トルコは、自国が盟主となる「第二NATO」をつくりたいのではないか?

 それは宗教的に寛容でなくてはならない。
 ジョージアが、それに加盟する準備ができているのかもしれない。

 ソ連が後援するPKKをやっつけるのに遠慮はいらないはずなのに、米国はプレデターを売ってくれなかったし(そのせいでTB2の自主開発になったのだが)、スウェーデンとフィンランドは、トルコが悪者のように、偉そうなご高説を垂れた。その謝罪をキッチリとしてもらいましょうかね……というのが、いまのところ、エルドアンの言いたいところであるのはだれしも想像できる。

 だが私の見るところ、エルドアンの狙いはもっと遠大なところにあるはず。

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 SOFREP の2022-5-21記事「These Weapons are Banned in Modern Warfare」。
    レオナルドダビンチは、砒素の粉や硫黄の粉を詰めた砲弾を考案したが、そうした毒入りの弾丸は、1675年のストラスブルグ合意により、フランスと神聖ローマ帝国との間では、使用がご法度になった。

 人の裸眼を意図的に恒久的に失明させる兵器は、1995年の特定通常兵器条約の「プロトコル4」で禁止されている。

 だが、敵兵を失明させるために放ったのではないレーザー光によってたまたま敵兵が失明しても、それはこの条約の違反とはならない。

 たとえば敵軍の光学照準装置や視察装置を機能させなくするためのレーザー兵器はOK。それを照射されたことにより、たとえば飛行機に乗っていた敵のパイロットが失明しても、それはOK。

 ナパーム弾や火炎放射器は、今日では、使ってはいけない。焼夷弾もダメである。
 これは1980年の特定通常兵器条約の「プロトコル3」で使用が禁止されたのである。

 火炎や熱、もしくはそれらの複合によって、対象物に着火させたり焼き焦がしたり、あるいは敵兵に火傷を負わせる兵器が、このプロトコルの禁止対象である。

 ※白燐弾は、これにひっかかる。黄燐発煙弾は、グレーゾーンだといえよう。

 ※2022-2月、ウクライナ政府が市民に火炎瓶を作れと指導していたのは国際法違反になるのかならないのか、当時から今まで、言及していたマスメディアを一つも思い出せないのだが、誰か詳しい人、居ない?

 1979いらい、非金属製の対人地雷も禁止である。たとえばプラスチック破片だと、レントゲンで見分けられないから。

 対戦車地雷は禁止されていないが、それらの地雷には、戦後処理し忘れた場合でも民間人に損害を及ぼすことがないように、時限式の自滅装置がついていなくてはいけない。

 ※陸自の対戦車地雷に自滅タイマーがついているとは聞いたことがない。どうなってんの?

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 Emma Veidt 記者による2022-5-18記事「Survived a Polar Bear Attack」。
  2013年7月にカナダ北極圏で白熊に食われそうになって助かった人の実話。

 ガイドとともにキャンプを張った。ガイドは、電気フェンスをめぐらすから北極熊に対しても安全だと言った。ところがその夜、白熊は電気柵を破壊して、一人のキャンパーのテントも押し潰し、そのキャンパーの頭を咥えて走り出した。

 白熊の息は、腐った魚の臭いがするそうである。

 ガイドが「信号拳銃」で照明弾を発射したところ、熊は驚いて被害者の頭を離してくれた。
 衛星携帯で救助を要請。
 ヘリが来るまで8時間もかかるような極地であった。

 被害者は、リハビリに何ヵ月もかかる重症を負ったが、命だけはとりとめた。

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 indomilitary の2022-5-22記事「IRIS Shahid Mahdavi, Becomes Fourth Floating Base of Iran’s Revolutionary Guard」。
   IRGC(イラン革命防衛隊)はすでに3隻の、商船改造の「洋上基地」を運用しているが、このほど、4杯目がお目見えする。

 『IRIS Shahid Mahdavi (110-3)』といい、バンダルアッバスで竣工した。
 ヘリの発着が自在にでき、いくつかの対空火器も備えられている。

 ベースとなったコンテナ船は2000年に建造されたもの。全長240.2m、全幅は32.2mである。

 IRGC(イラン革命防衛隊)の最大の洋上基地船は『IRIS Makran 441』という。もともとはタンカーで、10万6000トンもあった。

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 ストラテジーペイジの2022-5-22記事。
   ブリムストンは、平荷台の付いたトラックになら何にでも搭載することが可能な、射程の長い重対戦車ミサイルである。
 もっか、英国がウクライナ軍に供給しつつある、自信作だ。もともとはヘルファイアと同じく、攻撃ヘリから射つものであったが、その後、プラットフォームを特に限定はしなくなった。

 ミサイルの重さはヘルファイアと同じ48.5kg。

 2005年からあるのだが、アフガニスタンではあまり使い処がなかった。しかし2011のリビア干渉作戦では多用されている。弾頭炸薬量がそれほど大きくないので、市街地内にある敵陣地を、盾に使われている住民たちには側杖被害を与えずに吹き飛ばしてやるのに、至便であった。

 弾頭重量は9kgである。 ※ちなみに155mm榴弾のなかには7kgの炸薬が入っている。TNTが7kgあれば、至近弾でも戦車を擱坐させることができる。ダイレクトヒットの必要がないのだ。

 2010年に、ミリ波レーダーのアクティヴホーミング方式と、レーザー・シーカーのセミアクティヴ・ホーミング方式を、随意に切り替えられる新型ブリムストンが完成している。このバージョンは1発が26万5000ドル。旧バージョン(ミリ波シーカーのみ)だと17万ドルである。

 2015年に「ブリムストン2」が完成した。タイフーン戦闘機から発射するのにもう少しレンジを長くしたかったので、射程が60kmに伸ばされた。それ以前の型は、20kmであった。

 この60kmを飛翔するのに、「ブリムストン2」は、3分間かかる。

 2018年、ポーランド企業が、同国軍の装甲車上からブリムストン(旧型)を連射できるようにした。

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 Sudarsan Raghavan 記者による2022-5-22記事「Dodging shells, mines and spies: On the front with Ukraine’s snipers」。
    このワシントンポストの記者が取材した最前線では、露兵は、こちらの迫撃砲やATGMの間合いよりも近寄ってくることがなくなった。小火器や重火器間合いの戦闘になればウクライナ兵には勝てないと、とっくに学習したからだ。そこで必然的に、戦車砲や野砲を、遠くから間接照準で射ってくるだけになっている。

