そうだったのか、地政学! ……と既に唸っていらっしゃる方々へ。

 謹告。
 『「地政学」は殺傷力のある武器である。』の318頁9行目、「200機」とありますところは、「100機」の誤りでした。お詫びして訂正します。
次。
 Rod Lyon記者による2016-2-24記事「THAAD, South Korea and China」。
 間違った議論が広がっている。THAADの問題は、短距離ミサイルには何の防御力も発揮しないことだとか。
 逆である。THAADは、ミディアムSSMと、インターミディエイトSSMに有効なのだ。
 2015-11のデモンストレーション実験では短距離SSMにも、ミディアムSSMにも命中させた。
 ※インターミディエイトSSMに対するTHAADの迎撃実験は聞かない。しかしグァム島に1個大隊が配備されているということは、少しは効くのかもしれない。ICBMには全く無効である。速度が違いすぎるので。
 THAADと一体であるAN/TPY-2レーダーは、短距離SSMの発射から着弾まで全経路を見張れる。だからむしろ短射程SSM迎撃スペシャル兵器だ。
 韓国は2015から、そのパトリオットのPAC2をPAC3にアップグレードする行程に入っている。
 THAADはPAC3よりちょっと広い面積を防空できる。
 THAADのレーダーは、米本国のGBIにトラッキング・データを伝送することで、米本土防空の役に立つ。
 しかし米国は、日本の車力と経ヶ岬にすでにAN/TPY-2レーダー(Xバンド・レーダー)を展開済み。※なので、日本にTHAADが置かれても米国は情報面では新たに得るものはない。米国のミサイル・メーカーが得をするというだけ。
 ひとつ言えること。AN/TPY-2レーダーなしでは、THAADは何も迎撃できない。
 ※グァム島へのTHAAD配備くらい謎なものはない。ホントにあの距離で迎撃できるのか? イージスからの情報リレーがあっても、落速が大きすぎるだろう。GCC諸国がイランからの弾道弾攻撃に対抗してTHAADを買いなさいとアメリカから勧められているが、距離的にはPAC3で十分に足りるのに、なぜTHADなのか? 二つの考え方がある。ひとつは、Xバンド・レーダー情報をアメリカが統一的に役立てたい。もうひとつ。じつはPAC3の弾道弾迎撃能力に不足がある。だが、現実にサウジはイエメンから発射されてくるスカッドを次々と迎撃に成功しているのだが……。
次。
 Ian Duncan記者による2016-2-23記事「Female midshipmen will now wear trousers, not skirts, at Naval Academy graduation」。
  アナポリスの海軍兵学校の卒業任官式典は毎年5月にあるが、今年からは、海軍および海兵隊の女子の士官候補生がスカートを着装しなくなる。男子と同じトラウザーズとする。
 ちなみに2016年の卒業予定組の24%にあたる266名が女子だ。
 なお、海軍/海兵隊の女子制服からスカートがなくなるわけではない。
 ちなみにウェストポイント陸軍士官学校では、女子は、卒業式でどっちでも選べるようになっている。
 コロラドスプリングスの空軍士官学校では、ずいぶん前から卒業式では女子と男子は同じ制服にすると決めている。
 ※円安政策は中共の不公正な「元安攻撃」から日本国民の生活を防衛するためにやむなくしていることだと政府は(日本国内の英字新聞のデスクを使って間接的に)ただちにヒラリーに反論しろ。その責任は「対ドルの不当な元レート」をこれまでずっと放任してきた歴代米国政権にあり、特に1998に「G2」を演出したクリントン大統領の罪が重い――。こう衝かれればヒラリーは日本をスケープゴートにはできなくなる。このような「致死力」のある反撃宣伝をすぐに日本の英字新聞の見出しとして打たせないから、日本の外務省は穀潰しなのだ。


さいきん良い本が無いとお悩みの貴男へ。

 本日の午後以降、神保町の書泉グランデへお運びになられますと、良いものを御覧になれるかもしれません。何が良いのかは、チト申し上げられません。
 ……ところで日本までがTHAADを買わされるという情けない話がついに出てきてしまいました。森本敏氏著『防衛装備庁』の103頁によれば、――平成二十年代の前半まではFMS〔米日政府間でドル決済で兵器を輸入すること〕による米国製武器の調達額は日本円に直して500~1000億円ほどにすぎなかった。ところが27年度の計画額は4700億円。すなわち防衛省の装備調達総額1兆4000億円のじつに「三分の一」弱を米国からの装備輸入〔それにはイージスの電子部品だとかソフトウェア改修も含まれる〕のために当てざるを得なくなっている――のだそうで、1基1000億円もしやがるというTHAADがまたまた加われば、この趨勢はかなり手酷く昂進して行くでせうね。
 要するに、国内軍需メーカーに防衛省から支払われるカネは、これから先、どんどん細って行きます。円安政策を採るならば、なおさらです。最新装備といっても全部ブラックボックスなので、日本人は整備をさせてもらったとしても「お勉強」はできない(ただ「弁当箱」ごとの交換が許されるだけ)。THAADは「日本製兵器」の先行き展望へのトドメの一撃になるのでしょう。
 これも「赤紙」なんでしょう。政府としてこの赤紙に抵抗するには、「だったらF-35の調達数を減らします」と公言する一手しかないです。(韓国は「核武装します」と騒ぐことでTHAAD代金をチャラにしてもらう気です。)
 遡ると、オスプレイを買おうという話の直前、政府が防衛予算を漸減させたことが祟っています。そこで怒り狂った部内役人が切り札を使った。「赤紙」です。赤紙を米政府から出してもらえば財務省はノーと言えない。だからCV-22などは議論も無しに簡単に決まっちまったのだけれども、財務省は防衛省予算の総枠は拡大してくれませんから、省内においてどこかの費目を削らなくちゃならない。それでアパッチとチヌークとブラックホークのラ国が消えた。最初は最弱者の富士重だけ泣かすつもりが、それでも足りなくなって川重にも泣いてもらうことになった。井の中の覇者の三菱だけが無傷です。さりとて三菱が儲かるわけでもない。無傷というだけです。
 最新鋭の米国製新装備のアイテム種類ばかりが増える。しかし国内産業は衰滅する……。
 ならば政府の兵器行政はどうしたらいいのか? わが国の関連企業はどういう道を目指したらよいのか? 政府注文で生き残れなくなったら外国へ出ればいいのか? 海外兵器企業への日本からの「投資」はアリなのか? 三菱重工による川重や富士重の吸収は不可能としても(かつて通産省はそれを望んでいたはずだが)、外国兵器企業による日本の大企業内の兵器部門や中小企業のM&Aはアリなのか? ……等々につきましては、兵頭の次著(たぶん今年の半ばに出ましょう)に、ご期待ください。
 ちょっと内容予告しておけば、インドに日本が大型兵器を売るのは絶対無理だから。新明和さんはそんな話にホイホイのったらダメ。致命傷を負いますよ。


