次は「繋留気球」に吊るしてドン! ……なのか?

 今の北鮮のジレンマは、米軍を攻撃せずに、どうやって「核ミサイル」保有を世界に実証するか──に移りました。
 米国と「取り引き」をしたいのに、米国をちょくせつ脅威するような演出ができないことは、金正日の深い悩みでしょう。もし米軍を攻撃したと受け取られる行動をとると、北鮮を空から袋叩きにする口実をアメリカ大統領に与えてしまうのです。
 ここは、北鮮領内または沿岸で、さらなる爆発実験を、またやらかすしかありません。
 ただし、ノドン単射から始まりスターマインに至った過去のミサイル発射デモンストレーションでもそうでしたが、同じ実験を2度やっても世界は騒いでくれませんので、彼らは核爆発実験も、質的にエスカレートさせていく必要があるのです。
 さりとて38度線に近い陸上で大気圏内核実験をすると、それは放射能による韓国(および国連軍)に対する攻撃だとみなされてしまうおそれがあります。たぶん、一回目の実験場からそんなに遠くないあたりで「半地下」、もしくは「沿岸水面」で爆発させるというのが、合理的な結論ではないでしょうか。これなら世界はまた驚いてくれましょう。
 しかし、そうした実験エスカレーションの途中で、米国がぜんぜん態度を変えなかったら、どうなるでしょうか? 北鮮は抽出済みのプルトニウムのストックを、使いきってしまいます。過去の見積もりが「4発分から9発分」でしたでしょうか? この回数内でアメリカが気持ちを変えてくれなかったら、金正日は The end です。
 再抽出処理プロセスの始動は、これまたアメリカ大統領に空爆の口実を与えてしまうでしょうから当分はできません。
 続く数回の実験をどのように演出していくか、関心のもたれるところです。
 「核爆発装置」と「核兵器保有」との間には月鼈の開きがあります。9日の北鮮実験は、かなりの後進国でも「装置」によって10キロトン未満の核爆発が起こせると証明したことで記憶されるべきです。世界最貧国の北鮮が行なったことにより、「貧者はオウムの真似をする必要はない」ことが実証されました。
 ところが、運搬手段をもたない今の北鮮は、「装置」だけではアメリカを脅迫できません。爆発装置を敵の頭上に「配達」できることが証明できて、はじめてアメリカは北鮮と交渉しようかという気にもなりましょう。
 ですから2回目もしくは3回目の爆発実験は、その「配達」手段の保有をも、あわせて世界に証明する内容でなければならない。
 ここでも金正日の悩みは深いでしょう。北鮮は「核攻撃機」を、整備してこられませんでした。そもそも「空軍」そのものが無いといってもよい情況なのです。最初の核実験直後のパキスタン軍のように、低速の輸送機のカーゴベイからころがし落としてやるしか、配達手段がありません。
 ところが北鮮領内で低速飛行機が飛びあがれば、それはAWACSで在韓米軍にすぐに探知されてしまい、そくざに戦闘機をさしむけられて、長射程空対空ミサイルによって撃墜させられてしまう可能性が、捨て切れません。
 また、飛行機が爆弾をのせたままロシアなどに亡命してしまう可能性や、あるいは、矛を逆しまにして、平壌に向ってくる可能性だって、排除ができない。このへんが独裁者の悩みです。
 船舶に搭載して沖合いで実験しようとした場合も、同様の悩みがあります。出航直後に米潜水艦によって鹵獲されるかもしれません。SEALSを乗せた特殊任務用の原潜を米海軍はすでに近海に派遣しているはずです。
 北鮮にのこされた、可能な原爆配達実験は、ミサイルに搭載する方法しかありますまい。
 ただし、長距離弾道弾の信頼性は、この前のスターマインでかなりぐらつきました。信頼性のある短射程のスカッド、または対艦用のシルクワームに搭載して、北鮮の海岸線付近の上空で起爆させるならば、万一不発になっても弾頭を回収できますし、韓国への核攻撃だと勘違いされるおそれもないでしょう。こういう実験を、3回目かそれ以降で、やるでしょう。
 これに成功すれば京城を「人質」にとれます。彼らにできるのはそこまでです。そこでアメリカが直接交渉に応じなくとも、在韓米軍の配置を後退させることはあり得ます。
 この実験の前に、空中爆発実験をするのが、合理的であり、脅かしゲームとしても効果的でしょう。空中爆発は地表爆発や水中爆発と違って二次放射能で隣国に迷惑をかける程度が小さいでしょう。夜中に繋留気球を上げて起爆させる方法なら、米空軍から妨害されることもないでしょう。
 ところで日本国はこれまで沖縄のアメリカ海兵隊のために多大の迷惑を甘受してきました。報道によれば、北鮮の実験場は、日本海側の海岸に近いようです。これは、アメリカ海兵隊の出番ではないのか?
 もし、在日のアメリカ海兵隊が、これから1年たっても、北鮮に対して何の活動も見せてくれなかったら、いよいよ連中はアジアでは役立たず、無為徒食の居候でしかないと考えられる。さっさと日本から出て行ってもらってもアジアの安定にはぜんぜん無関係という話になるでしょう。
 もちろんそれは「反米主義」とは違います。東京都は、在日米軍の司令部をむしろ都心近くに誘致すべきでしょう。大阪、京都、福岡も、米軍誘致を考えた方がよくなるでしょう。日本がじぶんで核武装できれば別ですが……。
 北鮮があと数回の実験を成功させ、いよいよ「装置」が「兵器」となり、日本にとってのリアルな脅威になったら、在日米軍も、リアルな抑止力になってもらわなければ仕方ない。日本が自前で核武装するにしろ、しないにしろ、これは当然のことです。


