モスクワにある、「Ostafyevo」航空基地で、夜間、挺進破壊チームが「カモフ32」ヘリの1機に放火するビデオがSNSに上がっている。

 近くには他のヘリコプターも駐機しているのが見えるのだが、このたびの戦果は1機だけだったと報じられており、だとすると、彼らは1機に火を着けたところで、すぐに、ずらかったらしい。

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 Defense Express の2024-4-26記事「Abrams is Unfit for Ukrainian War: Tanks are Withdrawn from the First Line」。
   APが報道した。宇軍に与えられていた「M1A1」戦車は、すべて、第一線からは引き払われた。こんなもの役に立たないと認定された。

 米軍高官は、不振の理由として、戦場がUAV(偵察型と自爆型)でみちみちているからだ、とAPに語った。
 エイブラムズは、去年の9月いらい31両が供与されたが、すでに5両が戦闘で損壊。

 教訓。どんな優秀兵器も「大量に」使えないなら、戦況を変える力は無い。
 「M1」戦車は、露軍から見ると、目標プライオリティとして「ナンバワーワン」だから、発見するや、すべての火力をそこに集めてくる。それでやられてしまう。

 西側諸国がウクライナへ戦車をくれてやるときに、いっしょにタマもつけてやるわけだが、その弾種が、対戦車弾にばかり偏っていた。そんなもの、ウクライナ戦線では使う機会は無いのである。対人弾だけが必要だった。ところがその弾種が、わずかしか含まれていない。「チャレンジャー2」に至っては、その主砲用の「対人榴弾」を、そもそも製造すらしていない。

 アウディウカの防戦にては、M1戦車は、ギリギリ後方に退がって、「自走野砲」となって、対人榴弾を間接照準で遠射し続けたという。もし前方に出れば、露軍のATGWチームによってすぐに仕留められてしまっただろう、という。

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 Joseph Trevithick 記者による2024-4-25記事「Have Ground Launched Small Diameter Bombs Been ‘Thrown Aside’ By Ukraine?」。
    ウクライナへ供与されたGLSDBの調子がぜんぜんよくない。どうも、まともに飛ばないらしい。言い訳として、露軍のEWが効いているからだというのだが、それは嘘だ。

 GLSDBは、ボーイングとサーブの共同開発。
 量的にありあまっている航空爆弾に翼をつけて火薬ブースターで地上から飛ばし、150km先を精密に攻撃できるはずだった。

 どうも原因はECMじゃないようだ。
 この新兵器を使うのは、技術的・戦術的にとても面倒らしい。と同時に、ウクライナ軍部隊は、この新兵器をうまく役立てるためのドクトリン、組織、訓練をもっていない。
 それで、3回くらいも、たてつづけに失敗してしまい、前線では、もうこの兵器は役に立たないと認定し、二度と、持ち出そうとしなくなっている。末端のウクライナ兵の立場としては、とうぜんにそうなるのだ。

 ※そこで私は最初から言っている。ボロ乗用車やバイクでも運搬ができる81~82㎜迫撃砲をとにかく大量に――穴掘り道具とともに――与えるのが、あの戦場では大正解なんだと。人を見て法を説け、という話。

 米国がGLSDBをウクライナに与えると言い出したのは2023-2だったが、それから1年間、まったく実戦使用の報道がなかった。
 つまりはシステムとして未完成だったものを見切り発車で与えようと急いだのだ。

 しかも、いまげんざいに至るまで、宇軍がGLSDBを発射しているところの写真も動画も、ひとつもリリースされていない。発射からして大失敗しているのでは?

 露軍が撮影した、GLSDBの残骸の動画は、SNSに上がっている。

 GLSDBはダメらしいという新情報は、ATACMSの長射程型を追加供与しますというニュースと、ほぼ同時に出てきた。
 HIMARSやATACMS後期型も、GPSが頼りである。而してこっちは何も問題がない。調子よく、当たっているのだ。

 ということは、GLSDBだけが、欠陥兵器なのだ。EWのせいじゃなくて。

 米軍は空対地でJDAMの有翼型をなんども使用しているが、こちらにも問題がない。とすると、不具合箇所は、地上から火薬ブースターの力で発射するフェイズにあるのかもしれない。

 ※《ボーイング社の中の誰かが出世したいあまり見切り発車をやらかした》説に、私は百円賭ける。2022-11-28のとくだねニュースとして、ボーイング社の方からペンタゴンへ、この未完成兵器をウクライナに援助しましょうと提案していることが報じられていた。それから1年半では、新型ロケットは成熟しなかったのだ。ボーイング社内の「風」がいまどんな感じなのかは、あの社長さんの顔を見ればわかる、と、おそらく全米の人が思っているだろう。

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 The Maritime Executive の2024-4-25記事「Just Months After Mysterious Rupture, Finland-Estonia Gas Line Restored」。
   7ヵ月前に支那船が破壊した「フィンランド~エストニア」の海底パイプラインの修繕が完了した。
 ふつう、この規模の修理は1年以上かかるものだが、突貫工事の能力を示した。

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 Jon Harper 記者による2024-4-25記事「US to give Israel $1.2B for Iron Beam laser weapon」。
    水曜日にバイデンが署名した「2024イスラエル安全保障追加支出法」(総額264億ドル)の中には、イスラエル政府が「アイアン・ビーム」を調達するのを助けるための費目(12億ドル)も含まれている。

 出力100キロワットの地対空レーザー高射砲である。

 2023-10-7のハマス奇襲開戦の直後にホワイトハウスが議会へ要求した追加支出法案では、イスラエルに与える総額143億ドルのうち12億ドルがアイアンビームの開発や試験を助けるための費目とされていたが、今回は、開発や試験のためではなく、調達のためだと説明し直されている。

 今回の12億ドルは、ペンタゴン予算の総枠の中から、転用される。

 アイアンビームを開発しているメーカーはラファエル社。社いわく、対UAVの有効射程は数百mから数kmである、と。

 今回の12億ドルの支出は、2026-9-30=FY25の年度末日 まで有効である。
 イスラエル軍は、2025末までには、このレーザー高射砲を実戦展開する計画である。

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 Svetlana Shcherbak 記者による2024-4-25記事「How AI Passed the “Baptism of Fire” in the Ukrainian Armed Forces, and Also in the IDF During Battles in Gaza」。
    権威あるシンクタンクのIISSが、その特設ブログの中で、ウクライナ軍がFPVドローン以外にもAIを使っている事実を紹介している。

 それによると、宇軍の将校たちがすでに2022秋、ヘルソン解放の戦いのさなかに、ロシア兵を心理的に屈服させるため、AI分析の力を借りていたという。
 HIMARSがしきりに撃ち込まれていた折だった。

 ブログによると、AIは「対諜報」に役立つものだという。ロシアが、こちらの誰について関心を抱いているのか、浮かび上がらせることができれば、おのずから、敵はその人物に関してさまざま工作を展開するだろうと予測できるので。

 戦争中は、敵の「一歩先」の予測が、AIによって可能になる。それは防御にだけでなく、こちらからの攻撃に役立てることができるのである。

 イスラエルは現に、ガザにおけるハマスとの抗争にさいして、この攻勢的なAI援用プランニングを、実践中なのであるという。

 イスラエル軍のAI作戦立案システムには、「エヴァンゲリー」および「ラヴァンダ」という2つのコードネームが与えられたものがあるという。
 それは次に集中攻撃するべきターゲットを絞り込んでくれるという。また次に敵がどう出てくるかも予想してくれるという。


核戦争時に放射線や放射性物質を浴びてしまったF-16を洗って再び出撃させるという、地上勤務者の演習が、ドイツのスパングダレム基地で行われた。

 ドイツでは、アパート代を惜しむ人が、列車のふつうの客車を夜のねぐらとして周年生活することが可能であるという話だ。一青年が「通年乗車券(年間パス)」を購入して実践中。すでに1年半、経過していると。おそらくソースは『DW』紙。

