とびゲラー。

 『The War Zone』 staff 記者による2024-4-14記事「Iran’s Retaliatory Strikes Have Begun」。
    今後、イランの巡航ミサイルのコースを迷わせるために、イスラエル上空のGPS信号は、意図的に攪乱されることがある。これはイスラエル政府の中の人が注意喚起した。

 IDFいわく。こんかい飛来したイラン製ドローンは、少なくも1800km、飛んできた。だから着弾までに数時間かかった。

 ※謎だ。ネゲブ砂漠からイラン領土まで計っても1200km弱しかないはずだ。オマケの600kmは何の為?
 イスラエル国境からイラン国境までは、最短で1000km弱である。
 今回イランは、イスラエルの防空アセットを飽和させるべく、すべてのドローンが同時弾着するように攻撃プランを組んでいた。その発進点を極力拡散するには、余裕の航続距離が必要であった。

 この大空襲をうけて、イラク、ヨルダン、レバノン、エジプトは、民航機の自国領空利用を一時、禁止した。もちろんイスラエルとイランの領空も、民航機は飛べない。

 こんかい米軍は、SBIRS(宇宙展開赤外線早期探知衛星群)をISRに役立てたことが強く推定される。これは弾道弾発射のブラストの赤外線を探知するのが第一義の用途だが、もっと微かな巡航ミサイルの赤外線も探知できるのだと噂されている。ただし、それがドローンまで及ぶのかは不明。

 イランは民間目標を狙っていない。今回は軍事施設に対してのみ、空襲を仕掛けた。

 イランは、ディモナにあるイスラエルの核施設も狙った。エイラート港も。

 ヒズボラは、ゴラン高原に対して短距離ロケット弾を撃ちかけているという。ただしイランの空襲開始よりも遅く、それを開始した。

 イラン国防相は警告した。イスラエル軍機の対イラン空襲のために領空を提供した第三国に対してはイランは断固たる対応を取る、と。

 CNNによれば、飛来した70機のドローンと3発の弾道ミサイルは、米軍がインターセプトした。

 米軍艦は「SM-3」を初めて実戦で使用した模様。SM-3はもともとABMとして開発された。そのほんらいの目的で、初めて実戦発射された。

 イスラエルの発表によると、イラク領内、および、イエメンから発射されたドローンがある。
 ※だから1800kmか。

 対巡航ミサイルと対ドローンの防空には、イスラエル空軍の「F-15 I」が活躍したのではないか。「AIM-7 スパロー」は、イスラエル空軍機が敵のドローンを撃墜するのには、とても使いやすいAAMだという。これを目視の近距離AAMとして用いるのである。もちろん、セミ・アクティヴ・レーダー・ホーミングで当てる。イスラエル空軍は、巡航ミサイルもドローンも領空の外側でことごとく撃墜したと自慢している。

 ※ストラテジーペイジによれば、イランはレンジ700kmの新型の巡航ミサイルを完成していると。これは走っている車両から発射することができると。またイランは、全長8mのスピードボートから、レンジ30kmのミサイルを1発、発射させることができると。「ファタ110」地対地弾道ミサイルは、自重3.5トンの固体ロケットで、レンジ300kmあり、弾頭重量は500kgだと。なお、ロシアが手にした「シャヘド」特攻機はもうじきトータルで4000機になるだろう、とも。

 次。
 Jonathan Snyder 記者による2024-4-15記事「Landing gear failure damages stealth fighter at Air Force base on Okinawa」。
   3-28にヒッカムから嘉手納に飛来していたF-22Aのうちの1機が、トーイング移動中に脚を破損した。月曜日発表。

 次。
 Shankhyaneel Sarkar 記者による2024-4-15記事「Fact Check: Viral Post Says Jordan’s Princess Salma Shot Down Iranian Drones, Here’s The Truth」。

 「X」に複数の偽ニュースが投稿されている。ヨルダンの「サルマ・ビント・アブドゥラー」王女が戦闘機に搭乗して、このたびイランから飛来した無人機を5~6機、撃墜した、というもの。
 このプリンセスは、現ヨルダン王の第三子。

 王女が飛行服を着ている写真が偽ニュースに添えられているが、これは2023-12にヨルダン空軍がガザに対して物資空中投下ミッションを実施したときの一枚である。

 2020年にこのプリンセスは、ヨルダン女性として始めてヨルダン空軍のパイロット養成コースを卒業した。これは事実。


プロペラを、敵レーダーに対して「ステルス」に変える方法が、何か、あるはずだ。

 それは、ゲーム・チェンジャーになるだろう。

 次。
 Emanuel Fabian 記者による2024-4-15記事「How Israel foiled Iran’s ballistic missiles as they headed to an F-35 airbase」。
    こんかい、IRGC(イラン革命防衛隊)はあきらかに、イスラエルの南部にある「Nevatim」空軍基地をメインのターゲットにしていた。そこはF-35の常駐飛行場なのである。

 IDFによれば、4-14の大空襲で、イランは自爆ドローン×170機、巡航ミサイル×30発、弾道ミサイル×120発を飛ばしたものの、その99%は途中でインターセプトされたという。

 ※これだけの数量の目立つ兵器をシリアやイラク領内で事前に展開する必要があったから、ハマス奇襲の時のようにはその準備作業を秘匿することは不可能で、各国は、十分に備えることができた。この制約は、おそらくは「台湾有事」の直前でも、あてはまる。ということは、ぎゃくに、中共軍は、空軍とミサイル部隊(火箭軍)を一切動かさないでおいて、開戦奇襲の第一撃を、いきなり「歩兵」だけにやらせたならば、ハマス奇襲のように台湾を攻略してしまえるかもしれないわけだ。

