花火がショボくなる予感

 韓国7-30のSLVに対抗して北鮮が黄海側で派手にやってくれるのかと思っていたら、またも日本海側になりそうなのか……。残念なような……。
 AFP通信が2009-6-27に、同日、北鮮が日本の偵察機を撃墜するぞと脅したという記事を流していましたね。
 まず北鮮が、6-25以降、16日間の、日本海側発射場沖への船舶の入りを禁止した。
 それで空自のAWACSが6-25と6-26に、元山とムスダンリの間に接近したらしい。
 それにスクランブルもかけられなかった北鮮は、くやしまぎれに、ウリの空域に0.001ミリメートルでも入ったら許さない、とか吠えたといいます。〈じゃあ仕方ないから0.00085mmくらいでどうっすか〉
 ワシントンでは、独立記念日(7-4)にハワイ方向に発射すると予測している――と、件のAFPは報じています。
 それで、しばらく静かだなぁと思っていたら、先日のシルクワーム日本海側発射ですよ。きっと、どこかの国の観測船でも接近したんじゃないでしょうか?(シルクワームについては、AFPが射程160kmと書いているんですけど、北鮮版の正確なMax値を知りたいですね。もちろん、当たる距離じゃなくて、脅かしの花火としてのポテンシャルですけどね。それでもたしかイスラエルのフネがヒズボラ――かどこかのNGO――から1発くらって4人死んだことが以前にあったでしょう。)
 となるとやっぱり日本海側のムスダンリ射場なのか。がっかりです。それではテポドンのついでに発射されるノドンやムスダンがまたしてもフルレンジを証明してくれない可能性が大きい。(さいきん、ますます、かのノドンとやらは、築城基地にまでは届いても、東京はおろか新田原にすら届かないんじゃないか、と疑うようになりました。どうもパキスタンの弾頭1トンのガウリ2=ノドンが1998-4-6に、パキ公式声明距離より200km短い800kmしか飛ばなかったことは、クレーター写真で判っているらしい。Azamという人が2000年発表のテキストでそれを書いていたそうです。1999-4の二度目の試射ではパキ当局じしんが750kmしか飛ばなかったと認めています。ノドンはそのご軽量化したとか言うけど、部材を軽くすれば構造が弱くなるおそれがあるんだから、それを一度、7割射程の実射で確かめないとね。)
 なぜか韓国発の情報に、北鮮のミサイルのレンジをヨリ長く、「大量破壊兵器」の威力をヨリ大きく思わせようとするバイアスがかかります。要注意です。彼らはたんに世界からの注目を半島へ集めたいがためにそんな誇張をしたいのだと疑うべきでしょう。
 BC弾頭があるという話もその一種。オウム真理教が開放空間で神経ガスを放出した松本サリン事件では直後に7人が死亡したけれども、障子一枚立てて寝ていた住民は無被害だった。地下鉄サリン事件は、混雑した密閉空間であったにもかかわらず、死者は12人にとどまった。BC兵器を大量殺人兵器にするためには、ヒトの肺胞に入りやすいサイズのミストを最適な高度で発生させる必要があるのです。ミクロンオーダー。これを実験なしにどうやって完成するのか? 北鮮がBC弾頭の空中爆発演習をしたという情報は、ガセも含めて一件もないじゃないか。
 一回も証明されていないレンジ情報やイールド情報がひとり歩きして、日本の国防政策を左右しているのですよ。まるで児ポ法案と同じ。国会議員に、疑う力が弱すぎる。まあ、マック偽憲法なんか奉戴していたら、そうなって当然でしょうけどね。
 余談ついで。米支の間ではもう、マイクロ・パラサイト衛星の暗闘が始まっているんじゃないかとわたしは疑ってます。これは数年前からの米支ASAT実験や公開報道の中期的な流れから直感していますことで、なんのソースもありません。そのつもりで聞いてください。
 ASATのシステムサイズを小さくしていくと、ついにはデブリ以下になる。米国政府によるデブリの監視は、宇宙監視用のXバンド・レーダーの直上を通過するものについては、野球ボール以下のサイズまでも軌道情報を把握可能ですが、そのXバンド基地のないところ(つまり北米と北欧以外のたいがいの地域)では、光学望遠鏡で偶然に見出せるデブリ以外は、追跡監視などなにも無いも同然の状況です。
 ということは、有力な観測所が存在しないような僻遠の海の上空で、親衛星からマイクロパラサイト衛星を放出してやれば、それはASATだと気づかれもせずに、デブリの霧の中にまぎれこむことができるでしょう。
 デブリは誰も意図しなくても各国の宇宙開発事業とともに増え続ける趨勢にあるのですが、シナのようにASAT実験で意図的に急増させてやることも可能です。それに同期させて、マザー衛星から偽装デブリのマイクロ・パラサイト衛星を放出してやる。そして米支開戦の瞬間に、小型モーターで軌道を変え、かねてからつけねらっていた敵の目標衛星(ラクロス、ナヴスター、DSPなどなど)に衝突させる。……こういう用法を、米支双方で研究してるんじゃないかとわたしは思います。
 ですので、この心配からも、わたしは自民党案(そのじつ三菱電機案?)のDSP投資には反対します。日本製DSP衛星など、開戦時どころか、平時から無力化される惧れが大です。「ナニィ、どこに破壊工作の証拠がある? デブリの衝突で勝手に故障したんやないかあ」とシナ大使から開き直られたなら、日本の外交官など、「はは~っ、おおせの通りでございますぅー」と引き下がるしかないでしょう。
 地上のOTHレーダーやXバンド・レーダーならば、こんな心配は要りません。やはり日本の国防政策の順番としては、まずOTHレーダーと、デブリ(に偽装したパラサイトASAT兵器も)監視ができるXバンド・レーダー基地を増やすことを、最優先すべきでしょう。