NPT解散&総選挙の争点

 1994年に北鮮が原爆原料の取得を本気で進めていると偵知したクリントン政権は、ペンタゴンの強い勧めに同意し、北鮮内の原爆原料工場を空襲して破壊するオペレーションを検討しました。
 この攻撃機(とうぜんステルス機FA-117)が発進する基地が、新田原、またはそれ以外のどこになるにせよ、こうしたエアレイドは、電子妨害機や囮り陽動攻撃機や偵察機や対空ミサイル制圧機や巡航ミサイル(潜水艦から奇襲的に発射)などとのオーケストレイテド・アタックになります。
 つまり、三沢から嘉手納までのすべての在日米軍基地から、なんらかのミッションを与えられた作戦機が飛び立ったり着陸したりの、大童。
 それだけではありません。故障機が日本の民間空港に緊急着陸することもあるでしょうし、万一墜落したパイロットのコンバット・レスキューに、日本の自衛隊や海上保安庁や警察が総力をあげて協力してくれなくてはなりません。
 そこで、事前の打ち合わせと調査をしておくべしと、東京に米国から係官が派遣されたわけです。到着するや、たちまち彼の下アゴはだら~んと永田町の道路にへばりついてしまった。霞が関では両目がピロロ~ンと飛び出してしまいました。
 なんと、日本の政官界には「橋本派(旧田中派)」や「諸野党」や「外務省チャイナスクール」という、中共や北鮮の代弁者としか思えないトンデモ勢力が、対大陸外交政策を壟断していたからです。
 そこで係官はホワイトハウスに報告しました。「日本は半島有事の場合にアメリカに協力する実務的な準備も、意思も、皆無のようです。しかしアメリカが単独で爆撃を強行するなら、非友好的な傍観をきめこむでしょう。飛行場や港湾がどの程度自由に使えるかは、未知数です」と。
 「ふざけるな!」と米国の指導者層は怒りました。日本列島の安全のためにアメリカ軍人が命を張ろうというのに、それに協力する気がないとは……!
 「なんでそんなアカの手先どもを今まで艾除しておかなかったんだ!」と思いましたが、あとの祭りです。
 とりあえず、ステルス機による半島攻撃は「やめぃ!」ということになりました。日本人の安全はきっと低下するが、それは腰抜けの日本人の自業自得だから放っておけばいい、いや、そんな奴等からはカネだけ厭というほどむしりとってやれや、という悪意ある非友好的態度にホワイトハウスが傾斜したのは無理もありません。日本政府当路の態度は、世界の安全に対してあまりにも無責任だったからです。
 米国指導者層は他方では、長期的な日本の政界改造も企図しました。GNP世界第二の日本国が専制シナの手先となってしまうようでは、将来、米支戦争が起きたときにいささか迷惑だからです。そこでまず旧田中派を除去することに決めました。えらく時間がかかりましたが、これをとうとう10年ちかくもかけて結果的に完遂したのが、小泉純一郎です。
 小泉氏が搗いた餅を座して賞玩させてもらっているのが、有事のリーダーとしてはからきし無能な安倍氏です。安倍氏は、小泉氏がやりのこしている国内有害政治勢力の討伐を自分が挙興しなければならないという歴史的な自覚が無かったと思います。
 言うまでもなくそれは公明党の切り捨てです。早くも予算委員会で、彼らが「パシフィスト」として、また「親支・親半島」の一方の旗頭として、日本人民の未来のリアルな安全保障にあまり理性を働かせることができない異分子であることが再確認された。自民党の脳の半分に寄生生物がからみついて、日本という国家がいざというときの身動きがとれなくなっています。
 エリーティズムの共産党が昭和20年代のような大衆の支持を再獲得することは、たぶん二度と日本では無いでしょう。しかし公明党はエリーティズムを標榜せずに、最下層の零細企業主たちの間に布教を成功させた。維新以前からの伝統の「町人」の軍事的退嬰を代弁するのに、公明党ほど絶妙なポジション取りをやってきた政党はないかもしれません。
 しかし平時にはこれほどあなどり難きパシフィスト信仰集団も、北鮮の核武装から始まる有事には動揺します。そこでリーダーには危機到来と同時に瞬間的な決断が求められる次第で、たとえばNPTからの離脱を考えねばならないと議会外で公言してしまえば、自動的に総選挙の流れになって公明党は切り離され、日本はいよいよ反自由主義契約のマック憲法を棄てて普通の国になれる。しかし、安倍総理はとてもその器ではなかったどころが、ご自身が有事ビジョンの無い「良い子」政治家だったのです。男が四十を過ぎて勉強し直せるものじゃない。すぐ交替が必要です。
 第二次大戦のイギリスの将軍、モンゴメリ元帥が、回想録でこんなことを書いています。
 クロムウェルの軍人統治時代、英国はずいぶん陰気になった。それで英国民は、常備軍などもう置くまいと思った。むしろ、有事の際には緒戦で負ける方を選んだのである、と。
 日本は民本主義国家ですから、シナや朝鮮のような奇襲攻撃は仕掛けられません。必ず奇襲を仕掛けられる側の立場です。最初は敵に得点を許してしまう。
 しかし、平時から、最悪事態が起きたときに自分が首相ならどうするのかを考えていれば、心手期せずして、最良の反撃策を遅滞なく自信をもって下令することができるのです。
 それができないのは、平時に何も考えていなかった証拠でしょう。そのような人に二度目、三度目のチャンスを与えている暇は、ざんねんながら核時代の先進国民には、ないのです。
 モンゴメリはこうも書いています。共通の目的に人々を団結させる能力をリーダーシップといい、それはまた、周囲の人々に、自信を持たせることでもある。指導者は、非能率と、自分の時間を浪費する人々には、仮借があってはならない。また、臆病者は、判り次第、捨ててよい──。
 安倍氏は、臆病者のように見え、こうしている間にも、わたしたちはとりかえしのつかないタイミングの浪費をしていることになるでしょう。


どこに日本政府のイニシアチブがあるのか?

