あの肖像を見て、まず「若い!」と思わなきゃ、どうかしてるだろう。

 Vanya Eftimova Bellinger記者による2015-10-23記事「A Portrait of Clausewitz as a Young Officer」。
  これまでよく知られているところの、クラウゼヴィッツ(1780~1831)のたった一枚の肖像画は、画家の Wilhelm Wach によって1830年代の前半に描かれたものだった。
 すなわち死後の製作である。
 この記者(♀)によれば、その肖像は陰気で老けているという。※いきなり、まったく同意できない。現存肖像はクラウゼヴィッツの若いときの姿のイメージを夫人が画家に頼んで描かせたものだと想像ができる。なぜならクラウゼヴィッツはロマン主義の申し子であって、その精神は死ぬまでも若々しかったからだ。あれが50代の円熟した思想家風に見えるか? そう見えないようにわざと描かせているんだと、なぜ察することができぬ?
 今回発見された肖像(スケッチ)は、若い。
 この肖像画は Bernd Domsgen と Olaf Thiel が見つけ出した。2人はクラウゼヴィッツのホームタウン(Burg bei Magdeburg)でクラウゼヴィッツ協会に所属している。
 この2人は昨年、クラウゼヴィッツの家系図を完成した。クラウゼヴィッツ夫妻には子供はいなかったから、残存する親戚係累の残存者に総当りした。
 彼らは屋根裏や地下室を捜索してくれるよう片端から頼んだ。おかげで、大発見があった。
 このスケッチ画は3インチ×4インチの小さいもの。背面には「陸軍少将、軍事執筆家Carl フォン クラウゼヴィッツ少将、1780年6月1日ブルグ生まれ、1831年11月15日ブレスラウ没」と書き込まれてあった。※カールはCで始まる。Kとするのは間違い。これはピーター・パレットも結論している。
 この書き込みの没DATEは誤記だろう。公式にはクラウゼヴィッツは11月16日に死んだことになっている。
 過去のドイツ軍の軍装について詳しい、ドレスデンのブンデスヴェー軍事史博物館に勤務するゲルハルト・バウアー博士いわく。
 これが描かれたのは、1808年から1810年までの間じゃろう。しかし断定は不可能じゃ。カラー(襟)の肝腎な徽章が、無いでのう。
 19世紀のプロイセン陸軍においては、襟章や袖章〔の模様と色〕で所属聯隊と兵科が分かるのじゃ。
 推量するに、このクラウゼヴィッツは参本勤務将校の制服を着用しておるのじゃろう。
 将官たちと、その幕僚たちだけが、組み紐素材の肩章と、右肩の飾緒(fourrageres フーラジャー)を付けていた。※この記者は参謀と司令官の違いが分かっていないようだ。飾緒は参謀の印であり、参謀には軍隊の指揮権が無い。東條のようにそれを無視した不法軍人も多かったが、参謀が勝手な指揮ができないように正面からよく目立つ印で飾る意味があったのだ。
 おそらく上着は青地に銀ボタンと銀襟章であろう。そして襟と袖は臙脂色(深紅色)だろう。
 このことから推定して、スケッチが描かれたのは、1807年のフランス国内における捕虜生活を終えてプロイセンに帰国した時ではないか?
 クラウゼヴィッツはアウグスト親王(現王の従兄弟)の副官職も、引き続いて兼務していた。親王は陸軍省の軍事改革委員会のメンバーになっていた。
 と同時にクラウゼヴィッツは、シャルンホルストの私設秘書のような仕事も引き受けていた。
 1809年の前半にクラウゼヴィッツは親王の副官は辞め、シャルンホルストの専属になった。
 バウアー博士によれば、1810-8にクラウゼヴィッツは少佐に進級している。それにともない、左肩の肩章は変わらねばならぬはずだという。
 しかしスケッチにはその兆候が認められない。
 だからバウアー博士は、スケッチが描かれたのは1810年の前半より前であり、且つ、1808年より後だろうと見積もるわけだ。
 もしそうであれば、ここに描かれたのクラウゼヴィッツの年齢は28歳から30歳ということになる。
 作画者の署名は、無い。
 マリー夫人はアマチュア画家で、軍事博物館には彼女が1816年に描いたグナイゼナウの肖像画が掲げられているほどなので、可能性として、ある。
 しかし、夫人がクラウゼヴィッツの命日を間違えるだろうか? ※軍の公式記録と、夫人が思い込んでしまった日付と、1日ずれることぐらいあるだろう。
 マリー夫人には、対象人物を実際以上に格好よく描いてやる、プロの画家ならばある、サービスの心得というものはなかった。肖像のグナイゼナウは、疲れた腫れぼったい目をしている。プロ画家なら、絶対にそんな風には描かないものである。プロ画家は、人物の目を生き生きとさせる等の技巧を熟知しており、必ず肖像画にはそうした商売的な技巧を使うものなのだ。
 新発見のクラウゼヴィッツ・スケッチも、同じ商売技巧の無さが看取される。だから画家はマリー夫人であろう。すなわちこのスケッチは、クラウゼヴィッツの「生き写し」の絵なのである。
 マリー夫人が描いたとするならば、さらに製作時期は絞り込める。すなわち、1809年後半から、1810年の半ばまでの間だ。
 そうだとすると、ではなぜマリー夫人は、公的には、クラウゼヴィッツの暗い印象の肖像画だけを流布させたのだろう?
 ※だからその見方がおかしいんだって。疲れ果てた50歳代の男じゃなくて、40歳以前の若い青年将校のイメージだけを夫人は世に残そうとしたんだよ。なぜなら『戦争論』は情熱がほとばしった叫びの書なんだから。いまのところそれを理解してるのはオレだけだが……。
 ピーター・パレットが『クラウゼヴィッツとその国家』に収めているマリー夫人の書簡。それはクラウゼヴィッツの死の直後のものだが、マリー夫人の認識ではクラウゼヴィッツの一生は苦労のしっ放しであり、大成もできなかった。
 ※この記者はマリー夫人の伝記を最近書いたようだ。やがて邦訳も出るかもね。
 次。
 Kelsey D. Atherton 記者による記事「Video Shows Bomb-Carrying Condom Balloons In Syria」。
 ISは、阻塞気球代わりに「コンドーム+水素+手榴弾」を空に飛ばしているという。新たなる防空兵器。
 コンドームはふくらますとほぼ無色透明なので、パイロットは視認できないで衝突してしまう可能性がある。
 このビデオ動画は「ロシア・インサイダー」というサイトにアップロードされた。
 撮影場所はイドリブ郊外だという。そこはISではなく、ジャバト・アルヌスラの支配地なのだが……。
 ちなみにWWIIの日本の気球による爆撃では米国本土で6人が死んでいる。
 また、欧州でWWII中に使われた阻塞気球は、そこから吊り下げたスチール・ワイヤーによって、敵機の低空攻撃を不可能にするものであった。


