ロシアは開戦前は約100機の「カモフ52」攻撃ヘリを擁していたが、今次戦争ですでに32機を失っている。フランスも「有人攻撃ヘリ」は捨てる方向で検討中だ。

 Ashish Dangwal 記者による2023-3-21記事「Ukraine Destroys ‘Big Stock’ Of Russian Kalibr Missiles While Being Transported By Train」。
    20日、ウクライナ軍は、クリミア半島内の鉄道を攻撃し、それによって、複数の「カリブル」巡航ミサイルを、破壊することに成功した。

 これらのミサイルは、黒海艦隊の軍艦に積み込むために列車輸送されていた途中であった。

 爆発があったことが、半島北部の「Dzhankoy」市から報告されている。両軍対峙線からは90マイル。
 ※この駅は、露領からセワストポリ軍港まで物資を搬入する貨車が、ケルチ大橋からであれ、北からであれ、必ず通過しなければならぬ、交通結節点である。

 情況証拠や住民証言から、攻撃にはドローンが使われたらしい。
 SAM多数が発射され、何機かは撃墜された。

 ※このSAM1発の値段がドローンを上回る。ドローン戦争では攻撃する側に圧倒的な利があり、受け太刀になったら損するばかりなのだ。もっとやれ。防禦を考えているヒマがあったら、その資源は攻撃に回せ。それが敵の攻撃力を殺ぎ、ひいては自国の都市を守るのである。

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 ディフェンスエクスプレスの2023-3-21記事「What Kamikaze Drones Were Used to Hit Targets in the Temporarily Occupied Dzhankoi in Crimea」。
    クリミアで20日夜に複数機が墜落した、ウクライナ軍の放った固定翼無人特攻機は、残骸写真の、特徴的なテイルビームおよび垂直尾翼の形から「Mugin-5 RPO」のようだ。

 この無人機は2022夏に、セワストポリの黒海艦隊司令部と、Novoshakhtinskの石油精製工場を攻撃している。

 このUAVは中共製で、通販サイトの「AliExpress」を通じて市場調達できる。宇軍はそれに爆装させているのだ。

 ロシアは、そのプロペラが米国製の「Sail Propeller USA」だというので、無人機も米国製だという宣伝をしている。しかし中共メーカーは、UAVのコンポーネントをすべて自社で製作したりはしない。殊にオフザシェルフの高性能パーツを安く、ふんだんに調達できるのならば。

 なぜ露軍の防空システムは、この無人機を180kmも阻止できなかったのか、その説明はされていない。

 ※撃墜されたというドローンの残骸尾部の写真がSNSに出回っている。それを見るかぎりでは、「ムジン5」だ。発動機+プッシャープロペラ式。主翼より後方が双胴。水平尾翼はストレートな一枚板で左右の垂直尾翼間を連結。垂直尾翼は、屈曲した鏃形。主翼は高翼配置。主翼両端が少し下向きにまるめられていてウイングレット効果を狙っているバージョンもあるようだ。《アリババ・ドローン》の代表である。

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 Paul Mozur, Aaron Krolik and Keith Bradsher 記者による2023-3-21記事「As War in Ukraine Grinds On, China Helps Refill Russian Drone Supplies」。
   ロシアの通関統計は隠していない。2022-2以降、中共からすでに1200万ドル以上の、ドローンならびにドローン部品が、ロシアへ輸出されている。

 トータルでは、70近い数の会社が、26のブランドの、中共製のドローンを、ロシアに売りつつある。DJIは筆頭であるが、他にもゴマンとメーカーがあるのだ。

 DJIについで、対露の戦時納入実績が巨額なのは「Autel」社である。この支那企業は、米国、ドイツ、イタリアに支社を構えている。

 DJI社は、直接の対露輸出はしておらず、相手が迂回輸入をしているだけだと言い張る。特にカメラや電池などの部品を民間市場からかきあつめてとりよせることを阻止する方法はない。メーカーがそれらを民間市場で売るのは合法なのである。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-3-21記事「Gold thin-film on the F-16 cockpit glass hides radiation from radars」。
    ポーランドの軍事専門家氏が、ミグ29とF-16の違いを説明する。
 ミグ29は、遠くから分かりすぎる。双発エンジンは音がうるさく、スモークも目立つ。敵のレーダーにもよく映る。

 F-16のコクピットは、しっかりとステルスになっている。
 窓の内側に、ごく薄い、金のフィルムが貼られているのだ。これが敵のレーダー波から、コクピット内を隠してくれる。ミグ29にはその工夫も無い。

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 「mil.in.ua」の2023-3-21記事「British Challenger 2 tank. Photo from open sources」。
    英国がウクライナに引渡す「チャレンジャー2」から発射する対戦車用のAPFSDS弾には、劣化ウランが使われている。それも、引渡すという。
 英国の国防副大臣が明かした。

 劣化ウランは、濃縮をされていない天然ウラン鉱石よりも、放射能はさらに40%、弱い。

 この、硬くて重い、原発副産物を、対戦車徹甲弾の芯として使っている国は、米、英、仏である。レアメタルであるタングステン合金よりも、ずっと安価なので。

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 The Maritime Executive の2023-3-20記事「Study: Russia Circumvents G7 Oil Price Cap With Help From EU Firms」。
    G7は昨年9月に、ロシア原油を買う場合の上限価格をバレルあたり60ドルと決めているのだが、それよりずっと高い値段(平均76ドル)で原油を買っている連中がいる。EU域内に会社が所在する複数のタンカー手配会社が、極東のコズミノ港から積み出している。

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 Tanmay Kadam 記者による2023-3-21記事「Ukraine War ‘Sucks’ The US Into Vietnam, Afghanistan League; Military Aid To Kyiv Exceeds Yearly Afghan Spendings」。
    ドイツのシンクタンクによる予測。
 米国の対ウクライナ支援は、1965年から1975年のベトナム戦争経費を、年額の比較において、すでに15%上回っていると。

 2001年から2010年までのアフガニスタン戦争に、米国は、GDPの0.25%を注ぎ込んでいた。そして現在、ウクライナ戦争には、GDPの0.21%を割いている。

 ※大事なことはそこじゃない。1兵も戦地に送らずに、武器弾薬だけ支援することで、国際安全の大きな脅威であった露軍をガタガタにしてやっている「効能」は、1945以降の他のすべての対外軍事関与とは、比較にならない。1兵も送らないことで、米国社会には「後遺症」は発生しない。ベトナムでもイラクでもアフガンでも、米国社会は「後遺症」を蒙った。そのダメージの深刻さは、とうてい金銭では測ることはできない。

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 ストラテジーペイジの2023-3-21記事。
   ウクライナの「市街戦」概況。

 広い国のようでも、重要な交通結節点を支配するためには、特定の都市がどうしても争奪対象になる。そこを捨てて他を占領しても意味がないのだ。

 それで両軍とも必死で特定の都市にこだわり続けるのだが、どちらも、砲爆撃能力には余裕がない。特に露軍が、ひとつの都市を砲爆撃でまるごとサラ地に変えてしまうという、シリアの小村が相手ならば得意な戦法を、採りたくても採れない。

 ということは、小火器を携えた歩兵部隊が仕事をするしかないのである。
 そのためにはシミュレーターを使った事前のトレーニングが有効。
 というわけで、市街戦を兵士に教えるための装置をコンテナに詰め込んだシステムが、NATOには用意されている。MOUTという。

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 John Vandiver 記者による2023-3-21記事「US Army stakes out permanent presence in Poland with ‘Camp K’」。
    米陸軍1万名が駐留するポーランド西部の「Kosciuszko」基地が米軍の恒久基地に昇格。
 米国独立戦争に味方したポーランド人の工兵将校の名にちなんでいる。通称「キャンプK」。

 ということは、これから米兵の帯同家族のための基地外住宅が整備されることになる。

 ポズナニ市には、米空軍や米海軍など500人くらいが分駐している。
 またポーランド全土では100箇所以上もの、米軍関係拠点がある。


TOW-2Bを発射するHMMWVがウクライナ戦線で確認された。

 敵戦車の上空数mのところを水平に航過するだけで、真下向きのHEAT弾頭が2つ、炸裂し、T-72の天板に穴を開けてしまう。
 TOW-2Bの在庫は米本土に唸っているので、タマ切れの心配はなさそうだ。

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 Phil Clare 記者による2023-3-20記事「Air mobility and the war in Ukraine」。
   NATOのHAW(重輸送ウイング。ハンガリーに置いてある)は、3機のC-17を運用する。さいきん、ノルウェーから砲弾をウクライナへ空輸している。

