酩酊の自己暗示でワクチン接種後の血栓を予防できるかもしれない。

 わたしはこの数年、トータルして酒は1デシリットルも飲んでいない。歳をとると外見が健康そうでも腎臓はシュリンクしていたりと、とにかく各種の負担には弱くなっているはずだから、まあ、転ばぬ先の用心だ。
 しかし酩酊のフラッシュバックがあり得ることに気が付いた。
 ノンアルを飲むと、いい気持ちになる、そんなプラセボ効果を体験した人は多いだろう。

 ところが先日、BSで「飲み鉄ナントカ旅」とかいうのを視ていたら、視ているだけで頭の中の血管がパブロフドッグのように膨張したらしく、軽く頭痛がしてきた。その現象が数時間も続いたのでおそれいった。

 そこで考えたのだが、新コロワクチンの接種後、自己暗示をかけて、ほろ酔い状態をフラッシュバックさせてやれば、血栓は起き難くなるのではなかろうか?

 話は変わるが、政府は、パンデミック対策として注射器の「射ち手」がいちどに大量に必要になったとき、その要員を弾撥的に確保できるようにする法律改正を今年中に実現して、来年以降に備えるべきだ。ほんとうは、この法改正は去年のうちにやっておく必要があった。政府は1年を無駄にしたのだ。

 たとえば自衛隊病院の職員でもなんでもない、自衛隊の一般部隊の「衛生小隊」の二等兵、昔で言う「看護卒」たちだ。この者たちに部隊内で最低基本のインジェクションの訓練を積ませておく。平時にそのワザを一般人に対して用いることはゆるされないのだけれども、中共が生物兵器を使ってきたりといった緊急非常事態時に「注射祭り大ホール会場」等に動員されたときには、正規の医官の臨場監督下に、一般人に対するワクチン接種等ができるようにしておくのだ。

 これで自衛隊の衛生小隊のモチベーションも上がり、募集上も有利であろう。

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 SETH ROBSON 記者による2021-5-13記事「Navy’s Guam-based Triton drones to join Air Force Global Hawks in Japan this summer」。
   2020-1からグァムに常駐している米海軍の「MQ-4C トライトン」が、5月中旬以降、一時的に、日本本土にやってくる。

 ちなみに米空軍が2014から日本本土に展開してきたグローバルホークも常駐ではない。一時的な駐留である。

 米空軍の太平洋軍は台風シーズンにはアンダーセンからヨコタに「RQ-4 グローバルホーク」をローテーション展開させる。

 今回飛来する機数は非公表事項。
 昨年の夏だと、5機が来た。

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 AFPの2021-5-14記事「French Toshiba unit hit by ransomware attack」。
    東芝のフランス子会社「TFIS」が5-4にランサムウェアにやられた。金曜日公表。

 犯人はダークサイド。
 TFISは、プリンターに特化している会社。
 顧客データまでは盗られていないと。

 金曜日には、アイルランド政府の保険省がランサムウェアにやられてコンピュータシステムをシャットダウンしている。

 ※ダークサイドはコロニアルパイプライン事件の直後、米サイバーコマンドから報復攻撃を喰らったのではないかと疑える。ダイレクトな反撃ではなく、たとえばプーチンの個人資産に対するマルウェア攻撃だ。それでプーチンが音をあげて、ダークサイドの活動を休止させたのかもしれぬ。

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 AFPの2021-4-15記事「Huthi missile debris sparks fire at Saudi university」。
    水~木曜日の深夜、イエメンのフーシがサウジを5発の弾道弾と4機の爆装無人機で攻撃。
 破片によってサウジ南部ジザン市の大学で火事発生。

 フーシは、アラムコの石油施設を狙って執拗にミサイルとドローンを放っていることを逐次に声明している。サウジ側はペトリオットで迎撃に努めている。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

自分も腹減ったな と思うとき

 Harry Valentine 記者による2021-5-14記事「Modular Molten Salt Nuclear Power for Maritime Propulsion」。
   熔融塩を使う新原発。加圧せず、ウラン燃料は低濃縮なので兵器化されにくい。

 この原発のモジュールは、寸法が13×23フィート、ブリーフケース大の固体燃料の重さは440ポンドで、25年にわたって100メガワットを発生してくれるという。

 これを貨物船の心臓部や、「海上浮き原発」にも使えるのではないかと開発者たちは夢見ている。
 米海軍の原潜が使っている「加圧水冷却+兵器級グレード濃縮ウラン」の主機では、民間船への適用可能性はゼロなので。

 ※バルクカーゴなど貨物船の寿命を25年と見ているわけか。しかしフネの転売やスクラップ化の問題はどうなるんだ?

