また一人 キチガイ増えて 秋の空 (最後の季節の言葉を折々に更新すれば周年使えます)

 Robert Potter記者による2015-10-1記事「China’s Nuclear Submarine Distraction」。
  グスタフ・アドルフス王がスウェーデンの威信にこだわって建造させた巨艦『ヴァサ』号は、トップヘヴィーのために処女航海の数百mにして転覆してしまったものである。
 げんざい、中共の海軍技術の根本弱点は、洗練された舶用のリアクターが造れないことだ。したがって核動力の空母はおろか、核動力のSSN/SSBNすら実用水準のものをこしらえることができない。
 中共は対米ASWの主力として特にSSNを増やしたい。しかしこのリアクター技術の未熟のため、ひきつづいて『キロ級』コピーのディーゼル潜を増やすしか手がないというのが実情だ。したがって潜水艦の質的レベルに関しては、ベトナム海軍ともあまり違いが無いのだ。
 『93級』のSSNは騒音レベルが1970年代のソ連原潜よりも大であった。これでは使いようがないので、5隻で調達は打ち切られた。
 次に『95級』のSSNが開発されたが、やはりそれよりも25年も前のソ連の『アクラ』級よりも騒音が大であった。だから『95級』も大量生産へは移行し得なかった。騒音が大きければ、対米ASW任務には使いようがないのである。
 分析屋のクリステンセンは不思議がる。なぜ中共は、すでに投資が成功している陸上型の長距離核ミサイルを増勢しないで、その能力も実績も欠けているSSBNにこだわって空しい投資を続けているのだろうかと。
 答えは単純。プレステイジ(面子)のためである。
 シナ人は、ただの海軍ではなくて、「超大国の大海軍」を展示して見栄を張りたい。そのためには、かつて米ソが持っていたのと同じアイテムをそろえてみせなければ気が済まないのである。
 次。
 FoxNewsの2015-10-1記事「Army tests remote-controlled weapons systems for base security」。
  米陸軍のプレスリリース。いま実験中の「遠征部隊用の監視塔」というもの。三本柱の上にリモコン兵装塔が載る。
 火器は、12.7㎜機関銃でもいいし、ラプア狙撃ライフルでもいい。
 タワーは自在に伸縮昇降させ得る。火器の射界も360度、指向できる。
 これを、遠征先のキャンプ内のたった2人のオペレーターが、離れた安全な場所から操作する。
 ※無人のロボット銃塔(ガン・ポスト)は、これまでにも各国で試作されている。しかしいずれも、設置位置が低かった。誤射や流れ弾のことを考えると、あまり推奨できないシステムであった(味方も危ない)。だが、このように銃の位置を地表から8mくらいも持ち上げてやれば、「遠距離狙撃」に適した無人銃塔システムができるわけだ。密集歩兵が雲霞の如くバリケードへ押し寄せて来る……なんていう朝鮮戦争式チャルメラ・チャージは今日ではほとんど想定され得ないのであるから、この方が合理的なのだろう。まさにコロンブスの卵だ。


「インドネシア鉄道事件」には日本政府としてどのようなオトシマエをつけておくべきなのか?

 大規模建設プロジェクトや、高額兵器を、日本政府のプッシュのもと、技術の遅れた諸外国へ輸出することで外貨をがっぽり稼ぎ出そう――などと目論めば、それは必然的にダーティ・ビジネスへのコミットになる。(旧)通産省の阿呆どもにはどうしてもそこがわからない。というか、それはどうでもいいことだと思っている節がある。
 ところがこれはどうでもいいことではないのだ。「ダーティ・ビジネスには関係しない」というのが、日本の有権者が信じている日本の自画像なのだから。
 明治維新いらいのナショナル・アイデンティティの「真・善・美」を、(旧)通産省は汚そうとしているのである。
 ビジネスの引き合いから、その途中の努力から、さらには納品の完結のその後々までも、作って売る我も心地よく、買う彼もまた大満足するという関係を、われわれ日本人は理想視している。それは追求してみる価値のある現代人の幸福ではないのか? 日本人の「特権」はそこにあるのだ。
 インドネシアの地政学的な立ち位置を、(旧)通産省の阿呆どもは理解していないから、ここでレクチャーする。
 タイとインドネシアは、がんらい「親支」である理由はないが、すくなくとも、スプラトリーの島嶼領有の対支係争に関与しないという政策を選んでいる。
 これは、北京から見て、この2国が、南支那海の「違法領有」を狙うさいに、「トロイの馬」として利用し易いことを意味している。
 すなわちシナは、タイとインドネシアを籠絡してしまうことで、マレーシア、ベトナム、フィリピンという、スプラトリーをめぐっては明瞭に「反支」である3ヵ国に、背後からいやがらせの揺さぶりをかけることが可能になるのだ。否、長期的には、軍事作戦基地として利用しようとも考えているであろう。
 現在の日本は、反支連合を唱導しなければならぬ立場に、否応なく置かれている。日本は、セルフ・プリザヴェイションの保持のためにも、フィリピン、マレーシア、ベトナムを糾合して中共に対抗するようにしなければ、アジアの自由は甚だ危うい。
 そこで日本政府がこれから取るべき地域政策は、おのずから方向づけられるのである。
 具体策を延べよう。
 カリマンタン島(ボルネオ島)の西半分にあるマレーシア領を縦貫する「軍用鉄道」を、日本の援助で敷設することだ。
 じつはインドネシアは、カリマンタンのマレーシア領やブルネイ領にある油田を、昔から欲している。じっさい過去に侵略を試みたこともあった(兵頭の旧著『極東日本のサバイバル武略』に詳しく書いてあるはず)。
 そして中共もまた、南支那海から続いているカリマンタン西岸の地下油田が、欲しくてたまらないのだ。
 その中共はいまやインドネシア政府との結託関係に入ったのだから、ボルネオ島における軍事緊張が次第に高まることは必定である。
 中共とインドネシアによる将来の非望を抑止するためには、カリマンタン島のマレーシア領の軍事インフラの整備に日本が注力してやらなければならないだろう。もしその企図の抑止に失敗すれば、こんどは日本兵が直接にシナ兵と戦わなければならぬであろう。軍用鉄道援助は、そのような事態を避けられる上策なのだ。
 軍用鉄道であるから、むやみに高速仕様にする必要はない。ディーゼル機関車が牽引する広軌列車でいい。なまじ電化などすると、ゲリラの浸透攻撃で簡単に機能停止させられてしまうから、むしろまずいのだ。
 ただし、燃費のよさや低公害性にはこだわってみる価値はあるので、JR北海道が計画して予算不足から頓挫した、新型ディーゼル機関車を、このさい国費で完成した上で、気前よくマレーシア政府に援助してやることだ。
 この複線と並行して、石油と天然ガスのパイプラインを敷設し、軍用飛行場も併設すれば、インドネシア以外のすべての国がニコニコするだろう。これが、日本国らしい、今回の一件への「おとしまえ」のつけ方だと思うが如何。
 同様の軍用鉄道は、マレー半島のコタバルからアロースターまで、タイ国境に沿って敷設することもできる。シナに籠絡された国には、当面、明るい未来がないということを、日本の力でわかりやすく見せ付けることが、必要なのではないか?
 そのぐらいの意地すらも示さないのだとするならば、これから日本国、日本政府、そしてわれわれ日本人は、アジアのあらゆる方面において、舐められるばかりであろう。それは誰を幸せにするだろうか?


