電気ストーブの消し忘れをなくすには、人が立ち上がって室内を見渡したときに、必ず視野に青色の輝点が飛び込んで来るように、商品の頂部(天板)にLEDの通電インディケーターが上向きについているべきである。

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 David Hambling 記者による2025-1-10記事「1,200,000 Drones: Ukraine’s Unmanned Weapons are Transforming Warfare」。
   2024年の1年間だけで、ウクライナは120万機のドローンを組み立てた。
 長距離片道攻撃用の「Lyutyy」という国産無人機は、レンジが600マイルである。

 それらすべてのドローンのうち、9割は、対AFV用のFPVクォッドコプター。

 民間篤志のファンドライザーが、国家以上の貢献をしている。Serhii Sternenko というボランティアは、13万3000機のFPVドローンを宇軍に寄贈した。これはNATO加盟国のどの1国の陸軍の保有ドローン機数よりも多いのである。

 FPVドローンの主流は、サイズが「7インチ・フレーム」から「12インチ・フレーム」までの、レーシング用ドローンである。

 FPVドローンの搭載爆薬量は、劇的に増えた。2022年においては、1.5kg=3ポンドの爆装がギリギリだった。しかし最近では、3kg=6ポンドの爆装をしているものがある。
 特攻マルチコプターのレンジは、理論上、12マイルあるが、現実には3~6マイル飛んだところで目標に突入している。

 片道特攻UAVのうちどのくらいが、サーマル・カメラを搭載しているのか、その統計は無い。しかしSNSに上がっているビデオの比率からして、その数はまだとても少ないものと考えられる。

 24年に、ウクライナ軍は、露軍のUAVを空中で体当たり撃墜する作戦を始めた。その撃墜スコアは、いまやトータルで1000機を越えている。

 Sternenko が扱っている FPVドローンの単価は、昼間用カメラ搭載モデルだと、300ドルから460ドルくらい。価格はフレーム・サイズに比例する。
 夜間対応カメラ搭載モデルだと、これが、700ドルから800ドルになるという。

 偵察用として最もポピュラーな市販機は、「DJI Mavic 3」だろう。
 滞空45分可能、ズームは標準で56倍である。
 「Mavic 3T」は、サーマルカメラ搭載のバージョン。小売価格にして4000ドルだ。

 固定翼の偵察ドローンは、2024年に5000機が供給された。品名としては、「Shark」「GOR」「Furia」など。

 そのうち「A1-CM Furia」は、電動で3時間滞空可能。最大で50km先から動画を電送できる。航法にGNSS信号は必要としない。夜間も飛べる。コストは7万ドル。

 重量級のマルチコプターは、2024年には2000機が供給された。「Nemesis」「Kazhan(“Bat”)」「Vampire」などの品名あり。ヘクサコプター型もしくはオクトコプター型である。これらはすべて、夜間飛行に対応。

 単価2万ドルする「E620 Kazhan」のペイロードは20kg。レンジを8マイル以上にしたければ、この荷物は減らす。
 重量級マルチコプターは、82ミリ迫撃砲弾や、120ミリ迫撃砲弾を投下する。「TM-62」という対戦車地雷を改造した特製爆弾も投下する。
 重量級マルチコプターを、地雷敷設に使うこともある。地雷原には最初、味方が通行できる通路を設けてあるものだが、敵がやってきたら、その通路にも地雷を置かねばならない。そういう任務に役立つ。

 片道長距離自爆攻撃機は、2024年中に、6000機以上、調達された。品名としては「Lyutyy (“Fierce”)」や「Firepoint」など。
 精油所や、空軍基地を空襲しているのは、このタイプである。
 宇軍は2025年には、このタイプを3万機、調達する計画だ。

 「Lyutyy」はウイングスパンが23フィート、ペイロードは100ポンド超で、レンジが600マイル以上。「シャヘド136」の対抗品といえる。単価は20万ドル。

 軍功章を授与されたオペレーターの Timofiy Orel は、2024-1~5月、42両の戦車、44両のBMP、10両のMT-LB、28両のBTR装輪AFV、露兵400人を、その率いるチームのドローンで破壊殺傷した。

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 Prabhat Ranjan Mishra 記者による2025-1-10記事「New US spy drone can fly at 15,000 feet for 14 hours, pack 30-pound payload」。
 米陸軍は、「Textron Systems」社が開発した新型ドローンを受領した。1月中に、用法に習熟する。
 「MK 4.8 Hybrid Quad (HQ) Aerosonde」という。
 4軸電動ローターにより、垂直に離着陸するが、巡航時は、内燃エンジンのプッシャープロペラと主翼の揚力を用いる。滞空14時間可能。高度1万5000フィートまで上昇でき、ペイロードは30ポンド。主に偵察に使いたい。

 BCT=旅団戦闘団 の目となる。

 機材は、兵隊2人で担いで動ける。組み立てて発進させるまでの時間は30分。
 エンジンの燃料は「JP-8」。

 ※陸軍のプロジェクト名を「FTUAS」と言うらしいのだが、これはぜったいに、彼らの脳内で「フタ」と変換されている。日本のエロアニメ・ジャンルの「ふたなり」はすでに英語として通用するのだ。

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 Victor Davis Hanson 記者による2025-1-10「X」投稿「Dresden in Los Angeles and our Confederacy of Dunces」。
  LAの有権者は、じぶんたちで選んだ左巻きのペテン師たちの行政のおかげで、このたび廃墟を得た。

 新規の貯水池整備を禁じ、既存のダムをぶっ壊して陸水を無駄に海へ注がせ、「気候変動」に対処した気になっていた、その愚劣の報いをじぶんたちが受け取ったのだ。

 古いタフガイ・タイプの白人男性消防士はよくないといって上から下までDEI採用枠を増やした、その結果が示された。LAはWWII中のドレスデンにされてしまった。

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 Howard Altman 記者による2025-1-10記事「One Of Just Two CL-415 Super Scooper Planes Taken Out Of Palisades Fire Fight By Drone」。
   2機しかなかった「消火用飛行艇」のうち1機は、ドローンとの衝突により、飛べない状態だった。

 「CL-415」は別名、スーパー・スクーパー。海面に着水して5分ほど滑走すると、胴体内の1600ガロンの水タンクが一杯になる。それを抱えて離水し、山火事の上から散水できる機体だ。

 FAAによると、消防活動を妨害したドローン操縦者は、禁錮12ヵ月+科料7万5000ドルに直面する。

 ※海水をポンプで汲み上げて消火栓に供給する「Fire main」という設備が大型船にはあるようだが、これを陸上に常設できるかどうかが、今後、研究される価値があるだろう。それにしても、金満家の豪邸の多くが「耐火」設計になっていなかったとは、呆れた。もしLAが核攻撃を受けた場合、いちばん遠くまで届く熱線により、住宅は全滅だろう。考えが甘いにも、程がある。


新年あけましてお目出度う存じます。

 このようなご挨拶が毎年可能になっている、身の幸運を噛みしめております。
 ちかごろ旧往来の整理がままならず、賀状を出しそびれてばかりなのですが、この場を使いまして、皆々様のご厚誼に心より御礼申し上げます。

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 David Choi 記者による2024-12-31記事「North Korean troops making ‘human wave’ attacks against Ukrainian forces, US says」。
    ウクライナに対するバイデン政権最後の軍資金援助(それには文官の給料も幅広く含まれる)についてイエレン財務長官はコメント。ウクライナがうまく行くことが、合衆国のコアな利益なのである。ロシアによる違法な侵略を阻止することは、世界の民主的でルールに基づいた秩序を擁護し、米国の安全と経済的利益を増進する所以だ。またこれが、他の専制主義体制や侵略計画国〔=中共〕に対し、お前らは揺るぎのない決意に直面するんだぞ、との、疑いの余地のないメッセージにもなる。

 ※これは、次のトランプに対する、最も短く要約した説教になっている。トランプ爺さんは長い文章は読んでくれないらしい。しかしこのくらいのレトリックなら、テレビ・ニュースの音声を通じ、頭に入るだろうという計算を、現政権の中枢では、しているのだろう。現政権スタッフが、最後の仕事と思って、張り切っている感じがする。

