1日に100万バレルを輸出していたロシアの軽油の生産量が急減。

 精油所へのドローン特攻が効きまくっているらしい。

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 Joseph Trevithick 記者による2024-3-13記事「Phalanx CIWS Costs $3,500 Per Second In Ammo To Fire」。
   CIWSの20mm弾の値段。現今の主力弾薬は、サボの中にタングステン弾芯が入った「マーク244 Modゼロ」、別名ELC(破壊力強化弾)で、こいつは炸薬ゼロ、焼夷剤もゼロだが、1発で45ドル84セントする。それを毎秒75発、発射する。だいたい2秒のバーストで7000ドルという勘定になる。

 この価格は、海軍がまとめたFY2025の予算要求書から判明した。

 ファランクスは、独立した捜索レーダー、独立した照準レーダー、さらに光学/赤外線照準具を備えているので、艦のレーダーが止まっているときでも、ファランクス単独で防空戦闘ができる。

 発射速度は毎分4500発、もしくは3000発の、2速切り替え式である。

 対艦ミサイルを迎撃するのが主務だが、今日では、特攻ボートも狙える。

 ファランクスのバーストは基本的に2秒間である。そのあいだに20mm弾が150発、飛び出す。
 弾倉には1550発、入っているから、4500発モードなら2秒バーストを10回、繰り返すことができるわけだ。

 かつてはCIWSはELCではなく「マーク149」という榴弾を発射していた。ELC弾は分離サボの中に入っているのだが、弾重は「マーク149」より48%も重い。しかも高速だから、「集束性」が向上したわけ。

 ファランクスを陸上向きにした「C-RAM」、別名センチュリオンが発射する弾薬は、「M940」という多目的弾で、炸薬+焼夷剤+タングステン芯。空中の標的(敵の迫撃砲弾など)に当たらなかったときは、地上に落下する前に自爆する。

 「M940」は1発が80ドル70セント。これも陸軍のFY2025予算要求書から判る。

 ちなみにF-15Cが940発抱えて飛んでいるバルカン砲の20mm弾は、「PGU-28A/B」という徹甲+炸裂弾で、1発34ドル。F-16はこれを511発抱えて飛ぶ。

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 The Maritime Executive の2024-3-14記事「U.S. Calls on Panama to Withdraw Registry of Tankers Carrying Iranian Oil」。
    米政府はパナマ政府に対して、イラン原油を運んでいるタンカー6隻について「パナマ船籍登録」から外すように要求した。

 パナマ船籍の商船は、総トン数では今やリベリア船籍の商船に抜かれている。それでも2023年時点で8500隻以上がパナマ国旗を掲げて走っている。

 イランやロシアは「船籍ホッピング」によって国連制裁を逃れようとしている。ロシア船はガボン国旗を掲げることがこの頃では増えた。

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 2024-3-14記事「Russia produces about 250,000 shells per month」。
   CNNの報道によるとロシアは月産25万発のペースで野砲用榴弾を製造中だという。

 すなわち1年で300万発となるが、これに対して米国と欧州を合わせても年産120万発にしかならない。

 米政府の計画では、2025年末になってようやく、月産10万発になる。ロシアの半分以下だ。

 ウクライナ戦線では現在、露軍は毎日1万発の砲弾を発射している。対する宇軍は毎日2000発を発射している。

 ※宇軍は壊れたM777の部品を数門分、寄せ集めて、1門のつぎはぎM777を組み立てているという。タマをやたら撃つのはいいが、大砲もじつは消耗品だから、じきに壊れてしまうのだ。そこで英政府は調達を打ち切った牽引榴弾砲の製造もまた再開しなくてはならないと考えている。


露文SNS上のルーモアによると、ゲラシモフ参謀総長は解任された。その職務は Viktor Poznihir 中将が臨時代行している、と。

 Aaron Mehta 記者による2024-3-12記事「America’s newest nuclear warhead will cost under $100M to produce, budget docs show」。
   今、開発中の、B-2戦略爆撃機から投下する水爆である「B61-13」は、予算文書によると、1発9200万ドルと安い。

 ちなみにF-35Aは、「B61-12」を投下できるが、「B61-13」は運用できないという。
 「B61-13」は地下構造物の破壊を特に念頭しているという。

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 ストラテジーペイジ の2024-3-13記事。
   中国国内に事業所を構えた米資本企業が今どのように困っているかを正確にリポートした外資系コンサルト企業が、中共政府から罰金150万ドルを科せられている。中国では、中国の悪いところを正確にリポートする行為は、犯罪であると法律で定められているので。

 中共警察は2023年に北京に所在する7つの米国系企業を襲撃して複数人の従業員をスパイ罪容疑で逮捕連行している。これは駐北京の米国大使が明らかにしている事実。

 特に狙い撃ちされているのが米支本の「Mintz グループ」だ。これまで5人の中国籍スタッフが逮捕され収獄されている。オフィスも閉鎖を余儀なくされている。そして100万ドル以上の罰金を科せられている。
 2023年5月、中共国営TVは、米国系コンサルティング会社の「Capvision」に警察隊が突入する模様を放映した。中国の悪いところを悪いという外資はこうなるのだと吠え立てた。

