やはり高校は要らなかった。

 かねてわたくしの持論でありました「日本に高校は要らない」が、今日の報道で立証されたようで、嬉しいです。
「中卒の資格で大学に進学できるように制度を変えるべきなのだ」ともわたくしは複数の媒体で主張して参りましたが、現実がとっくにそうなっていたのだとは驚きです。もう、中卒の資格だけで東大に進んで、高級国家公務員になっちゃっている方々も、現に複数いるのでしょう。(さらに官庁から天下りしている人もいたりしてネ。)
 制度は、もう存分に破壊された、と言えるでしょう。
 法の下の平等を唱えるとすれば、大混乱ですよね。
 また、来年から単位チェックを厳しくしても、すぐに元に戻るんじゃないでしょうか。ごまかせたモン勝ちのようですからね。
 好い機会ですから、現実に無視されている制度を、法制上も、廃止することですよ。「マック憲法」と同じですわな。
 わたしは高卒で就職してそれから大学に進みました。その受験のときに内申書をとりにいって改めて理解したことがある。「就職組」の内申の点数は、「進学組」のために融通される、という長年の慣行があることです。つまり、「進学しません」と申告した者は、素行が普通であっても、そこらの悪ガキかノータリンのような内申点が付けられてしまう。進学組の内申評価は、その分だけ、水増しです。馬鹿々々しいものだと思いました。
 自衛隊の通信隊員初期課程の暗号翻訳で「非算術計算」をするスピードでは、わたしは他の新兵より遅かったことを記憶しています。周りのほとんども高卒の人たちです。
 しかし数字の羅列を出したあと、電報紙に日本語の元の文面を再現する作業ではわたしは大卒自衛官よりも速かった。
 このあたりで気づいたのです。日本の田舎の高卒や高校中退者の中に、大卒者より優秀な者がいくらでもいるのだと。逆に、大卒が真のエリートであるのかどうかは、80年代前半の時点で、もう疑わしくなっていました。
 素養があるのに家庭の経済的な事情で大学に進学できなかった子弟は、もしその高校の学資を節約することができたなら、さっさと大学に進んで、そこで特定の才能を伸ばせたかもしれない……と思いませんか?
 15歳から18歳は、鍛えようによっては、人間の頭脳と体力が飛躍的に高性能化する時期でしょう。ところがその貴重な時期に、日本社会は、「高校」というムダ/ムリ/ムラの三拍子揃った欠陥だらけの制度を押し付けて、才能の芽を<効率的に>摘んでいるように見えます。
 だいたい、この3年間に目一杯読書をすれば、たぶん誰でもひとかどの専門家になれるはずなのです。ところが、興味のない科目を暗記させられたら、どうなるでしょうか?
 とりかえしのつかないムダ使いです。時間と才能とカネと自己実現のチャンスの。そして国家は肝心な人材が供給されずに、生き残り難くなってしまうでしょう。
 日本の旧制高校は、つめこみ教育の可能性を世界に示したと思います。しかし同時に、その限界も示した。マック憲法なんていう偽憲法、自由放棄の誓約書を押し付けられて平然としていたのは、やはり旧制高校のエリートたちでした。
 むしろ旧学制の世話にはなっていない、高橋是清、井上毅といった世代の方が、「譲ってはいけない一線」はどこかが、自得されていたのではないでしょうか?
 昨日、韓国MBCテレビの取材を受けました。そこでインタビュアーの方と対話していて思った。この人は日本以上の受験競争社会を勝ち抜き、アメリカ留学もし、報道番組のスタッフとなって、優秀な若者だ。しかし、軍事のこと、否その前に、「自由」はどうやって守られるのかについては、深く考えたことがなさそうだ──と。
 隣の国が核実験しているのに、そんなエリートばかりだったら、困るでしょうよ。
 高校の教諭が無気力者であったため、中学まで好きであったその科目が急に嫌いになった──。これも、よく聞く話です。無気力授業は全国規模で強制展開されている。これまた、とりかえしのつかない、国家的な才能抹殺制度じゃないですか。
 さいわいなことに、チャンネル桜の水島さんは、世界中の最もすぐれた名物教諭の高校の授業をビデオで集積して、それをネットで提供するという事業を考えておられるようです。早く実現して欲しいですね。ますますこれで高校なんて要らなくなるはずです。
 減少モードに入ったとはいえ、日本には1億2000万人以上の人口があります。今日では、一握りのエリートが活動してくれたら、一国の福祉をまかなえるくらいの価値生産をすることは可能になっています。経済が効率化しているのです。すべての先進国で経済が効率化している。ここで、「効率的な労働者」を量産する教育なんかしていたら、日本はすぐに競争力を失うに決まっているでしょう。天才が開花するかもしれない15歳からの3年間、日本中で全く同じ指導要領の教育などさせてはいけない。それは、教わる側はもちろん、教える側にとっても、非生産的です。高校は全廃すべきです。