新刊『「地政学」は殺傷力のある武器である。』は2月25日配本です。

 版元は徳間書店さんです。
 誰もさからうことのできない盛衰の宿命をあきらかにし、儒教圏に勝てる地政学を提示します。
次。
 ストラテジーペイジの2016-2-17記事「Europe Invaded By Refugee Scams」。
 西欧に押し寄せる「難民」の正体については、海外に派遣されたことのある将兵と文民エイドワーカーたちが、よく知っている。
 まず、彼らのほとんどは政治難民ではない。また貧困ですらない。密入国ブローカーに大金を払って、そのブローカーから、どうやれば国境での西欧官憲の訊問にうまく答えて難民資格を得られるかという入れ知恵もされている、ふざけた連中なのである。
 テレビの無責任なリポーターは、あたかも「難民」のほとんどがシリア人であるかのように報道する。間違いである。総体のたった2割が、シリアから来ているに過ぎぬ。
 残り8割は、ただ「稼ぎ」のチャンスを求め、別に迫害などされてもいないのに、難民面をして押し寄せているのだ。だから彼らの態度は非常に悪い。難民らしくない。見ればすぐに分かることなのに、リポーターはそれは報じない。
 真の難民ならば、女の比率は男と同じくらいあり、さらにもっと多数の子供や老人が混じるはずである。ところがじっさいにやってくるのは働き盛りの元気な男ばかり。7割もが「若い男」だなんてあり得るか? こんなことも一目瞭然なのに、テレビ・カメラはごく少数の女・子供を撮影して、偽難民の犯罪を幇助するのだ。
 中東、アフリカ、欧州では、「人間密輸」のビジネスは、2015年時点で10億ドル産業となっているのである。それはとにかく儲かるのである。
 儲かるから市場競争原理が働いて、ブローカーが用意する手口も高度化し洗練される。精巧な偽書類などあたりまえ。訊問への答弁も矛盾がない。
 どこの国が「難民」受け入れに渋くなったかという情報も素早く伝わる。目下、英国とドイツは、目的地としての人気が下落している。
 オーストラリアのやり方は参考になる。難民船は、絶対に本土には接岸させない。難民だと主張する者たちの身柄は、必ずインド洋上の離れ小島の収容施設にすべて送り込み、そこでたっぷりと時間をかけて、本当に難民なのかどうかを調べる。それがハッキリするまで、絶対に彼らには「臨時労働」などさせない。もちろん絶対に本土へは上陸させない。
 この対処法が知れ渡ったので、今ではバングラデシュからオーストラリアに働きに出ようとたくらむイスラム教徒の「偽ミャンマー難民」は、ほとんどいなくなった。
 一回はじかれた偽難民は、また何度でもトライしようとする傾向がある。西欧では、「難民」からは必ず指紋と虹彩の画像を取って、そのデータを諸国の入管と警察とで共有している。これによって、「リピーター」が根絶されつつある。
 2014年に英国政府は、イラク人たちによる、「英国兵に拷問され、殺されたので補償して欲しい」という訴えの真否を調査するため4000万ドルを費やし、糾明した。結果、57件のクレームは嘘であった。イラク人は、英国政府から補償金をふんだくろうとして、誣告を平気でするのである。
 これへの対処法は、駐留部隊が住民票をつくり、指紋や虹彩データを集めることしかない。
 アフガン人の欧州への「難民」は、タリバンやISから脅されている証拠だという「脅迫状」を持参する。じつはアフガンではテロリストは2012年以降はそんな脅しの手を使わなくなったのだが、「難民」は2015年になってもそうした手紙を偽造して持ってくるのである。
 当局がこの「脅迫状」をスキャンして筆跡を比較すると、多数の手紙が同一人の手によって書かれていることが判明し、「難民」の嘘も明らかになる。だから先進国ではこういうスキャンと比較ができるシステムも用意していなければならない。
 アフガンでは、どこか過疎地に西洋軍のスマート爆弾が着弾すると、すぐに、近くの村人が、それとはなんの関係も無い「最近怪我した奴」を探してきて、それを「おたくらの爆弾で負傷した者」に仕立てて訴え出、西洋諸国から補償金をせしめようとする。
 死体も利用される。夜中に着弾点の近くに埋め直しておいて、あとで米軍に「この男はおたくの爆弾で死んだ」と訴えて、村長が補償金をせしめるのだ。
 人間だけでなく、病死したヤギも役に立つ。それを着弾点近くに埋葬して、土饅頭を盛っておく。確かに異臭がする。掘り返せば動物だとわかるのだけれども、「墓の掘り返しはイスラム法に背く」と村長が主張すれば、米軍は手が出せず、確かめる方法はない。こうして、爆弾で村人が死んだこととなって、アフガン人は補償金にありつく。
 だいたい、1人の死者について1000ドルから5000ドルが相場である。
 戸籍謄本や住民票というものがあれば、こんなトリックも不可能なのだが、アフガンにはそれがないのである。
 2008年にアフガンのある村長は爆撃で村民90人が死んだと主張した。手間をかけて確認したところ、じっさいは村民の死者は15人で、プラス、タリバン1名であった。
次。
 Bill Sweetman記者による2016-2-17記事「New World Ordnance At Singapore Airshow」。
 シンガポール・エア・ショーにF-15SGが出展された。
 ロックマートは、F-35は非ステルス世代の戦闘機に対して空戦では「6対1」の優位である、と公言している。米空軍がそれを信じているかどうかは私〔スイートマン先生〕は知らない。しかしもし信じているのなら、30年以上使っているF-15Cのアップデートに何十億ドルも予算を割いたりしないはずだよね?
 すでに2012-10の話だが、空母『GW』がマレーシアを訪問したときに、マレーシア空軍のスホイ30MKMがスパホといっしょに上空を飛んで写真を撮らせてくれている。そのスホイにはロシア製のKNIRTI SAP-518というアクティヴ・ジャミング・ポッドが吊下されていた。デジタル無線周波数メモリーを内臓しており、アムラーム(AIM-120C)のシーカーをこれで無効化できるというのが、ロシアの宣伝文句である。
 米空軍は敵AAMに対する味方戦闘機用ジャマー・ポッドの開発を、1980年代から怠っている。米海軍はステルスを追求しないかわりに、スパホ用にALQ-214を開発させたが。
 イスラエルのエルビット社は、F-16Dの自機防御用ジャマーや、F-15SG用の自機防御用ジャマーを、すでにシンガポール等に売り込んでいる。
 アムラームは、敵機が最新型スホイのように俊敏に回避機動できる機体だと、撃墜率は悪くなる。だから、新AAMのメテオールが新開発されたわけだ。
 グリペンは今年からメテオールを装備できる。
 アムラームもサイドワインダーも、F-16の翼端にフィットするように、胴径が決められていた。これはモーターの能力を制限していた。
 しかし新開発のドッグファイト用AAMは、胴径が7割増しになる。