 「Capvision」は全世界に展開する企業で、どの国が海外からの投資にオープンなのかを外国投資家に教えるのが仕事である。

 同社は、中共は外国からの投資には実態としてフレンドリーではないと報告した。

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 Thomas Newdick, Tyler Rogoway 記者による2024-3-12記事「Russian Small Diameter Bomb-Like Glide Weapon Appears In Ukraine」。
    ロシアもたちまちのうちに、細形投下爆弾をグライダー化した新弾薬を戦場投入してきた。
 空対地式にも、地対地式にも投射できるという。

 一説に「FAB-250」をベースにして有翼化したという。

 しかし一部の観測者は、「KAB-250」をベースにしているのではないかという。こちらはもともとレーザー誘導爆弾であった。それをグライダー化したというのだ。

 記者も「KAB」説を支持したい。
 サイズが、米軍の「GBU-39 小径爆弾(SDB)」に近似している。

 ※このスピード感は中共並じゃないか。風邪でもひいたのか?

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 Defense Express の2024-3-13記事「Shahed-136 Potentially Got DGPS Navigation Units: Why russians Install Them and What Advantage They Offer」。
    墜落した「シャヘド136」に、今までは見られなかったボックスが搭載されており、どうも「ディファレンシャルGPS」を使う誘導システムではないかという。


旧型ATACMSを含む3億ドルの武器供与をバイデン政権は追加するという。

 LEARN MORE 記者による2024-3-11記事「Russia Weighs Post-Election Tax Hikes to Fund War in Ukraine」。
  プー之介は大統領選挙後に、税制を全面改革すると公言している。
 個人所得税と法人税は、増徴される。

 それによって国の歳入を4兆ルーブル=440億ドルにしたいのだという。

 おそらく現行15%の個人所得税は20%になるであろう。これで500万ルーブルの増徴となる。
 また法人税は現行の20%から25%になるであろう。これはロシア国内の消息通が語っている。

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 Ellie Cook 記者による2024-3-11記事「How Russia’s Deadly FAB-1500s Could Change Shape of War」。
    ソ連時代からある重力投下爆弾としては「FAB-250」「FAB-500」があり、後者はすでにアウディウカ戦線に投下する滑空爆弾の材料として使われているが、最近、「FAB-1500」がそのラインナップに加わった。

 正確な重量は、1550kgである。

 ウクライナ空軍は、露軍が「FAB-500」を滑空爆弾に改造中であるという情報を2023-4に得ていた。

 専門家によると、「FAB-1500」の誘導機構は優秀で、狙ったところから10m以内に落ちているという。

 重力落下爆弾を有翼爆弾化するキットを「UMPK」という。これはずっと以前からあったが、ロシアは2023年夏にその精度を向上させる改型を出してきた。

 ※西側の軍需工業は、不甲斐なくも、155ミリ砲弾の急速増産はできないということが分かった。だったら、戦艦大和と同じ発想が残されているはずだ。個数で対抗できないなら、1アイテムの「圧倒的サイズ」で勝負したらよい。800kgのバイナリーの気化燃料を爆発させたときの威力がだいたいFAB-1500相当になるから、その2倍以上の燃料爆弾を、3Dプリンター製のモーターグライダーに詰め込む。フィリピンあたりのガレージでも大量製造できるはずだ。比島には労働者が余っている。

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 2024-3-12記事「Scientists Make Biodegradable Microbeads From Cellulose」。
   ゲル状の洗髪剤、歯磨き粉などの質感を向上させるために混ぜられている、径0.5ミリ未満のマイクロビーズを、プラスチックではなく、生分解性のセルロースから造り出すことに、英国バース大学の研究室が成功した。

 このサイズのプラスチック粒子は下水処理場のフィルターなどを通り抜けるから、最終的に海に流れ込み、まずいことになっていた。

 ※セルロースをナノ化する研究は日本のどこかで先行して進めていただろう? それとどう違うのだ?

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 2024-3-12記事「Ukrainian Military Shoots Down DIY-Upgraded Russian Drone」。
  さいきん撃墜した「シャヘド136」が、ロシア人の手によって改造されていたことが判明。

 胴体にビデオカメラと通信機材が増設されていた。

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 ストラテジーペイジの2024-3-12記事。
   北鮮の軍需工業は、電力不足、原料不足のためもあって、全力操業の3割しか稼動できていない。

 せっかくロシアから、食糧とひきかえに大量注文を受けたのに、それにフルに応えることができない。倉庫の古い在庫をひきわたしたあとの、新品の納品ができずにいる。

 152ミリ砲弾や、多連装ロケット弾の増産に必要な金属も火薬類(発射推進薬と炸薬)も足りないという。


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 Boyko Nikolov 記者による2024-3-12記事「Captured by Russians Leopard 2A6 tank raises operational questions」。
    3月10日にロシアのSNSに、車体後部右側面を損傷した「レオ2A6」の鹵獲品写真が出た。
 この写真について独誌『Bild』は、ホンモノだと請合った。「2A6」は18両がウクライナに与えられており、そのうちの1両だという。