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 James W. Carden 記者による2024-12-30記事「The Untold Story of Carter’s Fateful Foreign Policy」。

  カーターは長寿だったが、ロザリン夫人もすごい。77年間連れ添って2023-11にご逝去であった。

 カーターの外交は、ズビグニュー・ブレジンスキー補佐官(国家安全問題担当)が領導した。
 ブレジンスキーはなんとしても政権中枢に参与したかった。だから、1976の大統領レースでカーターの敵手になった者たち複数にも、自分を売り込んでいる。

 トルーマン政権の四人目のセクデフだったロバート・ロヴェットは、《米国生まれならぬ者を国家安全保障担当補佐官にしたらダメだ》と言っていた(ちなみにキッシンジャーも帰化移民)。

 クリントン政権で国務長官に就いているオルブライトは、ブレジンスキーの弟子だった。ブレジンスキーがその後の米国の対露姿勢を画定したので、その弟子なら不安は無かろうというので、オルブライトは抜擢された。

 記者いわく、過去数十年、米国の外交は、ボス(大統領)に面従腹背の専門エリートたちによって、牛耳られている。

 カーターは、国務長官にはジョージ・ボール(国務省の高官経歴あり)が良いと思ってはいたが、おそらく上院が承認してくれまいと懸念した。当時「ネオコン」は民主党が基盤で、上院議員のヘンリー・ジャクソンが領導していた。反イスラエル的な発言をためらわぬジョージ・ボールを、ヘンリー・ジャクソンは気に入るまい、とカーターは懸念し、それでけっきょく、国務長官にはサイラス・ヴァンスを登用したのである。

 ジョージ・ボールは、リンドン・ジョンソン大統領のインナーサークルに属していたとき、ベトナム戦争についての先見の明をあらわしていた。おそらく、ボールが国務長官になっていたなら、ブレジンスキーと衝突しただろう。

 カーターの最初の間違いは、イスラエル・ロビーに、あっさりと戦利品を与えたことで、二番目の間違いは、ブレジンスキーを重用したことだ。

 ソ連について2つの学派があった。ブレジンスキーは、ソ連の内部構造なんて考えてやる必要はなく、ソ連が過去にしてきたことと、今、諸国に対してやらかしていることを見るだけでも、これからソ連が対外侵略しかしない未来は確定なんだという主張。
 出てくるアウトプットが、ひたすらの対外侵略なのだから、レーニン、スターリン、フルシチョフ、ブレジネフにどんな差異があるかなどと考えるのは無駄だ。非ロシア世界の諸国民にとっては、そんな差異は無意味なのである。

 ハーバード大教授のアダム・ウラムもブレジンスキーと同じポーランド移民だから、まったくブレジンスキーに賛成であった。
 これに反対していた学派の代表は、プリンストン大のステフェン・コーエン教授(ロシア政治研究者)だった。

 ブレジンスキーにいわせると、キッシンジャーとニクソンが進めたデタント(この用語はドゴールから借りた)に、良い結末など、ありえぬことだった。

 ブレジンスキーは1998にフランスの新聞に明かしている。ブレジネフは1979-12-24にアフガニスタンに対する侵略戦争を始めた。そのあとCIAは、公然とムジャヘディンを支援した。これが知られている公式史実。だがじつは、1979-7-3にカーター大統領が命令を下していた。カブールの反ソ勢力に密かに援助しなさい、と。同日、ブレジンスキーはカーターにメモを書き送ったという。その援助は、ソ連の軍事的な干渉を呼ぶであろう、と。

 じっさいにソ連軍がアフガンに南下した行動は、ソ連がペルシャ湾まで南下しようとしているのではないかというかねてからの疑いを、米国要路に納得させた。ブレジンスキーは正しく、ロシアの内部構造などどうでもいいのである。ロシア国家は、勢力をますます拡張して全世界を支配することしか頭にないのだ。

 ※人が何を語っているかではなく、何をやってきたかだけを見なさい、というのがナポレオンの金言。それは、「構造」は行動に統計的に表れる、という知恵なのだろう。「構造」内部はブラックボックスで可いのである。いずれにしても、それを他者が知ることなど不可能なのだから。しかし「機能」は推定できるし、予言も可能だ。

 ペルシャ湾を米国はぜったいにソ連の支配下には置かせない、という骨子の、「カーター・ドクトリン」が策定された。書いたのはブレジンスキーである。

 ブレジンスキーは2017に死去しているから、2014のロシアのクリミア切り取りも見届け、《俺が正しかっただろう》と言えるのだ。

 ※ハンナ・アレントの名言を引く価値があるだろう。いわく。〔ヒトラー隆盛時代の党による〕常続的な嘘の発信は、人々にその嘘を信じさせようとしたのではない。誰も、何も信ずることができぬ空間をまず定着させることが、必要だったのだ。なぜなら、真実と嘘との判別ができなくなった空間内においては、人はもはや、善と悪の区別がつけられない。そこでは人々は、考える力を剥奪される。知ることも、意志も奪われた人間は、嘘の支配に屈してしまう。そうなった後でなら、政府はその民衆に、どんなムチャクチャなことでも、させられるのだ。

 次。
 Clarence Oxford 記者による2024-12-23記事「DARPA’s ASIMOV seeks to develop Ethical Standards for Autonomous Systems」。
   DARPAは、AI利用の自動兵器システムに「倫理」を嵌め込む研究を、「CoVar」社に委託した。複数年契約。

 次。
 「mil.in.ua」の2024-12-31記事「Ukrainian Naval Drone Hits Russian Mi-8 for First Time」。
  無人ボートに積載されたSAMを遠隔操作で発射して、1機の「ミル8」を撃墜した。

 またしてもブダノフの「国防情報局」がやってくれた。無人ボートの「マグラ V5」から「R-73」という対空ミサイルを放ち、露軍の「ミル8」を返り討ちにした。このヘリは先にボートを銃撃してきたものである。
 その日付は12月31日だったという。場所は黒海。

 このSAMは操舵に可動フィンの他に「ガス噴出」も使うタイプ。もともとは、短距離用のAAMなのだが、それを転用した。

 さらにもう1機のヘリも損傷させている。しかし、そのヘリは陸上基地まで辿り着けた模様。

 次。
 『The Maritime Executive』の2024-12-30記事「U.S. Coast Guard Warns Shipowners to Watch Out for Fake Pilot Ladders」。
  水先案内人が入港直前の大型商船に乗り移るときに、金属梯子を垂らしてもらうのだが、この「パイロット・ラダー」を安価なまがい物で間に合わせようとする海運会社が跡を絶たない。それは、水先人の命に関わる危険な欠陥を内包している。

 法規によって、この「パイロット・ラダー」の規格は定められている。それが守られていない。


(管理人Uより)

 兵頭二十八先生の記事が掲載されるのでしょう。良かった良かった。

産経新聞
「正論」新メンバーに前駐中国大使・垂秀夫氏ら 新たに10人決まる


2024年の1年間、露軍はウクライナの発送電施設に向けて1712発のミサイルと無人自爆機とを配分した。

 John Vandiver 記者による2024-12-30記事「US military presence in Somalia likely to be scrutinized by incoming Trump administration」。
   第一期トランプ政権は、ソマリアからの米軍撤収に着手した。が、果たせなかった。
 第二期では、ソマリアどころか、全アフリカからの米軍撤収が始まる可能性がある。

 アフリカコマンド の司令部はシュツットガルトに置かれている。
 ソマリアには米兵数百人がいて、「アルシャバブ」に対抗する勢力を訓練してやっている。
 今、アフリコムが期待をかけているのは「Danab」という武装集団だ。

 バイデンは2022にソマリア駐留軍を「常駐」から「ローテーション」にきりかえたが、これを当時のアフリコム司令官のタウンセンド大将は、敵を利するとして批判している。

 マーク・エスパーの回想記によれば、トランプはアフリコムの仕事全般を評価していなかった。軍人であれ外交官であれ、アフリカに人を割くのが無駄だという考え。第二期ではその信念を実行するだろう。