カーボンヒーターの切り替えが600/300/150wというのはないのか?

 800/400/200wでもいい。とにかく上限が900w未満で、発熱線が1本で、首振り機能は要らないが、出力は三段階可変のもの。これがわたし的には最も便利だろうと想像している。
 上限が900wとか1200wだと、追加で電子レンジを使えばブレーカーが作動するレベルなのと、どうしても無人で放置されて火事……という局面が想像されてしまう。
 あと、この冬の大発見。炬燵も炬燵布団も要らんのじゃという真理に到達した。量販店で初夏に売られている安物(2000円しない)の封筒型寝袋。これを炬燵テーブルの下に突っ込んでおけば、体温だけであたたかくなる。ファスナーを開ければ、シュラフが「簡易掛け布団、しかも無圧」となる。表面は裏表ともにナイロン地なので埃取りの掃除は一瞬で終わる。もちろん背後には別なストーブが必要だけれども、炬燵には通電する必要がないし、卓上を布でカバーする必要もないのである。単なるちゃぶだいでよかったのである。1年で最も気温が低くなるここ数日でも大丈夫だということを、遂に確認できた。オススメ。
 国道五号線の七飯駅近くの「らーめん武蔵」がずっと前から気になっていた。昨日とうとう立ち寄ることができた。驚いたのは、何年も営業しているはずなのに、それにともなう「疲れた感じ」が無いこと。ラーメン評論家ではないので、味を表現できないのが残念である。
 『朝雲』#3194 に「X2」の報道公開写真が載っている。その1葉。「危険」「ECS高温排気」と、ご丁寧に排気口の近くにペイントしてある。
 これを書かせた奴は阿呆かよ!
 シナ人スパイが通りすがりにのぞいたときに、意味が取れないように、こういうところはぜんぶひらがなかカタカナにしとかないとダメだろう。
 「サハルナ」とか「あついぞ」とか「ノルナ」とか。
 いちばん平和ボケしているのは、三菱重工なのではないかと、ふと思った。


