《航空燃料全国スポット給油サービス会社》があってもいいはず。

 なにも空中給油サービスだけに限定する必要はない。
 STOL性のある中型の民航貨物機内に「油槽」を固縛し、短い滑走路に着陸して、燃料を必要とする旅客機のために燃料を売ってやるだけでも、商売になるだろう。

 航空燃料が手配できないためにインバウンドを呼び込めないというネックに頭をかかえている需要家は、割高でもいいから緊急に燃料が欲しいと切望している。そこへ空から「燃料配達機」がやってくる。日本の最北端から最南端まで、1社で面倒をみられる。

 こういうSTOL輸送機は、いざというとき、離島からの住民エバキュエーションにも使える。そんな用途を予約させることと見返りに、政府は一定の補助金を毎年、出してやる。これで、会社の経営基盤は堅くなる。

 「油槽」は、チヌークのようなバートル型輸送ヘリコプターの機内にも設置できる。その場合は、現地に飛行場など皆無でもかまわないわけである。

 ヘリコプターによる臨時給油サービスの場合、「輸槽」まるごとを、地上に置き去りにして、すぐに飛び去ってもいいわけ。荒天の合間を縫う日には、これが便利。

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 Defense Express の2024-9-15記事「325 km/h: While Ukraine Breaks New Speed Record For Armed FPV Drone, Let’s Take a Look at the World’s Fastest」。
    ウクライナ国内のFPVドローンのワークショップである「ワイルド・ホーネッツ」社が、3Dプリンターで試作したクォッドコプターを、垂直に離陸させてから上空で横に寝かせて加速させ、水平スピード325km/時を記録した。
 証拠の動画が14日にSNSに投稿された。

 すでにクォッドコプターは、露軍の無人偵察機や、有人ヘリコプターに空中で衝突させて撃墜する用途に活躍中だが、この製品もいずれはそうした兵器のひとつになるかもしれない。

 ワイルドホーネッツは、前にもスピード記録を誇示しており、そのときは、時速260kmであった。

 露軍の固定翼無人偵察機「オルラン-10」は、巡航速度が110km/時で、最大速度が150km/時である。ワイルドホーネッツの製品は、「オルラン-10」の局地インターセプターとして好適だ。

 じつは、マルチコプターの構造でありながら機体全体をロケット形にして空気抵抗を減らし、横に寝かせて水平速度記録を狙った試みは、8年くらい前から世界各地にある。そして2024-9には南アフリカの「Luke and Mike Bell」が時速480kmを記録したという。

 ※2022-10に徳間書店さんからリリースした拙著の140ページで私は「Quadmovr」についてご紹介した。その時点で200km/時が達成できており、私はやがてこのスタイルがATGMを価格破壊すると予言した。それから2年も経つのだが、未だATGMを代置できるほどの重さの製品はどのメーカーからも発表されていない。本製品も、自重はQUADMOVRと近似の、超軽量型と見える。ということは、どうも、このスタイルで弾頭をちょっと重くすると、俄然、ハードルが高くなり、老舗の武器メーカーすら、開発を中途で断念してしまうのだと疑えるだろう。しかし記事にもあるように「SAM」の下位装備だと考えるならば、無炸填/微量炸薬の「衝突体」にも目がある。たとえば、電池式モーターに加えて、上昇時に「圧搾空気」でローターを回すしくみとしたら? ボンベは上昇し切った時点で投棄してしまい、あとは電力で水平飛行を持続するのだ。これなら、歩兵が敵UAVやAH(有人)を逐い払う道具にできるだろう。

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 Olena Harmash 記者による2024-9-16記事「Polish minister, visiting Kyiv, calls for end to benefits for Ukrainian men in Europe」。
    ポーランドのシコルスキー外相がキーウを訪れて、提言した。
 徴兵適齢なのにウクライナ国外に逃げているような奴らに西欧各国は便益を恵むべきではない、と。

 2024-1時点で410万人ものウクライナ国民が、EU圏内に逃散している。その22%は成人男子である。ふざけた話だ。

 外相いわく。ホスト諸国は、そんな徴兵逃れのクズどもに社会保障費を付けてやる必要はありませんよ。
 《国民の国防の義務》を果たさぬ不埒漢に、経済的インセンティヴを与えたら、西欧は滅亡する。

 徴兵逃れの脱走者に人権はない。したがって給付金などありえない。ポーランドではそう考えている。

 ウクライナ外相もいわく。EU諸国は、逃亡ウクライナ人をウクライナに送還するプログラムを早く作って欲しい。


9月14日就役の、ヴァジニア級核動力潜水艦の最新艦『USS ニュージャージー』。女子をたくさん混乗させるため、高いところにあったバルブを低く取り付けている。

 Howard Altman 記者による2024-9-12記事「Russia Now Using Thermite-Spewing ‘Dragon Drones’ To Torch Ukrainian Positions」。
   露軍はさっそく、真似してきた。低空低速飛行のマルチコプターからテルミット剤の金属粉をふりかけのように潅木帯(その中に宇軍の塹壕線がある)にふりかけて高熱炎上させ、植生を焼き払い、自機も最後に樹林中に墜落して自爆する。

 ウクライナ軍がビデオを公表してから、たった1週間で、同じことを仕返してみせた。これが今日の戦場のスピード感だ。

 ※もしこのドローンを、潜入挺進班が、敵の軍用飛行場の外柵の近くから発進させて、露天駐機している敵軍のAWACS、タンカー、輸送機、ヘリコプターなどの上から手際よく、華氏4440度の熔融金属粉をふりかけて回ったなら、その前線航空基地は一挙にして「全滅」じゃないか。いや、危ないのは飛行場だけじゃない。「火気厳禁」の諸施設は、ことごとく、これでやられてしまうおそれがある。

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 Svetlana Shcherbak 記者による2024-9-14記事「russia Hits Targets with Standard FPV Drones at 40 km Range」。
    FPVドローンはいまや戦場の看板役者である。これからも当分そうだろう。
 それが有効であることと、可能性がデカいことを、誰も疑ってはいない。

 今や世界の軍隊の関心の中心は、どの国が、このFPV特攻ドローンの能力を、対手よりも速く巧緻に改良し、且つそれを大量製造して戦場に投入できるか――に移っている。

 ロシア軍はこのほど、無人「マザーシップ」ドローンで40km先までFPVドローンを運んでやり、そこから「子弾」のようにして小型の特攻ドローンを2機、放出するという新戦術を実現した。

 つまりDJIのホビー用クォッドコプターのようなクラスの、近距離専用の安価な無人自爆機を、地平線の向こう側に位置している敵陣の攻撃手段として、いまや使えることを実証したのだ。

 従来「野戦榴弾砲」でしか為し得なかった仕事を、歩兵部隊が自前でやれるわけ。

 ただし「マザーシップ」とした無人機に何が使われたのかは、情報がまだ集まらない段階だ。
 しかし、外野が想像するところ、それは固定翼の無人機(ウイング・ドローン)だろう。

 おそらく、マザーシップは偵察機であり指揮機でもある。マザーシップが敵陣を高空から俯瞰し、そのビデオ情報を、地上のリモコン操縦者がモニターしつつ、敵の塹壕陣地の高価値部分を見定める。そしてマザーシップ内から2機のFPV自爆ドローンを逐次に放出する。

 放たれたFPVドローンは、マザーシップとの間に無線データリンクを確立する。マザーシップはその信号を地上のリモコン操縦者まで40km逓伝する。空中無線中継局となるわけだ。