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 Howard Altman 記者による2024-4-25記事「First Confirmed Abrams Tank Variant Captured By Russia Seen With Inner Armor Exposed」。
   ついにM1エイブラムズの砲塔正面の複合装甲の内部構造が写真で公開された。
 M1を母体にした「M1150」という、障害突破用の工兵戦車(ABV)があるのだが、砲塔はM1そのままの流用だ。
 その1両がウクライナ戦線で地雷を踏んで遺棄された。露軍が鹵獲し、それをトレーラーに載せて回収した。
 その運搬中の写真がSNSに出たが、なぜか砲塔正面の外皮装甲鈑が一部、クリーンに剥がされていて、内側が丸見えにされている。それが撮影された。

 見た感じでは、傾斜角10度(前下がり)に、上下20段ほどに、セラミック鈑、もしくは劣化ウラン鈑を、窓のブラインドを下ろした感じに、各鈑厚とほぼ等しく見える空隙をあけつつ重ねて挿入設置。その重なり具合は、1枚の挿入鈑の前縁から水平線を車体後方に向けて引けば、それより2枚下の挿入鈑の後縁と同じ高さに当たるという感じ。

 さらにこの「20段重ね」(仮にA層と呼ぶ)の後方には、前後幅としては三分の一くらいだが、類似した鎧戸式構造の「B層」があり、そちらは各鈑が薄くて上下40段重ねくらいである。AとBの鈑素材が違うのかどうかは不明だが、色は同じに見える。

 次に赤銅色で単鈑に見えるC層があり、これは外皮装甲鈑厚の半分くらいの厚さ。傾斜角は砲塔正面外皮(装甲表面)と同じ。
 そのC層と密着してD層があり、色はC層と同じだが厚さがC層の2倍ある。
 あるいはC層とD層は素材は同じなのだが、敢えて2枚構成にして「すべらせ効果」もしくは「中空装甲効果」を期待しているのかもしれない。だとすると、AB層が劣化ウラン金属で、CD層は超硬セラミックなのかもしれない。

 D層の裏面は、砲塔ライナー(内張り)の外面に密着(接着剤使用?)しているように見える。今回のカッタウェイでは、ライナーの鈑厚は、読み取れない。

 A層の層としての厚さ(前後の深さ)は、砲塔正面表皮装甲鈑厚のちょうど3倍である。B層は表皮と同厚。C層は表皮の半分の厚さ。D層は表皮の1.5倍の厚さ(前後の深さ)であるように見える。

 ウクライナ戦線に「M1150」があらわれたのは、2023-11のことであった。
 何両、供与されているのかは、不明である。ペンタゴンはそもそも「M1150」をウクライナにくれてやったと公表したこともない。

 Oryxの物好きカウントによると、宇軍はすでに2両の「M1150」をやられてしまっている。
 同じくOryxがオープンソースを仔細に調べたところでは、すくなくも2両のM1戦車もやられている。米国から供与されたM1の総数は31両である。

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 Defense Express の2024-4-24記事「Capabilities of the Paveway IV Bombs Britain is Allegedly Planning to Supply Ukraine」。
 「ペイヴウェイ IV」は、レイセオン社の英国支社「RTX」が開発した精密誘導爆弾。製品としては、JDAMのライバルだといえる。
 2008年に英国防省が採用。あと、サウジアラビアもこの爆弾を買っている。タイフーンから投下するものだが、F-35もこれを使うことが可能。

 着発前に、地表から少し離れたところで起爆するモードがあり、それが特に有効なので、ウリであるらしい。

 ちなみにフランス製の同格品としては「AASM Hammer」という対地攻撃兵装がある。※仏語では冒頭のHを発音しないから、これは「アメル」とでも呼べばいいのか?

 23日の英政府発表によると、この「ペイヴウェイ」をウクライナ空軍機のために供与すると。

 ※アマゾンで20ドルで買える「Solar Balloon」という、中学生向けの教育玩具(米国製)があり、ウクライナ軍はこれを使って「風船爆弾」を放っているのではないか、という。上下長50フィートの巨大な黒いゴミ袋といった外見で、バルーンの内外気圧差はゼロ。これで1kg以上のペイロードがあるそうだ。露領で回収されている残骸にはペットボトルがぶらさがっていることが多いのだが、それがバラストなのだという。いやせっかくだからそのペットボトルの内部にリフレクターのアルミ箔でも仕込めよ。それで防空アセットに負荷をかけてやれるじゃないか。


『自転車で勝てた戦争があった』の見本刷りは、すでに22日に印刷所から版元まで届けられた模様。

 ぜ~んこくの図書館利用者の皆さん!
 この新刊を《購入希望》の新刊書リクエストカードに書き込み、1人でも多くの人が自転車の真実に目覚められるようにしましょう!

 ちなみに表紙カバーに使われているAI描画(複数)も、「Y.I.」さんが作ってくださったものです。
 いきなりこんな時代が到来したんだな~。

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 Howard Altman 記者による2024-4-23記事「Meet The Flamethrowing Robodog Named Thermonator」。
    「サーモネーター」、爆誕。

 オハイオ州にある「スロウフレイム社」。ロボドッグに火炎放射器を結合して、9420ドルにて、売り出した。

 この会社はもともと、火炎放射器のメーカーらしい。「ARC フレイムスローワー」という商品が前からあり、それを、ロボ犬に載せてみたようだ。
 火炎は30フィート先まで届く。

 ロボ犬の「下顎」部分にLIDARのセンサーがあって、全周を3D測距するために常にぐるぐる回っている。ここから出される周辺探知用のレーザーは、人畜の目には無害だ。
 そのロボット犬を、オペレーターは、FPV操縦する。もちろん夜間もOK。

 ※雑報によると全米の48州で合法的にこれを買えるのだそうだ。

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 ストラテジーペイジ の2024-2-24記事。
   イランが「358」という、ユニークな上空待機型の対低速機用のSAMを開発したのはもう何年も前だ。
 これは中高度以下を飛んで来るUAVや、ヘリコプターに対して、効果があると考えられている。

 「358」は全長2.7m、自重40kgで、弾頭重量は10kg。

 センサーは熱赤外線を捉える。近接信管はレーザーの反射を利用する。

 「358」のロイタリング飛行スピードは、500km/時である。
 地上の発射機コンテナーからは、まず火薬ブースターで飛び出し、空中でガスタービン動力に切り替える。

 ロイタリング高度は1000フィート以下。パターンは「8の字」が普通である。
 会敵せずに燃料が尽きたときは、地上に墜落する。

 機体と地上の間には無線リンクもあり、哨戒空域を変えさせたいときは、無線でその指示ができる。

 「358」は、イエメンのフーシに武器を密輸出せんとするイラン船を海上で取り締まっていた米艦が、2018年から押収し始めた。これまでに数十基、押収されているという。

 レバノンや、シリア西部でも、すでに「358」が飛んでいる。
 速度差があるので、イスラエルの高速のジェット戦闘機にとってはほとんど脅威ではないのだが、もし偶然に近傍を航過するようなことがあると、やられるおそれはある。

 また、この「358」をイスラエル軍の航空基地の近くで飛ばされると、とても迷惑だ。戦闘機の離着陸時のスピードは遅いので、「358」でも直撃のチャンスがある。

 米国からウクライナに少量が供与されている「スイッチブレード600」には「全自動モード」がある。オペレーターからいっさい、指図をしないで、ロイタリングミュニションが勝手にターゲティングするから、通信リンクに対する電波ジャミングは、効かない。
 「358」も同じ強みをもつ。

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 Steve Holland and Idrees Ali 記者による2024-4-25記事「The US quietly shipped long-range ATACMS missiles to Ukraine」。
   水曜日にロイターが聞き出したところでは、すでに数週間前にATACMSの300km飛ぶやつはウクライナへ供与済みで、しかも、それはもう2度も、露軍に対して実戦発射されているという。

 これは、3月12日にバイデンが署名した3億ドル援助パッケージに含まれていたと。
 その数量については、政府は口を閉ざしている。

 その最初の発射(複数発)は4月17日で、クリミア半島にある露軍の飛行場を狙った。その飛翔距離は165kmであったという。

 ※165kmは旧型ATACMSと同じなので、露軍はそれが新型ATACMSであるとは気付かなかったわけか?

