「Qom」市に近い「Fordow」山塊の岩盤に穿たれた地下トンネル内にあるウランの遠心分離プラントは、地下3階構造で、地表からは80m・・・という情報が一人歩きしているが、いままで何年も工事する時間があって、その「初期値」が変わっていないことなど、有り得ようか?
地下の立体Mapが曖昧で不確実なのだから、米空軍の「B-2」から投下できる最大級のバンカーバスターでも、この設備を破壊できるかどうか、こころもとないのである。位置が不明の対象物を、誰も破壊しかねる。
ただしネタニヤフにはオプションがある。この「Fordow」のトンネル入り口に、イスラエル製の核爆弾を落とし、地表ゼロ・メートルで起爆させればいいのだ。火球が土壌を包摂することにより、トンネル入り口は半永久に放射線を輻射し続けるようになり、そこは人がアクセスするのに適さなくなる。客土の試みはほぼ無駄である。イランは「グラウンド・ゼロ」から離隔した別なトンネル入り口を改めて開鑿するしかなくなるだろう。イスラエル政府は、それですくなくとも数ヵ月、運がよければ数年の時間が、稼げるはずだ。
このオプションを「自衛権」として行使しますよとネタニヤフがトランプに伝えれば、トランプも、そうなる前に「B-2」を出さないわけにはいかなくなるだろう。
イランはすでに《原爆》は持っている。
ウランの濃縮度がちょっと低かろうが、さまざまな「原爆もどき」を造れるからだ。
これまで何十年も時間が与えられていて、それが試作されていないと思う方が非常識だろう。
それら「原爆もどき」がイランの隠し球なのだ。その使い方も、とっくに研究されていると思わなくてはいけない。敵は木偶ではないのだ。
貴重な「隠し球」は、奔放な使い方は許されない。確実に機能させなくてはならない。なおかつ、それを使うことによって、米国政府をタジタジとさせることができないのでは、政治的かけひきの梃子にもならないので、意味がない。
となると用法も限られる。予想しよう。バンダルアッバス軍港からIRGC(イラン革命防衛隊)が「半没艇」もしくは「偽装漁船」、もしくはホンモノの原油タンカーを使って、ホルムズ海峡まで持ち出し、その水中で炸裂させるだろう。どのフネに「原爆もどき」が搭載されているかを絞り込ませないために、大小の「囮」船艇が、同時にあちこちに多数、出現して航走する。
「原爆もどき」を積んだフネは、米海軍からの臨検を阻止するために、自爆用の高性能炸薬もブリッヂに満載してある。その自爆装置は、本作戦が成功しても失敗しても炸裂させて、米軍を攪乱し、証拠を隠す。
作戦の結果、国際原油取引価格は急上昇する。それが米本土内のガソリン小売価格を押し上げるので、トランプ政権は窮地に陥る。ロシアは原油輸出に関連した歳入が増えるので歓喜し、イランを背後から実質声援する。
しかもイランは、核弾頭の運搬手段として「半没艇」を用いてみせることによって、それを理論上、GCC諸国の原油積出し港や、イスラエルのアカバ港、スエズ運河、さらには米本土の任意の港湾都市に対しても、いつでも使えるんだぞというポテンシャルを示威することができる。
もし米国政府が、「B-61」水爆の地中爆発型をイラン本土の核施設に投下した場合は、イランは報復として、GCC沿岸で《原爆もどき》を何発も炸裂させる――と事前に脅すことだろう。そのとおりに実行されれば、米国国内のガソリン価格は高止まりし、これまでのトランプ支持者層も、政府と共和党に失望するだろう。
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Sania Kozatskyi 記者による2025-6-18記事「Iran Shot Down Israeli Hermes 900 Drone」。
火曜日にイランの放送局IRIBは、イスラエル軍の「ヘルメス900」無人機を精密ミサイルで撃墜したと公表した。
撃墜地点は、イスファハンの東部域。
ただし残骸写真を見ると、機体表面に「破片孔」が見られない。だから、ミサイルで撃墜したのかどうかは、怪しい。
しかるにIDFは「SAMでやられた」と認めた。
「ヘルメス900」は、数発の誘導兵装で武装できる。たとえば「ヘルファイア」。「シャヘド」の発射車両に投弾して破壊した機体は、ヘルメスだったのかもしれない。
※この無人機はロータックスのエンジンでゆっくりと飛ぶ。高度9000mを、巡航速度112km/時で。機体もステルス形状ではないので、長射程のSAMがあれば、撃墜することは難しくない。しかしイスラエルは、こいつを飛ばす前には当然、多数の「囮」ドローンを飛ばしたはず。それにイランは敢えて反応せず、高価値機体が飛来したところで初めてSAMシステムを起動させたことになろう。それを見極めるISRは持っているのだ。フーシもかれこれ9機以上も「リーパー」をイラン製のSAMで撃墜してみせている。この事実がトランプを悩ませる。もし、Fordow 上空に「B-2」を飛ばし、万一にもSAMで撃墜されたならば、ぬぐうことのできない不名誉を歴史に刻まれてしまう。もちろん乗員はイランの捕虜にされ、トランプはテヘランにわざわざ「カード」を進呈してしまう。
※開戦第1日目にイスラエル空軍機は有人機200機を飛ばし、1機もやられることなく、全機が帰投したという。イランはあきらかにこのようなときにはSAM用レーダーを止めてしまうことにしているのだと疑えよう。おそらくSAMは温存されている。敵は木偶ではないのだ。
※ちなみにドイツ連邦軍はバルト海の常続監視のために、イスラエル製の「ヘロンTP」を運用中。こちらの無人機は高度1万3000mで巡航できる、最上位クラス。1機は2500万ユーロだという。滞空時間は30時間。エンジンはターボプロップ。