Bill Sweetman 記者による記事「Something Old, Something New: The Very Practical Rules of Chinese Aircraft Development」。
昨年末、「殲-36」と「殲-XX」の外見が明らかになった。これらは西側の既存品のコピーのようには見えない。
中共の軍用機開発にはいくつかの原則が看取される。
ひとつ。それが可能で且つ必要ならば、コピーする。
たとえば「KJ-600」のレイアウトは細部まで「E-2」に倣っている。
「ホークアイ」の4枚の垂直尾翼のうち1枚は、ラダーが動かない。メーカーはそれを66年間、続けてきている。だったら、それを真似しないことにむしろ合理性がないだろう。
「轟-6」は、古い「ツポレフ16」のコピーだったが、いまや完全に中共式の設計に新陳代謝されている。胴体前半は設計しなおされている。乗員3名は、射出座席が与えられている。計器はデジタルスクリーン化。レーダーはマルチモード。
最新型の「轟-6」は「WZ-8」無人ロケット機を吊架できる。三角形の全翼機。
「WZ-8」は、空中からリリースされて、帰投は滑走路に着陸する。
米情報部の見積では、こいつは高度3万mでマッハ3を出し、レンジは900kmだろう。もちろん帰投は滑空による。
「WZ-8」の中央部セクションは、チタニウムを3Dプリンターで出力したものだと、メーカーのウェブサイトで宣伝されている。
「WZ-8」は、米空母に対する最後の触接に使うものだろう。
米国メーカーが昔思いついたが実用化しなかったアイディアを、中共メーカーが実現してしまった例もある。
「WZ-7」は、意図している機体の格としては「グローバルホーク」なのだが、その形状は、前進翼の長い水平尾翼の先端が、後退翼の長い主翼の後縁とくっついて一個の「菱形」を成す「ジョインド・ウイング」である。
これが、少数機ながら、すでに中共軍に採用されているのだ。
「ジョインド・ウイング」のメリットは、主翼を薄くしても構造が弱くならないこと。薄い主翼は小さい空気抵抗を意味する。したがって楽に高速巡航できる。
「WZ-9」は特筆される。2015年に初めて目撃された、レーダー偵察機だと考えられるUAVだが、双胴で、アスペクト比大な主翼は通常なら水平尾翼のあるあたりにあり、その主翼中央にエンジンポッドが1基だけ乗っかっている。双胴の先端は「先尾翼」によってブリッヂされている。
無人でしかもこの形状にしたことで、かなりの高高度を楽々と飛翔すると思われる。
戦闘機と違って偵察機・哨戒機は、敵の攻撃に対する自衛力がほぼ無い。そのような機体を無人化するのは、とても正しい考え方である。※これはビル・スウィートマン先生らしいご主張だ。ステルス・デザインも、回避機動力の無いグロホ級の低速戦略偵察機にこそまず用いるべきだというのが先生の持論。トランプ=マスク・コンビは、スウィートマン氏を空軍長官に据えてはどうか。
成都は、「殲-17」→「-10」→「-20」→「-36」と、たてつづけにこしらえている。このエンジニア集団を舐めてはいけないだろう。
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SETH J. FRANTZMAN 記者による2025-2-9記事「Fresh clashes expose Syria’s lingering Lebanon problem」。
シリア軍は1976年から2005年までレバノンに進駐していたことがある。
しかし2011年からは逆にレバノンのヒズボラがシリア領内を攪乱するようになった。
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Defense Express の2025-2-10記事「Radical Solution: russian Forces Deploy Entire Anti-Drone Tunnels in Ukraine」。
露軍の工兵隊は、バフムトと「Chasiv Yar」町を結ぶ補給道路、延長2kmに、「霞網のトンネル」を構築し始めた。そこを走るトラックがロイタリングミュニションの餌食にならないように。
その補給道路は生命線なので。
有線ドローンの普及で、防御のためのEWが効かなくなってきたので、もう、この方法しかない。この方法が、いちばん安価であるとわかってきた。
※露軍には軍用トラックもなくなってきたらしく、さいきんは補給にやってくるのがすべて民間仕様のクルマであるという。
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Defense Express の2025-2-10記事「russians Customized Their FPV Drone Minelayers」。
蝶々地雷「PFM-1」をクォッドコプターから散布する試みを露軍が最初に見せたのは2004-9月であった。
最近では、この対人地雷を多数、もっと重いマルチコプターから撒けるように、3Dプリンターで籠をこしらえていた。
ほんとは24個入れたいのだが、それを運べるマルチコプターが足りないので、16個入りにしている。
ソレノイドで金属棒を引き抜くと、「籠」ごと落下する。籠の蓋は、棒が抜けるとバネ仕掛けに反り返って分離する。あとは、空中で地雷がばらける。蝶々羽のおかげで、広くランダムに散開する。
地雷1個の中に液体爆薬が37グラム入っている。
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「mil.in.ua」の2025-2-10記事「Solist Drone Projectile Unveiled in Russia」。
ロシアの新兵器が登場したという。「Soloist」という。
使い捨ての迫撃砲のように発射する。歩兵1名が担げるサイズ。
発射されると、重さ20㎏の弾薬(自爆無人機)が10km飛翔する。弾道の頂点高度は2000mである。
小型ジェットエンジンがついていて、平均飛翔速度は500km/時。
降下して命中するまで、オペレーターがFPVゴーグルで操る。
降下段階では、エンジンは止まっている。
弾頭はRPGと同じ。もともと対戦車用に開発したという。
いま、ロシアの工場では人手不足なので、北鮮の工場で量産させるかもしれない。