いろはにはちかにくからで

二八というのは2×8=「16歳」のこと。二九で2×9=「18歳」。旧幕時代の大衆よみものの、定型的な表現だった。
 ところが「数えで15歳」以下の女について、大人の男が乙に言いあらわす表現はない。これが興味深い。
 女が色気づいたと見られる年齢に古今東西の差もなかろう。ただしそれは妊娠可能下限年齢とは、伝統的にも決して一致したことはない。
 『娘道成寺』の清姫は13歳くらいですでにサカリがついていたとみなされていた。が、理性ある男は(イケメンの若い坊さんでなくとも)、決して13歳女などを相手にしてはいけなかった。
 八百屋お七は17歳だったからもう刑法上の理性はあるとみなされて火あぶりに処された。もし15歳ならば放火犯でも死刑は免れたところだった。
 現代の英語圏の近代大衆歌謡では、15歳女には「only」という、社会的保護の必要性を暗示する形容詞が fifteen に前置されることはあっても、「sweet」という独立人格の性愛対象になりそうな形容詞が前についた歌詞などとんと聴かぬ。これが16歳女となれば、ときとして「sweet」という形容詞も前置されるようにはなる。
 つまり性的関心の対象としていることを公言しても社会的に咎められない。16歳が高校生であろうとなかろうと関係ない。彼らの社会ではそこに伝統的慣習的なタブーの境界線が在るのだなと分かる。それがなんと偶然にも、江戸時代から明治前半くらいまでの日本の大衆の伝統的モラル(集合智)と一致するのだ。それは江戸時代には新制高校などなかったからだ。わたしは今日の日本にも新制高校など要らないと主張している。中学からいきなり大学でいい。それで日本のエロ問題も過半は解決するはずだ。
 もしニューヨークに14歳の街娼がいたら、それは「ベアリー・リーガル」(ギリギリ合法)なんてもんじゃなく、確実にアウトである。しからば男は14歳女には一切性欲を覚えないのかといえば、覚えるからアングラで市場が成り立っている。それを描いた映画が『タクシー・ドライバー』だった。げんざい日本の国会で審議中と聞く、近代国家のローメイカーとして逆に世界に対して恥さらし千万になるだろう「児ポ法」が通れば、日本で廃棄されねばならない洋画記録媒体や古い映画のポスターは、シャーリー・テンプル以降、ちょっとした数にのぼるだろう。おそらく可決されたりしたらクラスアクションは必至だろう。
  もし1972年の満17歳時代、それより数歳は幼く見えるようわざわざ胸にサラシを巻いてTVカメラの前で太モモも露わに歌を歌っていたと聞くAgnes陳美齡女史のセクシーな1/100人形を個人的に造型した未成年が居たとしたらどうなってしまうのか、誰かに訊ねずにおられない。二次元描画がアウトなんだから、さらに立体感あるフィギュアなんか全部アウトだよね? どうみても18歳以上に見えない○○ちゃん人形が男子大学生の部屋で発見されたなら、どうなるのだろうか。また、ロリ/ペド物ポルノをみずから製作して所持して楽しんでいた人物が、17歳男子とか14歳男子だったらどうする気なのか、ローメーカーは見解をハッキリして欲しい。兵頭の存念では、それは近代憲法精神への背馳である。ちなみにマック偽憲法は近代憲法典の範疇に入らない。
 禁酒法はアル・カポネを肥やした。世の中は暗くなったし景気も悪くなった。児ポ法は日本のヤクザや在日の地下商会に、戦前のシカゴ・マフィア以上の収益チャンスを提供する。マイクロ化されたヤミ媒体で日本中が溢れるだろう。手品のように瞬時に燃やして消せる媒体が発明されるだろう。必要は発明の母だから。性的関心は、飲酒欲よりも強烈な、ヒトの本然なのだから。
 性に関する社会ごとのタブーには、科学的合理性などはない。
 たとえば、もし本人の成人としての判断力を重視するのであれば、男子に婚姻を許可する下限年齢と女子のそれとが一致しているのでなければ、近代的啓蒙主義とは言えまい。しかしそこまで理詰めに民法を固めている国家も州も、慣習法圏において例外的でしかあるまい。
 そもそも合衆国を構成する州によって、婚姻可能下限年齢が異なっている。そして合衆国連邦憲法は、その州ごとの差異を放置する。そんなことは、共同体の慣習にこそ任せておくべき問題だからだ。
 婚姻年齢規定について、ある州の憲法が正しく、ある州の憲法がまちがっていると、ヨリ高いところから判断できる「スーパー憲法」なども存在しないし、してもならないのだ。国連はもちろんその領分に介入しない。いわんや「なんちゃってユニセフ」に、何の資格がある。
 他方で合衆国連邦最高裁判所は、一部の州で優勢だった某宗教の「重婚」教義には早くから厳しく対応をした。もしそれを許せば近代啓蒙主義の基本的人権思想が破壊されると考えたのであろう。
 この「重婚」と「妾」とは異なっている。蓄妾・二号は黙認しても、「重婚」は黙認できないというのが、近代国家である。婚外性交渉(や脳内の「姦淫」)を黙認しないのは、宗教だ(もちろん多情の宗教ボスも古今東西珍しくはないけれども)。
 宗教を法律に持ちこまないのが、近代啓蒙主義であり、そのイデアのカタチである近代国家なのだ。
 昔のビニ本(わたしは「援助交際」という目新しい熟語を1992年頃に神保町のエロ本屋内でブラウジングしたビニ本雑誌の読者交歓欄で初めて見たことを思い出す)や、今のインターネットの二次元描画等のポルノ・サイトは、この「妾」に相通じた非公然の欲望世界ではないかと兵頭は考える。こんなことまで法律で禁止しようとしたら、技術的に公法の権威が全国津々浦々で広範に半公然裡に無視される、アナーキーな状態を招くのが目に見えている。アナーキーに振れた社会を再統制しようとすればファシズムに陥る。馬鹿者のラッシュインする扉だ。
 英語圏のポルノ・サイトにも立派なタブーがある。それは「18歳」以上を堂々と売り物にすべきだとのコンセンサスで、もしも18歳未満だと公言してあったなら、それはアウトだ。ブラウザー側では、スチルやムービーで掲示されているモデルが撮影当時、戸籍謄本上、満18歳以上であったかどうか、確認しようのあるわけがない。「もっと若く見えるかもしれないけど、これでちゃんと合法なんですよ」というウェブ製作者の建前を信ずるしかない。この「18歳未満女に見えなくもないが、たぶん合法なのだろう」の境界線は「ベアリー・リーガル」等と表現され、違法でないことを強調して閲覧者を安心させている。
 仄聞するところでは、「児ポ法」推進論者は、外国では所持禁止が常識だ、とかいっているそうな。 …Really? それは生写真の話だろう。
 エロマンガまで禁止されている? いないでしょう。禁止されていないその証拠に、いくらでも米国の2次元サイトにヒットしますよ。アクセス可能になっている。
 PCを持っている者なら、誰でもその場で確かめられる事実にすぎない。ローメーカーは事実を確認しなさい。妄想被害に基づいて法律をつくるな。実写のロリ/ペドには確かにヒットしないから「これはほんとうに規制されてるんだな」と知れる。しかしCGのインセストはどうだ? 出まくりじゃないか。あきらかに、所持規制なんかされていない。システム的にコピーやダウンロード禁止措置がとられていないようだと合理的に判断ができる。これだけの品質のものが無料でおびただしく用意されているというのに、何を苦しんで日本の幼稚なアニメ絵のエロゲーなんぞ、違法に入手する必要がある? マスかいてて哀しくなるだけだろうがよ。
 日本の国会は、某外国機関発のマイノリティリポートを針小棒大にブラックプロパガンダかまされているだけじゃないのか? 和製エロゲーなんて、北米在住の某&某々東洋系コミュニティ内の一部方面で違法複製して、オカズにしているだけじゃないのか? きゃつらの嘘宣伝にひっかかったとしたら、コトが下半身だけに、情け無さ過ぎるよ、一国の国会議員としてさ。
 同じロリ/ペドでも、毛唐と日本人は「ツボ」が違うんですよ。それは、サイトをたくさん見比べれば、誰だって見当がつくことだ。あきらかに、向こうで受けている絵柄と、日本国内でよく消費されている絵柄は、別ジャンル・別世界・別次元である。もっとハッキリ言ってやろう。日本のエロゲーでは、米国在住米国籍白人男性は、ヌケない。日本のマンガ/アニメなんて、エロに関してはそのレベルだよ。これで満足できるのは東洋人(系)だけだろ。
 国会議員は、PCを使って「海外視察旅行」してみて欲しい。いや、斯かる法律を審議する以上、彼らにはその義務があるだろう。モノホンの「視察」と違ってヌケなくて申し訳ないですけどね。
 兵頭が瞥見するに、英語圏ポルノ・サイトの興味深い特徴は、実写の少年愛映像などはキビシく制限しているように見える一方で、CGで描きこんだインセスト・タブー表現に、驚くばかりリッチに製作資源が投入されているように見えることだ。これは、ニッチなマニアにとどまらぬ数の、そこそこジェネラルな支持や需要が、海外ではあることを示唆している。インセストCGが合法市場を成している証拠でもある。そしてかたやおそらく日本では、インセスト物CGは(ウラだろうと表だろうと)これほどには支持も需要もされまい。要するに文化の構造が違うからだ。
 日頃オモテで抑圧している部分が違うから、裏で解放されねばならぬLUST/ダーク・デザイアも異なるのだ。(たとえばセーラー服は日本では抑圧のカギであるアイテムだからそこからエロい物語がいくらでも脳内解放されよう。しかし海外ではセーラー服には強烈な物語を脳内展開させる力がない。未成人女子とアイテムがそもそも結合していないためだ。)
 もし日本人が「あんたらのインセスト物は見るに耐えんから、単純所持や単純アクセスも禁止しろ」と言い募れば、「すっこんでろ! 誰にも迷惑かけてねぇ」と言い返されるのがオチだろう。
 昔から有名な話で、大衆向けアクション映画であるダブルオーセブンシリーズでは、女の太モモを見せることがあっても乳首を見せることは絶対にない。英語圏ではエンターテイン業界が、表のチャンネルで子供に見せていいもんとわるいもんを、そこまで峻別して自主規制してきた。これも伝統文化の差異だ。伝統に、科学性も合理性もありはしない。説得不可能領域だ。だからアジアと南欧市場を除いて、日本のマンガとアニメが女体表現に関して顰蹙を買うのもあたりまえなのである。表立って輸出して許される文化と許されない文化があるのだ。
 米国のメジャーのポルノ映画業界は、強姦は絶対に描かないことを申し合わせて、あくまでコメディ・タッチにつくってきた。しかるにインターネットの世界ではCGのインセスト表現もBDSMもほぼ解禁されているようだ。インセストや強姦を合法もしくは許容慣行としている社会は近代ではほとんどないはずだが(一部の国ではゲイ同士の結婚が公許され始めたそうだが)、考えてみれば、想像だけは何だろうと自由であった。また、そこを自由にしておかないと社会は病気になる。
 裏の表現といえどもそれが社会からジェネラルに支持をうけているかどうかは、サイトの増え具合、新作のアップロードのペースを見ていれば粗々推測もつくことだ。あきらかに人々は、キワモノ分野には、素早く興味を満足させていて、継続的頻繁な新作登場を欲求していないように見える。キュリオシティの範囲だ。
 そしてまた日本の20代の素人小僧が報酬度外視で日々多作にいそしんでいるんじゃないかと思えるイラストタッチのアンダー13なエロ画像、これが北米でジェネラルな支持を獲得しているような兆候がまったく無い。それが証拠に、向こうで勝手にコンパイルしている日本国内製素人アニメ投稿絵の画像サイトというものには、ほとんどヒットしないだろう。なにか、日本人の素人少年たちが厖大に量産している絵柄には、(いや、プロが商品として作ったエロゲー絵ですら、)決定的に欠けている細部の機微な観察があって、その表情の壁を超え得ていないために、毛唐のインセスト抑圧、SM抑圧をすら刺激する脳内物語解放力がなく、日本国外では、誰も萌えようがないのではないか。もっと悪くいえば、一種のビザールサンプルとして冷笑のネタにされているに過ぎぬのではないか。われわれはここにまたひとつのガラパゴスを再発見しこそすれ、日本のエロゲーが国外で加害者になっている証拠など探せないのである。
 日本の素人小僧が描いたアンダー13のエロ絵で劣情を刺激されたと言う米国在住の米国籍人が一体どのくらいいるのか? とるに足りない率だと疑う。彼らは、米国製の、彼らじしんのツボをわきまえたインセストCGで、もうすっかり満足してますよ。
 話をまた戻そう。18世紀なかばの日本の大都市において、「数え」で14歳の堅気の女との婚外セックスは、それを疑われるような真似をしただけで、立派なスキャンダルになった。これが「お半・長右衛門」物の、複数の文楽作品(その代表は『桂川連枝[れんりの]柵[しがらみ]』、もちろん浄瑠璃から歌舞伎にもコンバートされて近代にまで伝わる、これを上演したらアウトか?)になった。とうじの社会は、そのゴシップに大いに劣情をかきたてられていたのだ。
 むろん14歳女は妊娠可能だ。武家でも公家でも商家でも14歳未満の正式婚姻は普通にあった。しかしそれと14歳妾とは別な問題だ、と、江戸時代でも考えられていたのに違いない。
 さらに――これは断言ができないので歯がゆいが――旧幕時代に、都市部の公許の遊郭で、(数えで)14歳の女が、一人前に客をとったことは、ないであろう。遊里の建前は、立場対等の自由恋愛である。14歳に自由恋愛など不可能なのだ。だから見習の禿だったはずだ。では何歳が半玉のボーダーであったのかはとても即時に調べもつかぬけれども(ただし明治29年まで生きた樋口一葉の『たけくらべ』の美登利は数え14歳で未だ女郎ではないように書かれていた)、おそらく17歳はもう一人前だったのではないか。
 とするなら、江戸時代の登楼を描写するすべてのフィクションは、いま審議中の「児ポ法」にひっかかりかねない。稀代の阿呆陀羅法案だ。