 ドイツ空軍は、自国の各所からポーランドまで輸送機を飛ばしている。
 カナダもレオパルト戦車をC-17で欧州まで空輸した。

 NATOは、「アントノフ124」をチャーターすることもある。以前、英軍がアフガニスタンから撤収するときにも、この機体を借りた。

 ロシアがイランから武器弾薬を空輸で取り寄せるときには、「ボーイング747」やイリューシン機が飛んでいる。

 中共は、2022年にセルビアに「FK-3」というSAMを売ったとき、「輸-20」を6機、飛ばしている。
 2022-2-24当日には、RAFは数十ソーティをキーウとリヴィウに飛ばしてNLAWなどを補給している。
 2022-3にはNATOはC-17を30ソーティ飛ばした。

 それ以降は、NATOは毎月、C-17を10~12回飛ばして、宇軍に軍需物資を届けている。
 2023-2からは「A400M」型輸送機も、加わっている。

 RAFがいちばんよく使っている飛行場は、ポーランドの「Rzezsow」だ。
 おそらく同空港は、おびただしい爆発物の荷捌きを安全にできる環境が整っているのだろう。

 RAFのC-17がパキスタン北部のヌルカン空軍基地から、はるばるルーマニアの「Cluj」国際空港まで、122ミリ砲弾×5万発を運んだ12往復のミッション。イラン領空を迂回するために、オマーン→UAE→サウジ→エジプト領シナイ半島→キプロス→トルコ→ブルガリア→ルーマニアという空路を使った。

 RAFのC-17は、ヨルダン製の「RGP 32 ナシシャブ」対戦車ロット砲(弾丸コミだと10kg)を、アンマン空港からチェコ共和国のオストラヴァ空港、さらにポーランドまでも運んでもいる。

 げんざいまでのところ、英軍が運用するC-17輸送機は大活躍である。名実ともに空輸の主役だ。かたや、なぜか新型機の「A400アトラス」は、ほとんど活躍していない。

 C-17があることで、大型輸送機をもっていないあらゆる外国から、ウクライナが必要とする武器弾薬を、機動的に送り届けてやることが可能になっている。

 英国は、まさにC-17によって、ウクライナを救うことができた――と総括しても過褒ではない。

 ※極東には大部隊の米空軍さまがおられるので、日本がC-17を保有&運用する必要はなさそうだが、あれば、それに越したこともない筈。先島群島内の複数の飛行場にも、せめてC-17を受け入れやすくするための設備は、ひととおり整備をしておくべきじゃないか? 「タラップが無い」とか、言い訳になると思うか?

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 ディフェンスエクスプレスの2023-3-20記事「Finally There’s Answer to How Long It Will Take for Ukrainian Pilots to Master F-16」。
   米国に派遣されていたウクライナ空軍のパイロットが好い成績を示した。

 ウクライナ軍参謀総長のHolbtsovは『The Times』に語った。2人のウクライナ空軍のパイロットが、1台のシミュレーターで3週間のF-16教習を受けた。またその2人とは別の2人のパイロットは、実機の教習を受けた〔おそらく後者は操縦適性ではなく、モニター画面上で情況を判断しつつ、AWACSからの指図を承けて、AAMやASMを正しく発射する、シチュエーションアウェアネスとコミュニケーション適性を調べられた〕。

 その結論。彼らは6ヵ月未満でF-16を任せられるようになる。

 ウクライナ軍としては、俺たちは半年の教習でF-16にコンバートできますよ。だからF-16をめぐんでくれ、と主張したい。それを証明したと考えている。

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 G. Allen Brooks 記者による2023-3-9記事「The Demographic Challenge」。
   中共の人口統計で、遂に同国が総人口の逓減モードに入ったことが分かった。

 はやくも19世紀にフランスのオーギュスト・コントが予言している。西欧の出生率が低下することは、西欧が世界を支配できなくなることを結果するのだ、と。

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 Sakshi Tiwari 記者による2023-3-20記事「9 Chinese Workers Killed Right Before Xi Jinping’s Visit To Moscow; Russia’s Wagner Group Blamed For Attacks」。
   3月19日に、中央アフリカ共和国で、匪賊が、中共が出資経営するシンボロ金鉱山を襲撃。9人の支那人を殺した。この匪賊の背後には、反政府勢力に肩入れして金鉱利権を狙うワグネルが存在する。

 その数日前、カメルーン国境近くでは、匪賊が3人のシナ人を誘拐している。その申し開きをするためにトゥアドラ大統領が北京に飛んでいる。

 次。
 Bill Gertz 記者による2023-3-16記事「Chinese military commanders refuse talks with U.S. admiral」。
   米太平洋軍司令官のアキリノ提督が木曜日にシンガポールで語った。
 中共の2名の地域軍司令官が、ペンタゴンのインドパシフィックコマンドの司令官との電話相談を拒否したと。

 中共の新外相は先週、中共と合衆国との戦争はこのままでは不可避であると語っている。

 そこでオースティン長官と地域軍司令官がそれぞれ中共のカウンターパートに電話しなければならんと考えたのだが、中共の地域軍司令官×2は話を拒否した。

 オースティンは11月に中共の大将(国防大臣)に面談していて、そのさい、アキリノと支那軍の地域コマンド(南方と東方)の2名の司令官が面談すべきことについて合意をしているのである。

 ※気球問題で熊プーから叱られたものだから、いまだに軍部は不貞腐れているのか。

 次。
 ストラテジーペイジの2023-3-20記事。
   新型正規空母の『フォード』。22年末にようやく、耐水中衝撃波試験をクリアした。

 しかし2ヵ月間の公試運転のあいだにまた問題も見つかってしまった。
 電磁カタパルトと、電磁アレスター・ギアーは、いまだに完全ではない。

 それとは別にJBDに違反があることがわかった。
 ジェット・ブラスト・ディフレクター。
 飛行甲板上の固定翼機のエンジン噴射を、斜め上へ反射させて、後方の甲板員を安全にする起倒式の板で、『フォード』には4箇所ある。

 そこに、指定された軍用規格よりも低品質の、民間船舶用の部材が使われていたことが発見された。米国の軍艦造船所は、こうした、ちょろまかし背信行為を、いつまでたっても根絶することができない。

 弾薬用エレベーターの部品についても、同様のちょろまかしがあった。

 弾薬用エレベーターは7基あり、たいへん高速の仕様となっている。これらは、爆発の衝撃を受けても機能し続けなくては困る。そのテストの結果、不具合が分かり、5基は修正したが、2基がまだ残っている。

 旧『ニミッツ』級の弾薬エレベーターは、容量2.3トンで、毎分30m上がる。『フォード』の弾薬エレベーターは、10.9トンを載せて、毎分45mも上がる。

 このエレベーターの違いによって、空母が24時間内に発動できる戦闘ソーティは、3割も増えるのである。

 ※もうみんな、気付いている。《拡大しらね》型の、デカいが安いアーセナル軍艦の、水線下の弾庫からちょくせつ、大型の片道無人機をロケットで放出し、そいつが敵地の寸前でスタンドオフ兵器をバラ撒くようにした方が、トータルのコスパは好い筈だ――と。そこらの造船所で毎年1ダースでも建造でき、定期改修も、至極かんたんに済む。人件費はおそらく数十分の一となり、なにより、《空母の被弾沈没》という最悪事態を心配しなくてよくなるのである。それと、C-130の後部ランプドアから特殊パレットで巡航ミサイルをこれでもかと投下する《空中アーセナルシップ》の組み合わせで、対支戦争はもうOKだ。正規空母が何隻揃ったところで、それ以上の攻撃を、支那本土の奥地に対して、加えられるものではないだろう。


隠していた映像の公開。露軍機は黒海上空でTB2にも同じことをやっていた。ただし失敗。

 露軍戦闘機が、ジェット後流のタービュランスに巻き込んでTB2を墜落させんと図るも、TB2はストールには陥らず、じきに水平飛行に復帰している。

 さすがである。機首下げ失速に入りそうになると、大きな水平尾翼がしっかりと役に立つ。昇降舵は失速しないのだ。

 もちろんプッシャープロペラに後方から何かをぶつけることもできない。尾翼と双胴で囲まれているからだ。


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 「mil.in.ua」の2023-3-19記事「European companies lack components to manufacture ammunition」。
  『フィナンシャルタイムズ』によれば、欧州内で砲弾を大増産できない理由は、爆薬の原料が足りないからだという。ケミカルの問題なのだ。

