緊急出版! BOOTHから「薄い本」が、近日発売になります。

 内容はいやらしくありません!
 その表紙を貼り付けておこうと思ったが、できねえ! 貼り付けに失敗した。前はできたんだが、年をとるとそんなの覚えてねえ。

 しょうがないのでこの表紙は「ノート」の方に貼っておきます。あっちは何も考えずに貼れるから。

 今回は新記録をつくった。原稿を書き上げてから1週間にして「発売」できそうです。
 このくらいの機動出版でないと、書いた内容がどんどん古くなってしまうのが、従来、こまりものでした。とくに最新の軍事情勢解説本となりますとね。

 紙の出版物には、脱稿から店頭発売まで半年くらい間があっても内容がけっして古くならないような、そんなテーマを選ぶ必要が、これからはあるだろうと考えます。たとえば『武器が語る日本史』のようなものだったなら、そんなに急いで刊行して貰わずとも、著者としてはOKなわけですよ。

 それで、どうも北鮮は北京五輪のさなか、世界のマスコミが極東に集結したところで大気圏内核実験でもやらかすんじゃないかという気がする。だったら2月になる前に、こういう本を出しておこうと思いました。
 ボリュームとしては、普通の単行本の「1章」分くらいです。

 ワンテーマに絞れば、これでじゅうぶん。書き始める前に1冊分の「章建て」を考えなくていいのも新鮮。単価も安くできますし……。

 こういう新しいこころみを、どんどんやって行きますので、ご注目ください。

 次。
 Jen Judson and Joe Gould 記者による2022-1-22記事「THAAD, in first operational use, destroys midrange ballistic missile in Houthi attack」。

 今週の月曜日、THAADが火を吹いていた。そして実戦での初迎撃に成功していた。
 ユーザーはUAE。飛来したのはフーシの弾道弾(イラン製)である。アブダビ上空。

 THAADは、アルダーフラ航空基地の近くにある石油施設を防空するように展開されていた。

 げんざいUAE軍は対イエメンの干渉戦争に直接兵力を送らないようにしているが、そのかわりにフーシの対抗武装集団を支援しているので、フーシ=イランからは、サウジとともに大いに憎まれていることに変わりはない。

 今回の迎撃について詳細の発表は無い。フーシの攻撃は、弾道弾、巡航ミサイル、自爆ドローンをミックスしたものである。

 ※もし弾道弾ではなく巡航ミサイルか自爆ドローンを落としたのだと後から確認されたりしたら、まったく費用対効果が悪いことになり、メーカーのロックマートとしては逆宣伝になりかねない。近くでは第三国の機関も電波情報をとっているだろうから、ますます詳しい発表は難しくなる。


兵頭二十八 note デジタル出版活動は前進する!

アフガンから去年脱出した「ミル17」ヘリコプターは、ウクライナ軍へプレゼントされることになった。

 ストラテジーペイジの2022-1-22記事。
    F-117は、公式には14年前に退役したことになっているが、今も、レーダーの試験用に飛ばされていることは、昨年、また確認された。

 昨年の飛行は、F-15に新しいAESAレーダーを後付けしたとき、ステルス機をどのくらい探知できるようになるのか、その検証のために駆り出された模様。

 F-117は、ボーンヤードのなかでも高度に飛行機能を維持させる特別施設内にて52機が温存されている。

 空軍は、必要とあらば、30日もしくは90日の準備をすれば、この52機を実戦投入することもできるのである。そのためのパイロットと整備兵も維持されているのだ。
 ただしさすがに52機分の人員は平時には維持していない。

 次。
 Archbishop William E. Lori 記者による2022-1-21記事「Facing the Realities of Abortion」。
   『ワシントンポスト』紙にパトリック・コンロイ(元連邦下院議員にして、カトリックの神父)がこう言っている。善きカトリックは妊娠中絶を支持する。それは選択の可能幅を拡げてやることで、合衆国憲法の精神にも沿っている、と。

 フランシス教皇も堕胎問題に関してこう言っている。「現実は理念より偉大である」と。

 ※米国のカトリックの中にもこういう動きがあるということ。

 次。
 Thomas Newdick 記者による2022-1-20記事「Our First Look At Israel’s New Dakar Class Submarine Reveals A Very Peculiar Feature」。
   イスラエルは次世代の潜水艦『ダカール』級を3隻、ドイツの造船所に発注する契約を結んだ。このたびティッセンクルップ海洋システム社が公表した完成CGを見ると、セイルが普通よりも高く大型なので、弾道ミサイルを搭載する気なのではないかと観測されている。

 次。
 Nabih Bulos 記者による2022-1-21記事「Yemeni rebels’ attack on UAE leaves US and allies with few good options」。
   アブダビの数マイル郊外にある「アルダーフラ」飛行場には米軍も駐留している。
 そこにスウォームとなって飛来したフーシのドローンは、1000マイル以上も飛行してきていた。