ビビリの中共が アメリカの本気に叩頭九拝で御赦しを乞うというウォーミングアップを開始中。

 James Kraska 記者による2015-10-19記事「What Would Reagan Do About China’s Violations of the Law of the Sea?」
  1982年のUNCLOS(Law of the Sea Convention)について。
 中共は本土海岸からの領海線を勝手に直線的に引いている。これはUNCLOSの「article 7」違反である。
 中共は、満潮時に水没する洋心の浅瀬を基準に領海を主張している。これはUNCLOSの「article 13」違反である。
 中共は、パラセル諸島の領海線の引き方でもUNCLOSの「article 47」を蹂躙している。
 そして1974に武力行使によってベトナム人を殺傷してパラセル諸島を占領したことは国連憲章の「article 2(4) 」違反である。
 中共は、その領海における無害通航について他国に勝手な制限を課そうとしており、これはUNCLOSの「article 19」と「article 21」の違反である。
 中共はそのEEZ内に関して、他国の艦船航空機が公海を合法的に自由に利用することを拒否しており、これはUNCLOSの「article 87」違反である。
 中共は、近隣諸国の領海およびEEZにおいて、それら主権国の正当な権利を強奪しつつある。UNCLOSの「article 56」違反である。
 中共は外国の軍艦および軍用機が有するその国旗国の主権を侵犯している。これはUNCLOSの「article 32」と「article 95」の違反である。
 中共は、海上の人工構造物の周囲に中共の領海があると主張したがっているようだが、これはUNCLOSの「article 60」違反である。
 中共は、東支那海において日本の大陸棚を、そして南支那海においてベトナムとマレーシアの大陸棚を、いずれも中共のものだと主張している。これはUNCLOSの「article 83」が求める義務に違反している。
 中共は、そのEEZ内に外国が海底ケーブルやパイプラインを自由に敷設することを妨害している。これはUNCLOSの「article 112」と「article 113」の違反である。
 中共は国際紛争仲裁裁判所に出廷する義務があるのに、フィリピンからの要求を無視し続けている。これはUNCLOSの「article 288」と「article 298」の違反である。
 ところでレーガン大統領は1982のUNCLOSには署名しなかった。
 理由は、深海底の採鉱権について不満があったからだ。
 しかしそれ以外の趣旨には賛成しており、1983年3月10日には海洋の航行権と飛行権について強調する大統領宣言を出した。これは同条約署名に代わる米国としての国際公約で、このレーガンの1983宣言を、それ以降の大統領も継承しているのである。
 深海底の採掘権に関することを除き、米政府もUNCLOSの諸規則を、他の署名国と同様に遵守している。
 1983レーガン宣言では、海洋法についての相互主義が謳われている。他の沿岸国がこれを守るなら、米国も尊重するよ、と言っている。
 中共のように法の支配を無視するアウトロー国家が登場した以上、われわれはレーガン宣言の「但し書き」部分を、改めて援用するしかなかろう。
 すなわち、中共が周辺国に対してしているようなことを、米国も中共に対してしてやるまでだ。
 次。
 Michael Peck記者による2015-10-19記事「Get Ready, China and Iran: American Naval Super Mines Are Coming」。
  米軍の最新式の「クイックストライク」機雷は、本体に滑空用の主翼が備わっていて、B-52Hから高空からリリースすれば、40海里先まで飛翔して着水する。この実験は2014-9-23に成功している。
 航空機から撒布される沈底機雷である「クイックストライク」は前からあったものだが、いよいよそれにJDAM機能が結合されたわけだ。
 もっと正確に述べよう。クイックストライクに、JSAM-ERが結合されたのだ。「GBU-62B(V-1)/B クイックストライクER」というのが正式名称だ。
 高度3万5000フィートから落とせば、40海里前に落ちる。
 航空機から機雷を撒く技術は、米軍は1943から実用化した。その基本的制約は2014までも同じであった。ようやくその技術に革命が起きた。
 制約というのは、敵戦闘機がやってくるかもしれない敵国沿岸を、大型機が低空で飛行しなければならなかったことだ。
 着水ショックで機雷が壊れないようにするためには、パラシュートで減速させねばならない。それをもし高空から投下すると、パラシュートが横風に吹かれて各機雷の着水点は甚だしく散開してしまい、敵船舶が必ず通る、最も有効なポイントに、精密に機雷を並べてやることができなかったのである。
 そのためB-52は機雷を撒くときには高度500フィートを320ノットで飛行しなければならなかった。これはF-18やP-3を使って撒布するときでも同じである。
 もし敷設ポイントがずれてしまったら、再度やり直し。危険すぎる。じっさい湾岸戦争でも、機雷を撒いていた米軍機が1機、やられた。
 「GBU-62B(V-1)/B Quickstrike-ER」が使えるようになったことで、これからはB-1にも大いに機雷を中共沿岸に撒いてもらうことが可能になるのだ。
 ちなみにクイックストライクは1983からある比較的ローテクなもので、ただの2000ポンド爆弾に、音響/磁気感応信管とパラシュートをとりつけただけである。
 JDAMキットは単価2万ドルである。
 機雷投入ポイントを計画するときは、そこで敵艦船が1隻沈むことによって、爾後、深度の十分な航路が使えなくなる、そういうところが狙い目。海南島は、この手で封鎖できる。
 また沈底機雷は揚子江などの枢要な兵站内水にも撒かれる。
 イランの場合はバンダル・アッバスが最初に機雷撒きの対象になる。
 ロシアの場合は、バルト海の一番奥の「フィンランド湾」(サンクトペテルブルグの前浜)に沈底機雷が空から撒かれる。
 機雷戦の専門家氏いわく。次の段階は、この「Quickstrike ER/JDAM」にエンジンをとりつけて、「機雷ミサイル」にすることでしょうね。
 ※日本がやるべきことも明らかだろう。「SSM-1」ランチャーから多連装「機雷」ロケットを射出できるようにし、南西諸島のすべての島嶼に平時から展開しておくことである。また対ホバークラフト用としては「連繋機雷」を同じくロケット投射できるようにすることだ。
 将来的には、シナ、ロシア、北鮮も、機雷に翼を付けて飛ばすようになるだろう。それに対して米海軍には、11隻の『アヴェンジャー』級掃海艇しかない。計画では32隻のLCSに「掃海キット」を搭載できるようにするというのだが、まったくこの開発は失敗している。重掃海ヘリの「シー・ドラゴン」も古過ぎてよく墜落する。
 ただし中共が機雷を撒けば、それを中共自身、除去する能力がないので、シナの貿易は全部ストップするのだ。
 次。
 ストラテジーペイジの2015-10-19記事「The Endless Toyota Wars」。
   ISはハイラックスを買い集めるために幾ら使っただろうか? 中東ではおよそ2万ドルで売られている車だが、ISがそれを入手するには、輸送途中での検問所役人への賄賂など、余分なカネが必要なので、おそらく2013年から〆て1億ドルははたいたのではないか。
 トラタはかれこれ半世紀くらい、中東でハイラックスを売っており、それゆえ、定評がある。
 ハイラックスの2004年型モデルは、全世界に500万台売れた。そのうち2割以上は、中東で売れたのである。
 トヨタのハイラックスの最初期型は、1968年製。
 そこから数えて、今のモデルは「8代目」ということになる。
 2015年に、「7代目」の生産は終了した。
 自重が1.4トンで、燃料1トンと荷物1トンなどを積める。
 燃料タンクは76リッター=20ガロン入り。舗装道路ならこれで1000km走れるのだ。
 しかし満載荷重で不整地を走るなら、その距離は三分の一に縮む。
 「テクニカル」と通称される改造車は、荷台に14.5ミリ機関銃の三脚をボルト止めし、さらに10人もの兵隊が鈴なりに運ばれる。
 最初にこの種の改造車が大活躍したのは、1970年代にリビア軍が機甲部隊でチャドに侵攻したときだった。
 これを迎え撃ったゲリラたちは、ハイラックスを使って、リビア軍を退却させたのであった。