 この方式にすると、遠隔の地上から直接に末端のFPVドローンを操縦しようとするよりも、敵の塹壕近くでの妨害電波に対しては強くなると期待できる。

 固定翼の中型ドローンから、小型のマルチコプター型自爆機を放出する技法を、ウクライナ軍の第414独立無人機大隊でも開発中であると、今年の5月に報道されていた。露軍は素早くこれに反応し、後から同様のコンセプトで開発をスタートして、半年もしないで先に実現させたのだ。

 ※これも今日の技術戦争のリアリティである。「かたつむり頭」はこの展開ペースから置き去りにされるのみ。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-9-14記事「Japan extends Pacific F-35s range for ultimate clash with China」。
   空自は空中給油機のKC-46Aを9機、米国から輸入する。総額410億ドル。
 米連邦議会はすでに承知。
 これによってF-35のパトロール時間と作戦半径が爆延びする。

 空自は現状で4機のKC-46Aを運用中だが、対支有事にはそれでは足らなくなる。
 このタンカーは、ボーイング767の改造型だ。

 ※米空軍が泣いて悦ぶ「後方支援」だ。問題は、人手をどう捻出するのか。そこで私はず~っと前に、退役パイロットからなる「民間空中給油サービス会社」を新設して、下地島に「支店 兼 訓練センター」を置きなさいよと提案したはずだ。この提案は今も有効だと信ずる。米国にはそういう会社がじっさいにある。ほんらい、こういう提案は、わたしのような外野からではなく、空自の部内から出てこなくてはいけない。

 ※石川県で、倒壊家屋の「解体」作業が遅々として進まない。まだ民間の知恵が足りんと思う。居住可能にするために最低限必要なのは、水回りだろう。そこで、「解体」と同時に、廃材を利用して「水回り施設」だけを即時・その場で、棟梁のインプロヴィゼーションとして、掘っ立て小屋式に、設計図面無しで構築してしまう、そういうパッケージ・サービスがあり得るはずだ。もちろん、後から公的資金で実費を補填するので住民は苦しみを免れる。「水回り施設」以外の寝室とかリビングは、「コンテナ」を持ってくりゃええのよ。それはサードパーティが、出来合いの商品を用意できるじゃろ。

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 Andrew Osborn and Mark Trevelyan 記者による2024-9-15記事「Putin’s options for Ukraine missiles response include nuclear test, experts say」。
    英スターマー首相とバイデンがDCで金曜日に面談。米国供与のATACMSや、英国供与のストームシャドウ巡航ミサイルを、露領内深くの標的に対して宇軍が発射した場合に、どうなるかがテーマだったと想像される。

 ハンブルグのシンクタンクの軍事専門家 Ulrich Kuehn は、プー之介はその対抗措置として核実験をやらかすのではないかと。

 ちなみにロシアが最後に地下核実験したのは1990年であった。翌年、ソ連は崩壊。

 墺インスブルック大学のゲルハルト・マンゴットも同意する。プー之介はロシアの東部で核実験するだろう。

 元クレムリンのアドバイザーだったセルゲイ・マルコフは、金曜日に「テレグラム」に投稿した。
 ロシアは駐英ロシア大使を引き揚げ、モスクワの英国大使館を閉鎖させるかもしれない。またNATO軍のF-16を撃墜して「ストームシャドウの母機だった」と強弁するかもしれない。

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 Joseph Trevithick 記者による2024-9-13記事「Russia Covering Aircraft With Tires Is About Confusing Image-Matching Missile Seekers U.S. Military Confirms」。
   昨年夏、「エンゲルス2」航空基地に露天駐機している「ツポレフ95」重爆の胴体上と主翼上に数百の廃タイヤが敷き並べられているのが民間衛星写真に撮られ、「こりゃ何だ?」と皆、不思議に思っていたが、セントコムの技術担当参謀氏が説明していわく、あれは「イメージ・マッチング」式のミサイルのシーカーを韜晦するためですよ、と。

 英仏がウクライナに供与した「ストームシャドウ/SCALP-EG」巡航ミサイルのシーカーは、赤外線の光学イメージを、搭載のAIが判断するようになっている。そのAIを混乱させようとしたものらしい。それほど、ストームシャドウが飛んでくることを恐れているわけだ。

 ※ただちに次のような商品を思いつく。不燃性にして耐熱性の軽量の長尺カーペット。これを大型機の主翼上や胴体上に敷き伸べれば、たちまち、赤外線イメージを上空に対して欺騙できるし、ささやかながら、デブリの落下衝突から飛行機表面を保護する足しにもなる。もちろん、わたしがここで提案する前に、気の利いたエンジニアなら、とっくにこういうのを商品開発できているよな? もう1年前から「問題意識」は把握されているんだから。これは「武器」ではなく、また、そのような効能を敢えて宣伝しないで、「降雹から自動車のウインドウを守るシート」として発売し、並行してひそかにユーチューバーのインフルエンサーにカネと資材を渡して、「テルミットにも耐えるぞ、すげぇ! これで駐車場火災にも安心じゃね?」と、なぜか全部英語の実験動画により不燃性を強調させる。それを外国の空軍関係者が視れば「とりあえず100トン売ってくれ」と即日にメーカーに注文が来るわ。

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 Alexander Riedel 記者による2024-9-12記事「Syrian man behind bars in plot to attack German soldiers in Bavaria with machete」。
    ミュンヘンの検察局が金曜日に公表。バイエルンのドイツ軍駐屯地に所属するドイツ兵を、27歳のシリア移民が鉈で襲撃しようとしていたと。その駐屯地からクルマで1時間のところには米陸軍の駐屯地も複数ある(うちひとつはグラフェンヴェール演習場)。

 このシリア人は木曜日に逮捕され、警察に留置中である。

 シリア人は鉈を2丁、買い求め、昼メシどきに基地門前町に兵隊たちが出てくる時刻を窺っていた。


「シャヘド136」を宇軍のF-16がヴァルカン砲で撃墜するビデオが9日にSNSへ投稿されている。

 むかし風の、自機が撮り込まないガンカメラではなく、機関砲より引いた位置からの撮影なので、わかりやすい。

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 ストラテジーペイジ の2024-9-13記事。
    豪州は米国から8隻のヴァジニア級SSNを入手する計画だ。さいしょの1隻は2033年に引渡されるだろうという。それにつづいてさらに2隻が、2040年になる前に、米国から輸入される。

 1隻目と2隻目は、米海軍の中古品が転売される。3隻目は、米国内の造船所で新造したものが売られる。

 それに続く4番艦~8番艦の5隻は、オーストラリア国内で建造されるという。
 設計図は、オリジナルのヴァジニア級に多少手を加えるという。

 8番艦の就役は2052年を見込んでいる。

 豪州海軍の水兵は、1番艦と2番艦でみっちりと、核動力艦の取り扱い方を教えられる。米海軍の水兵によって。

 この2052のリミットを米政府は絶対視しており、豪州での内製がモタモタするようであれば、4番艦と5番艦も米国製を売り渡すつもり。この場合、豪州国内では3隻だけが内製されることになる。