 新原発の燃料は、低濃縮ウランと塩化物を華氏750度=摂氏399度〔これはさいしょに摂氏400度という数字があり、それを華氏に変換したのか?〕溶かしたもの。加圧はしない。
 この炉心から液体が漏れても勝手に冷えて固まるだけで、絶対に爆発などしない。安全。

 100メガワットの熱を発するので、それを利用してスチームを発生させてタービンを回し、そのトルクで発電機を回す。
 二次冷却水には海水を使う。

 熔融塩原子炉は、運転中に出力を簡単に下げられるので、電力需要に応じた機動的な発電ができる。
 1基のモジュールは、スクリュー推進力にするなら4000馬力から2万6000馬力を出せる。

 このモジュールを3基搭載した大型コンテナ船は、24ノットで無制限に走り続けることができる。
 もっと小さな貨物船なら、このモジュール1基を常用にして、プラスの補助動力として内燃機関をテンポラルに回すようにすれば、ずいぶんエコになる。

 熔融塩核燃料は、使用済み核燃料の再生利用にも道を開くかもしれない。わざわざウラン鉱石から濃縮ウランを作り出す必要がないかもしれないのである。

 ※脱炭素が国際関係上の至上命題なので、日本でもこれから小型原発がいろいろ提案されることになるだろう。しかしわが国では、それを鉄道機関車や船に搭載する日はまず来ないだろう。火災事故や衝突事故や沈没事故、さらにハイジャックなどがおきたときの後始末の責任を誰もかぶれないからだ。定点に埋設して使うしかないのである。しかし沖縄などの島嶼用としては、ほぼ理想的だろう。


ハマスはイラン製の爆装ドローンも放ち始める。

 Ian Sample 記者による2021-5-14記事「Delay in giving second jabs of Pfizer vaccine improves immunity」。
   ファイザー・ワクチンの接種方法だが、マニュアル通りにインターバルを3週間空けて射った人よりも、12週間空けて2回目を射った人の方が、免疫抗体が3.5倍も多くつくられていることがわかった。

 英国のバーミンガム大学などがつきとめた。比較対象は、80歳代の人たち175人である。

 ということは、できるだけ多くの老人に早く第一射を射ってもらうためには、第二射の接種計画は遅らせてもいいとした英政府の判断は、結果オーライだったことになるだろう。

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 Lawrence Ulrich 記者による2021-5-13記事「How Is This A Good Idea?: EV Battery Swapping」。
   EVのバッテリーパックを「スワップ・ステーション」にてロボットに交換させるという発想はすでに2007年から実験されている。「ベタープレイス」というベンチャー企業が試した。

 2011年時点で日産のリーフは電池で80マイル走ったが、再充電には数時間を要した。バッテリースワップ方式なら、80マイル走る電池を、交換時間10分で次々と載せかえていけるぞ、というのが謳い文句。

 誤算があった。ロボットが待機するスワップステーションを1箇所つくるのに、50万ドルで足りるだろうと見込んでいたが、じっさいやってみると、200万ドル必要であった。

 このベンチャーの立ち上げ人は2012年にルノーから引導を渡された。電池交換式のルノーEVは1500台も売れなかった。

 だが今でもバッテリー・スワップが行けると夢見ているベンチャーは健在である。中共のEVメーカー「ニオ」や、サンフランシスコの「アンプル」社だ。

 「ニオ」社のパワースワップステーションでは、5分でバッテリーを交換できることを目指す。油圧リフトに車両を載せ、レーザーで誘導されるロボットアームが車体の底のネジを外してバッテリーを交換する。安全監視のため人間のオペレーターも配する。

 ニオ社は、バッテリー抜きのEV車を売る。すると他社製より1万ドルは安くなる。買い手はそのかわり、70キロワットのバッテリー(リース)を有料で次々交換できる契約を結ぶ。平均すると客は、123マイル走ったところで交換に来るという。

 ところが、最新のEVは、1回充電すると、200マイルから400マイル走る。ポテンシャルとして517マイル行けると標榜するルシッド社の「エアー」もあり。

 満充電は、「テスラ・スーパーチャージャーズ」や他社の充電オアシスだと35分必要。

 しかし高速充電技術は年々進歩している。ポルシェの「タイカン・ターボ」のオーナーは、充電ステーションで20分待っていれば〔350キロワットの?〕充電ができてしまうとしたら、わざわさせ630kgのバッテリーを外したりとりつけたりするスワップシステムにメリットを感じるだろうか。

 ルシッドにいわせると「エアー」は20分の充電で300マイル走れる。それで、時速60マイルで高速道路を5時間行くのに十分なのだと。
 20分なら長距離ドライブ中のトイレ休憩にちょうどいいだろう。

 バイデン政権は、150億ドルを投資して全米に50万箇所の公共充電拠点を築くと言っている。

 テスラも2013に「モデルS」でバッテリースワッピングを試してみたが、こりゃダメだと結論している。

 バッテリーは、1個だけでも高額だ。それを余計に大量にあちこちにストックしておくのは、資源のムダ使いである。のみならず、その大量のバッテリーに、常に充電をしておかねばならない。たいへんなコストである。場所も取る。まったくエコじゃない。……と、スワップ方式反対派は言う。