その名は ひひみ。

  Al Mauroni 記者による2015-10-16 記事「Don’t Fear the Dirty Bomb」。
   さいきんの民主党のディベイトでヒラリー・クリントン候補は、核物質がテロリストの手に渡るのが一番やばい、と発言した。
 前後してAPが、モルドヴァの犯罪組織が核物質をISに売ろうとしたと報じた。
 大衆は、わけもわからず放射能を恐れるものだ。※この記者は、米空軍の非通常兵器研究室の室長。
 だが、スリーマイル島や福島第一からの放射性物質漏れによって、急性放射能症で死んだ人間は誰もいない。
 チェルノブイリですら、数ヶ月内の放射能症による死者は30人未満だった。
 チェルノブイリで被曝して寝込んだ130人のうち多くは、何年もかかったが、復活している。
 オバマ大統領は2010年に「米国の安全にとって最大の単独脅威は、テロ組織が1個の核兵器を入手してしまう可能性であろう」と発言している。
 記者はこの見解に賛成できない。米国にとっての最大の脅威といったら、ホンモノの水爆ミサイルで米国をいつでも核攻撃できるロシアとシナにきまっているではないか。……が、この話は今回のテーマから外れる。
 放射能について一般人よりも正確な知識を持つくせに意図的に無知な大衆の恐怖をいたずらに煽り立てるようにして特定政治機関の目的に好都合ならしめんとする連中。この嘆かわしいやつらに読者は気をつけて欲しい。こやつらは米国の本当の課題から目を逸らさせる。
 この煽動屋たちは、「放射能」と「核分裂物質」の区別をわざとあいまいにして話を進める。
 そして、ひとつの論説の中で、放射性素材を通常火薬で環境中に飛散させる仕掛けにすぎない「ダーティ・ボム」と、ホンモノの小型核爆弾とを、並列併記して、読者に印象上の混同を誘う。
 あたかも連続TVサスペンスアクションドラマの『24』のように、幾つものテログループが、NYCやLA市内で小型核爆弾を炸裂させるプロットがリアルに進行中であるかのように思わせるのだ。
 たとえば前の上院議員のサム・ナンらは、「ニュークリア脅威イニシアチブ」というNPOを結成していて、いまから2ヶ月前、『ワシントン・ポスト』紙の社説対向ページ(オピニオン欄)で読者を脅した。いわく、市中で商業利用されているアイソトープなどの放射性物質をすぐにも全面禁止(代替品を開発させて)しないと、米国は危険な放射性物質によって数十億ドルの損害を受けることになるだろう、と。
 サム・ナンらに言わせると、いままで米国でダーティボムによるテロが起きていないのは「奇蹟に他ならない」のだそうである。
 たしかに、放射性のセシウム、コバルト、イリジウム、アメリシウム、トリウム、バリウム、トリチウム、その他いろいろなアイソトープは、市中で大量に使われているので、放射能被曝を気にしない泥棒がどうしてもそれを欲したら、盗むのは簡単であろう。
 じっさい、なんらかの核物質が盗まれたという報告は、毎年、数百件もある。
 しかし、人類史上、ダーティボムはまだ一度も爆発してないのだ。
 ※「ダーティ・ボム」はすでに二度、人口密集地の真上で炸裂していると思う。リトルボーイもファットマンも、設計未熟のために、数キログラム単位の核分裂物質が、連鎖反応を起こすことなく、ナマで飛散してしまった。しかしウラン235やプルトニウム239やそれらの同位体の微粒粉末の吸引が原因で死んだ者は1人も確認されていないようである。半減期がやたら長いということは、放置状態で単位時間あたりに崩壊する原子もやたら微少であるということだから、それだけでは即死者は出ないのが尤もなのだ。もちろん風評被害を狙った「印象テロ兵器」としては適しているけれども、そのことがテレビや映画で正確に説明されることはない。
 別な論者のジョー・チリンチオネは言う。――ISが放射性物質を入手するのは時間の問題だ。アメリカからの攻撃を抑止するために、彼らは核武装を指向する。核爆弾がつくれないならば、ダーティボムがその代用になるだろう――と。
 それはおかしくないか? 米国はテロ組織とは数十年来戦争している。なぜアルカイダが先にそれをやっていないのだ?
 ISは旧イラク軍の残党である。旧イラク政府が数十年間国力を傾けて努力しながら造り得なかった原爆の研究に、新生イラク政府軍と一進一退の攻防を続けつつゲリラ組織のISが成功してしまうってかい?
 チリンチオネは原爆とダーティボムの違いをちゃんと知っている。ダーティボムに人を殺す力がほとんど無いことも知っているのだ。しかし、数グラムのセシウムかアメリシウムをダーティボムに挿入すれば、市街の数十ブロックは数週間、人が住めなくなる、などと唱える。
 放射性の重金属の粉末を火薬の力で数マイルの範囲に拡散させた場合、拡散モデルを使えばわかるが、それによる住民各人の増加脅威は「数ミリキュリー」である。
 これは健康上無視できる量であることをチリンチオネは知っている。にもかかわらず、パニックを起こした住民をエバキュエーションさせないと行政が集中砲火を浴びるので行政もパニックにつきあってとりあえずエバキュエーションを命じておけ、と言いたいようだ。
 米政府は福島第一原発事故のとき、そこから50マイル以内に住んでいる米国人に対してエバキュエートを命じた。それには「恐れ」以上の合理的な理由などは無かったのである。
 この命令が為したことといえば、日本政府が該当区域の住民数百万人と事後復旧の段取りについて相談する仕事を、いやがうえにも困難化したことであった。
 核テロについてまじめな参考書を欲している人は、Michael Levi か Brian Jenkins が書いたものを購求するとよいだろう。オススメである。
 真の確率を公平に考えるなら、世界に数千発ある既存の核弾頭が、非国家集団の手に渡る恐れの方が、ずっと高いはずだ。その殺傷力こそ、ホンモノであろう。
 しからばなぜ米国のメディアは、脅威のぜんぜん低いダーティボムの話ばかりをするのか? それを敢えて売り込むライターがおり、それによって恐怖を感ずる大衆がおり、それによって儲かる雑誌・新聞・テレビ会社があるからである。
 CNNも、数グラムのセシウムを自動車爆弾に仕込んで炸裂させればニューヨーク市は何ヶ月も閉鎖される、などと煽っていた。とうてい信拠に値しない「専門家」が、メディアには出てくるのだ。
※有能な劇画の『いちえふ』に豆知識が書いてある。いわく。甲状腺癌は潜在的に多くの人が持っている。症状の無いまま一生を終える人もいる。福島ではすべての子供を精査したので、ふつうなら見つけられずにいるものがすべてカウントされた。環境省は比較対照のため、青森、長崎、山梨の3県でも調査している。その結果は、福島の子供たちの甲状腺異常と有意差がなかった。また福島で見つかった子供の癌細胞の遺伝子異変を解析した検査結果も、チェルノブイリ事故での遺伝子異変とは違うものであった――と。要するに沃素131が原因の癌じゃないということだろう。