 こちらが村落に拠っているので、その村落にランダムに砲弾が降ってくる。

 それに対してこっちは迫撃砲チームとスナイパー・チーム(5名)で、じりじりと敵を東方へ追い出して行く。
 ドローン観測チームは、これら戦闘チームとは独立に、自転車でやってきて協力してくれる。

 ※SNSにすごい動画が投稿されていた。三脚に固定できる40mmフルオートの擲弾ランチャー(おそらく米国からの援助品)の弾着を、ドローンが観測しており、そのビデオが、砲側指揮官のタブレットにリアルタイムで動画送信されている。試射弾がうまいところに落ちると、指揮官は、今の諸元で急速射しろ、と号令する。それでフルオート連射。しばらくするとその弾着景況がタブレットに映り、指揮官大興奮。ほとんど「迫撃砲」という感覚だ。

 あまり敵の砲撃が激しいと、ウクライナ兵も後退するしかない。あらためて味方の砲兵の支援を得て、じりじりと東へ押し返して行くしかない。

 このように、戦線を動かす主役が砲兵に変わりつつある。

 戦場がハルキウから東へ行けば行くほど、露系住民の「残置諜者」が増えてくる。
 なぜか荒れ果てた村落から動こうとせず、ロシア政府発給のパスポートを持ち、そして、使い捨てのプリペイド携帯を7つも所持していたりする。スパイは、しばしば、婆さんだ。

 狙撃チームにとって肝腎な行動パターン。まず絶妙な観測点/射点となるポジションを見定めろ。そこへ静かに忍び入れ。そして、誰にも気付かれずにまたそこから出て行け。


リトアニアが自国領内のガスパイプラインを爆破すると、カリニングラードに全く天然ガスが行かなくなる。ゆえにロシアがバルト三国を侵略するなら、電撃戦にするしかない。

 Kamil Galeev 記者による2022-5-21記事。
   マリウポリは戦争の初日から陸上を包囲された。
 守備隊は最後まで、ストリートに出て戦闘し、地下で寝るというパターンだった。

 ヒトラーがソ連に侵攻したとき、ヒトラーは狂っていなかった。もし米国が対ソのレンドリースを発動していなければ、ドイツ軍はソ連の補給と生産を次々に不可能にして勝てていた。その計算の下に、ヒトラーは決断している。

 ヒトラーが読み間違ったのは、米国の対ソ物資援助のスケールであった。ヨーロッパ人の感覚では、それは桁違いだった。

 いま、1941年とは逆のことが起きている。ロシアは2014から受けている経済制裁の締め付けをさらに強められている一方で、ウクライナには怒涛の軍需品支援が流れ込んでいるところ。あとは、必要なのは、時間だけである。

 マリウポリの守備隊は、その時間を稼いでくれた。後方のマリウポリが陥落していないから、露軍の先端部隊はオデッサまで行けなかったのである。

 ※雑報によると、露軍の一「少将」の戦死体は、路上に転がったままの状態でウクライナ軍によって発見されたという。将軍の死体を回収する気もないらしい。今のロシア軍には。

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 Kamil Galeev 記者による2022-5-20記事。
   ロシア本国では、戦争支持の意見表明の程度と、そのロシア人の所得とが、比例している。
 ロシアの大金持ちは、ウクライナ戦争を熱烈に支持しているのだ。

 この調査データはロシアの社会学系の機関RBKが出してくれている。

 その日の食費にも事欠くようなロシアの困窮階層者は、今次戦争に対する支持率も最低である。

 それと反対に、ロシアの大金持ち階級はおしなべて、完全勝利するまでウクライナで戦争は続けるべきだと言っている。

 ところで、ロシアでは「あんた、月にいくら稼いでいる?」と訊いても、誰も正直に答える者はいない。

 だから、次のように質問せねばならない。「あなたは○×が買えますか」と。すると相手はフランクに教えてくれる。

 小さい町の貧民たちは、日歩(最高)1%の、小口金融で食いつないでいる。借金漬け生活である。
 ※トイチ か!

 ロシアで自殺率が高い理由のひとつがこの借金苦である。田舎の貧民がふつうに、街金ローン地獄に堕ちているのだ。

 ただし思い違いをしないように。この自殺は、必ず、職場の工場においてしなくてはならないのだ。
 職場で自殺を遂げることにより、その遺族には、月に30万ルーブルから40万ルーブルが入る。工場は労災を見込んでその積み立てをしているから、ちゃんと支払われる。最高50万ルーブルということもある。

 ※5-22レートで、1ルーブルは2.06円である。

 この殉職補償金のために、一家の大黒柱が、自殺するのである。たとえば溶鉱炉に飛び込むというやり方なら間違いなく労災認定されるのだ。

 その工場を経営している超金持ち階級は、どのようなハウジングプランを持っているか。
 一歩一歩、西側世界の中枢に、近づこうと努力する。
 さいしょは、しょうがなく、女房と子供をモスクワにでも住まわせおく。だがこれは「小金持ち」のレベル。

 超金持ちは、かならず、子供が少し大きくなったらすぐに、英、仏、またはスイスのパブリックスクールに入れる。そこで、寄宿生活させる。そっちの方が、西側世界の中心だから。これが、全家族移住計画の初一歩だ。

 ロシアのすべての会社経営者階級が、例外なく、この西欧移住プランをじぶんなりに立て、それにしたがって行動する。

 会社の経営が順調なら、次は、女房と、もっと小さい子供たちも、西欧へ出す。これが「ステップ2」だ。
 この段階では、西欧にちゃんと不動産を所有していなくてはならない。

 この段階になれば、ウラルで工場を経営していても、いつでも女房・子どもに会いに、西欧へ旅行ができる。ただし、必ずウラルには戻ってくる。

 ウラルは彼の住居ではない。住居はモスクワと西欧にあるのだ。工場があるウラルは、彼にとって「狩猟採集の場」なのである。
 ※『今昔物語』に出てくる「受領[ずりょう]」だね。任地で極限まで収奪するぞという精神。

 ロシアには、完全に個人所有の巨大企業というものはない。大きな企業には、必ず政府が一枚噛んでいる。だからその経営者は「受領」感覚でいいのだ。任地で収奪して、任果てたのちは「所領」がある西欧で家族と豪奢に暮らす。

 経営者は単身赴任である。地方の政庁の局長・部課長も、似たようなもので、女房と子供はモスクワに置きっぱなし。自身は週末にそこへ帰るだけ。そして大きくなった子供は、上流階級向けの英国の大学に留学させている。これが典型的なケース。

