イランの核に関する情報はすべて間違っている可能性がある。

 「Qom」市に近い「Fordow」山塊の岩盤に穿たれた地下トンネル内にあるウランの遠心分離プラントは、地下3階構造で、地表からは80m・・・という情報が一人歩きしているが、いままで何年も工事する時間があって、その「初期値」が変わっていないことなど、有り得ようか?

 地下の立体Mapが曖昧で不確実なのだから、米空軍の「B-2」から投下できる最大級のバンカーバスターでも、この設備を破壊できるかどうか、こころもとないのである。位置が不明の対象物を、誰も破壊しかねる。

 ただしネタニヤフにはオプションがある。この「Fordow」のトンネル入り口に、イスラエル製の核爆弾を落とし、地表ゼロ・メートルで起爆させればいいのだ。火球が土壌を包摂することにより、トンネル入り口は半永久に放射線を輻射し続けるようになり、そこは人がアクセスするのに適さなくなる。客土の試みはほぼ無駄である。イランは「グラウンド・ゼロ」から離隔した別なトンネル入り口を改めて開鑿するしかなくなるだろう。イスラエル政府は、それですくなくとも数ヵ月、運がよければ数年の時間が、稼げるはずだ。

 このオプションを「自衛権」として行使しますよとネタニヤフがトランプに伝えれば、トランプも、そうなる前に「B-2」を出さないわけにはいかなくなるだろう。

 イランはすでに《原爆》は持っている。
 ウランの濃縮度がちょっと低かろうが、さまざまな「原爆もどき」を造れるからだ。
 これまで何十年も時間が与えられていて、それが試作されていないと思う方が非常識だろう。

 それら「原爆もどき」がイランの隠し球なのだ。その使い方も、とっくに研究されていると思わなくてはいけない。敵は木偶ではないのだ。

 貴重な「隠し球」は、奔放な使い方は許されない。確実に機能させなくてはならない。なおかつ、それを使うことによって、米国政府をタジタジとさせることができないのでは、政治的かけひきの梃子にもならないので、意味がない。

 となると用法も限られる。予想しよう。バンダルアッバス軍港からIRGC(イラン革命防衛隊)が「半没艇」もしくは「偽装漁船」、もしくはホンモノの原油タンカーを使って、ホルムズ海峡まで持ち出し、その水中で炸裂させるだろう。どのフネに「原爆もどき」が搭載されているかを絞り込ませないために、大小の「囮」船艇が、同時にあちこちに多数、出現して航走する。
 「原爆もどき」を積んだフネは、米海軍からの臨検を阻止するために、自爆用の高性能炸薬もブリッヂに満載してある。その自爆装置は、本作戦が成功しても失敗しても炸裂させて、米軍を攪乱し、証拠を隠す。

 作戦の結果、国際原油取引価格は急上昇する。それが米本土内のガソリン小売価格を押し上げるので、トランプ政権は窮地に陥る。ロシアは原油輸出に関連した歳入が増えるので歓喜し、イランを背後から実質声援する。
 しかもイランは、核弾頭の運搬手段として「半没艇」を用いてみせることによって、それを理論上、GCC諸国の原油積出し港や、イスラエルのアカバ港、スエズ運河、さらには米本土の任意の港湾都市に対しても、いつでも使えるんだぞというポテンシャルを示威することができる。

 もし米国政府が、「B-61」水爆の地中爆発型をイラン本土の核施設に投下した場合は、イランは報復として、GCC沿岸で《原爆もどき》を何発も炸裂させる――と事前に脅すことだろう。そのとおりに実行されれば、米国国内のガソリン価格は高止まりし、これまでのトランプ支持者層も、政府と共和党に失望するだろう。

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 Sania Kozatskyi 記者による2025-6-18記事「Iran Shot Down Israeli Hermes 900 Drone」。
  火曜日にイランの放送局IRIBは、イスラエル軍の「ヘルメス900」無人機を精密ミサイルで撃墜したと公表した。
 撃墜地点は、イスファハンの東部域。

 ただし残骸写真を見ると、機体表面に「破片孔」が見られない。だから、ミサイルで撃墜したのかどうかは、怪しい。
 しかるにIDFは「SAMでやられた」と認めた。

 「ヘルメス900」は、数発の誘導兵装で武装できる。たとえば「ヘルファイア」。「シャヘド」の発射車両に投弾して破壊した機体は、ヘルメスだったのかもしれない。

 ※この無人機はロータックスのエンジンでゆっくりと飛ぶ。高度9000mを、巡航速度112km/時で。機体もステルス形状ではないので、長射程のSAMがあれば、撃墜することは難しくない。しかしイスラエルは、こいつを飛ばす前には当然、多数の「囮」ドローンを飛ばしたはず。それにイランは敢えて反応せず、高価値機体が飛来したところで初めてSAMシステムを起動させたことになろう。それを見極めるISRは持っているのだ。フーシもかれこれ9機以上も「リーパー」をイラン製のSAMで撃墜してみせている。この事実がトランプを悩ませる。もし、Fordow 上空に「B-2」を飛ばし、万一にもSAMで撃墜されたならば、ぬぐうことのできない不名誉を歴史に刻まれてしまう。もちろん乗員はイランの捕虜にされ、トランプはテヘランにわざわざ「カード」を進呈してしまう。