 そのスウォームは「ムサファー」工業地区の上空で2手に別れ、1隊はアブダビ国際空港を襲撃し、その辺縁の建設現場に火災を生ぜしめている。

 なおドローンの他にイラン製の巡航ミサイルも混用された模様だ。

 ※巡航ミサイルを敵基地の近くから発射しようが遠くから発射しようが、亜音速飛翔でしかない以上、敵のミサイル発射より以前にそれが弾着するなどということは初めから考え得ない。だったら、思い切って超低速で長距離を飛ばせることにし、そのぶん、製造単価を下げて、数量を多くしてスウォームで殺到させてやろうじゃないかというのが、イラン人の知恵だ。もちろん狙う場所は敵のTELなんかじゃない。湾岸戦争中に絶対制空権を握っていた米空軍ですら、イラク軍のスカッド運搬車を1両も破壊することはできなかった。平坦な砂漠のどまんなかで、大型空対地監視レーダー専用機の支援があってもできないことを、錯雑山地のトンネル出口でできる道理がどこにあろうか? 飛行場に駐機している飛行機の形状は、デジカメのAI技術を転用すれば、自爆無人機内臓のセンサーが自律判別できる。その機能を持たせたスウォームを敵飛行場へ指向させ続ければ、敵は空軍を運用できなくなる。自爆無人機は、敵の都市域上空をランダムに経由して滑走路やハンガーへ八方からアプローチする。これを撃墜しようとすれば自軍のミサイル(それは自爆無人機1機よりも高額で数もすくない)で自国の住民を痛めつけるのがオチである。否、その前に、低速低空飛翔体を普通の軍用レーダーでは認識することすら不可能なのだ。敵基地制圧用の自爆無人機は、わが国として運用する場合は、大型航空機から空中リリースするのが、最も合理的である。


今月中に、敵基地爆砕能力に関する提言の本を出します。ただし、デジタル限定で。

 大手出版社からの印刷本ではまず不可能な過激な内容となっておりますので、お楽しみに。
 価格は300円以下にします。

 次。
 Antonio Regalado 記者による2022-1-18記事「Going bald? Lab-grown hair cells could be on the way」。
   複数のスタートアップが、加齢ハゲを逆行させる遺伝子工学の実験に成功しつつあり。

 あるチームは、ヌードマウスの横腹から「人毛」をフサフサと生やさせることに成功した。ヒトの毛穴の毛胞を生成する「人毛幹細胞」を移植することによって。

 幹細胞は、血液細胞や脂肪細胞を改造することで、人毛を生やすようにも、変身させられるのだ。

 ヒトの頭髪生成幹細胞が死んでしまう=ハゲる 原因には、いろいろとある。それは癌のこともあれば、テストステロンのこともあれば、遺伝子欠陥のこともあれば、武漢肺炎ウイルスのこともある。もちろん、加齢も原因だ。

 幹細胞の遺伝子改変によって病気を根治する試みのひとつとしては、昨年11月、米国ヴェルテックス薬品社が、インスリンに応答するようプログラムされたベータ細胞を患者に注入することによって「1型糖尿病」を治したかもしれないと言っている。

 次。
 Sally Warner 記者による2022-1-19記事「What Causes a Tsunami? The Physics Behind Destructive Ocean Waves」。
   人がプールに、砲丸のようになって飛び込む「キャノンボール・ダイブ」。瞬時にたくさんの水がおしのけられ、それが埋まるときに大きな波ができる。
 これが海底火山爆発津波が発生するメカニズムである。

 今回のトンガ津波の場合、ただそれだけであったのか、それとも、爆発のついでに海底で「地崩れ」も引き起こされていたのかは、まだ解明されていない。これから調べないといけない。

 風がつくりだす海面の波は、移動速度が10ノットから25ノット。
 それに対して、津波は、世界の海の平均水深である1万3000フィートの海域では、380ノットの高速で移動する。水深が深ければ深いほど、それは速く伝わる。

 じっさい、1月15日のトンガ津波は、カリフォルニアのサンタクルスには12時間12分で到達している。距離は4588海里であるから、速度は376ノットだったことになる。公式どおりだ。

 今日では「DART」とよばれる観測ブイ網があって、海底の水圧変化を計測できる。これで各国は、津波がじっさいに到る前に、警報を受け取ることができるのである。

 ※気象庁は「US-2」を専用に保有・運用するべきだ。そこから小型のUUVを放てば、海底マップを即製して、とりあえず海底に地崩れがあったかどうかを見極められるのだから。まず飛行艇で現地に急行して作業を開始してしまい、そのあとから船艇がおいついて本格的な調査を引き継ぐという連携の段取りが、地球規模の異常気象が頻発するこれからの時代には、ふさわしい対応になるだろう。一瞬の着水でUUVを放流するだけなら、飛行艇が冒すリスクも最小限。放たれたUUVの揚収は、あとから再度飛来して拾ってもいいし、他の船艇に委ねてしまってもいい。


(管理人Uより)

“1-18。『ジャパン・メイル』紙の親日評論。日本は戦争に勝っても、満州を併合するようなことはなかろう。「既に六ヵ月も前から同紙は(もちろん、日本の全新聞紙も同様だが)、日本は『清国の保全』のため、そしてまた世界の文明のためにのみ戦うのだ、と叫んでいる」。でももし日本が本心では満州領有を狙っているのであったら、初代公使ハリスが言ったように、日本人は、ザ・ビゲスト・ライアーズ・オン・アースとなろう。”

《続・読書余論》菅沼竜太郎訳『ベルツの日記』昭和26年~30年刊・他 より引用)

 以前にも書きましたが読書余論は、兵頭本が好きな方の中でも好みの分かれるコンテンツだと思うのです。ましてや赤の他人の日記。私はあまり興味がありませんでした。
 ところが、さすが日本人のエラい人とも付き合いのあったドイツ人の日記。昔の日本はお金も信用もなくて大変だったんだなあと感じ入る記述。当時の庶民感情ってこんなのだったのかなと想像できるドイツ人の感想。在日外国人から見た日本と世界。この人こんな事言ってたの? という記録。もちろん兵頭二十八先生の摘録だから読んでいられるんですけど、私は素直に面白いと思いました。