 米海軍は2040年代のうちに、合計66隻のヴァジニア級を運用したい。旧いロサンゼルス級を更新せねばならん。

 げんざい最新型である、「ブロック3」「ブロック4」のヴァジニア級は、1隻建造するのに6年かかる。

 「ブロック1」から「4」までは兵装に大差はない。しかし「ブロック5」は対艦ミサイルの数がやたらに増える。

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 Jamie Dettmer 記者による2024-9-13記事「Zelenskyy’s power grab is bad for Ukraine」。
    ゼレンスキーは政府幹部の大いれかえをしたところだが、国内での人気は下がっている。

 ある人いわく。工業、300万人を超す国内避難市民たちへの生活支援、教育の分野に、辣腕の行政官が起用されることが切望されているのに、このたび、期待のできそうな有能者は、起用されなかった。

 大きなところでは、クレバ外相が放逐されている。
 また、内閣ではないが、国営送電線網「ウクレネグロ」の総裁、クドリツキーも退任を強いられた。

 クレバは、参謀総長のアンドリイ・イェルマクと対立していた。イェルマクは、外交を戦略に統合させたがっている。

 ウクレネルゴは、現状ではウクライナ政府がいろいろ口出しできない独立機関で、むしろEUと直結している。これがゼレンスキーらには気に喰わない。

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 Anthony Deutsch and Tom Balmforth 記者による2024-9-13記事「Exclusive: Russia produces kamikaze drone with Chinese engine」。
    ロシアはいつまでもイラン製の無人特攻機に頼っているつもりはない。
 中共からエンジン部品を輸入して、国内設計の無人特攻機を量産しつつある。その期待の特攻機の名は「ガルピヤ A1」という。

 2023年7月から1年がかりで2500機を、メーカーは納品することになっている。

 中共には「Xiamen Limbach」というメーカーがある。名前からして、ドイツからL550Eエンジンのライセンスを買って生産している企業とわかる。このメーカーは米政府によってすでに経済制裁の対象である。
 このXiamen社は、レシプロエンジン「L550E」の部品の一部を2つの下請け会社に製造させている。

 下請けのひとつが「Juhang Aviation テクノロジー社」。こちらはまだ米国から制裁されていない。

 もう1社の下請けが「Redplus TSK Vector」社である。こちらはすでに米国から制裁されている。

 この中共製エンジンが、最終的に「ガルピア A1」に組みつけられる流れ分業となっている。
 ちなみに「ガルピア」とは「ハーピィ」のロシア訳である。ハーピィはギリシャ神話に出てくる飛翔型の半獣人。

 ※雑報によると、今年の7月いらい、ベラルーシの領空に44機ものロシア軍のドローンが侵入し、ベラルーシ軍はしょうがないのでそのうち4機を撃墜したと言っている。

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 Howard Altman, Tyler Rogoway, Joseph Trevithick 記者による2024-9-12記事「Israeli Commando Raid In Syria Sends A Message To Iran That Its Underground Bases Are Not Untouchable」。
   イスラエル軍特殊部隊は9月9日に、シリア領内の地下基地を急襲し、それら秘密施設を内部から爆破する前に、資料やデータをごっそりと押収した。イスラエルの北部国境からさらに140マイル北の砂漠に所在。

 これは、将来のイラン国内の核工場を急襲するための「手馴らし」であると同時に、テヘラン政府に対する無言の「警告」である。

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 Alex Wilson and Hana Kusumoto 記者による2024-9-13記事「Supply shortages, harsh weather delay Japanese base to be used for Navy carrier-landing practice」。
   防衛省の熊本防衛局が火曜に公表。馬毛島の飛行場工事は予定よりも3年、遅れて進んでいる。

 金曜日に星条旗新聞が防衛局に電話取材したところ、荒天や強風で資材の島への搬入が遅れがちなのと、正月そうそうの能登地震で人もモノも足らなくなったのが原因であるとのこと。

 埋め立てに使う土砂も、島で掘った土はよくないと分かったという。

 馬毛島基地が完成すると、そこが硫黄島基地に代わって、空母『ジョージ・ワシントン』艦上機の夜間タッチ&ゴー訓練に供される。

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 2024-9-13 記事「Russia chooses 60-year-old SVD rifle instead of the latest SVCh」。
    ロシアは、古~いドラグノフの狙撃銃「SVD」を躍起になって増産させている。
 新型のSVChライフルは、顧みられてはいないようだ。


【謎の勢力】いったい誰が《原潜》なんかプッシュしてるんだ?

 既存の枯れた原発の再稼動ですら何年もモタモタやって話を進められないで、「光熱費高」の深刻な社会課題解決を、奇麗事に藉口してあとまわし&先送りするだけが能なかたつむり政党の中堅議員が、急に「原潜を」と言い始めた。

 それは短期的にはカネと時間の壮大な無駄、長期的にはいまのフクイチと比肩されるほどの国家的「お荷物」を増やすこと必定の、なんの国益にもならぬ超愚策である。

 今、米国の造船所は一定レベル以上の工員を集められず、米海軍が所要する原潜新造ペースに応えられずにいる。その趨勢は今後も悪くなる一方であろう。豪州海軍に数隻分けてやるだけでも、たいへんな負荷になっている。

 核動力軍艦の機関科員には、いままでとは全く次元が異なるスキルの兵曹と士官が大量に必要(1隻につき、A・B、2チーム)。自衛隊の募集の現実から推して、まずそれは集まるわけがなく、集めたあとの教育にも10年かかる。原潜は、トータルで省力装備とは真逆なのだ。

 原潜用の工廠にも、専門の技師と「セキュリティクリアランス」を済ませた工員が、それぞれ大量に必要。

 そんな潰しの利かない特殊人材――そのひとたちは老後に何ができるかを考えてみろ――の雇用と教育に費やす莫大な税金は、他の有望部門にふりわけた方がずっと日本の国力は増強される。クォンタムとかAIとか無人機の方に。

 さらに「燃料」関係の陸上施設が必要だが、原発の新立地のもはやありえないこの国で、辺野古の埋め立てすらのびのびにさせて平気な中央政府の下で、そんなものできるわけがあるかい。

 中共は無理のある政体である。無理のある体制が倒壊するときは、物事はバタバタと急激に展開する。10年後には中共は存在していない可能性が高い。この歴史スピード感覚をどうやら持っていないらしいかたつむり頭の政治家が、急変連続時代のわが国の政府のトップに立つことは、まことに危うい。

 対支戦争は数年以内に始まるおそれがあり、そうなると日本周辺の地政学環境はそこから数年にして全く変わってしまう可能性が大。今必要なのは、その近未来の急変に確実に間に合ってくれて、予測至難な急変の連続にも堪えられそうな「道具」と「人的アセット」なのである。それは原潜ではない。

 予想外の急変に強そうな中堅政治家は誰なのか? そこに目をつけるがいい。

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 John Hill 記者による2024-9-11記事「Two US Virginia-class SSNs rotate for maintenance」。
    ヴァジニア級の魚雷戦型原潜『USS ハワイ(SSN776)』は、豪州海軍の原潜乗組み予定水兵のための教育練習艦に指定されている。これまで豪州水兵に、メンテナンスについて手ほどきしていたが、いよいよこれから、外洋パトロールに移る。

 交替に、別のヴァジニア級である『USS ノースロライナ』が真珠湾のドックに入って、これから改装工事を受ける。

 米海軍のローテーション方針においては、常時、SSNの全戦力のうち20%を、交替でメンテナンス状態に置く。
 しかし人手不足のため、過去2年、33%のSSNが、戦列外状態であった。じつはFY2015いらい、米海軍の理想ローテーション比率は、まったく達成できなくなっている。