 ※開戦第1日目にイスラエル空軍機は有人機200機を飛ばし、1機もやられることなく、全機が帰投したという。イランはあきらかにこのようなときにはSAM用レーダーを止めてしまうことにしているのだと疑えよう。おそらくSAMは温存されている。敵は木偶ではないのだ。

 ※ちなみにドイツ連邦軍はバルト海の常続監視のために、イスラエル製の「ヘロンTP」を運用中。こちらの無人機は高度1万3000mで巡航できる、最上位クラス。1機は2500万ユーロだという。滞空時間は30時間。エンジンはターボプロップ。


イランが月曜日にラーンチャーの残骸写真を公開。13日にリモコンで発射した対戦車ミサイルには「スパイク」が含まれていた。

 解説記事は『ウォー・ゾーン』にある。
 「スパイク」の射角調節できる発射マウントには、赤外線カメラの視察&照準器も載っていた。これをリモートでモニターしていたらしい。

 テヘラン郊外とイスファハン市では、モサドが建物を1棟借り上げて、その内部で、未知の手作りの片道無人作戦機(電動プッシャー・プロペラ駆動)を組み立てていた。機体はベニヤ製で、小型のカタパルトから射出する。
 しかしこの無人機を6月12~13日にどこかから射出したという残置物証は未だみつかっていない。だから、こちらは使われなかった蓋然性がある。IDF高官の証言もそれを裏付ける。部品は何年もかけて密輸入したという。

 ※イラン国内では「飛行試験」が不可能だから、性能既知の「枯れた量産品」でなくては、失敗予期率が高すぎて、なんとも使いづらいわけだ。かといって「ハーピィ」のようなものをイラン国内に持ち込もうとすれば、どうやっても途中で目立ってしまうし、長く隠しておくこともリスクが高すぎる。その機体外殻は細かくバラすことができず、主翼も胴体も、素人目にも「無人自爆機」だと猜疑され得るからだ。ゆえに、ベニヤでガレージ自作……という流儀には、見とがめられたときの「言い訳のしやすさ」があるのだろう。

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 High Intensity Focused Ultrasound =高密焦点超音波、略してHIFUと称する《皮下加熱療法》があるそうだ。それを使うと皮膚の表面が引き締まるのだという。その仕組みを聞いて思ったこと。自動車のフロント・ウインドウの裏側(車内側)から、ウインドウの外側表面に焦点が合うように調節したこの超音波銃(ペン形?)を適宜な動線を描くようにスウィープ(掃引)せしめたなら、厳冬期の北国の朝、氷結しているウインドウの表面を至短時間に解氷させられるのではあるまいか? 溝状に溶かし、氷霜をいくつかのブロックに刻んだところでワイパーを作動させれば、流氷のように脇へ寄せられるのでは? その超音波は、焦点距離よりも遠くへ行けばもう拡散する一方なのだから、人畜にも迷惑はかからんはずだよね。もし、その方式だと急な冷熱差でガラスが割れる害があるのであれば、1本のペンではなく、BCG注射のようなクラスター状の「筒先」にして掃引すればいい。さらに妥協をして、ガラスの表面ではなく芯層部に焦点を合わせ、低エネルギーで緩徐に加熱してやる方法でも、従来のヒーター頼みよりは、タイパは優るであろう。

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 Oleksandr Yan 記者による2025-6-17記事「Israel destroys Iranian Shahed-136 drone launchers」。
   イスラエル領内に向けて「シャヘド136」を発射しようとしていたトレーラーをIAF機が空から破壊してしまう動画がSNSに出ている。
 ただし、そのトレーラーは、すでに無人機を放出してしまったあとだったかもしれない。

 6-17には、武装ヘリ(おそらくアパッチ)が後方からイランの固定翼無人機に追いすがって撃墜してしまう動画が出た。
 6-16には、イランの飛行場で野ざらしに駐機していた「トムキャット」2機を空爆して破壊した画像もリリース。※別記事によるとこれらの「F-14」はすでに飛行ができない状態で、そのため硬化掩体には収容していなかった。

 6-15には、イランが保有する唯一の空中給油機である「Boeing 707-3J9C」が空爆破壊された。

 ※もし『トップ・ガン 2』の公開よりも早くイスラエルがシビレを切らしていたら、イランには1機のF-14も無いわけで、映画の面白味は半減していただろう。トム・クルーズ氏は強運である!

