旧式機雷は水蓄火薬庫に収める必要があり、弾薬庫の増築に難あり。クイックストライクならそのハードルなし。

 Ben Werner 記者による2018-9-24記事「Navy, Air Force Test Deploys 2,000-Pound Mine at Stand-off Range」。
       ヴァリアント・シールド2018演習にて、グァム所属のB-52が快挙。
 2000ポンド投下爆弾に、滑翔翼+JDAMキット、さらに対艦船センサーをとりつけた「クイックストライクER」機雷を、北マリアナの浅海に遠隔投入してみせた。
 高度と射程と機速は非公表だが、中共軍のSAMが届かない遠くの空から敵地近海に敷設できることが誇示された。
 この模様はP-8Aによって撮像記録された。また、沈底機雷として正常に機能開始したかどうかを、ダイバーが爆弾を回収して確かめた。
 500ポンド爆弾改造のクイックストライクERの遠隔敷設実験は、ヴァリアントシールド2016において、すでに海兵隊のF/A-18 ホーネット等が成功させている。
 ※日本が機雷戦と米軍のブロケイド戦への協力を実行するためにはますます政治家の国際法理解が不可欠だろう。ところでE.W.Osborne氏著『Britain’s Economic Blockade of Germany 1914-1919』という洋書は、1856パリ宣言(The 1856 Declaration of Paris)の解説から始まるのだが、篠田英朗教授のご著作のおかげで私はようやくその意義を理解したと思った。このパリ宣言(クリミア戦争講和条約のパリ条約とは別物。中立船(荷)の拿捕等につき規定した。日本語版ウィキペディアがないことから、日本人の関心の低さは察せられる)に署名したときに英本国内から、これは「Britain’s belligerent rights」を不必要に放棄したものだという批判の声が起こった――というのである(p.9)。つまりそれまでは英国は交戦権をさんざん行使してきたけれども(たとえばデンマーク艦隊が敵方については困るなというだけの理由からとつぜん1807-9にコペンハーゲンに押しかけて街を焼夷ロケットで焼き討ちしたのもそうだろう)、ナポレオン戦争後には合衆国がどんどん強勢化したので、さしもの英帝国もとうとう中立国の中立権は大いに尊重をせざるを得なくなった次第。そしてWWIの緒戦に至り、英国は痛感する。欧大陸と交易している米国に中立をされただけでも、英国は欧大陸強国に対抗が不能になってしまうのだ(対独ブロケイドがザルになるので)。けっきょく米国が英国側に立って参戦するまで、対独ブロケイドは不完全であり続けた。同じことを日本もさっさと覚るべきだった。シナ大陸と交易している米国が中立しているだけでも、日本はもう蒋介石には対抗不能に陥るのだと(ならば在支の民間工業資産は手早く米資本に売り払えというオプションもあった)。英国はWWI爾来、米とは絶対反目しないことに決めた。日本はその構造を1941までも把握できずに、ノンベリジェレントにして援蒋国たる米国に挑戦してしまった。コペンハーゲンをやってしまった(ベリジェレント権をフル行使)。ところで篠田さんは察してないと思うが、英国は2003年にイラクに大量破壊兵器など無いと知っていたはずだ。だが米国による2003侵攻にはつきあった。なぜか? 英国の将来の危機にさいし、米国に中立されてしまうことが最も困るからである。米国が中立ではなく開戦を選ぶなら、英国はそれに必ずつきあうという心理工作を平生から続けておくことが、甚だ有意義だったのだ。そういう高等判断だ。今日、米国が中立をきめこんだら、日本はもちろん大陸勢力から叩かれっ放しになり、やがて大陸の属国になるだろう。しかし幸いにもアメリカは中立していない。それが在韓米軍。在韓米軍の意味は、米国は対支に関しては「中立」はしないという意思表示だ。だから在韓米軍だけは日本からカネを出してでも維持させる価値があるのだ。トランプと交渉する日本の大臣が、ここを理解しているとよいのだが……。