ディーゼル車に「電力授受プラグ」や発電専用サブ・エンジンを標準装備すること。地下空間で私有車がそのまま「発動発電機」となり、救助作業を支援できるから。

 Eric Limer記者による2015-7-20記事「The Feds Want to Talk to the Guy Who Made That Pistol-Shooting Drone」。
 18歳のコネチカット州の少年が、クォッドコプターに自動拳銃を取り付けたものを空中で実射させているビデオが先週公開された。FBIはこれについて捜査を進めようとしているが、連邦法や州法はこうした行為を規制していないので「慣習法」が適用されることになる。
 ドローンのわずかな傾きのブレが弾丸を狙いから外すことは容易に起きる。オペレーターも含めて地上の人々は危険にさらされるだろう。
 またドローンが逸走した場合、野原に、装填済みで安全装置のかかっていない自動拳銃が、ずっと転がっていることになる。それを最初に発見して拾う者がドローンのオーナーではなかったとき、どんなことが起きるか。
 次。ストラテジーペイジの2015-7-19記事「China: Everything Is Wonderful, Really It Is」。
 シナ人投資家たちは最近1ヵ月で価値の3割をうしなった。
 資金力のあるカネモチのプロ投資家にとっては、これは買いのチャンス。しかし零細個人投資家たちは、皆、致命的に傷ついた。
 というのも、彼らは株を買う前に、皆、借金をしているからである。じぶんの現有資産以上の「買い」をしていて、その価値が一斉に下がろうとする初動時点において、当局の「売り」禁止命令のせいで、持ち株を売れなくなってしまった。市場が再開されたときには、もうその持ち株の価値はゼロになってしまっている。
 これは何を意味するか。これから全財産を始末しても、彼らは、その身の丈以上に負った借金を、返せぬことになったわけである。あるいは、これからの長い一生を、ただただ借金の返済のためだけに労働せねばならぬことになったのである。※これからシナ都市部では自爆テロが増えるであろう。
 じつは、1929年の米国のブラックサーズデイを悲惨にしたメカニズムも、「借金をしてまで株を買う馬鹿な個人投資家」がやたら増えていたことにあった。
 米国の場合は、2ヶ月にして株式市場の価値の5割が消滅した。さらに3年後には、価値の9割が消滅していた。
 今日の米国では、株の買い手は「年金基金」や機関投資屋。
 しかし今日の中共では、9000万人ほどいる個人投資家が中心である。
 この9000万人の怒りは大きいはずである。というのは、政府の特権役人どもも株式を運用している。彼らは、一般人よりも早く「ヤバイ」という情報を入手できるので、「禁止令」を出す前に、じぶんたちの手持ち株だけは、しっかりと売り逃げすることができるのである。
 同時に、庶民投資家に対しては「売り」を禁ずれば、市場の値下がり速度がいくぶんは遅くなるから、かろうじて自分たちだけは、損失を最小にとどめる時間的余裕を得られる。
 その後、底値をつけた株のうち、また復活するであろう株についても、彼らは情報をもっているから、それらを買い占めできる。ますます特権役人だけが、信じられないほど肥え太るのである。
 これがシナ文化圏の「腐敗」の本質である。大儲けの確実なチャンスと関係しているのだから、誰がその特権を放棄するかということだ。
 この「腐敗」を除去できる日など、永久に来ないということが、圏外の観察者には、容易にわかるであろう。
 ※日本に観光に来てまで、電車に並ばずに突っ込もうとするシナ人たちの姿を見よ。
 太平天国の乱は、腐敗に怒った人民が起こした。
 1800年から第二次大戦にかけ、世界にはメガデス戦争が4つあった。そのひとつが、太平天国の乱だったということは、知られていない。(あとの3つは、ナポレオン戦争、WWI、WWII。)
 ※わたくし残念ながら『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』を購読していませんので原文でどういう文脈で書いてあるのかを確かめようがないのですが、日本は対潜能力と機雷除去能力と通常動力型潜水艦の戦闘力の3分野で世界一だと指摘されているという話。
 米海軍はSSNを何十隻も持っている上に、海自が依存しているASWセンターはそもそも米海軍の施設なのですから、まず第一の指摘は嘘もいいところ。
 「機雷除去能力」については、海自の掃海艇はとにかくフロッグマン頼りでしょう。生身の人間を危険に晒して爆破作業をさせているという「世界的にめずらしい後進性」を無視すれば、なるほど「能率世界一」かもしれません。でもそれは「特攻隊は効率的作戦だった」と威張るのと変わりがないんでね。沈底機雷を不法投棄ゴミと識別するのには生身の人間が近付いてみるのがいちばん早いに決まっているにしても、「素もぐり真珠採り」じゃないんだから、それって自慢することじゃないよ。まして米軍から言われてペルシャ湾に出て行くとなった場合には……。日本はおそろしい「軍用ロボット後進国」なんだという事実把握を、日本の読者はして欲しい。
 この記事を載せた中共メディアの狙いは、シナ陸軍ではなくシナ海軍を拡張する中央政府の予算措置に庶民(といっても相手にしているのは沿岸都市部の有産住民だけです)の支持を取り付けることと、日本人に対する庶民の嫉妬に油を注いでシナ国内(といっても相手にしているのは沿岸都市部の有産住民だけ)を団結させることの2つに尽きていましょう。寄せられているコメントは、もうご承知でしょうが、すべて当局が雇っている「セミプロ」が書き込んでいるもので、記事とコメントとが総体一括で、国内向けのプロパガンダになっています。おもしろいのは、通常動力潜水艦についてのコメントで「セミプロ」らしく的を射ているものは一つもないこと。以て、シナ国内の書店で手に入る専門情報のうち、封殺されている分野とは何なのかが、浮かび上がってきます。