 いま現在、外洋で配置についているヴァジニア級は22隻である。米海軍の理想は66隻であるが、こうなってはもうその実現は白日夢に近い。

 さらに米海軍の大方針では、毎年2隻の新造SSNを調達することになっているのに、2022年についにそれが長期的に達成不可能になることもハッキリした。今後、1年につき2隻ではなく、1.2隻~1.4隻しか、米国の造船所は引渡せないであろう。すべては人手がたりないせいだ。

 しかもこの大方針は、AUKUS構想が浮上する前の話。今後、豪州海軍にもヴァジニア級を渡さねばならないはずなのだが、いったいどうやってその余裕を捻出するのか、誰も知っていない。

 豪州海軍の水兵たちは、2023-12からパールハーバーに滞在して、まず原潜主機のメンテナンスから、陸上で、実物研修を受けてきた。

 また8月からは、原潜用の「サブマリンテンダー船」である『USS エモリー・S・ランド』が豪州西海岸の軍港に到着。そこで、豪州海軍に、いろいろと教育をしてやっている。

 人手不足の米海軍は、その足らない部分を同盟国に補ってもらおうと考えている。韓国の「ハンワ・オーシャン」の修船ドックに今週からいよいよ米海軍の「ルイス&クラーク級」支援船が入ったが、これもその長期計画の一環。

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 AFP の2024-9-12記事「South Korea approves building two nuclear reactors」。
   韓国政府の原子力安全委員会は木曜日、東海岸に2基の原子炉を増設する計画を承認した。蔚山市の南東にある原発。「シン・ハヌル」3号炉と4号炉である。

 竣工予定は2033年で、各1.4ギガワットを発電できる。

 ※前政権の原発全廃方針を一擲して、この早業だ。この調子なら核武装も素早くできてしまうだろう。さらに韓国は、本式の核武装の前に、原発副産物(核のゴミ)をそのまま弾頭に充填したミサイルで平壌を絨毯空襲することが可能だろう。フクイチや新コロに対する異常な北の反応から推して、これをやられたら平壌にはもはや永久に政府は置けないだろう。

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 Eric Edelman & Charles Wald , Jonathan Ruhe 記者による2024-9-12記事「What Will Trump or Harris Do if Iran Goes Nuclear?」。
   トランプもハリスも、イランが核武装したらどうする気なのか、それを国民に説明するべきだ。

 ※ABCのディベートで司会がこの話題を振らなかったのが、不思議だ。

 ※90年代の大学院生たちが仰ぎ見たインテルのような先端企業ですら、「かたつむり頭」に企業内政治を支配されるや、容赦なくダウ銘柄からの除名の危機に瀕するのである。おそるべし、おそるべし……。

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 Sofiia Syngaivska 記者による2024-9-12記事「Ukrainian Forces Conduct Successful Sabotage Operation on russian Railway in Belgorod Region」。
    露領のベルゴロド州に宇軍の特殊部隊が潜行挺進して、貨物列車が通過する鉄道線路を10日に爆破した。
 そのさい、機関車と貨車11両が脱線大破した。

 ※雑報によると、カナダのオンタリオ州にあるセントクレア大学で「落第」を言い渡された十数名ものインド人留学生〔かぶりものからしてシーク教徒?〕が座り込みの抗議。オーストラリアの大学でも、ずいぶん前から、おびただしいインド人学生によって大学を乗っ取られたような状態に陥っているという〔これらは中共系機関による工作投稿である可能性も、いちおうは疑うべし〕。

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 2024-9-12記事「New M23 Mini-Submarine Seen Undergoing Sea Trials in Italy for the First Time」。
   カタール海軍からの発注を受けて、イタリアの造船所が「セリエ C」級のミニ有人潜水艦を建造していたのだが、その公試運転中の写真が公開された。

 カタールはこの型の潜水艦を計2隻、発注している。

 ※2020年に発注契約締結。それから4年で1隻目がようやく公試運転にまで漕ぎ付けた。これから乗員と整備兵の訓練もしなくてはならない。有人潜水艦は、有人戦車と同様、時代のスピードに置き去りにされる運命である。

 潜水艦を建造した工場は、ミラノの100km東の内陸部にある「Ciserano」である。なんと海岸からは250kmも引っ込んでいるのだが、商品を陸送できるならば、無問題。

 「M23」級は、全長が23mなのである。幅は5m。深さ200mまで安全に行ける。最大速力12ノット。乗員はたったの6名。それとは別に6名のフロッグマンを艦内に宿泊させられるようになっている。このフロッグマンは、潜航中に、艦首前下方にある専用ハッチを通じて出入りが可能。

 このミニサブからは、イタリア得意の「Murena」という沈底機雷を撒くことができる。(湾岸戦争時代の「マンタ」機雷と違って、円筒形。チューブから放出しやすい。)

 雷装は無し。魚雷戦などを考えないことによって、いろいろと簡略化できている。

 カタールはイタリアのフィンカンティエリ社に4隻のコルヴェットも発注している。それは2023に引渡されている。

 ※自転車に「鈴」を吊るすときは、短い、可撓性の紐に吊るして、ペダルを踏んだときのわずかな前進加速度でも、鈴が揺れてヘッドチューブなどの金属フレームにコツンと当たるように調節しておくとよい。鈴は百均店で売られている小さめのサイズのものを複数、吊るすとよい。これによって、前方の歩行者に対して、事前に、心理的に穏便に、かなり遠くから、自車の接近を警報することができる。老人の耳にも、鈴の周波数は届きやすいらしいという印象を、わたしは個人的に持った。

 次。
 Thomas Newdick 記者による2024-9-12記事「Russian Su-30SM Flanker Crashes In Black Sea, Ukraine Says They Shot It Down With MANPADS」。
    ウクライナ国防省12日発表。黒海にて露軍の「スホイ30SM」戦闘機を、肩射ち式ミサイルによって宇軍特殊部隊員が撃墜した、と。

 ウクライナ情報部所属の特殊部隊員は、小型ボートに乗ってロシアの黒海洋上石油掘削リグ「Krym-2」を攻撃しに行く途中であった。それに反応してスホイが飛び出して来たのを、ボート上からのMANPADS発射によって、返り討ちにした。


ブリンケンは宇軍がATACMSで攻撃して可いロシア領内の標的を増やすつもりのようだ。

 バイデンが正式退場する寸前に、ATACMSによる大反撃をさせるつもりだろう。
 これによって、次の政権がトランプに渡っても、ロシア人は裏表なく反米であり続けることになる。
 またこの決定を推進した現政権の高官は、5年後にいっそう高い行政ポストを望めるようにもなるだろう。

 次。
 Pierre-Marie Meunier 記者による2024-9-11記事「Russia Is on a Slow Path to Bankruptcy, But How Slow?」。
   ロシア財政はゆっくりと破産に向かっている。
 国内の労働力は必要数に7%足りない。あと480万人、必要なのに。

 歳入の柱は、ウラル地方で採掘される石油の輸出代金。ほとんど、それだけ。

 ロシアには非常時用の準備金がある。プー之介はそれを取り崩しながら財政破綻を誤魔化している。早晩、それは持続ができなくなる。

 2023年は、ロシアが「戦争経済」にきりかわっての、第一年目。

 ロシア財務省の統計によれば、2022年にロシア政府は310億ルーブルを支出。それに対して歳入は270億ルーブルだった。約30億ルーブルの財政赤字。
 また同年のインフレは13.8%だった。これはGDPの実質を、名目数値よりも15.8%しぼませた。