 アウディウカ近くで露軍の歩兵がこの戦車を待ち伏せ襲撃した戦果だという。乗員は逃げたという。

 現状、宇軍が受領している「レオ2」は、高段階整備が頻繁に必要であり、その修理拠点はリトアニア国内にあるという。

 ※こうなることをドイツ人は最初から予見できたので、M1のあとからでなければレオ2は供与しないと言っていたわけ。内心では『それみたことか』と思っているだろう。


クリミア半島内の「Simferopol」市に、露軍が「移動火葬装置」を搬入した。

 ウクライナ系パルチザンの「Atesh」が報告している。
 この移動焼き場は、外見は商用大型トラック(パネル荷台)だが、中味は焼却炉なのである。

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 Alex Babenko 他の 記者による2024-3-11記事「Exhaution, dwindling reserves and a commander who disappeared: How Ukraine lost Avdiivka to Russia」。
  いかにしてアウディウカは陥落したか?
 ある旅団は同じ街区の工場建物を数ヵ月間、休息無しに守備していた。別な旅団は開戦いらい2年間も、交代無しで陣地にはりつけられており、ヘトヘトに消耗していた。

 弾薬は乏しくなっていた。露軍は「滑空爆弾」を、こっちの築城陣地に叩き込んで来る。

 露軍の地上突撃は波状だった。まず第一波は徒歩の素人兵。軽武装で、その任務は、ウクライナ軍に稀少な弾薬を消費させることにあった。

 第二波は、かなりのベテラン兵たちだ。この第二波に同期して、トンネルから奇襲的に特殊部隊が湧いて出たり、潜伏していた「第五列部隊」が後方で騒ぎを起した。特殊部隊は、少し狙撃を加えるや、また地面の穴の中に消えてしまうのであった。

 士気の急落した大隊長が、2人の部下の兵隊を引き連れて、どさくさにまぎれて前線から自動車で逃亡する事件も起きている。部下数百人が置き去りにされた。逃亡3人組の1人は射殺体で発見された。大隊長ともうひとりの兵隊はいまだに見つかっていない。奔敵したのだ。それはアウディウカが陥落する数日前のことであった。

 総司令部として、死守命令を出すのは簡単だが、そうするとマリウポリの二の舞になる。マリウポリでは数千名の兵隊が捕虜となった。今回は、その事態を避けさせた。

 2年間、塹壕を掘り続けたという兵士の話。2年間、人力の円匙しか土工具が与えられなかったという。露軍は2014年からアウディウカを狙い続けているのだ。にもかかわらずウクライナ政府は、この方面に塹壕工事用の「重機」を送らなかったのだ。

 おかげで多くの塹壕は「膝の深さ」しかなかったという。これでは一時的な退却が必要となったときにも、第二線の陣地で踏みとどまることができず、とめどない敗走になってしまう。

 11月に、ハッキリと流れが変わった。露軍は、古い在庫の投下爆弾をグライダー化して、次々と落下させてきた。グライダー爆弾が空を覆い尽くしたように見えたという。また、ビルの内部に籠もるこっちの守備兵を熱線の動くイメージで探知してそこに半自動的に自爆ドローンを突っ込ませてきたという。

 宇軍は在庫のあらゆる口径の砲弾を手当たりしだい発射した。射表が異なるから、それらは命中など期待できない。乱れ撃ちだ。それに対する露軍の撃ち返しは、8倍から9倍の弾数であったという。

 1月に入ると、グライダー爆弾は連日、数十発、落ちてくるようになった。
 ある兵士は、じぶんの立哨中に74回の空襲を数えた。

 一中隊長いわく。宇兵はさすがに、敵の砲撃にはもう慣れていた。しかし、グライダー爆弾による空爆には慣れることができなかった。爆発威力が砲弾とは桁違いであり、これが味方の士気を沮喪させた、と。

 このような情況では最前線の守備兵はローテーションで後方に下げて休息させなくてはいけない。ところがその交代部隊はいつまで待ってもゼロだった。

 最前線の無人機部隊(旅団麾下)が退却するときは、資材を敵手に渡さないように、徹底して破壊せねばならなかった。装甲車に積み込める機材は、ぎゅうぎゅう詰めに積み込んで、脱出した。

 露軍による無線傍受を回避するために、命令伝達は極力、直面談とした。コークス工場を放棄して一斉に離脱する段取りの相談が、殊に守秘の必要があった。

 ※タマが無いならますます穴を掘らねばならない。ところが、攻め手の露軍はそれをやっているのに、守り手の宇軍がそれを2年間サボっていた実態が、判明した。いったいどういう軍隊なんだ? ハマスやヒズボラにはできることを、なぜかウクライナ人はできないらしいのである。

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 Peter Weber 記者による2024-3-8記事「How the US quietly became the world’s top oil producer」。
   最新統計によるとアメリカ合衆国は現在、世界最大の原油生産国となっている。

 10年前には、まったく考えられなかったような事態だ。採掘技術がハイテク化したのが背景。昔のようにやたらめったら新規の井戸を別の場所であらためて掘る必要がなくなったのだ。米国内の油井に関しては。

 このことがバイデン政権にはたいへんな外交オプションを与えている。内政でも、ガソリン価格を引き下げて国民の生活を楽にしてやることができる。だが、恩知らずにもバイデンとそのとりまきは、原油やガスの採掘そのものに大反対なのである。気候を悪くするというので。

 ※予告。『自転車で勝てた戦争があった(仮)』(並木書房)は、現在、驚異的なスピードで編集作業が進んでいます。皆さんの予想よりも早く、書店に並ぶ可能性があります。中味はまさに《驚きの連打》で《旧套解説の陳腐化》を斯界にもたらすことはお約束します。お楽しみに!