 第二期トランプ政権は、軍事資源を「対支」に集中する。他方面からは、引き揚げてしまう。
 この指針を理論づける男が、ペンタゴンの高官に登用されるエルブリッヂ・コルビー。彼によると今の米軍は世界の各所に薄く展開されすぎている。もっと太平洋だけに先鋭的に集中すべきだと。

 次。
 Matthew Shoemaker 記者による2024-12-28記事「America’s case for Greenland. It’s key to US national security in the Arctic」。
    1951年に「グリーンランド防衛合意」が結ばれている。
 その「アーティクル II」では、米国はグリーンランドのどこでも軍事施設を建設できるとした。今の「Pituffik」宇宙基地――旧名「Thule」空軍基地は、この条項に基づいている。

 有事もしくは危機切迫時には、グリーンランドにいる米軍指揮官が実質、命令を出し、領有権をもっているデンマークの役人や軍人は、その補助に回る(作戦の決定権が無い)。

 陸上のみならず海空の接続エリアにおいても米軍は自由に移動でき、それをデンマーク政府から控制されない。

 米軍はグリーンランドの上にインフラ投資ができる。それに関してデンマークへは1セントも補償はしない。

 この1951条約をもっと強化しようというのがトランプの考えだろう。
 強い関心事は、地下資源開発。レアアースの中共寡占に対抗できるかもしれない。

 次。
 Ari Heistein 記者による2024-12-25記事「How the Houthis turned their weaknesses into strengths」。
  フーシが支配しているイエメンの人口は2000万人である。
 1990年代に、フサイン・アルフーシという男が率いる「ハック党」というのがあり、それは選挙では1%未満の支持しかあつめ得なかったが、2006~2010の「サーダ戦争」と呼ばれる内戦で、武装勢力としてのしあがった。
 このときに、今日の軍閥の重鎮格の幹部連が、鍛えられて、成長したわけだ。

 2006より以前からイエメンはアラブの中でも最貧地域だった。ゆえに政府は、ゲリラ討伐のための予算をロクに組めない。人民の飢餓救済にぜんぶ予算を使うしかなかった。おかげでフーシのような反政府ゲリラが長期的に維持され、成長すらできたのである。

 この極貧と、サウジがイエメンに仕掛けた戦争を理由に、世界がイエメンに莫大な援助を注いだ。フーシはその中間で組織的にピンハネして肥え太り、戦力を拡充できた。フーシには、中間搾取のためのフロント企業を設立する知恵もあった。

 もし特定の住民が、フーシ流の小学校での偏向思想授業、フーシ流の少年軍事教練招集に協力しないと言った場合、フーシは、海外からの援助物資がその一家には渡らないよう、操作をすることができた。極貧のイエメンでは、海外援助物資を受け取ることができなければ、誰であれ、餓死の他はない。

 フーシの拠点がイスラエルと離れていることも、フーシの長期伸長には、有利であった。
 イランはフーシに長距離攻撃火力を与えた。これが他の地域だったならば、西側の重大関心事になったところだろうが、アラビア半島の東の端という、ほとんどどうでもいいような地域であったため、西側はほったらかした。

 2023年にフーシは、パレスチナを応援するという名目で、紅海の入口のバブエルマンデブ海峡で、通航する商船に対する無差別攻撃を開始した。

 フーシの拠点から最寄りの米軍基地は、1000km以上も離れているため、米国も、すぐにフーシ撲滅の軍事行動に乗り出せなかった。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-12-30記事「Stinger MANPADS defeated by Russian glide bombs」。
   2024-3からロシア空軍機は、「D-300」という滑空爆弾を、標的の80km手前から放り出すようになった。
 すなわち、国境線より40km引っ込んだところから、滑空爆弾をリリースしている。リリース高度は1万mだ。

 この爆弾は重さ 500 kg で、全長は3mくらいである。
 着速は、だいたい1000km/時になる。

 次。
 Svetlana Shcherbak 記者による2024-12-30記事「SPAAGs vs. Anti-Aircraft FPV Drones: The 93rd Mechanized Brigade’s Innovative Approach to Drone Warfare」。
   あるウクライナ兵の証言。「ZU-23-2」――双連の23ミリ高射機関砲――は、高度900m以下ではよく当たり、稀には高度1600mの無人機を落とせることもある。

 しかし露軍の偵察ドローンがそれ以上の高度でやってくると、対処は難しい。そこで、こっちもドローンを飛ばして、空中で体当たりさせるしかないということになってきた。

 従来、「オルラン-10」などは高度1000m~1500mで飛ばされていたのだが、今や露軍はそれを2500mか、もっと高い高度で運用している。

 次。
 Defense Express の2024-12-30記事「Gamepad Controller Was a Great Idea: German Tests of Tytan, the Interceptor of Shahed Drones Deployed in Ukraine」。
   ドイツで完成した新顔の、対シャヘド用に使える、体当たり型固定翼ドローン。
 「TYTAN」という。

 MTOWは5kgしかないが、ペイロード1kgで、電動双発である。最高速度は250km/時、レンジは15km以上。
 このスピードは300km/時まで伸ばせるという。レンジも20kmにできるという。

 機体構造には3Dプリンターが用いられ、特に胴体は、塑像をつくるように「添加剤」だけで構成されているという。とうぜん、安い。

 機体は専用のコンテナ内に備え付けのミニ・カタパルトを使って、ほとんど垂直に近い角度で射出される。

 コントローラーが手に持つ端末は、「Steam Deck」という市販のポータブル・ゲーム機器のものを流用している。オフザシェルフだから、安い。

 ※2024年の道南近郊温泉ベスト1として、私は「黒松内温泉 ぶなの森」を推薦しておく。ここで満足できない人には何を勧めても無駄だろう。ベスト2は、福島町にある「吉岡温泉 ゆとらぎ館」だ。新築であるのにもかかわらず、他の温泉が人で一杯の時節でも、そのような混雑と無縁であるという立地を、特に買いたい。


(管理人Uより)

 兵頭二十八先生が載っている……。

産経新聞
「正論」新メンバーに前駐中国大使・垂秀夫氏ら 新たに10人決まる


ベトナム戦争末期のシブいAFVの情景再現模型展示を拝見して久々に心強さを覚えた日曜日であった。

 「LVTP-5」が存在したことをまったく忘れていた。いかんいかん……。
 あのビルのことを「亀プラ」と略すのだとも教えられた。

 次。
 Stephen Losey 記者による2024-12-5記事「A-10s are being spotted in Syria. Here’s how they’re being used.」。
   いまやボーンヤード行き5分前の「A-10」だが、シリア東部では、米空軍がこれを直近の数日間、かなり頻繁に超低空で飛び回らせるようにしていた。
 イラク国境あたりのアサド政府軍+イラン軍分遣隊の将兵にその姿を見せ、あたかも反政府ゲリラに米軍がCASを提供しているかのように思わせて、敵陣営の士気の低下を助長させる、心理作戦だったという。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2024-12-8記事「Russia hides its Su-34 fleet to evade deadly ATACMS strikes」。
   露軍は最前線基地の「スホイ34」をATACMSのレンジ外にある「エンゲルス2」空軍基地まで後退させた。
 これは衛星写真のOSINT分析によってつきとめられた。

 エンゲルス基地はウクライナ国境から600km離れているため、ATACMSで攻撃されるおそれはないのである。いちおう、デコイ機も各種多数、そこに並べている。

 というのも、ソ連時代の無人偵察機「Tu-141」を改造した特攻機が2022-12にいちど、突っ込んできたことがあるため。
 2023-8には別なタイプのドローン攻撃も受けている。大した被害は無かったが。

 次。
 「mil.in.ua」の2024-12-8記事「Czech Republic procures smart anti-tank mines」。
  チェコ共和国の兵器メーカー「STV GROUP」が「SENTRY」というハイテクの対戦車地雷を、約1億7200万ドルで政府から受注した。
 この地雷はフィンランドの「Forcit Defense」社の設計である。

