プチ切れポープ。

 Zachary Abuza 記者による2020-1-2 記事「America Should Be Realistic About its Alliance with Thailand」。
    冷戦時代、タイと米国には共通の敵があった。中共とベトナムだ。

 しかし現在、タイの政治は議会民主主義に背を向け、専制になじんでいる。
 軍をバックにしたエリート階層は、中共との結託を望んでいる。

 タイ軍は、王室の藩屏を自認する。民主主義は、王室を終わらせる道だと見る。

 タイが米国から離れて中共にくっつくきっかけになったのは1998のアジア経済危機である。このときに米国はタイを見棄てた。

 2006に軍がクーデーターを起こし、米軍とタイ軍との協力も制約されるようになった。2014にもクーデター再発。

 タイ軍から見ると、中共は軍事的脅威ではない。むしろ、民主主義抑圧において協力ができる同盟者だ。

 米軍にとって、タイの利用価値は、ウタパオ空軍基地にまず尽きる。
 その次には、海軍基地も。
 しかしタイ政府には、米軍が国内基地の利用を要求してもそれを許さない自由がある。たとえば、ビルマのロヒンギャ救済事業に使わせてくれと米軍が頼んできた2017~18には、拒否した。 ※タイもイスラム系の流民にはほとほと迷惑していて、ビルマ政府の追い返し政策にむしろ同情的だからだ。タイは米国流の奇麗事外交には付き合わない。ビルマとは事実上の《仏教同盟》があるとも言える。そのスタンスからは、たとえばマレーシアは共通の敵である。

 げんざい、タイの上院は、軍からの推薦者で全議席が占められている。

 2014のクーデター後、米国は、タイ向けの兵器輸出に必要なローン470万ドルをカットした。その穴は、中共が、親切に埋めてくれた。
 他方では米国は、2013のエジプトのクーデターで凍結した13億ドル分の軍事援助を、さっさと再開している。一貫性がないのである。

 2018にタイは、10年がかりで潜水艦隊を整備することにして、その計画を中共に丸投げした。タイ海軍はべつに切実に潜水艦など必要としてはいないのだが、隣国のベトナム、シンガポール、インドネシア、ミャンマーまで潜水艦を買いそろえているのに、自国だけ持たないのは面白くない。
 いま、サッタヒプ海軍基地が、中共の手によって潜水艦隊母港として改築されつつある。そこには中共海軍も寄港することができるのだ。

 2019-9にはタイ海軍は中共に、2万5000トンの強襲揚陸母艦も、2億ドルで発注した。

 タイ陸軍の主力戦車はながらく米国製のM-41軽戦車だったが、2016以降、それは中共製の「VT-4」に更新されつつある。

 ただしヘリコプターはさすがに米国製が買われている。ブラックホークと、「AH-6i」(ヘルファイア運用型)だ。

 2019にメコン川の水位が史上最低に減った。これはタイに将来の食糧危機を予感させた。
 なにしろ中共はその上流に13ものダムを構築して取水しているのだ。

 次。
 Ali Mamouri 記者による2020-1-3記事「Top commander’s assassination leaves Iran with very few options to retaliate」。
    1-3にバグダッドで爆殺されたソレイマニは、IRGC(イラン革命防衛隊)の尖兵である「クッズ」の司令官。いっしょに爆殺されたアブ・マフディ・アルムハンディスは、PMU=一般人動員部隊 の副隊長だった。

 爆殺現場はバグダッド国際空港の近くで、時刻は深夜の1時だった。
 ソレイマニが空港に着き、そこから車列に乗り換えて動き出したところを、ドローンから爆弾が降って来た。その場で、合計8名が即死。

 数時間後にIRGC(イラン革命防衛隊)が認めた。他に4名のIRGC将官が殺されたと。

 この数字は、なにかどでかい反米テロ計画がたくらまれようとしていたことを暗示する。