中共の終りも始まった。北京五輪はもう開けません。

○事実:北鮮・新義州と北京間の距離は688km。平壌から北京まで806km、白頭山から北京まで1019km。
○事実:ソ連製「スカッドC」弾道ミサイルは、射距離600km、ペイロード600kg。
○事実:「スカッドD」は、ペイード985kg、射距離700km。
○事実:北鮮は「スカッドC」のコピー品をかつてイランに輸出したことがあるが、「スカッドD」のコピー品、もしくはペイロード1トン以上でなおかつ射距離700km以上のスペックの弾道弾の国産品があるのかどうかは未証明。
○事実:1966年に中共が「東風2」の弾頭に実装した最初のウラン爆縮式原爆は重さ1.5トンで威力12キロトン。
○事実:ソ連は、中共が核武装する前年の1963年と、中共が核ミサイルでモスクワを射程にとらえた1969年にアメリカに対して共同先制核攻撃をもちかけたことがある。また、反ソの毛沢東らを除去し、親ソ政権を北京に樹立するため、エージェントによるクーデターも工作し続けたが、1971年の林彪事件と米中国交回復とで最終的に失敗している。
○事実:中共は1994年の米空軍の北爆回避以降、すくなくとも1996と1998の2回、平壌でエージェントによる反金クーデター工作を試みた。
○推定:これまで北鮮がテストで500km以上飛ばしてみせた弾道弾の実装ペイロードは700kg未満(テポドンに関しては数十kg)。400km以下で飛ばした実績のある弾道弾のペイロードは500~700kgだったであろう。運搬手段がそれしかないのだから、北鮮が500~700kg以内の重さで原爆を設計しようとしていたことは当然、推定される。
○事実:10月9日の実験装置の重さは不明である。
○推定:もし北鮮が手にした原爆が、重さ1トン以上あるなら、東京が北鮮の核ミサイルで攻撃されることはない。
○推定:北鮮の原爆改良努力とミサイル改良努力がこんご1~2年も続けば、最初に北京がキチガイの核脅威にさらされるおそれが強い。北京五輪は不可能になる。
○推定:北京に時間はない。もはや北鮮に侵攻するしかないが、2007前半までにすべてが片つかないと、やはり2008五輪の開催は危ぶまれる。できれば2006年中に侵攻したい。このため直接の安倍タタキ発言を一時的に抑制している。シナのアメリカへの根回しは10月9日より前から始まっていた。アメリカはそれをうけて安倍を訪米前に訪支させた。
○推定:北京の軍事的冒険がもしつまづけば、中共は一挙に瓦解する。そうなると、SUN出版が年内刊行を予定していたがなぜか年内までに作画があがって来ぬらしい『マンガ 2008年 日中開戦!!』(原作/兵頭二十八)は、出版の機会を失う。またしても「珠玉の没シナリオ大全集」に新たなラインナップが加わるのか?


大間違い訂正

 昨日収録して今日・明日放送(かな?)のチャンネル桜の「安全保障大学校」の講義の中で、「横井小楠は熊本の人だからクリスチャンだ」みたいなことを口走ったかと思いますが、人物辞典で確かめるまでもなくこれは間違いです。同じ熊本の徳富蘇峰ら別人と混同しちょります。スミマセン!
 いいわけをしますと、インタビュー番組だと思っていたら、上京後に「じつは『講義』だ」というんで、ホテルで1時間を使ってコンビニで買ってきたルーズリーフに講義メモをザーッと書き込んで朝9時台からの本番収録に臨みました。まあ、「やっつけ」でもここまで語れるという自信はついちゃいましたけども……。カネ払って「講義」みてくださる方、たいへん恐縮です。
 北鮮に関する最新の兵頭の意見を知りたい人は明日の再放送をどうぞ。また、インターネットでも後日、見られるはずです。有料ですが。(桜の水島社長は「有料ユーチューブ」みたいなすごい動画ネット企画を考えてるみたいだ。もうCSの時代じゃなくなるよネ。)
 それと私ごとながら目下PHPの特急企画に取り組み中です。これからしばらくこのコーナーに書き込みしづらい日々が続きますので、ご了承ください。