 戦争も長期化すると見られたから、ロシア政府は22年末に、翌年から「戦争経済体制」に切り替えることを決めたのである。

 アステレスというリサーチ会社によれば、2023年のロシアの歳出は320億ルーブル。歳入は290億ルーブル。

 2023の軍事費は600億ルーブル以上。これはGDPの3.9%にあたる。2021の軍事費はGDPの2.7%だった。

 歳入源はふたつに分けられる。炭化水素(石油と天然ガス)の輸出で稼いだ上納金は2022→2023で縮小した。すなわち2022には115億ルーブルあったのが、2023には88億ルーブルに。
 かたや、石油・ガスではない歳入(付加価値税、所得税、等)は25%増えて200億ルーブルになった。

 2023にロシア経済は3.5%成長したと見られる。

 外野がいくら詮索しても不明な部分。源が明かされていない2023年度の歳入が、ぜんたいの30%もある。ちなみに2022年度の歳入の場合は27%が、源が不明。

 ロシアの貿易黒字は、2021年には1220億ルーブル。2022年には2380億ルーブルだった。それが、2023年には500億ルーブルに激減した。

 2022年は、西側の経済制裁が作用する前に駆け込みで石油をものすごく売りまくった。ダンピング輸出だが、それでも数値が大きい。

 また諸資料から、2023年にはロシア政府はあらゆるところに新税を課けまくって、歳入を維持したと分かる。

 2022年からロシア政府は大量の外貨準備を売り払い始めている。それをルーブルに換えて歳入の穴を補っているのだ。

 2023-8にロシアのデジタル開発大臣は言った。情報産業分野で70万人の労働力が足りない。そしてそれとは別に、軍需工場に40万人の労働力が不足である、と。

 ロシアの鉱山成金の男いわく、ロシアの鉱工業は西側に比べて省人化が遅れており、やたらに多数の労務者を投入しないと生産が進まないのである、と。ロボットやオートメへの投資をしなさすぎだと。

 ある人の挙げた数値。国家福祉基金は、2023末には67億ルーブル残っていた。が、2023-9には13億7000万ルーブルに減った。

 公称の数値。2024年初において、ロシアの国家福祉基金には、2270億元と、358トンのゴールドが残っていると。これはつまり、ユーロや米ドルや日本円はぜんぶ、売り払ってしまったということだ。

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 Ella Nilsen 記者による2024-9-9記事「The US is dismantling nuclear warheads to power the next generation of reactors」。
    テネシー州オークリッヂにある核工場では、旧い核弾頭から高濃縮ウランを取り出して、原発燃料に生まれ変わらせる工程をフル稼働させている。

 むかしからなじみのある、核燃料棒ではない。
 最新設計の未来型原子炉用には、燃料もまた、新しいタイプが必要なのだ。

 旧来の商業原発の核燃料には低濃縮ウランを使っていた。だが、これから建設される小型のモジュラー式原発には、従来よりも濃縮度の高いウラン燃料を使う。例のテラパワーも、そういうコンセプト。

 米国は、昨年までは、ロシアから安価に高濃縮ウランを輸入して、商業原発の燃料を製造していた。しかしそれでは経済制裁にならんじゃないかというので、超党派の法律ができて、輸入を停止。それで、工場は大忙しなのだ。


外国公船の領海侵入を「無害航行」扱いしてはならない。それは無害航行とは認めない――と、無線voiceならびに光学文字パネルで表明しつつ、接舷臨検し、当該船船長を逮捕抑留するべきである。

 Svetlana Shkolnikova 記者による2024-記事「Germany would need up to 100 years at current rearmament pace to deter Russia, report says」。
    シンクタンクKiel研究所の月曜公表リポート。
 ドイツ軍が20年前の戦力を回復するまでに、これから100年かかる。この調子ではロシアを抑止できない、と。

 2022のロシアによるウクライナ侵略は、ドイツの国防政策にとっては「ツァイテンヴェンデ」(歴史的転換点)であった。

 ドイツが2004年に有していた武装状態にまで戻すのに、航空機はこれから15年、戦車は40年、砲兵は100年かかってしまうだろう。

 ※なんとアイテム数のカウントである。2004年に軍用機423機をもっていたが、いまは226機に減っているので、これをまた423機に戻すには何年かかるか、という計算をしているのだ。第一次大戦当時と第二次大戦中の軍用機の数の比較をするようなものではないか。そんなシンクタンクがあるか。

 ※この地球上に、ドイツ以上にロシアの「構造」を知っている国があるとは思えない。おそらく彼らが口にしない胸算があるのだ。それは、このまま時間の経過を待てばロシアの方で勝手に衰退してくれるだろうという未来予測だ。ロシア財政の「下部条件」を隅々まで把握していれば、長期的に確かな予想は成り立つだろう。百年後にロシアなどという国は無いのだろう。

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 Grant Newsham 記者による2024-9-8記事「America’s ‘kryptonite’」。
    中共のグレーゾーン戦略に、米軍は打つ手が無い。「何もしないか、米中核戦争か」の選択を迫られたら、たとえば現場がフィリピン沖の無人島だったなら、「核戦争」を選ばないだろう。

 ※今、ウクライナ軍は「裏グレーゾーン」を試していると思う。非核武装国が、長距離無人特攻機でモスクワの高層ビル群を破壊しても、ロシアは、返礼としていまさらウクライナを核攻撃できない。同じことは、来たる「日本有事」でも、言えるはずだ。

 中共は、覚醒剤原料フェンタニルを量産して密輸組織に卸し売りすることにより、米国内に7万人以上のヤク中死者と、その数倍の「廃人」を、年々生み出している。これは間接攻撃だから、米政府は中共に反撃できない。ここでも中共は、グレーゾーン戦争で勝ちをおさめている。

 サイバー犯罪はどうか。中共がやっていると見当はついても、米政府には懲罰できない。民主党政権だろうと、共和党政権だろうと、無力であることが証明されている。

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 Sofiia Syngaivska 記者による2024-9-10記事「Ukrainian Artillerymen Can’t Use German PzH 2000, What’s the Problem」。
    宇軍が2年近く使っている、ドイツ製の自走砲「PzH 2000」。
 砲身をはじめとするスペアパーツが涸渇しているため、急速に機能しなくなっているという。

 ※高性能な装軌式SPは短期の急激戦争向きの装備。ウクライナ戦争のような、長期のダラダラ戦争には、まったく向いていない。且つまた、高性能正面装備は、やたらに人員を喰う(一線でも後方でも事務方でも)。ウクライナはロシアより人的資源が足らないのだから、まず人材を省力できる《かんたん装備系》を優先的に考えなくてはいけないのだ。それを思慮できるのは作戦系の軍人ではなく、軍備と動員に通じた政治家。その政治家がウクライナにはいない。小学生みたいな乞食坊しかいない。だが日本も他人のことは言えない。《UUV+AI》時代のいまどき「原潜」を持つべきだ――などと言っている中堅の政治家がご健在だ。

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 2024-9-10記事「The U.S. has expressed an interest in deploying a medium-range missile system to Japan」。
    米陸軍長官(文官)のクリスティン・ウォーマスが来日して、「MRC タイフーン」という、陸上のトレーラーから巡航ミサイルを各種発射するシステムを日本領土上に展開することについて前向きの発言。