輸送機からダイレクトに撒布しても下界に特段の不都合が生じない、特別あつらえの専用レーションを開発する必要がありそうだ。

 中味は、水でふやかしても、乾燥したままでも嚥下できる、オートミール系がいいだろう。
 湿気にやられるといけないので、真空パックの小分け包装にする必要はあるだろう。
 形状は、タブロイド新聞に似たシート状とし、強制的に空気抵抗を生じさせる如くし、いかほど高空から投下しても一定の落速以上には加速することなく、地上の人畜に危害が生じ難いように設計せねばならない。

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 Defense Express の2024-3-10記事「Ukrainian Tank Crew on Pros and Cons of British Challenger 2 and Number of These Tanks Still in Operation」。
    ウクライナ軍に対する、西側戦車供給のさきがけとなった「チャレンジャー2」。
 今、宇軍は14両を保有していて、そのうち7両が運用コンディションにあるという。

 英紙『ザ・サン』がその運用部隊に密着取材した。

 こいつのFCS+施条120㎜砲のポテンシャルを最大に活かすためには、交戦距離は4500mが理想的であるという。

 ちなみに1991デザートストームでは「チャレンジャー2」は4700mでソ連製戦車を撃破してみせていた。 これに対してロシア製戦車は今でも、3000m以上の「狙撃」は覚束ないという。

 64トンもの車重に対して1200馬力のエンジンというのは、さすがに宇軍クルーには不満がある。
 レオ2やM1のように1500馬力は欲しい。※さもないと泥田にハマって抜け出せなくなってしまう。

 また宇軍クルーに言わせると、これまで2年間、いちども、「戦車対戦車」の状況に遭遇したことはない。つまり、チャレンジャー2の正面装甲の重さは、この戦場では、あまり意義がなく余計な負担だ。むしろ車体を軽くし、天蓋防護を充実させて欲しい。

 弾庫内の弾種の混合比も変えて欲しい。対戦車用の弾薬なんか要らない。対歩兵用の弾薬だけ欲しい。

 宇軍の14両の「チャレンジャー2」のうち7両しか動かせないのは、敵に破壊されたからではない。
 これまで、1両の「チャレンジャー2」がランセットを当てられて炎上したのが唯一の「被破壊」である。乗員は無事。車体は回収されて修理中。

 他に2両も小破しているが、すでに修理された。それらとは別に1両が、訓練用として、はるか後方の基地で使われている。

 なぜ稼働率50%なのか。それは整備部隊が、他の業務で忙しく、平時に被弾しなくとも「チャレンジャー2」に普通に生ずる不具合箇所を直しているヒマが無いためだ。

 具体的には、たとえば照準システムの不具合がちょくちょく起きる。そのスペアパーツが届くのには数ヵ月もかかる。最前線には、スキルの高い整備兵はいない。

 車体が稼動しないとなると、せっかく「チャレンジャー2」用に訓練された戦車兵たちにも、仕事がなくなってしまうわけだ。修理がおわるまでは、彼らは、土工用重機で塹壕を掘る仕事などをさせられるという。

 ※昔の「空母の戦い」と今の「戦車の戦い」が似てきてたことに感銘を受ける。昭和17年にはこう言われたものだった。《先に敵を発見できた側が勝つ》と。今の陸戦で、こちらの戦車を敵のドローンの目から隠しておくことは難しい。と同時に、昔の空母同士の海戦とは違い、今日、対戦車用ドローンの進発点は、終始一貫、相手には分かりようがない。だから《戦車による攻勢》は成り立たなくなったのである。戦車を対歩兵用の「機動野砲」としてしか使えなくなった。だったら、戦車はもう要らないという結論が出てこなくてはおかしい。小型トラックに120㎜迫撃砲を牽引させて運用した方が、2倍も遠い間合いから敵戦車を破壊でき、こちらの兵隊は安全で、整備や訓練のコストもかからない。人的資源の量で劣る立場のウクライナが、人手をやたらに喰ってしまうMBTなんぞにかまけてくれたので、プー之介は「敵失」に助けられ、延命している。

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 Tim Lister and Frederik Pleitgen 記者による2024-3-10記事「Russia’s new guided bomb inflicts devastation and heavy casualties on the Ukrainian front lines」。
   FAB-1500は、全重1.5トンの爆弾で、炸薬量はだいたいその半分。地面に径15mのクレーターを掘る威力がある。
 この有翼滑空爆弾をいよいよ露軍は多用し始めた。

 戦闘機はこの滑空爆弾を60km~70km手前からリリース。

 1.5トン爆弾をくらうと、近くに居た兵士は、生き残っても全身に痣ができる。爆圧で。このため、兵隊の士気は沮喪する。

 アウディウカでは、48時間で250発の「FAB-500」が投下された。

 事情通がテレグラムに投稿している話によると「FAB-1500」を正確に落とすための試験を露軍は何ヵ月も重ねて、ようやく目途が立ったのだという。誤差5mにできたとフカしている。

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 ストラテジーペイジの2024-3-10記事。
   ロシアは「S-500」を完成したと宣伝している。
 「S-400」は、みずからの陣地を防空することができなかった。その欠点を修正したのだという。