 重さ10.5㎏の地雷が、リモコン化されている。無線コマンドによって、広い地雷原をいっせいに安全化することもできるし、個々の地雷だけ活性化させることもできる。

 安全化した瞬間に味方軍がその地雷原を越えて前進する、という段取りが可能だ。

 地雷にはGPSセンサーがついているから、もし誰かがそれを動かせば、こっちで把握できてしまう。

 この地雷の上を敵戦車等が通過すると、磁気センサーと音響センサーによって敵車両は識別され、その車体の中央部を、成形炸薬が撃ち抜く。

 敵の工兵が掘り返そうとすれば、自爆する。

 この地雷は、リトアニアも購入しており、ベラルーシ国境、ならびに、カリニングラード国境に埋設されている。

 次。
 『ニューズウィーク』の2024-12-8記事「John Bolton Suggests Syria May Have ‘Interesting’ Files on Tulsi Gabbard」。
   トゥルシ・ガッバードは、2017にシリアに渡り、アサドと写真を撮り、アサドは自国民を毒ガス攻撃してはいないという宣伝に手を貸した。そのことを元国連大使のヘイリーが指摘している。

 ガバードは2019年には、アサドは米国の敵ではないとも弁護した。シリアであれどこであれ、米国を直接攻撃していないなら構うな、というのがガバードの主義。自分でそう言っている。

 ジョン・ボルトンいわく。2017時点でアサドはイランならびにロシアの同盟者。ガバードには、米国の国家安全保障の要職に就く資格は無い。このたびダマスカスが陥落したので、いろいろと面白い文書証拠が白日の下に曝されるであろう。幾人ものアメリカ人がアサドの悪だくみに加担していた過去が判明するだろう。

 次。
 AFPの2024-12-6記事「Iran launches heaviest space payload into orbit」。
   金曜日にイランは、2つの人工衛星を軌道投入した。ふたつあわせた重さは300kgという。
 ひとつはLEOの通信衛星。

 打ち上げロケットは「Simorgh」といい、2段式の液燃である。

  ※300kgでは未だ初歩的な原爆を北米大陸まで飛ばせない。

 次。
 Robert Schreiber 記者による2024-12-8記事「Retrofit project makes micro gas turbines hydrogen-compatible」。
  水素専焼のマイクロ・ガスタービンを実現するには、燃焼室に水素を送り込むノズルからフラッシュ・バックという炎の逆流が起きてしまわぬような仕組みを工夫する必要があるが、ドイツの研究所が実験室レベルでそれに成功したという。

 実験装置は、既存のコジェネ用のマイクロ・ガスタービンに手を加えたもの。

 水素燃料のタービンエンジンは、それが実現すれば、カーボン・エミッションがゼロであるばかりでなく、窒素酸化物のエミッションも極少(15ppm)な、クリーン発電装置となる。

 夜間、しかも無風のとき、ソーラー発電機も風力発電機も、稼働してくれない。そんなときに火力発電装置が即座に電力供給を補えなくてはいけない。その火発をクリーン化できる。

 研究チームは、既存の天然ガス火力発電所を、まず水素混焼に改造し、ゆくゆくは水素専焼に変えるというステップを考えている。これはドイツの国家的な要請である。

 水素の混合率は、当初はわずかな水素比率からスタートするが、逐次に、水素の割合を増やして行く。

 主任研究者いわく。水素はケミカル反応速度が大きく、天然ガスの10倍の速さで伝火する。着火に必要な熱エネルギーも小さい。このことは、これを扱うさいの危険がそれだけ高いことを意味する。

 天然ガスを燃やすマイクロ・ガスタービンは、病院などで、頼りにされている。もちろん、自家発電と給湯のコジェネ。
 発電を、地域や大口ユーザーの足元で、分散的に負担するのは、これからの合理的な方向だ。


(管理人Uより)

産経新聞のウェブサイトで『兵頭二十八』を検索すると、兵頭先生関連の記事がヒットします。
※直近に記事が掲載されたという意味ではないです。


米海兵隊は、4連装型のHIMARSをラインナップに加えた。従来型より2発少なくした。

 Joseph Trevithick 記者による2024-12-4記事「F-35A’s 25mm Gun Still Needs Tests To Verify It Works」。
   F-35A の固定武装である 25mm ガトリング砲(4銃身。GAU-22/A)のタマは、狙ったところへなかなか飛んでくれないという。この問題が何年も解決していない。

 この弾丸には炸薬は入っていない。高速の貫通力だけで、空中目標も地上目標も破壊する設計だ。

 F-35の胴体左側に、このガトリング砲は内臓されている。実包は180発。レートは、3300発/分。
 変わっているのは、撃たないときには銃口の前には機体外鈑がある。撃つときにだけ、蓋が開く。

 F-35B と C型には、固定機関砲は搭載されていないが、「GPU-9/A」というガン・ポッドを吊架できる。その中味は、A型と同じ「GAU-22/A」で、実包は 220 発。

 この機関砲が当たってくれぬ理由は最初から判っている。F-35にはヘッドアップディスプレイが無いのだ。代わりに、パイロットのヘルメットの前面を構成するバイザーに照準点が映示される。しかしこのヘルメットはパイロットが頭を動かせばそれにつれてグラつく。機体軸に対して非固定である。だからとうぜんに信号補正のディレイがあり、それをゼロにはできない。

 またそれとは別に、この機関砲を使用すると、F-35の機体構造にヒビが入ってしまうという大問題まで浮上している。

 A型にそもそも機関砲は無用だろうという議論も勿論あるのだが、米空軍はポンコツ単機能のA-10をなんとしても早く退役させたい。而してその抵抗勢力(関連工場がある州選出の政治家たち)を黙らせるためには、A-10に遜色のない対地銃撃がF-35にもできる、という建前が不可欠なのだ。

 ちなみにA-10の機関砲は口径30mmで、実包1174発搭載。
 F-22の機関砲は20mmで、タマは480発。F-16Cは500発。

 F-35の機関砲の弾丸はFAPという。敢えて割れ易くしてある徹甲弾。タングステン芯なのだが、そのタングステンが、物に当たると破片化するようにできている。よって対地銃撃で歩兵を攻撃できる。製造は、ラインメタル社。1発が131ドルする。ちなみに、20mmの機関砲弾(半徹甲弾)は34ドルくらい。

 ※エグい対人弾薬をこしらえさせたらドイツのメーカーの右に出る者はない。ラインメタルは全く情報を出していないが、米軍が買っているのはまさにそこだと思う。

 ※炸薬充填の炸裂弾ならば、時限自爆機能がつくから、逸れ弾が地上に毀害を及ぼす確率は低いだろうけれども、この25mmの特殊弾は、純然たるAPでもないので、人家の近くに落ちたときに、ちょっと困った事態を惹き起こしはしないか?

 ※F-35ユーザーの空自にとって、頭の痛い問題。領空侵犯機に銃撃で警告しようとしても1発1万9659円(12/5の円ドル為替レート)。しかも3秒で弾切れになり、帰投後、〆て353万8708円也の始末書のようなものを書かされるとしたら? それと、これからは、低速~中速ドローンを洋上で何十機も撃墜しなくてはいけないという仕事もあるはず。この機関砲は、別なモノに換えた方がいい。理想はレーザーだが……。

 次。
 Juan King 記者による2024-12-5記事「Physically fit sailors may be exempt from body standards next year, Navy says」。
  米海軍は、体力がほどほどで、肥満でなく、病気でもなければ、従来は入隊を認めなかった低身長者や高身長者も、来年からは採用することにした。

 次。
 Defense Express の2024-12-5記事「Swedish Norma Finds the Best Shotgun Round Against FPV Drones: Which # They Chose and Another Key Factor」。
   ノルマ社は、市販機材をベースにしているFPVドローンに対して、一般的な粒径2.25mmの散弾(#8 ショット)では威力が足らないことをまず実験でつきとめた。銃は一般的な「12ゲージ」を使う。