 



◎読書余論 2009-7-25 配信分の内容予告

▼『都留重人自伝 いくつもの岐路を回顧して』2001
 日米開戦時の交換船に乗るときにピアノ曲の楽譜まで没収された、だとか、戦中の米国の情報保全の空気が生々しく語られる。ハーバードに日本人留学生が一人も居なかったときの様子も知られる。2回本書を読むと、著者がどの事暦に深入りをしたくないのかがピンと来るようになる。サラッと書いて通過しようとしているところが、いちばん表現に苦心しているところなのだ。
▼佐枝せつこ『ベッド・イズ・バッド』2005-4
 キャラが立っているのがお見事。労作なのに読む側を疲れさせないのも偉い。福祉予算逓減がそろそろ止まりそうなので、記念紹介します。
▼八木谷涼子『キリスト教歳時記』平凡新書2003
 クリスチャン総理が降板しそうなので、記念紹介しときます。
▼本庄陸男『石狩川』S14-10-25普及版、原S14-5-3
 大正いらいの〈社会科学〉系参考書の文章リズムがこの小説をつまらなくしている。にもかかわらず、明治初期の武士の動作がありありと目に浮かぶように写生されているところは意外な収穫。そしてこの出版は、近々対ソ戦を予定する参本が、世論をまとめるための国内工作として資金を援助でもしているのではなかろうか?
▼関口哲平『選挙参謀』徳間文庫2004、原2001
 本書が取材している横須賀市に最年少市長が誕生したというニュースを聞き、記念紹介する。都知事選での大前研一氏の敗因分析も必聴。インターネット上で完結しているオピニオンなどリアルの選挙結果には何の影響もない。そんなものは「運動」ではないからだ。
▼防研史料『昭和十五年度 飛龍関係資料』
 空母の『飛龍』の激貴重メモ帳。
▼防研史料『海軍航空機関係ノート』最終日付S20-5-31
▼防研史料『支那空軍拡張の実状と其の影響』関根郡平大佐、S8年9月
▼防研史料『米国空輸部隊ノ概要』軍令部第三部、S19-2
 落下傘部隊のこと。「空挺」という言葉は海軍用語にはなかったのか?
▼防研史料『現状報告』海軍航空本部技術部 S11-11
▼アンダースン&ビースン『臨界のパラドックス』内田昌之tr. 1994、原“The Trinity Paradox”1991
 なんともつまらぬSF小説だがスチムソンの年寄りぶりなど珍な取材成果が捨て難いので紹介する。取材のように見えるフィクションには気をつけよう。
▼ウォルフガング・ロッツ『スパイのためのハンドブック』朝河伸英tr.1998、原1980
 書いた人物よりも編集者の才能に敬服する。書籍は束が厚ければよいというものではないことの一例。
▼横光利一『上海』原S7-7、講談社文庫
 女房持ちが書いたとは信じられない、受け身の男がラッキーなアクシデントに次々見舞われるというラノベ式冒険ごっこ小説。しかし満州事変直後の上海の相貌が分かりやすくリポートされているので紹介しよう。
▼平松茂雄『中国、核ミサイルの標的』2006-3
 東風5用には偽サイロまでつくられている。人民公社とは核戦争でもシナ人だけは生き残るための壮大なプランだったのだが……トウ小平がすべてを変えてしまった。
   ◆ ◆ ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記、読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。(配信されるファイルはPDFスタイルです。)
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
 東京都内の大きな図書館や、軍事系の充実した専門図書館に、毎日通えない人でも、過去の軍事知識のマニアックな勘所に触れることが可能です。
 「読書余論」は、毎月25日に「武道通信」から最新号が配信されます。1号分の購読料は200円です。
 バックナンバーも1号分が200円で、1号分のみでも講読ができます。
 2008年6月25日号以前のバックナンバーのコンテンツは、配信元の「武道通信」のウェブサイト
http://www.budotusin.net
 の「告知板」をスクロールすれば、確認ができます。
 ウェブサイトでわからない詳細なお問い合わせは、(有)杉山穎男事務所
sugiyama@budotusin.net
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幸福実現党の《リッチな》ビラが来た。