 イスラエルの国境外では、米、英、ヨルダン、フランスの部隊も、インターセプトに加勢した。

 ドローンは低速なので、イスラエル国内の目標に到達するまでに、えんえんと数時間も飛行する必要があった。
 巡航ミサイルでも、最低で1時間も飛翔する必要があった。

 弾道弾だけは、発射して10分間でイスラエル領内に達した。
 さすがに弾道弾のすべてを迎撃することは、IDFにはできなかったようだ。時刻は現地の日曜日の未明だった。

 IDFいわく、弾道ミサイルは120発、飛来した。その多くを、ABMの「アロー3」が、敵弾道弾が大気圏外にある段階で、撃破したという。

 ※アロー3もしくは敵の弾道ミサイルの弾頭が宇宙空間で爆発した様子を地上から撮影したと思われるビデオがSNSに投稿されている。まるで尺玉の「花火」が開いたように真円が拡がる。

 ネゲヴ砂漠では、住民のベドウィンの少女が、降ってきたデブリで負傷した。弾道弾は、迎撃に成功したとしても、その残骸のすべてはイスラエル領土上に降り注ぐのである。だから空襲警報サイレンを鳴らして、住民が戸外でウロウロしないように注意喚起していた。

 ネゲヴ砂漠の東部が集中的に狙われた。そこに「Nevatim」空軍基地もあるのだ。
 他には、エルサレムと、ヨルダン西岸、そしてゴラン高原が。

 Nevatim基地には、少数発の弾道弾が、ABMをかいくぐって、着弾した。しかし損害は軽微で、飛行場は通常通りに機能しているという。

 ミサイル空襲が始まる数時間前に、所在のイスラエル空軍機は、離陸してどこかへ去ったという。空中疎開したのだ。だから地上でやられた軍用機は、無い模様。

 イランは、ネヴァティム空軍基地の「F-35i」をどうしても破壊したかったのだろう。

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 Svetlana Shcherbak 記者による2024-4-13記事「The UK Prepares for Combat Experiment, Plans Transfer of DragonFire Laser Weapon to Ukraine」。
   英国防省は、未だ試作の段階である地対空レーザー砲「ドラゴンファイア」を、ウクライナ軍に供給することに決めた。『テレグラフ』紙の報道。

 英海軍はこれを2027年に軍艦に搭載する計画である。しかしウクライナ軍にはすぐに使わせる。

 グラント・シャップス国防大臣は吼えた。いままでの兵器開発はペースが遅すぎるんだよ。10年がかりで新兵器を開発してたら、この時代には、誰も生き残れん。タイム・フレームに革命を起こせ。兵器開発の世界では、開発の遅さ=巨億の国防予算の無駄 だと自覚せよ。

 1.5キロワットのレーザー銃×37個によって空中の1点にフォーカスすることにより、55kwの対空レーザー砲となる。

 だいたい50キロワット以上あれば、そのレーザー光の照射で、飛翔体の金属表面を焼き破ることができる。

 有効レンジは非公開だが、金属表面が摂氏3000度のプラズマ状態と化し、穴が開く。航空機の胴体も、搭載兵装の外殻も、数秒にして、焼き切られる。

 使用する光の波長は、1ミクロンである。赤外線に近いので、人の目では光束は見えない。
 これを「1発」発射するのにかかるコストは、10ポンドで済む。
 まともな艦対空ミサイルが1発100万ドルするのとは、比較にもならず、安い。

 多数の特攻ドローンが一斉に襲来したようなとき、SAMではとうてい、対処はできない。レーザーしかないのである。

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 2024-4-10記事「Bridge in Russia collapses onto rail tracks: Traffic restored in a day」。
    ロシアとベラルーシを結ぶ鉄道の上に架っていた道路橋が崩落し、線路の上にデブリが積もったが、1日の除去作業により、この鉄道は再開された。

 この橋は「Paninsky橋」という。ヴィヤジマに在り。
 4-8=月曜日の午後に崩落した。

 ヴィヤジマとモスクワは、だいたい200km離れている。
 この鉄道は、モスクワとミンスクを結ぶ主幹線で、中共製の商品もこの鉄道でベラルシアまで搬入される。

 この跨線橋は1980年に架けられた。崩壊した原因は不明。

 ロシアSNSの「テレグラム」によると、雪解け水によって橋頭の地盤が流出したのが原因だったのではないかと。現地住民によると、橋梁そのものも、もとからガタガタの状態だったと。

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 Railway Gazette International 誌の2024-4-12記事「Ukrainian Railways to order Wabtec locomotives」。
    米国の輸出入銀行は、1億5660万ドルの15年ローンを、承認した。これにより、40両の「ワブテク」社製ディーゼル機関車を、ウクライナの鉄道会社が取得できる。

 鉄道会社の「Ukrzaliznytsia」は、げんざい、GE輸送機械社製の「TE33AS」機関車を使っている。ワブテク社は、GEが名前を変えた企業である。

 この商談成立により、ワブテク社のペンシルベニアにある工場では800人の雇用が確かなものになるだろう。

 ※2022の今次戦役が始って以来、米政府がウクライナに借款を供与して大型輸出を決めたのはこれが初だという。トランプはこのケースを念頭にしているのだろう。


ロシアはその刑務所内から女囚を兵隊にリクルートし始めた。

 ナショナル・レジスタンス・センターの発表。

 次。
 Thomas Newdick 記者による2024-4-12記事「French Frigate Captain Describes Frenetic Red Sea Combat」。
   紅海で作戦していた仏海軍のフリゲート『アルザス』。「アキテーヌ」級である。
 ツーロン軍港に戻ってきた。先週。
 紅海とアデン湾には71日間、いたことになる。
 それはNATOのミッションではなく、「EU」としての作戦であった。