 無煙火薬(ニトロセルロース)も足りない。プラスチック爆薬も足りない。TNTも足りない。

 チェコの「エクスプロジア」社は、欧州でも最大規模の弾薬工場をもっているのだが、今以上の増産は2026年以降にならないと不可能だという。

 工場の設備投資が稼動にいたるまでには、3年かかるんですよ。3ヵ月ではなくね。

 スペインのグラナダにある「ファブリカ・ムニキオネス」社(親会社はスロバキアのMSM)は、155ミリ砲弾を量産しているのだが、もはや欧州内からは原料(特にTNTとニトロセルロース)が調達ができなくなっているため、インドや韓国からの輸入を模索中だという。

 ちなみに今次戦争によって、155ミリ砲弾は20%値上がりしたという。すなわち今は1発が850ユーロする。

 ※台湾語では、ロイタリングミュニションのことは「滞空攻撃彈薬」と書く。スイッチブレードのことは、何故か「彈簧刀」と訳すようだ。簧は、リード楽器もしくはリード(舌)のこと。

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 Carlotta Gall 記者による2023-3-19記事「Inch by Bloody Inch in Ukraine War, Russia Is Closing In on Bakhmut」。
    最前線で記者も目撃した。露軍指揮官は、小火器を持たない兵隊を、最前線での塹壕掘りや、その塹壕への弾薬運びに使っている。

 そして確認した。人数の優位によって露軍は、1インチずつ、確かに前進していると。
 塹壕線を、すこしづつ前へ押し出して行く。この方法なら堅確だ。

 市街戦でも、1ブロックずつ、確保を拡げて来る。

 露軍は、動員した素人の人的資源を、分業させることで、特化させつつある。

 塹壕掘り役は、穴掘りだけをひたすらやらされる。弾薬運びは、タマ運びだけをひたすらやらされる。そして少人数の火器の発射役が、射撃に専念している。これなら弾の無駄にもならず、人の無駄にもならない。

 射撃は、射撃の上手い奴だけにさせればいいのだ。残りの兵隊は、その支援役に回れ。補佐に撤せよ。
 見事である。

 小交戦で、身軽な歩兵がわずかに前進する。するとすかさず、穴掘り兵がそのすぐ後ろに続行して、タコツボを開鑿する。そこへタマ運び役が弾薬を隠し入れる。もし宇軍から逆襲されたら、戦闘員は安全なタコツボの中から、小銃弾や擲弾をふんだんに発射し続けられるわけだ。1人ではとても携行などできない重さの弾薬を、プロ歩兵が必要なときには即座に消費できる。巧妙だ。

 そのタコツボはじきに塹壕線に拡張され、家財道具も推進搬入されてきて、露営可能な「半地下の家」になる。このパターンを繰り返すのだ。

 これが、人数の多さを戦力に転換する方法である。

 塹壕さえあるなら、夜も怖くない。露軍は夕暮れに、「偽退却」をすることがある。それを見た宇軍が、夜更けに前進してみると、しっかりと塹壕内には露兵が潜んでいて、激しい銃撃を食らってしまう。

 市街戦では砲兵がモノを言っている。露軍砲兵が、建物を1棟ずつ、崩壊させて行く。その前進が、止まらない。

 宇軍の期待。露軍の下級兵のモラールは、戦死傷者数に比例して下がり続けている。4月にこっちが攻勢に転じたときには、それが意味をもつだろう、と。


ポーランド国防相いわく。今年受領するHIMARSは、カリニングラード国境に展開する、と。

 これは面白い。反対側のリトアニア国境に、レンジ40kmの十五榴を並べれば、カリニングラードの全領域が、NATOの誘導砲弾で火制されてしまう。
 終ったな、ロシア。

 次。
 Kate Tringham 記者による2023-3-17記事「UK Royal Navy selects Animal Dynamics’ parafoil UAV for next phase of Heavy Lift Challenge」。
    英国オクスフォードに本社がある「アニマル・ダイナミクス社」の新案無人機「ストークSTM」。エンジン付きのパラフォイル(パラグライダー)だが、これが英海軍の第一次試験をパス。けっこうな重さの荷物を運搬させる「補給輸送機」として使うという。

 2022年後半に実機をデモ飛行させて、英海軍の設けた基準をクリアした。
 すなわち、135kgの荷物を、400km運搬できた。リモコンは目視限界を超えた距離で。

 第二次試験は3月27日からを予定。

 「ストークSTM」には、ソノブイ撒きの仕事も、将来、期待されている。
 衛星通信の送受機も、搭載するであろう。

 次。
 「mil.in.ua」の2023-3-17記事「RQ-4 Global Hawk. Photo from open sources」。
    米軍は黒海に「RQ-4 グローバルホーク」を送り込んだ。

 これは「フライトレーダー24」というサイトが、コールサインの追跡からつきとめた。
 イタリア領シゴネラの米海軍航空隊基地から離陸した機体。

 次。
 EurAsian Times の2023-3-18記事「15 Years In Prison For Fake News! Putin Signs New Law On Russia’s Special Military Operations In Ukraine」。
   プー之介が新法に署名した。ウクライナ戦争について気に喰わぬ情報を流した者は懲役15年に処す。

 それまでの法令は、在外露軍は弱いと批評した者を懲役5年に処すことにしていた。

 改正法では、動員令に文句を言う者は懲役7年。

 またプーチンは科料の改訂にも署名した。軍隊に補給すべき弾薬がうまく製造されていないという意見をインターネットに書き込んだ庶民は、罰金「1万ルーブル」。徴兵・募兵のやり方について公然と反対を表明した者も、同様とする。そして法曹関係者が法を破ったら罰金「100まんルーブル」。

 ※だったらFSBは早くプー之介を逮捕しないとな。

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 Defense Express の2023-3-18記事「Ukrainians Use Ground Kamikaze Robots to Attack russians (Video)」。
   ウクライナの第三突撃旅団は、《4輪駆動のゴリアテ》を作成して、露軍陣地に突入させた。今から数日前らしい。
 陸上版の自爆自走ロボットだ。

 この自爆リモコンカーには、「MON-90」という指向性対人地雷を正面にとりつけ、背中には12kgのTNT梱包爆薬も背負わせてある。

 操縦は無線によってFPVを見ながら行なう。

 WWII中の1943年にドイツ軍が使用した、装軌式・有線操縦の「Sd.Kfz. 302/303 ゴリアテ」は、自重が365kg/430kgで、60~100kgもの爆薬を内臓していた。これの軽量版と言えようか。

 露軍も「マーカー」という名で、現代版のゴリアテを開発中である。しかし後発のウクライナが先に実物を完成させて戦場に持ち込んだわけだ。

 ゴリアテより前に、膠着した塹壕戦に適用するための無人自爆車は考えられていた。1915年にフランス軍が「陸上魚雷(Torpille Terrestre)の名で複数のタイプを試製。全重は200kgだった。しかし量産には至っていない。

 ※これから4×4以外の、あらゆる駆動方式が試されることと思う。2輪の無人爆装モトクロッサー。3×2ATVのリモコン版。「モノトラック(単装軌)」。球状(ボール戦車)。巨大1輪タイプ(花火駆動も含む)。犬ロボット型。人間のゾンビ型……。

 次。
 Max Hauptman 記者による2023-3-16記事「Everything you need to know about Army Mountain Warfare School」。
   米陸軍の山岳戦学校を紹介しよう。入り口のプラカードには「平地の神は、山の神とは異なる」という独立戦争中のイーサン・アレン少将の言葉が刻まれている。

 ※valleysは「谷」ではなくて「平野」のこと。山地戦は、野戦のようにはいかないぞという意味。

 学校は、イーサン・アレンゆかりの、ヴァーモント州にある。
 学生は毎年1000人、育成される。外国軍の現役兵も受け入れている。

 ただ山に登る技術ではなく、南極のような極地で生存する技倆もここで教える。
 ちなみにアラスカ州には極寒地での行動を教える「北方戦訓練センター」がある。
 また海兵隊も加州に山地戦訓練センターをもっているが、規模は100人未満である。

 WWII中、米軍内には「第10山岳師団」があったのだが(原隊所在地はコロラド州)、それは1945に解散。
 いらいしばらく、山岳登攀は特殊作戦部隊内で教えられていた。
 しかし1983にヴァーモントの陸軍州兵が、山岳戦専門の軍学校を創った。

 げんざい、この学校内には5つのコースがある。だいたい年中、やっている。

 2週間の基礎コース。1クラスは64人。

 夏2週間+冬2週間の上級コース。

 難地形救助員コース。(これはアフガン山中から負傷兵を搬出する必要から設けられた。)