新国立競技場は「半地下式」とするのが良い。なぜなら日本にとっての最大脅威が、「中共の核兵器」なのだから。

 安保法案問題を整理するのは簡単だ。過去、日本政府(それには民主党政権が含まれる)が国民に隠し続けてきたことを並べてみるだけでスッキリとする。
【1】日本にとって最大の脅威は中共の核兵器であること。
 日本政府は、北鮮には「核兵器」は1発もないことを隠してきた。
 日本政府は、中共の水爆ミサイルから日本国民を防護する方法が「地下壕」以外には何も無いことを隠してきた。
 この最大の脅威を取り除く方法は、中共という悪の政体そのものを日本のイニシアチブで滅ぼす以外にない。(イージス艦をいくら進歩させても無駄。世界最強のSBXレーダーにすらデコイ判別力は無かったことが判明し、米本土防衛用のGMD構想は頓挫している。シナ奥地から飛んでくる長射程ミサイルを止める方法は無いのである。)
 しかし中共を打倒する方法は簡単である。フィリピンに機雷敷設能力を供与するだけでいい。
【2】対露戦を控えている米国はボルネオ防衛の分担を日本に求めていること。
 米国にとっての最大脅威は、巨大なICBM戦力を維持しているロシアである。
 そのロシアはもうじき第三次欧州大戦を引き起こしそうである。
 中共は長期的にはボルネオ島まで支配し、油田を確保するとともに、南シナ海の水深が比較的ある中央海面に外国艦船が立ち入ることを一切禁止して、そこを遠い将来のSLBN原潜の聖域にしようと狙っており、そのためにスプラトリーの実効支配を強化しつつあること。
 米海軍はペルシャ湾貼り付きローテーションで将兵が疲れ切っているので、いまや猫の手も借りたい。
 米国には、世界の海軍を米国の下に統合して米国を防衛させるというグランド・プランがあり、日本や豪州はそれにまっさきに組み込まれている。
 ……これ以上の詳しい話は『兵頭二十八の防衛白書2015』に譲ろう。お盆の前には書店で売られるはずである。
 以下、ストラテジーペイジの2015-7-18 記事「Iran: Victory」より。
米国議会の承認はまだだし、他国の追随もそのあと。だからあと1年弱は、イランの財政は厳しいはず。全制裁の撤廃にも2年以上かかる。
 決まったこと。査察のIAEA員は米国人であってはならない。またイランと外交関係の無い国の者であってもならない。
 イランの在外資産は1000億ドルもある。この凍結が解除される。
 サダム・フセインが捕獲されたあとに白状したところでは、サダムはイラクの核開発計画を、資金難により、1990年代に中止していた。しかしそのことを内外には隠し通した。なぜなら、それが知れるとイランが増長してくるからだ。
 「イラクには核がある」とイランに信じさせることが必要だった。そのためにサダムは、国連の核査察官をことさらに欺いたり、できるだけ査察の邪魔をするように、部下に命じた。
 この芝居に、国連の査察官たちはひっかかった。しかし実は西側のスパイ機関では、イラクには核兵器開発計画も化学兵器増強計画もないのだと2003年以前に判定はできていた。
 サダム訊問で、サダムが語ったこと。イラクの核開発技術者たちは温存されている。だから、国連制裁が撤廃されれば、いつでも開発作業は再開できるだろう、と。
 同じことは、今回のイランについても言えるのだ。※この温存されたイラク人技師とやらがもしISに加入していれば、ISも核武装できると信ずる馬鹿たちが英国新聞社には居るわけか。安定した「国家」でなくば核兵器など開発できないことがわからないとは。
 サウジの油価低下作戦は、イランも苦しめているが、アメリカのフラッキング業者も苦しめつつある。
 国際油価が下がることでダメージを受けるのは、オイル/ガス輸出国だけである。
 イランの人口の半分は他民族である。すなわち、トルコ系、アラブ系、クルド人、バルチ族。
 イランは、サウジの原油政策をイランの思うようにコントロールしたい。そのためには強制力を持たねばならないと信じている。
 イラン政府の核武装政策は、国民から広い支持を得ている。
 イランはすでにアサドをたすけるためにシーア民兵1万人以上を組織し、また訓練してやっている。
 イラク内のシーア派民兵は、政府軍(同じシーア派だが)の指揮には服さず、直接にイランの命令しか聞かない。
 そのシーア派民兵が奪回した施設は、イラク政府軍には使わせない。これが揉め事をひきおこしている。
 イエメンではアルカイダが、スンニ派のミリシャと公然とくっつきはじめた。そしてシーア派拠点に自爆攻撃をしかけている。


この調子だと、プーチンは暗殺されるだろう。バルト沿岸国と黒海沿岸国の「第五列」が無力で、ロシア軍から第三次欧州大戦を起こすしかないと決まれば。

 ストラテジーペイジの2015-7-17 記事「Special Operations: SAS Has Gone Gurkha」。
 最近あきらかにされた事実。英軍のSASは、数十名ものグルカ兵を、SASに編入させていた。
 SASが高く買うのは、ネパール人がウルドゥ語を使えることである。ウルドゥ語は、パキスタンとアフガニスタンの国境一帯からネパールにかけて広く通用する。
 且つまた、顔かたちから、パキスタン人やアフガン人に変装して潜入し易い。
 近代世界のコマンドーの魁であるSASは超エリートであり、現在、たったの300人未満しか実働していないと言われる。グルカ兵が少数ながらSAS員として採用され始めたのは「セベラルイヤーズ」前であった。
 特殊部隊はそもそも「外人兵」となじまない。だから英国市民権の無いネパール人を混ぜたということは、世界標準から見ると異常に映る。
 しかしグルカ兵はしっかりした英語を話すことができ、昔から英軍の兵器に習熟してきた。
 げんざい3500人のグルカ兵が英陸軍に雇われている。ネパール人にとって、英軍グルカ兵部隊に採用されることは、「就職勝ち組」に入ったことだと思われている。
 英軍の給与は、ネパール住民の平均サラリーの30倍以上に相当するのだ。
 英軍に採用されることに失敗したネパール人は、次に、インド陸軍内のグルカ兵部隊に応募する。こちらは人数枠は10倍なるも、俸給は英軍の十分の一程度でしかない。それでもネパール標準の数倍であって、実家にも近いというメリットも捨て難い。※インド軍はヒマラヤ国境の向こう側の偵察をネパール兵にさせているのか。
 SASが、本格的にグルカを編入しようと決意した、その最初の採用テストで、50人のグルカ兵が試練に挑み、12人が過酷なスクリーニングをパスしたという。これは驚異的な合格率だった。英陸軍やロイヤルマリンズから志願した英人兵では、ここまで合格できないという。
 歴史のおさらい。ネパールは、英国に征服されたことは一度もない。しかしインドを征服した英国軍と19世紀に戦闘になって、その抗争の手打ちがなされて以降は、ネパールの諸部族は英軍のインド支配のための「傭兵提供元」になった。
 過去、英軍のために出征戦闘したグルカ兵たちは延べ50万人以上を数え、その約1割が戦死している。ほとんどは、二度の世界大戦中である。
 英陸軍の退役軍人恩給は年額12000ドルである。同額が、グルカの除隊者(15年以上精勤すると資格を得る)にも支払われている。かたや、ネパール人の平均年収は200ドルである。
 英陸軍を除隊した後もヒマラヤに戻らずに、英本国でボディガードに雇われるネパール人も多い。
 英国内のPMC(私的戦争会社)もグルカ除隊兵を雇用しており、彼らはとっくにイラクやアフガニスタンへも派遣されている。
 ※特殊部隊は映画『ランボー』のような「ワンマンアーミー」とはまるで違う。主任務は「変装潜入」や「現地人とのコラボ」であり、それは日本の「特戦隊」とて同じである。ただ、今までは自衛隊の特戦隊は、沖縄に上がってきたシナ軍の中にまぎれこんでその動静をイリジウム携帯で本隊に報告するという活動想定をしてきたが、これからはフィリピン南部やボルネオでの活動を想定しなければならない。さすがにアメリカ様も「海南島へ潜入せよ」とは言わんだろう。でも「旅行」はしているはずだよね。「武者修行」として。
 次。
 Anna M. Tinsley記者による2015-7-17 記事「’79 Iran hostage: Nuclear deal ‘will prove to be a failure’」。
 1979年のテヘラン米国大使館員52人人質事件で、444日間も虜囚監禁された体験者、Rick Kupke は語る。
 「中東の国家とのどのような取極めも、大きな誤りである(Making a deal ―― any kind of deal ―― with the Middle East country could be a big mistake.)」。
 ※特亜の国家とのどのような合意・協定も、大きな誤りである。
 この事件では賊徒の目的は、米国へ逃亡したパーレビ国王の身柄であった。パーレビは1980にエジプトで死ぬ。レーガンがホワイトハウスに入った1981-1-20に人質は解放された。
 ※レーガンがホワイトハウスに入ってただちに命令を下した作戦のひとつが、FON(Freedom of Navigation)である。すなわちシドラ湾内は領海13海里以遠でも全部リビアの領海だと宣言したカダフィに教訓を与えるための「第1次シドラ湾事件」だ。まず艦上対潜機のS-3A「ヴァイキング」を湾内で「競馬場周回」飛行させて「囮」とし、それを撃墜しようとかかってきたスホイ22×2機を、CAPのトムキャット×2機がサイドワインダーで撃墜した。このとき米海軍機は「自衛の状況になるのを待て」というROEをキッチリと守っている。その詳細は英文検索すると全部出てくるから省く(当時のヴァイキングには自機防衛用のECMすらついておらず、500フィートまで急降下しながらの、まさに命懸けの北方避退となったらしい。総合空戦指揮はもちろんE-2Cが取っていた)。中共のようなキチガイ国に対してFONをするかしないかは、そのときの米大統領次第である。カダフィの領海宣言は1973からなされていた。末期ニクソンはFONどころじゃなかったのだろう。共和党のフォードも、それをしないでいた。だったらヘタレのカーターに何もできたはずもなく、レーガンの登場まで、誰もカダフィの領海化宣言にチャレンジする西側国(海軍)はなかったのである。オバマの側近の影の大将軍スーザン・ライスにはシナと戦争する気などこれっぽっちもない。スプラトリーで米海軍がFONをやれるかどうかは、きわめて疑問だと思う。いわんや、腐れ資金で弱みを握られているヒラリー如きに何が出来よう。中共はアジア人がアメリカ抜きで始末しなければならない。機雷を供与せよ。フィリピン政府に。
 次。
 ストラテジーペイジの2015-7-15 記事「Russia Looking To Escape The 1950s」。
 ロシアは6月に、次期制式拳銃を公表した。PL-14レベデフ拳銃という。設計者の名がレベデフなのだ。
 15発弾倉のセミオートマチック。薬室内に薬莢が入っているかどうかを表示してくれる機能がついている。
 タマは9×19mm、タマ抜きの重さ0.8kg、全長220mm、バレルは5インチ。
 ※イラン制裁解除の流れは、巨視的には、「プーチン潰し」でもある。イランが堂々と原油供給者として復活するので、これで長期にわたって国際油価/ガス価は低迷することが確定した。