 旧海軍は、片舷で合戦中には、その反対舷の見張りを特にぬかるな、と若い士官を教育していました。北鮮に世界の注目があつまっているとき、ぜんぜん別な場所で起こされる連動的な法秩序破壊行為を、わたしたちは警戒し続ける必要があります。
 アフガニスタンとイランでは、反米勢力がますます元気付くでしょう。ビン・ラディンはまだ逃亡中です。
 安倍政権は深刻な無能を露呈しつつありますが、前小泉政権から「国内宣伝のノウハウ」だけはうけついでいますので、違った困った問題がこれから日本国内で生ずるでしょう。
 すなわち「政権の無能隠し」に全精力が注入されてしまい、裏では周辺事態がどんどん悪くなり、日本の真の安全保障レベルが下がり続けるという不幸な情勢です。
 対北鮮の新たな経済制裁が発表されました。しかし考えてみてください。これは“核実験”のあとでは、首相が安倍氏でなくったって、公明党の誰彼であろうと、こうする他はなかったものでしょう。しかも北鮮は、このレベルの制裁は当然予期していたのです。
 つまり日本政府が“実験”から2日経って「演出」していることは、大昔から相変わらずの「受け身」の政策でしかないのです。
 昔、くるまメーカーが、オールドモデルのドンガラだけをデザイン変更して新開発製品のように見せて、宣伝力に任せて売っていた、あれと同じだ。
 それをチームセコウが、いかにも重大な決定をしたような報道演出にしあげていますが、そもそも北鮮制裁は、最初の日本人拉致が知られた時点でなされて当然のものでしょう。いまさら何の手柄でもありません。
 新内閣は、アメリカから要求されてきた、対北鮮の資金流出を金融機構のしめあげによって遮断する決意があるのかないのか。それすらもないのなら、この危機の時節においては、安倍内閣はほとんど無能者の集まりです。
 北鮮のフィズル実験は、「こうすれば失敗する」という知見を実験チームに与えました。それはイコール「こうしなければ成功に近づく」です。この知見だけは、北鮮がこの世から消滅しても、消滅しません。
 また、核実験の予告や通告や宣言に対し、シナ、アメリカ、ロシアはそれぞれどのように水面下で反応してくるのか、事前妨害をのりきるための国内諸体制はどのように引き締め、あるいは発破をかければ成功するのか、その得難い政治戦場の体験も集積しました。
 これらの知識は、日本人がこんごも欠如させ続けるものです。かたや、それらは、金王朝が亡んでも、北東アジアのどこかには残って行く。長期的には韓国人がうけつぐかもしれません。短期的には、イランやパキスタンがその一部を受け取ることができます。北鮮とパキスタンはシナを媒介として陸続きであり、パキスタンはイランやアフガニスタンと陸続きです。米国の海上臨検はこれまでもこのシナ・ルートでスルーされてきました。今後も同様でしょう。
 このように全局的にみますと、今回の北鮮の“実験”は、シナの対米「オプション最大化戦略」の一歩前進だと言えます。シナは、「北鮮の実験知識をイランに伝えてもいいのかよ?」とアメリカ政府を脅迫することができるようになりました。また、もし米支戦争となった暁に、旧北鮮人のテロリストをアメリカ国内で駆使して、核テロを実行させるとほのめかすことも可能になりました。
 日本にできることは何でしょうか。まず北京五輪はボイコットしなくてはなりません。北鮮に実験まで許したのは、すべてシナの責任です。その責任をとらせなくてはいけません。それに抗議する姿勢を率先して世界に示さなければなりません。
 しかし安倍政権にはそんなイニシアチブは発揮できないでしょう。「わが国のNPT脱退」を争点とした解散&総選挙が、待たれるところなのです。真の野党よ、いまこそ出よ!
 このタイミングで日本がすべきことはまだまだたくさんあります。「集団安全保障」をめぐる内閣法制局の愚劣きわまる政府見解は一擲しなければなりません。
 またさらに「米国の核をいつでも持ち込ませる用意がある」とも声明しなければならないはずですが、安倍氏は早々とその可能性を打ち消してしまった。この人は、日本人の生命財産を守る方法を知らないのです。知っていれば、首相就任と同時に靖国神社に参拝し、シナ訪問など蹴飛ばしたはずです。いままでずっと、こうなったときのことを考えてこなかったのです。それなのに、危機の時節に首相になってしまったのです。意志があっても方法が分からないならば、小学生と変わりがない。それでは未来の日本人が迷惑します。


フィズルは何度やってもフィズル

 プルトニウムを抽出してから放置しておきますと、同位体239が、だんだんに同位体240へと変わっていきます。
 プルトニウム240は中性子を出しすぎるため、この割合の大きい原料を装置すると、爆縮をしても、核分裂反応が過早に激しくなり、わずかなプルトニウムが分裂したところで爆縮エネルギーを押し返し、爆発装置そのものが飛散します。これをフィズルといいます。核の不完爆現象です。
 フィズルで核分裂しそこなったプルトニウムは飛散します。そのアルファ線による人体への有害性は、大気圏内飛散ではたいしたことはありませんが(→『原子兵器の効果』摘録とコメント参照)、洞窟内部ではじけた場合には、長期にわたって洞窟を汚染することになります。
 半減期が長いので、これはもう、埋めるしかありません。チェルノブイリの始末と同じです。
 北朝鮮のプルトニウム抽出工程は、いまや動いてはいないと推定されます。つまり北鮮は、もう何年も前に抽出したプルトニウムを使って爆縮装置に装填してみたと想像できます。
 これは何を意味するかというと、技術者には、これがフィズルになることは予見できていた。放置時間が長すぎ、240の比率がすでに多くなっているからです。
 また金正日の立場から考えると、これ以上実験をしないで待っていれば、240の比率がさらに多くなって、もっとショボい不完爆しか実現できなくなる。だから、待つことはできなかったのです。
 240の多いプルトニウム原料を使って、同じ爆縮装置で何度実験しても、同じ規模のフィズルにしかならないでしょう。金正日は、プルトニウム抽出工程を新規にやり直す必要がありますが、これを衛星から隠すのは難しく、時間もかかるので、米軍から空爆されるおそれがあります。金正日体制には、もうその時間はありますまい。
 では二度目、三度目の実験をやらないかといえば、これはやるっきゃないでしょう。時間が経てば経つほど、現有のプルトニウムがどんどん239ではない240に変化していくのです。外国の地震計に捉えてもらえるくらいの爆発がおこせる今のうちに、古いプルトニウム・ストックをぜんぶ使いきるぐらいのつもりで、フィズル実験をやってみせるしかないでしょう。
 ただし、地中爆発では芸がないから、次は大気圏内でやるんじゃないでしょうか。みなさんは是非、米国原子力委員会が編纂した『原子兵器の効果』(邦訳1951年)を図書館で精読してください。これは名著ですよ。日本にどの程度の影響があるのか分ります。『朝鮮日報』の日本語記事で、ソウルが全滅するようなことを書いているが、この記者さんは『原子兵器の効果』を明らかに読んだことがないですね。そんな不勉強ではクオリティ・ペーパーにはなれないぞ。
 で、米国の対策ですが、これは海上封鎖しかない。いまあるプルトニウム・ストックを使い果たせば、北鮮は元のオケラに戻る。時間が経てば、プルトニウム239はほとんど240に化けて、その威力は脅威からは程遠くなる。半島に関しては、時間は、われわれの味方かもしれません。
 焦点はシナです。パキスタンと北鮮の核交流は、シナが保障したんです。人もモノも、シナ領内を通過しています。このケジメを、北京にどうとらせるんですか?
 安倍さんでは無理です。彼には何もできないと分かった。危機のときに日本の将来を好転させる発言ができないのですから、日頃からこの問題を考えてこなかったということでしょう。いまから俄か勉強したって、もう間に合いはしませんよ。こんな迂愚な政治リーダーは、危機の時には国家に無用です。早く退場してもらわなければなりません。
 通常戦力による北鮮軍の南進はあり得ません。在韓米軍をナメてもらっちゃ困るよ。この2日間で、日本の言論界の軍事リテラシーの無さは治ってないな~と慨嘆させられることしきりです。


安倍は終わった! 憂国議員よ、解散&総選挙に向け、団結せよ!