 またその二度目の発射は、ウクライナ南東の領土内の露軍に対して、ひとばんじゅう、行われたという。

 ちなみに、最大射程が165kmである旧世代ATACMSは、2023-9にウクライナ軍へ与えられた。

 ロシアは米政府の警告を無視して北朝鮮から弾道ミサイルを調達し、それを2023-12と2024-1にウクライナ領内へ発射している。

 長射程版ATACMSの対宇供与に米政府が踏み切った背景として、露軍がウクライナの重要なインフラを爆撃し始めたことにたいする加罰の意図がある。そのメッセージはロシアに伝わっており、ロシアはインフラ破壊を控えるようになったという。

 ATACMSのメーカーであるロッキードマーティン社と、運用者である米軍が、2024-1後半までに、さらなるATACMSの対宇供与をしても、米軍の「レディネス」は悪化しません〔=新品製造を巻き上げるので、対支戦争が不安になることはありません〕、とバイデン政権へ請合った。

 これを承けて2月なかば、バイデン政権内では秘密裡に、追加供与する方針が決まった。熱心なアドバイザーたちの勧めを、政権内の他の国家安全保障チームが受け入れた。

 国家安全保障チームの主な面々。ジェイク・サリヴァン。ロイド・オースティン。アントニー・ブリンケン。統幕議長のC.Q.ブラウン。

 問題は原資であった。3月、ペンタゴンに納入している複数のメーカーが、安値を提示。これでバイデン政権は3億ドルを新たにウクライナ援助に使えることになった。この枠でATACMSを援助した。

 バイデンがチームに命じた。その援助品の中に、長射程型のATACMSを入れろ、と。

 ※従来より射程が大な精密弾道ミサイル兵器がウクライナの前線に登場すると、敵の露軍は、その射程を避けるべく、必要なだけ、後退する。だから新兵器による大戦果は最初の数日間しか期待することはできず、常にワンタイムである。米側としては、いきなり300kmレンジのSSMを援助するのではなく、まず80kmのHIMARS、次に165kmの旧型ATACMS、次に300kmの新型ATACMS……という具合にステップアップする流儀を選んでいる。新兵器の奇襲効果はすぐになくなってしまうが、3段階にステップアップすれば、奇襲も3回できるわけである。もちろんこれはウクライナにとってはもどかしい。最初から300km型ATACMSがあったなら、ドニプロ川の北岸からクリミア半島全域を火制できたのだ。が、それは、《長射程の反撃兵器》を2014年からまったく自前で整備しようとはしてこかったウクライナ人が悪い。ミサイルは安い製品ではない。それを只で貰って濫費できると思う「乞食主義」はホワイトハウスにより拒否され、ウクライナ人は仕方なくじぶんたちの無限の流血で代価を支払っているところなのだ。ところで300kmの次は500~600kmの弾道弾かというと、これはない。ウクライナ国境から500km先がモスクワだから、1987米ソINF条約の精神が完全に破壊されてしまう。ロシアは、全欧の大都市を破壊できる複数核弾頭付きの「SS-20」を復活させることができる。そうさせないことは、ウクライナの救済などよりも、重要なのである。

 次。
 Ritu Sharma 記者による2024-4-24記事「IAF’s Su-30 MKI Test Fires Ballistic Missile That Can ‘Rock’ Pakistan’s Terror Camps From Indian Airspace」。
    インドが、空中発射型の弾道ミサイルをテストした。場所はアンダマン~ニコバル諸島沖。
 「クリスタル・メイズ 2」といい、イスラエルのラファエル社の製品。
 発射母機は「スホイ30MKI」。
 ミサイルの射程は250km以上とされる。

 インドはこのミサイルを国産化しようと考えている。



自転車で勝てた戦争があった


土曜日、6機のF-22が追加で嘉手納に飛来していた。ヴァジニア州のラングレーから。

 Edward Luttwak 記者による2024-4-23記事「Iran is weaker than we think Despite Obama’s mistakes, Israel retains the upper hand」。
    16年前のオバマ政権は、イランに「アメリカに死を」の路線を止めさせようと試みた。結果、イランは中東の米軍基地を無人機で爆撃するようになっただけだった。

 このときも、今も、アメリカ政府は「構図」が理解できていない。イランに「アメリカに死を」の態度を放棄させることなどできないのである。

 オバマは、ロースクールで同窓だったロバート・マレイを信任していたと思しい。マレイは大のイスラエル嫌いであった。だからイランを見る目も曇っていた。

 イランの政体は、イランの人民からは支持されていない。なにしろ抑圧的であり腐っている。
 なのでイラン指導部は、IRGC(イラン革命防衛隊)内の矯激分子、および「Basij」民兵、政治大好き説教師たちに、ますます頼るしかない。

 だからオバマが対イランの制裁解除とひきかえに核合意を呑ませたつもりになっていても、中味の芯は何も変わっていない。

 オバマはバイデンに対して、マレイをイラン問題のコーディネーターにするんだぞと強いた。しかしマレイはセキュリティ・クリアランスを喪失し、その地位にはいられなくなった。

 バイデンはイエメンのフーシを、テロリスト名簿から除いてやった。何の見返りもなしに。それでテヘランは、バイデンは利巧じゃないと理解した。今、フーシはテヘランの手先として米軍艦と直接に交戦中である。

 イランは、サダム・フセインのイラクよりも強靭である。それは国土が4倍広く、人口が2倍あるからじゃない。イランはイスラム化する前から地域の先進帝国で、地域を支配する側の国であった。中東で、何百年もそれをやってきた。その政治文化遺産が、強靭なのである。

 瀬戸際挑発も、イランは巧妙だ。決して米軍からは真正戦争をしかけられないようにマネージしている。

 イランが中東の盟主になるためには、根本の障害が2つある。宗派と民族だ。
 イランはイスラム発祥の地ではない。サウジが盟主面をしている。サウジのスンニに対抗してイランは「シーア派」をつくったが、まだ中東のメジャーではない。さらなる分裂は、イラン人はアーリア人種であってアラブ人ではない。アーリアのイラン人はずっと、未開のアラブ人を馬鹿にしてきた。「トカゲ喰い」と呼んできた。アラブ人はペルシャに支配される側の文盲の乞食であった。イスラム教ができる前は。

 ※そのイスラム教を宗教らしく整えてやったのもペルシャの学者なんだとイラン人は思っている。なにしろベドウィンは無学だったので。

 しかし今日、たったひとつのテーマで現代の中東はまとまることができるのだ。それが、反イスラエル。
 だからイランは、反イスラエルの旗振りをする。これにはスンニ派もアラブ人も反対はできない。協賛するしかない。

 IRGC(イラン革命防衛隊)は、レバノン、シリア、イラク、イエメンに住むアラブ人を手下のゲリラ戦士に育てる「帝国のスキル」があることを立証している。こんなことがやれたのは、昔インドを支配していた大英帝国ぐらいなものであった。

 いま、アメリカ軍がイランを恐れなければならない原因もここにある。イランは、手下のアラブ人たちを捨て駒にして米軍に立ち向かわることができる。その捨て駒の人数が、年々、増える一方なのだ。