 スワップ派は反論する。そのバッテリーから電力グリッドにまた電気をもどしてやることだってできるじゃないかと。

 いずれにしても大量の中古バッテリーや廃バッテリーが町にあふれる時代は近い。

 バッテリー規格の統一もまず不可能だ。各EVメーカーは、自社が最も良いと思う充電基地で全世界を満たしたいはず。

 ホンダとGMは共同で新バッテリーを開発している。
 しかしたとえばテスラとGMが互いの知財を譲り渡すかといったら、ありえないだろう。

 結論。マーシャル・プラン級の政治決定でもなされないかぎり、バッテリースワップ方式に未来はないだろう。

 ※水素を封じ込めた燃料電池のカートリッヂだと、世界規格はあり得よう。トヨタはとうぜん、その規格で世界を支配するつもりでいるだろう。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

ハマスはどんなロケット弾をもっているか。

 Gilang Perdana 記者による2021-5-13記事「Hamas Launches A-120 Rocket ‘Rain’, Israel’s Iron Dome Was Overwhelmed」。
    2021-5-10から12日にかけてハマスは1500発のロケット弾を発射した。

 ロケット弾の主力は「A-120」であった。射程が120kmある。
 2014にハマスが発射した「R-160」に似ているという。このRは、2004年にイスラエル軍に殺された指揮官ランティシの頭文字。
 A-120のAは、ハマスのガザ南部司令官・アルアッターの頭文字らしい。

 ハマスのもっている短距離ロケット弾はクァサムといい、射程10km。また「クッズ101」は射程16km。
 BM-21も「グラド」および「セジル」の名で保有する。こちらは55km飛ぶ。

 この他、75kmとぶ「M-75」、100kmとぶ「スブー」、200kmとぶ「M-302」もハマスは保有する。

 A-120は、地上に設置した8連射ランチャーからつるべ射ちされる。車載だと空爆されてしまうので、車載せず、コンパクトに地表に隠せるようにしてある。
 「S-40」も同様。

 ふだんは地下サイロに埋めて隠匿しておき、発射直前にランチャー箱を地面に出して据えつけ、そこにロケット弾を運んできて人力で1発ずつチューブに装填し、8発収容したところで仰角と方位角を付与し、点火する。すべて同一諸元で連射される。

 ※陸自は、地対地ロケット弾入りのチューブ1個を2輪の人力運搬台によって隠密に山地機動させ、先島群島内のどこからでも、上陸してきた支那軍を随意・随時に射撃できるような、コマンドー運用に特化した挺進砲兵隊を組織するべきである。パレスチナ人にできる工夫が、なんで日本人にできないんだ? 着眼がなさすぎる。


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 Gilang Perdana 記者による2021-4-30記事「Israeli Troops Claim Cancer Due To Radiation Radar In Iron Dome Hanud System」。
   ラファエル社が開発したアイアンドームは、米陸軍とシンガポール陸軍によっても採用されている。

 イスラエルの『デイリー・イェデット・アーロノス』の2021-4-29記事によると、このレーダーを扱わされたイスラル軍の徴兵のグループが、短い任期中に癌になってしまったという申し立てがあると。

 いずれも2011年以降に徴兵された兵士で、徴兵80人ごとに1人が発癌したという。アイアンドームを担任されられたあとに癌になったイスラエル兵はトータルでは240人だそうである。

 アイアンドームの「ELM-2084」という三次元マルチミッションレーダーが発する電波と熱が、原因として疑われている。このレーダーはエルタ社製である。

 1個アイアンドーム高射大隊は、3個から4個のミサイルランチャー(その1個は20連射可能)、1個のBMC(戦闘マネジメント&統制)ユニット、そして1個のレーダーからなる。この1個大隊で、12km四方の地積を防空できる。


電動のモノトラック(mono-track)を前輪部にした、電動バイクを民間ベンチャーは開発するべきだ。低速専用にする。後輪は非駆動のバルーンタイヤ。

 サドルの下方には、折畳式のペダルあり。それは発電機直結。漕げば、気休め程度にバッテリー蓄電もできる。
 こういう乗り物があれば、体力のない人でもクロスカントリーを楽しめるようになる。冬の雪国の地方都市で、貧乏人が自動車無しで暮らせるようになる。
 リアカーをとりつければ、ケッテンクラートの変態バージョンになるだろう。前1輪が装軌、後ろ2輪がタイヤという、前輪駆動式の変則オート三輪だ。

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 William Turton, Michael Riley and Jennifer Jacobs 記者による2021-5-14記事「Colonial Pipeline Paid Hackers Nearly $5 Million in Ransom」。
    米国最大のガソリンと航空用灯油のパイプライン配給サービス会社、コロニアルパイプライン社(本社はジョージア州)は金曜日、ロシア系ハッカーに対して500万ドル弱の身代金を払った。
 今週前半の報道では、そんなカネは払わぬ、と言っていたのだが。