 ウェブ上の噂は読んでいましたが、現物を初めて見ました。
 宅配されたビラは、B5サイズ、両面カラー印刷で、表面に、大川きょう子党首のバストショット、右側に2行タテ書きゴナ書体で「北朝鮮のミサイルから、この国と国民の未来を守ります。」とあり、左側には2行タテ書きゴナ書体で「消費税・相続税を全廃します。」とあるものです。
 表面の下半分には13行横書きで「自民党は深刻な経済不況の中、~《中略》~だからこそ、第一党を目指します。」と見えます。
 裏面はぜんぶ横組みで、いろいろ具体的に自民党および民主党との違いを訴えています。
 読んで興味深く思いました。このビラで書かれている「幸福実現党」の主張について、何点か、評論しましょう。
 「危機を前に無策の自民党政権は、黒船に右往左往した幕末の江戸幕府そのものです」(裏面、ファイン活字)
 この2行はイイですね。喝采です。でも江戸幕府ってのは、今の自民党と官庁の官僚をぜんぶ合わせた政権だったんですよ。そしてまた、今無策なのは自民党だけじゃないですよね。
 「不況下に増税を予告すれば、消費は冷え込み、経済はガタガタになります。」
 消費税を12%に上げようとしている自民党への批難は正しいと思うんですが、幸福実現党の不況対策も、とりとめがないですね。「消費景気を起こし、経済を成長させます」(裏面)というのですが、贈与税、相続税、消費税の全廃、金融緩和、証券優遇税制だけで景気がよくなるとは思えません。
 兵頭ならば次のように提案します。まず財務省が問題としているのは社会保障費なんだから、「福祉力役」による国民年金保険料の納付を認める。これでヒキコモリ&プータローが介護戦力になるので一石二鳥でしょう。彼らの社会性のなさは、介護の主力をロボットにすることで解消されるでしょう。つまりロボットの運び屋をやらせるのです。消費税が5%になったときから日本経済はおかしくなりました。だから3%に戻します。そして韓国式の厳密な帳票制度を義務付け、脱税や益税を不可能にします。これにより食料品への適用を外すことも可能になる。他方で、国民総背番号制を導入して、個人所得税の累進度をキツくします。以上で税制に起因するモラルハザードは解消されるでしょう。景気刺激策は、「ハイテク軍備一点かけながし」の財政出動を採用します。目的は、無数のベンチャーに優れたロボットをつくらせることです。ロボットがすべてを解決するでしょう。そのベンチャーが日本の経済的軍事的競争力を復活させます。じつは日本は今まさに、ロボット2流国になろうとしている崖っぷちなんです。「生活互助会」化している日本の縦割り利権官僚機構には、この頽勢を挽回する構想は描けません。ロボット技術で米国に逆転勝ちするためには、「ハイテク軍備一点かけながし」しかないでしょう。防衛省以外に余計な予算を与えていたら、せっかくの税金が、天下り公務員たちの老後保障に消えてしまうだけです。(たとえばNASDAのやっていることは国民の福祉と何の関係もない遊びです。)
 「3億人に向けての人口増大策をと」る。
 これはいただけませんね。人類の歴史は、個人の自由が増進する歴史です。このごろ日本の人口が減っているのは、個人の自由が増進している事象とまさに併進の現象。基本的に良いことなのですよ。それが他方で国民の老後の不安をかきたてているとしたら、問題は人口の絶対数ではなく、人口構成の変化が早すぎることや、住宅政策、都市政策が老人本位になっていないことにあると考えるべきです。そのギャップを、ロボットや都市住宅関係法規の改革で緩和すべきなのに、その政策を考えられる政党も官庁もないのです。黄金時代の都市国家アテネの人口は30万人でした。ロボットが国民の幸福に関するすべてを解決します。おそらく10年後には自動車そのものも一種のロボットになっているでしょう。3億台のロボットを作りなさい。
 「世界中にリニアを走らせ、「交通革命」を起こします」「ユーラシア大陸一周リニア鉄道で、世界を結ぶ構想を推進します」「日本の都市もリニアで結び、一体化します」
 なんでユーラシア? まさか日韓トンネルを掘れとか言い出すんじゃないの? そういえば竹島のことも、このパンフレットには書いてないような…。
 「ロシアとの協商関係を目指す」
 めざさんでいい。宗谷海峡トンネルを掘れとか言うのですか。ほかに優先すべき事業がいくらでもありますよ。
 「日本の主要都市にミサイルを向けている中国や、核ミサイル開発を進める北朝鮮に対し、原子力潜水艦や人工衛星から防衛できる抑止力を築きます」
 モノじゃないんだよね、防衛問題は、まず。人、特に公務員に勇気がなくなっているのが根幹の問題です。その疫病の根源はマック偽憲法です。ですから、
 「憲法9条を改正し、国の防衛権を定めます」
 と主張しているのには反対じゃないんだが、その改正手続きをする前には一体どうしようっていうのかな? どこかノンビリしている。
 シナ発の間接侵略はもう猶予のできない段階に来ているという認識がこの政党にも無いようです。北鮮の核ミサイルなんて0.4キロトンですよ。抽出プルトニウム全部使っても数十個分。ちなみに0.4キロトンは、焼夷弾6トンを積んで1945-3-9夜に飛来したB-29の67機分(東京大空襲の全投下機は279機だった)。9.11にペンタゴンに突っ込んだB757は、機体自重が58トン、残燃料20.5トンで、ほぼTNT400トン相当ともいう。それで小破ですよ。湾岸戦争でスカッド×40発打ちこまれたイスラエルで、爆発で死んだのはビル直撃くらってビルが崩れて死んだ2人だけ。日本のビルは耐震構造なので崩れない。それにノドンは東京に届かない可能性すらあるのだ。1000km以上の射程で弾頭の原爆がちゃんと炸裂するかどうか、北鮮は一度も証明していません。失敗率や不発率が高いのが世界にバレるのを恐れて、試射を自制しているのだ。
 大した脅威じゃないのに大した脅威のように騒ぐのは、すでに間接侵略勢力の術中にはまってるんですよ。
 国民の国防の義務を憲法典で明文化する、と長期目標を謳っておいて、短期的には、国家叛逆罪新法をつくり、全公務員に適用する、という主張をして欲しいですな。決して間接侵略の手先(トロージャンホース)でないことをあかし立てるためにもね。