「読書余論」 2015年10月25日配信号 の 内容予告

▼防研史料 『射撃爆撃班業務実施報告』大8
 三年式改造航空機用機関銃は、モ式までならともかくも、より高速機では風圧のため旋回もマガジン交換もできなくなってしまい、不適であった。
 南部はプロペラ同調装置(螺旋機貫通射撃)にも挑んでいた。
▼防研史料 青木喬大佐『消耗戦略ト航空用兵』S18-1
 陸海は互いの重点が別々で、互いに「遊兵化」している。大乗的一元化を。
▼Bryan Cooper著『The Story Of The Bomber 1914-1945』1974
 専用の航空用爆弾はZeppelin用にドイツで発明された。横に寝せて格納する方式もドイツ人が考えた。
 ※WWIIにドイツが使ったSD 1400 kg 徹甲爆弾 や SD 500 kg E 徹甲爆弾 は、逆テーパーがついている。日本海軍の80番5号は、これらの模倣にすぎないのであろう。
▼防研史料 『陸軍航空後方業務沿革史』S22-3 第一復員局
 ※陸軍の航空用MGや爆弾の生産に関しては決定版資料。
 トラブルの主なものは、「ホ103」装備の隼が腔発事故を起こすこと、「ホ5改」の四式戦への装着不具合、そして、2式複戦用の「ホ203」の生産不振。
 陸軍のMGは、足りぬどころか、本土空襲中も生産数が落ちずにむしろ過剰で、一部をAA用に転用した。
▼防研史料 『「チェッコ」五三式 「ブルノ」社(ZB五三)重機関銃説明書』S16-2
▼防研史料 『一九〇九年式「ビッカース」機関銃 説明書』S12-8
▼防研史料 『「ホッチキス」二十五粍機関砲 説明書』S16-8 陸技本
 ※ホチキス系は射撃を中止するとボルトが後退位置でホールドされ、待っている間に薬室が空気冷却される。これを南部系のLMGでもすべて踏襲し、冷却に関してはチェコ系より良好だった。
▼防研史料 『「ビッカース」十二粍七 D型 高射機関砲 説明書』S12-8
▼防研史料 『「ホッチキス」十三粍二 高射機関砲 説明書』S14-3
 追随射撃をしないことの説明がされている。
▼防研史料 『「エリコン」二十粍野戦機関砲説明書』S12-8 陸技本
 エリコン20ミリには、閂子が無い。撃発の間、ボルトはロックされず、惰性前進か後退かの過程にある。そのかわりボルト先端は注射器ピストン状で、薬室内へ奥深く潜入し、薬莢の破裂やガス漏れを防ぐ。
▼防研史料 『「エリコン」二〇粍基塔式 SLaSS型 高射機関砲 説明書』S16-7
 ※WWII中の米軍艦の舷側にズラリと並んでいたやつ。
▼防研史料 『外国兵器諸元調査表(20~25粍級)(高射機関砲)』第一陸軍技術研究所第一科 S17-10
 ※調査官は、陸軍大佐の胴金義一、他2名。航空用は載せず。
▼穴山篤太郎tr.『百科全書 第十三冊』有隣堂 M16-10
 英国に、常備陸軍というものは、いつどのようにしてできあがったのか。
▼内務省地方局『感化救濟事業講演集 上』M42-3
 英国には「感化船」があり、少年犯罪者を海員水夫にしてしまう。
▼『村田銃保存法』M21 東京府平民・小林又七pub.
 「駐梁」には輸入した「スウェーデン鉄」を使っていた。
▼大小田八尋一『ミグ25事件の真相』2001-8
 自衛隊は、ソ連の原潜が小樽に強行入港すると考えた。
 長官の坂田がぼやぼやしており、三木総理へは、警察、運輸、法務、外務についで五番目に報告したことになってしまった。
 L-90部隊は、味方のC-1×3機を、敵襲と錯覚して、点検射までしていた。
▼永田年『鉄筋コンクリート設計法』S11-6
▼吉村岳城『琵琶讀本』S8-7
 島津藩主の日新齋は、雅楽琵琶の柱を2つ減らして4つにし、柱と柱の間を指で圧することで音階を作り出すように変え、撥を大きくした。薩摩琵琶の撥は緊急時の護身用を兼ねたので、大きい方がよかったのである。
▼土肥一夫・監修『海軍 第九巻 駆逐艦 海防艦 水雷艇 哨戒艇』S56-9 つゞき
 日本の沈没駆逐艦の約半数にあたる70隻に関しては、1人の生存者もいない。全員戦死認定である。1艦には平均、230名が乗組んでいた。
▼経済雑誌社pub.『国史大系第十六巻 今昔物語』M34 つゞき
 ※今回は巻第25。
 陣幕を二重に引き回すと、矢はその布を通らない。
 香取神社は昔は「梶取」と書いた。すぐ前が海だった。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 大きな図書館に毎日通えない人も、最低費用で、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 また、ミリタリーしか読んで来なかった人には、他分野の情報が、何ほどか有益かもしれません。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は500円です。
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プーチンは対支核兵備のためにINF離脱の口実を探している。ドイツへのB61搬入が、それに使われるのだろう。