 1998年5月、パキスタンは核実験を実施しました。パキスタンの核武装の支援をしたのは中共です。中共はNPT加盟国で、既核武装国でありながら、世界を秩序を崩壊させるこの「オプション最大化」戦略を敢えて進めたのでした。
 これに対して日本政府はとうぜん、シナ政府に対する経済制裁を実施するかと思いきや、ただ一言の対支批難すら、できませんでした。マックに与えられた反自由の憲法を丸暗記して育った日本の政治家は、すでに腹の底から堕落し切っていたのです。
 2006年10月、NPTを脱退済みの北朝鮮が、核実験を予告した上で、ある“実験”を行ない、これは成功した核実験だと同国政府が公式に世界に宣言しました。
 北鮮にこの“核実験”をさせる手助けをしてきたのもシナ政府です。
 ところが日本の首相、政府はもとより、国会議員の中から、誰一人、シナ政府を非難する発言をする者がいない。──どうかしてるんじゃないでしょうか?
 ネット配信の時事通信によれば、本日午後の衆議院議員予算委員会で、安倍晋三氏は、公明党議員からの質問に答え、「わが国の核保有という選択肢はまったくもたない。非核三原則はいっさい変更がないということははっきり申し上げたい」と発言したそうです。
 混乱した危機の時にこそ、首相のリーダーシップが注目されています。首相の敵の機先を制する一言が、日本人民を安全にもし、不安全にもします。この一両日は、日本国の未来を左右する正念場なのです。
 ところが、オプション最大化戦略を駆使してきている敵(シナ)の影は眼中には無いらしいこの新米首相は、日本国民の手足をまたしても将来にわたって縛る、じつに愚かしい発言をしてしまいました。しかも、外交に関するパシフィスト政党の幹部から問いつめられてそれに答えるという、思いっきり受け身の姿勢で……。
 岸信介と正力松太郎が、あの世で地団駄踏んでると思いますよ。
 日本国民は、この不明きわまる総理大臣を、首相の座などに就けておいてはいけません。安倍氏は危機の時節に全国民を守る器量は持たないことを証明しつつあります。
 日本国民の代表である国会議員の有志は、さっそく内閣不信任決議案を出してほしい。
 また、NPT脱退決議に向けて、議員個人としてマスコミに向けた発言を始めて欲しい。
 また、国民有志は、NPT脱退を主張するデモンストレーションについて考えて欲しい。


政治はタイミングがすべて。ここで「ポストNPT」声明できないなら…

 朝起きたら放射能の証拠が出ているかと予期していましたら、まだ何のハードイビデンスも無いようですね。これは「フェイク核実験」の可能性が出てきました。バレれば大恥必至ですが、嘘をついても恥と感じない集団も北東アジアには存在します。
 ご記憶でしょうか? 何年か前、北鮮の鉄道駅で貨車の大爆発がありました。貨車が満載していた原料物質は硝安系の肥料であるといわれたものです。たぶんそれは事実でしょう。そして面白いことに日本の大衆メディアは、これは金正日に対する爆殺プロットではなかろうか、などと「期待」を書き飛ばしていました。
 わたしはその爆発について以前にこのコーナーで、あれはリアルの核実験ができなくて悔しい金正日が、朝満国境で宣伝用のフェイク核実験を命じ、そのために、部下どもは、安価に大量にかきあつめることの容易な肥料/鉱山発破薬原料たる硝酸アンモニウムに着目し、その輸入集積をすすめていた途中で、想定外な爆発事故が起きてしまったのだろうと示唆しておきました。爆発原因が自然のものか、シナの工作員等による人為的なものかは、分かりません。
 フェイク核実験を本物らしく見せかける方法にはどんな技法が考えられるでしょうか。あるいは、大量の硝安爆薬の中に、原子炉生成物を少量混ぜて、それをダーティボムのように大気中に漏出させよう──と考える連中がいるかもしれません。
 ところがこのような方法では世界は欺けないのです。原爆のリアル爆発によってしか生成しない放射性同位元素が、地中から大気中に必ず漏れ出てくるのですが、それが検知できなかったら、これはリアル爆発ではないと判ってしまう。
 このような説明を金正日は当然部下から受けていたはずですので、次には「硝安大発破」と「リアル核実験」の中間の技法に、努力の焦点が移された可能性があるでしょう。
 すなわちプルトニウム240の比率が多すぎる、不適当な原材料をやむをえず使うことにして、フィズル(不完爆・過早飛散)を承知で、リアル核実験の何十分の一かの核反応を実現し、足りない出力(震動)は硝安発破薬の同時爆発で補うことで、世界を欺こうというわるだくみです。
 ところがこれも、地震波の精密な解析ができれば、見破ることはできます。今回、北鮮国境に近いロシア領内に核実験監視用の地震計を設置しておくという着眼が日本に無かったことは、猛省されるべきでしょう。タテワリの役人どもにはこんなことは思いつけないし、思いついても、実行ができません。
 プルトニウム239ではない、プルトニウム240は、強い意志とカネさえあれば、どこの国でも密かに集積することができます。原子炉廃物であるプルトニウム240混合物を多めに使う「フィズル装置」で良いのであれば、どこの国でもすぐに「実験」は可能なのです。それは爆縮すら要しません。シンプルなガンバレル装置で間に合う話です。
 つまり「ウリナラは核武装したニダ」と北鮮政府が公言した時点で、プルトニウム240のフィズル装置によるフェイク核実験ぐらいは日本は予測しなければならなくなりました。
 このような実験は、北鮮ならずとも、世界の大抵の国々ですぐにも可能です。ただし、それを「核武装」とは呼び得ないでしょう。
 むしろ問題は、北鮮政府が数ヵ月前に公然と核武装を世界に宣言したことの方にあります。それがシナ政府の二心ある非協力によって有効に打ち消されず、とうとう10月9日の“実験”を迎えてしまった事実は今後、とても大きな意味を持つでしょう。
 フィズル装置のテストが失敗したにせよ成功したにせよ、その行為によって、朝鮮人は遠い将来の真の核武装のための「経験知」を、いくつか積んだことになります。これは人の脳の中に残る永久資産です。これに対して日本人にはその「経験知」は未だゼロです。
 北鮮そのものには未来はなく、金体制の消滅は時間の問題です。通常兵力による戦争を起こす体力も、もう何年も前からありません。フィズル装置の兵器化も現体制には無理でしょう。しかし朝鮮人の経験知は、体制消滅後の半島に受け継がれるでしょう。朝鮮人のビヘイビアは、こんご百年くらいでは変わらない。だから日本の首相は今日中にNPTに対する批難を公言しなければなりません。政治家は役人と違って百年後を見通して行動できないのなら、存在価値がないでしょう。
 シナ大陸の反近代主義精神と闘う気概のないヘタレの言論人が、北鮮の脅威をフレームアップすることで日本の核武装を世界に説得しようとする軽躁さは、百害あって一利ないので、わたしは過去一貫して事実に人々の注意を喚起しようとしてきました。
 北鮮の“実験”を可能にしたのは、パキスタンの核武装のときと同じく、中共です。中共はNPT加盟国でありながらNPTに二度、繰り返して世界の安全に重大なダメージを与えたことになるでしょう。
 もちろんいうまでもなく、パキスタンが核実験をしたとき、日本政府が中共制裁を呼びかけなかった卑怯が、今日の事態を招いているのです。これは今からでも遅くないので、中共制裁をすぐにはじめるべきでしょう。これを言い出す政治家がいまのところ、一人もいないというのが、あまりにもあさましい。
 反自由主義のマック憲法を小学生から高級官僚/裁判所研修生にまで丸暗記させてきた成果が、今日のありさまを招致しています。自由は、与えられることがあるかもしれないが、与えられ続けることはありえない。ひとびとが戦いながら維持するしかないものです。ところがマック憲法は、日本国民に、自由を戦って維持することを禁じた。戦後憲法の中に、日本をシナの奴隷に導くプログラムがビルトインされていたのです。とっとと廃止しなくては日本の滅びに間に合いません。
 北鮮の「脅威」は皮膚を刺す蚊のようなものにすぎませんが、シナの脅威は、脳の中に入ってくる寄生虫のように致死的です。この「脳を支配する寄生虫」を寄せ付けないために、世界に責任をもつ大国日本は核武装をしなければならないのです。
 どこの国でもすぐにできるフィズル実験を理由に、経済小国が核武装を宣言できるのであれば、世界は無秩序に向うでしょう。世界に責任をもつ大国だけが核武装している状態が、安定した、我慢のできる世界です。無責任な小国がどんどん核武装できるような理屈を、日本人が口にしてはならないのです。
 多くの「保守」評論家が、台湾にも核武装の権利があるだとか、北鮮がその弾道ミサイルに搭載できる核兵器をすでに何発も持っているだとかの、無責任な発言を何年にもわたって繰り返してきました。このような軽躁な煽り屋には、アメリカに日本の「独立」を納得させることはできません。
 1994年に北鮮を爆撃せず、シナに周旋を丸投げする「6カ国協議」でお茶を濁したアメリカの政治エリート層は、いま痛切に反省しています。いまこのタイミングなら、日本がNPTを離脱する予告の要人発言は、アメリカ国内で、うけいれられるでしょう。国際政治のタイミングは、いちど過ぎ去ると、あとから悔やんでも、とりかえすことはできません。
 日本人が自由のために闘う気概を示せないならば、アメリカはこんごもシナに周旋を頼み続けるだけです。それは誰のためになるのか? シナ人じしんや朝鮮人じしんのためにも、ぜんぜんならないでしょう。
 北鮮に資金を与えてきたのは歴代日本の国会議員どもです。次の国政選挙では、敗北主義者たちを全員、落選させましょう。