中共の秘密は自動的にアメリカに渡る仕組みができているという驚愕。

 Bill Gertz記者による2016-2-3記事「Chinese Defector Reveals Beijing’s Secrets」。
 KGBの秘密が一人の文書係のメモ持ち出しによって全部バレてしまったという冷戦直後の事件については兵頭の既著で紹介済みだが、それと同じくらいのドレーンパイプが中共から米国の間では構築されていた。
 胡錦涛は2015-5を境に姿を消している。習近平がライバル排除のためにあることないこと罪状をでっち上げて取り調べしているとも噂される。
 その兄弟Aは2012まで党書記だったが〔以下ぜんぶ個人名付きだがシナ人のアルファベット表記を漢字でどう書くのか分からないので書かない。興味ある人は原文に当たれ〕、2015-7に逮捕されている。そいつは党の文書庫の管理人だった。そしてこんなこともあろうかと、もうひとりの兄弟Bに重要文書のコピーを預かってもらっていた。もし自分が逮捕されたら、その文書をCIAに渡すぞと脅迫させるつもりだった。
 兄弟Bは加州サクラメントで不動産業とゴルフ場をやっていた超富豪。今は身柄が秘密の場所に保護されている。
 ところが習近平がその兄弟Aを釈放しないで逆にアメリカ政府に公式に兄弟Bを引き渡せと要求したので(これをすっぱぬいたのは2015-8のNYT)、兄弟Bはアメリカに亡命し、文書を全部CIAに渡した。
 それはとてつもない情報だった。
 シナ指導部が核兵器の使用を命ずるときにどんな手順なのか、それが書かれているのだ。
 中共の中枢、奥の院は「ゾンナン海」という。その建物の内部についても兄弟Bは詳しかった。これでNSAはどこに照準を絞ったら秘密がとれるかが分かるようになった。じっさい、サイバーアタックが集中してきたので、いま中共では内部システムをごっそり入れ替え作業中だという。
 ピルズベリーの2015の本『百年マラソン』は、五人のシナ人亡命者に取材して書かれている。そのピルズベリーも、今回の亡命者(兄弟B)は過去30年で最大だろうと言っている。
 中共は世界金融をどう支配しようとしているのか、それも文書でバレそうだ。
 ※この事件は氷山の一角だ。シナの旧政権の要人は、否、現政権の要人すらも、誰もが同じことをやっていると見るべきだろう。すなわち早くから米国で一人の親戚に商売をさせておき、日ごろから、超ヤバい秘密文書をできるだけ多く持ち出しては、預かっておいてもらう。じぶんの身の上にもし現政権や次期政権による弾圧が及んだら、その秘密文書をもってCIAにかけこみなさい、と言っておくわけだ。誰も自分の国の政府を信用しない、そして近代的法治などあり得ないというシナ文化が、このようなシステムを育てた。これは、将来もなくなりはしないだろう。現在も、営々としてこの文書持ち出し作業は、党の有力高官たちによって、せっせと遂行されているのだろう。習近平だって永遠の生命は持たないからだ。その次の政権から家族が弾圧されない保険が必要なのだ。日本にとって幸いなこと。シナ人の悪意が米国指導層の奥の院にはもうバレているので、2017にどんな阿呆が米大統領になろうとも、これから数十年、米国がシナ以上に日本を敵視することはまずありえないと考えてよいこと。日本にとって警戒すべきこと。その上でアメリカは、アメリカ軍によってではなく、あくまで日本軍や韓国軍によってシナ兵と戦争させようと、たくらむであろうこと。


3月26日(土曜日)にJR浜松駅から私鉄で2駅目に出没いたします。

 静岡県 浜松市 中区 早馬町 2番地の1「クリエート浜松」(でんわ 053-453-5311)内の特別会議室にて、2016年3月26日(土曜日)14時から2時間+の予定で、「浜松・戦争の小さな記憶を残す会シンポジウム」という催しがあります。
 そこにコメンテイターとして出演しますので、『飛龍』重爆連隊や艦砲射撃にご興味おありの方々は、お運びになってみてください。
 なお、その日の夜は浜松市内で一泊予定です。