 Dave Majumdar記者による2015-9-29記事「Revealed: China Can’t Build Lethal Nuclear Powered Aircraft Carriers」。
  『ジェーン』がエアバス軍事会社から買った衛星写真には、前に『ワリヤーグ』の改装に使った大連のドックにおいて空母らしきものが新造されているのが写っている。中共としての、国産第1号空母か?
 『ジェーン』誌の分析者の意見では、全長は558~885フィートで、幅は98フィート以上だ。
 だとすれば、これは『クズネツォフ』級ではない。『遼寧』は長さ1000フィート、幅236フィートだから。
 むしろ、『キエフ』級もしくは『シャルル・ドゴール』級に類似すると考えられる。
 たぶんこれは空母ではないのだろう。強襲揚陸艦なのだろう。
 原潜の核動力を国産するのと、大型空母の核動力を国産するのは、ぜんぜん違う世界で、要するに後者は出力が大きいので安全なものをこしらえるのは容易ではない。
 すると中共は大型空母を高速で走らすことができない(今日の基準の大型空母を重油スチームタービンや軽油ガスタービンで30ノット以上まで上げようとすれば、燃料バカ喰いで、こんどは航続力がほとんどなくなってしまう。さりとて『遼寧』の超低速が示している如くディーゼルで大艦を30ノット以上で走らす技術はシナ人には無い)。
 そしてカタパルトの国産もできない以上、重い固定翼機が非STOL離艦するのに必要な合成風力は得られないことになる、けっきょくフラットデッキの空母そのものを諦めねばならないわけである。
 米海軍が戦後初めてCVN-65『エンタープライズ』において核動力空母を実現してみせた方法は、原潜用の小型リアクターを8基、艦底に据え付ける、というものであった。中共もこの方法を最初に試すしかないだろう。もしやるのならば。
 ちなみに『エンプラ』の次の『ニミッツ』級ではリアクター数は2基に減っている。リアクターの数が多いと、主機だけで艦内のたいへんな容積を占有してしまうため、肝腎の搭載機を減らさざるを得ない。
 大型軍艦に必要な素材である高張力鋼がシナで国産できるのかどうかだが、たぶん、解決されているだろう。インドすら、ロシアから輸入したものを国産化できるようになったから。
 まあ、けっきょくとうぶんはスキージャンプで行くしかないだろう。


A settlement: Syria could be under the mandate of Israel.