「核攻撃しても無駄ですよ」と隣国にアッピールできる部隊はどこにいる?

 大衆を飽きさせぬこと。これは帝国統治者の永劫の課題である。
 ロシア人民は、外敵を感じるとシャンとする、という特性があるので、プーチンはそれをとことん利用する。ロシア人にとってのサーカスは、戦争なのだ。ただし、楽しくないアドレナリン・サーカスだが……。
 出典忘失(たぶん半年くらい前のストラテジーペイジ)。
 プーチンは1980年代の東独暮らしが忘れられない。青年KGB員だった彼はそこでドイツ語を覚えた。そしてゲシュタポ=シュタジの手法を学習したのだ。
 つまりKGBはシュタージには劣っていたのだ。
 東独は、ゲシュタポの若手をそっくりシュタージに採用していた。
 プーチンには、シュタージの機能は理想的であり、ゲシュタポ以上だろうと見えた。これをプーチンは是非ともロシアで再現しようと念願しているのである。
 プーチンはフルシチョフも見習っている。フルシチョフの瀬戸際政策は、アメリカをしてロシアに一目置かせたから。
 プーチンはビスマルクにも倣おうとしている。演説で名前を挙げている。
 プーチンは、ウクライナを侵略しておいて、「これに反対すれば核戦争だ」とマジにNATOを脅迫している。
 じっさい、いまのロシアには、スペツナズ戦争(グレイゾーン・アグレッション)か、核戦争以外の「普通の戦争」は、不可能なのである。核しか頼れるものがない。
 ルーブルの対ドル・レートは下がる一方。国内のインフレは進む一方。西側の投資格付け機関は、いまロシアにカネを貸すのはカネをドブに捨てるのと同じだとのご託宣。
 しかし英国も含め、西欧はかなりロシアに貸し込んでいる。プーチンはそれが西欧の弱点だと思っている。制裁はやがて彼らの苦痛になり、彼らの方から撤回するであろう、とも。
 ロシア人口はふたたび減りつつある。モスクワ圏に職がないためだ。中央アジアからの流入人口がストップし、逆に域外への逃亡が進んでいる。ウクライナ蚕食は、何の得にもなっていない。しかしプーチンは次の侵略を考えている。その勢いを止めれば体制が再び崩壊するしかない。膨張しながら自爆して死の星になろうという変遷期。
 バルト3国とポーランドには、すくなくとも港があるので、ロシアからの侵略目標として魅力的である。(1943に死んだスパイクマンが、世界はロシアに不凍港の占領を許してはならないと叫んだ。キッシンジャーはソ連崩壊後にスパイクマン信者になった。しかしゲオポリティシャンが外し続けている事実がひとつある。ユーラシアを放置しておいてもそれが一つの独裁者により統一される蓋然性は限りなく小さい。ロシアとドイツも結局はくっついていない。まあ、これは米国が妨害したからだが。)
 ちなみに、エストニアの言語は、フィンランドやハンガリーや日本と同じ、モンゴル系だ。
 やはり少し前のストラテジーペイジによれば、手に技術のある兵隊不足に悩んでいるロシア軍は、外国人の軍隊入営を超簡素化した。とりあえず標準ロシア語が話せるならば、あとは無条件で許す。といっても、前科者とデブは不許可である。
 外人志願兵は、5年間の任期制軍人とする。ロシア空軍と海軍は技師が足り無すぎるので、もはやロシア語すらそうとういいかげんでも許している。5年つとめればロシア市民権もやろうという。
 西側の大失敗。ウクライナ軍がこんなに不甲斐なく、ロシア軍(スペツナズ)がこんなに有能だとは、事前には予測されなかった。ウクライナ軍は、グルジア軍以上の抵抗をするだろうと西側は予測していた。
 だが、その原因と結果は、おそらく逆なのである。ウクライナ軍があまりに腐敗していることをプーチンが諜報網によって熟知していたから、ここならば賭けができると踏んだのだ。ロシア人は、負ける戦争は始めないのだ。
 兵頭いわく、いま、ロシアが日本に対して低姿勢なのは、日本軍に腐敗が無いためである。
 2015-2-21の某英文記事。
 徴兵されてウクライナに行ってきたロシア青年へのインタビュー。
 義務徴兵の最終年だったのに、服役年限を延長された。20歳。すでに先遣されている空挺隊員が、おまえらの行く先はウクライナだぞと教えてくれた。上官は何も教えてくれなかった。脱走すれば刑務所だと脅かされた。
 露軍は、まずロストフ南郊の演習地に1等兵たちを送っておいてから、長期入隊契約をせよと迫る。この手管は2015-1から急増した。
 ロストフ軍管区では、2014夏以降、演習中に爆死したとする将兵の報告が数十件ある。実はすべて、ウクライナ軍との戦闘に投入された戦死者だ。
 2014-4以降、ウクライナでロシア兵は5600人以上死んでいると見積もられる。徴兵を最前線には送らないというのがモスクワの公的方針。だからプロ兵士として契約しなければならない。政府は国民には、誰もウクライナでは戦闘しておらず、南部で演習しているのみだと説明している。ロシアの徴兵の月給は、30ドル=3000円くらい。これがウクライナ前線勤務だと10倍になると説明されるが、数ヶ月でそのボーナスは終わる。
 飛行機もない。ロシアにはいま、わずか600機しか、戦闘機がない。※この数は中共の一線軍用機数とほぼ同じである。
 ストラテジーペイジの2015-7-6記事によれば、過去1ヵ月以内にロシア軍は5件の重大航空事故を立て続けに起こしている。スホイ24がハバロフスク基地から離陸直後に墜落したので、200機あるスホイ24は飛行停止になっている。
 ウクライナでは、あまり飛行機をとばしたくない双方が大砲に頼っている。これはストラテジーペイジの2015-2-24記事。射程120kmのSS-21や、無誘導で70km飛ぶフロッグ7も大活躍。それぞれ弾頭重量は、480kgと、390kgである。
 フロッグ7を超えているのが、口径300ミリで90km飛び、弾頭が250kgあるMLRSもどき。
 このMLRSスキーはロシアからゲリラに供給されていることは疑いもない。
 モスボール状態だった8インチ自走砲まで引っ張り出してきた。
 100kgの弾丸をRAPで55km飛ばす。
 ストラテジーペイジの2015-2-9記事「Armor: Russia Bets On Armata」。
 先の軍事パレードで見せたロシアの次期AFVコンセプト群は、まるで周回遅れじゃないかという。すなわち、重厚長大路線なのが解せない、と。
 たとえば、クルガネット25という、ブラドリーもどきのIFV。T-14戦車のシャシを利用するファミリーである。
 しかしアメリカはIEDのせいでブラドリー乗員が背骨を折られまくり、もうこんなデカいだけのデザインはダメだと2007に察して戦場出撃停止にしたというのに、それをロシアはこれから採用するのか。
 兵頭いわく。ロシアAFVの重厚長大路線は、もはや露軍が兵員数に頼れなくなったことと、核にしか頼れなくなったことを考えれば、むしろ自然である。ドンガラの大きなAFVは、兵隊にとって核シェルターになるからだ。
 たとえばストラテジーペイジの2015-3-31記事によると、西シベリアの自動車化歩兵旅団が、最新バージョンのT-72を受領した。
 FCSと、通信機が改善されている。だが大事なことは、ソ連戦車の内側にはボロン複合繊維を貼ってあって、中性子の影響を遮蔽しようとしてあること。輸出用にはこれがない。
 西側戦車は、ターレット内部に、樹脂の上に貼り付けたセラミクス層をもっているが、T-72にはそれはない。※日本の戦車にもないだろ。
 T-72は総計2万両、つくられた。これより多いのはT-54/55シリーズだけ。
 ソ連のT-72の砲塔装甲は、厚さが410ミリ。ポーランドで製造しているバージョンは、もっと薄い。
 T-72のエンジンは、T-34用の500馬力をスーパーチャージャーで780馬力にしたものである。
 主砲のあとガスを車外へ強制排気するためのメカもあり。オートローダーだからこれが可能。
 初期のT-72は、ターレットの装甲が鋳鋼の280ミリにすぎなかった。プラス、防楯80ミリ。車体前方上部は、200ミリだが、傾斜によって有効厚みを600ミリにしていた。改一型では、砲塔前面を避弾径始ではなくした。そして気泡のある鋳鋼とし、その気泡の中に水晶もしくは砂を詰めた。改二型では、気泡内にペレット状の充填物を入れた。
 これを補強するのが、軽量な爆発防禦表面アタッチメント。ソ連崩壊後にドイツで試験したところ、ソ連製のERAはメチャ優秀であった。「コンタクト5」というのだが。それであわてて、NATOは新戦車砲弾を開発したのだ。
 兵頭いわく。わが第七機甲師団は核戦争の環境下でも活動できる冷戦対応部隊として編成されていた。ところが陸幕は何ゆえかそれを政府に言わなかった。フクシマ原発事故のとき、当然、この第七師団を「いちえふ」に即座に投入するべきであった。それは中共に対するメッセージになったであろう。「日本を核攻撃しても無駄ですよ」と。
 陸自の存在意義も抑止力にあるはずだ。ところが第七師団や富士の90式戦車が福島県で何の活躍もしなかった(むしろ放射能から逃げ隠れした印象を与えた)ことによって、第七師団も90式戦車も、対中共の抑止力とは無縁のものとなった。