「来年7月まで待てる」などと考えている御目出度い政界人たちへ

 日本はアメリカの同盟国でしょうか? そうじゃないですよね。
 自由の敵たる専制シナに良い顔をして、反自由宣言たるマック憲法をいつまでも棄てようとしない。そんな政体が、アメリカ合衆国の同盟者であるわけがない。
 同盟者ではなく、奴隷がふさわしい。だからアメリカは日本から毟[むし]れるだけカネを毟ってきました。レーガン政権もクリントン政権もブッシュ親子政権もベイシックな侮日観(=シナに叩頭し続けるどうしようもない奴隷)では一貫しているのです。唯、小泉純一郎だけがホワイトハウスから認められた。小泉氏はすくなくとも自分はシナ嫌いだと態度で表明し続けたからです。
 1994年にアメリカは北鮮爆撃ができませんでした。これも、日本がアメリカの同盟者ではなかったせいです。でも、奴隷なんだから、困っても構わなかった。北鮮が北米を攻撃できないことは明らかでした。正日がさんざんテロを働いていた頃も、在韓米軍には決して手を出しませんでした。
 今回も、アメリカは北鮮爆撃ができないかもしれません。これも反自由主義国の日本のせいです。日本が専制シナと戦争しようとしないせいなのです。
 アメリカには時間があります。日本には時間がありません。金体制にはもっと、ありません。
 とすれば日本が率先して戦争の矢面に立たなければならぬわけですが、安倍氏はこれまで核有事について何も考えてきておらず、これからの新事態を乗り切る器量はありません。
 自民党の安全保障調査会長である山拓氏は鹿児島で講演し、北鮮が要望するアメリカと北朝鮮の二国間直接交渉は朝鮮半島の非核化のためになるので、日本は正日のこの要望を後押しすべきだと語ったそうです(ネットの14日夜のTBS報道による)。公害企業と住民代表のボスが密室で多国間の公的な諸約束を度外視して「手打ち」をすればよい、というのですから、もうこれは「自由主義」でも「民主主義」でもない。
 料亭利権政治の発想でしか日本の防衛を考えられぬ人がかつては防衛庁の長官だったと考えますと、日本国の人材払底はおそるべきものです。
 ヤクザと警察が馴れ合って地域が平和になるわけがない。
 TBSによれば山拓氏は<臨検は北朝鮮の暴発をよび、相当な被害を受ける覚悟をしなければならない>とも述べたそうですが、「暴発」って何ですか? 核攻撃と比べての「相当」な被害とは、何を言いたいんでしょうか。
 1989年1月にリビアが地中海から圧迫してきた米空母をミグ23で追い払おうとして逆に2機が撃墜された。カダフィ大佐はそれ以降、おとなしくなります。
 北鮮は朝鮮戦争でボロ負けして以降、米軍に対してちょっかいをかけたことはありません。金正日は、カダフィよりも己をよく知っており、カダフィよりも「命惜しみ」です(カダフィは地下壕には逃げなかった。テントで寝ているところを米空軍のF-111で爆殺されそうになっている)。過去にまともな国家意思として「負けるのは決まっているがやってみる」と、西側先進超大国相手に開戦したことのある国は、旧大日本帝国だけでしょう。その思想的背骨は水戸学(陽明学)であり、ペリーの黒船体験です。昭和15~16年の日本海軍は、ちょうど幕府(帝国陸軍)に対する長州志士の「水戸学」の心組みがあった。しかし今の北鮮に「旧帝国海軍」や「長州志士」と立場が似た有力攘夷派グループは存在しません。ヤクザは警察に戦争は挑みませんし、江戸幕府も、敵を知ったあとは「攘夷」は選べなかった。敵を知った幕府たる北鮮の正規軍が38度線を越えて南に突出してくることはありません。また特殊部隊で正規戦争に勝てるのなら、徳川家康ではなくて忍者が江戸幕府を開いたことでしょう。
 アメリカはイラクで「占領術」には自信を失いました。このトラウマが癒えるまでは、他国の占領作戦はできない。だからシナの脅しに対しても腰が引けています。どうしても必要な場合は、国連軍に北鮮を占領させるこでしょう。
 しかし米国は「オペレーション」で自信を失ったことはないのです。アフガニスタンでは逆に自信を強めています。アフガニスタンは北鮮よりも広かったがオペレーションは不安がありませんでした。
 北鮮が38度線で、対韓国軍民限定の砲撃戦をしかけてくることはあるか? 
 これは核テロとは違い、おびただしい事前準備が必要です。かならず兆候を事前に知ることができます。あっと驚くような「被害」は出ません。また北鮮がこれを実施すれば、これまた「ヤクザが警察に戦争を挑んだ」ことになり、朝鮮の気違い国家は短時間で消滅し、非核化が実現するでしょう。
 山拓氏の北鮮弁護発言とおなじ14日に、国民新党の亀井代表代行も、<制裁につぐ制裁をビシビシとやるだけで、あの危険な北朝鮮が安全な国に変わる保証がどこにあるのか><ミサイル防衛の構築を急ぐべきだ>と、党員を前にピントの外れた演説をしたようです。論駁する価値もない愚論ですが、現時点での阿呆のサンプルとして紹介しておく意義はあるでしょう。
 設計図と実用兵器とのあいだには遠い懸隔があるものです。それは数多の実験によってのりこえられます。
 核爆弾は地表(高度ゼロ)で爆発させると、敵都市に与える損害が半分になってしまうのです。火球が大地に触れるため、核爆発の熱エネルギーが、土を蒸発させるために無駄に消費されてしまうからです。
 爆発イールドにみあった高度で、つまり都市の上空で、爆発させねばならない。
 そうすることで、上からの衝撃波と、大地で反射する下からの衝撃波が、水平方向への合力となり、毀害半径を最大にしてくれるのです。
 ここで重要なのが「信管」です。広島や長崎では、爆弾自身に取り付けた電波高度信管によって、地表から2000フィートで起爆させました(20キロトンに対しては2000フィートが最善の高度。それより小イールドならより低く、それより大イールドならより高くされねばならない)。ただし落下傘で減速させながら投下したのです。
 核爆弾を中距離射程のミサイル弾頭とする場合、最終落下速度は音速の数倍~20倍です。これをきっかり、地表から数千フィートで爆発させるのは、簡単な技術ではありません。
 では北鮮は、ミサイルを一定の中空で起爆させる信管実験を、過去にしているか?
 していないのです。つまり技術蓄積はゼロ。これから実験をするしかないのです。
 そんな時間が北鮮にあるでしょうか? わたしは、無いと思います。
 信管のタイミングが1秒狂えば、弾頭は地面に激突し、壊れてしまいます。もちろん核爆発は起きません。それどころか、壊れた核爆弾を外国に進呈してしまうことになります。
 タイミングが速すぎれば、やはり最大限の毀害を地表におよぼすことができなくなります。中距離弾道弾は抛物線なのですが、地上の人の目から見たスケールでは、さいごは天上から降ってくるのではなく、水平線の横から降ってくる感じです。ですので、信管が早く作動すると、起爆高度が大きくなりすぎるのみでなく、水平位置も目標の中心からずいぶん大きく手前にずれてしまう。
 こういうことが分らぬ人が、10月9日より前の時点で、それも何年も前から、「北鮮は日本を攻撃できる核ミサイルを複数持っている」と騒ぎまわっていたのは、いったい何の根拠があり、誰の為にしていたのでしょうか?
 化学兵器神話も同様で、適切な高度で適切な粒子サイズを生じさせる技術は「ハイテク」に属しますが、北鮮はそのような実験を過去にしていないのです。
 彼らにできるのは、北風が吹いているときに、38度線から原始的な毒ガスを「放射」することだけでしょう。神経剤は、液状ミストとして「雨下」させないと、大気に希釈されて効果が激減します。オウムは、開放空間で行なった松本サリン事件では7人、理想的密閉空間の地下鉄サリン事件でも12人しか殺せていません。
 日本人が核武装する気がないのであれば、数年後に日本の首都は、長崎市のような起伏の多い土地に、遷都を余儀なくされるでしょう。1945年8月はじめの長崎市の人口密度は広島市よりも高く、長崎原爆のイールドは広島原爆のイールドを5キロトン前後も上回っていましたが、長崎市の被害面積と死者数は、どちらも広島市の数分の一で済みました。地形の違いは、核戦争ではこれほど圧倒的になるのです。平地の都市に暮らすのは、隣の気違い国家が核ミサイルで武装したあとでは、はなはだ無謀でしょう。
 とりあえず、市ヶ谷の防衛庁は遠い郊外に引越し、空きビルには、在日米軍司令部を誘致することです。


次は「繋留気球」に吊るしてドン! ……なのか?