 粒径は2.75mmにする必要がある。すなわち「#6 ショット」だ。
 それ以上、粒を大きくすれば、粒数が減ってしまって、数十メートル先の空中で散開したときにドローンに粒が当たりにくくなる。よって、「♯6」が、最善のバランスだ。

 ノルマ社はその上で、1粒のパンチ力を増すために、鉛粒ではなくタングステン粒を採用した。
 ※鉛の比重は、立方センチあたり11.36グラム。タングステンの比重は、19.3グラム。

 かくして、「AD-LER」弾=対ドローン用の大射程実包 ができあがった。
 1発で350粒のタングステン・ペレットを前に飛ばす。有効射程60メートル。実包の重さは34グラムである。

 同社は、テスト用の銃として、ベネリ社のM4ガスオートをカスタム。バレル・チョークは特別あつらえ。

 ※さらにパンフレットから補足する。ケース長は70mm。初速は405m/秒。チョークは「1/2」以下であること。


(管理人より)

 週刊新潮 2024年12月12日号 103ページに兵頭二十八先生の『日米史料による特攻作戦全史 航空・水上・水中の特攻隊記録/ロビン・リエリー (著)』書評が掲載されています。Kindle Unlimitedでも読めます。


週刊新潮 2024年12月12日号[雑誌]


小川寛大氏がまた南北戦争の本を出した。中公新書ラクレの『南北戦争英雄伝』。

 奥付によると11-10発行。
 小川氏のグループは十数年以上も前から「全日本南北戦争フォーラム」の会報その他を通じて、多くの日本人が注目しないアメリカの内戦に光を当て続けてきた。こうしてそのエッセンスが新書になって手にとりやすくなるのは、よいことだ。

 次。
 Brendan Cole 記者による2024-10-31記事「Putin’s Generals Are Turning on Each Other」。
   アレグザンデル・オグロブリン少将は、露軍の通信部隊の親玉だったが、ロシア国内の通信会社「Perm Telephone Plant Telta」から1000万ルーブリの賂いを受け取って随意契約を続けたというので逮捕された。仲間はもっといるらしく、ショイグも怪しい。

 英国防省の見るところでは、かつてのショイグの系統の将軍たちの汚職が、洗い直されようとしているようだ。

 ※プー之介とFSBは、ウクライナ戦争を切り上げるタイミングでショイグを逮捕させ、侵略が失敗したのはすべてこいつが露軍を腐敗させていたせいだった、ということにしたいのではないか?

 次。
 Defense Express の2024-10-31記事「All Electronics From the russian Foam Drone Gerbera Featured in One Photo」。
   露軍がUAVと巡航ミサイルで空襲をしかけるとき、宇軍のAAアセットをまず浪費させてやるために、囮ドローン「ガルベラ」を放つ。
 この固定翼無人機は、じつに部品が少なくて、安上がりにできているので、研究する価値が大きい。

 まず機体の胴体は、発泡プラスチック外皮+合板骨組である。

 胴体の背部には「腹腔」があり、アビオニクスに必要な電子部品はそこにぜんぶ、入っている。

 たったふたつの回路基盤がある。

 ひとつの基盤には、スイスの「Ublox」社製の「NEO-M8N-0」という航法用チップが載っている。チップの製造は中共国内でされておて、通販単価は31ドル50セントだ。まとめ買いすれば、その数分の一で足りる。
 この基盤には、そのチップの他に、微少な加速度計やジャイロも載っている。

 2枚目のボードは、〔アクチュエーター用の〕電力の昇圧コンバーターのようだ。中心チップは「XL6009E1」。このボード全部でもコストは「数十ドル」というところだろう。

 さらに、4Gモデムと、ウクライナ国内の携帯電話網に対応するSIMカード。

 これら電装系ぜんぶひっくるめても、搭載の中国製ガソリン2サイクル・2気筒水平対向エンジン「RCGF STINGER 30CC」1基(アリババ通販で265ドル7セント)より安くおさまっているはずだ。

 次。
 Defense Express の2024-10-31記事「Ukraine Poised to Break Drone Production Record in 2024?2025: 1.8 million UAVs Contracted」。
   ウクライナ国防省から、統計数値の発表あり。
 2024年の年頭から10月31日までのあいだ、ウクライナは、128万機の無人機を国内で製造した。
 さらに年末までに、36万6940機の無人機を、軍に追加納入するであろう。

 次。
 The Maritime Executive の2024-10-30記事「China is Building a New Mini-Carrier at a Civilian Shipyard」。
   COMEC造船所を撮影した衛星写真。
 どうやら中共は「ミニ空母」の量産に入ったらしい。650フィート×130フィートの「フラットデッキ」船。

 次。
 Defense Express の2024-10-31記事「russian Occupiers Return to Old Assault Tactics Using Motorcycles and Quad Bikes」。
    露軍が、最前線への物資補給に、自動2輪車、4輪ATV、4輪バギーを多用しているのは、こうした輸送手段を本格的なトラックにしたところで、今日のドローン脅威下では、「復路」に生き残ることができないから。常に、片道特攻補給手段となる運命なのである。
 だったら、安いほど良い。それで、オートバイが復活しているのだ。

 最前線まで物資を補給しおえたそれらの軽快車両は、そこで乗り捨てられる。宇軍のドローンに見つかり次第、灰にされる運命なので。それは時間の問題なのだ。

 次。
 ウィキペディアの「Shield AI」の項目。
 WSJのトピック記事が読めないのでその代わりに。

   サンディエゴに本社がある「シールドAI」社の無人機「Nova」は、米軍が公式に採用した初のAI駆動式ドローンである。

 シールドAI社は、2015年に、元ネイヴィシールズの将校(姓はシナ系)によって創立された。
 彼はアフガニスタンに派兵されていたとき、建物内の敵を偵察することができなかったために痛い目を見たので、そのときから、無人機メーカーが成長株になると信じていた。

 2022年にはUAEにも支店を開設。その長は、元シールズの准将。

 Nova は、クォッドコプターだが、全自動で未知の建物の内部をマッピングしてきてくれる。リモコンの必要がない。GPSにも依存しない。
 もちろん、センサーの中軸はLidar。

 2021年には「Nova 2」をリリースした。

 次。
 Svetlana Shcherbak 記者による2024-10-31記事「Ukraine Tests High-Precision Munitions for Drones That Can Be Dropped from an Altitude of 1 km: A Significant Leap in Effectiveness」。
   ウクライナ軍の技術開発部門は今、6軸の大型マルチコプターから、複数の爆弾を精密に次々と投下する技術を完成しつつある。高度1000mから投下して、落下した小型爆弾が、標的に正確に当たるという。爆弾が、自律誘導されるのかどうかは不明だが、とにかくその高度でも精密に当たるようになったという。

 高度が1000mあれば、敵の塹壕陣地内にあるECMアンテナからの距離が十分なので、妨害の電界強度は弱まる。だからドローンは悠々と照準を付けられる。1000mだと小火器で狙撃してもまず当たりはしない。



南北戦争英雄伝-分断のアメリカを戦った男たち (中公新書ラクレ, 825)


《カミカゼ》を学び直す――長射程の対艦UAVは、どのようなコンセプトでなければいけないか?