 その艦長、ジェローム・アンリ大佐が『ル・フィガロ』紙のインタビューに答えている。

 『アルザス』は、フーシが放ったドローンとは6回以上交戦。またフーシが放った対艦弾道弾を3発、かわした。

 艦の対空戦闘では、76㎜速射砲だけでなく、12.7ミリ機関銃もフルに使う必要があったという。もちろん艦対空ミサイルも使った。

 フーシの対艦弾道弾に対して、「Aster 30」という最新の艦対空ミサイルを使った。
 それは、有効であったという。

 ここでもコスパ問題が浮上。「アステル30」は1発200万ドル。フーシのドローンは、1機が数万ドルだ。

 艦長はこれについて弁駁する。「守っている商船の価値を考えるべきだ。それを破壊されてしまうか、破壊されないかの分かれ目なんだから」。
 商船1隻の価値は、とうぜん、艦対空ミサイル1発よりも、高い。

 フリゲートから発進したヘリコプターのドアガン(7.62ミリ機関銃)を使い、フーシのドローンに並走しながら銃撃して撃墜するというビデオは、すでにリリースされている。

 次。
 J.D. Vance 記者による2024-4-12記事「The Math on Ukraine Doesn’t Add Up」。
    ※記者はオハイオ州選出の上院議員(共和党)。

 バイデン大統領は、ウクライナを助けられないのはわが共和党のせいだと世界に説明したがっているが、違う。

 ウクライナは、その国内の住民を目一杯動員しても、国防など不可能なのだ。ロシアとの人数差のために、勝てないのである。だから私は政府の支援金法案に反対票を投じたのである。

 ウクライナが自衛するために必要な兵器弾薬の数量も、米国が用意できる数量を上回っているのだ。

 昨年、ウクライナの国防大臣が見積もった。ウクライナが防衛するために最低必要な十五榴の砲弾量は、年に400万発以上だと。しかし最大発射可能量は700万発/年にもなるので、補給があるなら、発射量もそこまでは増えるだろう。

 2022-2のロシアの侵略を見て、米国政府は、国内の155㎜砲弾製造量を倍増させた。それでも現状、年産36万発に過ぎないのである。ウクライナ政府が最低必要だと言う量の、十分の一にもなっていないのである。

 そして米国政府の計画では、この砲弾の国内製造能力を、2025年末において、年産120万発にするという。それが実現したとしても、今、ウクライナが必要だと言っている弾薬量のたった3割でしかないわけだ。


中共中央銀行のデジタル通貨は、ソーシャルクレジットと連動して全人民の経済活動を監視し支配する。

 個人が、ウィーチャットやアリペイなどのデジタル財布にいかほど多額の残高を持っていようと、公安当局が評定し下賜したソーシャルクレジット(対政府従順翼賛度ポイント)が550点以上無い者は、たとえば電気自動車の充電をしたくなっても、ショップ端末の機械が受け付けてくれない。そんなシステムが遂にスタートした。

 この中華流儀を肯定評価して模倣導入しようとしている西側諸国が複数ある。筆頭はニュージーランド。
 そしてまちがいなく日本の大蔵省はこのシステムに大関心があるだろう。

 次。
 AFP の2024-4-11記事「Aston Martin to make petrol cars ‘for as long as allowed’」。
  イギリスの高級車メーカー、アストンマーティンは断言した。それが法律で禁止されぬ限り、ウチは、伝統的な内燃機関を搭載した自動車を今後もずっと製造し続ける、と。

 アストンマーチン社は、電気自動車を造らないというわけではない。2027年から販売する計画ではいる。しかし初めての設計ゆえ、すんなりとうまくいくかどうかは未知。

 次。
 Sofiia Syngaivska 記者による2024-4-12記事「
    ロシアの太平洋艦隊の司令官は、シリアへのローテーション派遣を中止して、麾下の兵員をウクライナ戦線へ送り出すようになった。すでにカムチャツカなどから2000人を抽出しているという。

 次。
 ロイターの2024-4-12記事「Ukraine desperately needs more soldiers. War amputees are returning to the frontline」。
    機械化旅団の指揮官だった32歳のウクライナ軍将校。右足を切断した身だが、またドネツクの最前線に戻ってきた。

 負傷後、彼は政府から、大学の教員や、オデーサ地区の徴兵事務所の仕事を斡旋されたが、断った。

 ウクライナ政府は数字を非公開にしているが、「Ptyncyp」という人権団体の調べでは、2022いらい、2万人から5万人もの、支肢切断・失明等の欠損後遺傷兵が、宇軍の中から生じているだろうという。

 ※雑報によると、サンクトペテルスブルグ市で、AI運転の路面電車が暴走し歩行者の群れに突っ込んだ。この無人運転システムを提供していた会社は、戦車メーカーの「ウラルヴァゴンザヴォド」。


靴の接着剤は最も強靭なものを使っているはずなのに、温度×湿気で機能が不全に陥る。おそらく元寇のときにモンゴル軍の「合成弓」の膠に起きたのがこの現象だったのだと思う。

 和弓のスタイルには、理由があったのだ。

 次。
 Eva Dou 記者による2024-4-11記事「A drone factory in Utah is at the epicenter of anti-China fervor 」。
    ジョージ・メイタス君(26)は、ソルトレイクシティで高校生だったとき、人の肩にとまらせておいて、人が探険するルートを先行偵察してくれるミニドローンを空想していた。
 17歳にして彼は「Teal ドローンズ」社を起業。ティールというのは、急速に増やすアヒルの子のイメージだ。

 強敵は中共のDJIだった。とにかくその製品の値段は、米国内で製造したなら、ありえない安さであった。

 メイタス君は、一般消費者向けの市場でDJIと競っても生き残れないと判断し、国防総省や警察、税関向けのISRドローンに、自社製品のキャラクターを明確に絞った。
 特に、夜間の視察能力を「売り」にできるように考えた。