 ※今次の対イラン戦争で、イスラエルが今のところ自粛していることあり。カーグ島などの原油の積出し施設や覆面タンカーを攻撃していない。バンダルアッバス港などに所在するイラン海軍の艦艇を攻撃していない。いずれも、撃破するのは易々たるものであるはずなのに、それを敢えてしていない。

 ※イスラエルはインドを仲間に引き込んだ可能性がある。じつはイスラエルが、トランプを尻目に、ロシアを潰しにかかっている可能性がある。2023-10-7のハマス奇襲の黒幕はFSBだったと確信できるようになったのか。そしてインドも、今年のパキスタン発のテロの黒幕は中共ではなくロシアだと察したのか?

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 Taras Safronov 記者による2025-6-17記事「Ukraine receives MV-25 OSKAR, the latest French attack drone」。
  フランス製のロイタリングミュニションである「MV-25 OSKAR」をウクライナ軍は受領し、すでに使い始めた。

 「MATARIS」と称する一連のロイタリングミュニションがあり、それは4機種からなる。
 「MT-10」は二重反転の竹トンボ型で、レンジ10km。
 「MX-10 DAMOCLES」はクォッドコプター且つ固定翼で、レンジ10km。
 「MV-25 OSKAR」はレンジ25kmの固定翼特攻機。プッシャープロペラを電動モーターで回す。
「MV-100 VELOCE 330」はレンジ100kmの固定翼特攻機。超小型のターボジェットエンジンを背面に載せ、カタパルトから発射。時速400kmという。

 このうち「DAMOCLES」は2025-7から仏軍が運用開始する。

 「MV-25 OSKAR」は開発スタートから2年にして、ウクライナ戦線での実戦配備まで漕ぎつけた。試験実戦は2024-6であった。弾頭は対戦車型で2.5kg。

 おそらくルノー社がウクライナ国内工場で量産するのは、これらのシリーズであろう。


ソアラー級のホンモノのグライダーに100kg爆弾を載せて、有人軽便機によって曳航してリリースする親子飛行機式爆撃が実行されはじめた。

 Defense Express の2025-6-16記事「Ukraine Uses Not Only A-22 Aircraft, But Also Kamikaze Glider with a 100-kg Warhead for New Strike on Facility in russa」。
  A-22というのは、80馬力から100馬力のガソリンエンジン(ロータックスの912ULもしくは912ULS)単発で飛行する、ウクライナ国産の有人の軽量飛行機(最大2人乗り)で、これ自体を無人化して遠距離目標に対して特攻させる空襲は、すでに実施されていた。そのさいの搭載爆薬は90kgで、残りのペイロードは燃料にあてる。レンジは1100km。

 このたび公表された新作戦は、この小型機を使い捨てにしないで、有人のA-22によって無人の「ソアラー」を空中曳航させ、それを切り離して、露領内の「シャヘド」工場に突入させるというもの。もちろんグライダーには爆装する。A-22の最高速度は160km/時である。

 ※作戦距離は公表されていない。夏シーズンは、昼間、大陸の中心域が高温になって、強い上昇気流が生じ、そこに向かって風が吹くから、ウクライナ側からグライダーを飛ばすのには有利なのかもしれない。

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 Bill Gertz 記者による2025-6-15記事「Ukraine’s drone attacks spotlight U.S. bomber vulnerability to container-launched missiles」。
 6月1日の「蜘蛛の巣」作戦で、完全に破壊された戦略爆撃機は、8機の「ツポレフ95」、4機の「ツポレフ22」である。

 米国防総省は最近報告した。中共が、超音速ミサイル「YJ-18」を、ありふれた外見の舶用コンテナ内に仕込んで、それを外航線の商船に積んで米本土へ寄港させ、そのコンテナによって米本土各地にある戦略爆撃機を地上において破壊してしまう方法を研究していると。

 このシステムは、2022の珠海兵器ショーに初展示された。ロシアの「Club K」とそっくりで、それをCSDCS=コンテナ型海洋防戦システム と名付けていた。

 ロシアの「Club-K」は2010年以降、輸出用に宣伝されている。20フィーターの何の変哲もないコンテナの内部から、対艦ミサイル「Kh-35」や、対地巡航ミサイル「カリブル」を射出するという。