 ストラテジーペイジの2015-9-28 記事「Russia Chokes On Tor」。
   ロシア政府は、ネットにアクセスしている匿名個人を政府が特定できないようにする自由主義通信ソフトTor(別名・タマネギ・ルーター)をクラックする方法を、2014に懸賞金付きで公募した。
 そして2014-8-22、ロシア政府は、あるロシア国内の、セキュリティ・クリアランスをもつ企業が、その懸賞金を獲得したと公表した。
 詳細は不明であったが、あれから1年経って、このメーカーはどうやら吹かし屋であったことがわかってきた。彼らはもっか弁護士を雇い、ロシア政府との契約条項から逃れる道を模索中のようである。つまり、タマネギ・ルーターをクラックする方法は、理論的にはあり得ても、リアルには、ハードルが高かったのだ。
 Torを開発したのはアメリカ政府である。政府が自由な情報や人民の言論を通信監視によって統制している中共のような独裁国家を内側から滅ぼしてやるために開発し、2002年から世界にバラ撒いたのだ。そのソフトを立ち上げているすべての個人ユーザーが「串」となり、最初の発信点の探知を物理的に限りなく困難にしてしまう。
 米政府はこれまで3000万ドル以上を投じて、ハッカーたちが世界のインターネット警察を無力化してしまうソフトウェアを開発するように励ましてきた。
 Torは世界中のソフト技師たちが日進月歩でアップデートさせつつあって、姿形は頻繁に変化し、攻撃に対する耐性も付加されていて、とても1企業の手に負えたものではない。
 Torの愛用者には、犯罪組織やISも含まれる。
 そこで2014までにNSAだけはTORをクラックできるようになったといわれている。しかしその後、TORの代替ソフトが複数できていて、それらは誰によってもクラックされていないという。
 じつはTorに対して最初に有効な反撃を加えたのはイラン政府であった。2011に、Torを使っているユーザーをインターネット通信から遮断してしまうロボット・システムを発動させ、これでユーザーの9割を駆逐し得たという。
 このアンチTorソフトは、イラン政府が西側のソフト会社に注文して作らせたものであった。その後のアップデートも、当該ソフト会社がイラン政府のために有料で請け負っている。
 次。
 星条旗新聞の2015-9-28 記事「UK law bans smoking in a car in presence of a minor」。
  自動車の中にもし18歳未満の同乗者が存在した場合、誰も、その車内で喫煙してはならぬ。これはこの10月1日から英国で施行される新法である。運転者も、そのような場合には車内で誰にも喫煙をさせぬようにする義務を負う。
 18歳未満の同乗者がいるのにその車内で喫煙した者、およびその喫煙を阻止しなかったドライバーは、罰金50ポンド=75米ドルを科される。もし、運転者も喫煙し、かつまた同乗者も喫煙したという場合には、その運転者が申し受ける罰金は倍額。
 自動車やバスの窓を全開していてもダメ。サンルーフを空けていてもダメ。外部空間に開放されている出口付近で吸ったとしてもダメ。
 キャンピングカーについては、それが走行移動中の状態であったならば、この法律が適用され、停止してキャンプ中であった場合には、適用はされない。
 コンヴァティブル車両の幌を全部畳んだ状態にしているならば、未成年者が同乗していても喫煙はOK。つまりオープンカーにはこの規制は適用されない。
 電子タバコには、以上の新法が適用されない。
 ただし、同時に施行される別な法律がある。18歳未満の者のためにタバコや電子タバコを買う行為は罰せられる。18歳未満の者に電子タバコを売った者も罰せられる。
 次。
 Ray Mabus海軍長官が2015-9-28にWP紙に投稿した意見記事「Being combat-ready is not about gender」。
  米四軍の全戦闘職種に女を混ぜてもいいという決定は、パネッタ長官とデンプシー大将が2013に決めた。げんざいメイバスはこれに基づいて仕事をしている。
 海兵隊が「平均値」を根拠に、戦闘職種に女を混ぜないと主張していることにメイバスは反対する。あくまで隊員個々人の能力の適否を問うべきである。
 G.H.W.ブッシュ大統領が1992に設けた諮問委員会が女子をひきつづき戦闘職種から排除することを勧告していた。
 海兵隊はここからレトリックを借りている。
 ※地域大国であるトルコがシリアの面倒は見切れないというのだから、もはやロシアの策動に対抗する切り札はイスラエルしかあるまい。イスラエルは近代国家であり、国内ではどんな宗教も許認されている。委任統治国として、申し分ないはずである。