 今次ウクライナ戦争ですべてがハッキリした。スモール・ドローンは、バトル・ツールとしての価値を証明した。

 特に片道特攻機。ペンタゴンもこれを見て、「レプリケイター」路線を推進する肚を括った。数百万機のオーダーのドローンの「数」によって中共軍を圧倒しようという最新戦略だ。

 この「レプリケーター」イニシアチブが明確に提示されたことで、米国内の弱小ドローン・メーカーたちには、急に未来の経営展望が開けた。対DoDの商売では、DJI社などはとうぜん排除されるから、もはや誰も、中共との価格競争を強いらることはない。米国内の製造コストの相場を前提した上で、米軍に売り込みをかける、まっとうな勝負ができるのだ。

 Teal Drones社は2021年に「レッド・キャット・ホールディングズ」が買収している。オーナーは、ジェフ・トンプソンだ。

 メイタスがティール社を興したのは2015年だった。当時、ドローンはブームだった。WP紙の現オーナーであるジェフ・ベソスも、2017年から小荷物をドローンで配送するとの野心を語っていたものだ。

 ところが2016にDJI社は、自重1.6ポンドでポケットに入るサイズ(3.3×7.8インチ)の「Mavic Pro」を999ドルで北米発売した。これと価格や機能を競おうとした米国内の中小ドローンメーカー(たとえばSkydioなど)は、軒並み、打ちのめされた。

 もし2018年にペンタゴンが米軍内でのDJI運用を禁止しなかったら、ティールもスカイディオ社も、皆、潰れていただろう。

 スカイディオ社は2023年にきっぱりと、一般消費者向けの製品部門を閉鎖している。これからは「官」だけを相手にするのだ。
 ティール社は、暗視能力、全天候能力、対電波妨害能力をドローンに附加すれば、高くても米軍はそれを買ってくれるので、助かっている。

 それでも、ティール社の今の従業員は100人弱。DJI社の1万4000人といわれる中国工場(もちろん大量の製造ロボットもあり)とは規模が比較にならない。

 しかし、ソルトレークシティ北部で、原野遭難者の救助隊にドローンで協力している人にいわせると、森林内で迷子を捜索するといったミッションにかぎっても、いまもって、DJI製品が最も優秀であり、米国内メーカーとの格差はいまだに「数年」はあるというのが実感だそうだ。

 DJI製品の使用が許可されていたならば、命を救えた遭難死者がいた、と、この人は明言する。

 DJIの3万ドルする最高性能ドローンを使えば、地平線のあたりまでビデオカメラをズームして、サーマルイメージによって、人の所在だけを背景から浮かび上がらせることができるのだという。

 ユタ州は法律によってDJI製品を禁じているわけではない。そこが救いである。

 マイアミ警察のある部隊。カリフォルニアで製造されたスカイディオのドローンは1機が2万5000ドル。それに対しDJI製は、1500ドルから3000ドルだという。

 フロリダ州は州法によって中共製のドローンを官公署が使うことを禁じている。

 中共製ドローンは、屋内を探索させているときにも、無線交信が切れないという。それに対して米国製のドローンは、屋内に入れるとすぐに無線のリンクが切れてしまい、そこで機材がロストする。

 レッドキャットは、ティールに加えて、一時、2つのドローン系のスタートアップを保有したものの、今はそれは手放した。2社とも、中共から部品を仕入れて値段を安くする路線のメーカーだったので。そんな腐れ縁があると、ティールを「官」に売り込むときに、障碍となってしまうのだ。

 ※近刊の『自転車で勝てた戦争があった』は、今、アマゾンで注文されますと、おそらく速い人で5月の5日には、書籍を手にできるのではないかと思います。都内書店への配本は、5月10日ですので、早ければ即日に店頭に現物が出るはずです。5月まで待ちきれないという都内の人には、4月下旬に書籍をGetできる特別な道もあるのですが、これは公言できません。超おもしろいので、みんなで買おう!



自転車で勝てた戦争があった


「練習機」の名目で、「滑空爆弾投射」専用の、誰でもすぐに操縦できる機体を開発するというのはどうじゃ?

 Ashish Dangwal 記者による2024-4-10記事「1st Time ―― China Threat Pushes Philippines To Send Its Warplanes To Australian War Games; PAF To Send FA-50 Jets」。
    フィリピン空軍が始めて、豪州の大演習「ピッチ・ブラック」に、その保有機「FA-50」(軽ジェット戦闘機)を派遣する。

 比島空軍は現在、12機の「FA-50」をもっている。これらは2014年の契約により韓国の「KAI」社から調達された。米ドル換算で4億2112万ドル。当時の大統領はベニグノ・アキノ。

 このたびの豪演習に参加させる機数については、非公開である。

 比空軍は、米空軍とは前から演習している。たとえば最近ではフロリダにて。4月8日の「コープ・サンダー2024」に、FA-50PHを複数機、出した。米空軍はF-16。

 ※ネットでFA-50のスペックをしらべたら、最大離陸重量が11985kgだ。そこから重量の6441kgを引くと、理論上、5544kgの「何か」を抱えて飛べるとわかる。最大速度は1.5マッハ。ここから思いつくことあり。日本の非三菱系のメーカーにも、敢えて「戦闘機」だとか「攻撃機」とは謳わない、「練習高速輸送機」ならば、短期間に低予算で開発できるはず。それは「空戦」をする必要はまったくないのだ。敵地領空に「侵攻」する必要もないのだ。ただ、こっちの領空内から、重量級のスタンドオフ兵器を、敵地に向けて投射するだけだ。それをひたすら繰り返す、そういう任務機。これこそ、今次ウクライナ戦争のような事態が将来に起きたとき、すぐに援助することができて、すぐに活躍させることできて、しかも、《人手の抽出》によって最前線の防備が手薄になってしまうこともない、理想の支援手段になるじゃないか。