 カネは暗号通貨で支払われた。
 もっと早く(攻撃されてから数時間内)に支払っていたという話もある。
 水曜時点で会社はWP紙とロイターに対し、身代金など支払わん、と豪語していた。

 サイバー保険というものがあり、こんなときに適用される。犯人は、それをかけている大企業を狙ってくる。

 ロックされたのは、運用システムというより、膨大なデータ。
 運用システムはバックアップソフトで再開できるが、データが失われる危機に会社は直面した。

 事情通いわく。これは払うしかないのだ。癌患者の治療費と同じで、死にたくなければね。
 そして今回の500万ドルというのは、破格に安い身代金だという。

 通常、ハッカーは、ランサムウェアの解除代金として、2500万ドルから3500万ドルを要求するのだそうである。

 ランサムウェアにコロニアル社がやられたのは、5月7日頃だと思しい。

 ※米国内のパイプライン地図を確かめると、ニューオリンズからヒューストンにかけて米国燃料供給網の起点や結節点が集中していることがわかる。中共やイランの核ミサイルは、そこに照準をつけることで、全米を脅迫できるわけだな。

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 Joseph Trevithick 記者による2021-5-12記事「Continuous Mass Rocket Attacks Pose New Challenges For Israel’s Iron Dome System」。
  パレスチナ・ゲリラはガザにおいて、2日間で1050発以上のロケット弾をイスラエル領に向けて発射した。
 今回の飽和砲撃の主力となったのは、「アルカサム旅団」といい、ハマスの一派である。別名、PIJ=パレスチナ人のイスラムジハード。

 これに同期して〔作戦の背後にいるイランは〕イスラエル国内のアラブ系住民を一斉蜂起させ、内戦状態を作為せんとしつつあるが如し。

 昨日のイスラエル政府発表によれば、アイアンドームの迎撃ミサイルは480発以上発射され、そのうち200発以上は敵のロケット弾に命中したという。

 アイアンドームはシステム名で、1機動展開ユニットが20発の「タミル」ミサイルを全自動で次々に発射する。各ミサイルは上昇中に下からのコマンドで目標を変更できる。近接信管付き。破片はリング状に放散するようにできている。

 この高射ユニットが3~4個で、1個迎撃大隊を構成するから、1方面に同時に80発以上のロケット弾が飛来すれば、アイアンドームは弾切れ状態に陥る。

 迎撃大隊は15個ある。ということは、「タミル」はイスラエル全土では1200発用意されているはずだが、1方面に限っては、数十~数百発のロケット弾で飽和されてしまう。

 またIDFはこれまで、飛来するロケット弾1発について、2発の「タミル」を指向したことが幾度かある。その念入りな迎撃をこころざした場合、弾切れはもっと早くなる。

 「タミル」1発の値段は過去の報道によれば4万ドルから10万ドルらしい。アップグレードが逐次になされているので最新型の値段は不明である。
 かりに10万ドルだとしても、西側の他のSAMよりは安い。

 しかし、かりに4万ドルだとしても、それを200発発射すれば、800万ドルが消えることになる。1000発の飛来ロケットを迎撃するためには、最低4000万ドルかかってしまう。

 2014年にガザ戦争があった。このときイスラエル財政は危機に陥ったので、米国は2億2500万ドルの軍資金をイスラエルに緊急援助した。そのほとんどは「タミル」の備蓄に回された。

 2014年のガザ戦争ではハマスは7週間に4564発のロケット弾/迫撃砲弾を発射している。

 ハマスが発射する〔イランから運び込まれた〕最低品質の「カサム」ロケット弾は、1発の値段が500ドルから600ドルである。

 イランのハマスに対する資金援助はかつては年額で100万ドルくらいだった。
 しかし2019から、月額30万ドルに増加された。
 イランは2019-11に「タミル」のシーカー部分をガザから回収している。それで飽和攻撃に自信を深めたはずだ。

 2014のガザ戦争では、イスラエル国内では4000万ドルの保険金請求があった。これは直接損害である。その他に、10億ドルの間接的経済損失を蒙っている。
 人命を救っている以上、アイアンドームをコストベースで議論するわけにはいかぬ。

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 ストラテジーペイジの2021-5-13記事。
  ノルウェー政府は禁止した。ロールズロイス社が保有している「ベルゲン・エンジン」社を売却することはまかりならぬと。

 この売却話、買い手が「TMHグループ」といい、本社はスイスにあるが、ロシアの傘下企業なのである。

 NATO諸国に軍艦用の主機を広く供給している「ベルゲン・エンジン」をロシアにくれてやっていいわけがあろうか。

 ノルウェーの法律は、このような国家安全保障にかかわる企業売買を政府が禁ずるオプションを与えている。

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 JOHN VANDIVER 記者による2021-5-13記事「Army to retire older Stryker vehicle variant」。
   米陸軍は、ストライカーの上に自動装填の105ミリ砲を載せた「ストライカー・モビル・ガン・システム M1128」を、お払い箱にする。イラクとアフガンにて、路肩爆弾に対して脆弱だということがわかったので。

 2022-10までに売り払ってしまうという。

 この車両は米陸軍として初の自動装填砲システムとして2000年代前半に採用された。
 だが整備コストは高かった。

 またベース車体がV形断面ではなく、古くからあるフラット底である。これではIEDや対戦車地雷には抗堪し難いのだ。
  ※おい、日本のナントカ式はだいじょうぶなのかよ?