イランの核武装が確定したので、これからサウジも核開発を推進します。

 誰がペルシャ湾に機雷を撒くことで得をするのか?
 日本のマスコミでこの説明をちゃんとしているところは一つもないだろう。というか、そもそも日本人は誰も理解してないだろう。
 イランがアラビア半島に攻め込むとき、海(ペルシャ湾)を渡る必要がある。また、海岸に上陸後、そこからリヤド、さらにはメッカとメディナまで占領してしまう間、スンニ派諸国や米国からは介入されたくない。そのため、ホルムズ海峡に機雷を撒いて、インド洋の米艦隊がペルシャ湾内に入れなくするように時間稼ぎをすることには、意味があるのである。
 開戦前からすでにペルシャ湾内に居座っている米艦隊に対しては、ペルシャ湾内各所へのコンスタントな機雷撒きによって、やはりイランはその動きを封じてやることができる。
 イランはスーダンにも工作員を送り込んでいて、サウジの陸軍をできるだけアラビア半島の南部に吸引しようとしている。いうまでもなくスーダンからだと紅海を渡ればすぐにメッカを急襲できるのだ。
 イエメンのシーア派ゲリラも、メッカを近くからおびやかし、かつ、紅海入口に機雷を撒けるという点で、重宝なイランの手先なのである。
 ペルシャ湾側の守備が手薄になれば、イラン軍は、渡洋攻撃を仕掛けやすい。
 次の問題。そうした事態(シーアvs.スンニの全面戦争)は、わが日本国にとって存立(プリザヴェイション)の危機か?
 ぜんぜん、そんなことはない。放っておいても日本の国体は亡びない。石油もどこからか入ってくる。
 外務省内でいまだに「資源外交」とか語っている連中は、1945年に地下壕に引き籠り、そこで70年過ごしていたに違いない。ゲオポリティカルに、1945以前と以後とでは、「海」が同じではないことが理解できないのだから。先の大戦以前の海は、列強がそれぞれ自前の海軍力で航路を維持し、陸兵も出して海外油田を物理的に支配しておかなくてはならなかった。しかし先の大戦以後の海は、米国が単独で世界の海を支配している。石油は世界市場に自由に流れ込む国際商品となった。買い手は採掘者が誰であるかに無関係に、ハードカレンシーをもっていさえすれば、それを市場から自由に買える。米国と敵対もしくは戦争する者はその海を使えないので不自由するだろうが、米国と敵対しない者はその不自由から無条件で解放されているのである。
 つまり、戦後は、海外油田を消費国のカネで開発する必要も、産油国に媚を売る必要も、どちらもまるでゼロなのだ。それがわかっていなかったのが、「戦前頭」の田中角栄であり、山下太郎であり、「アラビア石油」であり、アザデガン油田なのだ。これらはいずれも皆、「愚者・愚行列伝」のネタでしかない。
 Robert A. Manning記者による2015-7-13記事「How the ‘Japan Model’ Could Strengthen the Iran Nuclear Deal」によると、イランがこのたび合意した条件には、たとえば、ウラン濃縮用の遠心分離機の数を19000基から6100基に減らすこと、低濃縮ウランの総量を10トンから300kgに減らすこと、ナタンツ以外の場所ではこんご15年間、濃縮を試みないこと、フォードウにあるとバレた秘密核開発施設は、平和的研究機関へ用途変更すること、等だという。
 だが広いイランのそこかしこで、核開発と核武装の試みは継続されるであろう。
 2017年に大統領になるかもしれないジェブ・ブッシュには、その辺はよくわかっている。
 パキスタンには時に大都市が軒並み停電するという事故が起きる。イランには広域停電など起きない。社会システムの「優秀さ」が段違いなのだ。そんなきわめつき後進国のパキスタンにすらできてしまった核武装が、北鮮よりも早く自力で衛星まで打ち上げているイラン人に、できないと考える方が不自然なのだ。
 国連の経済制裁はまるで無効であった。ロシア、インド、トルコは、堂々とイランを経済的に支えた。それぞれの思惑については、『兵頭二十八の防衛白書2015』に書いておいた。
 ISはシーア派の物理的絶滅を心に決めている。ISの背後には全スンニ勢力がある。だからもうイラン=シーアとスンニ世界の「手打ち」はあり得ない。戦争か準戦争しかないのだ。
 イラクとシリアでは、イランの力添えなくして、シーア派住民が大虐殺から免れる道はない。
 アメリカが、または西欧が、中東での「大虐殺」を傍観できるというのなら、放置すればいい。しかし彼らにはそれはできない。
 となると米国政権の選択幅はごく狭い。シーア派住民虐殺の阻止のために頼れるのは、有能なイラン陸軍だけなので。
 遂に、アメリカは、長年の敵のイランと結託して中東を経営する道を選んだのだ。
 アメリカは、イランの10年以内の核武装を許認する。そして、核武装するイランにコミットしていくことでイランを味方として利用するという政策を選んだ。
 ひょっとして15年後にはイスラエルは消滅しているかもしれない。
 イスラエルとサウジはいまや、「崖っぷち同盟国」である。この2ヵ国にはもう時間がない。イランは今でもヒズボラとハマスに大型ロケット弾数万発を供給し続けている。イランが核武装すれば、狭いイスラエルからはたちまち頭脳が逃げ出す。そう、昔、シリアからスティーヴ・ジョブズの親父が逃げ出したように。そして、今のシリアには才能ある者など一人も残っていないように。イスラエルは、この意味で「シリア化」する。自業自得のブーメランだ。
 サウジはもっと深刻だ。これから数年以内にイランを打倒できないと、先に自国が崩壊する危険がある。サウジ政府には「自国民を有能にする」ことだけはできないのだ。それをやるとサウド家の独裁が維持できなくなるためだ。だから「有能な陸軍司令官」というものもサウジには絶対に育たない。育てばすぐにクーデターだから。
 というわけで、簡単に数十万人も動員できる有能なイラン陸軍が渡洋攻撃してきた暁には、サウジ陸軍には万に一つの勝ち目もない。だから、空軍だけでイランを痛めつけ得る今のうちに、イランを挑発して戦争に持ち込みたいはずだ。ペルシャ湾での戦争は、サウジが起こす。
 ISが打倒されても、似たような組織運動はスンニ圏内で必ず立ち上がる。だからイランは、生き残るためには、じぶんたちでメッカを占領してしまうしかない。
 イスラムの正統はシーアであると、メッカの宰領者になることで、イスラム圏内に誇示するしかないのだ。そして、イランにとってその軍事作戦は、案外に簡単にできそうだ。
 サウジは長期抗争の構想も持っている。自力核武装だ。
 ストラテジーペイジの2016-7-14記事「Procurement: The Price Of Freedom」によれば、7月にフランスにサウジの代表がやってきて $12 billion 以上の取引で合意した。サウジはフランスから原発×2基のほか、ヘリコプター数十機、軍用機数機、沿岸警備艇数隻、そしてエアバスを50機を買う。
 兵頭いわく。このディールのキモは、サウジの核開発決断にある。エアバスはサウジには必要のないものだが、それを大人買いしてやることで、フランスから「核開発支援」を引き出すつもりなのだろう。ちなみに軍用ヘリや警備艇は、イラン軍地上部隊が小型舟艇のスウォームでアラビア半島に一夜機動して上陸するのを阻止するために必要なものである。サウジにとって防衛海岸正面があまり広く、且つ、小舟艇は機雷にかかりにくいので、ランディングクラフトのスウォームに対しては、低空&低速航空機から小型ミサイルを発射することで阻止するしか手はない。ただし夜間なので、複座ぐらいの小型機では相当の難事となってしまうが(単座ではまず無理)。
 石油は、値下がりするだろう。サウジはこれまでにもまして、「生か死か」の意気込みで、原油を増産し続け、イランの国庫が潤わないように仕向けるだろうからだ。