首相は「わが国の“NPT”加盟の前提が崩壊しつつある」と声明すべきである

 モノホンかフェイクか分からぬ段階ですが、分かったあとで考え始めても遅いことがあります。それは日本の国家リーダー、つまり安倍総理による「極東における日本のNPT加盟の現状に対する疑義」の声明です。
 このタイミングは「モノホンらしい放射性同位体が大気中に検知された」とアメリカから知らされてから24時間以内に行なわないと、マッチポンパーのシナのペースに日本はすぐからめとられてしまって、日本は核武装することができません。
 ここが決断のしどころです。このタイミングでのみNPTの枷は外れるのです。ここで逡巡すると、半島は核武装し、日本は丸腰という未来が待っています。いったん得られた核の知識は、朝鮮人の脳の中に残り続けるのです。
 首相は「疑義」を声明するだけで良いのです。脱退するとまで言う必要は、今はない。
 アメリカから首相官邸に調査結果の連絡が来る今夜から、明日の昼にかけてが、安倍氏が鼎の軽重を問われる勝負の秋でしょう。


特別UP版《摘録とコメント》──海は汚れない──

▼米国原子力委員会・編『原子兵器の効果』武谷三男・他訳、1951-3科学振興社・刊
 1948に編集企画。ロスアラモスがデータ協力した。
 ウラン238、235、トリウム232などが不安定なのに天然に産するのは、その半減期が非常に長いから。
 遅い中性子は、高エネルギーの高速中性子よりも原子核に捕えられる確率が大きい。
 ウラン238は高速中性子によって核分裂する。235は高速中性子によっても、また遅い中性子によっても核分裂する。プルトニウム239は、ウラン235と同じように、高速中性子でも遅い中性子でも核分裂する。
 原子番号が増すと、中性子の数も増えないと原子核は安定しない。中性子の数が増えると引力が増して、ある程度の斥力を中和する。だから、不安定で、より分裂しやすい。
 原子核の結合力は、分子の化学結合力より大である。だから、放出されるエネルギーも桁違いとなる。
 この本では、広島原爆と長崎原爆はキッカリ20キロトンの出力であったと仮定し、それを標準(ノミナル)原爆として話をすすめる。
 ウラン235の1kg(2.2ポンド)が完全に核分裂すると、20キロトンのTNT爆発と等しいエネルギーが出る。だからノミナル原爆を想定すれば話としては都合が良い。
 このノミナル爆発のエネルギーは、2×「10の13乗」カロリーである。
 弱い地震のエネルギーは、ノミナル原爆の100,000,000個分のエネルギーに等しい。
 ※まだ臨界量という訳語はないようで、「限界の大きさ」と書いている。
 ウラン238は、中性子を吸収する非核分裂をかなりの程度おこなう。これが核分裂と競争すると、連鎖反応は不可能になる。
 核分裂で飛び出す中性子は高速だが、低い原子番号の原子核に衝突すると著しく遅くなる。※原発の減速剤に重水が使われている理由。
 プルトニウムは「パイル」または「ニュークリアリアクター」でつくる。同位元素235と238を含む純粋のウランの棒を石墨[ママ]の枠組みの中に挿入する。※黒鉛と表記されるべきか。ただし黒鉛は炭素であって鉛と関係ないからこの訳語自体も科学的でないきらいがあるが。
 原子雲の上昇速度は、高度1万フィートでは毎時200マイル、高度3万フィートでは毎時12マイル。
 出力が大きいほど、この雲は高く上昇する。アラモゴルドでは4万フィートまでであった。
 大きな森林火災や、ヨーロッパの都市に対する大空襲のあと、軽い驟雨が降っている。
 ビキニのエーブル実験でも2~3時間後に軽い驟雨があり、弱い放射能を含んでいた。この「雨」の放射能は人を病気にさせるほど強いものではない。
 海軍が海面の波を油でしずめることをオイルスリックという。海上核爆発でもこのスリック海面がまず広がる。
 海上核爆発では、<落下する水しぶきのぶ厚く高い円筒壁の輪>=ベース・サージが、高速でまわりに広がる。この現象は、1947年のテキサスでの大量の通常爆薬の水中爆発のときには観測されていない。核爆発のときだけに観察されるものである。そしてベイス・サージの水滴は強い放射能を含んでいるから、これを被った船舶や陸上の建物は、強い放射能で汚染されてしまう。
 都市に対する核攻撃でおそろしいのは、このベースサージをわざと発生させるように、都市に近接した河川や海の水中で弾頭を炸裂させることだろう。都市は高濃度に汚染されてしまう。ただし破壊される範囲は狭くなる。
 ノミナル爆発でのベースサージの壁の厚さは300フィート。
 ノミナル原爆で最大の毀害面積を生じさせるためには、高度2000フィートで爆発させる。ただしその場合、その直下の地表でも、核シェルター用によく設計された鉄筋コンクリート建物ならば、破壊されず、内部の人間は守られる。
 ノミナル原爆の火球は1,000,000℃に達するが、この起爆高度が低すぎて火球が大地に接すれば、土壌を蒸発させるために、厖大なエネルギーを消費してしまう。そのため、水平方向への衝撃波や熱放射は半減してしまう。
 粘性の湿った土は、軽いローム質の土壌よりも50倍もよく地中爆発の衝撃波を伝播する。
 煉瓦構造の壁は爆風にまったく抗堪できない。ガラス窓はまちがいなくすべて破壊される。建物に風が通り抜ける通路があると抗堪力が増す。
 ※戦前の日本では台風の暴風雨圏に入ると木造3階建ての大きな学校校舎は倒壊をさけるために窓を全開にしていた。もちろん休校。
 爆風波は1秒も持続する。通常の爆弾なら千分の一秒である。
 鉄骨ラーメン構造の工場は、屋根が剥がされ、鉄骨が曲がる。
 最も重大な結果は、各所で水道管が破壊され漏水するので、消火栓の水圧がゼロになってしまうこと。
 163ページ。丘陵で保護され無傷で済んだ長崎市内の住宅地の写真。※この写真が戦後、流布していないことこそ、情報操作である。
 広島よりも長崎の方が生じた荒廃の面積がより小さかった。
 広島ではグラウンドゼロから8000フィートにおいても屋根瓦が飛んだ。
 広島のグラウンドゼロから700フィート水平に離れた地点にあった地上3階建ての鉄筋コンクリートビルの写真。外壁は窓以外はなんともない。屋根だけが内側に凹んだ。ただし屋内には火災が生じ、可燃物が燃え、これによって漆喰が剥げ落ちた。
 関東大震災以後、法令が整い、1945時点で日本の建物は「100尺規定」があった。すなわちビルを100フィートより高く造る事はできず(旧丸ビルの高さ)、また重力の0.1倍の横荷重に耐えるように定められていた。これは核爆発の横風に十分に耐えられた。
 177ページの写真。破壊された工場の内部。当時は工作機械毎の電気モーターではなく、工場のどこかの単一動力源からベルトをリレーして工作機械を駆動していたことがわかる。このベルトのリレーの位置関係が爆風でずれるから、機械はまったく使えなくなる。