 かたやイランには逆風も吹く。4月1日にダマスカスにて、IRGC(イラン革命防衛隊)の高級指揮官と幕僚が、イスラエル軍機による対地爆撃を喰らい、まとめて吹っ飛ばされた。この一件について、アラブ世界は、まったく、沈黙している。ざまあみろと思っているのだ。ダマスカスは古くからのスンニの牙城だったが、いまやシーア系政府が支配するところ。スンニ派諸国は、イラン帝国の拡大を、苦々しく思っているのだ。

 ※雑報によるとバイデン政権は議会に対し、長射程型(すなわちレンジ300km、GPS自律誘導)のATACMSをウクライナに供与すると通知したという。バイデン政権がATACMSの初期型(レンジ165km、クラスター弾頭だがGPS修正はしないタイプ)の供与に踏み切ったのは2023-10のこと(初発射は23-10-17)。2023夏の「反転攻勢」とやらが大失敗した、かなり後なのであるが、おそらくは、ロシアが北鮮から弾道ミサイル「KN-23」などを購入したことが確実になったタイミングでバイデン政権は「制裁」の意味をこめてそれを決定した。「KN-23」は2023-12-30にハルキウに初弾が撃ち込まれている。その2~3ヵ月前に北鮮からの輸入作業が始ったと考えて矛盾はない。つまりこういうことだ。ウクライナ人が《長射程の反撃兵器》を自前で整備していなかったためにロシアから一方的に苦しめられているのは、まったくウクライナ人がなまけていたせいなので、そこには特に配慮などしない。むしろ「1987米ソINF条約」の精神が崩れることを米国としては重視する。今回の長射程型ATACMSの供与決定の背後には、おそらく、ロシアがイランから弾道ミサイルを輸入しようと動いたことがあるのだろう。これまた「制裁」の意味合いなのだ。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2024-4-23記事「Hostilities surge: Hezbollah struck Hermes drone in air clash」。
   4月21日にヒズボラは、イスラエル軍の「ヘルメス450」無人偵察機を撃墜した。SAMを使って。場所は南部レバノン。

 その前の4月6日にも、「ヘルメス450」と「ヘルメス900」が撃墜されている。後者は1機が3000万ドルするものだ。

 「ヘルメス450」は別名「ジーク」といい、エルビット・システムズ社が開発した。
 ウイングスパン10.5m、最大離陸重量450kg(ペイロード150kg)。

 エンジンはロータリーエンジンで、最大130ノットを出す。高度は1万8000フィートまで。滞空は20時間可能。

 ※リーパーの最新系列の「モハベ」無人機に、メーカーはミニガンを搭載してテストしたという。この「モハベ」という、非スペイン人には発音しにくい、したがって輸出商売的には論外なネーミングが、そもそも私には謎で仕方なかったのだが、ようやく意図が分かった。こいつをメーカーは、メキシコの麻薬カルテル相手の戦争用に売り込もうというのだ。麻薬カルテルならMANPADSを保有していないから、低空から銃撃もし放題だ。トランプとその支持者がよろこびそうな絵図が浮かんでくるじゃないか。


モンゴルのフタコブラクダがNHK取材班の冬山登山に雇われたさい、6頭で500kgを駄載した。すなわち1頭が80kgである。

 Sam Skove 記者による2024-4-19記事「Army SOF’s new drone course teaches gamer and maker skills」。
   FPVドローンの訓練には「DRL(ドローン・レーシング・リーグ)」という市販のシミュレーターゲームが役に立つ。
 ※2017年からあるソフトウェアらしい。今は9ドル99セントで売られている。

 米陸軍内にはFPVドローン操縦(特殊部隊員)を育成するコースがある。その修了者は、ポーランドへ派遣され、そこで、ウクライナ兵たちに稽古をつけてやる。

 RUSIC=ロボティクス&アンマンド・システム・インテグレーション・コースは、米陸軍の「ジョン・F・ケネディ特殊戦センター&学校」内に用意されている6週間の教育課程である。教育隊長は中佐。

 入校すると、最初の2週間は、関連するFAAの航空法規を覚えさせられる。

 3週間目で訓練は本格化し、敵からジャミングを受けている電波環境下でドローンを操る術を学ぶ。

 また「アンドロイド・チーム・アウェアネス・キット」の使い方も習う。これはアンドロイド・スマホに入れるアプリで、ドローンによる攻撃ミッションをプランニングするのを助けてくれるツールである。

 4週目に入ると「カウンター・ドローン・システム」も学ぶ。
 もしそうしたシステムを使えないときに、敵のドローン脅威下に入ったならどうするかも。
 具体的には、上空から発見されることのないルートだけを縫うように地上を移動する、そのルートを頭の中で素早く考えるのだ。

 第5週目では、異なる重量のペイロードにそれぞれ最適な電池パックを計算し、それを実物のドローンに取り付けて飛ばす。ドローン教官としてポーランドに派遣されるときに、これが最も価値の高いスキルである。これを現地の友邦軍隊の兵隊たちに教えてやれなくてはいけないのだ。

 最終の第6週では、学生たちは、いままで習ったことをすべて動員してテスト演習に挑む。

 入校時にはドローンを一度も飛ばしたこともなかった兵隊が、修了時には、片道FPV特攻機による攻撃を巧妙に計画して実行できるまでになる。

 ドローン専門スキルを標榜する隊員は、部隊で、かならず、「こいつを直してくれ」と不具合ドローンを持ち込まれて頼まれることになるだろう。その機体はじつにさまざまだが、RUSICでは、実物サンプルを多数揃えて教育をしているから、その隊員には、すでに機体の見覚えがあるはずである。初見の機体だと、不具合箇所の見当もつかないのはとうぜんで、持ち込んだ者からは、役立たずな奴だと思われてしまうだろう。

 RUSICはFY2023で初予算がつき、2023-10に開講したばかり。1回24人の学生を、年に4回うけいれる。別な基地には、まったく同規模のコースも、もうひとつ、ある。

 修了者には「マスター・トレーナー」の公認資格が与えられ、他の隊員を教育することがゆるされる。

 次。
 Joseph Trevithick 記者による2024-4-22記事「Russia’s Historic Submarine Rescue Ship Looks Undamaged After Claimed Strike」。
    ウクライナ軍は、ロシア海軍の潜水艦救難艦『コムナ』をセバストポリ軍港内でやっつけたと言うのだが、最新の衛星写真でたしかめると、無傷のように見える。

 『コムナ』は双胴(カタマラン)構造で、上甲板のかわりにアーチ状の鉄構があり、その天井から吊り下げワイヤを伸ばし、そこへ深海救助艇を吊るしている。潜水艦救助の現場に到着すると、ホイストで潜航艇を海面に――すなわち双胴の中間がすべてムーンプール――下ろす。

 下ろされた潜航艇はすぐには潜らず、まず自航して『コムナ』の艦尾から遠く外へ離れてから、潜水する。揚収はこの逆順。
 おそらく、このアーチ鉄構からちょくせつに海底までケーブルを垂らせば、軽い物ならサルベージもできるのだろう。

 『コムナ』は1915年に帝政ロシア海軍の潜水艦サルベージ船として就役している。革命前は『Volkhov』という船名であった。造船所はサンクトペテルスブルグ。進水は1913年。

 1917年には、じっさいに潜水艦を引き揚げている。それも2回。1隻は米国から買った『ホランド』級。もう1隻は、それをロシアでコピーした『Bars』級。

 ※このカタチのフネには「とても修理しやすい」という大メリットがあるのではないか? これはひとつ研究する価値があるであろう。

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 Defense Express の2024-4-22記事「Shahed-136’s New 90-kg Warhead and Other Findings of the Alabuga Data Leak」。
    アラブガとは、ロシア国内の産業団地で、そこで今「シャヘド136」の国産品を組み立てている。