 S-400の地対空ミサイルは最大で75km届く。
 そのS-400をSSMとして運用する場合には、射程350kmで対地攻撃できる。弾頭重量は180kg。

 またS-400に、新型弾頭である「48/6DM」をとりつけると、対空レンジも230kmに伸びるという。

 ちなみに米海軍の「SM-6」を対艦用に使う場合は、240km先の標的に当てられる。

 ※雑報によるとスウェーデンの司法委員会の長、Louise Meijer 氏は、2015年以来の自己信条を翻意し、自分は間違っていたと表明した。イスラムの経済難民を無制限に歓迎した政策は、同国に大問題を定着させてしまった。なんと今やスウェーデン住民の三分の一以上もが外国系人になってしまった。地方によっては住民の半分以上となった。もはやスウェーデンは20世紀末にそうであったような良い国ではなくなってしまった、という。


チェコのストック砲弾の件、30万発分については西欧から資金が提示されたので、対宇の移管が進められる。

 30万発は、宇軍砲兵が60日間射耗する量になる。
 欧州は2024年には200万発の砲弾を製造する見込みなので、今年後半からは宇軍は毎日5500発、砲弾を発射できる。
 2025年には欧州は300万発の砲弾を製造する見込みなので、宇軍は毎日8200発を発射できるようになる。

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 Garrett Reim 記者による2024-3-6記事「How A Trio Of Engineers Developed A GPS-Denied Drone For Under $500」。
  3Dプリンターと独自のAIを使い、GPS信号にはまったく依拠することなく、地球の陸上のどこでも自己位置を把握して自律飛行できる全翼形の無人機を、1機500ドルで製造してしまったベンチャーが現れた。

 「テセウス」という三人のチーム。皆、年齢は22歳~24際。アップルやテスラでのインターン経験ある者も。
 エンジンや電装品はオフザシェルフ。
 機体や舵面の出力に5時間かかり、すべての部品のアッセンブルに2時間かかる。すなわち7時間に1機、ガレージで製造できてしまう。

 ナビシステムは、グーグルマップが提供している、ピクセルあたり0.5mの解像度の衛星写真地図をAIに解釈させることによる。つまり1発200万ドルのトマホークミサイルがやっている地形照合を、小遣い銭ていどのコストで実現したわけだ。

 げんざいDJIのクォッドコプターは、GPS信号を受信して、運用時間の95%において誤差5mのナビ精度であることを標榜しているが、精度はそれとほぼタイだという。

 偉業すぎる。さっそくウクライナの、三文字からなる某機関が、この「テセウス」にメールで接触してきたという。

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 Tylor Nicioli 記者による2024-3-8記事「13-year old has eureka moment with science project that suggests Archimedes’s invention was plausible」。
   紀元前214~212のシラクサ攻囲のさいに敵船を焼き払ったと伝えられている「アルキメデスの太陽光線反射砲」はほんとうにあり得たかを考察しようとした、カナダの中学生。

 ミニチュア実験装置を組んだ。
 光源(100ワット白熱電球)の反射に使う凹面鏡の枚数を増すごとに、ターゲットの紙の表面の温度がいかほど上昇するかを正確に計測した。

 結論。その光学兵器は、あり得た。

 その実験技法と類推の流儀が十分に科学的であるというので、彼は表彰された。

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 Corey Dickstein 記者による2024-3-8記事「1,000 US troops will deploy for temporary port operations to move aid into Gaza」。
    統合超汀ロジスティクス、略してJLOTS。要するに四角い浮きパネルを結合すると形状自在な「フローティング埠頭or桟橋」ができあがってしまうもの。陸軍も海兵隊も海軍もこれを使うから「統合」と標榜する。

 これをガザ沖に浮かべておけば、そこから艀が往復し、毎日200万食を住民に供給できるようになるという。
 組み立て作業には、米兵1000人が必要。

 米軍はこのところ、エアドロップ作戦をガザにしているが、その使用機体は空軍のC-130である。

 金曜日には、米軍とヨルダン軍が、計1150食をガザに投下した。

 ガザに対する米軍のみの投下食料は、これまでの累計で12万4000食である。

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 George Bowden 記者による2024-3-9記事「Five killed in Gaza aid drop parachute failure」。
   金曜日にガザで5人が圧死。CBS放送によると、輸送機からドロップした物料傘が開かなかった。
 どの国の輸送機から落とした物料かは不明。

 可能性として、米国、ヨルダン、エジプト、フランス、オランダ、ベルギーの所属輸送機。

 このうちヨルダン政府は「おれたちじゃないよ」と否定した。
 米軍のパトリック・ライダー大将も「米軍機ではない」と否定。

 SNSに出ている動画では、C-17から落とした物料傘が1個、開いていない。

 次。
 Defense Express の2024-3-9記事「Liutyi UAV is Responsible For Attacks on Taganrog, russians Assume: Drone with 1,000 km Range Finally in Action」。
    ロシアのベリエフ飛行機製造会社が所在するタガンログ市ほか複数の都市が、3月9日の夜に無人機空襲を受けた。40機以上が越境した。