 またベルトは頑丈なので、建物が爆風でぐらつくと、機械をひっぱりあげる作用をし、土台からずれさせてしまった。
 鋼鉄鈑金製の煙突は壊れた。鉄筋コンクリート煙突は残った。
 グラウンドゼロから260フィートの鉄筋コンクリート橋梁はビクともしていなかった。
 土壌は、半径2000フィート以内では、最大1フィート、沈下した。この沈下が場所によってまちまちなので、埋設水道管が破損した箇所があった。
 爆心から6600フィートにあったガスタンクは破壊されガスに火がついたが、爆発はしなかった。
 アメリカ製の自動車は、爆心から3000フィートにおいて、おおきなダメージを受け、燃えた。
 18インチの覆土をしただけの、木枠組みの浅い防空壕は、爆心から900フィートから無傷のものが見られ、半マイル以上になると、被害をうけたものはなかった。
 長崎では爆心から8500フィートまで家屋の構造上の重大被害あり。広島では7500フィートまで。※リアル出力の差による。長崎の方が強力な爆発だった。
 ノミナル原爆が地下40~50フィートにめりこみ、そこで起爆した場合は、空中爆発にもとづく被害半径の「1/2~2/3」の半径にわたって被害をひきおこすだろうと予測される。
 このとき、もし深いところに岩盤が存在すると、衝撃波が反射するため、被害面積は広がる。
 もし地中50フィートでノミナル原爆が炸裂した場合には、直径800フィート、深さ100フィートのクレーターができる。吹き上げられた土は風下1マイル、風上0.2マイルに落ちる。
 ノミナル原爆を水中で起爆させると、半マイル以内の軍艦に対してひどい浸水被害を与えることができる。その最も適当な起爆水深は、水面下「1/4」マイルである。
 海水の浅いところでノミナル原爆を炸裂させた場合、爆心から2700フィート内にある潜水艦は、沈没するだろう。
 原爆のガンマ線が大気の酸素と作用してオゾンができる。このオゾンは赤外線を吸収する。また水蒸気は紫外線を吸収する。
 衝撃波によって衝撃をうける面積の比は、近似的に、爆弾のエネルギー放出量の「2/3」乗に比例する。
 広島と長崎の爆発は上空2000フィートで行なわれた。直下の地表部では瞬間温度がおそらく3000~4000℃になったろう(pp.233-4)。※高性能爆薬が近くで爆発したときの温度と桁違いに異なるわけではない。フォークランド海空戦でアルゼンチンのミサイル攻撃で大火傷を負った英艦乗組員の画像を参照すると納得できる。
 白い衣類の熱線火傷に対する皮膚の防護効果は顕著だった。爆心直下ではダメだが。
 白地以外の衣類は、熱線火傷を防いでくれなかった。模様の部分もヤバイ。
 原爆の赤外線の大部分は、爆発してから0.3~3秒後に放射される。だから、爆発に気づいて1秒以内に防禦することができれば、無防備で立ち尽くしていた場合の1/3の赤外線を浴びるだけで済む。
 火災によってひどい被害をうけた地域は広島では4.4平方マイル。これは長崎の4倍である(p.250)。※出力の差からは説明できず、地形の差がこれを説明する。
 広島では爆発後30分でファイアストーム現象が生じた。周囲から風がふきこむ現象で、2~3時間持続した。この風は、火事の延焼を外縁方向には阻止するはたらきもしたが、ストーム内部は家屋は丸焼けとなった。
 閃光熱と火災。これによる火傷による死者が、広島でも長崎でも、全死者の半分以上を占めたはずである。また全負傷者の原因の3/4を占めた。※民間防衛は第一に大量火傷患者の救済対策を立てねばならない。
 水中または地中爆発では初期放射能はすべて吸収されるので、二次放射能だけが問題となる。
 ふつうのコンクリートはアルミニウムと同じ比重。したがってコンクリートとアルミの放射能防護力は同じである。だからもし、厚いコンクリート壁と薄いアルミ壁があったらば、厚い方の壁に依るべし。
 ガンマ線を防ぐためにある重さの鉛が必要だとしたら、同じ効果をコンクリートで得るためには、その必要とされた鉛の重さと同じ重さだけのコンクリートを打つ必要がある。
 ガンマ線の強さは、その発生源からの距離の2乗に逆比例していると考えればよい(pp.272-3)。※すなわち可視光線の法則と同じ。
 ノミナル原爆の場合、距離2100フィート以内では、衝撃(物理)的&熱的な破壊作用が圧倒的なので、放射能対策よりもそちらを先に考ることだ。また9000フィート以遠では、輻射線の被害はほとんど生じない。ただし数発の核爆発が繰り返し起きれば、その距離でも被曝量は無視できなくなるが。
 ノミナル原爆の爆心から2100フィートにおいて、ガンマ線を400レントゲンの致死的被曝量以下に抑制するためには、厚さ20インチのコンクリート、もしくは3インチの鉛の壁が必要である。
 固めた土のブロック効果はコンクリートの0.6倍だと計算すればよい。だから30インチの厚さで覆土すれば、その防空壕は、20インチのコンクリートの天井を持ったと同じことである。
 これが核シェルターの最低設計基準となる。
 ノミナル原爆から出る中性子は、半マイル以内の暴露人体に対しては致命的である。中性子は1秒で2000フィート到達するので、半マイル以内で爆発を目撃してから防禦することは不可能。
 中性子からの防禦のためには、セメントの中に、褐鉄鉱、磁鉄鉱などの酸化鉄を多量に加えたり、鋼の砕片を混ぜると効果的である。
 速い中性子は、遅い中性子の5倍ヤバイ。グラウンドゼロから2400フィート離れた場所では、厚さ18インチのコンクリートが、速い中性子を十分の一に減らす(p.289)。
 遅い中性子は、空気中で散乱をくりかえしながら地表に到達するので、一枚壁でのブロックは不可能である。つまり、頭上や横合いや背後からも飛んでくる。よって、天蓋つきの全周シールドの中に入っていなければ防げない。
 尤も、速い中性子やガンマ線や赤外線火傷や飛散物を防いでくれるから、完全暴露よりは一枚壁に依った方が、随分有意義だ。
 ノミナル原爆の空中爆発の場合、空中で発生した、もしくはばら撒かれた放射性物質は、人員殺傷原因としては無視できる。
 中性子をうけた物が放射性を帯びることがある。この現象は木材と繊維では無視できる。ガラスはやや注意がいる。
 ノミナル原爆では、ウランにせよプルトニウムにせよ、じっさいに分裂するのは1kgで、他は飛散する。が、火球がそれを高空までもちあげてくれるので、飛散したプルトニウムによっては、地表に有意味の被害は生じない。
 100kgのプルトニウム239は6000キュリーのアルファ線を出す。同量のウラン235は0.2キュリーにすぎない。