 山地行動計画立案コース。高度や天候に応じて、一般部隊のための装備・補給まですべて考えてやらねばならない。ラペリングも学ぶ。

 山地狙撃兵コース。スナイパーが単独で高山を行動するためのもの。

 学校では、地形の斜度を5段階に区分する。
 1はフラット。
 2は急坂。
 3はロープが欲しくなる急斜面。
 4はロープなしだと危ない錯雑急斜面。
 5は垂直懸崖。

 学生はどのくらい歩かされるか? だいたいブーツが壊れる。50ポンドを背負い、6マイルを歩くことあり。
 1クラスから大概、5人~10人が脱落、もしくは原隊復帰を命ぜられる。

 ※さいきん、BS各局の「やまのぼり」番組もマンネリ化しているんじゃないか? それを打破したかったら、誰かをこの学校へ送り込んで凸入取材させると、良い絵が撮れるだろう。


比島のクラーク基地に、2機のF-22が進出。

 Ashish Dangwal 記者による2023-3-17記事「‘Chinese PLA’ Attacked Australian Airliner With VHF Waves, Jammed GPS Over South China Sea, W. Pacific」。
    豪州のカンタス航空はパイロットに警報した。
 南シナ海で中共軍が、民航機に対して意図的にVHFの妨害電波を浴びせてくるぞと。GPSも狂わされるぞと。

 豪州北岸に近いところをうろついている支那軍の艦艇からも、この妨害電波は発せられている。

 次。
 Pavel Luzin 記者による2023-3-15記事「Satellites of stagnation」。
  2010年代の後半以降、ロシアが宇宙の軍事開発にどのようにカネを使ってきたか、調べた。
 総額では1000億ルーブル=16億ドル を投じている。

 そのうち300億ルーブルは、GLONASSに使っている。
 60億~100億ルーブルは、プレセツク打ち上げ基地に使っている。
 600億ルーブル以上を、他の宇宙軍事開発に使っている。

 今日、グロナス衛星は25機。他にロシアは、47機の軍事通信衛星、6機のECSミサイル早期警戒衛星、7機のリアナ海洋電波偵察衛星、3機の「バルス-M」重力計測衛星、2機のレーダー衛星、2機の光学偵察衛星、等を回している。

 同時に、2021~2022に、新世代の光学偵察衛星の打ち上げに3回、失敗している。

 ECSは10機揃わないと完成しないが、計画はうまくゆかず、2022年中にそれを完成させることができなかった。

 グロナス25機のうち14機はおんぼろで更新が必要。2030年までに15機の最新型「グロナスK」を投入して更新するとしているが、その頃にはさらに要リタイア機が増えているから、いつまでたってもシステム全体を新陳代謝できない。

 次。
 Erin Banco and Sarah Anne Aarup 記者による2023-3-16記事「China ships assault weapons and body armor to Russia」。
   POLITICOは、2022-6月~12月の通関記録を調べてつきとめた。中共は、トルコ経由、およびUAE経由の「抜け荷」ルートを使って、ロシアに対して、火器や防弾装具を売っている。

 すでに自動小銃を1000梃供給した。「CQ-A」という、見た目「M16」で、フィリピンやパラグアイにも売った安物銃だが……。

 DJIは、ドローン用のカメラとバッテリーなどを、UAE経由でロシアに納品している。

 12トンを越える量のボディアーマーも、トルコ経由でロシアは受取っている(2022-11月~12月)。

 通関記録をまとめてくれているサイトとしては、「ImportGenius」が役に立つ。

 中共のメーカーは「デュアルユースだ」と強弁することでアメリカの制裁を回避できると思っている節がある。

 ロシアは2022-12に、80トンのボディアーマー(1000万ドル相当)を輸入することに成功している。
 メーカーはトルコの「Ariteks」。
 またロシアは、中共の「Xinxing」社製の防弾着も輸入している。

 次。
 Sanya Mansoor 記者による2023-3-16記事「Why the West Is Getting Nervous About Ammunition Shortages for Ukraine」。
    ポリティコによると、EU諸国はすでにウクライナに、35万発の155ミリ砲弾を供給した。

 しかしNATO事務長のストルテンベルグは警告する。宇軍の砲弾消費ペースは、われわれの製造ペースの数倍にもなっていると。

 EUの対外政策部長のジョセプ・ボレルいわく。露軍は毎日5万発の砲弾を発射している。対する宇軍は6000発から7000発である、と。このギャップはなくさなくてはならない。

 エストニアは呼びかける。EUとNATOは、100万発の砲弾をウクライナに与えるべきだと。

 もと海兵隊のシンクタンク員は言う。陸軍は、もし砲弾が足りなくなったら、低価値目標に対しては砲撃をしないで、高価値目標だけを選んで砲撃するようになる。

 また別なシンクタンク員いわく。WWI中には、各国軍は、局地攻勢の前に数ヵ月をかけて軽便鉄道を前線まで伸ばし、膨大な砲弾をストックする必要があった、と。

 次。
 Thomas Gibbons-Neff, Lara Jakes and Eric Schmitt 記者による2023-3-16記事「Ukraine Burns Through Ammunition in Bakhmut, Putting Future Fights at Risk」。
    バフムト市の防御に任じているT-80の車長いわく。射つタマがほとんど無くなっている、と。

 ※ここでも戦車を野砲代わりに使っているわけである。

 バフムトを防衛中のウクライナ軍の旅団長がフェイスブックに書き込んだ。破滅的に砲弾が足らなくなった。こっちに向かってくる敵のT-90の足を止めることができたが、それにとどめを刺すための砲撃は禁止された。砲弾を節約するためだ。

 ※これは155ミリ榴弾砲だろう。

 ちなみにバフムト戦線は、対峙線の長さが600マイルである。

 ※3月16日の戦地レポートによると、宇軍が、1973年製造のフランス製の迫撃砲を使っているという。性能は、旧ソ連製の迫撃砲よりはマシという程度。ところで、WWII中の、さらに古い迫撃砲は、タマが3kmくらいしか飛ばなかったりする。しかし、今のウクライナ戦線では、そのくらいでいいのだ。たとえば迫撃砲のタマを7kmも飛ばしたって、目視観測はとうてい効かず、双眼鏡でも弾着点が分からない。潜入行動ができるFO人材なんて宇軍にいるわけないし、ドローンとの密接な連携がない限り、すべて無駄撃ちとなるだけなのだ。だったら、3km以内に引き付けて、ハッキリ見える目標だけを射撃させた方がいい。ワグネルを小火器間合いまで近寄せず、1kmから3kmの間合いで出血損耗を強制し続けることができれば、それで露軍は自滅する。思い切って「3km飛ばすだけ」と割り切ってしまうなら、歩兵支援用の重火器も、ずいぶん簡略化できる。硫黄島で使った「噴進砲」みたいな、大口径で短射程のロケット弾を、3Dプリンターで量産できるのだ。支那事変中の日本兵を最も多数、死傷させた、81~82㎜迫撃砲は、2kmも飛ばぬ重火器だった。しかし、こっちの歩兵は、2kmの距離を一息には躍進できない。だからゲリラ的に使われると、日本軍にはどうしようもなかったのである。同じことをしてやれ。

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 Brendan Cole 記者による2023-3-16記事「What Are Ukraine’s RAAM Mine Systems? Equipment Stalling Russian Advances」。
     RAAMがウクライナ戦線でものすごく有効だと諸方面が認めている。
 1980年からある米国製の特殊砲弾なのだが、なぜか今次戦争で株が急上昇した。

 有効なのは道理。こいつはまさに「対ソ戦」のために開発されたスペシャル兵器だったからだ。

 湾岸で、逃げの一手のサダム軍に対して、こいつを使う機会はなかった。タリバンやアルカイダやISは、AFVに乗って攻めかかって来てはくれぬ。けっきょく、いままでずっと、倉庫で眠らせておくしかなかった。それが、露軍の大攻勢という、またとないチャンスにめぐり遭った。待ってましたというやつだ。

 155ミリ砲弾の中から9個の対戦車地雷がバラ撒かれる。その信管は磁気感応式なので、露軍の戦車が踏まずとも、近くを通りかかっただけで起爆する。

 RAAM砲弾は、ふつうの榴弾ほど、遠くへは飛ばせない。レンジは2.5マイルから、10.5マイルの間だ。

 車両が道路上を進退するしかない泥濘期には、退却する敵をこいつで漸減させてやることも可能だ。

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 Matthew M. Burke and Keishi Koja 記者による2023-3-17記事「Missing TNT, accidental firearm discharge spark separate Marine Corps probes on Okinawa」。
    木曜日に、米海兵隊の「AH-1Z」攻撃ヘリの火工品が1個、所在不明になっている。