 A-50系を製作しているのはベリエフ社なので、A-50がまた損壊させられた可能性もある。

 宇軍の発表。国営メーカーのJSC社が製造した「Liutyi」(その意味は「獰猛」)という無人特攻機を使ったと。
 その弾頭重量は75kgで、レンジは1000km以上という。

 この無人機の実戦デビューは2月24日のLipetsk市鉄鋼工場空襲。

 この無人機の縮尺模型の写真は2022-10に公表されていた。その頃から開発していたのがようやく実現したのだろう。

 ※イスカンデルが「ペトリ」発射機×2を爆破した――とかいう動画投稿は、実は話が逆で、爆破粉砕されているのは露軍の「S-300」だったという真相が暴かれた。


マクロン大統領は木曜日に仏国会議員たちと会い、露軍がもしキーウに迫るなら仏軍をウクライナに派遣するつもりであることを強調した。

 John Vandiver 記者による2024-3-7記事「Soldiers need abundant, cheap drones for training to adapt tactics, report argues」。
     ウェストポイント内にある近代戦研究所が水曜日に公表した提言。
 末端露兵がすっかりミニドローンの使い手に成長しているのに、末端米兵がその教育を受けていないのはまずい。二等兵に安価な市販ドローンを与えて、壊してしまうのを前提に経験値を蓄積させておくのが緊要だ、と。

 米陸軍は2023夏にドイツの基地でウクライナ兵を訓練してやったのだが、そのときウクライナ将兵たちから逆に呆れられたという。米陸軍内には「Mavik3」級の最も低廉な市販小型ドローンすら、正式の装備としては存在せず、誰もそれを使わないし使えないという事実を知って。

 小隊や分隊のレベルで、市販の安価なドローンの調達要求ができなくてはいけない。こんなものは上からお仕着せにするものではない。そしてそれらドローンは、訓練で壊してしまっても可い、とする。そうしなければ本番が来たときに習熟曲線の最善レベルで戦場に臨むことができない。

 演習では、悪天候時や、仮装敵からの間接砲撃があるという想定下で、末端部隊にドローンを駆使させるべし。

 次。
 Defense Express の2024-3-8記事「Ukrainian FPV Drones With Shrapnel Munitions Work Great on the Battlefield」。
    「スチール・ホーネット」社は、FPVドローンの下につるして、敵兵集団の頭上数mで炸裂させ、鉄球を飛散させる榴弾を製造中。すでに戦場でそれは使われている。

 スチールホーネット社は、ドローンに吊るす兵装の専門メーカーである。

 榴弾は、小さなものだと800グラム。大きいものだと2.8kgある。

 メーカーは今、クォッドコプターの片道「自爆」ではなく、ドローンから投下した爆弾のエアバーストによって同じ殺傷力を実現できないか、模索研究中である。

 次。
 Tyler Rogoway 記者による2024-3-7記事「This Is How The U.S. Could Set Up A Gaza Beachhead, But Not Without Risks」。
    米海軍の「遠沿海積荷移転用ドック(Expeditionary Transfer Dock)」という特殊装備を使えば、ガザ地区に対する人道支援は効率的にできる。

 この船は、コンテナ船やバラ積み船から荷物を卸下して、それをホバークラフトに載せ換えてやる、水上プラットフォームである。すなわち、貨物船に横付けすれば、そのプラットフォーム自体が、LCACを3隻迎え入れられる浮きドックとなる。低乾舷の荷捌きスペースも提供。重量物運搬船の改造船なのでこの乾舷は可変だ。

 米海軍はこの特殊船を2杯、もっている(USNS Montford Point =T-ESD-1 と、USNS John Glenn =T-ESD-2)。

 ※この浮き埠頭の人工入り江には、上陸用舟艇でも漁船でも入れることができるので、能登半島災害のようなケースでは重宝するはずである。

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 Brendan Cole 記者による2024-3-7記事「Russia Hit By Tsunami Of Bankruptcies」。
   ロシアの経済新聞『コメルサント』の報道によると、2024年の1月と2月の企業倒産は、それぞれ前年同期の1.57倍と1.61倍であった。


フィリピンの補給船のブリッヂの窓を海警船のウォーターキャノンがぶち破った。

 4人が負傷し、フィリピン大統領は米国政府に対して軍事的な支援を求めた。

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 2024-3-7記事「Russian FPV drone equipped with advanced communication system」。
   長さ10kmの光ファイバーのボビンを付帯させ、有線誘導によって特攻するFPV自爆クォッドコプターを露軍が使い始めた。不発品を宇軍が欧州した。

 機体は、RPG弾頭を縛り付けて飛べるサイズ。

 有線ならば、EWによって墜落させられることはなくなるはずだが、なぜかこの1機は墜落した。

 有線誘導式の何が革命的かというと、敵の目標が低い土地に位置していて、こっちのリモコン局も低い場所に位置していた場合、電波信号を送受できる距離が設計期待値を大きく下回ってしまう。その不便がなくなる。

 しかも有線で送られる信号量は多いから、オペレーターは、鮮明なハイレゾ画像をリアルタイムで受信し続けられる。

 じつはウクライナ国防省内のハッカソンでも、FPV特攻ドローンを有線化する案は出されていた。しかしそれは斥けられた。というのは、光ファイバーは細すぎて、野外で使うと、おそらく途中で切れてしまう。