 アルファ線は、たった2インチの空気で吸収されてしまう。また、普通の衣類は貫通できない。それゆえ、プルトニウムやウランが地表に露出して在ったとしても、人間に害はなかった。
 アルファ線がヒトにとって致命的になり得るのは、それらの放射線源が肺に吸収され、血管内に入った場合である。また、胃腸の中に、プルトニウムの混じった飲食物が入り、血管に吸収された場合もヤバイ。それらはラジウムと同じく骨に集まる。そして造血作用を阻害する。
 核爆発の技術が未熟で、高空で100kgのプルトニウムが飛び散ったとしても危険はまず無い(p.301)。※ダーティ・ボムの限界。それは食品汚染をしない限り意味はない。
 プルトニウムで地球全体を危険にするには何百万のノミナル原爆を炸裂させなければならない(p.313)。
 ノミナル原爆の火球は半径500フィートになる。
 長崎ではグラウンドゼロから半径2000フィート以内に核分裂生成物のだいたいが残ったが、爆発の数分後でも、その地域に放射能による危険はなかった(p.315)。
 中性子が海水に当たるとナトリウム24という放射性同位体ができる。この半減期は14.8時間である。つまり海水も長期間汚染はされない。
 水中爆発ではほとんどの中性子は水素に吸収され、放射能をもたない重水をつくって終わる。
 また熱エネルギーが水に奪われるので雲も高く上らず、したがってフォールアウトは半径数千ヤードにすぐ落下する。
 ノミナル原爆が空中爆発した場合、6時間経てば、その地表を歩いて避難しても危険はない(p.317)。
 直径5ミクロンより小さい粒子はブラウン運動に翻弄されるので空中から地表になかなか降ってこない。
 直径1ミリのフォールアウトは風速10マイル/時だと4マイル風下に運ばれる。
 水中核爆発のベースサージの放射能は、爆発後1分と4分の間で400分の1に減る。つまり要警戒なのは爆発してから4分までである。この間には霧を浴びないようにする。
 ノミナル原爆が地中50フィートで爆発すれば、クレーターの直径は800フィート、深さは100フィートになるだろう(p.335)。
 その地域は強い放射能で汚染されるので、何時間たっても、自動車で通過することも薦められない。
 ベータ線を出す放射性物質は、皮膚に密着させたときが危険である。もし皮膚についたら、家庭用クレンザーで洗いおとすべし。それがない緊急の場合は、紙、藁、木の葉、砂などで力いっぱいこすって皮膚から取り除け。ただし皮膚を傷つけてしまっては何にもならない。
 放射性に汚染されたモノを焼却しても放射能はなくならない。だから焼かずに土に埋めること。
 水は蒸留すれば放射性の塩分や残滓物は残されるので飲用できる。ただし加熱沸騰させても放射能は消えはしない。そこを勘違いしないこと。
 建物や船の放射能を洗浄しようとする場合、作業は、より被曝の少なかった内部から始めるべきである。
 露出したコンクリートが汚染された場合は、塗れた砂の吹きつけ(サンドブラスト)が除去に有効。
 漆喰の壁が汚染されたら、ぜんぶ取り除くしか方法はない。
 缶詰の中味は核戦争後も安全である。食べてよし。
 土壌表面は、1フィート厚の客土をすればよい。深いところの土と入れ替える。
 貯水池が核攻撃された場合は、その水は、数日間は使わない方が良い。
 長崎では爆心から14000フィート離れたところで、広島では12000フィートはなれたところで、熱線火傷患者が出た。※出力の相違による。
 日本人は白人よりもケロイドがおきやすい。焼夷弾空襲でもケロイドになっている(p.396)。
 イペリットも皮膚の変色をきたす。
 4年間の追跡調査の結果、ヒトの眼は原爆の放射線からほとんど障害をうけないらしい(p.398)。
 人体内に吸収されるベータ線の危険度を1だとすれば、ガンマ線も1、アルファ線は10~20、遅い中性子は5、速い中性子は10である。ただし空気や衣服や皮膚を貫通する力が、ガンマ線と中性子は桁違いに強いのだ。
 アルファ線は皮膚すら貫通できない。だからのみこまぬ限り安全なのだ。
 5ミクロン以下の塵だと肺から血管に簡単に入ってくる。その塵がアルファ線を出している場合は、危険である。
 手に大量のベータ線があたると、数日して手がはれあがる。それは数週間で水泡潰瘍となる。
 放射能に被曝して4カ月いきのびれば、助かったと言える。
 下痢がなかなか治らなかったら腸管が障害を受けている可能性がある。
 放射線を死ぬほど浴びると咽喉のリンパ組織に腫脹ができる。これは疼痛性で厄介である。呼吸にも嚥下にも苦しむ。そして細菌感染もしやすい。
 脱毛開始は13~14日目から。2週間で止まる。
 永久的な禿は生じない。
 腎臓は放射能に対して例外的に抵抗力があるらしい(p.423)。
 放射能を浴びてから3か月の間は子供をつくらないこと。二十日ネズミの実験によれば、一定期間後ならば催奇性はみられなくなる(pp.427-8)。
 都市内の防火空地は、最低でも巾100フィートないと無意味である。
 すべての消防署は、厚さ2フィートの鉄筋コンクリート造りとすべきである(p.454)。
 458ページ。長崎のグラウンドゼロのごく近くの丘の側面の避難用横穴の写真。この中にいた人は無傷で助かったと。※この写真が戦後、流布していないのも、情報操作である。
 半地下の群集避難所も有効である。※スタジアムは半地下とするがよい。
 2つの市の現地調査によれば、シェルターに扉が設けてなくても助かった例が多い。扉の有無よりも、入り口を外部に対していちど直角にまげておく配慮が、はるかに重要だった。
 ガンマ線より熱線の方がはるかに遠くまで届くので、とっさに伏せる行動は無意味ではない。伏せたら10秒間は立ち上がらないこと。
 爆発後、1分間は、窓に近寄るな。すごい風がくるから。
 爆発地点の上空を飛行機に低空でパスさせてガンマ線を計測すれば、汚染強度はおおよそ把握できる。
 ズボンのすそは長靴の外側で縛り付けろ。すきまからチリが中に入らぬように(皮膚に密着させることが危険なので)。
 避難時の手袋は軍手で十分である。頭は毛髪を完全に帽子か布でくるむように。そこにチリをつけないように。
 爆発の初期に放射能を被曝してしまったら、その後の比較的に弱い被曝線量のことなど気にせずに、地上を歩いてでも早く安全地帯に脱出して治療をうけろ。爆発の初期に被曝を避けられた人は、しばらくシェルター内に籠って、線量が自然に十分に減ってから地表を移動した方がよい。
 地球の全耕地をプルトニウムで汚染し、栽培された穀物を1年間摂取すれば危険なレベルのプルトニウムが体内に残る、という環境を作為するためには、ノミナル原爆を75万5000発、同時に爆発させる必要がある──という計算根拠(pp.507-9)。
※「没シナリオ」に使ったデータを一部割愛しています。