 メーカーは「Concern Morinformsystem-Agat」というコングロマリット。
 「Club-U」というシステムも売り込んでいる。

 20フィート・コンテナ内に仕込んだ巡航ミサイルは、1000マイル前後、飛翔させられる。ボストン港からシカゴやマイアミ市を空襲できると思ってよい。

 イスラエルも、国産の「Lora」ミサイルを、商用コンテナ内に隠して展開する研究をしている。

 ※英国防省の情報分析。ウクライナ戦線へ投入された1万1000人の北鮮兵のうちすでに6000人は死傷した。


退役米陸軍の人によるSNS書き込み。健軍250年紀念パレードにて一梯隊の足並みがずっと乱れたままだった(前列と次列とで左右逆転)。これは普通あり得ないことなので、おそらく式典参加兵がトランプへの不満を表現したのであろうと。

 イーロン・マスクは2025-6-14のGMT朝6時23分~24分に表明した。イラン領土内でスターリンクを使えるようにしてやった、と。
  IAFの空爆後、イラン国内ではインターネットが使えなくなり、同国内からマスクに要請が殺到していたという。

 別報によると、IAFは、1400マイル=2593kmも離れた「マシュハド」空港に置かれていたイラン空軍の空中給油機「KC-747」を地上で破壊した。これはIAFが実行した最長レコードの空襲作戦になるという。このタンカーは、世界でただ1機、残っていたものという。

 ※博物館級に古いF-4とF-5もイランはかろうじて保ち続けていたが、あと1週間もすれば、すべてスクラップだろう。ただし、イラン空軍は、イラン革命防衛隊とは真逆に、近代主義者のあつまりだから、IDF/モサドは、敢えてその指揮官の殺害は狙っていないはずだ。むしろその幹部人材を保護し、「戦後」の交渉相手として期待するところがあるだろう。

 ※イランvs.イスラエル戦争が本格始動したことによって、ウクライナにはビッグ・リリーフがやってくる。「シャヘド」用のエンジンをロシア向けに輸出している余裕は、イランにはなくなるはずだ。米政権は「黄金株」を行使してUSスチール社に砲弾の大量生産を命ずるだろう。それはイスラエル向けなのだが、イランが片付けば、余裕分はウクライナに廻る。

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 ストラテジーペイジの2025-6-15記事。
  2022年のはじめ、ロシアには74万人の国鉄従業員がいた。そのすくなからぬ割合が開戦後の露軍の高給に惹かれて志願入隊したという。
 やむなくロシア国鉄は、高齢の退職者に復帰就職を促し、欠員を埋めた。
 インセンティヴとして、すでに支給が開始されている年金はそのまま持続し、それに加えて、フルタイムのサラリーも支給したのである。
 かつまた、再就職の高齢者が勤続すればするほど、昇給し、またボーナスも増えるようにした。

 国鉄はそれでもなお募集に苦しみ、過去に犯罪に手を染めて一度解雇した、そのような札付きの元従業員も、再雇用するに至った。しかしさすがに、この集団は、まったく役立たないと判っただけだった。

 2024年後半時点で、露国鉄は10万台の貨車を、戦列外にした。スペア部品が足りないために、走らせられないのである。

 機関車と貨車10両が脱線した昨年の事故。これはレールに破壊工作をされたようだが、路線の再開までに1週間かかっている。

 ロシア国鉄は、同国内の物流の4割強を担っている。
 ロケアは国土が平坦なので、国鉄の総延長が8万5000kmもあっても、トンネルは全部で138ヵ所しかないという。橋梁は3万727ヵ所ある。また、遠隔操作されている「転轍機」は16万ヵ所あると。

 ※鉄道破壊工作用の爆薬は、外見が、転轍機の部品や、短く切られた「護輪レール」とそっくりであることが望ましい。3Dプリンターを使えば、簡単にできるだろう。

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 中共の新疆地区にある秘密基地で、「B-2」もどきの新型軍用機が、民間衛星によって撮影された。寸法もほぼ同じという。


イランは3000発の対地攻撃用ミサイルを有しているだろうという。だが、それがどうした?

 過去、幾度も証明されてきたこと。
 敵国が「ミサイル切れ」になることはない。「ミサイル撃ち合い戦争」が弾切れのために休戦に至ることはない。
 敵国の都市住民に対するミサイル空襲は、非核弾頭であるかぎり、コスパが悪い。とりわけ、その飛翔距離が長い場合は。
 都市住民を地対空ミサイルで防禦しようとする路線も、コスパが悪い。これは敵の経空脅威の飛翔距離が短くても長くても、悪い。

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 Taras Safronov 記者による2025-6-14記事「Ukraine introduces benefits for fiber optic drone manufacturers」。
    光ファイバー・ケーブルでリモコンするクォッドコプターの供給が需要に追いつかないため、ウクライナ政府は新法を導入し、UAV用の光ファイバー・ケーブル、そのハーネス、リールの輸入にかかる諸税を免除する。これは新造UAV用だけでなく、既存UAVの修理用にも適用。