想定戦場海面が、中枢的経済活動地帯に膚接しているというのが、中共の地政学的な最大弱点。

 Paul Dibb記者による2015-10-15 記事「Why the PLA is a Paper Tiger」。   やたら中共軍の「強さ」を騒ぎ立て、米軍の能力を過小に印象付けようとする……。この近来の風潮は、80年代に「ソ連軍はまもなく米軍を追い抜き圧倒する」と騒いだ脅威論とおんなじだ。
 中共軍は近代戦争を一度もしたことがなく、法螺百万言の「最新装備」類は一度たりとも実戦で試されたことがない。その将兵はプロフェッショナリズムからは遠く、既にあらゆる脆さが露顕している。
 シナ共産党は、経済恐慌や外交破綻を一回やったらその支配力はゼロになる。既に人民からの支持という土台が無いからだ。
 シナ経済は、他国との自由貿易とサプライ・チェーンに根底から依存するようになってしまっている。したがって今シナ軍が海上で戦争をおっ始めたら、シナ経済もシナ社会も崩壊するだけ。
 中共には友達もいない。近隣で味方になってくれそうな国家は、非力で影響力の無いところばかりである。中共は戦略的に世界で孤立している。
 中共軍の最後の戦争経験は1979のベトナム侵攻である。このときも、現代戦争とは思えない惨憺たるレートで死体の山を築いた。
 中共軍将兵の宣誓は、中共という党を防衛すると謳い、シナという国家を防衛するとは謳っていない。中共軍は、封建的な党与臣従的私兵にすぎず、近代国家の「国軍」ではないのだ。
 だからこそ人民の福利などそっちのけで党内出世のための賄賂授受も横行する。昇進人事は金権次第という軍閥軍隊だ。
 帝政ドイツも帝政ロシアも戦後のソ連も、ふんだんにカネを突っ込んで海軍軍拡したものだが、どだい海洋強国には脱皮し得ない運命を、確認しただけに終わっている。俄かに急膨張させられているだけのシナ海軍が、どうしてその範疇外たり得るのか?
 豪州のコメンテーターたちは、中共軍のA2ADの宣伝の片棒を担いでいるかに見える。
 彼らコメンテイターは、同じ時間を使って米軍が、超音速飛翔体、レールガン、ステルス技術、無人機、サイバー攻撃術の分野で中共などの遥か先方を走り続けていないとでも言う気か?
 これらの分野で中共軍はどうみても米軍よりも20年以上、後落している。
 中共の防空体制は穴だらけであり、西側先進国からの空襲を阻止することはまったくできない。
 中共はソ連の戦闘機用エンジンをコピーしようと30年間努力して、いまだにマスターできていない。
 東風21の対艦バージョンとやら。それはこれまでに一度も、海上を30ノットで動く標的に命中したことはない。実験ですら。
 また、遠洋の米空母を攻撃するためには、OTHレーダーや海洋監視衛星群をフル稼働させて標的の居場所と進行方向と移動速度をリアルタイム把握する必要がある。しかし米支開戦となれば、それら無防備なISRアセットは、簡単に米軍の手によって破壊され、盲目化されてしまうのである。
 そして米軍の知る限り、シナ軍はこれまで一度も、洋上を監視する衛星からデータを地上に送り、それをもとにして陸上または航空機から洋上の移動目標をミサイル攻撃するという実験を、したことがない。そんなものは存在しないのである。
 東風5BがMIRV化されたとか言うけれども、それはロシア人が40年前にやっていることをようやくシナ人が真似しているということを意味する。むしろそれがいままでできていなかったことに驚いてよいだろう。
 シナ軍将官やシナ人学者が、中共は核戦争を戦う能力があると豪語する。だが海岸部の経済活動帯に密集して暮らしている数億人の有能な稼ぎ手たちの保護については、何らの対策も取られていない。シナ経済を支えている東部大都市民は、軍隊によって最初から見捨てられているのである。
 ※なるほど中共は豪州人を脅かすために東風5などというポンコツの多弾頭化を宣伝する必要があったのか。非核のBMに対しては豪州は全く安全ですからね。もしも近々中共が亡びないのならば、豪州こそ核武装する必要がありそうだ。そのためには日本は協定を結んで全面協力するべきだろう。 ところで英語メディアでは米海軍がいよいよ南支那海でのFONをやるぞという方向での記事が相次いでいる。オバマ政権もさすがにシナに対して無為のまま次の大統領選に突入すれば民主党の未来候補は確実に敗れ去ると計算して、肚を括ったか? 
 次。
 Rob Taylor記者による2015-10-15記事「Australia Security Worries Arise Over China Port Deal」。
  中共の企業(山東 Landbridge グループ)が豪州北岸のダーウィン港を長期借り上げする。豪州政府はそれを認めるつもり。
 その場所は米海兵隊がときどき使う軍港の部分(飛行艇の離発着場もあるという)とは分け隔てられているので特に問題はないという。
 Shandongランドブリッジ社は昨年、豪州のガス会社を買収している。
 ランドブリッヂ社は、米ドル換算で3億6600万ドルを払い、港を99年リース借り上げする。同社は港湾機能を近代化する工事もしてよい。
 中共と豪州は6月に自由貿易協定をとりかわしたので、このような投資も可能になったのである。
 しかし10-13にはベトナムの漁船が中共軍によって沈められたらしく、海を捜索中であるというニュースが飛び込んできた。
 平時に豪州へ出入りする貨物船の三分の二も、南支那海を通っているという。
 アッシュ・カーターは今週、ボストンで豪州のペイン国防相(♀)と会い、FONを海でも空でもやると言った。
 ※別ニュースでは、豪州の貿易相が、米海軍によるFONに豪州軍は相乗りしないと声明したと。 またイランのミサイル用トンネルが地下500mにあるという映像報道がイランからは出てきた。今の核シェルターの相場値は、深さ500mなのか……。