 超金持ちの経営者は、プーチンをよろこばせるために、たとえば巨大スケート場のようなものを、わざわざ自費でモスクワの近くに建設して、赤字覚悟で運営もする。
 というのは、経営者や地方政庁幹部職の地位・任地を決めるのはまったくのところ、モスクワのプーチンの側近たちなのだ。「受領」にしてもらえるかどうか、「受領」を続けさせてもらえるかどうか、すべてプーチンの取り巻きの一存で決まる。不興を買えば、退任させられてしまう。だから、モスクワのとりまき連中を、しっかりと、よろこばせてやらねばならない。

 このような立場にある「受領」階級が、どうしてプーチン様に盾つくような発言ができようか?
 もう分かっただろう。ロシアでは金持ち階級は全員、プーチンの戦争を支持する。それしか、夢のライフプラン(=家族全員西欧移住)を実現する道はないからである。

 ひとたび、家族全員西欧移住をなしとげてしまった、「元ロシアの大金持ち」は、こんどは一転して、反プーチンの発言をするようになったりする。もはや彼はプーチンのとりまきをヨイショしなくても豪華な生活ができる基盤を西欧内に築きおえている。「受領」ではなく、開発地主。一国の「小名」だ。立場がガラリと変わったから、発言も変わるよ。 ※そして暗殺部隊に狙われるわけか。一家心中を擬装されてニュース種に……。

 戦後のロシアをまともにしようとしたら、「落下傘収奪者」のシステムを覆す必要がある。
 それには徹底した地方分権も必要である。トクヴィルはそう見ていた。

 ※無理だ。ロシアや支那のようなユーラシア大国が地方分権化すると、そのさらに外側にある勢力から国境線を押し込まれるから。地理が政治を決定する。したがってロシアにも支那にも自由な未来はありえないのだ。


ウクライナ国境から500km先にモスクワがある。だから米国も、長射程の地対地ロケット弾の援助には慎重であるわけ。

 Steve Balestrieri 記者による2022-5-21記事「Revolutionary: Why the Army Will Love Sig Sauer’s XM5 and XM250」。
    米陸軍はM16/M4体系を65年ぶりに、革新する。
 すなわちXM5小銃と、XM250自動銃〔分隊軽機なのだが歩兵銃感覚で扱える〕に、2023年から正式に更新して行く。

 メーカーはSig Sauer社の米国内工場である。

 新小火器は6.8ミリ弾を使う。より弾道が安定しており、射距離は延び、殺傷力も高い。

 新小火器にはサプレッサーが標準装備としてついているので、音も小さく、閃光も目立たない。
 反動はマイルド。銃身寿命も問題ない。

 更新は、歩兵、偵察隊、戦闘工兵、特殊部隊から優先して来春から逐次に。そのあいだ、他の部隊はM4を使い続ける。

 そしてこの二つの新小火器には、「XM157」というハイテク光学照準器が取り付けられる。メーカーは「ヴォルテックス・オプティクス」といい、「シェルタード・ウイング」社の子会社である。同社は、これから10年で25万個を納入し、対価として27億ドルを陸軍から受け取る。

 この照準装置を「NGSW-FC」とも呼ぶ。
 大気圧を自動計測し、赤外線レーザーで測遠し、ブルートゥースで射手のゴーグルに狙い処を映示する。もちろん暗夜でも。

 実包のケースは、銅とスチールのハイブリッド素材。弾薬重量の軽減に貢献している。

 距離500mから600mの間で、この6.8ミリ弾のおそろしさが敵に知られるであろう。7.62ミリ弾より小さいのに、7.62ミリの分隊軽機よりも正確に敵兵を斃して行く。

 イラクの都市市街戦に長くかかずらわってしまった結果、米軍のM4はどんどん屋内戦闘用に短くなり、その用途では役立つのだが、500m以遠の撃ち合いとなったら、もはやゲリラ以下になってしまった。この趨勢を逆転する。

 ※雑報によると、バイラクタル社の双発無人機「アキンジー」の試験飛行。無人でトルコの西端からジョージアのバクーまで飛び、またそこから無人で戻ってきた。完全に成功。
 また、SNSに写真が出た。2月にポーランドが100門寄贈した「LMP-2017」という60ミリ迫撃砲をウクライナ兵が使っている。ポーランドは弾薬1500発も寄贈している。

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 Scott Murdock 記者による2022-5-20記事「Are tactical pens bullsh-t? An investigation」。
   「タクティカル・ペン」という奇妙な商品がある。

 アルミ合金製。黒塗り。太くて長目の万年筆サイズのボールペンで、胸ポケットに差しておけるのだが、その後端部分は円筒キャップとなっており、それを外すと、中から金属ポンチのようなものが露われる。それを下にして握り、思い切り自動車のガラス窓に突き立てれば、強化ガラスを割ることができるのだ。

 5種類の商品を比較テストした。
 その5種のうち、ガーバー社のものだけが2.3オンスと重い。これは素材にアルミ合金ではなくステンレススチール(+耐熱セラコート)を使っているからだ。

 ※Cerakote というものがあるとは知らなかったが、調べるとすごい。セラミック塗料を常温で塗り、常温で乾燥させるだけで、その金属の表面が耐熱化されるのだ。小火器等に塗る場合は高熱処理する。なんと650度から最高1200度まで耐えるものになるという。これが本当なら、いろいろなマテリアルの「耐火」の問題はほぼ解決じゃないか。たとえば軍艦をアルミで造っても、セラコートしておいたら燃えないわけ? そのへんがもっと詳しく知りたいぞ。

 他の4商品は、最も軽いのが1.2オンス、重いのがボーカーの1.7オンス。
 なお、本記事で結論としてオススメの「5.11 Tactical Vlad」という商品は、1.6オンス。

 記者の信条。雨で濡れると書けなくなるようなペンは、軍人の筆記具たり得ない。

 結論。「5.11 Tactical Vlad」というタクティカル・ペン、が最優秀であった。
 秘密のガジェットはなにも付けていない。
 ボールペンの軸先も常時、露出状態で固定されている(ノック式ではない)。
 しかし、雨の中でも書けるし、ガラスもしっかり割れる。
 濡れた紙の上にもちゃんと書けるボールペンのインクがあったことに、今回、記者(元軍人)は、いちばん恐れ入った。

 Vlad は、窓ブチ割りテストにも、見事合格した。

 豆知識。一般には、自動車の正面のガラスはメチャクチャ頑丈なので、これを割ろうなどと思うな。
 雹が降っているところでクルマを走らせた人なら知っている。サイドとリアのウインドウは粉々になるが、フロントウインドウは無事である。