 次。
 ディフェンスエクスプレスの2024-4-9記事「The Purpose of “Shed” on Top of T-72 and What it Tells About russian Assault Tactics」。
   4月8日にクラスノホリウカ村近くで、凄いT-72が発見された。
 車体まるごとを「納屋」でカバーしてきたのだ。まさに、動く小屋がけ。

 この巨大「やどかり」戦車は、縦隊の先頭車だけ。後続の戦車には、小屋掛けは施していない。
 これには理由がある。露軍のAFV縦隊の先頭車は、地雷啓開の任務があり、この小屋掛け戦車も「KMT-7」ローラーを装着している。

 今次ウクライナ戦争で両軍ともに認識したが、AFV縦隊の先頭車を擱坐させてしまうことで、後続車の前進は、終了する。止まるか、後ろに向かって走るか、どちらかしかなくなるのだ。
 だから先頭の1両を宇軍のFPV特攻機から是が非でも守ろうと措置することは合理的なのだ。

 別な見方もある。跨乗させている歩兵をヨリ安全にするために、この小屋架けを工夫したのではないか、と。
 最新トレンドとして、露軍は、1両のAFVに、空挺部隊員〔つまりは比較的に敵前逃亡はしそうもない志願兵のこと〕を20名~25名も跨乗させて突撃してくるという。「小屋」はその跨乗歩兵を守るためなのかもしれない。

 ※WWIの「突撃隊」と呼ばれた徒歩の浸透分隊を、AFV跨乗兵に置き換える思想かと想像される。ロシア流の「イニシアチーフ」。余談ながらナチ党の初期の実力部隊の「突撃隊」(親分はレーム)の名はストレートにこの分隊のイメージを借りていたのだろう。

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 『Militarnyi』の 2024-4-10記事「Serbia Increases Arms Exports to Israel in 2024」。
     イスラエルは、セルビア企業の「Yugoimport-SDPR」から大量の弾薬や武器を輸入しているという。

 2024-3の一ヶ月間だけで、その金額は1400万ユーロになるという。これは通関データから知られるのである。

 同社は2023-10には54万ユーロの武器弾薬を、また2014-2には51万ユーロの武器弾薬をイスラエルに輸出している。ハマスが発起したテロ戦争によって、輸出量が跳ね上がったと分かる。
 ちなみに2023-10より前には、セルビアからイスラエルへの武器輸出は、ゼロ。

 次。
 ストラテジーペイジ の2024-4-10記事。
   ウクライナ軍は、スウェーデンのサーブ社製の「SLWT」(サーブ・軽量・魚雷)、別名「トーピドー47」をこれから受領するという。
 この魚雷は、陸地から海面に投射して、潜航中の敵潜を攻撃することができる。スウェーデン海軍とフィンランド海軍は2022年から使い始めている。

 「Torpedo 47」は、全長2.85m、径40センチ。つまりは16インチ。短魚雷として、よくある寸法である。
 自重340kg。弾頭には炸薬50kg充填。
 動力はリチウム電池の電気モーター。これで速力70km/時を出す。
 低速モードとすれば最大50km駛走する。高速モードだと20kmまでだ。

 この魚雷は、水深の浅いバルト海で使うことに特化しているが、もし敵潜が、深度300mより深く潜っても、追跡できるという。

 音響センサーは、アクティヴとパッシヴの両方あり。

 ロシアは黒海にまだ4杯の「キロ」級を持っている。そこから「カリブル」を発射してくるので、ウクライナ軍としてはこれを狩らねばならない。

 2022-2時点では6隻あったのだが、2隻は最初の1年で戦列外の状態に。

 ※以下、おとといナナメ読みした記事を、記憶の中から抜粋する(出典省略)。それにしても北海道で安物の革靴を買ったなら、それは3年くらいで捨てた方がいい。古いやつは、東京の路上でいきなり靴底が剥離してしまう。おそらくは温度差×湿度が接着剤にはよくなかったのだろう。アロンアルファ×2本では救えなかった。翌朝9時半から開いててよかった三田の靴屋さん。片足がホテルの黒スリッパのままで羽田空港内を歩き回る自信はなかったぜ。(もう靴屋もだいぶ減ってしまった、とおっしゃる店主さんが、みるからにご高齢で、返す言葉は無かった……。お達者で!)

 ※ウクライナからの発表。カリニングラードの複数の露艦内で放火テロ。宇GURが宣伝。

 ※「シャーク」という偵察UAVが俯瞰するその下界にて、宇軍の自律攻撃型ドローンがBUKやTORをやっつけている動画がSNSに挙げられている。しかもそれらのトラックは走行中。ここから言えることは、終末フェイズで敵のEWを排除できる「画像イメージロックオン」の機能は間違いなくFPVドローンに与えられている。しかし目標の探知そのものを自律でやっているのかどうかまでは疑問。途中まではリモコンではないのか?