 今の北鮮のジレンマは、米軍を攻撃せずに、どうやって「核ミサイル」保有を世界に実証するか──に移りました。
 米国と「取り引き」をしたいのに、米国をちょくせつ脅威するような演出ができないことは、金正日の深い悩みでしょう。もし米軍を攻撃したと受け取られる行動をとると、北鮮を空から袋叩きにする口実をアメリカ大統領に与えてしまうのです。
 ここは、北鮮領内または沿岸で、さらなる爆発実験を、またやらかすしかありません。
 ただし、ノドン単射から始まりスターマインに至った過去のミサイル発射デモンストレーションでもそうでしたが、同じ実験を2度やっても世界は騒いでくれませんので、彼らは核爆発実験も、質的にエスカレートさせていく必要があるのです。
 さりとて38度線に近い陸上で大気圏内核実験をすると、それは放射能による韓国(および国連軍)に対する攻撃だとみなされてしまうおそれがあります。たぶん、一回目の実験場からそんなに遠くないあたりで「半地下」、もしくは「沿岸水面」で爆発させるというのが、合理的な結論ではないでしょうか。これなら世界はまた驚いてくれましょう。
 しかし、そうした実験エスカレーションの途中で、米国がぜんぜん態度を変えなかったら、どうなるでしょうか? 北鮮は抽出済みのプルトニウムのストックを、使いきってしまいます。過去の見積もりが「4発分から9発分」でしたでしょうか? この回数内でアメリカが気持ちを変えてくれなかったら、金正日は The end です。
 再抽出処理プロセスの始動は、これまたアメリカ大統領に空爆の口実を与えてしまうでしょうから当分はできません。
 続く数回の実験をどのように演出していくか、関心のもたれるところです。
 「核爆発装置」と「核兵器保有」との間には月鼈の開きがあります。9日の北鮮実験は、かなりの後進国でも「装置」によって10キロトン未満の核爆発が起こせると証明したことで記憶されるべきです。世界最貧国の北鮮が行なったことにより、「貧者はオウムの真似をする必要はない」ことが実証されました。
 ところが、運搬手段をもたない今の北鮮は、「装置」だけではアメリカを脅迫できません。爆発装置を敵の頭上に「配達」できることが証明できて、はじめてアメリカは北鮮と交渉しようかという気にもなりましょう。
 ですから2回目もしくは3回目の爆発実験は、その「配達」手段の保有をも、あわせて世界に証明する内容でなければならない。
 ここでも金正日の悩みは深いでしょう。北鮮は「核攻撃機」を、整備してこられませんでした。そもそも「空軍」そのものが無いといってもよい情況なのです。最初の核実験直後のパキスタン軍のように、低速の輸送機のカーゴベイからころがし落としてやるしか、配達手段がありません。
 ところが北鮮領内で低速飛行機が飛びあがれば、それはAWACSで在韓米軍にすぐに探知されてしまい、そくざに戦闘機をさしむけられて、長射程空対空ミサイルによって撃墜させられてしまう可能性が、捨て切れません。
 また、飛行機が爆弾をのせたままロシアなどに亡命してしまう可能性や、あるいは、矛を逆しまにして、平壌に向ってくる可能性だって、排除ができない。このへんが独裁者の悩みです。
 船舶に搭載して沖合いで実験しようとした場合も、同様の悩みがあります。出航直後に米潜水艦によって鹵獲されるかもしれません。SEALSを乗せた特殊任務用の原潜を米海軍はすでに近海に派遣しているはずです。
 北鮮にのこされた、可能な原爆配達実験は、ミサイルに搭載する方法しかありますまい。
 ただし、長距離弾道弾の信頼性は、この前のスターマインでかなりぐらつきました。信頼性のある短射程のスカッド、または対艦用のシルクワームに搭載して、北鮮の海岸線付近の上空で起爆させるならば、万一不発になっても弾頭を回収できますし、韓国への核攻撃だと勘違いされるおそれもないでしょう。こういう実験を、3回目かそれ以降で、やるでしょう。
 これに成功すれば京城を「人質」にとれます。彼らにできるのはそこまでです。そこでアメリカが直接交渉に応じなくとも、在韓米軍の配置を後退させることはあり得ます。
 この実験の前に、空中爆発実験をするのが、合理的であり、脅かしゲームとしても効果的でしょう。空中爆発は地表爆発や水中爆発と違って二次放射能で隣国に迷惑をかける程度が小さいでしょう。夜中に繋留気球を上げて起爆させる方法なら、米空軍から妨害されることもないでしょう。
 ところで日本国はこれまで沖縄のアメリカ海兵隊のために多大の迷惑を甘受してきました。報道によれば、北鮮の実験場は、日本海側の海岸に近いようです。これは、アメリカ海兵隊の出番ではないのか?
 もし、在日のアメリカ海兵隊が、これから1年たっても、北鮮に対して何の活動も見せてくれなかったら、いよいよ連中はアジアでは役立たず、無為徒食の居候でしかないと考えられる。さっさと日本から出て行ってもらってもアジアの安定にはぜんぜん無関係という話になるでしょう。
 もちろんそれは「反米主義」とは違います。東京都は、在日米軍の司令部をむしろ都心近くに誘致すべきでしょう。大阪、京都、福岡も、米軍誘致を考えた方がよくなるでしょう。日本がじぶんで核武装できれば別ですが……。
 北鮮があと数回の実験を成功させ、いよいよ「装置」が「兵器」となり、日本にとってのリアルな脅威になったら、在日米軍も、リアルな抑止力になってもらわなければ仕方ない。日本が自前で核武装するにしろ、しないにしろ、これは当然のことです。