「読書余論」 2016年2月25日配信号 の 内容予告

▼防研史料 軍令部『上海爆撃戦について』S7-8
▼防研史料 『航空研究会関係綴 其の二』S7 航本
 昨年、特務艦『野登呂』の揮発油庫が爆発した。これから考えて、敵空母に対しては小型爆弾も効果があるのではないか。
▼防研史料 『日独戦役戦利品下附書類』
▼防研史料 『大正戦役 戦時書類 巻百八』
 WWI中に英国向けや仏向けにどんな兵器を譲渡(=売却)したか。
 フランスに対しては38式歩兵銃×5万梃などを出荷している。
▼防研史料 『大正戦役 戦時書類 巻百九』
 対露売り渡し分。小銃弾薬400万発の重さは124トン。
▼防研史料 『海軍制度沿革史資料 兵器2/4 (消耗兵器)』M30~S11
▼防研史料 『海軍制度沿革史資料 兵器3/4 消耗航空機用兵器』大13~S10
 S8-12-1に初めて「90式吊光投弾1型」と、年式のついた火工品が登場。
▼防研史料 『S16~19 航空技術廠 航空技術情報摘録』
 1941-1-8にベルエアラコブラP-39は高度8200から急降下中に時速1000km=280m/秒を記録した。これは11.5mm拳銃弾よりも35m/秒速い。
▼防研史料 『航空参考書綴』
 誉発動機二一型(NK9H)について。
▼防研史料 『ロケット関係ノート綴』
 「マル大」である。
▼防研史料 中国化薬(株)ed.『旧海軍使用の各種弾丸の威力』S48-2
 同じ防研史料にある『通常弾 及 特殊弾の威力』(呉海軍2廠砲熕実験部長、S19-6)とほぼ同じである。まる写しだと思われる。
▼堀元美『帆船時代のアメリカ』朝日ソノラマ つゞき
▼藤井 非三四『「レアメタル」の太平洋戦争』2013-7
 鉄板は300℃以上になると、塗料が可燃性ガスを出す。さりとて塗装をはがせば鉄が錆び始める。
 航空爆弾の炸薬にアルミ粉を添加することで爆速を高めたのもドイツが最初。米国のトルペックスにもアルミが18%入っている。『火薬弾薬技術ハンドブック』に詳しい。
▼鷲谷いづみ『オオブタクサ、闘う ――競争と適応の生態学』1996-10
 ※この本を読んで理解したこと。パイオニア・プランツは、土壌撹乱後に外から飛来するのではなく、もともと土壌中にシードバンクとなっていたものが、撹乱によって芽生えるのである。
▼中西弘樹『海から来た植物 ――黒潮が運んだ花たち』2008-6
 2006-6に南支で洪水。そのため7月下旬に九州北西部海岸におびただしい流木。ちょうど、対馬暖流が強くなるシーズン。
▼徳岡正三『砂漠化と戦う植物たち』2003-4
 沙地の緑化は、「草原化」で達成されるので、決して森林化を狙ってはならない。草原化のためには、強風と寒冷・乾燥に堪える低木をまず植えること。
 グミ科の沙棘(さきょく)。この叢林の中に捨てられた病馬が見違えるように復活したという話あり。北欧でも植えられる。Hippophae rhamnoides〔クロウメモドキ属の〕が学名。空中窒素を固定する。サキョク油を手の甲のシミに塗りつけると、いつのまにかシミが消える。
▼土肥一夫・他ed.『海軍 第五巻 太平洋戦争 1』S56-5
 開戦時点で米海軍は4隻の正規空母を大西洋に置いていた。太平洋には3隻。英国は2隻のみ。
 第二次欧州大戦が始まってすぐにわかったことは、艦艇は消耗品であるから、質より量だということ。無条約になった時点で日本はその切換えをすべきだったというのが、反省。
 日本は英国に対しては何の通告もしていない。オランダにも。
 ブイン基地宛てに30分おきくらいに打ち合わせの無線を打ちまくっていたのでは、VIPがそこへ行くらしいということは暗号を解読などしなくてもバレバレであった。
 大発を使う「蟻輸送」は耐波性不足のため失敗した。S17-10前半。※全天候で作戦するためにはどうしてもPTボートでなくてはダメなのだ。
 鼠輸送は、1ヵ月の半分しか実行できない。月明があるとダメなのだ。
 駆逐艦32隻で糧食入りドラム罐2700個を運べる。ドラム罐を海に投入すると、浜では2割~4割弱を回収できる。※現代の島嶼戦と災害救援のためには「自航ドラム罐」が必要だろう。
 ガ島撤収のため、事前に折畳式ボート140個が届けられた。
 濃霧の中で、レーダーをもつ敵支配海面に潜水艦が浮上することは致命的だと何度も実証されたので、キスカでは駆逐艦による強行収容の方針が固まった。
 そもそもアメリカ軍による無制限潜水艦は合法だったのか? 1930年のロンドン軍縮条約第22条によってそれは禁止されていた。同条約失効後も、この22条だけは有効とされていた。
▼『今昔物語』
 巻27つづき。芥川の「鼻」の原話「池尾禅珍内供鼻語」ほか。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
 バックナンバーも1号分が500円で、1号分のみでも講読ができます。
 過去のコンテンツは、配信元の「武道通信」のウェブサイト
http://www.budotusin.net/yoron.html
 で、タイトルが確認できます。
 電子書籍ソフト対応の「一括集成版」もできました。詳細は「武道通信」で。
 ウェブサイトでわからない詳細なお問い合わせは、(有)杉山穎男事務所
sugiyama@budotusin.net
 へどうぞ。