 まだ読書余論を読んだ事がない? 一度も? 『ベルツの日記・他』は900円ですが19万字もあるんですよ。決して高くない。
 しかしちょっと躊躇いがあるなら、もう少し取っ付き易い『《続・読書余論》池田純久著『陸軍葬儀委員長』昭和28年刊』をお試しで読んでみてはいかがでしょうか。何せ100円。水みたいな価格です。お値段以上の価値があるのは間違いありません。

アルバニアの古い飛行場がNATOの肝煎りで増強工事される。

 Travis Pike 記者による2022-1-19記事「TP-82 Cosmonaut Survival Pistol: Russia’s space gun」。
    1965年にアレクセイ・レノフが「ヴォスホート2」のミッションから地上に戻ったとき、コースが大きく逸れてシベリアに着陸。待機していた回収チームとは数百マイル離れていたので、かなりの時間、狼、熊、虎に喰われる危険に直面した。

 この事件のあと、マカロフが、宇宙飛行士のサバイバル銃器を設計することになった。

 このサバイバル火器は、ソウドオフショットガンとソウドオフ単発ライフルの合成物で、ロシアのゲージである「12.5×70ミリ」(西側基準なら40番に相当)の水平二連散弾バレルと、その下に、AK-74のライフル弾を発射できるバレルがセットになった、3銃身銃だった。
 散弾は発射せず、特製のスラッグ弾である。

 ライフル銃身がついている理由は、スラッグ弾はあくまで至近距離自衛用なので、もう少し遠い所を射撃したい場合に、そっちを使う。

 銃身長は11.8インチ。着脱式のバットストックをピストルグリップ後端に取り付けぬ状態では、全長が14.2インチに収まっている。

 バットストックは末広がりで、それ単独でふりおろすとブッシュナイフとなる二重機能。

 装填は、銃身を中折れさせることによる。排莢は自動ではなく手動。
 宇宙で身体が弱っている飛行士が、寒い土地で、複雑な銃器は扱えない。この単純さが、頼りになったようである。

 しかしこの銃器、さすがに今日ではISSまで持ち込まれることはないようである。

 次。
 Tucker Chase and Matthew Hanes 記者による2022-1-19記事「There’s a Race for Arctic-Capable Drones Going On, and the United States is Losing」。
   ロシアの新兵器開発局は2019において、北極圏上空を連続4日間飛翔させつづけるUAVを作った。
 これは衛星航法には依存せず、「GIRSAM」という〔陸上アンテナ網の?〕ナビシステムを使うという。

 MQ-9A リーパー をはじめとする米国の無人機は、この真似はできない。北緯78度以北になると、GPS電波を満足に得られないからだ。

 北極圏は広いので、船や車両で移動していたのではどうにもならず、露軍に対抗することもできない。北極圏では空中輸送と空中偵察が、勝利の鍵となるのだ。

 次。
 ストラテジーペイジの2022-1-20記事。
   フィリピン海軍は韓国に3200トンのコルヴェット×2隻を発注。単価は2億2700万ドル。引渡しは2026年予定。全長116m。

 韓国製の艦対艦ミサイルはレンジ160km。
 韓国製の対潜短魚雷は径320ミリでレンジ19km。
 艦隊空ミサイルのミストラルは、レンジ6kmである。

 韓国からは2019年に1隻の中古のコルヴェットが比島に寄贈されている。1200トンのポハン級。もう1隻の寄贈予定もある。

 米国は退役した3200トンのハミルトン級のコーストガード船を3隻、フィリピンに寄贈している。
 76ミリ砲は装備したままで。


兵頭二十八 note

侵略に直面している国に、使い捨ての対戦車兵器を機動的に大量にプレゼントしてやる。そういう英国のような国に、日本はなれないのか? 緊急国防援助用の兵器ストックが、あるべきだろ?

 Jason Plautz 記者による2022-1-19記事「Las Vegas unveils digital twin of downtown」。
   ラスベガスの旧中心部のことを「ダウンタウン」と言う(今のカジノ中心街はすぐ隣の「ザ・ストリップ」である)。

 市では、再開発のシミュレーションを高速化するため、7平方kmほどの「ダウンタウン」を仮想空間化した「デジタルツイン」を構築して、電力使用量や交通渋滞、騒音などの予測に駆使し始めている。

 これにはシカゴにある「シティゼニス」というデジタルツイン構築会社などが協力。

 基礎にするデータは、リアルの街路上でセンサーとなる「物のインターネット」を総動員。5G環境を通じて収集する。

 都市のデジタルツインを構築して、気温変化の影響や開発インパクトの予測に役立てている市役所としては、ボストン市、LA市、テキサス州のガルヴェストン市、などがある。

 今後はとくに、二酸化炭素エミッションのシミュレートのためにこのデジタルツインを役立てようとする大都市が増えるはずである。シティゼニス社の宣伝文句が「クリーン・シティズ、クリーン・フューチャー」だ。

 ※この記事を読んでいて、いやおうなく勘付くのは、もう誰かが、仮想空間で「ラスベガスの各種賭場もどき」を構築し、そこに「客のアバター」を呼びあつめて賭場を開帳し、胴元となって荒稼ぎを始めるという未来図だ。ついでにベガスの各種のイベント・ショーも仮想空間でVR体験式に有料で提供したら、リアルのホテル並に「インバウンド収益」を稼ぐことも夢じゃなかろう。日本の落ち目の自治体は、アジアやくざのマネロンの場提供にしかならないリアルカジノではなくて、デジタル空間カジノの設計コンペを開催した方が気が利いていると思う。「都市税」感覚で「デジタル寺銭」を自治体歳入に繰り入れればいいのだ。そうすればリアル住民は地方税が安くなるので、ますますそこにリアルの住民が集まって来る。なお、聖人キャラクターのザッカーバーグ氏が「メタバース」で世界のデジタルカジノを支配する気になるとは思えない。が、誰かがそれに等しいことをやるはずである。これは、戦後の米国マフィアに「麻薬密売を始めない」という選択がありえなかったのと同じで、最初に大儲けをする胴元が知れ渡ったら、他の自治体または企業も、そこに参入しないわけにはいかなくなるのではないかと私は思う。