 なお、タクティカル・ペンは、米国では、民航機内へ、身につけたまま持込むことはできない。しかし、預け荷物とする分には、問題がない。

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 Tom Metcalfe 記者による記事「Prehistoric rock carvings may have been the first cartoons in history, new study suggests」。
     古代人が遺した洞窟画。そこには動物が描かれているが、焚き火のゆらめき光源によってそれを近くから照らすと、アニメーション効果が出るようになっているという。意図的に、動物が動いているように演出しようとした可能性があるという。

 古代の画家・彫刻家は、アニメーターだったのだ。
 英国ヨーク大学の考古学者アンディ・ニーダムが、そんなことを言い出した。

 光源は、地面の焚き火ではなかった。その壁画を照らし出すためのスポットライトとしての松明等が、ひとつひとつの動物の像の近くで、その彫刻や彩色を炙るように保持されていたのである。これは南仏の洞窟画の焦げ具合を調べて分かったという。

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 ストラテジーペイジの2022-5-21記事。
   米海軍は、いよいよ新型病院船を手に入れる。こんどの新造船群は、既存の2艦よりもはるかに小型にし、そのかわり高速で派遣できるようにする。

 既存の2艦は、7万トンの巨艦で、タンカー改造であったためエンジンが弱く、時速30kmしか出せない。
 そこでこんどの新病院船は、これまで高速輸送用に使っていた双胴船体のフェリーを転用する。

 すなわち『スピアヘッド』級輸送艦(2400トン)のバリエーションにする。ただし少し大型にする(3100トン)。
 1隻1億8000万ドル。毎年の運用経費は2800万ドル。

 最初の1隻は2029年までに就役させたい。

 従来、傷病兵を応急治療したあと、リハビリ過程は陸上施設へ移すパターンであったが、海軍は、この病院船内でリハビリ治療まで完結させたいと思っている。

 新病院船は、固定乗員28名。プラス、所属の医療者50名。

 手術室×3。
 全56病床のうち、6床は集中治療患者用、20床は中症、30床は軽症の患者用。

 それ以外に、170人が便乗できるだけの設備を内臓。

 ちなみに既存2艦はベッド数1000、医療者950名で、時代の要請にまったく合っていない。ソ連軍と欧州で正面衝突したときのピーク需要に応えるつもりで設計されているからである。

 既存2艦は、現役艦の扱いでなく、予備艦の扱いとするしかなかった。というのも医師や看護師を950人も常時乗せっぱなしにしておけるわけがない。そんな予算の無駄遣いは許されないから。

 しかし新型艦では、医療スタッフは常駐とする。どこかで災害が起きれば即座に急派できるようになるのだ。

 新型艦は、吃水が4m。よって、より岸に近寄ることができ、特に河口域での活躍が期待できる。

 新型艦のヘリ甲板は、オスプレイが離発着しても焦げない。
 また中型ヘリ用の格納庫も1機分、ある。


次は後備役動員か?

 Mark Trevelyan 記者による2022-5-20記事「Struggling in Ukraine, Russia paves way to sign up over-40s for army」。
   戦況が芳しくない上に事態の長期化が予想されていることからロシア議会には、40歳以上のロシア国民や、30歳以上の外国人も、ロシア軍に入営させられるように、兵役法を改正する動きがある。

 特に前線から求められているのは、電子通信系のエンジニアらしい。ターゲット年齢は40歳から45歳。そのくらいの年齢の民間人に、エキスパートが多いからだ。医療関係者も、欲しい。

 これまでの兵役法では、41歳以上のロシア人や、31歳以上の外国人は、徴兵や召集の対象外であった。しかしそれも変える。

 次。
 ストラテジーペイジの2022-5-20記事。
   NATOがウクライナ軍を情報面で支援するときに最大の活躍をしているのはAWACS機である。
 衛星が撮った写真を他国に見せるには、いろいろと面倒があって、手続きに数日はかかるものである。
 しかしAWACS機からの警報は、リアルタイムに出すことができるのだ。

 米軍のISR用航空機としては他に、電子情報を収集するRC-135や、地上をレーダーで斜めに撮影できるE-8などもある。しかしこれらのデータもリアルタイムに他国に渡せるものではない。

 次。
 William Leben 記者による2022-5-19記事「Let’s hold our horses on drawing lessons from war in Ukraine」。
    ナゴルノカラバフ紛争でアゼルバイジャン側が勝利するのに不可欠だったのは、激しい地上戦だった。
 当初はドローンの活躍ばかりが注目されたが、さいきん、ドローンは戦争の勝敗を決めたのではなかったことが認定されるようになった。

 というわけで80日ばかりの現在進行中の戦争の教訓総括を求めるのは、まだ早いぞ。

 ※わたしの承知するかぎり、未だ、次のことを研究してくれた人がいない。すなわち、敵国の都市に対する砲爆撃やその脅しによって、敵国の都市や首都政府が屈服する場合としない場合の、分かれ目についてである。第一次大戦以前には、「都市の開城」「オープンシティ宣言」は、よくあり得た。しかしWWII以後は皆無なのではないか? 1980年代のイラン対イラク戦争では、互いに数百発の地対地ミサイルを都市に打ち込んだが、どちらの住民の敵愾心も低下していない。その戦訓を汲むならば、今次ウクライナ戦争のロシア軍は、地対地ミサイル(または長射程ロケット弾)の使い処を間違えているとしかいいようがないのだが、それを都市に向けて使えと命じているのは、半死人のプーチン様なのだろう。プーチン個人の政治的ヘイトだけがそれを合理化・正当化しているわけだ。軍事的には下策でも、政治的には最高快楽なのだ。ということは、来たる台湾防衛戦争でも、次のようなパターンが生ずるだろう。中共軍は、それが無駄と知りつつ、2000発の地対地ミサイルで台湾の諸都市を破壊する。しかし台湾国民の敵愾心は少しも衰えず、却って台湾国内は侵略者に対して固く団結し、台湾の航空基地は機能を維持し続ける。したがって侵略は成功しない。そうなってしまうとわかっていても、儒教圏指導者の「面子=ヘイト」は、そのミサイル浪費戦策を、避けることはできないのである。

 次。
 軍事史の記事「The Nazi Invasion of Yugoslavia and Greece」。
   枢軸国は東欧侵略は順調に進んだが、バルカンはぐだぐだだった。
 まずイタリアが1940-10にギリシャに侵攻。ところが撃退され、アルバニアに退却した。