時間が無くて推敲してない文章ですが……トランプ・ファンの馬鹿保守が増えそうなので緊急UP。

 米国のシンクタンク、ブルッキングス研究所に所属するトーマス・ライト氏が「Trump’s 19th Century Foreign Policy」というタイムリーな一文を2016年1月20日にインターネット上にアップロードしている。
 このエッセイは、16年11月に決まる次の合衆国大統領の選挙に、共和党の公認候補となって臨むかもしれないドナルド・トランプ候補(この時点で共和党系立候補者中の人気ナンバーワン)が、およそ地政学の教養とは無縁な人物であることをよく教えてくれる。ここで紹介する価値があると思う。
 ドナルド・トランプは思いつきで物を言っているように視聴者から思われがちだけれども、彼の過去30年の発言はいちいち記録に残されており、それを調べると、昔から確信思想のセットをブレずに保持していることが判るのである。彼の世界観は、30年間成長をしなかった。
 よく引用されるトランプの外交ポリシー。
 たとえば、
 イラクの油田はアメリカが支配してアメリカのために使おう。
 在韓米軍は撤収させる。
 メキシコ国境には万里の長城を築いてやる。
 プーチンの強い指導力は賞讃に価する。
 これって要するに、19世紀に戻りましょう、ということである。
 彼が第一に不満に思っていること。アメリカ軍は自腹を切って海外にコミットしすぎている。アメリカ国民の多額の税金がまったく外国のために使われており、アメリカ合衆国には一文の得にもなっていない。そのような税金の使われ方は不愉快である。
 米国は世界経済のせいで不利益を被っている。
 トランプは、独裁者が好きである。独裁政治が好きである。
 米国が主導するリベラルな世界秩序。そんな負担も責任ももう願い下げだ。
 1987年にトランプは10万ドル払ってNYTに全面意見広告を載せた。そこで全米の読者に向けて問うたことと、今、選挙民に向けて演説していることとは、ほぼおんなじだ。
 トランプは突然変異種なのだろうか?
 そんなことはない。彼にはよく似た先達が居る。
 1940年、48年、52年の三度、共和党から大統領選挙に立候補していずれも敗退した保守派のリーダー、ロバート・タフト上院議員と、トランプの志向性は酷似している。
 このタフト氏は1941年、ドイツと戦争中の英国に米国が財政支援することに反対した。
 WWII後は、米国の貿易を拡大しようというトルーマン政権の方針に反対した。
 反共ではあったが、西欧防衛のためにわざわざ米軍が出張してソ連を封じ込めてやる必要などはないと考えていた。西欧は自分たちで防衛すればいいし、それができなければ、アメリカが知ったことではない。だからNATO条約にも反対した。
 すなわちロバート・タフト上院議員は、現代アメリカ政治史上で、集団安全保障に本質的な疑問を投げかけた、最後の大物であった。
 独裁者に親近という点では、飛行士ヒーローのチャールズ・リンドバーグも先達だ。リンディは孤立主義標榜団体を率いていた。
 19世紀にはすべての国が輸入関税を高く設定し、自国だけ儲かれば良いという重商主義の道を邁進していた。
 2015夏にトランプは Bill O’Reilly に向かって言った。メキシコ国境には壁を築けばいい。万里の長城は1万3000マイルあったろ。〔=2万917km。しかしこの数値は中共政府による近年のフカシであり、現存遺構は6259kmしかない。ちなみにメキシコ国境は3145km〕。
 1990に米『プレイボーイ』誌は、もしあんたが大統領だったら、と訊いた。
 それに対するトランプの答え。
 俺はとにかく軍隊を強化するね。そして、ロシアを信用しないと同様に、同盟国だって信用しない。なぜ世界で最も裕福な国〔バブル末期の日本を指す〕を、何の見返りもなく、アメリカが防衛してやらなくちゃならないんだ?
 アメリカは世界一のカネモチ国になった日本を防衛しているが、これは笑いものだ。
 世界の笑いものなんだよ。
 日本だけでなく他の同盟国たちもだ。そのためにアメリカ国民が500億ドルも毎年負担し続けているなんて。これらの国々はもしアメリカが同盟国でなかったならば15分で地上から消え去るような存在だ。それがわれわれからカネを毟り取っているんだぞ。
 トランプは、アメリカが同盟国たちからいいように利用されているのだと昔から信じている。
 合衆国は他国を防衛などする必要はないし、もしそれをするのならば、しっかりと代価をその国から受け取るべきであるという。
 同盟国は、アメリカにカネを払え。防衛してもらっているカネを払え。
 過去、トランプから最も攻撃されてきた外国が日本である。
 1987の 米国民への公開書簡 の中でも、特に日本を問題視した。〔日本のバブル景気は1985から始まっている。〕
 アメリカの財政大赤字を、日本のカネで埋めるべき時だ、とトランプは主張した。