情弱損

 7月4日(米独立記念日)の花火を前に、情報を整理してみた。
 北鮮はノドンをフルレンジで発射したことはなく、フルレンジの7割で発射したこともない?
 過去には1993に1本、2006に2本しか試射を成功させていない。1993には500km先に落とした。2006は不明。
 ほんとうに東京落達に必要な1300kmのレンジがあるのか、疑問としておくのが科学的態度だ。東京に届かないのであれば、まして沖縄には届かない。どうも「対九州飛行場」スペシャルじゃないかと思える。南侵のあいだ、米軍機の離発着を妨害できれば良いと考えているのか……?
 黄海側の射場から北海道沖へ撃てば1000kmのレンジは確保できるのに、その実験をなぜかしていない。
 SSMの弾頭を軽くすれば射程は延ばせる。イラクのアルアッバスがそうだった。スカッドと同じ直径。しかし弾頭わずか190kg。1000km先に落ちたときのCEP4kmだったら、どんな使い道がある?
 しかしイラクのミサイル試射はじつに熱心だった。科学的態度だった。イランや北鮮の何倍も試射していた。領土内の北から南へ撃っていた。
 スカッドの筒体付きでは長射程ではタンブリング問題が生ずるらしく、弾頭にスピンを与えて、導爆索+バネか爆発ボルトで分離する必要がある。それがノドン。もちろん旧ソ連にスーパー・スカッドの計画があり、ゴルバチョフが廃案にしていたのを、北鮮が買ったのだ。このスピンはモーターが消える10秒前にかけるのだが、イランはノドン情報に基づいてシャハブ3をつくって試射したときにこの段階で空中分解した。つまりノドンも1000km超え射程で試射したらどんなことになるか分からない。
 だから、すくなくもマックスレンジの7割で実射してみせる必要がある。5割では何も証明できない。
 シナが核ミサイル保有を世界に認めさせたのは、東風2(そのモデルのソ連SS-3は弾頭に1・5トンを載せられることが既知であった)をフルレンジの7~8割で実射して12キロトンの炸裂をじっさいに空中で起こしてみせたからである。これでシナは米国に認められ、ソ連の支配から独立できた。
 だから北鮮が米国から認められ、シナの支配から脱したければ、北京まで届く800kmくらいの飛翔の後に空中で0・4キロトンの核爆発を起こしてみせる必要がある。黄海の射場から北海道沖を狙えば、それは可能だ。
 0.4キロトンは、パキスタンがガウリ(これはイランのシャハブと違って半国産ですらなく、まったくのノドンそのもの)に搭載するために無理矢理にプルトニウムから作ったサブキロトンの幼稚な爆縮弾頭を、コンセプトだけ真似てみて、やはりサブキロトンの出力になっているものだろう。
 パキスタンは1998に12キロトンの核爆発も起こしてみせたが、これはウラン爆縮で、東風2の古い弾頭の情報をシナから貰ったものだろう。つまり1.5トンもあるので、シナ製のM9やM11には載せられない。だからシナも、このぐらいは売っても許されると考えたのだろう。
 さてそうするとノドンの弾頭重量が気になる。V-2=スカッドAの1トンではないだろう。射程を欲すれば、スカッドBの770kgでもない可能性もある。さりとてスカッドCの500kg未満では後進国にはどんな原爆もつくれない?
 パキスタンの技術力は、インドやイラクはもちろん、イランにすら劣る。それでもサブキロトンができた。これに北鮮が元気付いて、真似してトライしてみたら、やっぱり0.4キロトンができた。
 たとえば1.2トン弾頭を1300kmとばせる弾道弾があったとすると、その弾頭の重さを800kgに減らせば射程は1700kmくらいまで伸ばせる。
 2007-2時点でイランのシャハブ3=ノドン模倣品は、760kgの弾頭を1000km投射することは可能らしい。
 パキスタンのガウリも800kgという話があるが、誰も証明したわけではない。実戦場で不発弾を回収しないかぎり、これは分からないのだ。
 1991では、液体燃料ミサイルは発射手続きが190分かかり、固体でも90分もかかっていた。
 テポドン改造宇宙ロケットの第三段はシナの「紅旗2」(ソ連のSA-2もどき)の固体ブースターもしくは液体サスティナーかもしれない。北鮮のSA-2なのかもしれない。古い兵器だが、なぜかこの固体ブースターもしくは液体サスティナーだけの重量データがインターネットでヒットしない。おおざっぱに半分として1トンか。1トンなら0.4キロトン原爆が間違いなく積める。それが3850kmkm先に落ちたとしたら、たしかにグァム島攻撃力はあることになる。米海兵隊がグァムからも逃げ腰になっているとしても不自然ではなくなる。
 北鮮の長射程ロケットの発射管制塔がシナの長征用とクリソツである。つまり北鮮ミサイルの背後にはシナがいるのであって、ロシアとはすでに縁が薄い。
 シナとウクライナはノドン1用のTELで協力している。このTELは イタリアの Iveco トラック車体を模倣しているし、クレーンは オーストリア製のようだ。
 ロシアの北鮮情報はトンチンカンなものが多い。2006-7のスターマインではミサイルの本数を3つよけいにカウント。ノドンの分離ブースターを数えてしまったのか。ロシアのOTHは当てにならないのか。2006-10のイールドも間違えている。
 2009年4月5日のロケットは、グァム島攻撃能力を実証したのか?
 地球上の2つの座標を入力すると、その直線距離を教えてくれるウェブサイトがある。
 対イカオ通告は座標1点だった? そこからのひろがりを図にすると、最も西端は164度。その南端は29度、北端は34度。射場の広がりの西端は129度62分、その北端は40度84分
A地点 緯度:164度分 経度:29度分
B地点 緯度:129度62分 経度:40度84分 と入力すると、
距離:3940km これがマックス値。
A地点 緯度:164度分 経度:34度分
B地点 緯度:129度62分 経度:40度84分 と入力すると、
距離:3837km
A地点 緯度:164度分 経度:34度分
B地点 緯度:129度62分 経度:40度60分
距離:3831km ※これがミニマム値だが間違いなくこれより短い。
A地点 緯度:164度分 経度:29度分
B地点 緯度:129度62分 経度:40度60分
距離:3930km
 ちなみに北鮮は衛星の軌道傾斜角が40.6と発表している。射場の北緯と微妙に違うのは、重力ターンの関係か。
 では北鮮とグァム島との間はどのくらいか?
A地点 緯度:39度39分 経度:124度42分 ※黄海側の新射場
B地点 緯度:13度28分 経度:144度46分 ※グアム座標
距離:3514km 
 結論は、微妙である。防衛省は、「3000km以上飛翔」としか公表していない(2009-5-15文書)。
 つまり防衛省は、北鮮がグァム攻撃力を持ったと認めたくないのか? 普天間問題がチャラになっちまうから?
 ファットマンの次のMk.4原爆が、重さ4.95トン。直径1.15mで、ファットマンより重くなった。
 1952完成のMk.7は重さ900kg、 直径78cmだが全長はかえって長くて4.7m。
 リビアは米艦(コーストガード)の存在するイタリア領土沖の海面をめがけて数発のスカッドを発射したことがある。1986に空爆されたことに対する返礼として。
 1991に港の水中に落下して不発になったスカッドがある。
 1989-12-7、イラクはスカッド5本を束にした宇宙ロケット「アルアビド」を、垂直に打ち上げ、また落下させる試射。2段目はスカッド×1、3段目は謎だが、どちらもダミー。
 1990-5にノドンがロンチパッドで爆発。6月にスカCを500kmとばしてみせる。
 それで韓国は1990からKSR-1を考え始め、1993に完成。
 1991-12-18、ノテウは韓国に核がなくなったと宣言。
 父ブッシュは、韓国から核弾頭をなくせば北鮮は核ミサイル武装の努力を止めると信じていた(シナから思い込まされていた)。次のクリントンも同じ洗脳を受けた。
 韓国が1992-8-10に最初の衛星をアリアンで打ち上げたのに刺激され、金日成は対抗して衛星をつくらせようとする。
 1993年5月29~30日 ノドン1の発射。500km先の海上ブイに向けて。同時に北鮮はNPTを守ると強調。
 韓国は1段式で直径42cmの固体ロケットKSR-1を1993年6月にオゾン観測ミッションとして打ち上げた。弾頭は150キログラム。高度7万5000mに達した。ジェーンは、韓国はこのロケットを、弾頭200kgで射程150kmのSSMに転用できるだろう、と。
 北鮮にはこれがわかっていたので、その機先を制した。面子の張り合いだ。
 1993-9に韓国2機目の衛星。これで同年末に金日成は衛星を急げと発破。もう50歳を過ぎた息子に早く箔をつけたかったのだ。
 1995-7月と8月にシナは台湾近海でミサイル発射実験。李登輝を威嚇。1995 July 21~26中共大演習。1995 August 15~ 25 実弾演習。11月には上陸演習。1995 December ミニッツが海峡通過。
  1996年の台湾総統選挙直前のMarch 8 ~ 15日 に、中共軍は大規模な軍事演習を行い、台湾近海へ東風15×4発を発射。
 この前後、〈台北よりロスが大事だろ〉とシナ将軍が脅した。つまりこのシナ将軍も、北極点中心地図が頭の中に無いのだ。困ったもんだ。
 1996年9月18日~、北鮮潜水艦鹵獲事件、&ゲリラ・チェイス。
 北鮮、1996 October にまたノドン発射準備。これも米国の圧力で中止。
 1997-2時点で、韓国が1999に三段式宇宙ロケットを完成するつもりだという意図が漏れる。
 韓国は1997年7月10日に、2段式固体ロケットKSR-2をX線天文観測のために打ち上げ。最高高度は151.5km。2トン。ペイロードは150kgだった。Jane’s Strategic Weapons Systems いわく、このロケットはペイロード次第で900kmまで飛ばせると。しかし重いペイロードなら100kmまでだ。
 1998-4-6、北鮮のノドンをパキスタンは試射。Ghauri-II と称した。
 1998-5末パキスタン核実験。あきらかに輸入ノドン=ガウリ弾頭用のサブキロトン×4回を含む6回。
 1998-6-11、韓国の国産観測ロケット打ち上げ。前と同じもの。
 1998-8-31に北鮮がテポドン1発射。3段。ブースターは253km先に落ちた。そのブースターがもちあげた、2段目の重量は、もしスカッドCだったなら、弾頭コミで6.4トンとなろう。
 三段目が「紅旗2」なのか? 紅旗2は二段式で、2.3トン。弾頭は200kg。固体ブースタと液体サスティナー。
 第三段はデブリとなって4000kmくらいのところに落ちた。
 北鮮衛星の公開写真は、シナの最初の衛星の東方紅(重さ173kg)にクリソツ。あきらかにシナがバックにいるのだ。シナをこそ非難せよ。
 1998年11月に韓国は、2005年までに宇宙センターを建設すると決定。発射場の選定に入る。
 1998-12-26 の北鮮の 労働新聞 は、北鮮が将来また衛星を上げると予告。
 1999-4にパキスタンはノドン(ガウリ)の2度目の試射。15日の同国公式発表によると、弾頭1トンで射程750kmだと。※とすれば東京には届かぬ。
 1999-11に北鮮はイランに12発の中距離弾道弾を売った。ノドンのエンジンをボーイング747カーゴ機につんで平壌近くのスイナン国際空港からイランへ11-21に到着。
 2000-7-15、イランがシャハブ3を完全射程で飛翔テスト。これは国産エンジンではなく、ノドン・エンジンを使ったらしい。そして満足したらしい。弾頭は1トンで、最高速度は4,320 mph (1,931.04 M/sec.) に達したと。
 2001年1月に韓国はスペースセンター敷地の選定結果を発表した。韓国は2001-3にMTCRに加入させられた。 そして射程300kmで弾頭500kgのSSMを開発しても良いと米国から許された。 韓国は、液燃を一部だけ入れたSSMを2001-11に試射し、その射程は100kmを越えている。
 2001-4、北鮮から1年ぶりに大量のノドン・エンジンがイランへ輸送された。飛行機でシナ領上空を通過したようだ。シナは許可を与えている。
 2002年11月,「テポドン2」燃焼試験中に爆発。
  2002-November 28 に韓国のKSR-IIIが発射され、高度は42.7 kmに達し、距離は 84 kmだった。 ジェーンの見積もり。このロケットは高度350kmまで届かせるつもりであった。そして韓国は射程900kmのSSMを欲している、と。
 2002、韓国は完全国産の3段式宇宙ロケットを2007までに打ち上げると発表。
 ※つまり韓国のSLVより先にと狙ったのが2006-7-4の白頭山2だ。
 2002- December -10、スペイン軍艦がイエメン沖でスカッド15発押収。北鮮いわく、これは海賊だと。
 2003イラク占領作戦でイラクは緒戦でクウェートに向けて8発のスカッドを発射したが、フォートブリスからやってきたパトリオット部隊は、8発全部を着弾前に破壊した。
 2003-4-24 北鮮が核兵器保有を明言
 2003-8、韓国のナロ宇宙センターの起工式。
 2003-8-28、最初の6か国協議の場で北は、すでに核武装しており、実験をする、と。
 2004-6初旬、イスラエルが大規模な空軍演習。イランの核施設を意識したもの。
 2004-9-22、ノドンB=ムスダンリ? の発射訓練
 2005- September-19に米国は6か国協議の場で、たとい通常兵器でも、北鮮を攻撃しないと約束した。
 2006-6中旬、テポドン2に燃料注入。
6-14、米国はICBM実験で脅かし。ミニットマン3をVandenbergからマーシャル島へ撃ち込んだ。
 6-23、米軍、沖縄にPAC-3を配備。
6-24、ベトナム戦争以後、最大の太平洋域演習である Valiant Shield を派手にやり、シナ人武官にも観戦させ、北鮮にプレッシャーをかけた。
 テポドン発射の数日前から、GBIのサイト近くの民間機の飛行は制限された。
 2006-7-5、北鮮、モラトリアムを破り、日本海に向けて7発の弾道弾を発射。7-4の米国建国記念日を狙ったもの。イラン人が1~2人、立ち会っていたようだ。テポドン2は失敗。
 2006-7-15、国連はすごい要求決議をした。北鮮は、もうどんなミサイル関係テストもするな、というのだ。「関係」だから、ロケットや人工衛星だろうと、ダメなのだ。よって2009実験はすべてアウト。
 2008-6-9、イランは、1トン弾頭を2010km投射できると彼らじしんが説明するシャハブ3をホルムズ海峡近くで発射。ところがこのときの写真がモロバレの合成だった。フォトショップを使って、失敗したミサイルを成功したように直しているようだ。
 2008-6-26、韓国人がロシアの宇宙船に乗る。また、韓国の発射場施設は2008年末に完成するらしい、と。
 衛星10周年として平壌ラジオは、2008 August 31日に、こう放送した。すなわち北鮮は将来また衛星を打ち上げるだけでなく、2007に閉鎖したばかりの Yongbyon での プルトニウム処理を再開すると。
 2008-9-11に、黄海側に北鮮の全くあたらしい射場ができあがった。イランの射場に酷似。新射場はシナ国境から50kmしか離れていないので高速偵察機ではシナ空軍とぶつかる。グロホならば問題なし。
 イランは早ければ2008-10にも宇宙ロケット上げるつもりだった。テポドンのブースターで。
 イランの成功。2009-2-2に、 Safir SLV を使い、 Omid data-processing 衛星 を low Earth orbit に投入した。イラン衛星は寿命が50日であった。3-27再突入か。
 イランは9番目の自力衛星保有国になった。
 北鮮は、2009-2月24日に衛星を打ち上げると発表し、中止。
 イランの15人のロケット専門家が、09-3月はじめから訪朝。
 北鮮はイカオに2009-3-11に手紙を渡した。
 3月12日に宇宙条約に加入と宣言。
 燃料注入は4-2開始。
 2009年4月5日 「なんちゃって人工衛星2号」太平洋着。
 イカオには、4月4日から8日のあいだ、ロンチウィンドーは国際標準時の2時から7時だと。(プラス9時間だと11時から16時か。)
 事前通告において、第2段は3600km先に落ちると。
 ナンチャッテ1号衛星のときは、発射方位が東86度(つまり北寄り)だったが、今回は90.5度(つまり南寄り)だ。角度を変えて、悶着を防ごうとした。
 さあ、7月には何が起きるでしょうか?