 また国防用のUAVの部品には、付加価値税も課さない。

 ウクライナ国内では「Silkworm」と称する、国産の光ファイバー・ケーブル部品が開発されている。

 ※モサドがイラン国内に持ち込んだ対戦車ロイタリングミュニションは、UVision社製の「HERO-120」を、特別改造したものかもしれない。オリジナルの「120」型は、四角柱状のコンテナの中に円筒チューブが入っており、その円筒チューブ内からミサイルがガス圧で飛び出した後に、十字主翼、十字尾翼、そして2翅プッシャープロペラが展張し、電動モーターが起動する。自重24kg、弾頭重量4.5kg、レンジ60km、滞空60分可能。もっと大型の「Hero-400EC」を改造した可能性もある。こちらも、コンテナから射出後に主翼と尾翼が展張する。「120」型の写真を見ると、十字主翼は、胴体軸に沿って機首方向へ畳まれているのが射出後に90度、根元のピボットを中心として後退する仕組みのようだ。十字尾翼は、卍形に畳まれていて、ヒンジ部分がバネで開く。2翅プロペラも根本にヒンジがあるから、そこから後ろ向きに畳まれているのが、遠心力で自動展開するのだろう。

 ※速報によると、アフリカのマリで露軍の「Su-24M」が1機、墜落したようだ。マリでは政府軍がロシア傭兵団に依存しているのだが、反政府ゲリラがなかなか優勢で、一向に鎮圧できない。

 ※イランがイスラエル国境の近くでどのくらい派手に「地上フットプリント」を騒がせるかに注目したい。そこにイスラエルの注意をあつめておいて、ホルムズ海峡の水中で「実験」と称して原爆を炸裂させることが、対TACО大戦略としては、最も勝利の見込みがあるからだ。

 次。
 オンラインメディアの『frontline report』によれば、部隊の指揮官を射殺して、ロシア奥地へ逃亡しようとする露兵が逐増している。

 脱走兵がまた露軍に捕らえられると、原隊に戻され、そこで土牢に抛りこまれて、指揮官から、脱走仲間同士で殺し合いをするように命ぜられる。生き残った半数だけ助けてやるというのがインセンティヴだ。もちろん勝ち残った者も、再度の必死突撃隊に編入されて、どのみち、死ぬしかない。
 指揮官は、じぶんで手づから銃殺するとさまざまな差し障りがあるため、最も安全・安価・有利な厄介払いの便法として、このようにして淡々と、処理する。上級部隊からは、宇軍に「楔入」ができそうだと上級部隊が睨んだ同じ一ヵ所に、芸もなく、さいげんなしに、ひたすら正面強襲を続けるよう、強い圧力を受けている。もはや装甲車はなく、マッドマックス改造した徴発私有車か、徒歩だけ。

 このため脱走計画者は、まずは上官を射殺してから逃亡せねば、身は安全にはならぬと学んでしまう。

 宇軍に投降する露兵がドローンで発見されれば、露軍はそこに砲兵の榴弾を雨注させる。

 ※SNSに最新のロシア各地での徴募風景が写真投稿されているが、すでにもう、生活困窮中の老人や、体格不良の底辺失業者などを一本釣りするしかなくなっていることが察せられる。なおロシア国内では州ごとに、住民がSNSへ軍事関連の画像を投稿することを刑事罰で禁止しようとしているのだが、なかなか簡単ではないようだ。ウクライナは、ひきつづき、SNSの動画を見ていれば、「戦果確認」が簡単にできてしまう。


「.338ノルマ・マグナム」実包を用いる新狙撃銃「マーク22」は、有効狙撃距離が1800mもあるので、フォート・ベニングですら、それを練習できる射場が無いという。

 従来の7.62ミリ狙撃銃ならば1000mがせいぜいだったのだが、新実包の採用で条件が変わってしまった。
 AP弾でも1500mで有効だという。

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 Thomas Newdick 記者による2025-6-13記事「Israel hand commando teams inside Iran attack air defenses」。
    イスラエルが13日未明(現地時刻)に発起した「ライジング・ライオン」作戦。あらかじめイラン領内に潜伏させていたユニットが、SAM陣地の近傍からドローンやミサイル〔おそらく対戦車用の「Spike」のバージョン〕を放って、敵アセットを一斉に破壊した。モサドは数ヵ月間、準備していたと思しい。

 テヘラン近郊でもドローンが放たれている。
 いきなり敵国の中枢エリアから自爆ドローンを飛ばすことで、敵の防空網は機能できなくされた。

 SEADの常識が、一変してしまった。空襲部隊の先行機から対レーダー用の空対地ミサイルを放つよりも早く、SAMサイトの近傍に駐車していた、民間車両にしか見えない改造トラック内から、射程の長い対戦車ミサイルが全自動で発射されて、イランの防空レーダーをほとんど破壊したのだ。だから空襲を仕掛けたIDFの攻撃機には1機の返り討ち損失も生じていない。