NPT解散&総選挙の争点

 1994年に北鮮が原爆原料の取得を本気で進めていると偵知したクリントン政権は、ペンタゴンの強い勧めに同意し、北鮮内の原爆原料工場を空襲して破壊するオペレーションを検討しました。
 この攻撃機(とうぜんステルス機FA-117)が発進する基地が、新田原、またはそれ以外のどこになるにせよ、こうしたエアレイドは、電子妨害機や囮り陽動攻撃機や偵察機や対空ミサイル制圧機や巡航ミサイル(潜水艦から奇襲的に発射)などとのオーケストレイテド・アタックになります。
 つまり、三沢から嘉手納までのすべての在日米軍基地から、なんらかのミッションを与えられた作戦機が飛び立ったり着陸したりの、大童。
 それだけではありません。故障機が日本の民間空港に緊急着陸することもあるでしょうし、万一墜落したパイロットのコンバット・レスキューに、日本の自衛隊や海上保安庁や警察が総力をあげて協力してくれなくてはなりません。
 そこで、事前の打ち合わせと調査をしておくべしと、東京に米国から係官が派遣されたわけです。到着するや、たちまち彼の下アゴはだら~んと永田町の道路にへばりついてしまった。霞が関では両目がピロロ~ンと飛び出してしまいました。
 なんと、日本の政官界には「橋本派(旧田中派)」や「諸野党」や「外務省チャイナスクール」という、中共や北鮮の代弁者としか思えないトンデモ勢力が、対大陸外交政策を壟断していたからです。
 そこで係官はホワイトハウスに報告しました。「日本は半島有事の場合にアメリカに協力する実務的な準備も、意思も、皆無のようです。しかしアメリカが単独で爆撃を強行するなら、非友好的な傍観をきめこむでしょう。飛行場や港湾がどの程度自由に使えるかは、未知数です」と。
 「ふざけるな!」と米国の指導者層は怒りました。日本列島の安全のためにアメリカ軍人が命を張ろうというのに、それに協力する気がないとは……!
 「なんでそんなアカの手先どもを今まで艾除しておかなかったんだ!」と思いましたが、あとの祭りです。
 とりあえず、ステルス機による半島攻撃は「やめぃ!」ということになりました。日本人の安全はきっと低下するが、それは腰抜けの日本人の自業自得だから放っておけばいい、いや、そんな奴等からはカネだけ厭というほどむしりとってやれや、という悪意ある非友好的態度にホワイトハウスが傾斜したのは無理もありません。日本政府当路の態度は、世界の安全に対してあまりにも無責任だったからです。
 米国指導者層は他方では、長期的な日本の政界改造も企図しました。GNP世界第二の日本国が専制シナの手先となってしまうようでは、将来、米支戦争が起きたときにいささか迷惑だからです。そこでまず旧田中派を除去することに決めました。えらく時間がかかりましたが、これをとうとう10年ちかくもかけて結果的に完遂したのが、小泉純一郎です。
 小泉氏が搗いた餅を座して賞玩させてもらっているのが、有事のリーダーとしてはからきし無能な安倍氏です。安倍氏は、小泉氏がやりのこしている国内有害政治勢力の討伐を自分が挙興しなければならないという歴史的な自覚が無かったと思います。
 言うまでもなくそれは公明党の切り捨てです。早くも予算委員会で、彼らが「パシフィスト」として、また「親支・親半島」の一方の旗頭として、日本人民の未来のリアルな安全保障にあまり理性を働かせることができない異分子であることが再確認された。自民党の脳の半分に寄生生物がからみついて、日本という国家がいざというときの身動きがとれなくなっています。
 エリーティズムの共産党が昭和20年代のような大衆の支持を再獲得することは、たぶん二度と日本では無いでしょう。しかし公明党はエリーティズムを標榜せずに、最下層の零細企業主たちの間に布教を成功させた。維新以前からの伝統の「町人」の軍事的退嬰を代弁するのに、公明党ほど絶妙なポジション取りをやってきた政党はないかもしれません。
 しかし平時にはこれほどあなどり難きパシフィスト信仰集団も、北鮮の核武装から始まる有事には動揺します。そこでリーダーには危機到来と同時に瞬間的な決断が求められる次第で、たとえばNPTからの離脱を考えねばならないと議会外で公言してしまえば、自動的に総選挙の流れになって公明党は切り離され、日本はいよいよ反自由主義契約のマック憲法を棄てて普通の国になれる。しかし、安倍総理はとてもその器ではなかったどころが、ご自身が有事ビジョンの無い「良い子」政治家だったのです。男が四十を過ぎて勉強し直せるものじゃない。すぐ交替が必要です。
 第二次大戦のイギリスの将軍、モンゴメリ元帥が、回想録でこんなことを書いています。
 クロムウェルの軍人統治時代、英国はずいぶん陰気になった。それで英国民は、常備軍などもう置くまいと思った。むしろ、有事の際には緒戦で負ける方を選んだのである、と。
 日本は民本主義国家ですから、シナや朝鮮のような奇襲攻撃は仕掛けられません。必ず奇襲を仕掛けられる側の立場です。最初は敵に得点を許してしまう。
 しかし、平時から、最悪事態が起きたときに自分が首相ならどうするのかを考えていれば、心手期せずして、最良の反撃策を遅滞なく自信をもって下令することができるのです。
 それができないのは、平時に何も考えていなかった証拠でしょう。そのような人に二度目、三度目のチャンスを与えている暇は、ざんねんながら核時代の先進国民には、ないのです。
 モンゴメリはこうも書いています。共通の目的に人々を団結させる能力をリーダーシップといい、それはまた、周囲の人々に、自信を持たせることでもある。指導者は、非能率と、自分の時間を浪費する人々には、仮借があってはならない。また、臆病者は、判り次第、捨ててよい──。
 安倍氏は、臆病者のように見え、こうしている間にも、わたしたちはとりかえしのつかないタイミングの浪費をしていることになるでしょう。


どこに日本政府のイニシアチブがあるのか?