 これは「エジェクション・システム」の部品だと説明されているので、緊急着陸時にキャノピーを飛散させる部品なのかもしれない。中には0.16オンスのTNT爆薬が入っている。しかし、自爆のおそれは無い。

 飛行後の点検で、紛失が判明した。

 部品は、1.47インチ×1.15インチの扁平な円筒形。重さは十分の一ポンドにも満たない。

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 Boyko Nikolov 記者による2023-3-17記事「JSM in the internal or external stations of the Japanese F-35s」。
   空自のF-35は、ノルウェー製のJSMを、内部弾庫に収納するだけでなく、ステルス性を犠牲にして、機外吊下もするのだという。

 JSMのメーカーからの納品は、今年から始まる予定である。

 次。
 Stew Magnuson 記者による2023-3-16記事「Future Jet Fighter Could Be Held Together With ‘Glue’」。

   千葉の会場で三菱重工の「かも・そーた」が説明した。日英伊共同開発の新戦闘機は、カーボンファイバーとレジンを、特許の黄色い接着剤で固めた外皮になる。


人を増やさずに戦争する方法は、あります。

 Matthew Impelli 記者による2023-3-15記事「Pornhub Removes Wagner Ad Recruiting Soldiers for Russian War」。
   エロサイトの「Pornhub」は、ワグネルの募兵広告をずっと掲載してきたのだが、それを中止した。
 同サイトの方針で、政治絡みの広告は、すべて断る。

 ※2024の共和党大統領候補レースの有力馬、フロリダ州知事のロン・デサンティスが、《ウクライナ戦争は領土戦争に過ぎない》という大失言をして、トランプ並の卑小人物感を露呈したのを、すかさずペンスが叩き、他の共和党の大物らもペンスに続いた。投票は来年だが、ペンスがいい線に行くのではないかと今から予想しておく。

 次。
 Colin Demarest 記者による2023-3-16記事「Downing of MQ-9 Reaper is latest US drone lost in contested zone」。
   スホイ27による体当たりは、3-14の現地時刻7時AMに起きた。

 ※露軍機は、まずジェット後流のタービュランスでリーパーをストールさせることを試みただろうと想像する。そしてそれは成功しなかったと考えられる。そのため、燃料の空中放出(その前にアフターバーナーも試したことだろう)などという苦肉の策に出て、また失敗。けっきょく、プッシャー・プロペラに後方からじかに体当たりすることになった。この一件でバイラクタルTB2のレイアウトの巧妙さがまた見直されるかもしれない。双胴と水平尾翼で囲われているから、プロペラはアンタッチャブルなのだ。あと、タービンエンジンではなくレシプロエンジンを搭載していた場合、エンジンストールは更に起きにくくなるとも考えられたけれども、今回のケースは、そこまで心配する必要はないのだという参考例?

 ※CNN報道によると、このリーパーを墜落させる前に、米軍は、機上搭載チップ内の、秘度の高い最新ソフトウェアを、完全消去する措置を講じているそうだ。露軍はこの「最新版」機体のサルベージを最初から狙っていたかもしれない。もちろん狙いはソフトウェア。

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 Oishee Majumdar 記者による2023-3-16記事「DSEI Japan 2023: Ghost Robotics to supply Vision 60 UGVs to JSDF」。
   千葉の幕張で「DSEIジャパン2023」が開催中。
 フィラデルフィアに本社がある「ゴーストロボティクス社」は、無人陸上車両の「Vision 60」を6台、自衛隊に納品すると発表した。
 これは、防衛省との共同開発品だという。

 その3両は陸自に、別な3両を空自に納める、と。
 基地の外柵警備に使うらしい。

 ※「それじゃないだろう」感が、メッセに蔓延してないか? 情けないぜよ。

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 2023-3-9記事「Polish Army to receive 80,000 composite helmets」。
    ポーランド国防相は、郷土防衛軍(WOT)用に、アラミド繊維製のヘルメット×8万個を調達すると発表した。
 支給は今年から開始されるであろう。

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 Defense Express の2023-3-16記事「The Combat Part of the Lancet Kamikaze Drone Is the KZ-6 Engineering Cumulative Charge」。
   「KZ-6」というロシアの工兵用の爆破資材について。
 全重3kgで、その中に1.8kgの成形炸薬が入っている。AFVのアーマーも貫徹するし、飛行場の滑走路爆破にも使える。水中破壊に用いるときには、さらにこれに鋳鉄の部品を付け加える。

 ※初めて理解したのだが、どうやらウクライナ人記者は「HEAT」の意味で「cumulative」を使う。タンデム弾頭の意味ではなく、単純な成形炸薬のことだ。

 この「KZ-6」がランセットの中に仕込まれている。

 ※雑報に、初めて「フェニックスゴースト」の全容が分かる残骸写真が出た。ウクライナ兵が「ミコラ-1」のコードネームで呼んでいるという。なんの変哲もない牽引式電動プロペラの無人機だ。折畳式には見えない代わりに、胴体と主翼・尾翼は、簡単に着脱ができる感じ。

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 Samuel P. Porter 記者による記事「A Solution for Japan’s Military Mismatch」。
   ※記者は敗戦後の国共内戦に旧日本軍がどう関わったかについて1冊書こうとしている、軍事史学者。

 げんざい自衛隊は23万754人。うち陸自が13万9620人。
 海自は4万3435人。定員は4万5307人なのだが、2000人ばかり足りぬ。

 日本の師団は1個が6000人から9000人。それが9個ある。
 近年、2000人から4000人の旅団を新編した。これは離島で機動的に支那軍と交戦させる部隊。

 記者の主張。日本に台湾防衛させるため、師団を廃止して旅団だけにすればいい。そして浮かせたカネを海自強化に使えば、台湾防衛がしやすくなる。

 陸自の師団は、海外作戦はできない。その師団をまるごと国外へ輸送し、兵站を維持するための手段が伴っていないので。海外派兵は、常に小部隊の分遣としかならないのである。

 半島有事で、近くの韓国に出て行くこともありえない。韓国政府が拒絶するからだ。だったら陸自の師団は、廃止していいはずだ。

 日本政府は対支の関係で海自の艦隊をもっと増勢しなければならない必要については分かっている。
 しかし、そのために海自のヒューマン・リソースを確保してやろうとしていない。
 これは無責任である。
 軍艦のオペレーションをいくら省力化しても、軍艦のメンテナンスは省力化できないのだ。オペレーションも、ギリギリの人数では、有事にたちまち持続不能に陥ってしまう。演習や観艦式とは違うのだ。

 つまり海自を増勢したければ、どうしても海自の定員を増やす必要がある。そうしないで日本海軍を台湾有事に働かせることは、できぬ。

 その「定員変更」の汗を、日本政府は、流そうとしていない。それは陸自の定員削減か、自衛隊の総定員の増強を、意味するからだ。陸自定員削減に陸自が同意するわけがない。そして自衛隊の総定員増に、大蔵省が同意するわけがない。試みても拒絶され、じぶんに得することが何もないと予測するから、政治家も誰も関与したがらない。

 2022-12に、陸自から2000人を海自&空自に割愛して、海空の電子戦力を補強させる――と発表された。それだけ。

 無人潜航艇は、無人オペレーションではない。多数の人員がその機能維持のために常時、張り付いている必要があるのだ。日本はどうやってそれを増やすつもりでいるのか? まったく謎だ。

 記者は提言する。さらに1個から3個の師団を旅団化せよ。それで3000人から9000人を、海自の定員に回せるだろう。そのくらいなら意味がある。

 この措置は早く始めるほどよい。のんびりやっていたら、台湾近海で実戦が始まった日に、日本政府は、後悔するだろう。

 ※ウクライナ国防大臣からEUに送られた手紙の中で開かされた。宇軍は今、毎月11万発の十五榴を発射している。これは露軍の四分の一である。EUはウクライナに、毎月25万発の十五榴の弾薬を供給して欲しい、と。

 ※敢て強調したい。「人を増やさずに戦争する方法」が、じつは今次ウクライナ戦争では発見されているのである。それは、平時から各種の膨大な弾薬を地下に分散的に備蓄しておいて、それを、被侵略国や、同盟与国に、機動的に融通してやることだ。弾薬の調達や備蓄にはほとんど人手は必要ない。PGMなら大概、窒素ガス封入になっているので、何十年でもメンテナンスフリーだ。もし日本国が兵隊9000人分の人件費に相当する弾薬を今次戦争前に備蓄していて、それを米軍の輸送機に運んでもらっていたならば、いまごろロシアは亡び、中共も北鮮も大弱りとなり、電気代もガソリン代も安く、世界は著しく明朗化していただろう。人を増やさずにカネで戦争する方法が、じつは、あったのである! 