 今年8月9日には、陸自の高級将官・堺一夫がワシントン州の「ルイス-マコード」基地を訪れた。そこには「第1マルチドメインタスクフォース」が所在し、「MRC タイフーン」の現物についての説明がなされた。

 4月には米陸軍は「タイフーン」を比島に持ち込んでいる。そこから射程1600kmのトマホークを打ち出せると宣伝された。

 DoDの公式方針として、この装備は2026年からドイツ国内に常駐開始させる。

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 Brianna Sacks 記者による2024-9-10記事「Facebook is blocking emergency warnings as wildfires roar through West」。
   加州在住の元消防士で、旦那は現役消防署長で、フェイスブック上に、地域の火災を速報して避難勧告や近傍消防署への応援要請をする公共ページを設けている人。煙が見える距離の火事について速報したら、フェイスブック運営が、その投稿を消去してしまった。理由は、その投稿は「スパム」だから、だと。

 「いいね」「フォロー」「シェア」を稼ぐためのミスリーディング行為である――と、運用から一方的に断定された次第だ。

 ※日本では水害の実況SNS投稿でまさにこれがあると聞く。火事については聞かれない。それはわが国では、消防隊が火災現場にかけつけるリスポンスタイムが、住民が動画投稿などをする時間よりも速いからだろう。加州は広く、野火が住宅街まで延焼してくるまでに消防隊がかけつけないことが多い。だからSNSが緊急公共安全の一端を担う。わが国では、大規模水害に関して、公共機関が後手にまわるおそれがあるから、そこにSNSフェイク投稿者の「商機」が生ずるのだろう。


9月7日、ベラルーシからラトヴィアに無人機が越境して墜落した。場所は国境から50マイルの「Rezekne」市郊外。機体は「シャヘド136」系統であった。

 Malte Humpert 記者による2024-9-8記事「In Desperate Move Russia Sends First-Ever Conventional LNG Carrier Through Arctic」。
   ロシアのLNG生産企業ノヴァテク社は、西側制裁のおかげで砕氷船仕様のLNGタンカーが傭船できないものだから、非砕氷船仕様のLNGタンカーを北極海航路へ送り出した模様。

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 Defense Express の2024-8-9記事「Ukraine Launches Domestic Production of F-1, RGD-5 Hand Grenades, the Ordnance’s Already in Use With the Army」。
   ウクライナ国内の工場で、「F-1」手榴弾と「RGD-5」手榴弾の内製が始っている。

 F-1は、もう100年近く前のロシア軍のデザイン。しかし実用性はあるという。

 「F-1」は1915年の設計。赤軍は1928年に採用した。破片が多く、したがって、防禦用。すぐに物陰に伏せないと、投げた人間が危ない。
 これ自体は英軍のミルズ手榴弾からインスパイアされているが、「F-1」もまた米軍の「Mk2」パイナップル手榴弾に影響を与えたのだという。

 「RGD-5」はソ連軍が1953年に採用した、軽量でつるつるの、攻撃型手榴弾である。破片が飛ぶ範囲を抑制してある。

 ここで人々は疑問に思うはず。なぜ、ソ連末期の「RGN」および「RGO」手榴弾のほうを生産しないのかと。
 この2種類の手榴弾は信管が進歩していて、時限の他に、着発でも起爆させられるのだ。

 理由は、要するに、兵隊が慣れていてあらためて教育する必要がないことや、部品が手に入りやすいことの方が、重視されたのである。

 ※あと、ドローンから投下するときの設備設計ね。重量や発火方式が変わると、すべてやりなおしになってしまう。今までの実戦ノウハウの蓄積がパーになる。

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 AFPの2024-9-8記事「Drought sinks longest Polish river to record-low level」。
   ポーランド国内を流れる最長の河川は「Vistula」川である。1000km以上。バルト海に注ぐ。
 この水位が、統計史上、最低にまで減り、さらに下がるかも……。同地では、モロッコなどとは逆に、旱魃なのだ。

 ワルシャワ市のある測定点では、水位は25cmしかなかった。2015年には26センチという記録がある。それを破った。

 傾向として、2015年いらい、ずっと旱魃なのだという。これからもっと酷くなるだろう。

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 Konstantin Toropin 記者による2024-9-6記事「Amphibious Ship Suffers Breakdown, Marking at Least Third Navy Mechanical Issue This Year」。
   『USS イヲージマ』の調子がよくない。木曜日にまたノーフォーク軍港に戻ってきた。推進系ではない部分――水圧系かもしれないし発電機かもしれないし給水設備かもしれない――で機械故障があったと公表されている。

 3月には『ワスプ』も、出航してすぐに引き返してきたが、こっちの故障はスクリューの軸であった由。
 4月には『ボクサー』が、舵の不具合を理由に10日で港に戻ってきた。

 ※大金をかけ何年も費やして改装工事した強襲揚陸艦だが、艦齢30年以上で土台がガタガタなのか、それとも近年の米国造船所に人がいなくなっているせいなのか、ちっとも戦列を満たしてくれない。これなら、昨日紹介した「HIGH BULK 40E」型のような、8ヵ月で1隻新造できる安価な大型貨物船の方が、来たる対支戦ではずいぶん役に立ってくれるだろう。この型、動かすだけなら船員24人で足りてしまう。そしてなんといってもデッキ上の自前のクレーン1基で30トンをやすやすと持ち上げてしまえる。それが4基もついている。水陸両用兵員輸送装甲車の「AAV7」は自重26トン+貨物4トンだ。これを1度に4両ずつ、泛水させられるわけだよ。現代の二重船底の貨物船は、万一中共の対艦ミサイルが命中しても、沈みはしない。これでリスク分散を極大化し得るはずだ。


気候変動のなりゆきで、外患と関係なく、日本国内でも船舶によるエバキュエーションが必要になる日が来そうだと予想するよ。

 ストラテジーペイジ の2024-9-8記事。
    ウクライナ軍はロシアの北極圏にある航空基地を攻撃した。長距離重爆のたまり場。その重爆から対地攻撃用のミサイルが発射されていた。

 ※それとは関係ないが、先日ウクライナの西部に打ち込まれた「キンジャル」は、意図的にベラルーシとウクライナの国境線に沿って飛翔させ、迎撃を躊躇するようにしていたそうだ。

 基地は、ウクライナ国境からは1800kmも離れた場所だ。人家のほとんど無い、大森林地帯。

 この攻撃は、民間のトラック業者になりすました挺進部隊が、基地に近いところから自爆ドローンを発進させたものだと信じられる。

 ロシア国内では鉄道貨物運輸の機能が衰えているため、多くは、中央アジア諸国経由で、シナ製の密輸品をトラック業者に運んできてもらわないといけない。そのトラックの数は膨大なので、いちいち積荷を改めていられない。だから、ロシア語が話せるウクライナ兵をドライバーに仕立てれば、このような潜入作戦はかんたんにできてしまう。

 この攻撃の直後、サンクトペテルスブルグで予定されていた海軍行事が中止された。
 そこでは2隻の原潜などが住民に一般公開される予定だったのだが、ウクライナ軍がどこから攻撃してくるかもわからないので、艦艇はいずこかへ去った。