 旧海軍は、片舷で合戦中には、その反対舷の見張りを特にぬかるな、と若い士官を教育していました。北鮮に世界の注目があつまっているとき、ぜんぜん別な場所で起こされる連動的な法秩序破壊行為を、わたしたちは警戒し続ける必要があります。
 アフガニスタンとイランでは、反米勢力がますます元気付くでしょう。ビン・ラディンはまだ逃亡中です。
 安倍政権は深刻な無能を露呈しつつありますが、前小泉政権から「国内宣伝のノウハウ」だけはうけついでいますので、違った困った問題がこれから日本国内で生ずるでしょう。
 すなわち「政権の無能隠し」に全精力が注入されてしまい、裏では周辺事態がどんどん悪くなり、日本の真の安全保障レベルが下がり続けるという不幸な情勢です。
 対北鮮の新たな経済制裁が発表されました。しかし考えてみてください。これは“核実験”のあとでは、首相が安倍氏でなくったって、公明党の誰彼であろうと、こうする他はなかったものでしょう。しかも北鮮は、このレベルの制裁は当然予期していたのです。
 つまり日本政府が“実験”から2日経って「演出」していることは、大昔から相変わらずの「受け身」の政策でしかないのです。
 昔、くるまメーカーが、オールドモデルのドンガラだけをデザイン変更して新開発製品のように見せて、宣伝力に任せて売っていた、あれと同じだ。
 それをチームセコウが、いかにも重大な決定をしたような報道演出にしあげていますが、そもそも北鮮制裁は、最初の日本人拉致が知られた時点でなされて当然のものでしょう。いまさら何の手柄でもありません。
 新内閣は、アメリカから要求されてきた、対北鮮の資金流出を金融機構のしめあげによって遮断する決意があるのかないのか。それすらもないのなら、この危機の時節においては、安倍内閣はほとんど無能者の集まりです。
 北鮮のフィズル実験は、「こうすれば失敗する」という知見を実験チームに与えました。それはイコール「こうしなければ成功に近づく」です。この知見だけは、北鮮がこの世から消滅しても、消滅しません。
 また、核実験の予告や通告や宣言に対し、シナ、アメリカ、ロシアはそれぞれどのように水面下で反応してくるのか、事前妨害をのりきるための国内諸体制はどのように引き締め、あるいは発破をかければ成功するのか、その得難い政治戦場の体験も集積しました。
 これらの知識は、日本人がこんごも欠如させ続けるものです。かたや、それらは、金王朝が亡んでも、北東アジアのどこかには残って行く。長期的には韓国人がうけつぐかもしれません。短期的には、イランやパキスタンがその一部を受け取ることができます。北鮮とパキスタンはシナを媒介として陸続きであり、パキスタンはイランやアフガニスタンと陸続きです。米国の海上臨検はこれまでもこのシナ・ルートでスルーされてきました。今後も同様でしょう。
 このように全局的にみますと、今回の北鮮の“実験”は、シナの対米「オプション最大化戦略」の一歩前進だと言えます。シナは、「北鮮の実験知識をイランに伝えてもいいのかよ?」とアメリカ政府を脅迫することができるようになりました。また、もし米支戦争となった暁に、旧北鮮人のテロリストをアメリカ国内で駆使して、核テロを実行させるとほのめかすことも可能になりました。
 日本にできることは何でしょうか。まず北京五輪はボイコットしなくてはなりません。北鮮に実験まで許したのは、すべてシナの責任です。その責任をとらせなくてはいけません。それに抗議する姿勢を率先して世界に示さなければなりません。
 しかし安倍政権にはそんなイニシアチブは発揮できないでしょう。「わが国のNPT脱退」を争点とした解散&総選挙が、待たれるところなのです。真の野党よ、いまこそ出よ!
 このタイミングで日本がすべきことはまだまだたくさんあります。「集団安全保障」をめぐる内閣法制局の愚劣きわまる政府見解は一擲しなければなりません。
 またさらに「米国の核をいつでも持ち込ませる用意がある」とも声明しなければならないはずですが、安倍氏は早々とその可能性を打ち消してしまった。この人は、日本人の生命財産を守る方法を知らないのです。知っていれば、首相就任と同時に靖国神社に参拝し、シナ訪問など蹴飛ばしたはずです。いままでずっと、こうなったときのことを考えてこなかったのです。それなのに、危機の時節に首相になってしまったのです。意志があっても方法が分からないならば、小学生と変わりがない。それでは未来の日本人が迷惑します。