 次。
 Tim McMillan 記者による2022-1-17記事「Authorities Confirm Sightings of Mysterious Drones Over Swedish Nuclear Facilities」。
   ストックホルムの北70マイルの東海岸にある「フォルスマルク原発」に1月14日の夜8時、謎のUAVが飛来して、地元の警察署を緊張させた。

 警察がヘリでおいかけようとしたら、UAVは東方へ消え去ったという。
 UAVが何かを投下したという目撃報告はない。

 このUAV飛来は、個人のイタズラではありえない。
 というのも、ほぼ同じ時刻に、「オスカルシャムン原発」や「バルセベック原発」などスウェーデン各地の原発に、UAVが飛来しているからだ。「リンガルス原発」などはスウェーデンの西海岸である。

 またキチガイプーチンが「開戦したら原発を攻撃してやるぞ」と脅しているとも考えられる。

 時速43マイルの強風にも平気な、大型のUAVであることは間違いない。しかし機種特定ができていない。

 ※証拠をおさえないとどうにもならない。日本警察は準備は大丈夫か?

 次。
 indomilitary の2022-1-19記事「This is the Profile of the 2B Orbiter, the Mainstay of the Indonesian Air Force Corps Paskhas Reconnaissance Drone」。
  インドネシア空軍は、ナゴルノカラバフで自爆機として活躍しているイスラエル製の「オービター1K」、偵察専用機である「オービター2B」のユーザーである。

 ※前の記事で「FN」というのは拳銃でした。オートマチックの。あと、原文で「クォッドコプター」と書いてあっても、写真を見るとローター軸が5軸以上もあるように見えることがある。面倒なのですべて「マルチコプター」と書くのがいいかと思った。


偕行社(かいこうしゃ)とは戦前の陸軍将校の会員クラブで、『偕行社記事』はその機関誌。そのすべての号に目を通し、私の趣味に基づいて作成した摘録を、《note》 https://note.com/187326mg/  にて販売中であります。

 ストラテジーペイジの2022-1-19記事。
   プーチンはウクライナとNATOをあくまで切り離したくて戦争の脅しを仕掛けていたが、NATO側がその要求をキッパリ拒否して八方塞がりなので、個人権力喪失の崖っ淵にある。

 ロシアの経済がすでに最悪なので、プーチンは外交で得点を稼ぐしかなかったのであるが、それは失敗した。

 クレムリンは、米国のバイデン大統領は「弱い大統領」だと見ている。
 ところが、こうした弱い新顔リーダーというものは、「リアリズム外交」=ロシア人を絶対に信用しないで戦備に万全を期すスタンス――を信奉する側近の意見に、従ってしまうというパターンがある。

 つまり、「弱い」西側大国政府に対しては、ロシア発の脅しや懐柔は却って通用しないのだ。

 おなじことは、メルケルから政権を引き継いだ新ドイツ指導部にも言える。彼らはメルケルが決めた「原発全廃政策」を、見直すべきではないかと、現実的に考えるグループだ。そしてメルケルほどにロシアに対して宥和的ではない。ノルドストリーム2をいつでも止めるぞとロシアに警告を発しているのだ。ドイツ国内のガス価格が高くなっても、他の供給源を探す作業を、すでに開始している。

 次。
 James A. Paul 記者による2002-10記事「Great Power Conflict over Iraqi Oil: The World War I Era」。
   列強が、石油資源が大国の命綱だと実感したのは、第一次大戦中のことである。特に1917年と18年には、軍隊が使う石油が逼迫したので。

 この戦争中に軍艦は石炭焚きから重油焚きに切り替わり、ガソリンエンジンで動く航空機とトラックが大量生産されるようになった。

 また、石油産業を支配すれば、大もうけは確実だということもわかった。スタンダードオイル社を創業したロックフェラー氏は、世界一の金持ちだった。

 とうじ、英帝国は、イラン国内の油田を、「アングロ・ペルシアン」石油社に開発させて、支配させていた。
 英国指導者層は、この油田だけでは将来の戦争を考えたときこころもとないので、新油田を別な土地でも探すべきだと信じた。

 オスマントルコ帝国領のなかで、「メソポタミア」と呼ばれた地域が、WWIの前から、有望だった。それが、いまの「イラク」なのである。
 ※アラビア半島の巨大油田は第二次大戦後に開発されている。この当時は未発見。

 WWI前、英国とドイツは合同でメソポタミア油田を開発しようとしていたのだが、トルコがドイツ側に立って参戦したので、この一帯の油田をイギリスが攻め獲ってもよいことになった。また、そうしないとドイツ軍が使う石油を遮断できないことになる。

 英国戦時内閣の一員、モーリス・ハンキーが、大計画を立てた。彼はバルフォア外相に働きかけて、メソポタミア油田をドイツから切り離して英国が支配することぐらい、英国の将来の安全保障にとって重要になる「一手」はないですよ、という理屈を納得させた。