 この工場の内部資料が、どういうルートなのか、リークされて、インターネットで閲覧できるようにされた。

 この資料から、いまや「シャヘド136」には重さ90kgの弾頭が装置されていることが知られる。
 オリジナルでは弾頭重量は50kgであった。

 弾頭を重くしたので「重心」を元に戻すために、胴体内の燃料タンクの配置はすこしいじったようだ。

 オリジナルの50kg弾頭の中には、炸薬は28kg入っていた。
 最新の90kg弾頭の中には、炸薬は62kg、詰まっている。しかも、HEATと対人破片と焼夷剤を、ご丁寧にすべて盛りつけてある。三色丼だ。

 オリジナルの「シャヘド136」は、航続距離1350kmだった。
 しかしロシア版は、弾頭を重くしたかわりにレンジが650kmに縮んだ。これは静穏な天象下での数値である。

 計画では、ロシアはこの特攻機用の弾薬として、別に、サーモバリックを3000個、HE焼夷弾を7000個、量産するつもりらしい。しかし、いつまでに、という情報は、無い。

 三色丼弾頭は、実験用のプロトタイプが30発、製造されただけで、すぐに1000発の量産が指令された模様。最初の実験は2023-11だった。

 いま、露軍は1日平均30機の「シャヘド136」を飛ばしている。毎日30発の弾頭を製造すると、1年で1100発弱になる。これは、量産指令数と符合しているように見える。

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 Defense Express の2024-4-22記事「With Chinese Help, russia is Working to Turn Shahed-136 into a Lancet-Type Loitering Munition (Document)」。
   アラブガのリーク資料によると、ロシアは中共の「VCan グループ」という会社(そのブランドは「iVcan」)、「TX900」というビデオ信号伝送用のデバイスを輸入して、国産品の「シャヘド136」に組み込んでいる。

 これはつまり、シャヘドをGPS座標特攻機としてではなく、FPV操縦機にもしようという試みだ。「TX900」を使うと、高画質の動画データを220kmも飛ばすことができる。

 その弁当箱の重さは243グラム。出力10ワット。電送速度は30Mbit/秒。1448メガヘルツと826メガヘルツを自動で切り替える(調子が良い方を選ぶ)。暗号化方式は「AES128」準拠。


ウクライナとモルドバはこれまで、鉄道運行のマネージング・システムをロシア系に依存してきたのだが、2024年末までには、西欧系に切り替える。これによってロシアの鉄道網とはソフトウェア的に切り離される。

 『The Militarnyi』の2024-4-21記事「Ukraine Tests FPV Drone with Target Detection, Lock-On, and Tracking System」。
    「ワイルド・ホーネッツ」と自称するウクライナ国内の義勇団体が、「目標判定→ロックオン→追尾」を全自動で遂行するソフトウェアを搭載したFPVドローンをテストした。

 その実験ビデオは「X」に投稿されている。

 「PREPARE」モードにして飛ばすと、マシーンがまず敵歩兵を認定し、そのシルエットを緑色の枠で囲んで知らせる。

 リモコン操縦者がその画像を見て、シルエットにクロスヘアを置けば、標的ロックオン。モードは「TRACKING」に移行して、緑枠も赤色枠に変色。

 しかし、このロックオンすら、自動にしてしまうことも、できるのだという。

 4月4日にこのニュースサイト「The Militarnyi」は、「Magyar Birds」部隊の指揮官の話を紹介した。鹵獲された露軍のFPV特攻ドローンに、自動ターゲティング・ソフトウェアが組み込まれていたのだ。

 場所はヘルソン。敵のドローン運用部隊は「Doomsday」。墜落したのは宇軍のEWが効いたからだった。

 その露軍の全自動自爆ドローンの部品は中国製をかき集めていた。「Foxeer」という支那メーカーが、カーボンファイバーの7インチ・フレームを販売しているのだ。

 コードネーム「マジャール」なる宇軍人氏いわく。起爆は、近接式で、「マシンビジョン」がそのタイミングを決めるようになっているという。そのシステムはドローン内臓の回路基板の中に入っている。墜落したときは自爆させるプログラムにもなっているはずだという。

 ※とうとう、ラインオブサイトをはるかに越えた「対人ミサイル」が、実用化されてしまったわけだ。こうなるとこれからの兵隊は、マッドマックス型のソードオフ・ショットガンを常に持ち歩く必要がある。発射する散弾は、繊維によってつなぎあわされているもので、投網のように散開して、自爆ドローンの近接を阻止する。バレルは水平二連にする必要はない。信号用拳銃のように単銃身で可い。このようなサイドアームは、僻地で野獣から身を守ったり、狩猟自活するのにも使えて、重宝だろう。またその照準具にはレーザーを使い、遠すぎる間合いではタマは出ず、当たる間合いに来たタイミングで撃発させる1発必中のスマート・トリガーと組み合わされるようにもなるだろう。

 露軍の全自動自爆ドローンの搭載チップは「Orange Pi 5」という回路基板。
 通信アンテナは特殊なもので、前線の塹壕近くに満ちている雑電波とは混信しないように配慮してあるという。

 「マジャール」氏の指摘。こうしたソフトウェアは、従来、FPV特攻ドローンのネックであった、「達人級のリモコン要員の育成」という難題を、回避させる。ドローン操縦の素人が、ただ、そのドローンを敵兵の居そうな場所まで飛ばしてやるだけでよくなる。あとは、機体に搭載されたAI回路が勝手に敵兵を見つけ出して、爆殺してくれるのだ。
 必要とあれば「ロックオン」のプロトコルだけはリモコン操縦者がいちいち「承認」信号を送るようにもできるが……どうせそれも省略されるようになる。

 これからは、1機のドローンを飛ばすのに必ずしも1人のリモコン者は、要らなくなる。素人兵が、いちどに多数の自爆ドローンを飛ばしてやって、あとの仕事はドローン搭載のAI回路に任せてしまうことができる。これにより、ウクライナ兵の人手不足問題は、解消する。

 ※マシン・ヴィジョンについての最も早い言及は、私の知る限りでは「ストラテジーペイジ」の2024-1-22記事だが、その記事によれば、宇軍は2023年内にはもうドローンに搭載していたと言う。「Militrnyi」はしかしウクライナ側の「mashine vision」について2024-3月まで報道を控えていたと思しい。

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 Alessandro Toffoli 記者による2024-4-14記事「Rogue Waves are Much More Common Than Anyone Thought」。
   「ローグ・ウェイヴ」とは、前後の波よりも2倍も波高がある一発大波である。いきなり、なんの前触れもなく、それが出現するかに見えるという。

 昔から船乗りが、10階建てビルのような大波が、突如、現れることがある、と語り伝える。

 近年、ハッキリ記録されているものとしては、1995年1月1日に北海にて、波高25.6mのモンスター級「ドラウプナー波」が観測されている。

 ローグ波がどのくらいの頻度で発生するのかは不明。出現のタイミングを予測することができない。

 われわれのチームは、謎を解くべく、南アフリカの砕氷船『S.A. Agulhas-II』に乗組み、南極周辺の強風海域で、ローグウェーブを探索した。

 三角波のように、複数の波が偶然に統合されたことで、エネルギーが大きくなるのだろうという仮説は、昔からあった。

 風は波を育てる。だが、波の速度が風よりも速くなった時点で、波は成熟してしまう。
 われわれはすでに、ローグ波は、波の速度が風よりも速くなる前にできるとつきとめている。

 もし、近隣の波との間でエネルギー交換が行われると、波の「自己増強」現象が生じ、ローグ波の出現確率は10倍になる。
 自己増強波は、聳立し、波頭が白く砕けて見える。

 南極大陸近くの荒れた海で、われわれは6時間に1回、周囲の波よりも2倍の波高のローグ波を観測できた。
 ※ヘリコプターの燃料の中に、工作員が、何か半固形の、特殊な「異物」を混入しておいたらどうなるだろうか? それはある時間が経つと氷塊のように凝結し、あたかも人体の循環器系内の「clog」のような挙動により、燃料供給管を詰まらせ、エンジンをストールさせる。そして墜落後、時間とともにそれは再び溶解し、何の証拠も残さないのだ。

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 George Allison 記者による2023-7-21記事「UK to develop unmanned anti-submarine helicopter」。
    ※古い記事です。

 レオナルド社は英海軍のために無人の対潜ヘリを開発することになった。契約金額6000万ポンド。

 そのデモンストレーターの機体重量は3トン。今の有人の「マーリン」ヘリコプターの五分の一未満だ。
 その無人ヘリからはソノブイを投下する。後は有人航空機が引き受ける。

 この無人ヘリは、軍艦Aと軍艦Bのあいだの補給品輸送や、洋上での患者の搬送にも、使うつもり。

 無人での初飛行は、2025年を予定している。

 ※ケッタイな統計あり。ヨーロッパで、毎日シャワーを浴びているのはイタリア人だけで、たとえば英仏独の住民で毎日身体を洗っている人は、65%にも満たぬという。それで温暖化した夏を迎えようというのか?