 イスラエルの公式発表によれば、イスラエル空軍機はおよそ200機が投入された。その200機から、330発の対地兵装がリリースされた。

 写真も公表されており、空襲にはF-16とF-35が使われた。一写真上のF-16は、小径爆弾「SDB」と、その爆弾をレーザーで最後まで誘導してやる「Popeye」というポッドを吊架しているのが分かる。

 ※印象的な写真がSNSに出ている。イラン某所のアパートの中層階の窓の無い外壁に、大型対戦車ミサイル・サイズと想像される精密誘導弾でも炸裂したのではないかと見られる焦げ痕。そしてビルの窓のある側には、一室の内部から小火災が生じたらしい煤よごれ。一説に、その室内に、IRGC(イラン革命防衛隊)または核兵器研究の要人が寝ていたのだと。

 公表されたビデオ・フッテージは、奇襲に使われた対戦車ミサイルが、ラファエル社の「スパイク」の長射程バージョンであることを示唆している。それを発射した偽装トラックは、あらかじめ堂々と、露天駐車させていた。

 すくなくとも6人の核技術者が、寝ているところを爆殺された。

 2020年にモサドは、機関銃を隠した無人のピックアップトラックを、廃車とみせかけて路駐させておいて、そこへ通りかかったイランの核科学者 Mohsen Fakhrizadeh をリモコンで暗殺した実績がある。

 ※イスラエルは、待ちきれなくなった。まちがいなく、6月1日のウクライナ軍によるスパイダーウェブ作戦が刺激となっている。ウクライナがやったようなことを、イスラエルだってイラン国内で企画していると誰でも類推してしまうだろう。そうなると、従来は疑われずに済んでいた「偽装トラック」に、あらためて住民たちの疑いの目が向けられるおそれが生じてきた。それで、前倒しで踏み切ったのだろう。

 ※この種の作戦は、いくつかのことを自制している。そのひとつが、敵国の国家元首に対する攻撃。しかし、それは、やろうと思えばできるんですよ、というメッセージを含むのである。ウクライナの場合、モスクワのすぐ近くの電子部品工場をドローン空襲することで、いつでもモスクワを大規模空襲できると脅しつつある。


露軍は、ジェット・エンジン搭載の「シャヘド238」のコピー特攻機をキーウ空襲に使い始めた。

 撃墜された残骸から、推定された。
 露軍ではこの自爆機を「ゲラン3」と名付けている可能性がある。

 エンジンは、チェコ製の「PBS TJ100」をイランが無断コピーした「Tolou-10/Tolou-13」で、これにより、最高速力は550km/時以上に達する。下界では、笛のような音が聞こえるので、夜間でも「シャヘド136」とは区別できるという。

 ※Peter Robison 氏が2021年に公刊した『FLYING BLIND —The 737 Max Tragedy and the Fall of Boeing』の邦訳『迷走するボーイング』(2024-11)をやっと読み終えた。今回インドで墜落した787とはシステムが別のようだが、メーカーは同じなので、社内がいまどんな空気なのか想像できるようになった。ボ社の経営陣はほとんどが、故・ジャック・ウェルチの弟子筋だ。一世を風靡したジャック・ウェルチの名を、誰か覚えているか? 会社(GE)の株式評価額を最大化し、じぶんと自分の家族を大富豪にしてやった男だが、過去形の存在だ。彼は世界の誰かをしあわせにしてやったのか? トータルでは甚だ疑問だろう。社会をよりよくしたわけではなかったので、時とともに大衆からは忘れられる。そんな人生を、あまたの有能なCEOが踏襲してしまう。セクデフのヘグセスは大型のAWACSを空軍に諦めさせて、海軍のE-2Dを空軍に押し付ける気らしい。またTACAMO機にはC-130Jベースを押し付ける気らしい。解釈には数通りあろう。ひとつ。遂に年に1兆ドルの大台を越してしまいそうな米国国防予算を圧縮できる項目探しに苦しんでいる。ひとつ。視程外AAMの高性能化やドローンによる新奇襲技術の急発展にともない、空中指揮アセットはこれからは極力安価に量産して分散しないと、とても危険であると判断している。そしてもうひとつ。フネでも航空機でも、米国国内の工業基盤はますます、大型の装備品を既定費用内且つ規定納期内に量産することが難しくなってきた。それで豪州向けに『ヴァジニア』級を売ってやるどころではなくなった。