 かくして、バグダッドに迫っていた英陸軍の遠征隊に、一層大きな国家的な期待がかけられることになった。
 じきに英国がホゾを噛んだことは、1916年の「サイクス・ピコ」秘密協定により、大油田が眠っていたイラク北部を、対独同盟国のフランスに任せるという約束をしてしまったこと。1916時点でトルコはもうガタガタになっており、イギリスは、単独ででも全ユーフラテスを支配できたのだ。

 そこでバルフォアは1918に強いイニシアチブを発揮した。この未開発の埋蔵油田を誰にも渡してはならぬ、と。
 かくして、WWIの休戦の署名がなされた数日後に、英軍はモスル市に殺到し、イラク北部(北部メソポタミア)を単独占領してしまった。軍事的な「既成事実」をつくってしまおうというのだ。

 フランス政府がこれに激怒したことはいうまでもない。
 フランス本国内に石油は産出せぬゆえ、フランスの戦後の経済復興と軍隊の機能のために、メソポタミア油田が大きな救いになると、彼らは皮算用していたのだ。

 だからベルサイユ媾和会議の場で、英代表のロイドジョージと、フランス代表のクレマンソーの間には、喧嘩一歩手前の憎悪の火花が散った。

 そこでおそらくは米国のウィルソンが仲裁に乗り出し、1920年に「サンレモ秘密協定」が英仏間に結ばれた。メソポタミア全域は英帝国が支配する。代わりに、かつてドイツが持っていたトルコ石油会社の株式はすべてフランスが取る。

 バクー油田を除けば、英米2国で世界の全油田が支配されている構図ができた。

 このままでは、自国の石油安全保障は危ういままで、世界の三流国に転落するという危機意識をつのらせたフランス政府は1924年に「フランス石油会社」を創立させ、メソポタミアの石油産業に食い込ませようとした。

 米国はメソポタミア油田に関しては、英国にもフランスにも反発を感じた。それは旧外交だと映った。

 1920年当時、国務省の若い法律顧問であったアレン・ダレスは、メモランダムを作成。オスマン帝国の解体にともなって英仏がトルコ石油会社に強いた譲歩合意は、今日、無効であり、合衆国はそれを承認しないと強調した。

 こうした米政府による脅しが効いて、米国最大の石油掘削会社(のちのエクソン)が、英国とコンソーシアムを結成して、イラク北部油田の開発に参入できることになった。

 1927年10月、英国の探査チームが、北部イラクのキルクークで、大噴出油井をブチ当てた。地下にはまちがいなく、大油田が存在する。

 1928年7月、英米仏は中東石油に関する基本合意に到達した。英国資本が中東油田の半分を支配する。米国とフランスは、だいたい四分の一ずつを支配する。

 トルコは、ドイツの仲間になったばかりに、オスマン帝国がもっていた莫大な油田のすべてを永久に喪失させられた。だから今日まで、なんとかそれを回収できないかどうか、執念を絶やすことなく、イラク北部情勢にも積極介入を続けているのは、尤も至極な話なのである。

 次。
 Thomas Newdick 記者による2022-1-18記事「Russian 747 Cargo Plane Made A Highly Peculiar Roundabout Flight Across Finland」。
   ロシアの民間貨物輸送機(ボーイング747-8型機)が1月15日、モスクワからライプニッツまで飛ぶのに、わざわざ北上してフィンランドの空軍司令部の上空を通って、そこから南下するというルートで示威飛行。

 次。
 Joseph Trevithick and Brett Tingley 記者による2022-1-18記事「C-17 Loads Of Anti-Tank Missiles Arrive In Ukraine Courtesy Of The United Kingdom」。
   英国は、同国が生産している歩兵携行型の対戦車ミサイルNLAWをRAFのC-17に積んで、ウクライナ軍に補給した模様。

 NLAWは、ミサイルが敵戦車の頭上を水平飛行で高速通過する刹那に、真下に向けて成形炸薬弾頭を炸裂させ、装甲厚が最も薄くなっている砲塔天板をメタルジェットで貫徹させる。これは冷戦中にスウェーデンが発明した「ビル」という対戦車ミサイルのコンセプトを、最新テクノロジーで洗練したものだ。

 輸送機が着陸した場所はキエフ郊外のボリスピル国際空港だが、ドイツ領空を航過するルートをとらず、あえてドイツ上空を避けて飛行しているので、いろいろな憶測を呼んでいる。

 NLAWは、必要に応じて、弾頭のまっすぐ前方にメタルジェットを飛ばすようにも、モードが切り替えられる(これは往年の「ビル」から大きく進歩した点だろう)。

 今回ひきわたされた数量は非公表であるが、ビデオ映像をみると、数百発はあるだろう。

 米軍の「ジャヴェリン」と違い、NLAWは、ラーンチャーチューブが完全な使い捨てである。1発射ったら、もう再装填はしない。

 次。
 Jonathan Snyder 記者による2022-1-19記事「New York firm wins $20 million Navy contract for compact, next-gen atomic clock」。
     米海軍は、NY州の「フリクェンシーイレクトロニクス」社に対し、次世代の原子時計の開発を発注した。2000万ドルで。
 水銀イオンが使われるという。
 サイズは11×10×9インチと、小さくなるが、精度は既存の原子時計の50倍に高まるという。


★《続・読書余論》戦前版の『偕行社記事』集積・他

兵頭二十八 note

申し遅れましたが《note》 https://note.com/187326mg/  には『ベルツの日記』の摘録もUPされていますよ。

 日露戦争中は、ロシアの次くらいにドイツが憎まれていたことなど、明治時代の新聞世論の生々しい印象を証言してくれている、得がたい記録です。

 次。
 indomilitary の2022-1-18記事「Departing the Chinese Warship Fleet, This is the Possible Position of the Philippines’ Brahmos Missile Deployment」。
   フィリピンは1個発射大隊分の「ブラーモス」を買う。発射トラックは3両。各トラックにミサイルチューブが3本。しめて3億7400万ドル。
 ブラモスは、ロシアのヤホントをインドで製造したもの。自重が3トンあり、射程は500km、弾頭重量は200kg、飛翔速度はマッハ3。