 並木書房さんから強烈な力の入ったハードカバーの新刊が出た。ロビン・リエリー氏著『日米資料による 特攻作戦全史』。
 このジャンルの集大成的決定版資料ではないかと思われるゆえ、いずれふさわしい方々が本格的な書評・註解をなさるに違いない(昨年の『米軍から見た沖縄特攻作戦』との違いも含めて)。

 小生は、速読の結果、来たる対支防衛戦――おそらくは同時に台湾有事でもある――に対処すべき《日本版レプリケーター》の戦果を左右するかもしれぬ重要ポイントを、本書のおかげで改めて整理し得ました。

 卒爾ながら、それを列挙しておきます。

 ◇九三中練のような、木骨羽布張りの旧型練習機は、レーダー被探知距離が6km台と短かっただけでなく、AA砲弾のVT信管が作動しないで通過してくれるので、165km/時の低速しか出せなかったのにも拘わらず、しばしば被撃墜を免れて、小型艦の回避機動にも能く追躡し、著功を挙げている。たとえばDDの『カラハン』をみごと撃沈。

 ◇いやしくも可動するエンジンならば何でも取り付けて送り出せるように考えた中島キ115「剣」のコンセプトは、今日のレプリケーター特攻機にも使えるはず。離陸後投棄される降着装置や、突入寸前に翼面積を最小にして着速を増大させる工夫なども。

 ◇濃密な米海軍の防空網を突破して艦艇への突入を成功させるための最善の分散法は、とにかく「多方向」からアプローチするようにすること。

 ◇艦艇からのAAが弱くなるアプローチ方位は、艦尾方向だということは、日米両軍でよく理解していた。

 ◇当時のAAの機械的限界のため、艦艇の真上をウロウロし続け、まっすぐ降下してくる日本機は、CAPが追い払わないかぎり、対処できなかった。たとえば40ミリ機関砲は給弾が人力だが、砲身が90度上を向いていると、給弾が無理。

 ◇艦艇側では、雨で視程が不良の夜が、最もくつろいでいられた。ぎゃくに月明の夜は、最悪だった。カミカゼ側としては、雲隠れを利用しやすい雨天の昼間がいちばんありがたかった。

 ◇AAのタマに曳光弾を混ぜすぎると、カミカゼはその曳跟軌跡を辿ることによって敵艦の位置をすばやく見定めてしまう。僚艦のAA射手も、派手な曳光弾の行き先にばかり注意が向いてしまう。

 ◇航空エンジンは製造工場において15時間もの回転試験が必要だが、1944以降、そのために必要な燃料が日本国内で涸渇した。

 ◇陸軍の「マルレ」(韜晦呼称「連絡艇」の略号)は、フィリピン戦が初陣だが、海軍の「震洋」以上に大活躍している。ただし、爆雷投下後、敵艦から離れていく段階で、多くが火器の良いマトになった。

 ◇「震洋」は、メインの起爆システムが電気式であったため、迷走電流などで、海辺のトンネル倉庫内でよく自爆事故を起こした。後知恵はこうだ。メインの衝突起爆はメカニカル雷管とし、サブの自爆手段として電気もしくはケミカルバルブを備えておくべきであった。

 ◇「回天」の起爆機構は、メインが慣性衝突信管で、サブが、搭乗員が手動で作動させる電気信管。

 ◇「回天」は、針路を定めるときに深さ1mから潜望鏡を上げたが、そのあとは5mまで潜り、潜望鏡無しで衝突する。

 ◇サイパンの日本軍守備隊は、アルミの航空機用増槽を「ミジェットサブ」に改造した。実物写真あり。

 ◇カミカゼは、遅くとも10月26日には、敵艦へ一直線ダイブする途中ずっと、機銃掃射をし続けている。以後、それは常套行動となり、珍しくない。

 ◇リバティ船よりさらに大型の「ヴィクトリー船」という戦時標準型輸送艦を米軍は44年以降、534隻建造した。全長139m、15ノット。(ちなみにこの前ご紹介した最新の「HIGH BULK 40E」型貨物船は183mで13.6ノット。)

 ◇カミカゼ攻撃の矢面に立ったのは、LCTやLSMのような、艦名が数字でしか表されない、無名の輸送艇だった。こうした船艇が、ガソリンや弾薬を手分けして補給していた。

 ◇遅くとも12月30日には、カミカゼ特攻機は、艦艇に命中する寸前のタイミングで、吊下している爆弾をリリースする小技を採用していた。これにより爆弾にはブレーキがかからずに、鋼鈑デッキを何層も貫徹できる。この分離衝突方式はとても効果的であった。今日の対艦攻撃用の自爆型UAVも、衝突コースの最終段階で兵装を分離するのがよいかもしれない。それで敵艦のAA用レーダーに負荷をかける効果もあるはずだろう。

 ◇遅くとも45年1月8日のパラオ諸島以降、「遊泳特攻」戦法が、機会のあるかぎり採用されていた。伏龍のような本格的なスーツを着用せぬ泳者によるもの。

 ◇LSTの舷側の真下までやってきた「マルレ」をLSTの自動火器は射撃できない。俯角に制約があるので。「マルレ」が逃げて離れて行く段階で、ようやく、射撃できるようになる。後知恵。マルレは「煙幕」を張りながらUターン避退できるようにしておいたら、合理的だっただろう。

 ◇救命胴衣は、紐を結ぶ方式ではいけない。被弾船の乗員は手に大火傷をしていることがあるので。

 ◇遅くも45年1月21日には、日本機は、帰投する米機の後ろからゆっくりと追躡することによって、敵艦のレーダーエコーの上で、あたかも米機であるかのようにみせかけるという、巧みな欺騙アプローチ術を会得している。

 ◇護衛空母『ビスマーク・シー』の教訓。下層甲板に格納する飛行機からは、めんどうでも必ずガソリンを抜いておかないと、それが被弾を致命傷にまで拡大してしまう。

 ◇回天よりも「マルレ」の方が活躍している。桜花よりも、練習機や九七戦ベースの低速特攻機の方が多大の戦果を挙げている。これらはそっくり、「レプリケーター」の「仕様」にかんして、よく考えるべき教訓だ。

 ◇新田原が米機から空襲されそうになると、所在機は、朝鮮半島の群山飛行場まで一時疎開した。

 ◇駆逐艦『ゼラーズ』の戦訓総括。同時2機のカミカゼは、撃退できる。しかし同時3機となると、1機はかならず透過して来る。

 ◇ヴィクトリー船のキングポスト(自前クレーンの主塔)は、カミカゼ機が命中しても、倒壊したことなし。

 ◇5月4日以降、沖縄で、手漕ぎ船による肉薄攻撃が催行されている。武器は手榴弾。それに比して大発は、案外、特攻の道具としては顧みられていなかった感じ。問題は、音で気取られないことか。

 ◇4本煙突の旧式駆逐艦を輸送船に改造したものは、泊地でカミカゼに狙われると、とっさに身動きもかなわず、防禦するのはお手上げであった。こういう旧いアセットを最前線まで持ってきてはぜったいにいけない。

 ◇大本営は、米軍の九州上陸作戦は輸送艦艇1000隻でやって来ると正確に予想。その半数の500隻を撃沈するためには、特攻機が3000機必要である、と計算していた。

 ◇200kg以下の投下爆弾や爆雷の、アンダーキール炸裂が、水上艦を1発で廃船にできることは、沖縄戦のさなかに、複数の偶然の事例から、知見が得られた。今日の「クイックシンク」の淵源。

 次。
 ストラテジーペイジ の 2024-9-16記事。
   現況、最前線のウクライナ軍は、露軍占領エリア内に縦深20kmまで、自前のFPV自爆ドローンを送り込める。
 「有効射程」ならぬ「有効ドローン覆域」が20kmと表現できる。

 このため最前線の露軍将兵は、飲用水すら前送されてこなくなってしまって、困っている。

 クォッドコプター型のFPV自爆ドローンは、双方とも、1機のコストが500ドル。
 ただしこれはサーマルビデオを搭載していない型で、夜間作戦用にナイト・ヴィジョンをとりつければ、単価は2倍以上になる。

 1機が搭載する炸薬量は500グラムほどだ。

 当初イランはロシアに「シャヘド136」を1機20万ドルで売った。
 しかしウクライナのエンジニアは、巧妙に設計すれば、等しい性能の自爆固定翼ドローンを、2万ドル未満で生産できると考えている。

 ドローンは空軍の仕事も変えた。
 かつてはBDA=爆撃加害評価 が空軍にとっては大仕事だった。自軍機が投弾した後からふたたび写真偵察して、爆撃の効果がどれくらいあったのかを判定しないことには、次の手が決められなかった。

 2002年から米軍がアフガニスタンとイラクで始めた「テロとの戦い」ですら、WWII式のBDAが不可欠だった。

 それが、2022~のウクライナ戦争では一変したのである。ドローンが、BDAを即時にやってくれるから。

 それ以前であれば、確定的なBDAには、人間の地上偵察員を現場まで派遣する必要があった。
 しかしいまやドローンが、人の代わりに、建物の敷地内や、トンネル内をすら、覗き込んで調べてくれるのだ。

