2メガトンが都庁の上空で爆発すると、火球半径は1.27km、強放射線半径は2.72km、RC倒壊半径は3.55km、三度火傷は16.9kmまでだから、所沢にコンパネ住宅を建てて住んでいればとりあえず自宅内は無事だぞ! 3メガトン(東京向けのシナ軍ミサイルの最大可能イールド)だったとしても所沢は安全。府中よりも都心寄りに住宅を買ってしまった人は、ご愁傷様。


E-malfunctions & AAGH!……と誰もが連想しているだろう。

 Dan Grazier 記者による記事「How Not to Build a Ship: The USS Ford」。
 ※『The San Diego Union-Tribune』に最近載ったこの記事にはもっと長いバージョンがある。それはPOGOウェブサイトを見よ。
 米海軍はフォード型空母1号艦は2014に、105億ドルで納品されると予期していた。
 しかし現実には、2017に、129億ドルでの引き渡しとなった。
 揚弾昇降機も問題があるらしい。レーダーも。
 電磁カタパルトは機体へのストレスをやわらげるという謳い文句だったが、陸上施設でのテストによれば、F-18はむしろスチームカタパルトよりも強い応力に曝される。
 また電力系統を4条のカタパルトごとに遮断できないことがわかった。これが意味することは、もし1つのカタパルトに修理や点検の必要があるときは、4条すべての発艦と着艦の作業が、中止されざるを得ないということ。
  現時点では、『フォード』の電磁カタパルトは、射出400回ごとに故障を起こしている。発注の時点では、故障を起こすまで4166回は射出できるということになっていたのに。
 空母が作戦に投入されるときは、最初の4日間は毎日100回以上も発艦や着艦があるものだ〔いわゆるサージ・ストライクの期間〕。400回で故障が起きるということは、とてもまずいだろう。
 得をしたのは、サンディエゴにあるジェネラルアトミクス社ばかり。彼らは電磁カタパルトの開発とデモンストレーションの契約を2004年に結び、1億4500万ドルを獲得したのだ。
 なおかつ2017-1には、同社はフォード型3番艦『エンタープライズ』の電磁カタパルトとアレスティングシステムのために5億3200万ドルをかちとっている。
 しかしトランプが言ったようにスチーム式に戻すと、もっとカネが必要になる。なぜなら、原子炉を熱源にしてスチームを発生させて圧力を維持させるシステムを、あらたに設計しなければならないから。
 フォード型は、大型のスチームシステムは排してオール電化された空母にしようという根本コンセプトがあった。でかい蒸気系統の介在を、最初から考えてなかったわけだから。大改造になっちまう。
 甲板の支持構造もとっかえねばならない。工期は3年追加となるだろう。
 電気式アレスティングシステムの開発は、2005年の見積もりでは1億7200万ドルで可能だとされた。2009年には、3億6400万ドルかかるだろうと見通しが修正され、今日ではそれが、13億ドルに膨れ上がっている。
 アレスティングワイヤを減速させるメインの仕組みはしかし電気とはあんまし関係がなくて、液体(水)の中で羽根車(パドル・ウィール)が回るときの粘性抵抗が利用される。これで着艦機の行き脚エネルギーの七割を吸収してしまい、のこった三割を、電気モーターの引っ張り力が分担する。
 ウォーター・ツイスターとよばれるこの減速装置の内部メカは、強度の足りないところが複数あって、すぐに壊れた。
 その再設計に2年が費やされた。
 海軍は、ケーブルショックアブソーバーは16500回の着艦回数まで壊れぬことを要求しているが、いまのところAAGは、25回の着艦で壊れてしまう。
 とりあえず二番艦の『JFK』では路線は変更されない。海軍はあくまで電気で行く気でいる。
 法規によって、2009時点での見積もりを50%予算超過した計画は、自動的に見直し過程に投げ込まれる。とはいえ現実的にはキャンセルなど無理な話。
 ここにも、「フィッツジェラルドの防衛予算要求第一法則」があてはまる。いわく。軍備開発計画には二つの段階しかないのだ。初期には「それ〔合格にほど遠いという所感〕を言うには早すぎる」であり、そのあとには「もう止めるには遅すぎる」である。
 『フォード』型の発電機がまた凄い。4基載っているのだが、その発電量は、『ニミッツ』型の8基の発電機の総出力の3倍もある。
 電圧も高いため、これを熱帯の高温多湿環境で運転しているうちには、「短絡」の危険がとうぜんにある。
 『フォード』型の原子炉は「ベッチェルA1B」×2基である。『ニミッツ』型の「A4B」原子炉よりも、トータルで、熱量が25%多く、発電量は3倍だ。
 にもかかわらず、その運転に必要な人員は、三分の二に省力化されるという。
 2016-6に、この発電機の1基が「電気的爆発」事故。また7月には別な発電機も同様の故障を起こして修理が必要になった。
 どちらの発電機も、内部ローターが交換された。
 しかし第2発電機については、『フォード』が就役したあとに、時間をかけて全部バラして補修する必要があるらしい。
 米海軍の第一線用の新造艦は、かならず「ショック・トライヤル」を受けなければならない。ちょっと離した水中で爆薬を起爆させ、その衝撃波で艦内に問題が生じないかどうかを確かめるのだ。
 2000年5月、豪州海軍の『コリンズ』型SSの1隻が、ハワイ沖の合同演習にて、米海軍の空母戦闘群に肉薄し、空母に対するアタックポジションまで気づかれずに辿り着くことに成功している。これは連邦議会の予算局が承知している。
 同様の「演習沈没」は、米空母『ロナルド・レーガン』と『リンカーン』に対してもスコアされたことがあるのだという。
 いま、北鮮は潜水艦70隻、中共は非核式を50隻、ロシアは18隻+SSNを22隻、イランは20隻、有している。