 ※昨日、「函館どつく」の一般公開イベント「大型船 船内見学会」に出かけて、水を入れてない乾ドックの底まで降りて、よいものを見せてもらいました。台湾から発注された木材ばら積み船『FRANBO BRAVO』号。積載重量4万トン。フネの自重は8800トン。全長183m×幅31.6m。岸壁からいちどに30.5トンを吊り上げられる自前のデッキクレーン×4基。5つ並んだセミボックス構造のホールド(艙)をそれぞれ機械開閉のフォールディング式ハッチカバーで覆うことができ、その蓋の上にヘリコプターが降りることもあるのだという。船尾近くには、能力3トンの雑用ジブクレーン×1。本船の吃水は10.37mで、技術の限界まで浅い。それでありながら艙の深さは10mくらいもあると見えたり。もちろん船底も側面も鋼鈑二重張りだ。ビルジは完全に清浄化される。こんなハイテクの巨船を8ヵ月の工期で竣工させてしまえるという。スクリュー直後の舵に飛行機の主翼のようなフィンをとりつけ、ヨットの帆と同じ仕組みで「揚力」を前進力へ転換し、燃費を数%向上させている。最大速力は13.6ノットだが、運ぶのは急ぎのコンテナじゃないから、それでいい。艙の寸法を聞きそびれたが、1区画の前後は25mくらいもあるじゃろう。これを見てしまっては、もはや次のような空想を押し留めることは不可能だ。「住民エバキュエーション」に、特殊なフネなど要らないのである。こういうのが1隻あればいい。この艙に臨時に「蚕棚」を設置すればいい。戦前の兵員輸送船のように。今なら、何かモジュラー式の、ずっと気の利いた物が工夫できる。それを艙内に「逆ピラミッド形」に積み上げたら、利用者の心理的な圧迫感もなかろう。そして、デッキクレーンには「人間用エスカレーター/リフト」をとりつけられるようにすればいいのだ。最新のユンボが「手首」だけワンタッチ交換できるようになっているが、そういうものがフネ用にも設計できるはずだろう。それで、岸壁(もしくは通船、浮き桟橋、バージ上)から、至短時間に大量の人間を掬い取って艙の底まで急いで移せばいいではないか。もちろん艙内は事前・事後に洗滌するから衛生上の問題も無いわ。

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 Diana Stacy 記者による2024-9-5記事「How the Marine Corps is testing a ‘narco-boat’ for resupply efforts」。
  海兵隊は、麻薬カルテルが建造したナルコサブをモデルに、無人で離島の友軍に補給物資を届けてくれるロボット潜航艇を試作してテスト中である。

 全長55フィート、航続距離は数千浬。
 2023年に2隻のプロトタイプができていた。

 これを装備することになるのは、沖縄の海兵隊だ。これから数年がかりで、調達が進む筈。

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 『Taiwan News』の2024-9-8記事「Taiwan’s domestic sub undergoing harbor acceptance test」。
   台湾国産の潜水艦の第一号『Narwhal』は、浮きドック内でほぼ仕上がり、公試運転前の港内試験が続けられている。正式進水は今月中を予定。公試運転は来年6月。引渡しは2025-11の予定。

 これまで備品の不良が70以上報告されており、造船所のTSC社の内部に妨害工作員がいると言う者もいる。
  ※台湾こそナルコサブコピーの無人機雷敷設ロボットを数万隻も量産しなくちゃダメではないか。それでブロケイドを突破して食料や燃料を搬入できるのだから。

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 2024-9-8記事「Leopard 1 tank with MTU 8V199 engine」。
   ロールズロイス社とFFG社は、旧い「レオパルト1」戦車のエンジンを「MTU 8V199」に換装するビジネスを始めたい。
 もともと「MTU MB838」が載っている。ところがドイツのメーカーはもうそのエンジンを製造していないのだ。

 エンジンを換装するついでにトランスミッションも新しくする。

 この改修は、ゲパルトなどの派生車体すべてに適用できる。
 「8V199」エンジンは出力800kWである。すなわち「MB838」よりも190kW、増強される。

 新エンジンは、旧エンジンより低コスト。メンテナンスのインターバルも長い。

 「レオ1」の現用国は、貧乏所帯が多い。おいそれと新戦車になど更新できない。そこに改修の市場がある。

 いま、9ヵ国が「レオ1」とそのファミリー車両を使っており、その数は4700両である。昨年からはウクライナもユーザーだ(独、デンマーク、蘭が総計110両寄贈する)。

 新エンジンは、「Boxer」装甲車の主機でもある。

 FFG社は、冷却関係を担当する。
 また新トランスミッションの「4HP250」はZF社が用意する。


ブダノフが率いている、ウクライナの国防情報局で、1800km飛翔する特攻ドローンをこしらえた。

 詳細は明かされていないが「Lyuty」という名前の、TB2にちょっと似た機体なのかもしれない。

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 Howard Altman, Tyler Rogoway 記者による2024-9-6記事「Carrier Captain In Combat: What Went On During 7 Months Under Fire Around The Red Sea」。
   紅海~アデン湾でフーシと戦ってきた空母『アイゼンハワー』の艦長、クリストファー・ヒル大佐に訊いた。
 同空母は中東海域に9ヵ月居て、やっと引き揚げてきたばかりである。

 同空母を中核とする機動部隊IKECSGは、800発近いミサイルをこの9ヵ月で発射したという。
 またイランからイスラエルに向かって飛んでいた巡航ミサイル/無人機を、米海軍として初めて撃墜した。

 F-18グラウラーはいままでわかりやすい空戦の戦果がなかったが、この9ヵ月で、ドローンやら輸送ヘリやら、何機か撃墜した。

 輪形陣のアーレイバーク級駆逐艦からは、初めてSM-6を実戦発射。

 女性パイロットが操縦するF/A-18 スーパーホーネットが撃墜スコアをあげたのも初。

 また米艦隊として、リアルの「対艦弾道弾」の飛来を初めて経験した。

 アイク艦隊は地中海と北海で演習中だったのだが、そこにハマスの10-7侵略が始って、1週間後に、中東へ移動することになった。

 艦上戦闘機によって落とした空中標的は、数十にのぼった。

 『アイゼンハワー』は、ホークアイのC型を積んでいる最後の空母だが、E-2Cの調子はとてもよい。
 この艦長は、週にいちど、E-2Cに同乗して、飛んでいたという。時にはその操縦桿を任された。

 ※この人のキャリアで、10年前には現役のE-2Cクルーだったらしい。だから旧い飛行中隊を預けられたのか。

 米空母の艦長がみずから搭載機で飛び立つことはよくあることで、この艦長はグラウラーやF-18で飛び出すこともあるという。しかし、かつて20年間も操縦していたE-2Cがいちばんリラックスできるから、つい、それが多くなる。

 ※水上特攻ボートに関する質問には、ほとんど答えてはいけない模様である。米海軍は、その分野こそが最先端脅威だと認識しているのか。

 『アイク』の中には、ヒンズー語を話せる女性の「E-3」(上等水兵)がいたので、救助したインドの難破船の乗組員との通訳に重宝したという。

 今回体験したことは、リポートにまとめられ、近い将来、海軍大学校で講義される。

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 ストラテジーペイジの2024-9-7記事。
    西側圏内に住み、中共のためのエスピオナージの手先となっている「オペレーター」のシナ人は、自分が「反北京」であるように装って、現地人やシナ人留学生たちを信用させて、情報を集めている。