とつぜんプー之介が「シベリアには1200万人しか住んでいない」と口走った。公式人口統計では2700万人だということにされているのに……。

 ロシア政府が出してきている数値がいかに嘘まみれであるか、プー之介自身が明らかにしてくれた形。

 ※と、雑報が報じているのだが、甘い。じっさいには「数百万人」しかいないのだ。プー之介は、その真実が白日の下にさらされてしまう前に、先手を打って、第二段の嘘数字を出したと思う。300万人くらいしか住んでいないと判明したとしても、私は驚きません。

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 Robyn Dixon 記者による2023-3-15記事「A railroad fan photographed Putin’s armored train. Now he lives in exile.」。
    31歳の撮り鉄、ミハイル・コロトコフは、プーチンのデラックス装甲列車を狙い続けているプロ。2018年からその写真がSNSに投稿されている。

 「不死身の男はこんな列車では旅行しないよ」といったコメントも添えられている。

 客車の天板に「ドーム」状の構造物が載っていたら、それは衛星通信用のパラボラをカバーしたレドームだ。
 プーチンは身の安全には病的にこだわる。特に新コロ流行後はひきこもりがちとなった。
 彼の住まいには「汚染除去トンネル」がしつらえてあり、そこを通る間に消毒薬が噴霧され、紫外線が照射される。

 何週間も屋内に引き籠っていて、たまに長距離移動するときは、特別列車を仕立てる。これもパンデミック中に定着したパターンである。

 プーチンの列車利用指向は、2021から徐々に強まった。その理由を、ロシアの体制批評家のコドルコフスキーは、「飛行機は位置がすぐバレるが、列車なら特定されにくいからだ」と説明する。

 コロトコフは、モスクワに近い田舎町で育った。そしてパソコンを私有すらしていなかった大学2年生のときに、「Railway Life」というブログを立ち上げた。

 自動二輪車や、4輪バイクで長駆遠征しては、特別列車を追い求める。時に、珍しい飛行機も撮影する。

 プーチン列車の撮影に成功したときは、多数の写真を投稿したりはしない。ほんの数枚だけにとどめておく。これが当局を刺激しないコツだ。

 もちろんコロトコフは、プーチン護衛隊からは不快に思われているであろうことは、間違いないだろう。

 2021-5のある日、コロトコフのユーチューブのページに、不気味なコメントが投稿された。コロトコフが別な列車撮影マニアとハイキングの相談をした電話の一言一句を、テキスト化してあったという。FSBが「監視しているぞ」と伝えたかったのだろう。

 これを警告と受取ったコロトコフは、10年続けてきたブログを、慌てて店仕舞いした。

 2022年、事態はますます暗くなった。コロトコフのブログは、反国家のテロ・ゲリラ活動であるとみなされかねない。事後法によって身柄を刑務所に送られるかもしれない。

 コロトコフの本業は、フィナンシャル・アナリスト。副業で、物理学の教師もやっている。

 コロトコフは大学を2015に卒業しているが、ほとんどの同窓生たちは、2014のクリミア侵略以降、ロシアの未来に見切りをつけて、外国に出てしまった。しかしコロトコフは、プーチン列車を追いかけるのが趣味だったから、出国をためらっていたのだ。もはや、ぼやぼやしている時ではない。

 彼は自動車を運転してカザフスタンの国境を越えた。
 ほぼ同時に、彼を軍隊に招集する令状がアパートに郵送されたという。
 さらにコロトコフは、バックパックにPCを入れて、インドを彷徨った。

 げんざい、彼はスリランカの海岸近くに住む。そこからオンラインで、ロシア企業のためのIT訓練コースを引き受けている(元いた投資会社は、彼が国外逃亡した直後、彼を馘にした)。

 また、専ら飛行機を対象に、趣味の撮影を再開している。

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 Isabelle Khurshudyan, Paul Sonne and Karen DeYoung 記者による記事「Ukraine short of skilled troops and munitions as losses, pessimism grow」。
   米欧の推定によれば、ウクライナ軍将兵は2022-2の開戦いらい、12万人が死傷している。かたや露兵は20万人が死傷しただろうという。

 ウクライナ政府は、自軍の死傷数を、支援してくれる諸国に対しても厳重に秘密にしている。

 しかし明らかな変化が観察されている。ベテラン兵が戦死し、代わって訓練未熟な新兵が増えて、野砲と迫撃砲の弾薬も足りないことから、ウクライナ軍のキャラクターは開戦直後とは違う。

 宇軍のある大隊長が説明する。前線で6ヵ月生き残るということが、とても大事なのだ。半年、弾の下を潜れば、そいつはプロフェッショナルであり、めったなことではもう戦死などしなくなる。しかし、新兵教育隊から補充されてきたばかりの兵隊だと、そうはいかない。老兵は死なないが、若兵はすぐに死んでしまうのだ。

 死なない老兵も、負傷することはある。長期戦で、彼らがどんどん後送されてしまえば、その部隊は素人兵のあつまりに近くなる。これは、まずい傾向なのだ。

 前線に悲観主義が生まれ、そのムードは必ずキーウに伝わる。

 人と兵器と砲弾が足らないから、攻勢はむずかしく、どうしても守勢になる。それがウクライナ軍の現状だ。
 砲弾さえあれば、局地的に攻勢は取れるのに、西側はそれを届けてくれない。

 ロシア軍も砲弾が足りないが、人は余っている。3倍の犠牲を覚悟すれば、人の多さで攻勢が取れる。それがロシア軍の現状だ。人命を惜しまざるを得ないウクライナ軍には、その真似はとてもできない。

 目撃者証言。ワグネル相手の最前線ではウクライナの新兵の士気が低い。手榴弾や小火器を扱えるという自信が全く無いレベルの未教育兵なので、ともすれば持ち場を離れようとする。

 1年戦った大隊長の中佐。部下は500人いた。そのうち100人が戦死。残り400人は負傷。つまり総員が入れ替わった。今は自分1人を除き、大隊には、素人兵しかいない。それを率いねばならぬ。

 戦闘しながらである。100人の素人が補充されてきても、そいつらに特訓をほどこしてやる余裕がない。
 こういう素人新兵は、すぐに武器を捨てて逃亡する。どうしようもない。
 テッポウを射つ音が、そもそも怖くてたまらないというレベルなのだ。まともな新兵教育を受けていれば、そんなことにはならないのに、その初歩教育なしでいきなり最前線へ補充されてくる。三流軍隊だ。

 歩兵用の弾薬では、迫撃砲弾と手榴弾(米国製のマーク19)が圧倒的に足りない。
 これでは、こちらが塹壕陣地に布陣していても、ワグネルの攻撃圧力に対抗できない。

 ※陣地の接近戦でいちばん頼りになるのは手榴弾。それがなければ敵はどんどん肉薄してくる。手榴弾くらい十分量を国産できないのかよ、と思った貴男。自衛隊の現状はもっと酷いよ。ストックもないし生産能力もないのだから。ウクライナと同じことになるよ。

 ドイツの高官いわく。宇軍は12万人死んでいると思う。しかし連中はぜったいに真の数字はこっちに教えようとはしない。われわれを全く信用していないのだ。

 ウクライナ青年の間では徴兵忌避の動きが見られる。

 ※クラウゼヴィッツの大昔から、長期戦になって新兵のトレーニングが追いつかないときは、歩兵や騎兵ではなく、「とにかく砲兵を増やして凌げ」、というのが鉄則セオリーである。それができていない。大砲も砲弾も、部材規格と工作とが、高度且つ精緻になり過ぎてしまって、「戦時量産」が効かないのだ。阿呆じゃないか? 規格を下げればいくらでもこのネックは越えられるのに、そうした「簡易兵器化」を指導できる人材、加減を即断できる技師が、いないらしいのだ。スチール加工が間に合わないのなら、厚紙でロケット弾をつくりゃいいんだよ。その弾頭炸薬の中に、ありあわせのスチールベアリングを混ぜておけばいいだけだ。炸薬が7kgあれば、十五榴と破壊力に遜色は無い。信管だって要らない。導火線+「袋入りのカーリット」でいい。着弾ショックで導火線か「厚紙の熾き火」がカーリットに燃え移って轟爆、鈍感なTNT爆薬を殉爆させる。輸送コンテナは、塩ビ管を利用。それがそのまま、即席のラーンチパイプになるだろう。それを「水蓄」の鉄道コンテナ内に詰めて運べば、とりあえず最低限の安全性も期待できよう。同様、厚紙でグライダーをこしらえて、その胴体に7kgの炸薬とボールベアリングを抱かせ、長さ数十mのゴム紐で発射したっていいはずだ。

 ※それにしても西側首脳がこんなに無能揃いとは予想もしなかった。第二次大戦中、米国は、大小の有人飛行機を10万機単位で生産した。今日の資本と工作ロボットを使えば、無人特攻機を毎月数十万機生産することに何の障壁も無いはずである。手榴弾も同様だ。「雑でも速くやってしまえる」という非常時向きの「才能」を持った人材が、平時社会の中堅~上層から、淘汰・排除されているためなのであろう。

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 Sakshi Tiwari 記者による2023-3-15記事「1st Video Of Russian Long-Range ‘TrAMP’ Drone Surfaces Online; Can Be Used For Combat Ops & Travel Upto 600 Km」。
   ノヴォスチがビデオ報道。
 ロシアで開発中の、固定翼の無人小型輸送機。直線矩形の三分割高翼、ボックス形胴体(両側面にドロップ用ドア)、牽引プロペラ、直線のV字尾翼。製造を簡易にすることに撤していて、空力にはさして頓着していない。が脚は引き込む。残雪ある飛行場にて地上滑走試験中の段階だが、このコンセプトはすばらしい。ひるがえって、日本のベンチャーは何をやっているんだ?