 次。
 indomilitary の2022-1-18記事「Drones Against Drones, Israel Develops Quadcopter Drones with Assault Rifles」。
   イスラエルのAI照準器メーカーである「スマートシューター」社は、敵のドローンを機動的に駆逐できる、武装型クォッドコプターを試作した。
 機体に、30発箱形弾倉付きのアサルトライフルを水平に取り付けて、フルオートで空中発射することによって、敵ドローンを破壊する。

 この商品は「スマッシュドラゴン」と名づけられている。

 夜間でも作戦可。メーカーが得意とする弾道計算機が内臓されており、遠くから光学照準で射撃して命中させることができる。

 ちなみに類似兵器としては、すでにロシアの「Novel CUAS」という製品がある。こちらはウイングスパン3m、全重23kgの固定翼機だが、2つのローターで垂直離着陸ができる。胴体に「Vepr-12」というセミオートマチックライフル(弾薬は18.5×70ミリ)を取り付けてある。さすがに重いため40分しか滞空できない。
 2016年に学生が設計したものに基づいているという。

 インドネシアの兵器研究所も「TOPX4-B132」という、FN自動小銃をクォッドコプターに取り付けた無人対地攻撃機を試作済みである。

 次。
 Kimberly Johnson 記者による2022-1-18記事「Bird Strike Blamed For F-35 Belly Landing In South Korea」。
   韓国空軍のF-35が胴体着陸しなければならなくなったのは、左エンジンに鳥を吸い込んだためだという。

 ※そう説明されて、納得する者がいるか?

 次。
 Juliusz Sabak 記者による2022-1-18記事「PZL Mielec To Deliver 32 Black Hawks to the Philippines, Starting Next Year」。
   ポーランドのPZLミエレク社は「S-70」というブラックホークの民間版を製造しているが、このたびフィリピンから32機を6億3000万ドルで受注。モノは2023年から引き渡される。

 台風被害対策として、フィリピンにはますます多くの優秀なヘリコプターが必要になっている。


★《続・読書余論》菅沼竜太郎訳『ベルツの日記』昭和26年~30年刊・他

兵頭二十八 note

《note》 https://note.com/187326mg/  の最新Upは、防研史料の集積です。

 すべて《旧・読書余論》からの抽出です。一回で収まりきらず、すみません。『水交社記事』の摘録集積の附録で、完結する予定です。
 《造兵三部作》と『日本海軍の爆弾』の源情報は、これらの中に概略網羅されているだろうと思います。

 次。
 UPIの2022-1-18記事「Indonesia to move capital from Jakarta to jungle area to be called Nusantara」。
   ジャカルタのインドネシア国会が、首都移転工事の予算を承認した。
 カリマンタン島へ移す。新首都の名の「ヌサンタラ」は「群島・多島」を意味する。

 今の大統領は3年前からこれを計画していた。ジャカルタは人が多すぎ、地盤も沈下している。

 ジャワ島じたいが過密である。それに対してボルネオ東部はいまのところ、ジャングルしかない。

 ※ボルネオの交通開発に中共が資金を出しましょうと工作するかどうかに注目。

 次。
 Raphaelle LOGEROT 記者による2021-12-19記事「End of an era nears for Berlin’s coal stoves」。
    ベルリンでは今でも5000~6000世帯で「石炭ストーブ」が使われている。旧東地区に多い。セラミック製のこともある。

 これを、石油またはウッドペレットに更新させようというドイツ政府の努力が続いている。

 ※ロシアがウクライナと開戦して、ドイツがノルドストリームを拒否すれば、天然ガスは来なくなるわけだが、東ベルリン市民は、石炭を燃やせば冬は凌げるわけだ。とりあえず木質ペレット用のセラミックストーブを据えておけば、いざというときには、また石炭をくべるだけでいいので、安心。たぶん、住民はそこまで考えていて、ストーブをぜったいにガス式には変えないのだろう。ベルリン封鎖時には西ベルリンでも燃料で苦労した。その記憶も残っているはず。

 次。
 J.P. Lawrence 記者による2022-1-18記事「Sorry state of Afghan air force known to US well in advance of Taliban rout, declassified report shows」。
    案の定というか、旧アフガニスタン政府軍には、米軍が何年指導してもアフガニスタン人だけで航空機を整備する能力が備わらなかったことが、火曜日の文書公開であきらかになった。

 バイデン大統領は、米国人の契約出張社員がいなくなれば、アフガン空軍は直ちに機能停止すると、2021-8より何ヵ月も前からガニ政権から警告されて知っていた。

 事情を知っていたアフガン有力者いわく。それら航空機はCASのために安易に使われすぎており、メンテナンスが追いついておらず、しかも、弾薬もなくなってた。

 能力構築担当の米空軍は、作戦指導はしても整備員育成をしていなかった。またアフガン政府の予算で人を育てたり消耗品を調達させる仕組みも皆無だった。

 タリバンが最終攻勢に転じたとき、アフガン空軍には、対地用の誘導爆弾が涸渇していて、1発もなかった。


 次。
 ストラテジーペイジの2022-1-18記事。
    新アフガン政権は、民間航空管制用のレーダー複数を、1億2800万ドルで調達することになった。
 この原資は、領空を通過する外国の民航機から徴集する通行料である。
 2021以前、民航機が1機が1回、同国の上空を通過するたびに、500ドル入ってきた。そのような航過が1日に400フライト以上あった。