 世界防衛のためにアメリカがしている努力は、これらの国にとっては数千億ドルの価値があるはずだ。そしてこれらの国はその金額以上の利益をこうむっているのだから、数千億ドルをアメリカへ支払うべきだ。
 現在の選挙期間中もトランプはまた「反日本論」を持ち出している。日米安保条約は見直すとトランプは言う。
 誰かが日本を攻撃したら、われわれはすぐ出て行って中共と第三次世界大戦をはじめなければならない。しかしわれわれが攻撃されても日本は助ける必要はないという。これは公平か?
 2013には韓国を攻撃した。
 いったいいつまでわれわれは韓国を無償で北鮮から守ってやるのだ? 韓国人はいつ防衛費をアメリカに払ってくれるんだ?
 現在のキャンペーンでも、NBCのインタビューに答えて、北のキチガイから韓国を守ってやるために2万8000人の米兵を無償で韓国に貼り付けているが、その費用に見合った米国の利益は実質何も無い、と言っている。
 数年前には同様のことを在欧米軍についても言っていた。
 ここで Thomas Wright 氏いわく。しかし同盟国は米軍基地を守るためのコストを負担しているんだが。
 また米軍の事前展開により地域が安定化されているという絶大なメリットがあるんだが。
 危機のたびに米本土から軍隊を派遣していたら、コストはこんなもんじゃすまない。
 トランプが昔から言い続けている台詞。アメリカは勝っていない〔損を得が上回っていない〕ぞ、と。
 アメリカがカネと人を出しながら、その対価を金銭で得ないことを、事業家のトランプは「敗北」と考えるわけである。
 海洋および空、宇宙をグローバルコモンズとしておくためのコストも、トランプは負担したくない。
 トランプにいわすと、FONOPも無料でやるべきではない。
 では被保護国はアメリカに幾ら払えばいいのか。オプラウィンフリーに1988に答えたところでは、クウェートは原油収入の25%をアメリカに払うべきであると。
 そしてもし彼が大統領になったら、これら諸外国からみかじめ料を取り立てまくるつもりであると。
 1987の彼の宣言。これらの被保護国にこそ、アメリカは税金を課せ。アメリカ国民にではなく。
 彼はNAFTAにも反対だしTPPにも反対。
 もし19世紀の関税政策に戻ると、世界経済は降下スパイラルに入る。しかしトランプは気にしない。
 興味深いのは、トランプはロシアと中共を敵だと言っていない。ISやイランは批判するが、露支へは悪口を言わない。
 ※ケリーの最近の本でも中共のことはスルーしてるし、ロシアはすでに獲得した領土を守りたいだけだから「ミュンヘンの教訓」などあてはまらないと主張している。
 トランプは、強くてタフな指導者を愛するのである。
 1990にトランプはゴルバチョフは弱いと批判し、天安門の措置は称揚した。
 これに対してプーチンは2015-12に、トランプが大統領になれば歓迎だと発言。
 TV番組“Morning Joe”での、 Joe Scarborough とのやりとり。
 プーチンは反対派のジャーナリストを殺しているというが、アメリカだっていろいろ殺してるだろ。
 もしトランプが大統領になったら、ロシアに中東テロを鎮圧させ、見返りに欧州をくれてやるだろう。
 トランプは『NYT』記者に、シナ商品には45%関税をかけてやる と言ったが、その後、撤回。
 彼が大統領になったら、バルト海も尖閣もアラビア半島も守らないだろう。 そして日本は核武装するだろう。
 大統領ニクソンは、ブレトンウッズ体制を守るコストを嫌い、単独でそれを破棄した。
 すなわち、スタグフレーションを止めようと、1971に彼は、どの同盟国にも相談なしに、金ドル兌換を停止したのだ。
 これでブレトンウッズ体制は終わった。
 ニクソンもキッシンジャーも、ストロングマンスタイルの政治や政治家が大好きだった。
 しかし中共を「開国」させたことで、地政学的にソ連を追い詰めた。これはニクソンの手柄。
 1940の予備選挙では、国際関係重視派のウェンデル・ウィルキーが予想外に共和党の大統領候補に選ばれた。ウィルキーが勝っていなかったら、タフト上院議員が大統領になっていた。
 ※日本の馬鹿保守が「イギリスの陰謀」とか言ってる選挙ね。けっきょくFDRが続投。
 どうも民主党候補もダメ揃いなので今回、ひょっとするとトランプが来るかもしれない。
 もういちどアメリカは、なぜ健全な国際システムが必要なのか、一から説明されなくてはならない。
 ※というわけで今年は地政学論争が起きる。トランプは「米支密約」を知らない。またスパイクマンが強調した「空軍基地をユーラシアに近い島国に置かせてもらうメリット」、そしてマハンが強調した「海軍基地を敵交通線の近傍に保持することのメリット」も学んでいない。2月末に徳間書店さんからとてもわかりやすい兵頭二十八の地政学を出しますので、ご期待ください。