 ※独・スウェーデン・ベルギーにある、大手弾薬メーカーらは、大砲の装薬(推薬)=ガンパウダー の素材たる「Cotton Linter(綿くず)」を、中共に依存しすぎている問題ありと。それからニトロセルロースを製造するのだが。中共が世界の需要の半分を供給しているという。

 ※3月、露軍は3000発の滑空爆弾を投射した。特攻ドローンは600機、ミサイルは400発を放ったと。これは乞食のゼレ助が挙げたという数字。

 ※宇軍は、シャヘドの4割を、ピックアップトラック+ピントルMG で落としたと。ただしサーマルスコープとタブレットの補助は必要だと。

 ※余談。それを履いた状態で警備員だらけの空港ビル内を不審者丸出しモードで歩き回るというリスクをおかす必要がないのであれば、透明のビニールテープで足首ごとぐるぐる巻きにテーピングして、靴底剥離の進行を止めるという臨時応急の対処術がある。これで数時間ならば、なんとかなりそうだった(捨てたけど)。


棺桶兼用のビバーク用カプセルテントがあってもいいはずだ。災害地用の。

 そのようなカプセルなら、自転車にくくりつけて運ぶことも容易になる。

 次。
 AFPの2024-4-7記事「Missile hits near ship off Yemen: security firms」。
    アデン港の南西海面にて、1発の対艦弾道弾が、商船に至近弾となった。日曜日に英国の民間護衛会社「United Kingdom Maritime Trade Operations」が発表。事件は発表の24時間前以内に起きたという。

 船体に損傷はなかった。クルーも安全であった。

 別な護衛会社「Ambrey」もこの情報を裏打ちした。

 この対艦弾道弾が飛んで来る数時間前に、フーシは、イエメンのホデイダ港に向けても2発のミサイルを発射していたという。
 そのうちの1発は米国が率いる連合軍が迎撃した。2発目は船舶を逸れたという。

 次。
 Boyko Nikolov 記者による2024-4-8記事「Iranian 358 loitering missile linked to $12M Israeli UAVs downing」。
   レバノンでヒズボラが、イスラエル軍の高性能な偵察ドローン「ヘルメス900」と「ヘルメス450」をあいついで撃墜した。4月6日に。

 これまでイスラエルの周辺のゲリラが、イスラエル軍運用のこのクラスの偵察無人機をSAMで落としたことはなかった。

 西側の事情通は、このSAMは、イラン製の「ロイタリング・ミサイル」と呼ばれるモノではないかと。「358」という数字だけが知られている。

 小型のジェットエンジンで「巡航」できるSAMである。イランしか持っていない特殊兵器。
 シーカーは赤外線で、全長は3m。ダッシュ速度は出せないが、持続的に在空できる。

 ちなみに「ヘルメス900」は1機が1000万ドルする本格的なものだ。

 この特殊SAMは、奥行き50kmの戦場の空を脅威できる。

 敵機がやってきてから発射するのではなく、敵機がやってくる前に、戦場の上空に飛ばしておく。このミサイルは上空を周回しながら自律で在空の敵目標にロックオンする。ロボット・ミサイルだ。

 「ヘルメス450」の単価は200万ドルくらいである。

 「358」の単価は推定するしかないが、7万ドルから12万ドルだろう。つまり、こいつが実用化したことで、高額なのにステルス性が無い低速の偵察UAVは、ただの餌食でしかなくなってしまう。

 ※ネタニヤフはもうここまできたら、一刻も早くイランと直接対決したくてたまらんだろう。そこまでやらないと退陣なんてできまい。

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 Ashish Dangwal 記者による2024-4-8記事「Direct HIT! Russian Navy Claims 1st-Ever Interception Of Storm Shadow By Ship-Launched Pantsir-M Missile」。
     ロシア国営メディアは7日に宣伝した。「ストーム・シャドウ」を、艦対空ミサイルの「Pantsir-M」で撃墜したぞ、と。

 黒海の露艦で、このSAMを装備しているのは「Karakurt」級のコルヴェット『Cyclone』だけである。

 「Pantsir-M」から発射するミサイルは1種類ではない。そのひとつは、2段式の固体モーター。レンジは20km、高度は1万mまで対応する。

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 2024-4-8記事「Ukrainian Mortar Crews Upgrade with DMS-8 Digital Sights」。
   宇軍の迫撃砲操作員は、あたらしい「DMS-8」というデジタル照準機を受領しはじめた。光学照準機に追加するように装着すると、バリスティックコンピュータになって、狙いを補助してくれる。

 夜間も見える。リチウム電池の「CR2032」1個で5時間作動。

 射出瞳孔径4ミリ。
 この機材だけの重さは1.05kg。

 弾種ごとに射表が変わるので、いちいち覚えていられないが、この機材の助けを借りれば、素人兵でも古兵並の照準ができる。

 ※明日のニュースは都合によりお休み。


米議会はポーランドにJASSM-ERを輸出することを承認した。

 Tyler Rogoway 記者による2024-4-6記事「No Major Damage Seen At Russian Air Base After Drone Attack」。
 数日前の、宇軍による、ロシア西部数箇所の航空基地に対する大々的なドローン攻撃の戦果は、どんなものだったのか?
 「Planet Labs」社の細密な民間衛星写真が手に入り、まったく戦果は無かったことが判明した。
 露軍が発表していた通り、UAVはほとんど途中で撃墜された模様である。

 4月4日撮影の写真と、4月6日撮影の写真を比べると、露軍機の数に変化が無い。
 攻撃がなされたことは確かだ。というのは、駐機場所とは違う地面にクレーターが2個、できていたりする。※マシンビジョン搭載のUAVではなかったことが強く推定される。

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 Amaury Coutansais Pervinquiere 記者による2024-3-28記事「French troops in Odessa. Five scenarios of Macron in Ukraine are named」。
  仏紙『フィガロ』が、マクロンがその言葉通り、フランス兵をウクライナ国内に展開させる場合、場所はどこになるのかの予想を立てている。

 2-26のマクロン発言を承けてドイツのショルツ首相は、ぜったいにドイツ兵をウクライナに送るつもりはないと言明している。

 仏陸軍の参謀総長は、命令があればそれから30日のうちに、2万人の仏兵をウクライナへ派兵できると言っている。

 ウクライナ国内に軍需工場をつくってやるというオプションもある。もちろん露軍はそこをミサイル攻撃してくるはずだ。
 地雷処理とか、訓練だけでウクライナに関わるというオプションも、考えられる。