 ※わたしの亡父の元同僚だった人が、戦中は中国戦線に出征していたらしかったが、若いときのわたしはどうしようもないうつけ者で、貴重な体験者から詳しい話を聞いておくという知恵が回らなかった。ただ、生前いちどだけ、「好きな落語のネタ」について質問したことがあった。というのは、この人の素人落語が部隊では大うけだったので、一時はプロになろうかとまで考えた――という話を間接的に承知していたからだ。回答は「そば清」だった。そしてここがうつけの真骨頂で、質問をわたしはそこで了えてしまった。今ようやく、いろいろと推理できる。「そば清」は、大食い競争の話だ。意外性の高いオチは、悪いが当時の兵隊たちにはむしろわかりにくかったはず。要は、部隊の誰もが切実に飢えていたので、兵たちは大食いの話を聞いて手を打ったのに違いないと思う。中支(あるいは南支? それすら聞かずじまいだった)でも昭和20年は半飢餓状態に近かったのだろう。子ども時分、この人が先導する、長野市郊外の山林中の山菜採りに、わたしは幾度か同行した。マジシャンではないかと、いつも思わされた。わたしの視力は1.5~2.0あったが、どれほど目を凝らして見つけてやるぞと意気込んでも、常にこの人(近視眼鏡をかけていた)の方が早く、遠距離から山菜を識別した。たぶん戦地でも、このスキルが生死を分けたのではなかったか。そしてまたその足が、ほとんど疲れを知らない持久速力であった。『麦と兵隊』などを読むまでは、なぜそんなスピードでどこまでも平気で歩き回れるのか、理解できなかった。生き残って復員できる者の、それが最低資格だったのである。レジャー用の山岳ガイドブックに「健脚者向きコース」などと書いてあると、わたしはいつも、このおじさんの短躯の巻き脚絆姿を思い浮かべ、「俺にはぜったいに無理」と畏怖の念を喚起する。自衛隊の職種希望に「普通科」と書かなかったのも、潜在的なこの自覚が関係していたのだ。

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 Nivedita Bhattacharjee 記者による2024-9-7記事「Explainer: What is helium and why is it used in rockets?」
    なぜ宇宙船はヘリウムガスを多用しているか。
 それは不活性なので燃料タンク内で燃料と化学反応しない。しかも軽い。
 また沸点がマイナス268度なので、宇宙の寒いところでも液化したり凍ったりしない。

 ロケットの燃料槽から燃焼室までよどみなく燃料を流してやるときに、ヘリウムガスは役に立つ。
 また、冷却の媒体としても、ヘリウムが使えるのである。

 燃料と酸化剤が消費されたタンク内には、やはりヘリウムを充填しておく。それにより、タンクが負圧で潰れない。

 しかし分子が小さく、軽いので、ヘリウムは、ごく微少な隙間があっても、そこから漏出する。

 さいわいなことに、空気中にヘリウムが混じったかどうかをセンサーで探知させるのは楽勝である。

 それで、今年5月にボーイングのスターライナーを打ち上げる前にも、実は、わずかなヘリウムの配管からの漏洩が、スラスター付近で検知されていたのだが、大したことはあんめえ、と、6月の有人初発射を強行していたのだ。

 こんかい、人を宇宙ステーションに置き去りにしてスターライナーだけを無人で地球に戻したのは、このヘリウム漏出が止まっていないため。

 あるエンジニアは証言する。まったくあたらしいバルブを考えないと、ヘリウム漏れはなくせないぞ、と。

 ヘリウムは高額なので、代用品として、同じ不活性ガスであるアルゴンや窒素が、バルブ等の開発中には、よく使われている。しかしそれだと分子サイズが違う。

 欧州の「アリアン6」ロケットでも、ヘリウム漏れをなくすのに苦労をしているようだ。

 ※雑報によるとパレスチナのTVフッテージでちょくちょく、同じおっさんが、両手で赤子を差し上げて何事か叫んでいる。この赤子はじつは「人形」で、毎回、違ったものが用意されてくる。しかしおっさんはいつも同じ人相なので、スチル画像を並べれば、「雇われ演技者」であることはバレバレであるという。


USスチールの近代化に期待できないなら、オーストラリア西部のピルバラ山塊に巨大一貫工場群をぶっ建てた方が、未来の自由世界の安全強化につながるだろう。

 というのは、これから人口と経済ののびしろが莫大らしいアフリカ市場にとても近い。何兆円ものカネを動かすなら夢も大きい方が面白い。ゼロから最新工場をつくればいい。

 豪州西岸なら、砂漠みたいな土地が余っているだろうし。

 豪州には、あとひとつかふたつの「海軍工廠」も必要になるはずで、そこへも資材をサクッと供給できよう。

 スエズ運河はこれから完全閉塞されそうだから、豪州のどこかに大きな寄港地ができてくれることを、世界の商船業界も望んでいる筈。

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 Howard Altman, Joseph Trevithick 記者による2024-9-5記事「The Story Of Sailors Secretly Installing Starlink On Their Littoral Combat Ship Is Truly Bonkers」。
    2023年に西太平洋に配備されていたLCSの『USS マンチェスター』に乗っていた古手の兵曹たち(ただし2交替組のゴールド・クルーの一派)が、こっそりと私的にスターリンクのアンテナを艦橋に取り付けて、映画のストリーミングを観ていたことがバレた。艦長はまったくあずかり知らないでいた。

 スターリンクのアンテナは受信だけでなくインターネットの送信もするから、ESMを備えた敵軍がこのLCSの位置を探知できてしまう状態であった。

 兵曹たちは申し合わせて醵金し、スターリンクの契約をして、そのアンテナを「0-5 ウェザーデッキ」〔おそらく艦橋のどこかにある庇状の構造体の上面部〕に固定した。そこは下から見上げても直視はできないエリアであった。
 取付け工事をしたのは、仲間の最古参の女性兵曹で、経営学修士号を有していた。この女は今年、軍法会議にかけられている。

 こんなことをされてはLCSのエミッション・コントロールは無いもどうぜんだし、場合によっては艦内のスパイが敵に機微情報を通牒できてしまうわけである。

 またその私的ネット回線を通じてマルウェアが届けられ、それが艦内に蔓延してしまう恐れもゼロではない。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-9-6記事「Ukraine adopts ground drones for evacuating wounded soldiers」。
  ウクライナ軍は、負傷兵の後送に、無人装軌車を実用し始めた。

 このUGVは、「FOXTAC」という国産品である。
 車高はたったの40cmしかない。

 通常、無線リモコンは700m内でするが、電波を10km届かせることも不可能ではない。
 有線リモコンのオプションもあり。
 また、車両は自車の「軌跡」を記憶しているので、敵のEWのせいで無線リモコンが切れたとしても、患者後送作業は続行される。

 2023年夏の激戦では、連日、400~500人の負傷兵が発生した。

 次。
 ストラテジーペイジの2024-9-6記事。
   今、最も多数のロシア兵を殺しているタイプのFPVドローンの1機のコストは、500ドルくらいである。

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 Paige Oamek 記者による2024-9-6記事「Unsealed FBI Doc Exposes Terrifying Depth of Russian Disinfo Scheme」。
   水曜日に米司法省は、2024大統領選を偽情報によって左右するべくロシアが開設していた32のインターネット・ドメインを押さえたことを発表した。

 ロシアの工作名は「ドッペルゲンガー」。
 AIでどんどんフェイクニュースを濫造させる。そして、トランプを当選させる。

 ロシアはそのプロパガンダを拡散させるために2800以上の「インフルエンサー」のリストを持っており、それも司法省は公開した。その「五分の一」は合衆国内に住所がある。

 ロシアからの観察では、米国内の右翼運動のカギは、ゲーマーとチャット利用者どもなので、それをターゲットにしなくてはならない。