 このたび拾得された敵の試作品も、ワイヤー切れでコントロールを喪失したのかもしれない。

 ただ、イスラエルの「スパイク ER2」という射程10kmの対戦車ミサイルは、現に、光ファイバーによる誘導方式になっている。

 ※「Spike ER2」の光ファイバーがそっくり流用されていないかどうかを調べる必要があるだろう。「ランセット」はどうみても「Hero-400」のお仲間なので、イスラエルの兵器情報が露軍に流れる地下人脈ルートがどこかにあるはずだ。

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 Thomas Newdick 記者による2024-3-6記事「Pulsejet Drone Flies, Could Have Big Impact On Cost Of Future Weapons」。
      ボルチモア市あるスタートアップ企業「ウェイヴ・エンジン」社が、パルスジェットの無人機を試験飛行させた。

 パルスジェットは、動く部品が少ないから、安く大量生産するのに向いている。

 WE社は米空軍から開発資金を援助してもらっていた。

 試作機は「Scitor-D」という名前だそうである。
 全重100ポンドで、滑走路を使ってふつうに離着陸する。
 ペイロードは20ポンド可。

 全体の姿は「A-10」に似ているが、エンジンは胴体の真上に1基だけ担ぐ。

 このエンジンのスラスト力は、50ポンドである。すなわち222ニュートン強。

 エンジンの始動も、離れたところからリモコンでできる。そのまま離陸させられる。

 EW社は、試作機に搭載したのとは違う、量産型エンジンを製造開始した。「J-1」といい、推力は同じだが、軽量化されており、空気抵抗も少ないデザイン。

 もっか、同社は、より強力なエンジンを開発中。推力250ポンド=1112ニュートン。このエンジンを搭載すれば、全重1000ポンドの無人機を安価に大量生産可能になる。

 試作機は、テスト環境の制約から、最大で200マイル/時 しか出せなかった。

 EW社は、同社のパルスジェットは、燃料として、87オクタンガソリン、JP-8、エタノール混合E85のどれでも機能することを、すでにデモンストレーションしている。

 燃費は、1時間・推力1ポンドあたり、2.0ポンドの燃料を消費する。この値は、ライバルのガスタービンエンジンに比べて遜色がないという。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-3-6記事「T-72B3 destroyed the M1 Abrams with its first shot」。
    ウクライナ戦線でさいきん破壊されたM1エイブラムズについて、ロシア国防省の広報官が、あれはT-72B3が初弾で撃破したのである、と語った。

 「BulgarianMilitary.com」が承知しているところでは、現時点でM1は3両やられている。
 最初の2両はアウディウカ。2月26日に炎上した1両は、ATGMがまず当たり、そのあとFPVドローンでハッチ内に爆発物を落とされた。
 この1両目のM1の乗員は脱出している。

 2両目はやはりアウディウカ。3月3日に前線に到着したばかりのM1だという。こちらの乗員がどうなったのかは不明。

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 2024-3-7記事「Norway to allocate up to $153 million for Czech initiative to purchase ammunition for Ukraine」。
   ノルウェーの首相は声明した。1億5300万ドルを用意し、チェコ国内にストックがある80万発の砲弾をウクライナに贈与させると。
 チェコのパヴェル大統領によると、50万発の155ミリ砲弾と30万発の122ミリ砲弾があるという。


英陸軍空挺部隊がそのL85A3小銃に、対ドローン狙撃を可能にする「SMASH X4」照準具を取り付け始めた。

 Joseph Trevithick 記者による2024-3-5記事「British Army Paratroopers Get Computerized Rifle Sights To Shoot Down Drones」。
    スマートシューター社製。とりあえず225個買った。今後また追加される。

 以前の同社の照準具は、スコープサイトが等倍であったが、新製品は4倍にできる。

 このサイトで射撃したい空中物体をマークして追い続けると、見越し射撃のためには銃身をどこへ指向しなければならないかが、画像内にガイダンスされる。射手があらかじめ引金を引いておいてからそのガイダンスに従うと、当たるタイミングで自動的にマシーンが撃針を前進させて、タマが飛び出す。

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 Sam Skove 記者による2024-3-5記事「With an eye on Ukraine, Army revamps training to reflect modern war」。
    JRTCとは、「統合レディネス訓練センター」の略である。

 ウクライナの最新戦訓を吸収して、JRTCは、NTCを使った演習の流儀を改革した。
 まず、米本土各地の原駐屯地からNTCまでの部隊移動からして、実戦的に変えた。

 1月には、400マイル以上をヘリボーンしてNTCに到着させた。
 2月には、最寄の鉄道駅から40マイル以上を、訓練参加部隊の車両でNTCまで移動させた。従来は、この区間では兵隊たちは送迎バスで運ばれていたのである。それでは実戦的とは言えないのだ。

 さらにNTCでは旧来、砲兵の弾薬補給をコンピュータ上のバーチャルで済ませていたが、げんざいでは、実弾と同じ重さの「擬製弾薬」を受領させるように改めた。

 訓練部隊がNTC敷地に入ると、その時点から、すべての電波エミッションがモニターされる。敵のES(電子支援手段)下に入るのだ。スマホの電源を入れっぱなしにしている将兵はひとりのこらず、動静を特定されてしまう。