 有力オプションは、オデッサ市の防衛に関与すること。
 『ル・モンド』紙によるとマクロンはこのオプションに乗り気だという。

 オデッサの3箇所の港は、2019年の統計によれば、ウクライナの総輸出の64.8%、そして輸入の67%が通過。ここを安全にすることにより、世界の穀物価格が安定する。だからフランス政府として意義を説明しやすい。

 オデッサに派兵するとしたら、それは飛来するミサイルを迎撃できる、防空部隊が中心になるだろう。しかしパリ五輪でもこれら高射部隊は警備に必要だ。そこにジレンマがある。

 ベラルーシ国境沿いとか、ヘルソン州、ハルキウ前縁などに、仏軍部隊が防衛線をつくってやるというオプションも、あり得る。

 いちばんありそうにないのが、仏兵がウクライナ兵といっしょに塹壕に籠もって防戦するという、参戦の仕方だろう。

 ※雑報によると、オデーサにはすでに仏兵がいるという。ルーモアだが……。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-4-7記事「Zelensky ‘surrendered’ to Trump, Kyiv is ready for an arms loan」。
   トランプは、ウクライナは米国から只で武器を貰おうとするのではなく、分割払いで買えよ、との意見。『シュピーゲル』紙によれば、ゼレンスキーは、そうするしかないと思い始めた。

 乞食ゼレンスキーは「最低25基のペトリオット発射機(6個~8個高射大隊分)」が必要だとさいきんでは強調している。

 それを只で貰おうというのだからずうずうしい。だったらツケで買えば? —というのがトランプの考え。

 ※この場合、ゼレンスキーには奥の手がある。トランプ政権からのローンで天文学的な額の兵器を買い、もしそれが完済されなければロックマートの経営が傾くという水準まで注文しまくる。そうなった後でロシア軍がウクライナ領土を占領してしまったら、米国の債権は紙屑となるのである。


兵頭二十八 note

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自転車で勝てた戦争があった


「キャンピングカー・ホテル」業を自由化したらいいんじゃね?

 トレーラーのキャンピングカー内に、客を泊まらせて、ドライバーが、客から宿泊料を取る。
 深夜、客が寝ているあいだに、長距離を走行して、次の観光地、または客の地元の町まで、送り届けてやる。

 これで観光地の一過性のホテル不足も解消じゃ!

 建物と違い、車両は、速く量産してしまえる。
 したがって、《人手不足でホテルが建てられねえ》という、現今の日本経済の悩みは、すぐ緩和されよう。

 ビジネスマンの東京出張も気楽になるよ。当日のホテル予約ができるかどうかという心配は、皆無になるんだから。

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 Oliver Parken 記者による2024-4-5記事「Japan’s Tsunami-Fleeing F-15s Took To The Road」。
    このほどの台湾地震の直後、航空自衛隊の那覇基地では、所在のF-15を遅滞なく高所の非軍用道路上へ移動させて、万一の津波襲来に備えたことがわかった。

 ※「X」の写真を見ると、トーイングカーで移動させたようだ。これならパイロットはいなくてもいいし、エンジンをかけなくてもいい。機首と機尾をギリギリくっつけてデンスパックしといても無問題だ。

 ※宮城の「F-2」の二の舞はしませんという手本を示してくれた。空自はあれから、ちゃんと考えていたんだ。ホッとしたぜ。

 ※ちなみに3月28日に嘉手納基地にF-22(第199戦闘機スコードロンと、第19戦闘機スコードロン所属)が季節増強のため飛来していた。嘉手納は那覇基地よりも標高が高いから、津波の心配は無かったのか?

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 Boyko Nikolov 記者による2024-4-6記事「Starlink boosts Russia’s sea drone with P-15 warhead in play」。
     ルーマニアの沿岸警備隊が、水曜日にTuzla村の近くを巡回中、怪しいロボット艇を発見した。

 船外機×2で高速を出せるようにしたゴムボートの上に、無骨な物体がとりつけてあった。

 押収された無人ボートは、コンスタンツァ港から14kmのところにあるルーマニア海軍の「Capu-Midia」試験場へ運ばれた。

 然るにこのボート、4月5日に轟然爆発して四散したという。

 このボートに関するニュースは4月6日までまったく報じられなかった。

 ルーマニア国防省は、それは海洋版のドローンだった、とだけ発表した。

 これについてテレグラムのロシア語チャンネルのひとつが解説している。排水量3トンの古いレスキュー艇にスターリンクを搭載したものだという。

 おそろしいのは、搭載されていた爆発物。ソ連時代の第一世代の対艦ミサイルの「P-15」の弾頭をそのまま載せているという。

 「P-15」の弾頭には二種類ある。通常型は、重さが480kg。高性能炸薬が入っている。
 もう一種類は「P-15M」といって、テルミット弾頭。こっちだと513kgあるという。

 ※特攻無人ボートも、いつまでも宇軍の専売特許じゃない。すでにロシアは模倣しキャッチアップしようとしている。こいつが世界中に技術拡散するのは、時間の問題だ。


タタルスタン州のNizhnekamsk市にあるロシアで三番目の規模の石油精製プラント。「小型輸送機」サイズの無人特攻機が突っ込んで爆発した。ウクライナ領内から1200kmは飛行した模様。

 一説に、この改造特攻機のペイロードは660ポンドだという。数十km離れた工業団地では「シャヘド136」をライセンス製造しており、そこにも同じ特攻機が正確に突入した。4月2日のこと。