シナ人には除去不能な数万の機雷は日本とシナ大陸の腐った関係を永遠に断ってくれる。これほど素敵な free-barrier は他にあるか?

 Lyle J. Goldstein記者による2015-10-14記事「Old-School Killers: Fear China’s Sea Mines」。
  湾岸戦争ではイラクの機雷により米艦『トリポリ』と『プリンストン』は中破させられている。
 そして数年前、シナ軍雑誌『兵工科技』におもろい記事が出た。
 青島の潜水艦学校の教授のインタビューだが、話のテーマは専ら機雷だった。
 この教授氏は、1988にイランの機雷で孔があいた米フリゲートの『サミュエル・B・ロバーツ』を例示した。
 同教授いわく、シナ潜1艦で、機雷50個を撒ける。これは外装式の撒布機をとりつけた場合だが。
 『現代艦船』というシナ海軍雑誌の2015-8月号には機雷戦の短い話が出ている。
 それはシナ国防大学校の研究を引用している。台湾が独立宣言したら、機雷6000個前後で近海を封鎖するという。それには開戦から5日前後かけるという。
 それに続く第二フェイズでは、機雷7000個を撒くという。
 合計数は、米軍がS20に「飢餓作戦(オペレーション・スターヴェイション)」でB-29を使って西日本の沿岸に撒いた数と近似する。
 この阿呆雑誌は、1日に2000個のペースで、機雷を、シナの艦船や航空機から撒き続けることは簡単だとする。
 第一列島線に、水上艦、潜水艦、漁船によって一定数の機雷を撒き続ければ、米海軍の東支那海への進入は阻止できるのだという。
 機雷撒きのために動員できるシナ艦艇とシナ軍用機の合計は500。これには漁船はカウントされていない。
 ※シナ軍を語る者がいつも間違える(あるいはごまかす)ことがある。この記者氏も例外ではない。奇襲開戦の最初の30分間は、彼らはやりたいほうだいができる。その時間帯に限れば、潜水艦が既に米軍から追跡を受けていようとも、漁船がいかにボロだろうとも、かんけいは無いからだ。しかし1時間目以降、彼らが自由にできることなど何もなくなる。まして米軍相手の本格戦争では……。
 2014年に大連の海軍大学校の男が、機雷のように水中に仕掛けておいて、敵水上艦が通りかかったらポップアップして海面上で対艦ミサイルを放出し、レーザー・センサーで捜索して攻撃するというウェポン・システムの実現性について記事を公表している。
 これならば、発射から命中までの時間があまりにも短いため、米空母にも対応はできんだろうというわけだ。
 ※軍艦のいちばん弱い艦底を狙えるチャンスをわざわざ捨てるとは……。CAPTORの技術はロシアすらコピーできなかったものなので、中共にはとうてい無理だと諦めてるんでしょうね。しかし、対空母戦闘で大事なのは、その空母を沈めることじゃなくて、とりあえず甲板を使えなくしてやることなのだと認識をしているのならば、偉い。ここに気付くのが遅れたのが、「空威研」と大西瀧治郎の失敗だったんだから。
 さらに、この機雷が放出するミサイルは、対艦用だけでなく、対空用も考えられるとしている。それで米軍の対潜哨戒機を撃墜してやるのだ。
 ※「機雷戦」は地政学的に中共自身の自殺戦略となること必定なので、メディア工作隊はもっとネット上でシナ人に向かって、〈砂盛島の「領海」に「主権国の権利」として機雷を敷設しなさい〉――とそそのかすべきである。それで米支戦争となり、中共はすぐに亡びてくれる。誰もが幸せになれる未来が待っているだろう。


ますますますます。(益々増す枡であり、他の意味ではない)