飛行型ドローン規制法案に足りぬもの

 高圧送電線付近での無許可飛行を禁ずること。
 ※アルミフィルムやワイヤーを曳航して短絡させれば原発も簡単に停止させることができるので。
 電車線路付近での無許可飛行を禁止すること。
 ※同じく、架線を短絡させることにより、電車の運行をいとも簡単に長時間妨害することができるので。
 現に人車の交通に利用されているトンネル内での飛行禁止。
 人からの距離だけでなく、家畜や特定の群棲動物からの距離、さらには特定の野生動物の巣からのじゅうぶんな距離を取るべき注意義務も定めること。
 ※害獣や、危険化した動物は除く。
 ドローンの操縦電波のハッキングや電波ジャック等の行為について罰則を設けること。
 ※これをやっとかないと必ず後悔するぜ。
 飛行型ドローンにエアーソフトガン類似の発射機構を付加して私有地外で飛ばすことの禁止。ただし公的機関が用うる場合はその限りでない。また許可を受けて指定された空間で使用するのも自由である。
 ※発火物を取り付けて飛行させることは当然に禁止されるのだろう。
 飛行型ドローンによる「覗き行為」を今から定義しておき、それを軽犯罪法の関連条項とリンクさせること。
 警察機関が必要と認めた場合は、飛行型ドローンを、「GPS等の航法用電波の局地的な攪乱」「局地的な妨害電波の発射」「レーザー等エネルギー指向装置による照射」等によって、操縦者の制御や通信を不可能にし、そのドローンを逸走させ、あるいは停滞させ、あるいは墜落させ、あるいは破壊してもかまわないと定めること。(電波法も手直しをする必要がある。)
 自衛隊の艦艇、陸上施設、および米軍基地に事前の許可なく300m以内に接近する飛行型ドローンは、その場で適宜の手段によって無力化または撃墜して可いことにすること。また自衛隊がこれらのドローンの搭載する撮像装置に対してレーザーもしくは投光機等により300m以遠から警告することも可能にすること。
 ※このために自衛隊は、旧式のポータブルな有線誘導式の対戦車ミサイルを高速グライダーに改造して、高度300mまでのドローンに空中で体当たりをして叩き落す方法を研究すべし。ミサイル弾体はとうぜん無炸填とし、パラシュートとブイによって回収/揚収し、何度でも再利用できるようにすることだ。