 新アフガン政権は、この通行料を1回700ドルに値上げする。おそらく毎月1000万ドルの収入になるであろう。

 欧州からインドに向う飛行機は、アフガン上空を避けていたら余計に燃料代が嵩むので、よろこんでこのくらいの通行料は払うのである。

 新調の航空管制レーダー3基は、3月には運開するであろう。

 次。
 Joseph Trevithick 記者による2022-1-17記事「Drones Suspected In Yemeni Rebels’ Multi-Target Attack On UAE (Updated)」。
   フーシによるUAE石油タンク群への攻撃。2回の爆発が火災を発生させ、その火災によって地上で3台のタンクローリーが炎上爆発した。

 石油基地の場所はアブダビ空港の近く。
 あるツイッターは、フーシのドローンが直接に、タンクローリーを狙ったかのように書いている。

 ドローンとミサイルが混合されて使用された模様。

 次。
 Minnie Chan 記者による2022-1-18記事「North Korea using Russian satellite navigation system instead of GPS for missile launches, observers say」。
   匿名のソースいわく、北鮮は短距離ミサイルの試験に、ロシアのグロナスの電波を使っている。
 Glonassは全地球サービスはできていないが。

 これに対してイランとパキスタンは、ミサイル誘導に「北斗」を使っている。
 中共は、パキスタンに対しては特別に「北斗」の軍用精度バージョンの利用を許可している。


★《続・読書余論》菅沼竜太郎訳『ベルツの日記』昭和26年~30年刊・他

★《続・読書余論》防研史料の摘録集積

★《続・読書余論》戦前版の『偕行社記事』集積・他

★《続・読書余論》『水交社記事』戦前版の摘録集積・他

衛星通信の弱点も「灰」だった。

 NICK PERRY 記者による2022-1-15記事「Military flights sent to assess Tonga damage after volcanic eruption」。
   ニュージーランドはP-3Cのほかに軍の輸送機をトンガへ飛ばして飲料水などを届ける。

 海底の光ケーブル1系統を所有する会社いわく、たぶん爆発で切断された。復旧には数週間かかると。

 この海底ケーブル断線の影響でトンガはインターネットからも電話からも切り離されている。

 ラトガー大学のアラン・ロボック教授いわく。こんかいの噴火で放出された二酸化硫黄ガスによる地球平均気温の低下は摂氏0.01度であろうと。これは衛星写真からの判定だという。
 ※世界凶作にはならん、ということ。

 フィージーからトンガにつながる海底ケーブルの会社は「トンガ・ケーブル」という。その社長いわく、噴火から10分後に切れた。ケーブルは珊瑚礁の上を這わせているので、珊瑚がナイフのように作用して、切れてしまうのだ。

 したがって切断箇所は数箇所である可能性がある。そうなると修理には3週間かかる。1箇所だけなら1週間で済む。作業は、ケーブルを船で水面上まで引っ張り上げて、切れた場所がないか点検して行く。修理は船上でできる。

 しかしその船がすぐに安全に現場には接近できないこともあり得る。

 もう1本の海底ケーブルも切れたように見えると。

 トンガ諸島内の電話網は、生きている。だから島民同士は通話連絡が可能だ。
 しかし外部との衛星電話回線は、つながりにくい。これは、ぶ厚い灰の雲が、衛星と地上局との間の通信の電波信号をブロックしてしまっているため。

 いぜんからトンガとしては、NZとのあいだにもう1本、海底ケーブルをつなげて、こんな場合にも情報孤絶しないようにはからっておきたかったのだが、なにしろトンガ住民はたったの10万5000人で、しかもNZとの距離がメチャ長く、NZとしてそんなケーブル敷設費用は負担できない。もちろんトンガにもその資力は無い。

 じつは3年前、1隻の船が錨をひきずってトンガの海底ケーブルを切ってしまったことがある。このときは衛星通信が普通に使えたので、修理されるまでのあいだ、それで凌ぐことができた。

 米政府機関の見積もりでは、こんどの噴火は、マグニチュード5.8の地震に相当したと。そして、地震ではなく、噴火が津波をひきおこした、レアケースになった。

 次。
 Zach Dorfman 記者による2022-1-14記事「CIA-trained Ukrainian paramilitaries may take central role if Russia invades」。
   2015年からCIAは、米国南部の某所で、ウクライナの特殊部隊や情報局員を、トレーニングしてやっていたという。

 露軍が侵攻してきた場合、パラミリタリーな抵抗力を、これらの人員が、維持させる。
 国土を占領されても、ゲリラ戦が、延々と続くようにしてやるのだ。

 次。
SOFREP の2022-1-16記事「The Executioner As A Profession In Medieval Times」。
   死刑執行人の中には、世間から尊敬されていた者もいた。

 基本的に、中世欧州の処刑人は、もともと犯罪者の中からリクルートされていた。

 ある記録。1470年にスウェーデンのアルボガという町で1人の貧しい泥棒が絞首刑を待っていたところ、見物人たちが同情し、処刑人に就任するなら死刑を免じてやろうと持ちかけ、男はそれを呑んだ。その男の胴体には、泥棒のマークと、処刑人のマークが、ふたつ、焼きごてで刻印された。

 17世紀のスカンジナビアではもっとおそろしい「識別」がつけられた。処刑人は両耳を切り落とされた。群衆の中でも見分けがつくように。またときには、顔中に、死刑執行人の印を焼き鏝で押されたという。

