生物兵器説の出どころは、どこまで辿られているか?

 ストラテジーペイジの2020-2-21記事。
   自走式地対空ミサイルシステムの「パンツィールS1」の設計主任、ウァレリー・スルギンが新聞のインタビューに答えた記事が出た。これは、同兵器の輸出を政府がバックアップするための、釈明会見。

 2019年前半に、シリア政府軍保有の1両がイスラエル空軍機によって手もなく撃破された、その言い訳をいろいろ述べている。

 いわく。その車両はSAMを全部射ってしまっていて、弾薬の再補給を待っているところだったのである、と。

 しかしイスラエルが公開した動画では、その車両にまだ1発のミサイルが残っていたのが確認できる。

 スルギンはまた言う。この車両は、やられる前にSAMを12発、発射して、イスラエルの巡航ミサイル8機を撃墜しているのだ、と。
 しかしイスラエルの主張は異なる。発射した巡行ミサイルは全弾が着弾しており、そのうち目標を外したのが2機あったが、あとは目標破壊に成功している、と。

 イスラエルの広報によれば、「デリラー」巡航ミサイルにはレーダー・ジャミング機能が内蔵されているので、射ち上げられたパンツィールSAMは目標を見失って、地上に落下する前に安全機能が働いて空中で自爆してしまうのである、と。

 パンツィールS1は、全重20トンの1両のトラックに、連装30ミリ機関砲と、トゥングスカSAM×12本が搭載されている。乗員は3名のみ。
 「SA-22」ともよばれるこのSAM1本の重さは90kgで、レンジは20kmである。車載レーダーは20km以上、見張れる。
 ミサイルが届く高度は、8400mまでである。
 30ミリ弾は、高度3200mまで届く。
 これ1両の値段は1500万ドル。

 ふつう、この車両が4両か6両で、1個高射大隊を編成する。その大隊には、指揮官車と支援車両群が随伴する。

 そのパンツィールS1大隊が2~3個あつまると、高射連隊になり、支援車両群はさらに充実する。たとえば電子機器修繕班や、予備弾運搬車など。

 じつはシリア軍が装備しているロシア製の防空システムは、2011年いらい、こまれでたった1機の有人機しか撃墜できていない。それは2012年のことで、トルコ軍の旧式のRF-4Eを、海上で誤射した事件であった。もちろんRF-4Eの方では、下から撃たれるなどとはまったく予期していなかったのである。

 その後ロシアは、2015年からシリア政府軍のSAMの器材更新を手伝った。パンツィールが入ったのはそれ以降である。

 2018年にイスラムゲリラがUAVのスウォームを放ってきたとき、その迎撃に活躍したのは、冷戦時代の設計である「Tor-M2U」システムであった(別名SA-15、レンジ12km)。新式のパンツィールは全弾、外れている。
 それを輸出したかったロシアは必死になって、2019年まで、次々と、パンツィールの改良型ができたと宣伝したが、中身がともなっていないことは、じっさいのパフォーマンスがいっこうに向上していない事実が、物語っている。

 アフガニスタン政府軍のCAS能力の現況。
 エア・コントローラー(CAS連絡誘導歩兵)は15チーム、錬成を終えている。
 CAS機の主力は26機のA-29(スーパーツカノ)である。
 数はすくないが「セスナ208」もある。これはヘルファイアを発射できる。

 ※カナダから武漢に持ち込まれた病原生物株が、武漢の生物兵器研究所から漏出したのではないかと、早い段階で推理したのは、イスラエルの専門家だった。今のイスラエル人は、言語の上で、半分ロシア人のようなものである。それを考えると、この仮説がモスクワ発の謀略宣伝のようなものであったかもしれないと、いちおうは疑っておいていいだろう。冷戦時代に、「エイズは、黒人だけを殺すためにアメリカが開発した生物兵器だ」というディスインフォメーションを流布させたのは、ソ連の工作機関だった。満州事変の数年後には、北満で炭疽病のパンデミックが起き、やはりいろいろな噂が飛んだ(『日本転覆テロの怖すぎる手口』86ページ)。