 次。
 Josh Luckenbaugh 記者による2024-9-16記事「Startup to Produce Energetic Materials With 3D Printers」。
   テキサス州にある「スーパーノヴァ」社はこのほど、3Dプリンターを使って、軍用レベルの新火薬を量産する道に目途をつけた。

 粘性がふつうの100倍もある樹脂を、立体リソグラフィーに使えるようにした。

 もともと3Dプリンターは、粘性の高い素材とは相性が悪い。会社は、その壁を乗り越えた。

 エネルギー・レベルの高い爆薬のような粉体に、光硬化性の結着媒体を混ぜる。かなりの粘性となるが、その混ぜ物には、いささかの気泡も生じさせない。これを3D出力して造型し、そのまま紫外線で硬化させる。

 たとえば、無弾頭の紙飛行機と見えても、じつは、機体素材全部が爆発物である、そのような造型。

 3Dプリンターを使えるということは、最前線でもこれを量産できるわけだ。

 また、最先端のロケット推進剤を、いきなり複雑巧妙な立体構造に、固化させてやることもできる。

 ミサイル弾頭も同様。特別な対戦車弾頭を、アイスクリーム工場のようにオートメーションで量産できる。革命だ。

 ※HEAT弾頭の正面のコーン状空隙は、ただ空気を入れておくのはスペースがもったいないから、たとえば酸化剤を不活性物質の樹脂バブルで封入したもの等を、充填してはいかんのだろうか? その特殊な樹脂を、特殊3Dプリンターで製造することができるのではないか?

 次。
 ストラテジーペイジ の2024-9-16記事。
   米国はウクライナに対して、米国から供与した特定の兵器を、どこに対して使ってはいけないか、事細かに注文している。じつはその注文のおおもとは、ロシアの国防大臣から米国の国防長官に対する直通通信によって、さいしょになされているものだ。米国政府は、ひたすらにそれを反映しているのである。

 ウクライナが国産している兵器を、ロシア領内の標的破壊のために使っても、米国政府はキーウに公式に苦情を言ってくることはない。

 そこでウクライナ側は、米国供与兵器と同等のレンジをもつ長距離自爆UAVを国内で製造して使用し、それと混ぜて米国供与品も、黙って勝手に使ってしまう。そして米国政府に対しては「国産兵器によって攻撃している。ロシアのクレームは、いつもの嘘だ」と回答する。米国政府はそれ以上、突っ込まない。

 ロシアがいつも嘘ばかり発表するものだから、この回答が有効なのである。
 現状、こんな感じとなっている。

 次。
 The Maritime Executive の2024-9-11記事「CNOOC Makes First Ultra-Deepwater Gas Discovery in South China Sea」。
   中共の国営エネルギー会社 CNOOC が、大深度の海底ボーリングにより、有望なガス田をブチ当てたと発表している。
 場所は、珠江の河口。
 シンセンから150浬南――すなわちEEZ内――にある、白雲と呼ばれる海盆。
 深さ4400mまで掘ったところ、650mのひろがりのあるガス溜まり〔ただし頁岩層?〕を見つけた、と。

 ちなみにこの会社のトップは汚職で追放されている。



日米史料による特攻作戦全史


知床半島の「世界自然遺産」と、欧米の「不法移民保護」に共通した偽善。

 どちらも、住民や中流以下の労働者を危険にさらしてかえりみず、政府は得たいのしれない団体から称賛をされながら同時に治安基盤を侵蝕され、奇麗事を語る金満階級はその私邸が厳重に警備されているおかげでまったく危険とは無縁に暮らし、作為した環境から私的な収益を上げ続けられる。

 住民を守れない政府は政府ではない。増やしてはいけない羆をこんなに増やした責任を環境省や文科省は取らねばならない。

 知床の「世界自然遺産」はただちにユネスコに返上し、北海道の羆は皆殺しにする法令を整備しよう。そして知床海岸には高さ600mの電波灯台を建設し、その電源にはアイソトープ電池を使おう。

 (2022年に「Booth」で世に問うた「鳥獣から人間を保護する法律が必要だ」の提言は、今日ますます有意義だと思います。)

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2024-6-18 記事「Russian Su-34 NVO wings seem to overheat when launching a missile」。
   17日の速報で、露軍は「スホイ34」の最新型である「M型」もしくは「NVO」型を受領していることが確認された。
 何が変わっているかというと、チタン合金でコーティングした防炎板が、追加された。
 これが意味すること。これまでの型の「スホイ34」からある種のミサイルを発射すると、主翼の特定部分が危険なまでに熱せられていたのではないか?

 あるいは、主翼内にある電子部品が、これまでは、ミサイル発射時の昇熱で壊れることがあったのではないか。

 次。
 Clarence Oxford 記者による2024-6-13記事「Heat-Resistant Metal Alloys Under Study」。
   「デザイン・アロイ」と呼ばれる新合金の模索がせかいじゅうで続けられている。原子レベルで挙動が「見える」ようになってきたので。
 無銹鋼は、鋼鉄にクロムを混ぜることで表面に酸化膜ができ、それ以上の腐食を食い止める。

 この昔からあるステンレススチールをさらに改良強化することで、核融合炉やジェットエンジンの高熱にも耐えられる合金素材を得ようというのが、研究者の野心だ。

 米国の一チームが今、探索しているのは、コバルト、クロム、鉄、ニッケル、マンガンを等量ずつ混ぜた「カンター合金」を出発点としたもの。

 クロムとマンガンは、いちはやく酸化して皮膜となる。鉄とコバルトは膜の下に潜る。ここで、アルミが加えられていると、それ以上の腐食は食い止められ、高温にさらされたときの焼蝕にも強くなるという。

 新世代合金の発見には、これからAIが投入されるようになるだろう。ここでも、競争が始っている。

 ※2024-6-18『北海道新聞』によると、日本製鋼所の社長が2024-6-14日に、5年間の中期経営計画の説明会にて発表。これから5年間で室蘭の子会社に200億円設備投資する。新工場も建てる。防衛装備品や鍛鋼品の受注増を見込んでいる。……これって十五榴の砲弾ラインがとうぜんに含まれるよね? パトリアのMICVも室蘭で造るらしいし、このまま《日本のラインメタル》に大成してくれ!

 次。
 Defense Express の2024-6-18記事「Manufacturer Reveals Specifications of Mace UAS, the Ukrainian Counterpart to Lancet」。
    「ユーロサトリ2024」にウクライナ版ランセットが出展された。
 このロイタリングミュニションは、ウクライナ国内では「ブラヴァ」と称され、輸出営業では「メイス」と名乗っている。

 ※外見は、イスラエルの「HERO-400」とクリソツである。というかそもそもランセットがHERO初期型の図面流用だと私は強く疑う。

 会場の説明看板によれば、メイスのMTOWは11kg。弾頭重量は3.6kg。成形炸薬+サーモバリックの合体にしてある。
 時速100kmで50分、上空ロイタリングを続けられる。
 動力は電池である。
 翼丈1.6m、胴長1.5m。

 センサーは「マシン・ヴィジョン」と一体。昼夜、機能する。

 ※アル・ゴアの豪邸を空撮した写真がSNSに出回っていて、屋根に太陽電池パネルが1枚も見られない。象徴的すぎた。


BOOTH
鳥獣から人間を保護する法律が必要だ──「害獣退治庁(仮)」の組織および装備を提言する


ウズベキスタンは数年前までエネルギーの純輸出国だったが、人口が増えたため今や電力が大ピンチ。

 ※そんなうらやましい悩みに襲われている国もあるわけだ。

 次。
 Trevor Hunnicutt and Lananh Nguyen 記者による2024-6-9記事「Exclusive: G7 plans to warn small Chinese banks over Russia ties, sources say」。
   米財務省の幹部はくりかえし警告している。欧州の銀行であれ中共の銀行であれ、ロシアを助ける金融機関は、西側による経済制裁に直面するぞと。