 Kyle Mizokami記者による2015-10-13 記事「No, Toyota Is Not Supplying ISIS With Pickup Trucks」。
  マグレブ砂漠からユーフラテス流域まで、アラブの戦場はトヨタの白いピックアップトラックが支配している。これは事実。中東でいちばん人気のトラックはトヨタ。これも事実。テロリストグループは、現地でいちばん人気のトラックを漁って奪い取り、ごきげんになって乗り回している。それが単純な現実なのだ。
 ところが謎の宣伝実行部隊が、英文のインターネット世界を舞台にして、トヨタとISがあたかも直結しているかのようなイメージ毀損工作を展開中である。
 ※それをやって得するのは誰か? フォルクスワーゲン社か中共政府しかないだろう。その両方でもあり得るけどね。
 ど腐れイラク政府の駐米大使が言った。リビアとイラクとシリアのISが使用しているトヨタのトラックは、しばしば「新車」のようだ、と。つまりトヨタがISにハイラックスを直納しているのだという「トヨタ陰謀史観」にイラク政府まで乗ってきた。
 ※おのれらの腐敗堕落が現地混乱の原因のすべてであるという真実から米国納税者の批難の矛先を逸らせるためには、何でもやるのだ。
 ハイラックス(Hilux)は、米国内では「Tacoma」の名で売られているものである。だから、ビデオに出てくるISのトヨタトラックが最新モデルであるかどうか、米国人視聴者にも判断ができるはずだ。それらはみな、13年以上前のモデルだ。
 ISが乗り回しているのは「中古車」である。いずれも13年から15年以上前のハイラックスである。
 しかし日本国内で乗られていた中古車だから、状態が良い。
 なぜ日本国内向けのハイラックスの中古車が彼らの手に入ったかというと、それはトヨタではなくて日本政府の政策が関係している。
 日本政府は2009年に、13年以上前の古い型の乗用車やトラックを新車に買い換えた国民に対しては2500ドルのキャッシュを提供することを決めている。
 日本政府はまた、最新の排ガス規制基準を満たしているエコカーを新規購入する消費者にも1000ドルを補助している。
 この結果、おびただしい中古車が日本国内で発生しているのだが、その転売市場は日本国内には無い。それらはみな、海外へ売り飛ばされ、中古のトヨタトラック供給過剰状態をつくったのだ。
 『ウォールストリートジャーナル』紙が2004年〔sic.〕に見積もった数値によれば、日本から100万台の中古車が輸出された。
 その何割が中東に出回ったかは知らないが、日本人が最も好む自動車の塗装は「白色」であるから、とうぜん輸出中古車も白いのが多くて不思議はない。
 それにたまたま、中東でも、駐車中の太陽光線の反射率が高い白色~明色系の自動車塗装は好まれている。他の塗装色よりも車内の昇温が抑制されるから。
 黒旗をかかげているISとても、黒色塗装のピックアップトラックを8月のイラクで運転しようとは思わない。これも事実である。
 過去5年のうち、地震津波にやられた2011年を除いて、トヨタは世界最大の自動車販売実績を有するメーカーである。ウェブサイトのDoDBuzzによればトヨタは2012年に中東へ683900台の車両を売っている。またABCニュースによると、2013年~2014年にトヨタはハイラックスとランドクルーザーをあわせて3万1000台、イラク国内で販売した。
 ※だから「スキ車」をリバイバルしておけば地震津波すら追い風になるんだ。
 ピックアップトラックは、その荷台に6人くらいの兵隊を載せられるし、重火器も運搬できる。便利で有用なピックアップトラックの「徴発」にISも励むのは尤もだ。励んだ結果、いちばんたくさんあつまったのはトヨタ製の白いピックアップであり、いちばん愛用されるのも、トヨタ製の白いピックアップとなるのだ。これは統計学だろう。
 ISは人口まばらな土地を数百マイルも機動しなければならない。彼らの組織内には、自動車整備工はあまり多くないである。されば、命を預ける車両はメンテフリーの定評がある、信頼性の高いものでないと往生する。となったら選好されるのはどこ製だ? 一択だろう。
 ※この反論記事を「ポピュラー・メカニクス」のウェブサイトに載せさせた〔のであろう〕米国トヨタの宣伝担当者は有能である。このテーマに関しては、他のネット媒体よりもずっと効果があろう。
 しかしこの陰謀ルーモアの根は深い。中共はあらゆる「いいがかり」案件で韓国人を焚きつけることで「日米離間」にまでもって行けると睨み、画策しきりである。同じように中共は根性が腐り果てているVWを応援して反トヨタ工作を燃え上がらせることで、まわりまわって「日米離間」へ誘導することができると期待しているだろう。
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 ストラテジーペイジの2015-11-13 記事「Born To Run From South Korea」。
  韓国の若者たちの間の新しい流行は、「韓国国籍離脱」である。徴兵を逃れるには、これがいちばんなのだ。
 2014年だけでも、4000人の若者が韓国国籍を捨てた。
 ※日本のコミュニストたちも、「国防の義務」を果たすのがいやならばサッサと日本国籍を捨てたがよい。国籍離脱の自由は憲法で保障されているぞ。
 2010年以降だと、総計1万6000人以上の韓国の青年が韓国籍を捨てることで兵役をまぬがれている。
 ちなみに韓国で二等兵に徴兵されると、月給は121ドルである。
 このため4割の新兵は、毎月実家から送金してもらうことで遊興費(特にネットカフェ利用代)を得ている。
 ※伊東寛氏著の『サイバー・インテリジェンス』(祥伝社新書)が面白かった。ミッドウェー作戦のAF電報の話じたいがカバーストーリーだという仮説(p.153) に同意したい。しかしそもそもMI作戦では敵の劣勢空母艦隊に出てきてもらわないといけない事情があったので、こっちが6隻固めていないという手の内を意図的に晒しているんですよ。わざわざまっぴるまの大湊から2隻を北方へ出航させることによってね。それをやれば必ず国内のスパイ網がアメリカ側へ通報してくれるはずだという前提が、GFの高いところにはあったんだ。