 そこでドイツがユーゴスラビアに圧力をかけ、枢軸に加わるように促した。すでにルーマニア、ハンガリー、ブルガリアは、枢軸に加わっていたのだ。
 ユーゴスラビアの君主は、1941-3-25に、ドイツとの同盟条約に署名した。

 ところがこれに、ナショナリスト軍が激しく反発して、クーデターで君主を放逐。
 ヒトラーは、ユーゴスラビアは敵国になったとみなし、ベルグラードを空爆させた。

 1941年4月6日、ドイツ率いる枢軸軍(ハンガリーとイタリア)はユーゴスラビアに地上進攻する。
 4月17日、ユーゴスラビア陸軍は無条件降伏した。

 その同じ日、枢軸軍はブルガリア経由でギリシャにも攻め入った。
 だが、ギリシャ軍と英国派遣軍の強い抵抗に遭う。

 最終的にはバルカン半島はドイツが制圧できたが、ここで手間取った時間は大きかった。次のソ連侵攻作戦の開始を遅くしてしまったのである。

 バルカン半島の英軍は、駆逐艦によって脱出した。

 ベルグラードは爆撃をまぬがれるためオープンシティ宣言。

 次。
 Ellen Castelow 記者による記事「Black Monday 1360」。
    1360年4月13日、百年戦争に出征していた英軍部隊の頭上に尋常でない雹が降って、1000人以上が死亡した。これを英国人は「ブラック・マンデー」と称した。

 1337年いらい英軍は仏軍と戦争状態にあったわけだが、その間、こんなにたくさんの戦死者が出たことはいちどもなかった。

 1359年10月に英仏海峡をおしわたったエドワード3世の軍勢は、パリに向けて進軍を続け、4月13日には、シャルトルの攻囲にかかった。
 その夜、突然、風が吹き始めた。英軍はテントを張って野営していたのだが、冷たい雨と烈風、さらに巨大な雹のために、テントは潰された。降雹は30分間続き、馬6000頭以上が死んだ。大パニックだった。

 エドワードは神の怒りが恐ろしくなり、1360-5-8にフランスと和平条約を結ぶ。
 エドワードはフランス王位の主張を引っ込め、アキテーヌ地方とカレーをフランスに領土返還した。
 かたやフランスは、英国内で捕虜となっていた王様の身代金を支払った。

 9年後、英仏は戦争を再開する。百年戦争は、そこでは終わらなかったのだ。

 次。
 軍事史の記事「The Sinking of the Cap Arcona」。
   『Cap Arcona』はドイツの豪華客船だった。蒸気タービン・エンジンだから、速くて静か。1927-11に、ハンブルクと南米の間の航路に就航した。

 船名は、バルト海のルゲン島にあるアルコナ岬にちなむ。

 1940、ドイツ海軍はこの客船を徴用し、バルト海に繋留して水兵用のホテルシップにした。

 1943にこのフネをセットに使って、ドイツ版の映画『タイタニック』が撮影されている。2005年以降、その完全版を一般人も鑑賞できるようになっている。

 大戦末期のバルト海におけるドイツ海軍の使命は、ソ連軍が押してくるのにともなっておびただしく発生したドイツ系の避難民を、できるだけ船で運んでやることだった。

 1944年末から翌年の5月まで、このような避難民は200万人にのぼったのである。

 避難民を満載して沈んだ船もある。たとえば『Wilhelm Gustlof』は2万5000人、『Goya』は1万5000人を乗せたまま、海没した。

 それでもドイツ海軍はあらゆる船舶を動員して避難民の輸送に尽力した。

 『Cap Arcona』は、終戦の数週間前に避難民救出任務を与えられ、東欧の港へ3往復し、2万6000人の住民をピックアップして、西航した。

 1945-4、『Cap Arcona』は、ノイシュタット湾へ行き、そこで、強制収容所に入れられていた囚人4500人を乗せるように命じられた。「洋上強制収容所」である。虜囚たちはハンブルク近くのノイエンガメ収容所から徒歩で移動させられてきた。その収容は1945-4-28に完了した。

 1945-5-3、すなわちヒトラー自殺の翌日にして、デーニッツ降伏の4日前だが、英軍のホーカー・タイフーン編隊がこの船を爆撃した。『Cap Arcona』は炎上し、転覆した。

 船と運命をともにせずに洋上に浮いている囚人たちは、タイフーンの機銃掃射と、看守のSSからの射撃にさらされた。

 4500人のうち、生き残ったのは350人だけであった。


いよいよ女子徴兵と「学徒出陣」の段階に…。

 Stefan Korshak 記者による2022-5-19記事「RF army recruiters scrambling to find manpower, draft-dodgers」。
   ロシア国内の電話通話を傍聴している複数の機関によると、ロシア国内ではウクライナ戦争は不人気で、軍からの志願のよびかけに誰も応じようとしない。徴兵逃れが横行している。

 ドネツクのある兵士の家族は医師に賄賂を渡して本人が心臓病ということにしてもらい、みごと、除隊帰郷させることに成功した。
 兵隊の中には、精神病を装って従軍を回避しようとする者もいるという。

 クレムリンは、対策として、「徴兵法」を改正しようとしている。警察官によって、徴兵対象者を確実に、徴兵事務所まで連行させる、という制度に変えようというのだ。

 さらに、ロシアが占領したウクライナ地区でも、住民に対してこのような強制徴募をどしどし進めるつもりである。すなわち18歳から60歳の男子は兵役簿に登録し、そのうち30歳以下の男子は即日入営せしめる。

 とはいえ依然としてクレムリンは、大都市(モスクワ、サンクトペテルスブルグ、クラスノダール、ノヴォシビルスク、ハバロフスク)に於いては、徴兵の徹底をためらっている。都市暴動が起きることを懸念しているのだ。

 5月18日には、ドンバスのふたつのロシア系分離政府の行政域下にある大学の大学生に、徴兵免除をしないことが公布された。すなわち「学徒出陣」が、これから始まろうとしている。

 ドンバスでは警察が、家を一軒一軒しらみつぶしに捜索して、兵役適齢年齢の男子を捜索しているが、もちろんのことに、とっくにどこかに逃げ匿れているから、徴募実績は上がっていない。

 5月15日には、ドンバスの2地区で、ついに「女子徴兵」が始まった兆候がある。対象年齢は18歳から45歳だそうだ。
 ちなみに「大祖国戦争」中にはソ連では女子も徴兵されていた。しかし戦後ロシアは一度も女子を徴兵したことはない。これまでは。