見破る力

 ローエンフォーサーが読む某雑誌にこんな話が寄稿されていました。
 ジム・シュナーベル著『サイキック・スパイ』と、ジョー・マクモニーグル著『FBI超能力捜査官』〔いずれも小生は未読〕を典拠としているそうなのだが……。
 いわく。
 ――ジョー・マクモニーグルなる1946年生まれの米国人は1970にドイツ南部の電波諜報部隊にいたときソ連の手の者から毒を盛られて臨死を体験。いらい、超能力者に生まれ変わり、すぐにアメリカ陸軍の情報保安司令部に見出されて、ソ連指導者の頭の中を読んだり、最新兵器を透視することになった――。
 これ、信じる人いますかい?
 こういう仮説が成り立つと思いました。
 有能なスパイの存在や、圧倒的に敵よりも優れた新機能を備えた衛星や盗聴装備の実力を、敵に対して隠蔽しておくために、「じつはウチには超能力者がいてね。これ、ひみつですけどね、エッヘッヘ……」とディスインフォメーションかましておく。
 愚かな敵は、『そうか、敵は千里眼透視術者を擁していて、それでこの前の戦略兵器軍縮交渉では、こちらが押され気味になっちまったんだな』と勝手に妄想してくれ、『ならばこっちも超能力者を育てようや』と無益で実らない努力への投資を誘導される。我が方のエスピオナージ戦力の配置は何年もバレないで、貴重な情報を吸い上げ続ける……。


意は似せ易く、姿は似せ難し

 昨日の函館で農家の二階から不発弾が発見されたとかで騒いでいたようだ。詳報に接せぬ。
 2009-6-21の JUNG SUNG-KI 氏の寄稿記事。韓国メーカーのLIG Nex1(以前の金星?)が国産の肩撃ち式対空ミサイルのために、新IFF(敵味方識別信号装置)を完成したんですと。今までは米国製かフランス製を使っていたらしい。
 この携行SAMは、射距離7km、射高3.5kmですと。
 なんか厭な予感しかせんですなぁ……。
 また、同メーカーは、射程180kmのSSMを国産している。また、同メーカー製の巡航ミサイルは射程150kmですと。オイ、誰だよ、日本まで届くとか言ってたのは。
 飛行機は往復しなきゃならないが、巡航ミサイルなら片道で良い。だから地上発射ではなく、飛行機に吊るすASM運用を考えると、巡航ミサイルの射程ってのは、意味はぜんぜん違ってきます。短いようでも、じつは長いのです。イージーに、遠くまで弾頭を運搬できる手段。韓国はすでにそれを持っている。吊るすストライクイーグルも持っている。日本はそういうのを持たなくていいんですか、って話になる。F-2にはそのポテンシャルがものすごくあった。その必要調達が阻止された。理由はコストでしょうかね? どうも、間接侵略のてだれである北京が、米国&財務省経由で工作したように思えてなりません。M-Vもまったく同じですよ。
 F-2のコストはむしろ安い。ASM×4発運用可ってのは、他に代替が利かぬユニークな能力なんだから。沖縄から飛べば北京を攻撃できるのです。
 北鮮に対日用SSMを量産させている張本人はシナですから、北京を威嚇できぬ限りは、日本の防衛もまるっきり成り立たないんですよ。武器ヲタクにはここがちっとも見えないですね。F-22がなくとも、北京は空襲できます。
 F-22の輸出可能性で気をもたせておいて、さいごに受け身が間に合わないタイミングでバックドロップにもちこむってのも、シナが米議会を舞台にしての間接侵略工作かもしれませんから、ひっかからないように注意して欲しい。
 25日に「読書余論」が配信されます。
 いろいろ忙しいために、とうぶん折口信夫全集を紹介できそうにないのが非常に残念です。
 折口氏は日本社会の中間構造に迫っていた。朝廷と庶民、あるいは幕府と庶民の中間には伝統的に何もないかというと、大昔から昭和前期までも、それは大アリなのです。
 中間構造など無かったことにしたがる連中、中間構造に入り込んで内側から政府転覆用機関に変えてしまう連中、これがグラムシの徒なのです。今なら、北京の手先と言い換えてもいい。
 遇懐。
 浄瑠璃『仮名手本忠臣蔵』の「事件」は、そもそも「勅使東下」から始まっている。曾我物は関東ローカルの世界観だが、義経、弁慶、菅丞相は、関東よりもむしろ京都を連想させるキャラクターであった。
 当たった芝居の場面ごとの台詞をほとんど諳んじた東都の長屋の八熊が、上方の天皇の存在など知らずに過ごしていたとかいう捏造話も、いわばグラムシ戦術に沿った中間構造の破壊工作にすぎないのだろうが、デタラメも百万遍となえられれば真実めいて聞こえてくるものである。
 あたかも江戸城下には武士と長屋住みの町人の2階級の他居なかったかのように語るのもグラムシの徒。八百八町の長屋のオーナーは誰だったんだ? 町人の地主階級ってものが厳存したのだ。彼らは浄瑠璃以前の古典教養にしっかりと通じていた。
 こうした嘘百万遍を忙しい今日の個人化社会において可能にするのが、反日集団の構成する無数の新中間組織なのだ。
 自由主義のセキュリティ・ホールは、これら反日工作に自然な組織として対抗ができないことである。だから、人工の組織の必要があるだろうし、既存の中間構造をむやみに破壊させないようにも見張らねばならない。