昭和17年の10ドルは、今の1万5000円にも相当した。

 ?記者による記事「During World War II, Sex Was a National-Security Threat」。
 さいきんも米軍は、性病が軍隊破壊活動の筆頭だと認めているが、かつてもそうだった。
 第二次大戦に米国が参戦して大動員が本格化した1942年前半、連邦政府は、全米の陸軍基地が所在する自治体で、計数百人の娼婦を、性病保菌者であるという理由で強制隔離した。この娼婦たちは「カーキー・ワッキーズ」「グッドタイム・シャーロッテス」「キャンプ・フォロワーズ」「パトリオチューツ」と呼ばれた。※最後のは造語で、辞書には見えない。
 ペニシリンは1943年から実用になったが、軍隊に優先的にまわされたので、銃後の国民は古くからある砒素系薬物の静脈注射が頼りだった。これは毎週1回、1年間も続ける必要があった。
 ※映画の『第三の男』には闇ペニシリンが出てきた。
 淋病は当時から、錠剤だけで症状を抑制できた。しかし投薬インターバルは注意深く守らないと利かなかった。
 兵士が性病に罹患して軍隊の機能を低下させてしまうという大損失をなくするべく、1941年、FDR政権は社会防衛局を創設した。目的は、軍事基地周辺での売春を撲滅すること。その長には、エリオット・ネスが就任した。アル・カポネを禁酒法違反で刑務所送りにした辣腕である。
 ※ピンク産業もイタリア系マフィアが仕切っていたことと関係があるのか。
 同年、「メイ法」が議会を通過・成立。軍事基地近くで売春婦が客を誘うことは爾後は連邦法違反だということにされた。
 この法に基づき、ヘルス・ワーカーたちが酒場を夜な夜な探索し、セクシーすぎる外観の女が混じっていないか、目を光らせた。
 軍隊の近くにキャンプフォロワーがいるのはあたりまえだと黙認してきた伝統は、米国では、1941~42年をもって、全面的に終了したのである。それは性病対策が理由であった。
 ネスは全米に、「迅速治療センター」を開設させた。梅毒にかかっている街娼を強制収容しては、数週間、治療薬を静脈注射する。
 『米国梅毒史』の著者、パラスカンドラいわく。監視役人たちは当初、軍隊の門前町や軍需工場近くの盛り場を重点捜査してプロの女を見張ったが、戦争が進展するにつれて、アマチュアの、ただし貞淑謹厳ではないと見える女をしょっぴくようになった。
 取り締りの場所は、バーからダンスホール、しまいには繁華街近くのバス停に移り、バスから降りてくる女を待ち構えていて訊問するに至った。
 性病チェックを拒否しても、取り締まり役人が強く疑った女については、裁判所は強制収容隔離命令を気軽に出した。
 駐屯地のまわりをうろついていたという理由だけで、役人は女を拘留できた。理由は、浮浪罪。その上で、性病検査か強制収容かを迫る。
 隔離というのは、医者でない役人にも可能な行政なのだが、梅毒治療の場合、そのうえで静脈注射が必要である。それは外科的医療行為なので、法的にうるさいことを言うなら、役人が市井人に強制することはできないはずのものであった。
 しかし役人が、静注による治療を受けなければ無期限に隔離収容を続ける、と通告すれば、女たちはその治療に合意したのである。
 迅速治療センターでは、街娼たちに社会更生を促すこともした。具体的には、治癒後に軍需工場に就職させてやるのだ。それもまた、米軍の最大の敵、性病を遠ざける良法だと彼らは信じていた。
 米軍の駐屯地内ではコンドームは手に入った。他方、WACについては、禁欲生活が当然だという内規が適用されていた。
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 ?記者の記事「Gary Sinise to Receive 2015 Sylvanus Thayer Award」。
  ウェストポイントの卒業者でつくっている同窓会は、俳優のゲイリー・シニーズに「シルヴェイナス・セイヤー賞」を与えた。
 理由は要するに、彼が演じてきた米軍軍人・退役軍人たちの姿が、兵役の愛国性について全米を感化するところ大であったから。
 ちなみにウェストポイントのモットーは「義務、名誉、祖国」である。
 プレス・リリースによると、この人はとことん米軍に入れ込んでいるのである。
 早くも1980年代にベトナム復員兵たちを励ます催しをシカゴのステッペンウルフ劇場で主宰していた。
 その後、「ダン中尉バンド」というパフォーミング・チームを作って内外の米軍基地の慰問までやってきた。
 また「Gary Sinise Foundation」という基金を創設し、軍人の援護に貢献している。


有害無益の「外務省利権」スキームを特殊法人行革の次に「仕分け」しておかなかったツケはこれからも国連機関の店名でまわってくる。

 APの2015-10-10記事「China starts operating lighthouses in disputed South China Sea island chain」。
  中共は砂盛島のひとつHuayang Reef上に、高さ164フィートの灯台を2基建て、このたび竣工した。Huayang灯台と、Chigua灯台という。
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Brendan McGarry記者による2015-10-9記事「Third Fleet May Help Enforce Freedom of Navigation in South China Sea」。
  第三艦隊の司令官ノーラ・タイソン中将(♀)は、砂盛島周辺でFONをやるのにいつでもウチは手を貸すわよと言っている。
 第三艦隊の司令部は、サンディエゴのロマ岬基地にある。横須賀の第七艦隊だけでは手に余るというなら、南支那海まで出張しますわよ。
 国防総省高官David Shearの上院軍事委員会での証言によると、南支那海で最後にFONをやったのは2012年であった。このとき米艦隊がスプラトリーの12海里以内に入った。
 実行したのはLCSの三番艦である『フォートワース』。そのすぐ後から中共フリゲートの『Yancheng』がついてきた。
 太平洋艦隊司令長官のハリス大将の皮肉。メキシコ湾がメキシコのものでないのと同様に、南支那海はシナのものじゃないですね。
 第三艦隊と第七艦隊は、日付変更線で縄張されているが、いつでもその線を超えて加勢にかけつけるであろう。
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 ストラテジーペイジの2015-10-10記事「Another KillDozer From Russia」。
  ロシア企業は21トンの民間仕様ブルドーザーB10を装甲して25トンの装甲ブルドーザーとしたものをこれから輸出する。ソ連時代には40トンのBAT-2という装甲ブルドーザーがあった。それはWWII中のBAT-Mの改良型だった。
 イスラエルは1960年代から民間用のD9ブルドーザーを装甲して62トンにしたものを使っているが、どうしても最前線での防弾は不十分だと認定せざるを得なかった。その結論として2009年に、D9装甲ブルドーザーをリモコン化したのである。
 D9は市街戦では絶対に必要な装備である。というのは、ビルの壁を爆破して歩兵がすぐに内部に突入できるようにしてくれるからだ。
 壁に爆薬を押し付けるという作業をしてくれるのである。
 D9はIEDの爆風にも耐えてくれるし、RPGが3発以上も命中してもストップしない。ただ、デカいので敵火の好目標になる。自前のMGでいくら反撃したとしてもドライバーの死傷は回避できないというのがイスラエルの経験からの結論だ。
 D9のリモコンタイプは2006から密かに開発され、2009にガザ地区へ初投入された。「ブラックサンダー」と名付けられた。
 ※てことは日本政府がこいつを緊急輸入していたら福島第一原発はもっと早く片付けられたんじゃ……?
 米軍は2003年前半にイスラエルから装甲D9(有人型)を9両買い、クウェートとイラクで、道路上の障碍物排除や、破壊された道路の修復に使用した。米軍はこれを市街戦には投入しない。したがって無人型は必要ない。
 ちなみにD9はそもそも米軍がベトナムで使っていた。だが非装甲だった。その後、35トンのブルドーザーに装甲した小型のD7というのに代えていた。