 次。
 韓国の「Hanwha Aerospace」社は、どうやらTHAADの同等品を自国内で単独開発することにしたようだ。大気圏外まで迎撃エリアを拡張する。

 ※2023に米海軍は、SSBNの『ケンタッキー』をして釜山港を訪問させ、さらにグァムに韓国海軍軍人を招待してSSBN『メイン』の中を見せてやっている。おそらく次の米政権が民主党に移った場合には、この路線が再開され、SSBNの米韓共同運用によって、韓国独自の核武装を諦めさせる政策が追究されるのだと思う。韓国は、もっかの米国から譲歩を引き出すためには、もっと声高に独自核武装を叫ぶことが、上手な政略になるだろう。ロシアやイランに対する米政府のTACО対応を見ていれば、それは自明だろう。

 次。
 ウクライナ軍がどうやって最前線からUGVによって負傷兵をリトリーヴしているのか、SNS公開のドローン俯瞰動画によって、遂に判明した。このロボット車両は前後重連式の、トラクター&トレーラーである。超小型の装軌式トラクター(車体上面は、それ自体、荷台となっているが、縦1.2mもなさそうな狭さで、そこにはスターリンクのアンテナ以外は何も載せずに往復している)が、それよりやや大面積(荷台の前後長は1.5mほどで、ほぼ正方形か)の荷車を牽引して負傷兵の脇に到る。負傷兵は自力でこの被牽引荷車の後縁から這い上る。荷台床面は地面から70センチくらいの高さか。荷台は負傷兵が足を伸ばしては横たわれない寸法だ。負傷兵がドローンにハンドサインで合図すると、UGVは走り出している。作業の一切はマルチコプタードローンによって上空から監督され、指図されているようだ。


迷走するボーイング


アーカンソー州知事が、あんなことはウチでは起きないと書き込んだら、ニューソムは、加州の殺人事件率はアーカンソーの半分だぞと反撃。

 『マリタイム・エグゼキュティヴ』の2025-6-10記事「Report: Cargo Ships Searched After Incidents with Unidentified Drones」。
   ドイツとオランダの沿岸で、ロシア人船員が乗る貨物船(2隻)から不審なドローンが発進しては、陸上の機微なインフラ施設を偵察しているという。
 ハイブリッド侵略のための下調べのようだ。

 偵察ドローンは、港湾施設、化学物質貯蔵施設、軍事施設に関心があるようだ。

 最初に目撃されたのは5月で、キール軍港の近くだった。
 『シュピーゲル』誌によると、ドイツの警備艇『ポツダム』は、1機のドローンによって3時間、触接され続けたという。

 ※ということは固定翼型か。

 発進させた容疑船は、『HAV Dolphin』 (3,000 dwt) である。ドイツ沖にやって来る前、カリニングラードに1ヵ月、入港していた。しかもドローンを飛ばしたときにAISを切っていた。

 このフネはオランダのフォルケラク閘門を通航するときに臨検を受けているが、そのさいにはドローンの在り処をうまく隠していた。

 同様、ロシア貨物船『Lauga』 (3,200 dwt) も、北海で頻繁にドローンを飛ばしていることが報告されている。飛行は常に夜である。このフネはロシアからシリアに軍需品を運び込むときに使われている。

 ※星条旗新聞によると、処理中に負傷者を出してしまった沖縄の不発弾は、米国製の75ミリの「対戦車砲弾」だったとのこと。


露軍のISR用クォッドコプターの直上から、味方のマルチコプターによって「網」を落下させ、難なく撃墜してしまう動画がSNSに出た。

 どちらもホバリングで空中座標が静止していたように見える。
 この方式のメリット。空中体当たりと違って、自機を「使い捨て」にする必要がない。

 この方式はやがて、固定翼無人機同士の「空戦」にも適用されるだろう。

 すなわち、後方から追いすがって敵機に空中衝突するのではなく、敵機の後上方から降下して敵機の鼻先へ占位しざまに、自機の尾部からネットを放散させる。敵機には、その網をかわす時間的余裕は、無いであろう。

 斯かる流儀なれば、味方のインターセプターは何度でも帰還して、再出撃を繰り返すことができる。やがては、機尾に、新素材ゲルで軽量化した複数のネットを内臓させて発進することもできるだろう。本体は回収できるのだから、通信機やエンジンに余計にカネをかけても、それはペイする。とうぜんに、市販品の超小型のジェット・エンジンの選択が検討されるだろう。

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 Volodymyr B. 記者による2025-6-10記事「Budanov: Russia receives 107-mm Type 75 MLRS from North Korea」。
  ブダノフ情報部長が「ウォー・ゾーン」のインタビューに応え、北鮮製の107ミリの多連装ロケット砲が露軍に売り渡されていると証言。

 また、自走加農砲のМ1989「コクサン」は、120門が引き渡されたという。

 240ミリの自走ロケット砲М1991も、四月から露軍が使っている。※ソウルを火の海にするとか宣伝されていた兵器だが、そのような威力はどこにもなかったことが、実戦を通して漸く確認された次第。