 米陸軍は、浮いた予算で、V断面ストライカーをベースにして近距離防空システムを一式載せた「M-SHORAD」をストライカー旅団に加える。これで露軍のドローンを相手に戦争ができるようになる。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

こしたんたんと、しこたんたん。

 Damian Carrington 記者による2021-5-13記事「Climate emissions shrinking the stratosphere, scientists reveal」。
   成層圏の厚さが、1980年代から、400m薄くなっていることが判明した。
 これは人工衛星やGPSにも影響を与える変化である。

 人類が活動をやめない限り、この趨勢は続き、2080年には成層圏はさらに1km収縮する。

 成層圏の厚さは、20kmから60kmである。しかしその下の大気圏は温暖化によって膨張。それに押されて成層圏が上方へ圧迫されている。

 二酸化炭素は、成層圏に入り込むと、成層圏を冷やす作用をする。それで成層圏は、縮んでしまう。

 成層圏の収縮はもっと前から起きていたのかもしれない。しかし人工衛星によるデータが得られるようになったのは1980年代からなので、その前のことは誰も実証できない。

 オゾンは成層圏にある。成層圏の収縮はオゾンの減少と関係あるという仮説があった。その因果仮説は、これで否定された。二酸化炭素が増えたことが、成層圏を収縮させたのだ。


世界海軍史上初の「無人機母艦」はトルコ海軍が先鞭をつけそうだ。

 『indomiliter』の2021-5-11記事「Forget about the F-35B, Turkey’s Anadolu Class LHD prepares to operate TB-3 paid drones」。
   トルコはF-35生産チェーンから外されてしまったが、トルコ海軍は空母運用の夢を捨てていない。F-35Bを使えないなら、バイラクター「TB3」無人攻撃機をスキージャンプ型空母(『アナドル』級LHDベース)に搭載すればいいという話になってきた。

 2万7000トンの『アナドル』級1番艦は建造中で、2022年にトルコ海軍へ引き渡される。

 さいしょからスキージャンプ台を設けたのだが、F-35B取得はもう絶望なので、他の方法で活かす道を考えねばならぬ。そうしないとヘリ空母としてはスキージャンプ台が却って邪魔にしかならないので。

 無人機を加速させて発艦させてやるための特別なローラー・システムを増設する。
 もともと2022就役予定だった『アナドル』の竣工が遅れているのは、有人固定翼機用のカタパルトシステムを付けようなどと、技術知識不相応に欲張ったから。

 トルコ防衛産業の長官いわく、この艦は、同時に10機の武装ドローンを、発着艦させられるであろうと。
 他に、AH-1戦闘ヘリなどを搭載する。

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 Bayu Pamungkas 記者による2021-5-1記事「Antasena Tank Boat Prototype Finally Performs Test in the Waters」
  「アンタセナ」という名の水上歩兵戦闘艇が4月28日から、東ジャワ島沖で公試運転をスタート。

 高速ボートに戦車砲塔をのっけて、海兵隊が海賊拠点を襲撃するのに使う。

 メーカーは、インドネシアの「PTルディン工業インベスト」社。別名「北海ボート」。プロトタイプは2019に作られていた。

 航続距離600海里で、歩兵部隊1個小隊を乗せ、戦車型の砲塔からの105ミリ砲弾もしくは30ミリ機関砲弾によって火力支援する。12.7ミリ機関銃や7.62ミリ機関銃のRWSも備える。

 105ミリ主砲はコッケリルの低圧砲だが、インドネシア企業によって、ライセンス生産される予定。
 仰角を42度まで上げられるので榴弾砲としても使える。
 また、射程3マイルの「ファラリック」ミサイルを砲身内から発射することもできる。

 40ノットを出せる。もちろんウォータージェット。
 海賊はカリマンタンやパプアの巨大河口や沼地を根城にしている。そこを急襲するにはこのような装備が必要である。

 艇体は双胴艇である。そのおかげで、吃水が1mしかないのに、プラットフォームとしては安定する。
 また、ビーチにぎりぎりまで近づいて歩兵を揚陸させられる。
 歩兵(インドネシア海兵隊員)は20人を余裕で乗せる。無理すれば60人詰め込んで運ぶことも。
 このタイプの舟艇は、津波災害などの救援にも重宝する。

 全長60フィート。

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 ストラテジーペイジの2021-5-12記事。
  民間の衛星写真がとらえた。IRGC(イラン革命防衛隊)は、配下の3箇所の造船所で、双胴艇を量産しつつあり。
 そのうち1タイプは全長76m。