 クリミア半島の住民で、ロシアが占領する前にウクライナ軍に入営していたことのある者は、いまのところ、強制徴兵の対象にはされていないという。

 2022年春のダゲスタン州での徴兵事務は酷いものだったとロシア国内でも軍事コミサールが批判するほどだ。実戦には投入しないと繰り返して嘘の約束をしておいて、ウクライナの最前線へ送り込んで皆、殺してしまった。

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 The Maritime Executive の2022-5-19記事「CSSC Launches World’s First “Drone Carrier”」。
    孫逸仙大学の南海研究所は、珠海の造船所に、軍艦ではない民間船として、無人航空機・無人水上艇・無人潜航艇の洋上実験基地とする船舶を、2021-7から建造させていたが、このほどできあがり、進水した。

 これは世界初の《無人機母艦》である、と、彼らは宣伝している。就役は今年じゅうの予定。

 全長290フィート。無人機は各種数十機を混載できる。

 ※わが国の本土の内陸部では、電波法やら航空法やらの縛りが五月蝿すぎて、とても無人機の研究どころではないから、絶海の孤島とか、公海上に浮かべた船舶プラットフォームを使って、自由闊達に研究開発するのがいいと、兵頭は昔から著書で主張していたのであるが、結局、またしても、その提案を先に採用するのは、中共なのである。実行のスピード感が違いますよ。

 ※雑報によるとイランは、巨大コンテナ船を改造した、長さでは世界最大となる「軍艦」を建造していることが、衛星写真でつきとめられている。それをIRGC(イラン革命防衛隊)部隊の洋上基地とするつもりらしい。


ロシアは、90年代の国産乗用車を生産再開するしかないだろうという。すなわち、エアバッグ無し、ABS無しのなつかしモデル。

 雑報によると、撃墜した「オルラン10」のサーマル画像センサー(チップ一体のもの)を分解したら、フランス製であることがわかった。しかもフランスの工場を2022-2に出荷されたものだった。

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 ストラテジーペイジの2022-5-19記事。
   エストニアは、人口たったの130万人。GDPはウクライナの0.8%にすぎないのに、ウクライナ難民を受け入れて、武器援助まで送っている。

 エストニアの現役兵力は6000人。有事には予備役を動員して6万人になる。

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 Graham Land 記者による2018-8-7記事「Starvation Without Reparations : The Nazi Occupation of Greece」。
  WWIIでギリシャは4年もイタリアとドイツに占領されていた。すなわち1941年4月から、1945年6月まで。クレタ島のドイツ軍が降伏したのが1945-6なのだ。

 ブルガリアも、ギリシャ占領に加わっていた。

 ギリシャ国王は占領される前にさっさと逃亡したが、パルチザン(右派も左派もいた)はゲリラ活動を継続する。
 それに対して、ブルガリア、ドイツ、イタリア軍はそれぞれ、4万人、2万1000人、9000人のギリシャ人ゲリラを処刑している。

 またそれとは別に、ギリシャ国内から6万人のユダヤ人が連れ去られ、どこかの収容所に入れられた。

 ギリシャにあった私企業や公営企業の51%は、ドイツ人の所有物にされた。

 この占領期間中、労働者階級を中心に、ギリシャ全土で30万人が餓死した。アテネ市内だけでも4万人が餓死したという。

 ギリシャは農業国家だった。占領軍は900の農村を破壊し、収穫物を奪ってドイツ軍の軍糧にした。

 この収奪が左右のパルチザンを連合させたものだった。

 ごくわずかに、中立国のトルコやスウェーデンから穀物を持ち帰るギリシャ船もあったが、それだけだった。

 戦後、ギリシャは共産主義者との内戦に突入したので、西ドイツによる補償の話は進まなかった。ようやく1960年に1億1500万ドイツマルクの賠償が決まった。

 しかし戦時国債として強制的にギリシャ中央銀行が買わされていた、4億7600万ライヒスマルク(利息ゼロ)は、償還されなかった。


最新の ★《続・読書余論》は 伊藤隆編『国防と航空 笹川良一と東京裁判 別巻』2010年刊・ほか です。

 興味深いのは、戦前すでに、航空パイロットにとって、南シナ海の天候が最も安定していて活動し易いのは4月末~5月初旬だと知られていたこと。現在でも1年でいちばん台湾近海を注意するべき時期は、日本のゴールデンウィークとモロに重なっているわけです。

 《note》 https://note.com/187326mg/  を ご覧ください。

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 2022-5-18記事「Next Step in Australian and Japanese Interoperability: KC-30 Refueling of F-2」。
   この四月、RAAFのKC-30Aタンカーが、空自のF-2に空中給油する訓練を成功させた。

 RAAFは、クインズランド州のアムバーレイ基地にこのタンカーを7機、置いている。1機で100トン以上もの燃料を運べる。

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 Tim McMillan 記者による2022-5-16記事「Kremlin-Backed Fighters Left Abandoned, Then Detained By Russian Border Guards」。
  北西ウクライナ戦線(ハルキウ西方)において、前進命令を拒んで勝手に先に故郷へ退却したLNR(ルハンスク人民共和国)の分離派部隊は、ロシアの連邦国境警備隊によって逮捕され、いずこかへ連行された模様。最初に司令官がじぶんの部隊を捨てて逃げた。

 この事情は電話傍受やビデオ投稿によって分かってきた。

 このLNRは当初、ロシア軍の一翼としてキエフへ向けて前進していたのだが、退却局面になって、露軍とのあいだで悶着が起きるようになった。

 要するに、LNRの兵隊たちは、ロシア軍よりも高速で退却しはじめた。それをLNRの指揮系統が止めようがなくなった。
 それでロシア軍が、LNRの本拠地、すなわち動員の出発点でまちかまえていて、脱走者を逮捕した。

 LNR軍がロシア国境を越えて逃げないように手を打ったらしい。ロシア兵ならロシア領内まで後退してもいいのだが、LNR軍にはそれ以上の後退はゆるされないのだ。

 逮捕された分離派の兵隊たちは、こんどは強制的に、ロシア軍への正式入隊志願書に署名させられているそうである。

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 Tyler Durden 記者による2022-5-19記事「The Swiss Connection: How Russia Is Weathering Tough Sanctions」。
   ロシアの地下資源の貿易はその80%がスイス経由。1000もの露系企業がそこで汁を吸っている。
 この仕組みを崩壊させないと、真の対露制裁にならない。
 というわけで、西側世界がスイスを見る目が険しくなってきた。