やはり「JLENS」はいつのまにか海兵隊推しのど腐れ案件となっていた

  David Willman記者による2015-9-26 記事「$2.7 billion later, Pentagon’s defense airships have yet to get off the ground」。
 役に立たないことが次第にわかってきてもその予算をもはや打ち切れなくなっている軍事開発プロジェクトを「ゾンビー・プログラム」と呼ぶ。レイセオン社が主契約者であるJLENSもその仲間入りをしつつあるという事実を『ロサンゼルス・タイムズ』が暴いた。
  レイセオン社は、JLENSがボートのスウォームや爆装トラックも探知すると謳っている。しかしこれまでの試験成績はどうしようもない。
 常識で考えて、米国のような長い海岸線と陸上国境に隙間無く展開することは予算的にまったく不可能。さりとて敵地に近いところでは、かんたんに撃墜されてしまう。
 そこで陸軍上層部は2010年にJLENS計画を中止しようとした。ところが……。
 レイセオン社はロビーイストを総動員して逆襲擁護させた。その筆頭者は、当時の統合参謀本部副議長だった海兵隊大将J.E.カートライトである。
 カートライトはまんまとさらなる実験予算を獲得した。それは2011に首都上空でテストするというものだった。
 そしてカートライトはその年に退役した。5ヶ月後、彼はレイセオン社に再就職した。そして2014年末までに、レイセオン社はカートライトに82万8000ドルの現金ならびに有価証券を支払っている。
 カートライトは今でもレイセオンに雇われている身分である。そして『LAタイムズ』紙の取材からは逃げ回っている。
 ペンタゴンの新兵器実験部長を1994から2001まで努めた経験者のP.E.コイルは、繋留気球搭載のレーダーをネットして米国海岸線に近付く巡航ミサイルを見張ろうとすれば、それは気が遠くなるようなカネがかかると断言している。
 長さ242フィートの気球にヘリウムを充填し高度1万フィートでレーダーを作動させると半径340マイルを見張ることができる、というのが謳い文句。
 2機が1組として運用されるという。
 だがいまだに2コいちの運用はできない。ソフトが完成しないのだ。
 気球は自重が7000ポンドある。これを、1と八分の一インチの太さのケヴラー製のケーブルで繋ぐ。そのケーブルには電線も入っている。
 2機(1セット)の気球を運用するためには、地上には130名の兵隊が必要である。
 この計画に最初に予算をつけたのは米陸軍で、1998のことだった。
 2001-9-11が追い風となり、さらに予算がついた。陸軍は2005-11に、この気球を28機買おうじゃないかと決めてさらにレイセオン社に開発費を与えた。その追加金額は13億ドル。
 ところがレーダーを管制するソフトウェアが一向に仕上がらない。
 そのあたりから、陸軍の内部で、これは詐欺案件じゃないかという疑いが抱かれ始める。
 このシステムは戦場へも素早く移動展開させられらると宣伝されていた。だがそれは最初から怪しかった。繋留場には「アンカー」となる分厚いコンクリートが埋設された土地が必要であり、しっかりした発電&給電設備もなくてはならないのだ。
 そもそも米軍は巡航ミサイルを探知できるAWACSを既に有している。
 2010-9-30には、嵐のために民間の気球の繋留索が切れて吹き流され、それが地上にあったJLENSに衝突して、1億8200万ドルの損害を与えた。
 その時点までにペンタゴンはJLENS計画に20億ドルをつぎ込んできたが、レイセオンいわく、モノになるまでにはあと数十億ドルが必要だと。
 そこで陸軍参謀次長のPeter W. Chiarelliは、まず28機購入予定をとりやめ、さらに計画自体をキャンセルしようと準備した。
 チアレリ(すでに退役)にいわせると、陸軍が保有を優先すべきシステムはRAM、すなわちロケット弾、野砲弾、迫撃砲弾の飛来を警報してくれるシステムであって、巡航ミサイルの警報システムではないからだ。
 これに対してレイセオンが動員したロビーイストたちがすごい。前の上院議員のロット(ミズーリ選出、共和党)、同じくジョン・ブルー(ルイジアナ選出、民主党)が含まれていた。
 そしてレイセオンはそれまではJLENSはイラクのような戦場で米軍を守るシステムだと言っていたのに、それ以降は、米本土で市民や都市を守るシステムだと強調するようになった。
 のみならず、ドローン、小型飛行機、陸上で動くAVFやトラックまでも探知する多機能レーダーだとレイセオンは強調し始める。
 気球を製造して納入している下請けメーカーはメリーランド州にあるが、同州選出の上院議員ミクルスキ(民主党)は、もちろんJLENSを首都防空のために使うというレイセオンの最近の宣伝に賛同するようになっている。
 とはいえ陸軍首脳はまだ正気の者が揃っているようだ。彼らは、カートライト一派があくまでJLENSを推進するならば勝手にやるがいい、しかし陸軍は予算は出さないから、と言っている。
 これまでのところJLENSはただの一回も、試験場において、連続30日間のレーダー監視運用を実現できていない。レイセオン社はそれを天候その他のせいにしている。
 そしてペンタゴンは2012年の報告で、JLENSのソフトウェアは敵味方の識別ができないと言っている。
 ではいったい どのくらいならば連続昇騰できているのか? ユタ州での試験ではなんと、平均すると、一回の昇騰が21時間しか持続していないという。
 JLENSの地上繋留場にはコンクリート舗装が必要である。これはアンカーが揚力でひきぬかれないようにするために、かなり分厚く重くしなければならない。首都近くでの試験におけるその舗装工事費用は、2000億ドル近くかかった。
 ※9-25に、海兵隊のダンフォード大将が陸軍のデンプシー大将から統合参謀本部議長の椅子を譲られた。ダンフォードはかつてアフガン戦区の総司令官だった。さすがに米四軍の長の地位に就いた者が一軍需メーカーの手先になって外国に筋悪な兵器を売りつけるようなマネはできない。要警戒なのは、その次位の者や、4軍の制服の長たちである。


『全日本南北戦争フォーラム』が熱い!