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 Seth J. Frantzman 記者による記事「Pentagon orders small Israeli drones for indoor special operations」。
    米特殊部隊はイスラエル製の「スカイロード・エクステンダー」という屋内作戦用の超小型ドローンを発注した。
 メーカーは、「エクステンド」社。

 同社は、敵のドローンを攻撃し破壊するドローン「スカイロード・グリフォン」も実用化している。
 壁に、レンガ1個分の穴があいていれば、そこからこのドローンは屋内へ進入できる。

 クォッドコプター型だが、ローター外周に沿って縁ガードがあり、壁にぶつかってもブレードは破損しない。
 ※GPSに全く依拠しない高性能のINSを搭載していると思われる。

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 CHAD GARLAND 記者による2021-5-12記事「Intestinal fortitude: The Army wants to make missile fuel using gut bacteria」。
    大腸菌に生産させたロケット燃料でヘルファイアミサイルを飛ばせそうなので、さらにそのスケールを拡大する。
 陸軍が支援する、腸内菌にバイオロケット燃料を生産させる研究プロジェクト。

 従来の単段式のミサイル用のロケット推進薬の原材料には、将来に国際関係が険悪化したときにはただちに入手できなくされてしまいそうな非友好国の寡占する物資や、国内の特定工場だけが製造し納品しているモノがすくなからずある。そうした有事のサプライチェーン上の潜在ネックを今から解消しておく必要があるわけだ。

 まずBTとよばれる前駆物質をバクテリアにつくらせる。従来これは米国内の1工場だけが合成して納入していたので、有事リスクがある。
 バクテリアにBTをつくらせたら、それをもとにBTTNという製品にする。これは多数のケミカル工場において可能である。

 2007の海軍の委嘱調査によれば、米国軍需産業は、このBTを年に1万5000ポンド、使っている。

 ミサイル用固体燃料のバイオ原料化は、BTの製品コストも下げると期待される。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

「THE LINE」は「滑走路都市」にできるだろう。THE LINE as a super long R/W city.

 NEOMの内陸の方は山地になっているから無理だが、アカバ湾に面した西端から、かなりの距離の地上部を、簡易舗装の滑走路にできるはずだ。
 こうすることで、「THE LINE」の沙漠立地の強みをフルに活かすことができる。
 このリニアシティに暮らす人々は、たんに、地下鉄で移動するだけでなく、小型軽量の飛行機で気軽に高速往来することもできるわけだ。ならば、地下鉄は高速化する必要がないだろう。小型軽量機は電動化可能で、低炭素なのだから。
 トータルでエコシティにすることが、現実的になる。

 げんざい、世界最長級の空港でもランウェイは5000mくらいだろう。
 だが、全長170kmのNEOM地区には、1本の長さ数十kmの滑走路を設定できるはず。

 そのどこに着陸しても、すぐに地下都市への入り口にアクセスできる。核戦争が起きたとき、世界中から自家用ジェットで避難してくることができるわけだ。

 着陸支援システムがぜんぶ破壊されて機能しなくなっても、長さ数十kmの滑走路は上空からすぐに見分けられるだろう。目視でてきとうに着陸すればいいのだ。未熟練パイロットでもオーバーランの心配は要らない。

 これを標榜すれば、ビンサルマン皇太子は、世界中の富豪からあらためて投資を集められるに違いない。

 次。
 ストラテジーペイジの2021-5-11記事。
   サウジアラビアは、トルコ企業製のUAV「カライェル」を「ハボーブ」の名でライセンス生産する。
 ほとんどアッセンブリングだけだが2025年までに40機をロールアウトさせるとしている。

 サウジアラビア人に早く石油以外の産業スキルを身につけさせることがビンサルマン氏の課題意識である。現状は公務員系の仕事だけがすべてサウジアラビア人。
 対照的に、製造業などの民間産業はすべて外国人経営者と外国人従業員が運営しているというありさまなのだ。

 「カライェル」は2016年からトルコ軍によって調達され、シリアやトルコ東部で実戦投入されている。完成品は、機数未公表だがサウジにも輸出されている。

 そのサウジが買った1機がイエメンゲリラによって国境付近で撃墜されている。
 上昇限度の高度6500mで飛んでいれば、落とされることはないはずなのだが……。

 「カラウェル」は自重500kg。20時間滞空可能。無線誘導できる距離は最大200km。プログラム飛行させるなら、もっと遠くまで進出できる。

 ペイロードは190kgまで可能。したがってトルコ製の、1発22.5kgの「マム-L」レーザー誘導ミサイル(ヘルファイアの軽量版)ならば4発を吊下して、短距離ミッションをこなせる。あるいは2発のGPS誘導式の50kg爆弾でもいい。
 偵察ミッションで飛ばすときには、55kgのセンサーを搭載する。