 地下資源の三分の一は石油とガス。のこりは、亜鉛、銅、アルミなどだ。

  ※永世中立の美名の下、かなりダーティな国家になっていたのである。スイスは汚れていた。ロシアまみれだ。三代目が留学させられるわけだね。


★《続・読書余論》伊藤隆編『国防と航空――国粋大衆党時代 笹川良一と東京裁判 別巻』2010年刊

「猿痘」がこんどはマサチューセッツ州に上陸か。

 SOFREP の2022-5-19記事「Ukrainian Intelligence Reveals Massive Losses of Russian 1st Tank Army」。
    5月17日にウクライナ国防省情報部が発表。ロシア第1戦車軍の公式文書を入手。侵攻作戦での大損害が赤裸々に報告されていると。

 それによると3月15日までに損失409名。

 第2自動車化歩兵師団隷下の第1戦車連隊は、緒戦の2週間で45両の「T-72B3M」を失った。すなわちほぼ半減。

 第4戦車師団の第12戦車連隊は、18両の「T-80U」を失った。
 第13戦車連隊は、47両の「T-80UE」を失った。
 第423自動車化歩兵連隊は、6両の「T-80BV」を失った。
 第27自動車化歩兵旅団は、9両の「T-90A」を失った。

 これら戦車の喪失数にくらべて、戦車乗員の喪失人数は少ない。このことは、燃料が切れて動かなくなった戦車を乗員がサッサと見捨てて逃げたか、夜間、戦車の外で寝ているときに戦車を破壊されたケースがあることを示唆するだろう。

 ウクライナ政府の発表とは独立に、オリックスが統計値を集計している〔略す〕。

 ちなみにこの「第1戦車軍」はWWII中にドイツの第1パンツァー師団を壊滅させている。その麾下には「タマンスカヤ歩兵師団」、「第4親衛戦車師団=カンテミロフスカヤ師団」などが所属している。

 3月28日までの既報によれば、第4親衛戦車師団は、国境からわずか15マイルの地点で、ウクライナ軍の第93機械化旅団によって、殲滅された。

 重要な事実。この「第4親衛戦車師団」は、露軍の中でもいちばん練度が高く、その人員の8割は、常時即応のコンディションにあると宣伝されていたのである。その師団があっけなく全滅した。

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 David Roza 記者による2022-5-18記事「Do beards actually break the seal of gas masks?」。
   あごひげは、防毒面の気密性を損なうのだろうか?
 長年、米軍は、そのように新兵に教えてきた。
 しかし空軍の軍医が科学的に確認したところ、今日ではそれは根拠の無い都市伝説であることが判った。

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 『DW』による記事「Azovstal eyewitness recounts her evacuation from Mariupol steel plant」。
    アゾフスタリ製鉄所地下壕から国連・赤十字によって救出された一住民(♀)へのインタビュー。
 この地下壕は1960年代に建設されたものだった。
 さいしょは、罐詰や飲料水のストックがあったが、じきに足りなくなった。

 外から新しくやってくる人は、手持ちの食糧を、毛布の中で隠して食わなくてはいけなかった。

 さいしょは外で煮炊きをしていたが、それはじきに不可能になった。

 インシュリンなどの注射が必要な人がいたが、そうした医薬品は無かった。

 救出された人は、行く先を選ぶことができた。そのとき何が起きたかは、話したくない。

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 The Maritime Executive の2022-5-17記事「Ukraine Asks Turkey to Ban Stolen Grain Cargoes From the Bosporus」。
   トルコ駐在のウクライナ大使は、トルコ政府に対して、ウクライナ領内で盗まれた穀物を積んだ船舶がボスポラス海峡から抜け出ないように、阻止して欲しいと注文した。
 これら穀物は陸路でクリミアまで運搬されて、そこから船積みされていると。

 すでにその疑いのある2万7000トンのばら積み貨物船(ロシア船籍)が、シリアのラタキア港に入港している。
 この穀物はシリアで「ロンダリング」されて、さらに周辺市場で売り捌かれるという流れだ。

 げんざい、2隻目の貨物船がセバストポリを出港してボスポラスに近づいている。
 シリア国旗を掲げた、1万9000トンのバラ積み船だ。

 次。
 The Maritime Executive の2022-5-15記事「Despite Ukrainian Claims, Russian Navy Support Ship Appears Unharmed」。
   ウクライナがミサイルを当てて炎上したという話があったロシアの補給艦『Vsevolod Bobrov』はセバストポリ港に戻った。見たところ損害はないようである。両舷とも汚れていない。


露軍は占領したマリウポリ市で焚書を始めた。ウクライナ語の歴史書はすべて焼却中。

 雑報によると、いよいよNY市警が「ラップ・テクノロジーズ」社製の「ボララップ」(BolaWrap)を採用するという。

 数年前から、専ら各地の警察だけに納品されていた、ノン・リーサルな新兵器だ。一般人は、買えない。

 トランプカードの1箱よりもやや大きいサイズ。これを警察官のベルトにさしておく。他の装備の邪魔にはならない。

 米国では、精神病者が公共の場で暴れているとき、旧来ならテーザーか警棒を使うしかなかったが、どちらも、病人を傷つけることになるので、警察側にはジレンマがあった。

 ボララップは、長さ7.5フィートの、凧糸ほどの太さのケヴラー製の「捕縄」を「.38スペシャル」のブランクのガス圧によって発射し、制圧対象者の両足に一瞬で巻き付けることによって、とりあえずその場から動けなくすることができる。どんな巨漢でも関係ない。

 距離10フィートから25フィートまでが、有効射程。3m以上も離れたところから使えるわけだ。

 もし相手が地面に転んでいなければ、6秒以内に再装填して、こんどは上半身に「ケヴラー捕縄」を巻き付けることも、理論上は可能だと宣伝されている。

 発射前に、横一列に数個並んだ、照準用のLEDビームで対象者の身体を照射する。そのドット列が並んだところの上に正確に「ケヴラー捕縄」がまきつく。だからたとえば、容疑者が両腕を下げているときに、その上半身をいましめるのに、都合がよい。

 ケヴラー紐が飛び出すスピードは、秒速513フィートである。
 拳銃の空砲薬莢の音が出るので、相手も周囲の通行人も、拳銃が発射されたと錯覚する。よって威嚇効果もある。