北極海航路はロシアの北極圏を「ハートランド」ではなくしてしまう。それはロシア人の精神を解放するだろう。

 ストラテジーペイジの2015-10-9記事「Rickety Russian Railroads Revealed」。
  ロシア国内の鉄道網が酷い状態であるとロシアのメディアが認めた。冷戦以後、個人のモータリゼーションに沿って道路ばかり建設していたので。
 戦時に200個師団以上も動かさねばならなかった時代は去り、今は最大でも旅団が数十個。だから鉄道維持は重要ではなくなった。
 2013年のロシア鉄道部隊の報告。ロシア国内の鉄道は、1万5000人の部隊を、1日で1000km運送できる。平時の通常運行ならばせいぜい600kmなのに。
 2010年、露軍は、お蔵入りしていた「装甲列車」を2両、現役復帰させた。
 その前に装甲列車が最後に稼動したのは、冷戦後のコーカサスでゲリラが鉄道を爆破するようになったとき。
 さらにその前だと、1970年代に緊張したシナ国境での警備任務であった。
 今日の露軍の装甲列車は、後続連結車両に、AAG車(ただし用途は対地砲撃)、通信車、電子戦器材装備車、鉄道工兵客車、UAVオペレート車(空中からゲリラを警戒)、そして複数のAFVを載せた無蓋無壁の長物貨車という陣容で出動する。
 ロシアの鉄道工兵は陸軍所属ではなくパラミリタリーである。だから「鉄道隊」とでも言うべきか。総勢は現在でも10万人あるらしい。それがちゃんと仕事ができていないようである。


そろそろVW勢力によるトヨタ車のイメージ毀損工作が始まるだろうなと思っていたら、始まった。ドイツ人は朝鮮人と同じか?

 ROBERT BURNS記者による2015-10-8 記事「US: Several Russian cruise missiles landed in Iran」。
   米国防総省の人いわく。露軍が発射した26本の巡航ミサイルのうち4本はシリアの標的に到達せず、イラン領土に墜落したと。これはイランからの情報に基づく。
 ※ロシア製巡航ミサイルが6~7本につき1本は故障するのだとしたら、中共製ミサイルはもっと調子が悪いはずだ。朗報だろう。ちなみにトマホークの故障率は、10本に1本。
 次。
 Harold C. Hutchison記者による2015-10-8 記事「Russian Amphibious Ships In The Mediterranean」。
   『ミストラル級』2隻は、サウジが金を出してエジプトが買うことになった。
 ミストラルの最高スピードは時速35kmにすぎぬ。
 仏軍は、3隻を運用中。
 エジプトは近年、フランスから24基のラファール戦闘機を買っているし、フリゲートも今年1隻買っている。
 仏式コルヴェット艦をエジプト国内で建造してもらう契約もあり。
 もっと前だとミラージュ2000、ミラージュV、回転翼機ガゼル、練習機アルファジェットもエジプトは買っていた。大得意先なのである。
 そして今後、もしサウジとイランが戦争になった場合には、エジプトは、サウジを助ける義務も負ったわけだ。
 次。
 ストラテジーペイジの2015-10-8 記事「Super Reaper Arrives On Time」。
   両翼下に増槽を吊るすことで滞空時間を延長した「MQ-9 リーパーER」の米空軍への納入が始まった。空軍は38機発注していた。
 主翼も延長されており、エンジンも強化されている。
 次。
 Franz-Stefan Gady記者による2015-10-8 記事「Japan’s Largest Company Is ISIS’ Car Maker of Choice」。
   なぜかくもたくさんのトヨタ製のピックアップトラックがISの手にあって愛用されているのか?
 ABCニュースは、ISの駆使している多数のトヨタ製トラックがいかなる経路で調達されたものか、米政府が調査を開始したと報じた。
 調査するのは財務省内のテロ資金源担当局。トヨタは調査に全面協力する。
 ハイラックスとランドクルーザーが問題になっている。これらは2011年にはイラクで6000台が売れた。2013年には18000台が売れた。2014年には13000台が売れた。
 なかでもピックアップトラックであるハイラックスのISビデオへの露出が突出している。ISの勢力拡大にハイラックスが大貢献しているのである。
 荷台に12.7mm重機関銃を据えた火力支援車として攻撃作戦に随伴している。
 2010年に、対ゲリラ戦の専門家デビッド・キルカレンは言った。ハイラックスこそは、現代の乗馬歩兵なのだ。重火器をすばやく最前線火点に進入させられる。また味方歩兵をすばやく敵の防備の弱点へ迂回機動させられる。そこで歩兵は荷台から飛び降り、即座に戦闘加入する。
 ※キルカレン証言だけはまともなものだが、他の数名のはまるでいいがかりだ。とうとう「始まった」と思わざるを得ない。トヨタはこの誹謗中傷を跳ね除けるためには、イラク政府軍にハイラックスを数百台単位でプレゼントするのがまず悧巧というものだろう。ともかく、キルカレン以外のこの記事に登場する「証言者」とこの記者と編集部がぜんぶVWのカネに転んだのだとすると、敵(ドイツ人)の宣伝はこれからもかなり執拗であろう(このたびABCを動員させたのは広告代理店だ。広告代理店が「証人」も用意し、番組をつくらせた。そして大手テレビを引用するかたちでこのようなクズ記事をネットに立てさせた。もちろん大元の広告代理店にカネを出して蔭から総合作戦を指揮しているのはVWの「参謀」たちであると疑うべきだろう)。トヨタはまた、米軍の新型軍用車公募にも必ず参戦しておくべきである。メーカーとしてハッキリ米国の安全保障グループの一員となっていないから、こんな露骨なイヤガラセの的にされるのだ。あ、それから「スキ車」はいつリバイバルするんですか?
 次。
 Chris Baraniuk記者による記事「UK firms develop drone-freezing ray」。
  妨害電波を照射してドローンを墜落させる装置を英国の会社がこしらえた。
 UAVを侵入させたくないエリアにこの装置を展開する。
 まずレーダーで探知し、赤外線でロックオンして追随照準する。
 ついで、指向性のアンテナから、妨害電波を照射する。これは受信するUAV側としては大出力なので、操縦者とドローンの間のリンクは遮断される。
 最短25秒で墜落となる。
 操縦者は、墜落原因は機械故障だと錯覚してくれるだろう。
 すでに英米仏にて、政府の人、立会いの下、実験済み。