中東メモ

 いくつかの英文メディア記事からペルシャ湾情勢を摘録すると……。
 イラクのISはモスル市およびアンバル県において守勢である(2015-7-10時点)。
 ラマディ市放棄の責任をとらされてイラク政府軍の何名かの高級将校がクビにされた。
 クルド部隊は米軍機からのCASを受け続けている。※報道では、米国人特殊部隊のJTAC(かつてFACと呼ばれていたもの)が地上に派遣されているのか、それともクルド人のJTAC班が育成されて、SOCOM支給のハイラックスに乗って任に当たっているのか、そこがわからない。しかしたぶんは後者。
 クルド部隊は北部の本拠地に対するISの攻撃を撃退しているばかりか、モスルに少しづつにじり寄っている。
 ペシュメルガとは決死隊の意味である。
 クルド人は、ソシャルメディアを使って、個人が国家の政策を左右できることを最初に立証した。スマホが、JTACの無線機になったのだ。
 イラク人が軍事的に無能なのは人種のせいではない。イラク人はセム族、つまりユダヤ人と同じだ。またシーア派政府軍が無能なのは宗派のせいではない。最も有能なイラン軍もシーア派だから。
 アンバル県の2大都市はラマディとファルージャ。
 今の焦点はファルージャだが、ISはそこを完全占領できずにいる。
 市域の半分は、2014-1以降、ISが支配しているのだが。
 ファルージャはバグダッドから60km西である。そこより西は沙漠。そこより東は、チグリスとユーフラテスの肥沃地である。その境目に位置するため、3000年前から重要都市であった。
 ファルージャにはシーア派住民も多い。しかしラマディは完全なスンニの町である。だからラマディを奪還しようとしてその町に近付くシーア派部隊は、反ISのスンニ派民兵とうまくいかない。
 精油都市のベイジ(Baiji)はまだイラク政府の手にある。バグダッドの北200kmのチグリス河畔にあり、バグダッドから見てモスルの手前。
 ISは2014年からここを攻撃しているが、いまだに占拠できない。たてつづけに自動車爆弾特攻がくりかえされているのだが。
 ※『マッドマックス2』の世界。
 イランは、シリアやイエメンやレバノンのヒズボラを只で軍事支援しているのだが、イラク政府に対する軍事支援に関しては、代価を貰っている。イラク政府はこっそりとイランに $10 billion 以上を支払っている。これは違法である。
 7月6日、イラク政府軍のスホイ25(これはA-10スキーである)が間違って爆弾を落としてしまい、バグダッド市内の家3軒が吹き飛び、住民20人死亡。機は基地に帰還するところで、着陸態勢に入っていた。
 パイロットは経験の長い男で、過去に問題もない。装備に欠陥があったらしい。
 イラク人操縦士の乗るスホイ25による対IS作戦は2014-12からスタートしている。機体は、2014-6にロシアから5機、届けられた。
 サダム時代にイラク空軍は66機のスホイ25を保有していた。パイロットも整備兵もスンニ派だけで占められていた。
 イラクの現シーア政府は、半年かけて、苦労してシーア派の整備兵とパイロットを見つけ出し、ようやく作戦させられるようにしている。
 イラクは今、総計で10機くらいの Su-25 を運用している。イランはその整備や訓練について支援をしている。イランも2014年に7機のスホイ25をイラク政府のためにめぐんでやっている。これらは湾岸戦争のときにイランに逃亡してきた、もともとイラク軍の装備だったもので、カニバリズム整備によってその一部だけを飛べる状態に戻し、ロシア製の巨大輸送機でイラクまで届けた。
 大きく観ると、中東には、3つの真の強国がある。イスラエル、トルコ、イランだ。
 金満大国が2つある。サウジアラビアとUAEだ。どちらも人口が少ないので、強国にはなれない。
 サウジは、空軍と砲兵隊には最新装備を与え、空軍には王族を配する。しかし国民は「総ナマポ」状態なので誰も陸軍に志願しない。だから歩兵はきわめて弱い。強い歩兵はサウド家に忠誠な特定部族からなる近衛部隊。これはリヤドから離すことはできない。
 人口大国が一つある。パキスタンだ。国庫歳入が少ないので、強国にはなれない。サウジのカネで原爆を作らせてもらったが、カシミールで国境が画定していないシナの言うなりである。また、インドと戦争になったとき、イランに好意的中立をしてもらいたいので、イランを怒らせることができない。だからサウジにカネで誘われても、対イエメンの歩兵部隊派遣要請は断った。
 ヨルダンは、指導層の質が高いが、小国であり、かつ、シリア難民の受け入れの負担がのしかかっている。
 サウジがISをおそれるのは、ISがとなえているカリフ制が、イスラム教圏では人気があり、このままではサウジの宗教正当性がおびやかされるから。メッカまたはメディアを支配した者が聖であり、アラブ世界を支配できる。よってイランもその支配を狙う。
 19世紀、英国は、ペルシャ湾西岸の都市国家を束ねて、トルコやイランへの防波堤とし、かつ、海賊退治の根拠地にしようとした。これがカタールやUEAの起源である。いずれも1都市1国家の交易立国であった。
 UAEがつくられたときは、サウジと国境線画定で揉めた。とうぜん、砂で揉めたのではなく、油田で揉めたのである。
 イエメンもクウェートもオマーンも、サウジをアラブの盟主として支持してはいない。
 大づかみに見ると、UAEが盟主か、サウジが盟主かという争いがある。アラブの小国はUAEを立てている。GCC創立はUAEが音頭を取った。
 世界一、ひとりあたりGDPが巨額なのは、カタールだ。なんと8万ドル以上。
 カタールの王は、40年以内にカタールに知識産業を樹立して、石油ガス枯渇後に備えようと考えている。
 米軍はカタールに2014までにアル・ウデイド空軍基地を造った。地下バンカーには、ペルシャ湾で戦争になったときの司令部も設置できるように、通信設備が充実している。
 米空軍が頼りにしているISR機はF-15Eに偵察ポッドをつけたもので、やはりカタールから飛ばしている。充実したセンサーポッドで事前に脅威と価値を急速収集できる。それから空爆という流れ。 ※シリアにS-300があるのが気になって、オバマ政権側近は対シリア空爆をためらっていたのかもしれない。