 ※アムステルダム市は、新しいホテルの増設を禁じ、年に200万人までしか、観光客は受け入れないことに決めた。オーバーツーリズムによって住民や近隣民の福利が阻害されている現況を是正する。


中共は無人機「WZ-7」を比島近海まで飛ばしてきた。

 Tyler Rogoway 記者による2024-4-19記事「Mystery Weapon Appears In Iraqi Field After Israeli Strike」。
 イスラエルは、地対地兵器の長射程ロケット弾「EXTRA」をASMに改造した「Rampage」を、今回、使用したと思われる。

 「EXTRA」は、米軍がGMLRSやHIMARSから発射させているGPS誘導ロケット弾のイスラエル版だと思えばよい。それを、イスラエル空軍が戦闘機に無理やり吊るして発射している。

 戦闘機はナップ・オブ・ジ・アース飛行で敵地に近寄り、急上昇してこのロケット弾をリリースしたら、すぐに避退する。あとはロケット弾が仕事をする。その弾道は抛物線飛行に近い。

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 Defense Express の2024-4-20記事「Potential Difference Between S-200 Versions Used to Take Down A-50 and Tu-22M3, Explained」。
    ブダノフは昨日『ウォー・ゾーン』に回答した。バックファイアを撃墜した距離は、SAMの発射点から308kmであったと。
 飛ばしたミサイルは旧い「S-200」だが、その誘導システムはウクライナがゼロから作り直したものであると。

 ※まったく報道されない部分に鍵がある。A-50やバックファイアの未来位置を、NATOのAWACSが精確にリアルタイムで教えてくれているから、このような長射程迎撃が可能になるのだ。さらに憶測すると、米軍がSBIRSの旧バージョン(4-19に新システムに移行したばかり)の赤外線情報をためしに使ってみた可能性もあると思う。露軍はとうぜんNATOのAWACSの動きを見ている。ここにかけひきがある。たとえば豪州軍のウェッジテイルがいなくなる。これで安心と露軍は思ってA-50を前に出す。それが罠なのだ。じつは別なAWACS、もしくはF-35、もしくはSIBRSがどこかから、監視しているのだ。それが何なのかは露軍にはわからせない。疑心暗鬼。露軍でこのザマなら支那軍はどうなる、と北京にも思わせる。深慮遠謀。


イケメンの蝿型ドローン「バエはえ」。

 ネタニヤフは歴史に名を残すかもしれない。いま、イスラエルは、順調に、米国を対イランの長期戦争に巻き込みつつある。というのは、バイデンが11月の選挙で勝つためには、これから11月までかけて徐々に米国内の有権者の「敵愾心」が高まってくれることが、まことに都合がよい。トランプを確実に蹴落とせる、それが唯一のシナリオかもしれないのだ。米国の軍人や外交官ならみんな心の中で「イランをいつか滅ぼしたい」と念じているから、他の地域への軍事介入とは、風向きの違う話になるのである。カーター政権末期、テヘランのアメリカ大使館員を人質に取られたまま手も足も出せなかった、あの最悪の屈辱の復仇をキッチリと果たしていない胸のつかえが、米国指導者層のあいだでは、去らぬままだ。よって共和党員も「イランと戦争してはならない」などと叫ぶ奴はひとりもいない。トランプだけが、困ったことになるだろう。ネタニヤフは、文字通り「うちてしやまむ」の精神で指揮を執っていると思う。今、イランを滅ぼせないとしたら、10年しないで亡ぼされるのは確実にイスラエルの方なのだ。イスラエルの国土の狭さでは、数発の核爆発(地表爆発)で、万事が休する。そこには半永久に人が住めなくされてしまう。いつも口だけのヘタレのトランプ政権などができる前に、対イラン戦争をぬきさしならなくさせる絶対の必要が、イスラエルにはある。バイデン政権の続くうちに対イラン戦争をおっ始めて、とにかくケリをつけるしかないのだ。イランはもう原爆は持っているだろう。だが、それが数十発に増え、米本土まで届くICBMと結合されぬうちに、米国やイスラエルと正規の、烈度の高い戦争は始めたくない。かたやイスラエルは、対テヘラン核攻撃の本番用に、長射程の弾道ミサイルは温存したいだろう。イランも、みずから烈度のノッチを上げないように気をつけて、できるかぎりドローンを主用するだろう。しかしネタニヤフは容赦なく、イランを有人爆撃して烈度を上げて行くだろう。ある段階からは、IDFの有人戦闘機がサウジアラビア領空を利用してイラン領内の石油関連施設・電力インフラ・防空拠点に、空対地ミサイル(非核)を撃ち込むだろう。イランももはや、ロシアに特攻ドローンを売っている場合ではなくなった。ウクライナ人は福音を聞くはずだ。

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 Rachel Sapin 記者による2024-4-16記事「Alaska senator wants EU to join US in ‘economic war’ against Russia seafood」。
    アラスカ州選出の連邦上院議員 ダン・サリバン(共和党)は、今月中にブリュッセルに飛び、EU首脳に対して、《ロシア産の水産物を輸入するのを禁止しろ》と説得するつもりである。

 地元コディアクで開催中の漁業トレードショーの会場にて、ブチ上げた。

 サリバンによるとロシアの水産物輸出業者は、《この魚はアラスカ産》と産地偽装をして欧州に売っているのだという。

 サリバンは今、米政府に働きかけて、ロシアの水産物が中共の貿易業者を経由して、対露制裁をかいくぐって米国市場に輸入されているのを、阻止させようとしている。

 サリバンの認識では、アラスカ州の水産業界はまさに、ロシアとの経済戦争中なのである。

 サリバンは、ロシアの水産物が日本の商社によって買われていることも問題視している。

 サリバンの認識では、ロシア水産業は、世界の水産物の取引価格を押し下げている元凶である。それによってアラスカの業者を大損させているのだ。

 げんざいEUは、中共経由でEUに入ってくるロシア産魚介類に関税をかけている。かたや米政府は、そうした迂回輸入も全面的に禁止している。サリバンにいわせるとEUは生ぬるいことをやっていたらダメだ。

 アラスカにはスケトウダラをすりみ〔surimi は完全に英語になっている〕にして日本へ輸出する加工業者が集中している場所があるのだが、彼らは、ロシアの業者がすりみを日本に輸出していることによって商売を脅かされている。

 このロシア業者の動きも、米国が経済制裁の一環としてロシア産の水産物がどこを迂回しようと米国市場に入ってこないように禁じていることと関係がある。米市場に売れなくなったので、対日輸出にドライブをかけているのだ。