 国家安全保障副補佐官のダリープ・シンが、シンクタンクのCNASで語った。G7は今週の会合で中共に照準を合わせていると。

 中共はますます「ロシアの戦争工場」となりつつある。
 いわば、非民主主義の兵器廠だ。
 その悪影響はウクライナ戦線にとどまらず、全欧州とアメリカ大陸にまで及ぶ。

 だが中共の巨大銀行に制裁をかけると敵は報復できる。そこでインサイダーたちはこのオプションを「核攻撃」と呼んでいる。実行をためらってしまうわけだ。

 オプションとしては、中共の中小銀行を狙い撃つことになるかもしれない。

 ※6月6日の「ガイアの夜明け」に出てきた「スイトルボディ」は、注意深く改良すれば熱傷患者の初期治療に使えるのではないかと直感した。その分野の関係者なら、そう考えた人が多いのではないか? 中共が東京を核攻撃して何十万人もの火傷患者がいちどに発生したとき、もはや救急車は、やってきてくれない。地域病院の機能も、パンクしている。あとは、生き残った地下シェルターの倉庫内にある道具だけで、何とかしなければならないはずだ。そこでは「真水」も、限られているはずだ。

 次。
 2024-6-8記事「IAI Unveils WIND DEMON Long-Range Air-to-Surface Cruise Missile」。
    IAI社が、新型の空対地ミサイルを発表した。「ウインド・デモン」と称する。プラットフォームとしては、ヘリコプターや警備艇でも可いそうだ。レンジは200km。

 基本は、射ち放し式である。ただし、途中で攻撃中断コマンドを送ることもできる。よって、ロイタリングミュニションとしての運用も可能。

 弾頭重量は20kg。
 飛翔高度はとても低い。
 光学シーカーでパッシヴに標的を探す他、レーザー反射点にセミアクティヴ誘導で突っ込むことも可能。
 念のためビデオ映像をプラットフォームへ送信し続ける。

 飛翔の中間部分では、速度を抑制する。
 ※さもないと光学センサーによる地形照合が至難になるからだろう。

 最後の突入ダッシュで再加速する。

 ※不思議なんだが、イスラエルの兵器メーカーは、戦争中に、どこで「実験」を続けてるんだ?

 次。
 Defense Express の 2024-6-9記事「Ukraine Hit russia’s Latest Su-57 Aircraft for the First Time at Akhtubinsk Air Base」。
   6月8日、「Akhtubynsk」航空基地に駐機していた露軍の「スホイ57」×1機が爆破された。ウクライナ軍情報部が発表。

 民間の衛星写真でこれは事実だと確認ができる。

 スホイ57は、今次戦争では、空対地巡航ミサイル「Kh-59/69」のキャリアーとして作戦している。
 最新型で高額。よって機数も少ない(10機未満)。それが初めて全損となった。

 ※ブダノフの作戦だとすると、これは長距離無人機ではなく、潜入挺進隊員が小型ドローンを基地の外柵のすぐ外から放ったのか?

 次。
 Wyatt Olson 記者による2024-6-8記事「US Army brings its premier training center to Philippines for first time」。
   米陸軍はこのほど、ハイテク訓練機材を用いた「歩兵大隊対抗」の実動演習を、初めてフィリピンのマグサイサイ基地に持ち込み、フィリピン陸軍と、陣地の攻防を手合わせした。

 実弾こそ発射しないが、当たったか外れたか、損害はどの程度か、デジタルでリアルタイムに判定され、モニターされ、すべて記録され、状況終了後の反省会に活かされる訓練システム。

 ハワイとアラスカには2021年からこの訓練設備環境がある。
 またその可搬型のセット「JPMRC-X」は、インドネシア軍とのガルーダシールド演習や、豪州軍とのタリズマンサブル演習に持ち込まれたことがある。

 ※「note」 = https://note.com/187326mg/ を視てくれている人は、ここ半月のうちに、すっかりベトナムのカーゴバイク通になったのではないかな? みんなで沼にハマろう!


ベトナム軍新兵に輸送自転車操法を教育している公式動画(ソースは https://www.youtube.com/watch?v=XumCPx9_jwM)から学ぶこと。

ベトナム軍の新型専用輸送自転車は2021年まで遡ると確認できたので「2022年型」の仮称は撤回します。(ソースはすべて Vietnam メディア)


オランダ空軍のF-35Aは、6月1日をもって、「B61-12」水爆をモスクワへ配達できる態勢を整えた。米空軍以外のF-35としては、初。

 かつてKLMの旅客機を撃墜された怨みのあるオランダ人は、いつでもロシアに報復することを躊躇しない。だから、迫力があるわけ。

 次。
 Defense Express の2024-6-3記事「How Much Does a Regular Modern Anti-Personnel Hand Grenade Cost Now?」
   このほどスペイン国防省は、最新型の手榴弾を4万2500個、発注し、その入札の上限額を公表している。
 同省は、納期1年で、最高550万ユーロまで出すとしていた。

 スペイン国内で手榴弾を永年製造しているメーカーはひとつしかない。サラゴサ市にある「Instalaza」社である。その手榴弾は「アルハムブラ D/O (M2)」という。

 要求仕様によれば、この対人用手榴弾は、総重量400グラム。
 樽形の容器の外皮はプラスチック製だが、そのプラスチック皮の中に整然と、径2㎜の鉄球が3500個、層状に封入されている。
 樽形の外皮には、この2㎜球の他には、金属が使われていない。したがって、重くて致死的な高速破片は物理的に生じないようにできている。そのかわり、半径10m内では濃密な対人毀害力を確実に発揮し、ほぼ必殺である。

 ※2㎜の鉄球をいかほど加速しようとも30m(=人力投擲限界)も飛散はしないだろうし、風向きのかんけいで万一飛んだとしても致命傷にはなるまい。したがって、歩兵部隊が突撃のきっかけを作為するための「攻撃用手榴弾」としては好適なわけである。投擲者が見計らった爆発タイミングに膚接して立ち上がり、そのまま突撃前進しても、こっちには破片は来ないと確信ができる。そういう寸法なのだ。しかしこれが、第二次大戦中の米軍型手榴弾(すなわち陸自の現有手榴弾)だと不規則に大きな破片が生じてしまい、それは50m先でも人に致命傷を与え得る速度と重量を持つ。5月30日に北富士演習場で投擲訓練に立ち会っていた陸自隊員が死亡した事故も、報道から想像をすると、爆発点よりも30m後方で、頭を壕から出して見ていたところに、おそらく数万分の1の確率でたまたま重い破片が1個飛来し、それが運わるく頚部動脈を傷つけた。陸幕はこの貴い犠牲を無にすることなく、西欧諸国軍が採用している新型の手榴弾に、すぐにきりかえろ! そして旧式手榴弾は、ウクライナへ送って無人機用の兵装に現地改造してもらうがよい。

 さてスペイン軍の新調手榴弾だが、計算すれば1発129.4ユーロ=138ドルだ。
 これは入札価格だから、納入契約ではまた違ってくるだろうが、そう大きく変わることもあるまい。

 「アルハムブラ」は信管に特長がある。フライオフレバー式のメカニカルフューズ(レバー解放後、4秒遅延)であると同時に、底部の穴に、電気発破のコードをつなげることもできるようになっている。
 つまり即興的にブービートラップなどへの転用も自在なわけ。

 充填炸薬量は104グラムである。

 ※ベトナム軍の「2022年型」自転車の、ダウンチューブから垂直に立ち上げてトップチューブを下支えしているようにみえる短いパイプチューブの側面に沿って、2個のボルト穴があいた「取付け金具」も熔接されているのだが、その目的がわかった。この自転車を、負傷兵後送用の「ストレッチャー」に仕立てるときに、T字形の金属支柱を増着しなければならないのだが、そのT字支柱の取付け用の螺子穴なのだ。詳しくは今日以降の「note」で解説するから、そっちを見ていてくれ。(画像検索を手伝っていただいている御方に、ここで感謝を申し上げます。)


兵頭二十八 note