とうとうセブンイレブンで顔を覚えられてしまった。4日前の未明にドーナッツを褒めたのがいけなかったか……。

 David Archibald記者による2016-1-22記事「American Gripen: The Solution To The F-35 Nightmare」。
 なぜF-35などという失敗計画が続行されているか? それは失敗保険としての「第二案」は当初から用意されなかったためである。他に選択ができないのである。
 DoDは、F-35のコストが高くなる一方なので、調達機数の削減を検討中である。
 米空軍と海軍と海兵隊の現役戦闘機は、1977から1992の間につくられたものがほとんどだ。
 F-22はまだ十歳で若い。しかし1時間飛行させるために42時間の整備時間がかかっている。その整備作業の半分は、レーダー吸収コーティング材(RAM)の塗り直しである。それで稼働率は63%という。F-22のパイロットは、1ヶ月に10時間から12時間しか飛行できていない。理由は、1時間飛ばすのにも5万8000ドルがかかってしまうという高すぎる運用コスト。
 しかしこれは大問題。なぜなら、1ヶ月に最低でも20時間飛んでいないような戦闘機パイロットは、第一線レベルの技倆を維持できるはずがないから。
 というわけで、失敗作F-35の代案としての「F-22の生産再開」は、候補から脱落する。
 F-22のコストは、ロシアやシナと戦う前に、米国人の手で米軍戦闘機勢力を半分撃墜してしまったのだ。なぜなら空軍では新戦闘機を750機調達したいと計画していたのに、コストが上がりすぎたため、187機で打ち止めになっちまったからだ。その上、稼働率6割である。
 米空軍は現状では機数が足りないと思っているので、F-16とF-15を追加調達しようと真剣に考えている。しかしそれも解決にはならない。前の空戦コマンドの司令官、マイク・ホステジ将軍は言った。「F-15とF-16を心ゆくまでリファービッシュできるだけの予算を空軍が貰えたとしよう。それでも、次の5年で、わが空軍部隊は、敵の最新式の有力な部隊に凌駕されてしまうはずだ」。※誰がこんな電波証言を信じるんだ?
 1999のボスニアではF-117の被撃墜率は、F-16よりも高かった。
 ステルス機は、他の電子妨害専用機に支援された時だけ、ステルスだったのだ。
 F-22もF-35も、敵のXバンドレーダー、すなわち周波数が7.0ギガヘルツから11.2ギガヘルツのレーダー波に対して、最大にステルス性が発揮できるように設計がされている。
 ところが今日では赤外線による遠距離捜索&監視技術が進歩してしまい、F-35は60マイル以上も先から、そのエンジン排気熱を捉えられてしまうのである。
 スホイ27系列の最新のスホイ35は、赤外線による遠距離捜索センサーと、Lバンドレーダーを搭載している。
 Lバンドより低い周波数帯のレーダーは、ステルス機を100マイル以上先から探知できる。つまりスホイ35はF-35を相手より先に発見できる。
 1950年代、米空軍は英国の「イレクトリック・キャンベラ」爆撃機をライセンス生産させてもらって、「マーティンB-57」にした。
 この機体がどれほどすぐれていたか。40年間アリゾナ沙漠の「骨墓場」に並べておいたものを近年またひっぱりだしてゲリラの携帯通話監視飛行機に改造したものが、ちゃんとアフガン上空で役に立っているのだ。
 そしてB-57から30年後、海兵隊はこんどは英国のハリヤーに惚れ込んだ。それは1985からマクダネルダグラス社により「AV-8B」として製造された。
 F-35の大問題も、外国機が解決してくれるだろう。
 スウェーデンのサーブ社の「グリペンA」は1988にデビューした。いま、その最新型が「グリペンE」である。
 エンジンは単発。デルタ翼+先尾翼。
 かつて米空軍も「コンベアF-106デルタダート」という三角翼機を持っていたが、1988に退役した。
 F-16をデルタ翼化するXLという良い案もあったのだが、これはF-22に予算を回すために潰されてしまった。
 シミュレーションがある。グリペンEは、スホイ35を、F-22とほぼ同じレートで撃墜できるのだ。
 グリペンEが1機やられる間に、スホイ35を1.6機撃墜できるのだ。同条件でF-22ならば、スホイ35を2機堕とせるという。
 スホイ35は、1対2.4の比率でF-35を撃墜できるという。
 そしてスホイ35は、F-18スーパーホーネットを、1対8の比率で撃墜できるという。この証言者は、先述のホステジ将軍である。※だったらぜんぜん信用できないってことだろ。
 旋回率を比較したグラフがあるのでごらんいただきたい。グリペンの持続旋回率と瞬間旋回率は、米欧露のすべての戦闘機に勝るのである。
 ※この記者はスパホは重すぎて旋回率が悪いので空戦で勝てないと言いたいらしい。AWACS時代にドッグファイト? だったら三葉機時代に戻れば?
 ミサイルは外れるものである。パイロットの技倆が等しいとき、旋回率で「2度/秒」まさった機体は、空戦を支配できる。
 瞬間旋回率の高さは、敵AAMをひらりとかわす機動を可能にする。
 グリペンEには、米国製の「GE F414」エンジンが搭載されている。これはスパホと同じものである。
 スウェーデン政府がグリペンEを調達しているその単価は4300万ドル。いまのところF-35の三分の一以下の値段。
 運用コストになると、グリペンEは、F-35の十分の一以下。
 サーブ社と組んでいる相棒企業は、ボーイング社である。
 ボーイング社は、今セントルイス工場で製造しているスパホの受注が途切れたら、戦闘機企業ではなくなってしまう。なぜ、グリペンEの採用を、提案しないのか。
 じつはF-22のコンペのとき、ロックマート案よりも、ノースロップ案(YF-23)の方が、高速でしかもステルス性が高かった。しかしノースロップ社はB-2を製造することになっていて、同時並行的に戦闘機の製造まではできないだろうと配慮されて、ロックマート案に決まったのだ。※今なら訴訟だな。
 これを復活させるという選択も考えられていいだろう。※結果は目に見えている。あたらしいソフトウェアがやたらに盛り込まれようとし、その結果、永遠に完成しない。
次。
 David Hambling記者による2016-1-15記事「Tomahawk Missiles Will Get Twice As Deadly By Blowing Up Their Own Fuel」。
 多忙すぎて訳しているヒマが無いが、巡航ミサイルやテロに関心がある人はこの記事は必読である!
 巡航ミサイルが燃料半分残して標的に到達したとき、その残燃料のJP-10を瞬時にエアロゾル化して大気の酸素と最適混合させて轟爆させてやり、弾頭のPBXN-107×1000ポンドに加えて、サーモバリック爆弾にもしちまおうというものすごい技術が実現一歩手前に来ている。
 さいきんは三次元ケミカル挙動シミュレーションソフトが向上してきたので、こんなすごいことも現実的に考えられるようになったのだ。
 この技術のどこがおそろしいかというと、普通の乗用車だって、その燃料タンクの残燃料を使うことで、爆薬数トンを搭載した「特攻自爆車」と同じ有力兵器になっちまうんだよ。すべての自動車が大量破壊テロ手段と化す。列車のタンク貨車とか、どうなるのよ? タンクローリーだったらどうなる? 早く対策を考えなくちゃね。
 ちなみにこの記事の中に出てくる「BTU」という単位は、1ガロンの水を華氏1度上昇させられる熱エネルギーのこと。その数値が大きいほど、少容量の燃料で、遠くまで巡航ミサイルを飛翔させられる。この数値が最大である燃料JP-10をトマホークのブロック3は1000ポンド搭載しているのに、到達できるのは800マイルだ。シナ人が造ったパチモンの巡航ミサイルが、それ以上飛ぶわけねえだろうという常識を、読者は働かせてもらいたい。
 ※その他の、注目すべき最近の動き。自衛隊が南シナ海に出張できないようにするための中共の工作が必死レベルになっている。比島に天皇陛下が行幸なさるのにケチをつけるべく、米系コリアンを駆使してまたぞろ「バターン死の行進」の蒸し返しをさせようとしている。また尖閣領海内で小戦闘をおっ始めることで南シナ海どころではなくそうという策動もある。いやむしろそれ、望むところなんですけど。


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  平成二十八年一月一七日  兵頭二十八