 米軍にあって英仏等欧州列強にないもの。航空ISR、特にゲリラの無線発進点と交信内容を把握する装備。それとタンカー。それとJDAM/PAVEWAY。90年代のバルカン介入、2011のリビア介入、最近のシリア介入、仏特殊部隊のマリ作戦、すべて米軍がISR機とタンカーを提供してやって、はじめて可能になっている。2013に欧州のイニシアチブでシリアに介入できなかったのも、米軍が兵站の面倒をみてやらなければどうにもならなかったから。
 バーレーンは、島国だ。
 イランから守ってもらえるので、昔から親西欧だった。
 いまでは第五艦隊の基地もあり。
 バーレーンは、かつてのベイルートから、中東の銀行の地位を奪った。それは1975から1990までレバノンで内戦が続いたからである。
 バーレーンでは、堂々と酒も飲める。だから金持ちのサウジ人も、ここへやってきて、初めてくつろげるのである。
 バーレーンには米兵3000名が詰めている。
 バーレーンのシェイク・イサ飛行場(Shaikh Isa)には米軍機100機を容れる余地がある。英空軍もタンカー機をバーレーン内に置いている。
 2014-9時点でオマーンには、ムスナナー空軍基地(Musnanah)が建設された。他にもオマーンには七箇所くらいも空軍基地があって、英米で使っている。
 2014-9時点英国は、ISに参加した英国民からはパスポートをとりあげるといっている。つまり二度と英国には帰れないし、そこから他国へも旅行はできない。
 これに対して米国の情報収集屋は違う意見。こいつらが帰って来たとき、徹底訊問すれば、すごい情報を集められるだろうと。
 世界のインテリジェンスコミュニティも同意見。帰国したいやつは全員帰国させ、インタビューし、それから処断せよ。闇に潜られるよりはいいから。
 古諺にいわく。君がレモンしか得られなかったのならば、そこからレモネードをつくるべし。
 イスラエルは2007にシリアの核施設を破壊した。そのあと、ロシアがシリアに新しいSAM(S-300系)を提供した。
 イスラエル人いわく。最重要情報は「キーパーソン」の特定。誰が良い爆弾を造るテクニシャン/エンジニーアなのか。そいつを拉致または暗殺すれば、あとは、低性能な爆弾テロしか起きなくなる。その成果が挙がっていることは、たとえばガザ地区で爆発事故が増えることでモニターされる。素人技師が爆弾製造に失敗した兆候なのだ。
 自爆テロはひとりではできない。12人くらいで支援しないと成功しない。現場の偵察。そして、イスラエル軍警の関門をどうすりぬけるか。
 データベースのデータがすぐにリトリーヴできるようになっていなかったら、意味はない。これが情報戦のインフラの要諦。
 『USA TODAY』の2015-7-11記事「Roadside bombs remain insurgents’ top gun」。
 かつてJIEDDOと言っていた対IEDの専門組織は、7-13からJIDAと改名され、ペンタゴン内での地位は霞む。ほぼ、用済みとなった次第だ。しかし組織として存在価値を主張したいので、いろいろ言っている。
 振り返ると、IED被害のピークは2007のイラクで、米兵死傷者の七割にも達した。
 イラクからアフガンに兵力シフトしたのが2009で、その結果こんどはアフガンでのIEDが最盛期に。
 これを制圧した過程は省略する。
 いま、IEDの脅威はないのか? ある。
 ISは塩素ガスも武器として使用している。
 ISはドローンを先行させて自爆自動車のドライバーを正しい目標点へ誘導するようになった。
 アフガンでもIEDは進化している。アスファルト道路にも、踏み板式で、仕掛けられる。炸裂するとMRAPはくちゃくちゃになり、5×3フィートのクレーターが残る。
 以上、もっと詳しい解説は『兵頭二十八の防衛白書 2015』をご覧ください。


オスプレイは失速事故が容易に搭乗者の死につながる。US-2は大波浪に叩かれても乗員は死なないと証明された

 APの2015-8-12記事「China: Uighurs deported from Thailand wanted to join jihad」。
 タイ政府は、中共の要求に屈し、同国内に1年以上いる109人のイスラム教徒を中共に送還した。彼らは自分たちはトルコ人だと主張している。北京は、そやつらがウイグル人だと主張している。
 タイ政府の措置を、国連の難民局は非難している。
 またトルコ人たちも怒って、イスタンブールにあるタイ領事館へ乱入する騒ぎになった。
 次。ストラテジーペイジの2015-7-12記事「Korea: Losing Hope In the North」。
 さいきんの北鮮内には「合法自由いちば」があるのだが、ここが戦後日本の闇市よりも凄いことになっている。
 警察官たちが出店商人にいいがかりをつけて、商品を何でもまきあげようとする。それに対して商店側は若い者が暴力で徹底抗戦する。
 頭を抱えた平壌政府は、「60歳以上の者でなくば合法出店は許さない」としたが、今度はそこへ商品を搬入するだとか女の店員を守るとかの名目で、若い者が眼を光らせるようになり、殺伐とした雰囲気が漲っている。
 韓国内の軍事分析員たちの結論。もはや北鮮には南進の能力など無く、「あと何年体制を存続させ得るか」、それだけが課題となっているという。
 また韓国の分析によれば、北鮮はもう1990年代のうちに、こっそりと、「南侵」を政策としては諦めていた。
 やはり韓国の分析によれば、北鮮は、武器として使える原爆は、1発も製造できていない。
 北鮮軍隊の高級幹部は、軍事的な有能さと無関係に、とにかく三代目に対して忠誠で、しかも若い者によって、ほぼ全員、交替させられた。
 6月の北鮮の降雨はまあまあであった。おかげで最悪の旱魃はまぬがれた模様だが、河川の下流の汽水域の遡上が大問題になっている。つまり今までは河口の川水だけに塩分があったものが、長期間、流量が足りなかったために、沖積平野の河川の中流まで塩混じりの水となってしまったのだ。塩気ある川水は、水田灌漑の役にも立たないし、飲み水にもならない。