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 Svetlana Shcherbak 記者による2024-4-5記事「Satellite Images Reveal Over 60 Aircraft at russian Airfields in Engels, Yeysk and Morozovsk Prior to UAV Attack」。
    4月4日の晩から5日の未明にかけての夜間に、ロシア西部の複数の航空基地が、ドローン攻撃を受けた。
 エンゲリス飛行場はウクライナ国境から700km離れているが、やられた。
 国境から300km離れたところのMorozovsk空港、150km離れたYeysk空港も、やられた。

 3機の「ツポレフ95MS」戦略重爆撃機を含む19機が損傷したという。
 Yeyskでは、2機の「スホイ25」が破損した。

 攻撃前の民間衛星写真で確かめると、この3箇所の航空基地には合計60機以上が駐機していた。

 エンゲルス空港の4-4朝の写真には、8機の戦略重爆が写っている。ツポレフ160が3機と、ツポレフ92が5機。他に、イリューシン76とツポレフ22が1機ずつ。

 Yeysk空軍基地には、L-39練習軽爆×10機、アントノフ26輸送機×5機、アントノフ74×1機、アントノフ12×1、スホイ27戦闘機×4、スホイ25×4、スホイ30×1機、カモフ27ヘリ×?機、ミル8×1機、ツポレフ134UBL練習機×2機がいたと判る。

 モロゾフスク飛行場には、4-4時点で、戦闘機が29機所在。多くは「スホイ34」である。これも「Planet Labs」の衛星写真で確認できた。

 ※宇軍は片道特攻UAVを50機以上、飛ばしたようだが、それらがただGPS座標指定をされていただけならば、19機も効率的に破壊することはできない。それらの特攻機には「マシンビジョン」が搭載されていて、駐機している敵軍用機の機種を見分け、高価値目標を自律的に選別し、直撃する仕様だったのであろう。とうぜん、「ツポレフ160」を優先破壊するアルゴリズムだったと考えられるのだが、おそらく露軍側では「ブラックジャック」についてのみは機内でクルーを寝泊りさせて、警報あり次第離陸させられるようにしていたのであろう。もしブラックジャックが破壊されれば基地司令官には刑務所行きが待っているので。

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 Joseph Trevithick 記者による2024-4-4記事「Four Stealthy AGM-158C Long-Range Anti-Ship Missiles Flew Together In “Historic” Test」。
    2機のF/A-18 スーパーホーネットから4発の「LRASM」を同時発射する訓練が実施され、すべてうまく行ったという。

 テストの場所と日時については非公開である。
 しかし対支の実戦をシミュレートしたことは疑いもない。

 げんざい、米海軍の保有機で、LRASMを発射できるのは、スパホだけ。「P-8A」からも発射できるように、改修工事がすすめられているところが、とうぶんは、それは仕上がらない。

 米空軍は、B-1BからLRASMを発射できる。F-35は、機内弾倉にこのサイズの巡航ミサイルは入らないので、無理に運用させようとするなら、機外吊下とするしかない。

 メーカーのロックマートと米海軍は、LRASMを軍艦の「マーク41」VLSからも発射できるんですよ、と議会にアピールしている(実験は既に成功)。

 LRASMには、いまのところ、2つの型がある。
 AGM-158Cは、「C-1」とか、「LRASM 1.1」とも称される。これが今、配備済みの型である。

 もうひとつの型は、開発中のもので、「C-3」とか「LRASM-ER(エクステンデト・レンジ)」と呼ばれる。

 どちらもステルス性の高い対艦巡航ミサイルである。

 そもそもLRASMは、空対地スタンドオフミサイルの「JASSM」を進化させたもので、機体のコア部分はJASSMと類似している。

 「C-1」の航続距離は、200浬から300浬のあいだである、としか公表されていない。すなわちそれはJASSMと同じだ。

 LRASMは、飛行中に、みずからESMによって敵艦の出すレーダー波をキャッチし、それらのレーダー波によって最も探知がされ難くなるような、最適のアプローチ針路を、じぶんで案出して突っ込む。

 敵空母が、最初は電波封止をしていたが、とちゅうから我慢できなくなってレーダーを稼動させたような場合、飛翔しながらそれを察して、すぐにそっちに目標を変えて突っ込む、という自律判断まで、できてしまう。

 敵艦が見通せる位置まで近づくと、赤外線イメージ照合が始まり、敵空母や敵駆逐艦の最も脆弱な箇所をピンポイントで直撃する。

 いま開発中の「C-3」は、レンジが伸びる。おそらく「AGM-158B JASSM-ER」と同じ、600浬くらいになるだろう。

 米海軍は、「C-3」を2026年のなかばから、F/A-18 スーパーホーネットに運用させるつもりである。これは米海軍が出しているFY2025予算要求から推定できる。

 2030年までに米海軍と米空軍は、1000発以上のLRASMを調達するつもりだ。

 ※今から予測できてしまうのだが、中共海軍は、空母や揚陸艦の舷側に巨大な白地の垂れ幕を下げて、そこに「赤十字」マークを映示させる技法を研究中だと思う。病院船を攻撃できないようにしているはずの、LRASMの画像イメージ照合のアルゴリズムを、逆手に取るわけだ。

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 Boyko Nikolov 記者による2024-4-3記事「Enigma unraveled: Australian E-7A Wedgetail ‘shot down’ Su-34」。
   豪州空軍は、その所有するAWACSである「E-7A」を、2023-10にドイツのラムスタイン基地に展開させていた。支援員100名とともに。それが4月2日に豪州に戻ってきた。

 どうやら、この「ウェッジテイル」の情報にもとづいて、クリミア方面でロシア空軍の「スホイ34」が3機、撃墜されたのではないかという。

 ウェッジテイルはウクライナ領空では作戦しなかったはずだ。しかし、ポーランド領空は使っただろう。黒海の公海上も飛んだだろう。そのくらい離れていても、西側のAWACS機には、露軍機の動静が見えてしまうのである。


兵頭二十八 note

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