 多くの死刑執行人は、町の中に住むことも許されず、市民権は持てず、教会、酒場など公共施設へは立ち入りが認められなかった。

 処刑人が首から上にフードをかぶることは、じつは、あまりなかったという。死刑囚の仲間からの報復を恐れねばならぬ場合のみ、顔を隠していた。

 執行時には、上半身裸であった。これには威嚇効果と、返り血が衣類につかないメリットがあった。

 執行に先立ち、処刑人は、首台の上に斧を振り下ろす練習をやってみせる。これは、観衆を湧かせるための、おきまりの所作だった。

 悪いことばかりではなかった。処刑人の金銭収入は、なかなかのものであった。

 こんな記録もある。首切りや絞首刑を執行するたび、彼は5シリングを受け取った。また役得として、死刑囚のベルトから下にあるものはすべて、処刑人の所有にしてよかった。

 この5シリングというのは、一般の小商人が25日働いて得られた額に匹敵した。

 17世紀のドイツの処刑人、フランツ・シュミットは、副業として医師でもあった。人体構造に精通しているので、軽い病気の治療に頼りにされたという。

 シュミットは50年間も処刑に従事しつづけたが、担当処刑数は394件。それに対して、治療施術してやった患者の数は1万5000人にのぼるという。死後の地獄行きを避けるため、善行を積みたいという気持ちもあったのかもしれない。
 彼はニュルンベルクの市民権も獲得している。


★《続・読書余論》菅沼竜太郎訳『ベルツの日記』昭和26年~30年刊・他

火山偵察機に求められる仕様とは?

 今次の海底大噴火のような事象が発生したときに、現地の陸上(または海上)を偵察させるべく、遠隔地まで急速にかけつけさせるためには、プラットフォームは「大型飛行艇」であることがのぞましい。

 次に、そのプラットフォームから飛ばす偵察機は、内燃機関エンジンで飛行するものではダメだ。空気中の灰の粒子のせいで、いっぺんでオシャカになるからだ。

 さりとて、高度1万m~5000mくらいを、ロケットエンジンで航過、または「ロケットアシスト離昇+滑空降下帰投」させるのでも、意味をなさない。それだけの灰の粒子層をどんなセンサーも透視ができないからだ。

 同じ理由で、高度2万m以上を飛ぶ高々度偵察機も意味をなさない。

 したがって、たとえばトンガの地上の様子を確かめたくば、内燃エンジンのついていない無人偵察機を、超低速で、地上スレスレの低空に、飛ばせてみるしかない。

 これには「小型飛行船(もしくはバルーン)」+「小型電動プロペラ」のコンセプトが、役に立つだろう。
 それを、飛行艇から発進させる。
 風上から飛ばすのが有利だ。

 回収は、海上に落下させることによる。それも飛行艇によって揚収できる。

 次。
 ストラテジーペイジの2022-1-16記事。
    なぜ中共は、米国「スペースX」社の「スターリンク」というLEO衛星群に腹を立てているのか。
 この衛星による無検閲のインターネットサービスは、中共が提供できる検閲付きのインターネットサービスをすべて無効化してしまい、中共独裁の屋台骨をゆるがせる、一大情報脅威になるためである。

 世界には、他にも、ケプラー、テレサット、リンクシュア、レオサットといった、インターネット中継衛星が多数ある。
 しかしスターリンクはずばぬけている。同社は中継衛星を2000機近く、軌道に投入している。その通信提供価格は、中共企業にも対抗できないほどに安い。

 スターリンクは最終的には1万1000機以上の衛星群になる。
 こうなると有事にASATで1機ずつ撃墜しようとしても、とても不可能だ。

 中共はこれに対抗して「LinkSure」を展開し、衛星中継をタダにしますよ(広告費でまかなうから)、と宣伝しているが、リンクシュアは「検閲」付きである。誰がそんなものを利用したいかという話だ。

 現行、スターリンクの通信速度は、ダウンロードは50メガビット毎秒、アップロードは15メガビット毎秒(+)である。
 この衛星群のおかげで、北極圏のような何の設備のない場所からでも、誰でも、国家の検閲なしで、インターネットに自由にアクセスできる。
 モスクワ、北京、テヘラン、平壌の独裁政権にとっては、目の上の蝿だ。

 ただしStarlinkは無料ではない。毎月99ドル、払う必要がある。また器材として、499ドルのパラボラ(真円ではなく、110ミリ×479ミリの楕円らしい。重さは4kg)と、モデムも必要だ。

 このパラボラを、よほどうまく隠さないと、公安警察にみつかってしまうだろう。

 次。
 AFP の2022-1-14記事「Sweden rolls out tanks on Baltic island over Russia tensions」。
    スウェーデンは、ロシアが常に占領しようと狙っている国境の島、ゴトラントに、戦車部隊を展開した。
 AFVが十数両。兵員もそれに応じた規模。
 島の小さい港であるヴィスビィを中心にパトロールしている。

 近海では露軍の増強が活発化しつつあり。
 3隻の揚陸艦がデンマークのグレートベルト海峡を通過してバルト海に入ってきたのだ。

 次。
 2022-1-14記事「Indonesian Navy receives KRI dr. Wahidin Sudirohusodo and KRI Golok」。
   インドネシアの「PT PAL」造船所が、病院船の『KRI dr. Wahidin Sudirohusodo (991) 』をインドネシア海軍に引き渡した。1月14日に。

 この病院船は7290トンである。
 患者159人の面倒をみることができる。
 最高速力18ノット。巡航速度14ノット。経済速度は12ノットだ。
 航続距離1万海里(約30日)。