舵が故障した船で松前小島に上陸できたわけがない。船着場は風下なんだから。こいつらの正体は「放浪かっぱらい稼業」だ。

 Helen Edwards と Dave Edwards 記者による記事「Amazon may have patented the next big thing in online shopping」。
  アマゾンが考えているいくつかの新しい試み。買った商品に対するユーザーの評価投稿を、テキストだけではなく、ビデオでも受け付けるようにしたいという。
 さらにもうひとつ。ネットで広告をちゃんと視聴してくれれば、お買い求めの商品の代価がどんどん安くなりますよ、というサービスも、始めたい。
 すでに「映示内容に基づく値引きおよびインセンティヴ」というパテントを取得したという。
 「詳細を見る」をポチると、そこにはビデオ広告が複数、呈示されている。それをしっかりと視れば視るほどに、どんどん購入価格は値引きされていく……というスタイル。
 リアルショッピングでは、客は店舗をわざわざ訪れたことで自分の貴重な時間を使っている。だから、その時間コストに見合った買い物をしておこう(余計にあれもこれも買ってしまおう)という衝動が働くのだが、ネットショッピングではその衝動がないわけ。そこを補償して、ネットでの「ついで買い」を強く誘うシステムなのだ。
 「せっかく長時間広告を見て時間を潰したから、その元を取ろう」という判断がネットユーザーの心の中で働くであろう。
 さらに、「アマゾンで時間を潰せば潰すほど得をする。しかしユーチューブやフェイスブックやインスタグラムやスナップのサーフィンで時を過ごしても一文の商品ディスカウントにもつながりはしない。ただの時間の無駄」と人々が認識したならどうなるか? アマゾンの独り勝ちだ。
 ※あざやかな理論を初見すると、眠気がふっとぶくらい心地好い。この理論は動画による国際宣伝にも使われるようになるだろう。資金潤沢な中共は、「うちの宣伝ネット放送局を見てくれれば、視聴時間に応じて、仮想クーポン券がどんどん増えますよ」という仕組みに討って出るだろう。TVの「逆視聴料」だ!
 次。
 ストラテジーペイジの2017-12-1記事。
   2017-11-10に中共政府は命令した。すべての公務員は、近平閣下の御真影を家庭とオフィスに掲げること。
 キリスト教徒は、宗教関係のイコンを近平御真影と取り替えること。その御真影は当局が無料で配給するから。
 2017-11-4判明。中共の原油輸入は過去13ヶ月で最低に落ち込んでいる。
 輸入先の最大手はロシアで、日量109万バレル。次がサウジで108万バレル。中共は米国からも日量20万7000バレルを輸入している。
 2017-10-31判明。朝満国境の満州側での放射線量計測。9-3実験から1週間後、たしかに放射線レベルは7%上昇した。
 これは住民の不安を宥めるために中共地方政府当局が発表した。
 10月前半には北鮮の核実験場でトンネル崩落が起きた。最初の崩落で100人くらいが生き埋め。それを救出せんと坑道に100人くらい入ったところで二次崩落。ほとんど死んだ由。
 ※ラウンドノーズのRVは大気抵抗が大きく低精度だが焼蝕しにくい。尖頭RVは逆に高速で高精度だが焼蝕が激しい。ICBM射程になるとブーストカット時の速度が大だからとんがりコーンでは燃え尽きてしまう。そこで「火星15」は蛋形に近くした。
 次。
 Dhawal Shah 記者による2017-11-5記事「200 universities just launched 600 free online courses. Here’s the full list」。
   MOOCという略号を記憶すべし。 Massive Open Online Courses。
 タダ、またはほぼ無料でオンライン聴講可能な世界各地の大学の授業である。
 今では800近い大学が、8000以上の授業をネットで無料公開している。
 最近登録された、社会科学系のネット公開講座にはこんなものが……。
 スタンフォード大 「核テロリズム」。
 ミシガン大 「フェイクニュース、事実、もうひとつの事実」。
 大阪大学 「都市の災害リスクとその備え」。