 ※本土の農家と違ってアラスカの漁民は「票田」として小さいため、中央政界から「保護」を引き出しにくい。この議員に地元の期待がかかるわけだ。

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 Rob Fletcher 記者による2024-4-15記事「Genome edited fish are already being grown by commercial aquaculture operators in Japan, ……」。
    げんざい、25種類以上の魚類が、養殖用に遺伝子改編されている。
 遺伝子改編が先行したのは「ティラピア」。しかし養殖用のエビや貝類にもその試みが及んでいる。

 ティラピアは、たくましく、多産で、短時間で世代交代が進んでくれるため、これまで、最も遺伝子編集の研究が進んだ。
 病気や寄生虫に強くできる。

 日本では、ゲノム編集されたマダイやトラフグも、養殖が許可されており、しかも市場で売られている。未だ規模としては小さいが。

 ※遺伝子改編養殖漁業の未来でおそろしいのは、設備が杜撰な中国沿岸で、外国の先進業者から盗んだ改編養殖種の「不妊化遺伝子」を勝手に解除して交雑可能にしてしまい、それが生簀網から脱走して日本近海の魚介類がハイブリッドだらけになること。たとえば、外敵に遭わなければ無限に巨大化が止まらず、アナコンダをしのぐサイズに育つ鰻だとか、マンボウなみに巨大な鯛……などというわかりやすいものではない、リバイアサンの出現。

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 Isabel van Brugen 記者による2024-4-19記事「Ukraine Downs Russian Tu-22M3 Bomber in War’s First」。

   ウクライナ中央情報部HURが金曜日に発表。バックファイアを1機、撃墜した。場所は露領のスタヴロポリ地区。
 国境からは300kmも離れている。

 バックファイアは4-19夜のミサイル攻撃に任じていた。

 ※一報道では、オデッサに向けて空対地ミサイルを放った帰り道で墜とされた。

 露軍の戦略爆撃機が空中で撃破されたのは、今次戦役はじまって以来、初めて。

 ロシア国防省も「Krasnogvardeysky」地区にバックファイアが墜落したことを認めている。
 4人乗っていたうちの3人はエジェクトして救助されているが1人は行方不明だと。

 雑報によるとこの墜落機がいきがけに放ったかもしれない空対地巡航ミサイル「Kh-22」のうち2発は途中で迎撃されたと。

 ※ロイターによると、宇軍は旧い「S-200」を独自に改造したSAMによって、このバックファイアを落としたそうだ。

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 Svetlana Shcherbak 記者による2024-4-19記事「Satellite Images from Dzhankoi Reveal Ukrainian Forces Adopting an Interesting Strategy of Missile Strikes」。
    先日、クリミア半島の「Dzhankoi」航空基地に対して、初期型のATACMS(射程165km)による精密攻撃が加えられたが、その痕跡を、4-19撮影の「Planet Labs」(民間衛星サービス企業)の写真で点検したところ、様子が分かってきた。

 この飛行場はクリミアにおける露軍最大のヘリ基地であるとともに、兵站のハブ拠点になっていた。

 巧妙な攻撃だった。「S-400」システムを狙うと同時に、弾薬集積所を直撃した。その大爆発によって、飛行場所在の全軍用機にデブリが降り注ぐようにしたのだ。

 ※近刊の『自転車で勝てた戦争があった』を書く時に最初に取り寄せて調べた洋書が、豪州人の Jim Fitzpatrick 氏の著『The Bicycle in Wartime』です。これには1998年の初版と、2011年のリプリント版があって、私は両方とも入手してみたのですが、そのリプリント版の方は、先月、「靖國偕行文庫」に寄贈(あちらでは「奉納」と呼ぶ)してあります。拙著が取り上げてない米軍の自転車事情などを細かく承知したい方は、それをご利用になれるだろうと思います。このフィッツパトリック本は、挿絵写真の情報量も豊かです。それにつき、ご注意。もし写真を細密に調べたいという方でしたなら、少し高額であっても1998年版の古書を購入されるべきです。2011年の reprint 版ではなく。写真の印刷クオリティ=情報量が、段違いに初版の方が優っています。リプリント版はあきらかに、初版本の写真複製と思われます。ついでに情報。日本国内からネット注文しますと、2011年版は、1ヵ月しないうちに届きましたが、古書の方は、私の場合、1ヵ月半強、届くまでに時間がかかりました。


ロボットには「柔術」は効かない、という話。

 ボストンダイナミクス社は最新のヒト型ロボットの膝関節を前後のどちらにも自在に屈曲するように仕上げてきた。
 この発想は合理的なものなので、おそらくあと1年もすれば、手指の全関節も、どちらの方向にも自在に屈曲するような、ヒト型ロボットができると思う。

 たとえば、すっかり人間と見分けがつかないくらいに外装を調えた未来のヒト型ロボットが、地面に置かれていた純金の茶碗を掴み上げたとする。近くでチャンスを窺っていた不法移民の常習犯罪者が、その手首を上から掴んで、お宝をひったくろうとする。だが、それは、誘いの罠であった。ロボットの五指が瞬時に反り返り、いままで「掌」だと思っていた面はたちまち手の「甲」と変わる。ロボット警察官だったのだ。犯罪者の手首は、今やガッチリとグリップされてしまった。ロボットの手がそのまま、手錠なのだ。

 従来のSF作家はどういうわけか発想が貧困で、ヒト型ロボットの関節は、生身の人間と同じように不自由な制約があるものと、勝手に決め付けていた。そんな制約が、未来にあるわけがないのである。

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 Jen Judson 記者による2024-4-18記事「True Velocity sues Sig Sauer, alleging stolen trade secrets」。
   「トゥルー・ヴェロシティ」社と、その姉妹会社「ローン・スター・フューチャー・ウェポンズ」社は、「Sig Sauer」社が企業秘密を盗んだとして民事訴訟を起こした。

 原告企業と被告企業は、米陸軍の「NGSW(ネクスト・ジェネレーション・スクォッド・ウェポン)」……ようするに次期採用の分隊軽機をめぐってライバル関係にある。米陸軍はこの契約に45億ドルも出すはずだ。

 コンペティションは2022-4に、「Sig Sauer」社(米国内に拠点を置いている)が勝利して決着している。この最初の製品が先月、第101空挺師団の駐屯地があるフォート・キャンベルに届けられたところだ。

 4月9日に訴えが起されたヴァーモント州の州最高裁判所の記録によれば、ザウエルは原告の企業秘密を不正に利用したのだという。

 ローンスター社は、NGSWの開発者ではない。ものすごい時間をかけて開発したのは、ジェネラル・ダイナミクス・オードナンス&テクニカル・システムズ社だが、その知財のいっさいを2021年に買い取ったのだ。

 これにはLWMMGの話からしなくてはならない。アフガンでタリバンのPKMと射ち合いになったとき、特にこっちが低い土地を歩いていて敵が丘の上にいたときは、距離800mで米軍のM240小隊軽機の7.62ミリ弾は当たらなくなってしまう。
 そこで2010年頃に、.338ノルマ・マグナム弾をベルト連射できる「LMMG」がGD内で開発されたのだった。すごい発明品だった。全重がM240と同じなのに、M240の水平有効射程1100mより600mも有効射程が伸びる。

 2021年4月に、LMMGとNGSWのテクニカル・データ・パッケージは、GD社からローンスター社へ売られた。そのローンスター社を2021-11に企業買収したのが、トゥルー・ヴェロシティ社なのである。

 LMMGの方は先行して米軍によってもう使われ始めている。

 訴えによれば、このLMMGのキモは、革命的な反動緩和機構にあるという。名づけて「ショート・リコイル・インパルス・アベレージング(SRIA)」。
 業界の100年以上の常識。もし、機関銃の反動を緩和しようとすれば、その機関銃は、重くなる。または、レシーバーの寸法が長くなってしまう。ところがGD社の開発陣は、寸法も重量も増やすことなく、反動を抑えることに成功した。だから革命というわけ。