 値段は1個1000ドル。高額なので、全米への普及の速度も緩慢なのだろう。

 あと、メーカーは無害性を強調しているが、紐が巻き付いて固定される仕組みがよくわからない。紐端末などに「鉤」構造が使われてはいないのか? そうだとすると、その「鉤」が人体に刺さる可能性はあることになるだろう。メーカーはそのへんをCMでハッキリさせていないように見える。

 次。
 雑報によると、イランで大規模な食糧暴動が発生中。同国の食糧はウクライナとロシアから多く輸入されている。それが戦争で入らなくなり、穀物価格が騰貴している。


またしてもバンダルの所業。世界の植物の遺伝子が詰まった種をおびただしく収蔵していたウクライナの農業研究施設を、露兵が意図的に丸焼きにしてしまった。

 Vali Kaleji 記者による2022-5-16記事「Will Russia Complete Iran’s Rasht-Astara Railway?」。
  ※『Eurasia Daily Monitor』という機関誌の Volume: 19巻 Issue: 71号 寄稿記事である。

 今次ウクライナ戦争は、中共のBRI(ベルト&ロード・イニシアチブ)を破綻させた。計画では、「ニュー・ユーラシアン・ランド・ブリッヂ」は、露→宇→波(もしくはベラルシア)と鉄道でつなぐことで、西欧と支那を接続させる肚だった。その「北国ルート」は不可能になった。

 そこで浮上しているのが「中廊ルート」である。別名TITR=トランス・カスピアン・インターナショナル・トランスポート・ルート。
 このTITRは、ロシア領を避ける。まずカザフスタンからカスピ海へ。そこをフェリーで渡して対岸のアゼルバイジャンへ。そこからまた鉄道で西隣のジョージアへ。ジョージアの黒海の港から、西欧へ荷物が行くのだ。

 もうひとつのルートは、イランとトルコを通す。これは黒海を通航することなく荷物を西欧まで届けられるルートになる。中共からイランまでをどうするかは不確定で、キルギス、トルクメニスタン、ウズベキスタンを次々と縫い通すか、さもなくばアフガニスタン領土を利用することもオプションとして検討ができる。

 もっか、注目されるのが、アゼルバイジャンとイランの間に、鉄道がつながっていないこと。これがつながると、ロシア領から、カスピ海沿岸をぐるりと鉄道で一周するルートができるのである。
 すなわち時計回りに、露→カザフ→トルクメニスタン→イラン→アゼルバイジャン→ロシアと。

 イラン西北の国境の町は「Astara」という。そのアスタラから、カスピ南岸の「Rasht」市までの区間、164kmだけが、鉄道未敷設なのだ。

 アゼルは金持ちなので、この区間の建設資金をイランに融資できる。しかし米国がイランに経済制裁を加えているので、このような銀行間の契約は不可能である。イランに自己資金は無い。だからこの164kmは、いつまでも着工できずにいる。

 イランはアルメニアとも国境を接していて、アルメニアの鉄道とイランの鉄道を結ぶこともできるのだが、アルメニア南部山岳地での鉄道建設が2009年いらい頓挫している。

 アゼルとジョージアは、イラン鉄道との接合を熱望している。それができれば、輸出品を、黒海からではなく、イラン南岸のアラビア海に面したチャーバハール港から、アジア市場に向けて出荷できるようになるからだ。
 アゼルから借金ができないので、イランは、モスクワから建設資金を調達したがっている。

 今次ウクライナ戦争は、イランにとっては都合がよい。ロシアは今後、鉄道で西向きに物資を輸出するのは難しい。だから、これからは、アゼルバイジャン鉄道経由→イラン鉄道経由で、イランの南岸港から物資を(たとえばインドに対して)輸出したくなっているはずだ。だからモスクワは、イランに鉄道建設資金を融資する可能性がある。

 次。
 Andrew Eversden 記者による2022-5-16記事「SOCOM receives first Spike NLOS system integrated on a JLTV」。
   イスラエルのラファエル社が開発した「Spike NLOS」は、対戦車ミサイルとしては最長レンジの32kmも飛翔する化け物兵器。米軍は夙にこれに注目し、すでに「AH-64 アパッチ」から射てるようにしつつあるのだが、このたび、JLTV(HMMWV後継の汎用軽装甲トラック)からも発射できるように、ロッキードマーティン社が作業する。まずはSOCOMが使う。

 「スパイクNLOS」は、飛翔体がパレットの中に入っている。負傷者搬送用の担架をとりつけるレールがすでに備わっているジープ~トラックであれば、車種にかんけいなく、そこに取り付けられるように設計されているのだ。

 あとは、長射程をフルに活かすための、「シチュエーションアウェアネス」用システムとの結合。そこでロックマートの仕事となるわけ。

 ※ロックマートがこのSIR――この略語が米人にはあまり好まれないので最近ではシチュエーションアウェアネスと言い換えているような気がする――の詳細を語らないところから推察して、衛星情報か、さもなくば、戦場ESM情報との半自動結合を目指しているのではないかと思う。敵の戦車などが無線機を送信している気配のあるところへ、とりあえずミサイルを飛ばす。飛ばしたあとで、ミサイル弾頭のTVセンサーを使って、目標を上空から見定める。そんな仕組みにするのではないか? そうでなかったら、秘密にする必要がどこにあろうか?

 次。
 Emma Helfrich 記者による2022-5-17記事「Now There’s A Drum Magazine For Dropping Multiple Bombs From Commercial Drones」。
   先週から奇妙な動画がSNSに出回っている。
 名前が不明のオランダの企業が、商用のクォッドコプターにとりつけることのできる、ドラム弾倉を開発したというデモフィルムである。60ミリくらいの迫撃砲の砲弾を、次々と投下することができる構造のように見える。
 SNSでは、これがウクライナ軍に供給されているともいう。

 ※わたしも検索してみたが、そのようなものを製造しているオランダ企業にヒットしない。すくなくとも英文HPは存在しないようであった。この記者氏もつきとめられなかったようだから、この動画は「謀略フィルム」なのだと思っていいのだろう。ハイネケンのビール瓶自動販売機のように空から爆弾が降ってくるぞ、という脅かしだ。その嵩張るロータリーマガジン機構の重量で、もう1~2発分の迫撃砲弾が余計に運搬可能なのだから、まるで合理性などないだろう。

 ※ところで今次戦争の七不思議のひとつは、ロシア人がずっと前にSNSに投稿していた、「自動小銃に主翼を付けてラジコンで飛ばす、飛行機関銃」をどうして実戦に持ち出さないのかということ。やはり、呼び戻すときに面倒が発生するのだろうね。着陸場近くの味方の兵隊がパニックになるよ。