きょうふのふうせんばくだん

 恐ろしい発見をしてしまったぞ。
 シナ製のゴム風船をふくらませ、アルコール性油性マーカーで色をぬりたくり、壁にかけてかざっておく。
 すると1~2日後に、とつぜん、パンと割れるのでおどろかされてしまう。
 フラグメンツを検分してみると、げえぇぇっ……マーカーは乾いていない!
 つまりゴム膜をゆっくり侵蝕し続けていたのか。
 で、パキスタンがえらいことになってます。
 ソ連撤退直後のアフガニスタン政府には1700発くらいもスカッドがソ連から与えられた。その残余がTELごとアフガン人に押収されて、マスードの死後は内戦で使われ、タリバン保有の最後の5発が米軍に爆破されたのが2005年だったといいます。だから連中はテロリストの分際で、液燃ミサイルの発射法をしっかり知っているわけなんですよ。
 それが、こんどは、タリバンがパキスタン内に分散隠匿されている核爆弾やらミサイルやらを押収するかもしれんという勢いだという。
 まあ、いまさら迂遠のようだが、原爆と弾道弾を野放図に拡散させたシナとロシアと北鮮には、世界は声をあげて責任を取れと迫るべきでしょうね。その咎を水に流してちゃいけないでしょ。
 米英を筆頭にイラン報道がヒートアップしています。英国は元進駐国ゆえに、いつイランの核ミサイルでお礼参りされるかわからんという遠い憂慮があるから、イラン国内が無限に混乱し続ければ好都合でしょう。米国は、カーター政権時代の大使館人質事件の恨みをスッキリ晴らせていないので、いまだにイランの宗教政権が憎くて憎くて仕方がない。それで、イラン関係ニュースへの米国民の食いつきが良いものだから、マスコミ各社もハッスルするわけです。やはり米国庶民は深層で(イランの)血に飢えているんでしょう。
 あらためて、あんときカーターがキッチリとイランと戦争してりゃあなぁ……と詮のない空想をする米国人もいるのではないでしょうか。


JSSEOの自己定義(案)

 JSEEOという団体の自己説明を決めなくちゃいけません。今わたしが考えていますのは、ざっと以下のようなものです。
◎団体の概要
○目的
 日本安全保障倫理啓発機構は、近代民主主義国家の国民は、たとい成文憲法にその明記がされておらずとも、なべて「国防の義務」を有しているとの認識に立ち、あくまで健常な自由主義の理念に基づいて、間接侵略に関する調査研究ならびに調査研究支援、間接侵略拒止の言論運動ならびに運動支援、および近代的国防倫理についての啓蒙活動等の業務を総合的に行なうことにより、わが国民の福祉そのものである総合的安全保障の増進に資することを目的とする。
◎業務内容
 日本安全保障倫理啓発機構は、叙上の目的を達成するため、以下の業務を行う。
*)間接侵略とその拒止・排除に関する調査研究。
*)間接侵略とその拒止・排除に関する調査研究を行なっている、機構外の個人や団体に対する後援。
*)間接侵略拒止の言論運動。
*)間接侵略拒止の言論運動を行なっている、機構外の個人や団体に対する後援。
*)防犯、護身術、広義の社会防衛に関係するアウトドアスポーツ等に携わっている個人や団体との勉強会の開催。
*)必要な資金の募集。
*)前各号の業務に附帯する業務。
 ……まあ、これから練って行きます。
 ところで昭和41年5月31日の国会内閣委員会で、保科善四郎代議士(元海軍中将)と松野頼三防衛庁長官とのかけあいがあったのをハケーン! この二人は仲間でしたから、世間向けの定義表明を試みているのです。
【保科委員】 「これは長官にひとつお伺いしたいのですが、この自衛隊の任務は、直接、間接の侵略に対して国の安全と平和を守る。これは自衛隊法の中にあるわけです。直接侵略に対しては、これはもう皆さんおわかりであると存じます。間接侵略に対する任務をお持ちになっていらっしゃるわけですから、これをどういうようなぐあいに自衛隊を教育し、指導し、訓練されているか。これは非常に国民に対してもわからないうちにやられる、たいへんにむずかしい問題である、こういうように思うのですが、一体どういうことを考えておやりになっているか、はっきりしたお考えを示しておいていただきたい。」
【松野国務大臣】 「直接侵略ということについては、わりに明快に答えられております。間接侵略というのは、御承知のごとく、外国からの教唆、扇動によって組織的な国内における治安の撹乱あるいは国民に対する秩序の破壊ということでありますが、現実にはどういうものを想定するかということは、国柄あるいは世界の情勢における問題を把握するにはなかなか容易ではありませんから、日本においても、そういうものが今日あるのかないのかという議論も、これは出ております。しかし、あるなしにかかわらず、常に、任務ですからわれわれはいろいろなことを想定しながらそれに対処して、ある時間をさいて、そしてこの任務に努力しております。」
 ……兵頭の把握はもっと広義です。いずれ、公開的に検討をしましょう。
 ちなみに紫表紙の昭和57年版『陸上自衛官服務小六法』を久々に開いてみたら、自衛隊法の第三条のでだしが、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする」とあるのですよ。
 しかし間接侵略の公式の定義は聞いたことがないし、そもそも政府からして間接侵略からわが国を防衛しようという責任感を捨てて顧みていないじゃないか――というのが、もっかのわたしの認識です。
 たぶん昭和41年時点では、間接侵略、イコール、〈日共の武力革命&外患誘致〉でしょ。それは甘いし古すぎる。
 ソ連崩壊前のさいごのあがきとして反日勢力は「グラムシ戦術」を自己手段化したからです。共産革命とはもう関係もなしに、「グラムシ戦術」だけがゾンビとなって展開され続けている。「社会自爆テロ」だと言っていいでしょう。渾沌を好む特亜にとって、とてもおいしい情況だから、特亜は応援します。無意識的集合的にも、意識的組織的にもね。また、海外勢力から後援されているという実感があって、ゾンビたちもモチベーションをかきたてられるわけです。このへんは自爆テロリストたちと一緒。
 イタリアの共産主義者グラムシが唱えた方法論は端倪すべからざるもので、つまり歴史的にその大きな社会で自然に形成されてきている中小規模の中間的共同体を一つ一つ潰して、歴史の連続性と個人とをすっかり切り離してしまえば、社会も国家も、革命党の好きなようにオペレートできるはずだ、と見抜いたのです。
 バラバラの個人というのは自由主義の理念でもあります。自由主義の本然に由来するセキュリティ・ホールが、反近代文明とその手先によって狙い撃ちされているんです。
 これにパッチを当てるためには、人工的にでも中間的コミュニティを盛り上げる必要があります。その新顔がJSEEOです。
 この日本には、言語才芸において凡庸にすぎなくても、政治的に正しい人達、つまり間接侵略工作の胡散臭さに嗅覚が働いている正常感覚の人達は、じつはたくさんいらっしゃる。
 そのひとたちの、よこしまなき思いが、リアルの政治に反映されないのは一体なぜであるのか?
 中間機関がないからです。
 敵は破壊工作のための中間機関をたくさん持っているが、こっちには防禦のための中間機関がない。
 個人がバラバラのままでは、政治的に無力に決まっています。これがわたしの問題意識です。
 JSEEOはこのような目的意識に合意する擬似共同体ですから、そのHP掲示板では、匿名投稿は一切受け付けさせぬつもりです。
 匿名投稿環境は、組織をバックとした間接侵略工作勢力によっていとも簡単に汚染されてしまう可能性が、今年くらいよくわかったことはありますまい。
 どうぞ正式のチラシの裏をご覧下さい。そのフォーマットで正式の登録をしていただいた方々のみに、JSEEO-HP掲示板の書き込み権を進上しようと思っています。
 匿名タレコミ情報のようなものはすべて事務局でメールを受け付けます。その事務局で裏を取れない情報には取り合いません。
 ところで故・江藤淳は、AM中波ラジオ局が夜間に放送しているような、しんみりした「語り」の番組が好きだと言っていました。わたしも、関東地方に居住していた頃には、中波の米軍放送(これは長野市くらいだと、短波で聴取ができた。キャロル・ツザキさんの頃です)やら、放送大学のFM番組などを昼寝しながら聴いていた覚えがあります。『寝ながら学べるのは良いことだ』と気づいたのはその時分でした。(余談ですが北海道その他の田舎でFMの放送大学をCS/ケーブル抜きでは聴取できないというのは、フザけてますよ。全国から集めた税金で、中央と地方の情報ギャップがますます強化されてるだけじゃないか。税金を投入している放送大学の意義を、その税金を使っている連中は、まったく分かってないのです。もう、腐れ利権ですよ。あんなのは今ならインターネットで済むはずです。JSEEOでは、こういうのを他山の石にしようと決心しています。)
 密室のスタジオのマイクの前で放送原稿を読み上げる式の、内容濃度の濃い「ラジオ講演」の場合、適切な尺数はどのくらいなのだろうか? わたしは1回分が15分から20分の間でおさまっているのが、適当ではないかと愚考しているんですが、皆様にご異論あらば拝聴したいと思います。