違法採掘リグの小爆破は漁網切断と同じである。

 わが国のEEZに準ずる中間線内で不法に資源を盗掘している外国人のリグを「小破」させる方法はいろいろある。
 理想的には、海保が「マザーシップ」型巡視船を保有し、その船尾内の泛水ドックから無人の「爆破作業艇」を発進せしめ、特殊な鋼管破断用火工品(モンロー効果を利用する)をリモコン操作にてリグ部材に吸着せしめ、盗掘の持続を物理的に不可能ならしめるのが善い。これは違法操業の漁船の網を現場で切断するのと同じである。
 もしこのようなあつらえむきのハードウェアがないとしても、人間の頭は無限に工夫ができるから、他の小破方法はいくらでもあるのである。
 敵が公船や軍艦を繰り出してこの違法リグをガードする構えを見せた場合、解決の道は、「戦争」しかない。
 これは「グレーゾーン・アグレッション」の「例示」の筆頭に挙げられなければおかしい、現在進行形のケースなのだが、強く出る者に対してはひたすら無策で「内弁慶」揃いな外務省が「解決方法は戦争しかない」という結論が公的な発言として引き出されるのを、なまはげ祭りの小児かなんぞのように恐れているために、ケースそのものが国民に対して隠されようとしているのである。
 盗っ人が大砲やミサイルを持っていたら、警察官は何もしなくていいのか? 今、問われているのはそこだろう。わが外務省は、この場合、警察官は現場に近づくことすら宜しくない、と、うろたえ回って「指導」するばかりなのだ。
 そうやって制止しておいて、「単独経済制裁の発動」で中共を締め上げるとでもいうのなら、外務省は内外の畏敬を集めることであろう。しかし残念ながらわが外務省には、そんなご立派な性根など一筋も通ってはいないのだ。彼らは日本の国権が中共の武力を背景にした恫喝によってサラミソーセージのように漸進的に蚕食されても、それを座視し続けなさいと説教している。
 国家の安全保障政策に君臨する省として無能&無責任であることに彼らは開き直っている。このような省があることが、むしろ「ペルシャ湾の機雷」や「北朝鮮のミサイル」以上に、わたしたち日本人の生命を常続的に危機に曝してくれているのではなかろうか? わが国の安全のために除去すべきは、まずこの外務省と名乗る有害不遜の官衙ではないのだろうか?
 「国家存立」の安危にかかわる事態は、未来の仮定の話ではなく、いま現に起きている。国会は緊急に自衛隊の出動を政府に求める決議をなせ。


IS、こんどはとても人道的な大量斬首法を発明す。

 Hamza Hendawi, Qassim Abdul-Zahra and Bassem Mroue記者による2015-7-8記事「A secret to Islamic State’s success: Shock troops who fight to the death」。
 どうもこの世界には、死にたくて仕方のない青年があり余っているらしい。彼らは続々とシリアやイラクに吸引され、そこでISによって、有り難く、死に処を賜っているようなのだ。
 この必死隊はISの中でも青いバンダナを巻いているので識別される。「勝利か殉教か」と叫び、退却しないことを揚言し、じっさい、陣地防禦の際には、自爆ベルトを巻いて布陣する。
 最近のISは、砂嵐に乗じた攻撃をしかけてくるし、椰子の樹上にみずからを縛着しての狙撃もやらかす。
 先月、コバニ市のクルド族自衛隊は苦戦した。ISの集中的自爆車両攻撃は、最初から死に処を与えられることだけを欲しているIS志願者があとからあとから供給されていることを示している。過去の別の記事によると、こうした車両特攻自爆は、爆薬の量が多く、炸裂が派手であり、多くの人を巻き込むので、何の戦闘スキルもない自殺志願者としては、歩行自爆を命ぜられるよりも満足度が高いらしい。
 ISの下級指揮官にはかなりの作戦裁量権が与えられている。
 脱走と、歩哨の居眠りは、その場で処刑されている。
 首切りビデオも大衆に飽きられたので、こんどは、複数人の捕虜の頸に一本の導爆線をぐるぐる巻いて、一度にはぜさせるという新趣向を公開した。
 ※導火線と違って導爆線は超音速で燃える。つまり爆発する細紐である。ただし起爆は雷管を使わねばならない。
 イラクからシリアにかけてのIS戦士は、総勢で、4万5千人(プラマイ1万5千人)じゃないかと見積もられている。それっぱかりの敵を、イラクの政府軍は鎮定できないのである。
 ISは、高性能な無線機も使っている。それが傍聴されているとわかると、それを利用してわざと偽情報を流すまでになった。
 次。ストラテジーペイジの2015-7-8記事より。
 オランダの海兵隊が、「7.62㎜×35」実包を採用した。世界のまともな軍隊としては初である。
 この弾薬は、NATO弾である5.56ミリ実包を使用する小銃の、ただ銃身と薬室を交換するだけで、すぐ使用できる。
 弾倉すら、変更の必要はない。なぜなら、実包の全長や薬莢の太さを、5.56ミリNATO弾と同じにしてあるからだ。
 ちなみにAK-47の実包は「7.62×39」であった。「7.62×35」がいかにコンパクトか、わかるであろう。
 1990年代初めに開発された「7.62×35」実包の初速は、なんと、亜音速。したがってショックウェイヴを発生しないので、サイレンサーをとりつけると、射程100mまで有効な、理想的な無音狙撃銃になる。
 無駄な貫通力がないので、警察用としても最適である。
 以下、私見。
 中共の崩壊が目前に迫っている。
 中共軍は、なんとか外国軍から先に発砲させることで戦争をおっ始め、軍事予算が削られてシナ人民の社会保障費に充当される事態を回避しようと欲している。この目的のために、得意のサイバーを使った過激な挑発がこれからエスカレートするはずだ。
 このサイバー・ゲリラ攻撃に、オバマ政権が、先に北鮮に対して実行したような「サイバー膺懲」を加えたときが、ひとつの危機のヤマである。その膺懲に便乗して、シナ政府がムチャクチャな責任転嫁発表をするだろう。そこから先の展開は、過去の拙著を見て欲しい。
 今から日本が至急に準備しなければならないモノ。洋上を日本にむかってやってくるおびただしい大陸&半島人の「流民」を、洋上で掬い取って直接、大陸まで還送してしまえる船舶。これが大量に必要である。あるいは、「ロボット曳船」。漂流ボートに結びつけてやれば、そのまま自走してシナ大陸に向かってくれる。それでも押し寄せてくる流民対策として、「福島県に“長期収容所”を造る」とアナウンスすることも有効かもしれない。