 とうぜん、この技術はGD-OTS社にとっては守る価値ある秘密であるから、部外に漏れないように、厳重に関係データを秘匿保管していた。

 訴状によれば、「Sig Sauer」社は、GDの開発チームの中から3人の中核技師をヘッドハンティングすることによって、この設計データを手に入れたのだという。それは2013年のことであったと。

 なかでも重要だった移籍者は David Steimke氏で、この技師がGD社内で19年間、ベルト給弾式機関銃の軽量化研究をしていたという。彼は今、Sig社のチーフ・エンジニア。

 Sigは、たった18ヵ月にして、まったく独自に、軽量低反動の機関銃を開発したのだと、Steimke氏は弁駁している。しかしそれはGD-OTSが10年以上の粒粒辛苦の末に道を啓いた技術である。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-4-18記事「Rafael’s NLOS missile successfully tested in the South China Sea」。
    このほどフィリピン海軍は、その小型艇から、イスラエル製のNLOSスパイクミサイルを発射するテストに成功した。

 フィリピン海軍は、8隻の「Shelagh MK5」高速警備艇を、イスラエルに発注している。総額1億2800万ドルほどと見られる。その警備艇に、スパイク・ミサイルもつけようというのだ。

 このたびのデモンストレーションは、バターン半島沖で行われた。

 ミサイルのメーカーであるラファエル社は、「タイフーンMLS」という、視程外射程の艦対艦ミサイルも、比軍に納入する予定。これらミサイルの追加コストは8000万ドルではないかという。

 レンジが25kmもある「NLOSスパイク」は、1発の重さが70kg。タンデム弾頭の対戦車ミサイルなので、たいていの敵軍艦の外鈑は貫徹する。それを、70トンの警備艇に載せようというわけ。

 警備艇のエンジンはキャタピラー社製のC32というディーゼル。1600馬力×2基。これでハミルトンジェット社製のウォータージェットを駆動させ、45ノットまで出せる。

 ※フィリピンに対してはインドも、国産の軍用ヘリを売り込もうと運動中だ。武器弾薬の買い手としてのフィリピンの存在感が上昇している。「人口ボーナス」を考えたなら、これはなんら不思議な現象ではない。いつまでも中国にやられっ放しの弱国ではいないだろう。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-4-17記事「Iranian delegation examined the S-400 production in Yekaterinburg」。
   『ワシントンポスト』紙の報道によると、ロシアは3月に17人のイラン代表団を招待し、「S-400」の工場を視察させた。
 場所はエカテリンブルグ。

 ※モスクワから東へ1300kmくらいも行ったところの、ウラル山地にある。しかし「シャヘド136」は弾頭を軽くすると2500kmも飛ぶというから、ウクライナから無人機で空襲できない距離ではない。

 ※イスラエルの発電所はすべて火力で、天然ガスが4割弱、石炭が4割弱。それを、軽油発電で20%弱、補っている。この軽油発電は、分散的な非常時のバックアップなのかと思ったら、レッキとした専用発電設備になっており、ボイラーではなくタービンを回す発電だ。軍艦のガスタービンの転用? また、3%弱だが、火発で重油も燃やしている。これも想像するに、石炭ボイラーや天然ガスのボイラーで、臨時に混焼させられるようにしているのか? そして注目するべきこと。ハマスもイランも、これら発電所を破壊することは、できていない。発電所は大きな施設だけでも12箇所もあるのに。その秘訣は何?


ペンタゴン内にある「ディフェンス・イノベーション・ユニット」が火曜日に声明。地熱を利用する技術を研究しているベンチャー企業への助成金を6倍にすると。

 特にアラスカの米軍基地では、地熱の利用のし甲斐があるだろうと期待されている。中世のバイキングもアイスランドの住居を地熱で暖房していたのである。

 ※『自転車で勝てた戦争があった』のプロモ動画のスマホ版が出ました。→「https://youtube.com/shorts/ObE_1020vzs?si=ZGbzseUTewpMjyrz」。都合により今回の新刊には詳細地図を載せている余裕がなかったので、それを補う意味で、パソコン用の宣伝動画の方には、『戦史叢書』の附録地図の一部分が一瞬だけ映るようにしています。場所は、ビルマとオーエンスタンレー山脈とガダルカナル島北岸。なお『戦史叢書』は国会図書館からPDFダウンロードもできるはずですので、さらに細かい確認をしたい方は、オンラインでそちらをチャレンジしてみてはいかがでしょう。

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 Defense Express の2024-4-17記事「Another S-400 SAM System Likely to Destroy In Result of Ukraine’s Missile Strike on russia’s Dzhankoi Air Base」。
   水曜日の未明、クリミア半島にある「Dzhankoi」空軍基地がウクライナからのミサイル空襲を受け、1基のS-400はATACMSの直撃を受けて破壊された模様。
 露兵は30人死んだ。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-4-17記事「Possible Russian losses in Crimea base attack: Su-25s, S-400, Ka-52s」。
    ドゥザンコイ空軍基地への大規模ミサイル空襲。そこは最前線から145km離れている。クラスター弾頭タイプのATACMSは、レンジが165kmである(旧式が引渡されている。新式は300km飛ぶはず)。

 この空軍基地には、直前の民間衛星写真を見ると、スホイ25や、ヘリコプターも展開しているので、それらの損害もあったはず。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-4-17記事「UralVagonZavod turns a Soviet VAZ-2104 car into military buggy」。
   ウラルヴァゴンザヴォドは、プー之介から命じられたAFVの増産がノルマに達しないので、市中から回収した民間の中古車、それも、レトロなロシアメーカー製の型落ちの4×2乗用車をピックアップに改造し、緑色に塗装し、その後部荷台に軽機関銃やATGMを装置させられるマウントをとりつけ、写真に撮って、政府向けに《広報》するという姑息な《言い訳》事業に乗り出している。

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 Elodie MAZEIN 記者による2024-4-17記事「In Scranton, aging US factory makes shells for Ukraine」。
    ジョー・バイデンの地元であるペンシルベニア州のスクラントンに、古~い、砲弾工場がある。まさにラスト・ベルト(錆び錆び旧工業団地)の面目。

 正式には「スクラントン・アーミー・アミュニション・プラント(SCAAP)」と称し、155ミリ砲弾の弾殻になる鋼管を製造する。

 この弾殻をアイオワに陸送し、そこの工場で炸填する。
 「信管」は、野戦部隊が発射の直前に取り付ける。安全のためだ。

 工場は1908年に設立され、当初は蒸気機関車の修理が本業だった。そこを米連邦政府が1953年に買収した。朝鮮戦争の経験から、砲弾需要の将来予測を見直したわけだ。

 いま、ペンシルベニア州東部にある3ヵ所の類似工場にて、月産2万4000発の155ミリ砲弾殻が製造されつつある。このペースは2027年末まで続くという。
 ただ、2019年に政府との間で交わされた契約の詳細は、非公開。殊に納品総数については部外にまったく情報を出さないのがこの業界だ。量産ペースも、変動するであろう。

 ちなみに、スクラントン近郊の他の2つの砲弾工場は、私企業で、ジェネラル・ダイナミクス資本が運営している。

 GD社は、テキサス州に、新しい砲弾工場を建設中で、それはこの夏から製造を開始するであろう。この工場も取材に対するガードが固い。

 ペンシルベニアの3つの砲弾工場で働いている従業員は、トータルで900人である。

 SCAAPを近代化(省エネ化)する設備投資計画は2022年よりも前からあり、逐次に推進される。

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 Sofiia Syngaivska 記者による2024-4-17記事「The Kremlin Plans to Smear Ukrainian Special Forces with False Weaponry Allegations in Sudan」。
    スーダンにはウクライナ軍の特殊部隊が駐留しているのだが、ロシアはその評判を落とすために、「偽のウクライナ兵」になりすまして、悪事をさまざまに働くつもりだ。



自転車で勝てた戦争があった