JSEEO(日本安全保障倫理啓発機構)の設立準備状況

 すでに2009年6月17日から、日本安全保障倫理啓発機構(Japan Security Ethics Edification Organization)の設立案内のチラシ「設立に向けて」を、都内練馬区の設立準備事務局より、郵送開始しているところです。
 チラシの印刷枚数が少ないので、届いていない方もおられると思います。恐縮です。
 チラシ(裏面が、サポーター/賛同者登録票になっております)をご希望の方は、 inquiry@jseeo.com 宛てに、お申し込みください。
 ほんらいならば JSEEOのホームページで 募集宣伝をすぐに打ち出せば良いのですが、事務局が極少人数ゆえ、HP構築まで未だ手が回りません(URLは取得済み)。7月中旬にはHPを完成して欲しいものだと祈念しております。
 わが国に対する間接侵略工作と、みずから実名を晒して現に闘っている独立系言論人を力強く支援して行く「インターネット・ラジオ講演」は、このHPが正面舞台となります。聴くのはタダ。ゲスト講師にはギャラをお支払いします。
 兵頭はこの非営利の任意団体を当分は函館から指揮監督するつもりです。
 打ち合わせはすべて電子メールで行なうので、将来なにかヤバイ事件とかにまきこまれたときには、サーバーの記録が裁判の証拠になってくれるでしょう。
 なにしろカネが絡むので、会計の透明性の確保には気をつけます。
 ゲスト講師にわざわざ事務局に来てもらってマイクの前でしゃべってもらうというのも、支出の公然性のために必要なのです。
 わたしは、実名を晒してブログを公然運営中の人を、できれば頻繁に招きたいと思っていますが、その理由も、この機構の運用が果たして適宜であるか否かを、寄附者をふくめた不特定多数の人々の目と耳で存分に判断してもらい易いからです。
 JSEEOの社団格と兵頭二十八の人格はおのずから別ですので、兵頭のひごろの主張(ex.真珠湾攻撃は日本の恥、教育勅語はシナ発の間接侵略に近親、靖国神社は霊璽簿を廃棄すべし……etc.)とゲスト講師の主張が完全に一致している必要はないでしょう。というか、そんな人、(個人的なファン以外)いるわけがないっすよ。
 誰もみんな、少しづつ考え方は違うけれども、近代自由主義の根源の価値のために複数の人間が協働できれば、それが大きな社会防衛力になるわけです。自由主義の指向はとうぜんに個人主義なんだけども、バラバラな個人のままでは、反近代勢力の集合的な間接侵略工作にみすみす日本の民主主義を破壊させることになってしまうんですよ。
 そこで、多数の自由な個人の力を無理なく糾合して、有力な社会防衛力に転換する、トルクコンバーターのような中間機関が必要なのです。
 もちろん目をつぶれない一線はありますよ。他者の心の中まで統制したがる方々とは、当機構は一切、縁が無いでしょう。そういう人々は、近代に帰属していないです。
 自由と特権の区別がつかない方々も、近代に帰属していない方々です。
 ちょっと困っているのは録音スタジオです。そんなもの借りる予算はないので、10代の大昔、ティアックの4チャンネルのマルチトラック・テープレコーダーにサイマルシンクの多重録音を、炬燵の中の無反響環境でやってみた実験を、再現することになるかもしれません。わははは……。
 こういう団体でありがちなんですが、立派な印刷物の会報を定期刊行したり、高い会場費を使って講演会を頻繁に開催したりしますでしょ。
 それと同じことをするんだったら、新機構設立の意味はないと思うんですよね。既製の「つくる会」とかに任せときゃいいんじゃない?
 他の団体がそれをするのに反対はしませんよ。それが無駄だとも申しません。
 しかし、当機構はそれをしない。経費の「中抜き」を追求します。ウェブサイトを携帯電話で読めるようにしておいたなら、印刷物の郵送なんて必要ないはずですよ。余分な印刷費や切手代があるんだったら、それをもっと勇敢な個人の言論運動家の支援に投ずるべきです(具体的には、インターネット・ラジオ講演にゲスト講師として何度も呼ぶことです)。そして、そういう勇敢な個人がもっと増えるように社会を誘導すべきです。
 『諸君!』や『正論』のような雑誌のシステムでは、メジャーでない、組織的バックグラウンドのない個人の言論運動家を、その生計について後援することは、不可能なのです。頁数に上限があるし、頻繁に同じようなことを書かせるわけにもいかない。すばらしい警世の長文が1回載っても、1か月後には書店の店頭からは消えてしまいます。せいぜい1億2600万人のうちで1万人が読むか読まないかですよ。しかも雑誌システムは、原稿料が文字数と比例するでしょ。おかしいですよ。真の「警鐘」のオピニオンは、短い文章で済むのです。その価値に対して正当な報酬を支払えるシステムが、まったくなかったんですよ。だから日本はここまで間接侵略にやられてしまった。敵は集合的かつ継続的に工作してくるので、対処が後手後手で、対抗ができなかった。
 それで、おいおいと人手を借りてやりたいと念じていますのが、国会や地方議会の監視ですよ。そこにこそ間接侵略の主戦場があります。
 おかしな法案や条例案や予算案や決議案が議会に上程されてしまう前に、寸刻も早く、その動きを捉えて、世間に警告しなきゃダメでしょ。
 上程されてからじゃ、もう間に合わないことが多いんですよ。
 既製マスコミは特亜からの間接侵略計画に基本的にご賛成のようだから、間に合わないタイミングでしか、これを伝えませんよね。既存マスコミに代わる監視者が必要ですが、それに報酬を出そうという団体が、いままで存在しなかったわけです。
 資金が増えれば、それに専従する人を雇えるかもしれません。そうしたいですね。是非。しかし当分は、そんな資金の余裕はないでしょうな。
 月刊『正論』8月号(7/1売り)でも活動開始宣言を致します。
 そうそう、これからは、当機構のニセモノにもご注意くださいね。(だから早めに、ここでオープンにしました。)まずは、上記のメルアドに、正しいチラシをご請求ください。