 Bob Owens記者による2015-9-21記事「Has The Time Come For Plastic Ammunition?」。
  薬莢を合成樹脂複合材(ポリマー)のインジェクションで、弾頭を、3ブロックにバラける銅の塊で作ってある警察拳銃用実包。ポリケース弾薬という。
 「インセプターARX」という商品名。見た目は弾頭はラウンドノーズだが、じつは帆立貝の縁のような波状の切れ込みが入っていて、命中すると弾頭が3ブロックに割れる。それにより、ホローポイント並の効果を出すような仕掛け。物体に貫入して6インチのところで弾頭はバラけ散る。
 真鍮製ではなく、この複合材製の薬莢とすれば、拳銃の発射反動は軽減されるという。したがって次射の照準を速く着けられる。それがメリット。
 次。
 APのHyung-Jin Kim記者による2015-9-25記事「Elderly prostitutes reveal dark side of South Korea’s rise」。
 韓国では六十代~八十代のご高齢婦人が現役で街娼をやっている。映画館のある繁華街ピカデリープラザで、みずから客引き。
 韓国警察はこの春、街娼を一斉検挙し、33人を逮捕(うち最高年齢は84歳)したが、無駄だった。彼女らは「バッカス・レディーズ」と呼ばれる。昔から、バッカスという名の強壮剤ドリンクを売っていたから。
 多くは離婚後に生計の当てがなくなったのだという。ほとんどの者には、成人した子供たちがいるのだが、その子たちから見捨てられており、また、恥を感ずるので連絡もとっていない。社会的セフティネットはこの国には存在しない。買い手は中高年の鰥夫が多い。需要もあるのだ。
 その社会的な背景。高度成長期、大学や就職のため子供が都市に出た。親は田舎に残ったが、その後、面倒を見られなくなった。このようなケースが大半。
 政府は子による親に対する扶養義務に漫然と期待し続け、子がかえりみなくなった老人世帯に対する社会保障を考えて来なかった。げんざい、65歳以上の韓国老人の半分近くは、所得が国民平均以下。そして過去25年で高齢者の自殺件数は4倍近くに増えた。
 老婦売春は、ジョンゴ地区だけでも2014初めには400人ちかくいた。それがピーク。
 警察の手入れ後は、総勢で200人くらいに減った。ピカディリー広場を中心に常時20人が見られる。韓国全体では、さらに数百人の「60歳代以上の街娼」がいるという。
 中には読み書きができない最底辺婦人も混ざっている。また、わざわざ中共から移住してきた朝鮮族婦人もいる。
 このプラザにおける老売春婦は、1ヵ月に20万ウォンから30万ウォンを稼いでいるという。米ドルに直せば、168~252ドル。ただし非常な高齢婦人の場合、1回のセックス代が1万ウォン(8ドル)ということもあるという。
 買い手は、企業を退職した男たちである。彼らは企業に自由な生活を売り渡してきたと考えている。
 ある78歳の男性は離婚した退職者だが、暇と寂しさをまぎらわすために毎日このピカデリー広場にやってきて、裏路地で婆さんに8ドルを払って体を触りながら雑談をして帰るのだという。
 この男性いわく、婆さんたちとセックスする場合は1回3万ウォン(25ドル)を払う。中年婦人の場合は、相場は5万ウォン(42ドル)だと。
 今年の警察の手入れの前は、プラザ近くの地下鉄駅、および、ユネスコの世界遺産であるジョンミョー孔子廟近くの公園が、老婦人売春のメッカであったという。
 次。
 Carmen Duarte記者による2015-9-24 記事「McCain asks for DOD investigation into fatal bomb explosion」。
  23日、アリゾナ州ツーソン市の鉄工場で、46歳の工員が、スクラップの物体を切断しようとしたら、それが軍の爆弾であったために爆発し、その男は死んだ。同州出身のマケイン上院議員は、なんでそんなことになったんだと調査を要求ちゅう。
 物体は、長さ5フィートの、500ポンド航空爆弾「マーク82」であった。製造元は、ジェネラル・ダイナミクス。
 近くにはデイヴィス-モンサン空軍基地があるが、同基地では、絶対にウチから出たモノではない、と否定している。
 次。
 David Nye記者による2015-8-11記事「5 general officers who were almost certainly crazy」。
  カスター将軍は度外れた犬好きで、ピーク時には80頭も飼育していた。寝るときはいつも犬といっしょだった。彼は犬になぐさめられていたのである。
 テキサスに勤務中の1866の時点で23頭いたという。
 夫婦の寝室にまで犬を入れて就寝しようとするので、あやうく離婚されかかった。
 作戦中も12匹ばかり連れて行き、いっしょに寝た。
 しかし、彼の最期となるリトルビッグホーンへ第七騎兵隊が出撃する直前には、さすがにこの任務は容易ではないと感ずるところがあったのか、当番兵が命じられてその12匹を後送した。つまりカスターはいつになく緊張していたのだ。
  ※フリー編集者の小川寛大氏が『全日本南北戦争フォーラム』というのをやっていて、会報をこれまでに6冊出しており、わたしはその直近の2冊しか目は通してませんけども、すこぶる勉強になる(会の公式ブログもあり。nanboku-sensou.blogspot で検索できる)。いまから30年前には日本では南北戦争の書籍など数冊しかなかった。しかしこの30年間で、特に学研の出版事業のおかげで、空白が埋まったようだと改めて認識しました。