 5月6日、アラビア海で米駆逐艦がダウ船を臨検。12トンの武器を押収した。
 3000梃の中共製の新品だが旧タイプである数種類の小火器類のほか、少数のロシア製ATGM、数百のRPGも。
 このダウ船はイランから来てイエメンへ向かっていた。
 イランが中間ブローカーとなって中共企業から買い付け、イエメンのシーア派ゲリラに送っているのだろう。
 イランにもこれしきの武器の製造力はあるが、シナ人のオファーは格安なのだろう。旧タイプの小火器の製造をいまだに続けている中共内の諸工場としては、ダンピングしてでも売り先を確保していきたい。
 なお国連はイランが武器を輸入することを禁じているので、この製品は、イランの国連制裁違反の証拠である。

 次。
 Joseph Trevithick 記者による2021-5-10記事「Top Russian Submarine Design Bureau Hit By Cyber Attack With Chinese Characteristics」。
   『ボレイ』級のSSBNから、『ロシャリク』深海作業艇、ロボット潜航艇、戦略射程の核魚雷までも建造しているロシアの「ルビン設計局」が、シナ人のハッキングの的になった。

 巧妙なフィッシングメールの罠を探知し報告したのはサイバーセキュリティ企業の「サイバレゾン」社で2021-4-30のこと。犯行がいつ試みられたのかについては伏せられているが、4月前半かもしれない。データブリーチが成功したのかどうかは非公表。

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 Ed Cara 記者による記事「Man Caught Three Whole Diseases From a Single Tick Bite」。
   オレゴン州の救急外来に高熱症状と足の腫れで担ぎこまれてきた70歳の老人患者。1匹のマダニに足首を噛まれたことによって、同時に3種類の奇病に罹ってしまったようだった。

 症状は、赤血球の減る貧血、血小板減少症、急性腎不全。さらに肝臓障害の疑いも。

 噛まれた場所は、旅行した先の米国北東部。噛まれた時期は1ヶ月前だという。

 血液検査の結果、ライム病の病原細菌、エーリキア症の病原リケッチア、バベシア症の病原原虫が血中から見出された。

 さいわいなことに、この3つの病気はいずれも、抗生物質による治療が効く。※ウイルスではないので。

 ライム病を運搬するマダニは気候の温暖化とともに全米に生息域を広げている。メッカは北東部だったが、このごろでは加州のビーチに隣接した草藪中にもいるという。

 ※ライム病の原因マダニは北海道の山地には定着してしまったようなので、これから夏までのシーズン、藪に入るときに皮膚を露出していると危ない。なお、人家の内部で発見されるダニはライム病のキャリアーではないそうなのでパニックになる必要はない。



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黒カビ病の恐怖

 Lauren Roberts 記者による記事「In the midst of the COVID pandemic, India is battling a surge of mucormycosis, or ‘black fungus’」。
  インドからの報告。新コロの大流行は、おそろしい黒黴病も増加させている。

 くろかび病は、土壌中の真菌がひきおこす病気である。
 新コロになって重症化すると、救命目的で肺の免疫抑制剤を投与される。すると、ふつうならば阻止できている真菌症に罹ってしまいやすくなるのである。

 免疫不全の人や、糖尿病の人も、真菌症になりやすい。
 じつはパンデミック前から、インドでは真菌症が多い。インド以外の地域とくらべると、70倍もあった。

 ムコール症は、ミューコルマイコシスという黴のグループによって惹き起こされる。このカビは、土壌や、腐った植物の中に見出される。
 人の副鼻腔、脳、肺、皮膚、腎臓などにこのカビがとりつき、増殖してしまう。
 たいがいの患者は、鼻づまり、副鼻腔の痛みを訴える。しばしば、頭痛や発熱も。

 この真菌が眼窩を冒せば患者は失明する。さらにそこから脳内にカビが広がってしまう。そうなると発作や眩暈、意識障害などを引き起こす。

 この真菌が皮膚に定着すると、疱瘡か潰瘍のような外貌を呈し、且つ、皮膚が黒変する。

 カビは胞子を数十万単位で放出して空中に浮遊させる。
 インドに比較的に真菌症が多いのは、高温且つ多湿だからである。

 ふつうの健常人は真菌症をまぬがれているが、たとえば臓器移植手術などを受けると、同時に、強力な免疫抑制剤を投与されるので、ふつうなら阻止できる真菌の侵入を阻止できなくなる。

 新コロに罹って治療中の人は、「易感染性」「免疫不全」になっている。だから黒カビ病にやられやすい。

 また、カビは糖分を栄養にして育つので、糖尿病患者の高血糖は、真菌症の温床となる。

 米国CDCによれば、黒かび病にかかった患者は50%が死ぬ。しかし感染早期に発見ができれば、治療はできるのである。

 黒黴病は、伝染病ではない。したがってヒトからヒトにはうつらないし、動物とヒトとの間でうつることもない。

 今、新コロに感染していて調子のよくない人や、新コロ治療中である人は、免疫機能が低下している。

 新コロで入院している患者は、デキサメタゾンというステロイド剤を投与されている。
 このステロイド剤は肺の炎症を抑制してくれるのだが、同時に、免疫反応も抑制する。
  ※患者の肺が水びたしになるのを防ぐため?