フィズルは何度やってもフィズル

 プルトニウムを抽出してから放置しておきますと、同位体239が、だんだんに同位体240へと変わっていきます。
 プルトニウム240は中性子を出しすぎるため、この割合の大きい原料を装置すると、爆縮をしても、核分裂反応が過早に激しくなり、わずかなプルトニウムが分裂したところで爆縮エネルギーを押し返し、爆発装置そのものが飛散します。これをフィズルといいます。核の不完爆現象です。
 フィズルで核分裂しそこなったプルトニウムは飛散します。そのアルファ線による人体への有害性は、大気圏内飛散ではたいしたことはありませんが(→『原子兵器の効果』摘録とコメント参照)、洞窟内部ではじけた場合には、長期にわたって洞窟を汚染することになります。
 半減期が長いので、これはもう、埋めるしかありません。チェルノブイリの始末と同じです。
 北朝鮮のプルトニウム抽出工程は、いまや動いてはいないと推定されます。つまり北鮮は、もう何年も前に抽出したプルトニウムを使って爆縮装置に装填してみたと想像できます。
 これは何を意味するかというと、技術者には、これがフィズルになることは予見できていた。放置時間が長すぎ、240の比率がすでに多くなっているからです。
 また金正日の立場から考えると、これ以上実験をしないで待っていれば、240の比率がさらに多くなって、もっとショボい不完爆しか実現できなくなる。だから、待つことはできなかったのです。
 240の多いプルトニウム原料を使って、同じ爆縮装置で何度実験しても、同じ規模のフィズルにしかならないでしょう。金正日は、プルトニウム抽出工程を新規にやり直す必要がありますが、これを衛星から隠すのは難しく、時間もかかるので、米軍から空爆されるおそれがあります。金正日体制には、もうその時間はありますまい。
 では二度目、三度目の実験をやらないかといえば、これはやるっきゃないでしょう。時間が経てば経つほど、現有のプルトニウムがどんどん239ではない240に変化していくのです。外国の地震計に捉えてもらえるくらいの爆発がおこせる今のうちに、古いプルトニウム・ストックをぜんぶ使いきるぐらいのつもりで、フィズル実験をやってみせるしかないでしょう。
 ただし、地中爆発では芸がないから、次は大気圏内でやるんじゃないでしょうか。みなさんは是非、米国原子力委員会が編纂した『原子兵器の効果』(邦訳1951年)を図書館で精読してください。これは名著ですよ。日本にどの程度の影響があるのか分ります。『朝鮮日報』の日本語記事で、ソウルが全滅するようなことを書いているが、この記者さんは『原子兵器の効果』を明らかに読んだことがないですね。そんな不勉強ではクオリティ・ペーパーにはなれないぞ。
 で、米国の対策ですが、これは海上封鎖しかない。いまあるプルトニウム・ストックを使い果たせば、北鮮は元のオケラに戻る。時間が経てば、プルトニウム239はほとんど240に化けて、その威力は脅威からは程遠くなる。半島に関しては、時間は、われわれの味方かもしれません。
 焦点はシナです。パキスタンと北鮮の核交流は、シナが保障したんです。人もモノも、シナ領内を通過しています。このケジメを、北京にどうとらせるんですか?
 安倍さんでは無理です。彼には何もできないと分かった。危機のときに日本の将来を好転させる発言ができないのですから、日頃からこの問題を考えてこなかったということでしょう。いまから俄か勉強したって、もう間に合いはしませんよ。こんな迂愚な政治リーダーは、危機の時には国家に無用です。早く退場してもらわなければなりません。
 通常戦力による北鮮軍の南進はあり得ません。在韓米軍をナメてもらっちゃ困るよ。この2日間で、日本の言論界の軍事リテラシーの無さは治ってないな~と慨嘆させられることしきりです。


安倍は終わった! 憂国議員よ、解散&総選挙に向け、団結せよ!

 1998年5月、パキスタンは核実験を実施しました。パキスタンの核武装の支援をしたのは中共です。中共はNPT加盟国で、既核武装国でありながら、世界を秩序を崩壊させるこの「オプション最大化」戦略を敢えて進めたのでした。
 これに対して日本政府はとうぜん、シナ政府に対する経済制裁を実施するかと思いきや、ただ一言の対支批難すら、できませんでした。マックに与えられた反自由の憲法を丸暗記して育った日本の政治家は、すでに腹の底から堕落し切っていたのです。
 2006年10月、NPTを脱退済みの北朝鮮が、核実験を予告した上で、ある“実験”を行ない、これは成功した核実験だと同国政府が公式に世界に宣言しました。
 北鮮にこの“核実験”をさせる手助けをしてきたのもシナ政府です。
 ところが日本の首相、政府はもとより、国会議員の中から、誰一人、シナ政府を非難する発言をする者がいない。──どうかしてるんじゃないでしょうか?
 ネット配信の時事通信によれば、本日午後の衆議院議員予算委員会で、安倍晋三氏は、公明党議員からの質問に答え、「わが国の核保有という選択肢はまったくもたない。非核三原則はいっさい変更がないということははっきり申し上げたい」と発言したそうです。
 混乱した危機の時にこそ、首相のリーダーシップが注目されています。首相の敵の機先を制する一言が、日本人民を安全にもし、不安全にもします。この一両日は、日本国の未来を左右する正念場なのです。
 ところが、オプション最大化戦略を駆使してきている敵(シナ)の影は眼中には無いらしいこの新米首相は、日本国民の手足をまたしても将来にわたって縛る、じつに愚かしい発言をしてしまいました。しかも、外交に関するパシフィスト政党の幹部から問いつめられてそれに答えるという、思いっきり受け身の姿勢で……。
 岸信介と正力松太郎が、あの世で地団駄踏んでると思いますよ。
 日本国民は、この不明きわまる総理大臣を、首相の座などに就けておいてはいけません。安倍氏は危機の時節に全国民を守る器量は持たないことを証明しつつあります。
 日本国民の代表である国会議員の有志は、さっそく内閣不信任決議案を出してほしい。
 また、NPT脱退決議に向けて、議員個人としてマスコミに向けた発言を始めて欲しい。
 また、国民有志は、NPT脱退を主張するデモンストレーションについて考えて欲しい。