無責任なTBSのあおり報道

 毎朝、ネット上に配信されている四大新聞と首都民放TVキー局(ただしテレ東はサービスが無い)の最新ニュース・ヘッドラインをブラウジングしているわたしですが、毎度ながら、北鮮の核ブラフ/ミサイル・ブラフの片棒を担いでいるとしか見えぬのがTBSです。この局は、内部に総連系の工作員でも飼ってるんじゃないか? 奇怪すぎる。
 『SAPIO』系の軍事評論家のひとたちも、北鮮が原爆を兵器として持っていると、何年も前から、現在まで、相変わらず絶叫してますよね。兵器を爆発させるのに、なんで「準備」が要るの? 「予告」が必要なワケ?
 これらのふかし(宣伝)そのものが、北鮮が核武装できてないって証拠でしょ? 頭に虫わいてるんじゃないか。
 不意にドカンとやったあとに「持ちました」と放送するだけでいいでしょ? 国外で爆破テロや誘拐を平気でやらかし、ミサイルを何発も平気で発射できる国が、どうして国内での爆発テストをためらうと思いたいのですかね。そんなにあなた方はマッチ・ポンプして儲けたいのか。
 中西輝政先生。情報、情報と強調なさっていますが、その前に、ヤクザのかけひきってやつを勉強した方がいいですよ。あなたが「北鮮も核武装している」と真顔でお書きになる度に、日本は米国のパワー・エリートから蔭で哂い者となるんですぜ。それが回りまわって、シナから日本が舐められる一因となるんです。
 2人のストレンジャーがいるとします。1人は、かつて街で一、二回、拳銃を発射したことがある前科モノ。もう1人は、その種の前科は皆無ですが、口では「オレはハジキも持ってるんじゃ~!」と、しじゅう怒鳴りまくってます。どっちから「拳銃を撃ち込む」と脅されたときに、みなさんは本気で対策を考えようかという気になりますか?
 すぐに実験しそうにないとの米国報道が伝わると、すかさず「11月にやる!」だ?
 笑かすんじゃね~よ。


驚くべき完成度じゃった~~

 BIGLOBEで『Thunderbirds』(※これを「雷鳥」の意味で外人に対して使ってもまったく通じましぇんから)の無料配信をチビチビとやっているので、懐かしさのあまり昨日、2つのエピソードを続けて見ちまいました。内容の高さにはブッ飛びました。
 そしてこれもいつも痛感することだけれども、ガキの頃リアルタイムでTVドラマや映画をいろいろみていたが、その深い意味はぜんぜんとれちゃいなかったのだな~──と再確認。40歳すぎないとわからんことってあるよネ、やっぱし。
 まあわたしの場合、そもそもあの悪党にテレパシーであやつられる弟と、ぺネロープの執事のパーカーのキャラの区別がつかなくて、その設定に非常に悩まされたものです。どうやら別人だったのか。てかパーカーはもとヤクザかよ。
 それと「ブレインズ」はドモリのキャラだった! それを和訳すると「あの…」となるわけだ。邦訳も苦労してるね。リアルだわ。
 それで、「CRY WOLF」(直訳すれば“狼少年”)というエピソード、なんと、オーストラリアの沙漠のまんなかでアメリカの偵察衛星からの画像情報信号を受信する秘密の家が舞台ですぜ。これを子供向きのマリオネーション・ドラマで見せてたってんだから凄すぎますぜ。
 救難組織に対して、いたずら電話はかけるなよ、という社会教育もしてます。
 もう一本はタイトルを見損なったが、無人運転の超高速「モノ・トレイン」(懸吊式モノレール)の制動装置が欠陥で、壊れた鉄橋の前で止められず、社長と見学者が死にかかるという話。たまたまドイツのリニア実験線事故があったから、シャレになっとりません! 感心したのは、シティの「投資勧誘」について子供に教育する内容になっている。しかも、笑いも取る。この達人!
 おそらく『サンダーバード』シリーズの日本放映からもう数十年経つはずですが、少年に社会教育をし、しかもSFサスペンス・ドラマとして十分に盛り上げることのできた企画は、日本製には皆無のはずです。
 30分でいろいろな情報を盛り込みながらハラハラさせたり笑わせたりするってのは大変な脚本スキルです。いかに時間の進行を短縮してみせるか。動作や反応の連鎖の途中を省略して切り替えたシーンでオーディエンスをアッといわせるか。その技法の見本をみせてもらいました。こういう名作は不滅だぜ。