 従前は、演習攻撃部隊のコマンドポストが、演習仮設敵から攻撃されるようなことはまずなかった。しかし今日の流儀は違う。ESとドローンでコマンドポストは早々に見つけられてしまい、そこにコンピュータ・バーチャルのミサイル攻撃がある。コマンドポストは簡単に全滅する。

 ※これを承けて今、米陸軍は、コマンドポストの構成をいかに小所帯化し分散するかの研究に入っている。

 しかしこれでは「コバヤシマル」シナリオ(訓練生が絶対に勝てないようにプログラムされている状況想定。『スタートレック』シリーズに出てくる)ではないか、と演習攻撃部隊は思うだろう。そうではない。

 指揮所と隷下各部隊とのあいだの通信が遮断・妨害されることにより、同士討ちの危険も増す。ますますこれは実戦的である。

 コマンドポストの車両をそっくり覆い、光学的にカモフラするだけでなく、内部の電子機器からの電磁波エミッションを外へ漏らさないようにする、そんな新世代偽装網も、すでにNTC演習では使われ始めている。

 車両を停車させるときは、橋の下や、納屋の中へ入れる。これはウクライナ戦線で将兵が実践していること。それを演習段階から、習慣化させる。

 コマンドポストの撤収には旧来は1時間半かかっていた。NTCで揉まれるうちに、これを35分に短縮できるようになった。ケーブルをいかに整理縮約しておくかがコツ。

 末端の兵隊は、夜10時から深夜2時までかけて地面を掘る。これをやっておかなければ翌朝にはドローン+砲弾の餌食だ。

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 Svetlana Shcherbak 記者による2024-3-4記事「russian Forces Commence Offensive Using Golf Carts Due to Armata Funding Shortage and BMP Shortages」。
    Lyman戦線では、露軍にBMPがなくなってしまったらしく、《中共版ポラリス》である「デザートクロス」を最前線に押し出してきた。
 ブリキ板の屋根すらない、ゴルフカート然としたオフロード軽自動車だ。

 ※宇軍が装備している「レオ1」の105㎜砲用に、ベルギーのメーカーが製造した「HESH」弾が補給されていることが、最新の写真から分かった。どうせ戦車砲を野砲代わりに使うだけなら、HEATよりHESHの方がよい仕事をしてくれるかもしれないわけだね。


撃沈された『セルゲイコトフ』には、強襲用ヘリの「カモフ29」も1機載っていて、一緒に沈んだという。

 Defense Express の 2024-3-5記事「What Kind of Engineering Force has russia, That Managed to Create Powerful Fortifications in Ukraine」。
    2022-秋に、ロシアは「部分動員」を号令した。そのさいに、露軍内に、5個の工兵連隊が新編された。第88~第92の番号がふられた。
 1年後、それらの部隊はウクライナの最前線で存在が確認されている。

 露軍の工兵教育のメッカは、「チュメニ高等軍事工兵指揮学校」である。工兵少尉が育成されている。ウクライナ戦争の知見のフィードバックが、ここでなされている。

 ミリバラ2023によると、2023-1時点で露軍内には4個の工兵旅団と7個の工兵連隊、1個の特別架橋渡河旅団が存在した。

 ポーランドの「ディフェンス24」編集部の分析によると、2022時点では露軍の工兵旅団は攻勢作戦を支援したが、2023になると彼らの仕事は防御工事が中心になった。特に宇軍が出てくると予測された南部戦線の。

 また、工兵部隊は小さく分割され、戦術レベルの戦車部隊に分属させられるようになったという。

 架橋作業が戦闘を伴うことは概して無いが、他の局面では、これら分属工兵部隊は、火力戦闘に直接、加わっている。たとえば2022-4にマリウポリ戦線での動画がSNSに投稿されているが、地雷原啓開用のロケット投射式炸薬「UR-77 メテオリト」を宇軍陣地に対して投射したりしている。

 いまのところ、露軍の工兵部隊には、最新車両装備が優先して与えられている印象はなく、昔からの古い装備を主用している。ただし、新型の遠隔地雷原啓開システム「ISDM ゼムレデリエ」は、例外的によく目にする。

 宣伝だけは派手にしているが、まったくウクライナの戦場では目撃されていない新鋭工兵装備としては、たとえばT-72B3のシャシを使ったロボット工兵車「UBIM」や、有人地雷撒布システム「Kleschch-G」、有人地雷原啓開システム「BMR-3MA」、それを無人化した「Prokhod-1」などがある。

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 ストラテジーペイジ の2024-3-5記事。
    2024年だけでウクライナは、無人特攻ボートの製作資金を、クラファンによって800万ドル近く集めたという。それは「マグラ V5」を35隻建造できる額だという。

 基本仕様では、20時間をかけて1000kmを移動する。片道攻撃である。
 爆薬は基本、850kgだが、それを減らせば、そのぶん燃料を余分に搭載し、航続距離を伸ばせる。

 自爆炸薬の代りに、サーモバリック弾頭の無誘導ロケット弾を積んだ型もある。この任務艇は、攻撃後に帰投し揚収されるという。

 ※ロシア奥地タタルスタンの工場にて「シャヘド136」の主翼部分ばかりが大量生産されている写真がSNS投稿された。広い工場のどこにも、エンジンは見当たらない。戦争初期に宣伝画像が投稿された偵察無人機「オルラン10」のときと、同じパターンだ。