政治はタイミングがすべて。ここで「ポストNPT」声明できないなら…

 朝起きたら放射能の証拠が出ているかと予期していましたら、まだ何のハードイビデンスも無いようですね。これは「フェイク核実験」の可能性が出てきました。バレれば大恥必至ですが、嘘をついても恥と感じない集団も北東アジアには存在します。
 ご記憶でしょうか? 何年か前、北鮮の鉄道駅で貨車の大爆発がありました。貨車が満載していた原料物質は硝安系の肥料であるといわれたものです。たぶんそれは事実でしょう。そして面白いことに日本の大衆メディアは、これは金正日に対する爆殺プロットではなかろうか、などと「期待」を書き飛ばしていました。
 わたしはその爆発について以前にこのコーナーで、あれはリアルの核実験ができなくて悔しい金正日が、朝満国境で宣伝用のフェイク核実験を命じ、そのために、部下どもは、安価に大量にかきあつめることの容易な肥料/鉱山発破薬原料たる硝酸アンモニウムに着目し、その輸入集積をすすめていた途中で、想定外な爆発事故が起きてしまったのだろうと示唆しておきました。爆発原因が自然のものか、シナの工作員等による人為的なものかは、分かりません。
 フェイク核実験を本物らしく見せかける方法にはどんな技法が考えられるでしょうか。あるいは、大量の硝安爆薬の中に、原子炉生成物を少量混ぜて、それをダーティボムのように大気中に漏出させよう──と考える連中がいるかもしれません。
 ところがこのような方法では世界は欺けないのです。原爆のリアル爆発によってしか生成しない放射性同位元素が、地中から大気中に必ず漏れ出てくるのですが、それが検知できなかったら、これはリアル爆発ではないと判ってしまう。
 このような説明を金正日は当然部下から受けていたはずですので、次には「硝安大発破」と「リアル核実験」の中間の技法に、努力の焦点が移された可能性があるでしょう。
 すなわちプルトニウム240の比率が多すぎる、不適当な原材料をやむをえず使うことにして、フィズル(不完爆・過早飛散)を承知で、リアル核実験の何十分の一かの核反応を実現し、足りない出力(震動)は硝安発破薬の同時爆発で補うことで、世界を欺こうというわるだくみです。
 ところがこれも、地震波の精密な解析ができれば、見破ることはできます。今回、北鮮国境に近いロシア領内に核実験監視用の地震計を設置しておくという着眼が日本に無かったことは、猛省されるべきでしょう。タテワリの役人どもにはこんなことは思いつけないし、思いついても、実行ができません。
 プルトニウム239ではない、プルトニウム240は、強い意志とカネさえあれば、どこの国でも密かに集積することができます。原子炉廃物であるプルトニウム240混合物を多めに使う「フィズル装置」で良いのであれば、どこの国でもすぐに「実験」は可能なのです。それは爆縮すら要しません。シンプルなガンバレル装置で間に合う話です。
 つまり「ウリナラは核武装したニダ」と北鮮政府が公言した時点で、プルトニウム240のフィズル装置によるフェイク核実験ぐらいは日本は予測しなければならなくなりました。
 このような実験は、北鮮ならずとも、世界の大抵の国々ですぐにも可能です。ただし、それを「核武装」とは呼び得ないでしょう。
 むしろ問題は、北鮮政府が数ヵ月前に公然と核武装を世界に宣言したことの方にあります。それがシナ政府の二心ある非協力によって有効に打ち消されず、とうとう10月9日の“実験”を迎えてしまった事実は今後、とても大きな意味を持つでしょう。
 フィズル装置のテストが失敗したにせよ成功したにせよ、その行為によって、朝鮮人は遠い将来の真の核武装のための「経験知」を、いくつか積んだことになります。これは人の脳の中に残る永久資産です。これに対して日本人にはその「経験知」は未だゼロです。
 北鮮そのものには未来はなく、金体制の消滅は時間の問題です。通常兵力による戦争を起こす体力も、もう何年も前からありません。フィズル装置の兵器化も現体制には無理でしょう。しかし朝鮮人の経験知は、体制消滅後の半島に受け継がれるでしょう。朝鮮人のビヘイビアは、こんご百年くらいでは変わらない。だから日本の首相は今日中にNPTに対する批難を公言しなければなりません。政治家は役人と違って百年後を見通して行動できないのなら、存在価値がないでしょう。
 シナ大陸の反近代主義精神と闘う気概のないヘタレの言論人が、北鮮の脅威をフレームアップすることで日本の核武装を世界に説得しようとする軽躁さは、百害あって一利ないので、わたしは過去一貫して事実に人々の注意を喚起しようとしてきました。
 北鮮の“実験”を可能にしたのは、パキスタンの核武装のときと同じく、中共です。中共はNPT加盟国でありながらNPTに二度、繰り返して世界の安全に重大なダメージを与えたことになるでしょう。
 もちろんいうまでもなく、パキスタンが核実験をしたとき、日本政府が中共制裁を呼びかけなかった卑怯が、今日の事態を招いているのです。これは今からでも遅くないので、中共制裁をすぐにはじめるべきでしょう。これを言い出す政治家がいまのところ、一人もいないというのが、あまりにもあさましい。
 反自由主義のマック憲法を小学生から高級官僚/裁判所研修生にまで丸暗記させてきた成果が、今日のありさまを招致しています。自由は、与えられることがあるかもしれないが、与えられ続けることはありえない。ひとびとが戦いながら維持するしかないものです。ところがマック憲法は、日本国民に、自由を戦って維持することを禁じた。戦後憲法の中に、日本をシナの奴隷に導くプログラムがビルトインされていたのです。とっとと廃止しなくては日本の滅びに間に合いません。
 北鮮の「脅威」は皮膚を刺す蚊のようなものにすぎませんが、シナの脅威は、脳の中に入ってくる寄生虫のように致死的です。この「脳を支配する寄生虫」を寄せ付けないために、世界に責任をもつ大国日本は核武装をしなければならないのです。
 どこの国でもすぐにできるフィズル実験を理由に、経済小国が核武装を宣言できるのであれば、世界は無秩序に向うでしょう。世界に責任をもつ大国だけが核武装している状態が、安定した、我慢のできる世界です。無責任な小国がどんどん核武装できるような理屈を、日本人が口にしてはならないのです。
 多くの「保守」評論家が、台湾にも核武装の権利があるだとか、北鮮がその弾道ミサイルに搭載できる核兵器をすでに何発も持っているだとかの、無責任な発言を何年にもわたって繰り返してきました。このような軽躁な煽り屋には、アメリカに日本の「独立」を納得させることはできません。
 1994年に北鮮を爆撃せず、シナに周旋を丸投げする「6カ国協議」でお茶を濁したアメリカの政治エリート層は、いま痛切に反省しています。いまこのタイミングなら、日本がNPTを離脱する予告の要人発言は、アメリカ国内で、うけいれられるでしょう。国際政治のタイミングは、いちど過ぎ去ると、あとから悔やんでも、とりかえすことはできません。
 日本人が自由のために闘う気概を示せないならば、アメリカはこんごもシナに周旋を頼み続けるだけです。それは誰のためになるのか? シナ人じしんや朝鮮人じしんのためにも、ぜんぜんならないでしょう。
 北鮮に資金を与えてきたのは歴代日本の国会議員どもです。次の国政選挙では、敗北主義者たちを全員、落選させましょう。