 名称を「TrAMP」という。「輸送・飛行機・多機能・プラットフォーム」の略だ。
 初飛行は4月を予定している。

 荷室容積は2650立米。
 250kgの荷物を600km先に投下配達できる。

 この無人輸送機を開発している、という第一報は、2023-2だった。

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 2023-3-15記事「Russia is struggling to modernize T-62 tanks」。
   チタにある、第103機甲修理工場は、月に23両の「改修T-62」を納品せよと要求されていたが、それができていない。

 国家との契約は「3年で800両の中古T-62を新品化せよ」である。ということは毎月22.2両を竣工しないと間に合わぬ計算だが……。

 3交替制で仕事を進めているが、10月中旬から3月前半までの竣工数は36両であった。すなわち、1ヵ月に7両を納品するのが、精一杯なのだ。

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 Laura Heckmann 記者による2023-3-14記事「Robotic ‘EELS’ Ready For Tunnel Warfare」。
    EELSは、「実在生物形・生命探査機」の略である。
 このほど、パサディナのジェット推進研究所のオノ・マサヒロが開発した。

 ※私はず~っと以前に、地上で敵歩兵を襲撃させるロボットは「蛇型」にするしかないのだという結論を本に書いている。理由は次の通り。「待機」姿勢で電力を喰わない。移動中に、敵から視認され難い。敵と不期遭遇したときに、地面に張り付いた二次元形状であることが、最も被弾のシルエットを小さくしてくれる。敵が生身の兵隊ではなく、自動発射式機関銃ポストであった場合も、同様。そして、弾痕だらけの野外やガレキまみれの屋内で、あらゆる障害物に遭遇しても、前進もしくは潜伏が可能な形状は、蛇形以外にあり得ない。塹壕内、トーチカの銃眼、地下トンネルの通気孔、下水溝にも入って行ける。兵装は、頭部に単発のショットシェル+尾部に自爆薬、で可いだろう。敵歩兵を決して安閑とさせないことが、主機能である。長距離移動はしない。敵陣直前までは、他の方法で運ばれる。しかし、長時間待機は、できる。

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 2023-3-15記事「Mesh saved Gvozdika self-propelled guns from the Lancet kamikaze drone」。
   市販資材の「菱形金網」は、ランセットの阻止に有効であることがまたも実証された。
 ポーランドから寄贈された「2S1」という122ミリ自走砲の頭上をこのひし形網の針金で覆っていたところ、ランセットが突入。しかし弾頭は不発で、機体は勝手にぶっ壊れた。

 その前には、2023-1に、宇軍の「Krab」が、やはり菱形金網のおかげで、ランセットを不発におわらせている。

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 2023-3-15記事「In Kharkiv, an FSB agent “was hunting” the pilots」。
   ウクライナの保安局であるSSUは、ロシアFSBの工作員がテロを起こそうとしてハルキウに潜伏していたのを逮捕した。工作員の狙いは、宇軍のパイロットの命だった。

 ウクライナ軍の兵舎の近くに爆発物を隠してある倉庫も見つかった。
 工作員はウクライナ国籍の住民。ロシアにカネで雇われていた。

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 Kevin Knodell 記者による2023-3-14記事「Sen. Mazie Hirono concerned about lack of missile defense for Hawaii」。
   ハワイ州選出の連邦上院議員、メイズィー・ヒロノ(日系のおばさんである。Mazieを「まじ恵」と書くのだとしたら面白い。おまえマジかよ~、まじ恵……みたいな)は、ハワイにMDがないのはまずいじゃないかと唱え始めた。

 ※雑報によるとエルドアンは、フィンランドのNATO加盟だけを承認することにしたようだ。


「装備リース」による軍事援助を検討すべし。

 弾薬のような消耗品とは別の、甲類装備。これは「リース」の建前で援助するのが適当だ。

 侵略事態が早くおさまれば、その装備は戻ってくる。
 状態がくたびれきっていれば、そのまま「寄贈」に切り替えても可い。
 状態が比較的に良くて、被援助国で「買い取りたい」という希望があれば、それも戦後オプションとして可い。

 リースだからメンテナンスの面倒は、とうぜんに見る。被侵略国の隣国に整備拠点を開設してもいいし、日本本土からの「リーチバック」でもいいだろう。

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 ストラテジーペイジの2023-3-14記事。
    NATOメンバーでないウクライナ軍に外国から技術的なアドバイスを与えるのは、人員を現地へ送り込めないために、隔靴掻痒の仕事である。
 なんとかリモートでサクサクとそれを実現できなくてはいけない。

 その枠組みを「リーチバック」という。

 NATOは2014からこの仕組みを構築してきた。
 ウクライナ国外から、最前線のウクライナ将兵のスマホやタブレット端末と通信をつないで、リアルタイムで、技術的な指導を行なう。

 会議ソフトウェアの「Zoom」も活用されている。

 リーチバックの流儀は、米国が、イラクやシリアに最小限の関与を続ける方法として編み出した。それが担保されればイラクからも表向き、軍隊を撤収させられる。

 民間の技師は現地ではテロの対象になるし、精密誘導のミサイルも、いつ降って来るかわからない。

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 TOC の2023-3-14記事「New Russian LANCET ―― no cruciform wings, new warhead, and guiding」。
    ZALAアエログループの発表。ロイタリングミュニションのランセットを進化させたと。

 新型ランセットは、十字翼がなくなり、弾頭は強力になっている。

 現状、ランセットは、レンジ40km、速力110km/時で、弾頭は、タンデム対戦車、HE対人、サーモバリック対物の3種類。弾頭の重量は3kg、それを含めた全重が12kg。

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 Defense Express の2023-3-14記事「Ukraine and NATO Launched Joint 125mm Tank Shell Production」。
   ウクライナの国営工廠「ウクロボロンプロム」は、国名非公表の某NATO加盟国の領内に設立した弾薬工場にて、このほど、125粍戦車砲弾の製造も開始した。すでに先行して120ミリ迫撃砲弾の製造は行なわれていた。

 その工場労働者は全員、ウクライナ人である。

 次。
 ディフェンスエクスプレスの2023-3-13記事「Switzerland Has the Rapier Air Defense Systems And Almost 2,000 Missiles to Them, But Plans to Dispose Them Instead of Giving to Ukraine」。
  スイス陸軍は、60基ほど持っている英国製の「レイピアー」短距離SAM発射機と、そのミサイル2000発を、古くなったという理由ですべて廃棄する方針。

 西側諸国は、だったらそれはウクライナにくれてやれや、と意見しているのだが、スイス政府は頑として断っている。

 スイス保有のレイピア・システムは、交換部品がなくなったという理由で公式に2019年に退役。部隊の訓練も停止している。2022年にはその一部の廃棄が始まった。
 廃棄しないで英国にひきとらせるという選択が可能なはずなのに、スイスはそうしない。

 ※今次戦争いらい、スイスのイメージがとても下がっている。しかし、もともと、FIFAの地下要塞があったり、三代目の留学を受け入れていたりと、金儲けのためならば大抵のことには眼を瞑ろうという小国自己中の、汚い国柄だったのだ。

 次。
 2023-3-14記事「Romania will build a new gunpowder plant」。
   ルーマニアの経済相が発表。同国内に火薬工場を新設する。米国および韓国の企業が、それに協力する。