「読書余論」 2017年12月25日配信号 の 内容予告

▼山路愛山『足利尊氏』S24-8イワブン、原M42-1
 山路が日本史を数人の個人で代表させると、まず日本武尊。ついで藤原鎌足、菅原道眞、藤原道長、源頼朝、足利尊氏、徳川家康、徳川吉宗、西郷隆盛と伊藤博文。
 これが模範的日本人で、この英雄たちがその時代を作った。
 ノーと言えるのは男らしさなのだと、カーライルが言った(p.29)。
 『朝野群載』によれば、対馬の山の北向き斜面から、湿気の無い晴天時に半島方向を見れば、肉眼で、「金海府」の牧野の馬の群れや、船に掛けた帆の布まで見えたと。
 文永以降、日本国内では誰も北條氏を困らせようとはしなかった。蒙古が迫っている以上、国内は団結しなければいけないと皆思っていた。だから鎌倉政権は、国内治安に煩わされずに済んだ。
 北條時代の武家の特色。兄弟がほぼ同格に並び称されていた。足利尊氏と直義。新田義貞と義助、高師直と師泰、菊池武重と武敏。
 一族の長者の家督といえども独裁権がない。これも鎌倉時代の特徴。
 侍は、御成敗式目によれば、土地をひとつでも持つ者。土地をもたない者は「凡下の輩」と区別される。
 古代ローマの共和政は、元老や代官たちが、属国の君主たちから賄賂を貰うようになってから、衰滅が止められなくなった。属国は軽侮するようになり、各地で一斉に叛乱が。
 神皇正統記には、新田義貞は足利高氏の一族だと書いてある。『保暦間記』にも。
 新田義貞は尊氏の命令によって挙兵したにすぎない。
 世人も、義貞は足利一族だと承認していた。尊氏の子の義詮は4歳で新田軍に加わっている。北條高時が滅亡した後、関東の将士は、新田義貞ではなく、足利義詮に属した。
 尊氏は、足利家にとって本国とも言うべき三河を通るときに、在地の吉良良義に相談した。そこで手兵をさらに集め、近江で先帝の綸旨を得、入京した。
 尊氏は、苦心惨憺なしとげるという人ではない。生まれつきのブルーブラッドで、苦労を知らないので、他者に寛大だった。誰も憎まなかった。
 努力してそういう性格になったのではない。ナチュラルにその性格だったのである。
 尊氏は人を信じることが自然にできた。
 また一面で運命論者で、生命の危機が迫ったときも心に余裕があった。
 巻末解題。
 日本の英雄として愛山は源頼朝を最初に取り上げる心組だったが、硬直右翼どもが日本の言論を統制しようとする空気があり、出版制約をかけられてしまう前に尊氏のまともな評価を出しておこうと山路は判断した。
 じっさい、M43以降、南北正閏論で日本の史学はムチャクチャになった。
 父の山路一郎は、榎本武揚に従って出奔。
 『防長回天史』を3年で仕上げた愛山は、信濃毎日新聞社の主筆になり、M26に信毎に「露国恐るるに足らず」「非非戦論」を寄稿。
 M41以降、日本の社会義者らは、マルクス主義の正当性を日本歴史で証明しようと考え始めた。幸徳秋水は室町時代史の研究に着手した。
▼野村喬『評傅眞山靑果』1994-10
 綿谷雪は早稲田を出たあと、S6から青果のもとで筆耕等の助手を勤めた。 綿谷の筆名が、戸伏太兵。S14から時代小説を書く。S36に『日本武芸者小伝』。そののち『日本武芸流派大事典』。
 漢学者の家に育った青果は、芝居=娯楽=悪 という刷りこまれた価値観から、死ぬまで逃れられなかった。
 徳川氏は足利氏から出たので、元禄時代にあっては、むしろ北朝贔屓の学者が少なくなかった。
 硬骨の政治家・赤城宗徳は、自分でも『平将門』を著している。赤城は大正末期の水戸高校時代に、青果の戯曲『平将門』を読んで共鳴した。真山はヒューマニストだと思った。
▼津軽海峡海難防止研究会ed.『津軽海峡の天気とことわざ』H1-12
 松前ではカモメのことを「ゴメ」という。カモメは時化の前には大食いになる。
 時化の前にはウニが砂に潜ろうとする。アワビは岩に強く吸着する。ナマコは、ちぢこまる。
 ◆  ◆  ◆
 「読書余論」は、主に軍事系の古本を、兵頭が注目した一斑の摘記や読書メモによって紹介し、他では読めないコメントも附しているものです。
 あまりに多すぎる過去の情報量の中から「兵頭はここは珍しいと思いました」というポイントだけ要約しました。
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