 またブダノフによると、宇軍はHIMARSを使って、1門の「KN-09」を破壊した。これは300ミリの多連装ロケット砲である。

 107ミリの多連装ロケット砲は「75式」と呼ばれるもの。6月初旬にウクライナ戦線で写真撮影されている。

 ※「ウォーゾーン」の最新記事によると、『マグラV』に搭載して海上から発射してスホイを落としたAAMはサイドワインダーのМ型ではなくX型であった。それは腑に落ちる話で、Мの交戦視野は狭いので、固定的な艇上ラーンチャーから、的確に照準(ロックオン)ができたはずはないのである。おそらくМ型は、システム開発の初期に試しに載せられたものであろう、とのこと。

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 2025-6-10報。北鮮がロシア技術で「シャヘド」を国産するという。

 2025-6-9、米国の一分析者がCNNで断言。米国がウクライナに送ったM1A1エイブラムス戦車×31両は、現在、すべてやられてしまった。多くはドローンに破壊された。※劣化ウラン装甲がないからだという言い訳は苦しい。FPVドローンが当たる天板に、もともとDU層は無い。

 2025-6-10、ドイツ連邦の情報局長氏が断言。露軍は歩兵中心の作戦でまもなくエストニアに出てくる。露系住民の保護を名として。この作戦には戦車は必要ない。歩兵はロシア徽章を付けない。2014のクリミア方式。この「侵略」にアメリカがNATOの約束を適用しないことを欧州に見せつけることも、目的。


加州知事の Gavin Newsome がヘグセスとMAGAを正面から叩いているので、民主党の2028大統領候補としての株が上がりつつある。

 マスクが資金援助するとしたら、この線だろう。加州とマスクの諸事業の相性も、悪くはない筈だ。

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 Oleksandr Yan 記者による2025-6-9記事「Ukrainian Drone Disables Russian Molniya Strike UAV with Electronic Warfare」。
  注目すべきビデオ証拠。
 ウクライナ軍が飛ばしているインターセプト用の固定翼無人機の「機載ECM」の作用で、空中の「モルニヤ-2」が、物理的に接触されることなく、墜落している。

 この動画を解説している一ウクライナ人いわく。リモコン信号にジャミングをかけたのだろう、と。

 宇軍の安価な使い捨てドローンに搭載できるレベルのEW器材によって、空中にて、露軍の「モルニヤ」を制御不能に陥れてしまう事象は、ことしの3月に初めて観察されていたという。それ以来、件数は、漸増しているという。この説は露系メディア「テレグラム」の軍事チャンネルが主張している。

 ELRS=ExpressLRS というオープンソースのラジコンプロトコルが2021年後半以降、普及しているが、それを妨害するのであろう、とのこと。
 ELRSは、必要最小限のパケット信号に整理をして送受する方式のため、微弱電波なのに最大数十kmまでのリモコンが、遅延ほとんどなしにできてしまうというもの。しかし微弱信号を扱うがゆえに、すぐ近くで妨害電波を出されれば、それによって、まったく圧殺される。情報の冗長性をなくしてあるのが仇となり、短時間の遮断でも致命的になり得る。

 このインターセプト技法が成熟すると、こちらのインターセプト機は、使い捨てにしなくて可くなる。何度も回収して、何度でも再出撃させられるから、安上がりに継戦できる。

 「モルニヤ-2」の最大レンジは60kmで、最高速度は120km/時。

 ※雑報によると6月9日夜に、ニジニノヴゴロド州の「Savasleyka」飛行場を宇軍のドローンが襲撃し、1機の「ミグ31」と、1機の「スホイ30/34」を破壊した。

 ※6-8の雑報によると、黒海にて、宇軍の無人武装艇から特攻ドローンが飛び立ち、洋上哨所になっていたガス掘削リグ上の露兵を攻撃し、プラットフォームは小破し炎上している。

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 『星条旗新聞』の2025-6-9記事。
   火曜日の18時に、後楽園ホールにて、横田の第五空軍の整備兵(上等兵)が、プロボクシング(スーパーライト級)のデビュー戦。
 対戦相手は、俳優の伊吹吾郎氏の孫なのだという。すでにプロボクサー。

 ※ぜんぜん知らなかったが熊石町の出身者が『水戸黄門』シリーズのレギュラーだったのか……。ところでもし、講談の黄門漫遊記を今リメイクするならば、佐々木助三郎と渥美格之進は、むしろ眼鏡をかけたヒョロガリのインテリ書記官にしなくてはいけない。立ち回り役ではなくて、「止め役」であり、且つ「事故処理系の保険事務官」。ぎゃくに光圀のほうは、ステロイド打ち過ぎの脳筋で、ともすれば問答無用で誰彼の見境いなしに天領・譜代・外様藩の要人を斬り殺そうとする、トランプ風のキャラにしてやると、かなりホンモノの人物像に近づくであろう。