 ルーマニアは2004年に国内にただ一箇所あった火薬工場を閉鎖してしまった。いらい、国軍が必要とする弾薬も火薬類も全部外国からの輸入に頼っている。これではマズい。

 ルーマニア政府は、韓国製の戦車、IFV、155SPを購入したい希望もあるようだと国内メディアは報じている。

 ※雑報によるとオランダは2隻の掃海艇をウクライナ海軍に寄贈する。乗員の訓練もしてやる。引渡しは2025予定。

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 2023-3-14記事「Russia Turns to Women’s Prisons for Fresh Recruits ―― Reports」。
   露軍はロシア国内の女子刑務所から、女囚を志願兵として徴募し始めた。

 先週、囚人志願兵を乗せたドネツク戦線行きの寝台列車のうち1両が、女子専用車両になっていた。

 今回の囚人動員は、クラスノダール南方のクシチェフカ流刑地からなされた模様。
 いまのところ、ウクライナ戦線のロシア女囚兵は総勢100人ほど。

 志願の実態が、半強制なのかどうか、いまのところ情報は無い。

 2月には、ウクライナ領のSnizhneにあった刑務所内の女囚を、占領軍(ロシア軍)が勝手に50人くらい徴兵して、とりあえず訓練のためとしてロシア本国へ移送している。

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 英紙『ザ・テレグラフ』によると、イタリア政府は、さいきんのボート難民の殺到はワグネルの作戦だと承知している。大量のアフリカ人をイタリア半島に送り込むと同時に、イタリアのSNSに反難民の過激な意見を偽名投稿し、イタリア社会を分断させ、対露で団結できないようにするのが狙い。


ロシア軍、ついに「竹槍」 採用か!?

 「木の棒」だけを持って突撃してくる露兵の目撃情報が、最前線のあちこちから届いているという。

 ※これは「懲罰」だろうね。火器や刃物を持たせると、すぐ上官を殺しかねんような「中隊の毒虫」を、将校がその場で処置するかわりに、宇軍の特火点を炙り出すための「ルアー」として最前線に追い立てる。もちろん後方からは自動火器を持った監視役の下士官が続行するわけだ。

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 2023-3-13記事「Spain to complete training of Ukrainian Leopard 2A4 tank crew members」。
    まもなくスペイン軍は、ウクライナの戦車兵たちの教習を了える。「レオ2A4」の予定乗員に対して。

 教育を受けていたのは40名(すなわち10両分)。と15人の整備兵も。
 訓練場はサラゴサ州トレドにあり。

 このウクライナ兵たちは2023-2-16にスペインに到着していた。帰国予定は、3月15日。

 スペインは、モスボールしていた「レオパルト2A4」×10両も寄贈する。その修理や近代化改修については、継続的に面倒を見る。

 スペインには兵器の保管や修繕・改修を専門とする民間企業がある。ストック戦車は、サンタバルバラの「システマス」という会社が、サラゴサ州のカセタスAFV保管基地で保管していた。レオ2A4の改修工事は、セビリア州のアルカラデグァダイラ市で実施。まずは6両。

 3月9日には、ポーランド国内で戦車教育を受けていたウクライナ兵たちが訓練を「修了」した。ポーランドも、10両のレオ2A4をくれてやる。
 ※ポーランド保有のレオ2はすでにウクライナ国内に入ったとの雑報が先日あったが、続報皆無。

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 2023-3-13記事「The Ukrainian military is completing Leopard 2 training in Germany」。
    ドイツNDR放送によると、ドイツ国内でレオパルト2の訓練を受けていたウクライナ兵たちの教習がまもなく了わる。
 この兵たちは、寄贈された戦車とともに、もうじきウクライナへ帰国する。
 具体的な日取りは、非公表。

 ドイツからは「2A6」を18両、引き渡すことが決まっている。
 ウクライナ兵たちは、「2A6」の最新式のFCSに習熟したようだ。

 引渡し後も、この18両のスペアパーツと弾薬の面倒は、ドイツが見る。

 なおドイツ国内では「マルダー」を使ったIFV教習も併行して進められている。

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 Quentin Hanich, Katherine Seto and Osvaldo Urrutia 記者による2023-3-12記事「Squid Fishing on the High Seas Has Exploded Since 2017」。
   全世界の「公海イカ釣り漁」は、2017年→2020年のあいだに、68%も増加した。この調子だと、早晩、烏賊は、水産資源としては消滅する。

 公海でないところでは、イカ漁に関してもさまざまな規制があるのだが、公海ではまさに乱獲。

 イカ釣り船は強烈な集魚灯をつけて操業する。だから衛星を使ってカウントしやすい。その位置情報と、AISデータをつきあわせた。


キーウ市内の国有建物である古い僧院を、ロシア正教会には使わせないとのウクライナ文化省の決定。

 UPIが12日に報道した。
 Pechersk Lavra から3-29までに立ち退け。
 ロシア正教会に属するウクライナ人修道士が敵の工作員になって暗躍しているので。

 ロシア正教会の長はプーチンの熱烈な支持者である。

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 2023-3-12記事「Defender of Ukraine learned to shoot down helicopters by watching online videos」。
   セルゲイ・キシリョフは2020にウクライナ国防軍を除隊したが、2022-2以降また再役し、これまで4機の露軍ヘリコプターを撃墜した。

 セルゲイは、「9K38 イグラ」と「スティンガー」という2種のMANPADSを持たされて、キーウ防空を担任する。
 イグラは1981からある古いMANPADSだが、ヘリコプター相手には今でも十分な性能なのだと立証した。

 同様、スティンガーも1981からある。

 セルゲイは、操作方法が異なる2種のMANPADSの扱いを1人の歩兵がすばやく習得することは可能であることも、身を以て実証した。

 彼は最初の1ヵ月に、いきなり4機のヘリを撃墜した。場所はブチャ市の近郊。

 敵ヘリの接近は、まず耳で分かる。ついで、目視ができる。

 同じ場所から2発射つことはあるが、連続3発はいけない。敵眼にこちらの位置が露顕しているから。すぐに移動しなくてはいけない。

 「カモフ52」は、緊急脱出システムとして、まずメインローターを吹き飛ばし、ついで座席をエジェクトさせる設計になっている。それが実際に機能するのを彼は見た。
 さいしょ、超低空を3機編隊で飛んできた。あまりに低すぎてMANPADSの照準を諦めた。ところがそのうち1機の「カモフ52」が調子に乗ってUターンし、しかも高度を上げた。それでセルゲイが撃墜できたそうである。

 ※MANPADS要員用に、「聴力倍化デバイス」を開発する必要があるだろう。兎の耳のような共鳴フィルム入りの楕円パラボラをヘルメットに取り付ける。そこに集音されたチョッパー音を、電子マイクで増幅して、ヘッドセットを通じて、発射員に知らせるわけだ。首をまわせば、音が強く来る方向も判る。共鳴特性を調節すれば、頭上の対ドローン警戒も可能だろう。

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 ストラテジーペイジの2023-3-12記事。
   最新のトルコ海軍旗艦は、トルコ国産のドック付きヘリコプター揚陸艦『アナドル』(2万7000トン)だ。

 多目的に使える。乗員261名。お客の兵隊を数百人も載せられる。民間人のエバキュエーションにも役立つ。
 最大速力は39km/時。巡航は30km/時。

 船体が国産というのみならず、搭載機もトルコの国産。

 当初計画ではF-35Bを予定していた。が、ロシアからS-400を買ったのが祟り、米国から輸出を拒否された。

 それで、ジェットエンジン付きの固定翼無人機である「キジレルマ」を運用することにした。メーカーはバイラクタル社である。

 艦上機としてプロペラ機は危険なので理想的ではない。しかし『アナドル』には、「TB2」の翼を折りたためるようにした艦上機バージョンである「TB3」も、30機ほど混載させるという。

 キジレルマのジェットエンジンも、国産予定。これは2024年から納品されるという。
 いまのところ、エンジンはウクライナ製を使っている。
 キジレルマの全長は14.7m、ウイングスパンは10m。

 飛行甲板はスキージャンプ式になっている。カタパルトは使わない方式だ。

 キジレルマは兵装を1.5トン吊るして、時速1100kmまで出せる。高度は1万2500mまで昇れる。滞空は、最長で6時間というところ。

 無人機ながらAESAレーダーを搭載。空対空ミサイルも発射可能である。

 このほかに、艦上ヘリコプターは、20機ていど、載せることになるだろう。

 2023年に初飛行するはずのトルコ国産の有人練習機「Hurjet」は、寸法がキジレルマより一回り小さい。これを5年以上かけて艦上機に改造し、やはり『アナドル』から運用する計画もある。