南洋から舟でやってきた日本人がなぜ列島に定住するや航海民族ではなくなってしまったのか? その理由を、とうとうつきとめたぜ。

 ストラテジーペイジの2015-9-24 記事「Russia Tempts Indonesia」。
   インドネシアが、旧式化したF-5の更新分として、ロシアからスホイ35を買うことに決めた。裏には多額の贈収賄が存在することは、インドネシアの場合、無論のことである。すなわちそれが、テンプテーション。
 なんのオプションも付けない素のモデルだと、スホイ35の納入価格は、F-16の最高グレード品と同じ6000万ドル台になる。
 ロシアは、スホイ35のエンジンは4000時間もつと主張しているが、その真偽はいずれ判明するであろう。
 1990年代の後半、インドネシア空軍は、アメリカ製の軍用機用スペアパーツの購入をアメリカ政府に禁止され、そのため10機のF-16と16機のF-5は飛べなくなった。
 そこで2003から2013にかけて、6機のスホイ27と8機のスホイ30MK2がロシアから輸入されたが、こんどはインドネシアが金欠に陥り、そこにとりつけるべき兵装が無いという状態だった。
 2009年には同じイスラム教国であるカタール政府が、中古のミラージュ戦闘機を10機、格安で分けてやろうと言ってきた。しかしインドネシアには、それを購うカネすらなかったので謝絶した。買ったあとの維持費も検討されたことは勿論だ。
 という次第で現時点では10機のF-16と2機のF-5だけが、飛行可能な状態である。それがインドネシア空軍の全力なのだ。
 インドネシアはとりあえず政権をとっかえてみせることにより、2010年までにアメリカからの経済制裁を解除させている。そしてアメリカは24機のF-16を新たに売ってもいいと言っていたのだが……。
 ※兵器輸出国としてのロシアの強みは、アサドすら見捨てずに兵器を供給し続けるというところにのみ存在する。アジアの中でどの国が兵器の買い手としていちばん腐っているかは、『兵頭二十八の防衛白書2015』で書いておいた。
 ※ところでロシアがシリア北西岸に拠点を得ると次に何ができるかというと、スエズ運河に黒海からの影響力を及ぼせるのである。ロシアはスエズを支配できると読んでいる。かつてギリシャ正教が存在したエジプトまでなら、勢力を扶植できると考えているのだ。プーチンはマハンとマッキンダーを読み返し中であるとしか思えない。まもなく中共が崩壊すればロシアはまた極東に「良港」を求めるだろう。
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 Annie Jacobsen記者による2015-9-23記事「Engineering Humans for War」。
   マーシャルという研究者が、ノルマンディ上陸作戦中の米兵の死亡原因を調査したところ、「疲労」が戦死に繋がる大きなファクターだったということがわかった。
 ある事例。
 それまでの訓練では、機関銃の重い部品を担いで走ることなどまったく平気でできた軍曹が、ビーチに上がったとたん、まったく走れないどころか、歩くことすらできない自分を発見した。力が出ず、部品を持っておられず、ひたすら砂の上を、部品をひきずり、いざりながら前進するしかなかった。周りを見たら、他の戦友たちも、同じ状態であったという。
 ※これは、予想もしなかった圧倒的な恐怖が、戦場に不慣れな兵士を驚かせたことにより、いきなり「腰が抜けた」状態にしてしまうという生理現象であって、疲労とは区別すべきだと思うのだが、記者は混同している。
 そこでDARPAが1985に考え付いたのが、エクソスケルトン(外骨格)で兵士を強制的に立たせるだけでなく、12.7㎜機関銃弾までなら当たっても死なない防護力も提供する、アシストロボット装置であった。ついでに、毒ガスも防いでしまう。
 またこの装置は、兵士の聴力や視力もアシストしてくれる。地獄耳と千里眼である。※デビルマンだね。ついでに空も飛ばそうや。
 いらい、DARPAはまだこの研究を続けており、2018にはモノにすると言っている。完成品は、エアコン付きで、戦友の肉声がどの方角から来るか耳で判定することができ、出血したら自動的に止血してくれた上に酸素も吸わせてくれるという。
 ※いったい動力源は何なんだよ? とても電池がもたんだろ?
 負傷した兵隊を自動で滅菌し、さらに冬眠させて、野戦病院に搬入するまでの時間を持たせる。そのような研究もしている。
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 Andy Greenberg記者による2015-9-23記事「OPM Now Admits 5.6m Feds’ Fingerprints Were Stolen By Hackers」。
  ハッカーにパスワードを盗まれたなら、それを変更することで悪用を阻止できる。しかしハッカーにキミの指紋を全部知られてしまったなら、もうあとはキミが死んでしまう日まで、その悪用を止めることはできない。
 米国の連邦政府職員560万人分の指紋データが、どうやら中共政府の手に落ちてしまったようである。米政府はそれを認めた。


CD→CDのコピーは何故こんなに面倒臭いのか? 昔は良かった……。

 Shannon Tiezzi 記者による2015-9-22 記事「The Truth About US Freedom of Navigation Patrols in the South China Sea」。
   国連海洋法会議で決めたUNCLOSのパートIIのセクション3のアーティクル19によれば、沿岸国の防衛体制を探ろうとする情報収集を艦船が為している場合には、その艦船の航行は「無害通航」とは認められない。
 つまり軍艦であれ公船であれ漁船であれ、他国領海12カイリの中でISR活動や、その主権国の秩序攪乱行為を働いてはならない。
 そしてパートIIのセクション2のアーティクル13によれば、満潮時には水没してしまうが干潮時には露頂する岩の干潮時の汀線は、次の場合には領海の基準として可い。すなわちその岩が、満潮時にも水没しないホンモノの領土から12カイリ以内に位置している場合。
 つまり、干潮時のみ露顕する岩が、もし中共の領海12カイリよりも遠いところに位置していたなら、その岩からは、中共の領海は発生しない。
 干潮時にのみ水面上に顕れる地物をLTE(low-tide elevation)と略称する。LTEは、どこかの国の領海内に位置している場合にのみ、その国の領海の基点とし得る。どこの国の領海にも属していないLTEからは、誰の領海も発生しない。
 したがって、最近中共が造成した砂盛島からは、中共の領海は発生しない。よって、他国の軍艦や民間船がその12カイリ内に入って何の活動をしようとも、UNCLOSは中共が何か文句を言う権利を与えていない。
 UNCLOSのパートVのアーティクル60によって、人工島や海上に突き出た人造物体は、領海やEEZなどのいかなる海上境界線画定の効力の根拠ともならないと決められている。
 ただし、海上の人工構造物の周囲500m未満に「セフティ・ゾーン」を設けることはゆるされる。
 もうひとつ、報道されていない重要なことは、中共が主張できない権利を、フィリピンの方では主張できるかもしれないことである。
 中共は、次の七箇所で砂盛工事をした。即ち、Cuarteron, Fiery Cross, Gaven, Hughes, Johnson, Mischief, and Subi Reefs である。
 ところがこのうちの二つは、フィリピンの領海内のLETなのだ。フィリピン政府は中共が違法工事を始める前から国際仲裁裁判所に対して、Mischief, Subi および Gaven Reefs の三ヶ所についてフィリピン領海12海里内のLETであることを確認してもらう訴えを起こしている。
 したがって米国は南シナ海のFON遊弋〔これについて知りたい人は『兵頭二十八の防衛白書2015』を読むこと〕によって中共の主権に挑戦しようとしているわけではない。アメリカの新聞報道の見出しは、ミスリーディングである。
 中共の七つの砂盛島について、米国は、UNCLOSの規定する非中共領のLTEだとみなしていることを、示威するまでである。
 もし米国が中共の不法な言い分を黙認してしまえば、ベトナムはAlison Reef, Central Reefおよび Cornwallis South Reefの三ヶ所のLTEを、またマレーシアはArdasier Reef と Dallas Reefの二箇所のLTEを、そしてフィリピンはIrving Reefに同じように砂を盛って、領海だと主張することになる。南シナ海はとてつもなく航海し辛い海になるだろう。
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 ストラテジーペイジの2015-9-23記事「Chinese Warships Recycled Rather Than Scrapped」。
  中共は海警のために古い軍艦をあてがうつもりらしい。艦齢30年を超えている『053H』級のミサイル・フリゲートを海警に下げ渡すという噂は2008からあった。
 すでに3隻はそれが実現している。
 そのさい、10糎砲を2門と6基の対艦ミサイルは、撤去している。
 軍艦から再生された公船は、1600トンで、主砲×1門、重機関銃と系機関銃多数で武装し、最高速力46km/時を出せる。乗員は、軍艦だったときの七割で済むという。