 患者が黒カビ病にかかっているかどうかは、先進国の病院ならば、侵襲的検査ですぐわかる。
 しかし後進国だと発見が遅れる。

 治療薬もある。「アムホテリシンB」や「イサヴコナゾール」といった抗真菌薬。しかし高額だ。

 また、真菌症の診断確定のためには、病院外部の、微生物研究所の助けも要るが、今は新コロ対処でその手が塞がっているところが多いだろう。

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 Tyler Rogoway 記者による2021-5-9記事「Navy SEALs And Army Night Stalkers Captured In Amazing Photos During Virginia Exercise」。
  ヴァジニア沖の訓練模様。
  米特殊部隊員が水上から敵地に侵入するための「コンバット・クラフト・アサルト」(CCA)ボートのステルス型が写真におさめられた。
 「ナイトストーカーズ」の別名で呼ばれる、第160特殊作戦航空連隊が、MH-47ヘリコプターの下に吊るして洋上を運搬することができる。

 ※どう考えてもAAV7やその類似品よりは、CCAボートの方が、中共の尖閣工作を「伐謀」できる力をもっている。なぜなら、海自と調整する必要なく、九州や沖縄の陸自駐屯地の地先海浜から、即座に尖閣まで直航できるからだ。「スピード感」競争で、後手に回ることがない。日本が落ち目になっている最大の原因が、この「スピード感」の欠如であることに、国会議員が気づくスピードも、遅いよなぁ……。



尖閣諸島を自衛隊はどう防衛するか 他国軍の教訓に学ぶ兵器と戦法

潜水艦は内部波によっていったん急に沈降させられ、そこからまた急に押し上げられた。

 Callum Shakespeare 記者による2021-5-10記事「What Are the “Internal Waves” That May Have Sunk the Sub Nanggala?」。
   「インターナル・ウェイヴ」って? 先週、初めてそんな用語のあることを知った人は多かろう。

 内部波は、大気現象、そして海洋現象等として、この地球のいたるところで発生している。ただ、目に見えないのである。
 あなたが乗っていた旅客機が乱気流に突入したときの、水平急降下&急上昇の体感。あれもじつは、大気中の「内部波」のしわざなのだ。

 海洋では、内部波の伝播を視覚化すると、太陽光線が海面で反射しているようなイメージだ。※出典元ページに衛星からのイメージを加工した動画あり。

 険峻な孤立峰を強風が通過するとき、「インターナル波」は発生する。空気が山腹に衝突して上昇するときは重力に逆らう。しかし峰を越えて反対斜面を下るときには、スピードは加速される。
 それで、山の風下側には、振動下降気流が生ずる。「内部波」の一種である。

 平らな床に、ボールを弾ませながら転がしてやる。するとボールは、半月弧をくりかえし描きながら、遠ざかって行く。半月弧の下降局面では、ボールは重力によって加速される。
 ボールを最初に投げたときの水平移動速力が大きいほど、「波長」も長くなる。

 海の波は長い距離を寄せてくるけれども、海岸の浅瀬に達すれば急変して消えてしまう。おなじように、大気の波は、成層圏の下端(ジェット気流がある高度)に達したところで急変する。
 急変した空気の波はタービュランス(乱気流)に化ける。それが、空中のジェット旅客機をとつじょ、ゆさぶるわけだ。

 海の潮流は、海底の山脈に当たると、内部波を生む。
 海底の丘が高いほど、発生する内部波も強烈化する。

 インドネシアの周辺では、深いところを動いてきた海流が、いきなり、浅い海峡をくぐりぬけねばならぬ地形が多いので、あちこちで、強力な内部波が次々に生成されている。

 特別に規模の大きな内部波は「インターナル・ソリタリー波」〔海中一発大浪〕と呼ばれる。その波の水平移動速度は5ノットにすぎないが、上昇&下降の巾は数百フィートであり、波長はセベラル浬である。

 こうした孤立波(ソリタリー・ウェイヴ)は、深度160m~650mぐらいの海中において、最大のものが観測される。

 それは、変温層のすぐ下という意味。海表面には暖かい水の層があるが、変温層を境界面として、その下には冷たい水の層がある。この変温層で音が反射してしまうので、潜水艦が敵の水上艦のソナーの探知をまぬがれたり、逆に遠くの敵の潜水艦が出す音に聴き耳を立てるのに、この深度がよく利用される。

 そこにとつぜん、海中一発大波が来たとする。たちまちその潜水艦は、毎分30フィート、下にひきずりこまれるか、上に持ち上げられる感じになる。それが10分間続くのである。

 もし急激な下降波にとらわれたなら、潜水艦の艦長は、ただちに対抗機動の操艦をさせる必要がある。さもないとじきに、圧壊深度までもっていかれてしまう。米海軍の潜水艦隊では、遅くも1966年には、この危険について周知されていた。