もし「米支核軍備管理」条約交渉が始まれば、戦前のロンドン条約会議と類似したパターンにより、シナ人の反米感情が昂進するだろう。

 Kyle Mizokami記者による2015-9-21記事「Germany’s Got a 4-Barrel Laser Gatling Gun」。
  ロンドンの兵器市にライメタル社が、高エネルギー・レーザー(HEL)による対「低空&低速&小型=Low Slow Small 目標」(主として小型ドローンだが、迫撃砲弾にも対応可)用の防空システムを呈示した。ルビー・レーザーの光束を2~5本、空中の1点に集束させ、それによってまず敵目標のセンサーを眩惑し、次いで、撃破する。これを使えば、巨大スポーツ・スタジアムに爆弾を抱えてテロ特攻しようとしてくるドローンを防ぐことができる。
 もちろん、敵機の移動にあわせて集束焦点も追随して行く。
 この集光攻撃を「スーパーインポジション」と称す。
 この「多砲身レーザー砲」は発射直前まで「蓋」をしておかなくてはならない。というのもレンズに小さな水滴(霧の飛沫のようなもの)が附着すると光束が拡散してしまい、てきめんに威力がなくなるからだ。この現象を「ブルーミング」という。
 1門のHELは、出力20キロワットである。
 スーパーインポジション法を使えば、レーザー砲の威力の上限はなくなるわけである。2門ならば40キロワット。10門なら200キロワットが目標を襲う。
 ラ社の実験では、たった30キロワットのレーザー集光でも、82ミリ迫撃砲弾を射距離1000mにて爆破してしまうことができた。
 ※人の目に有害であることが知れ渡っているルビーレーザーを敢えて選ぶとは、ドイツ人は精神構造がおかしいのではないか?
 次。
 Karla Adam記者による2015-9-21記事「Report sheds light on Islamic State defectors」。
   過去700人のアラブ系英国人がISに加わろうと出国したが、うち半分は、幻滅してまた英国に戻ってきた。そこから貴重な情報が取れている。
 彼らの怒っていること。ISはスンニ帝国をつくると標榜していながら、じっさいにはスンニ派の弱者からも搾取の限りを尽している。
 もうひとつ。かれらが現地で与えられた戦場勤務は、非常に退屈なものであった。それにがっかりした。
 ほとんどのIS占領下の街には電力が供給されていない。とても「パラダイス」とは言い難い。
  ※IS占領下のシリア東部のラッカとつながっているエリアだけは、ラッカの火力発電所のおかげで、夜でも町に光があるという。つまりラッカにはどこからか燃料が供給されているわけだ。かたや、かつて殷賑をきわめたイラクのモスルは真っ暗である。
 豪華な自動車を貰って優雅に暮らせるというISのプロパガンダ・ビデオを信じて出かけた阿呆も、すぐに自分が馬鹿だったと悟った。
 大量処刑や大量レイプを手伝えといわれて、これに加わったら、あとでどこかの法廷で訴追されるのは確実だと察して逃げてきたイラク人もいる。
 次。
 Martyn Williams記者による2015-9-21記事「Marines test Google’s latest military robot」。
   ボストンダイナミクス社のビッグドッグの最終進化バージョンを「スポット」と号している。BD社じたい、げんざいではグーグル社に株式を支配されている傘下企業だが。
 スポット君は、自重70kg。電動で、4足は油圧サーボで動く。無線により、兵隊から距離500mまで離れられる。
 海兵隊が、今、クァンティコ基地でテスト中だ。
 旧作の「LS3」や「Big Dog」と比較してこの「Spot」はより静かであり、かつ、柔軟敏捷に動ける。
 グーグル無人車が採用しているライダー(光レーダー)の類似品をスポットは搭載し、周辺環境を読める。
 過去、米軍は、こうしたロボットの使い道は、人造パックミュール(荷駄ラバ)だろうと思ってきた。
 しかし海兵隊では、もっと別な使い方があると考えるようになってきている。
 ※海兵隊は「ロボット兵士」を四本足型としてまず実現するつもりのようだ。しかし心臓部がバッテリーであるうちはダメだ。原付用の50cc.エンジンを採用するのが問題解決の捷径のはずだが、米軍は「ガソリン」を兵站線から追放してしまう方針だから、難しい。日本は今からBigDogのマネをしても遅いので、ホンダのカブの両サイドに柔軟可動の「2本足」を生やして倒れなくした「2輪+2脚」の山地輸送用ロボット・バイクの完成をまず急げ――と、わたしは10年前から言っているのである。